説明

液体容器

【課題】成形容易で、且つ、使用できずに残留する液体の量を少なくすることができる液体容器を提供する。
【解決手段】注出口3を有する容器本体2を備え、容器本体2に収容された液体を注出口3から注出可能な液体容器1であって、容器本体2は、水平面に当接する載置部4と、載置部4の前方に設けられた液溜部5とを底部に備え、液溜部5は、内部に液体を収容可能なように載置部4より下方に突出し、注出口3は、液溜部5において少なくとも一部が開口している液体容器1である。容器本体2は、底部に設けられた凸部13を備え、凸部13は、液体を液溜部5に案内可能なように液溜部5から後方に延びており、下面が載置部4を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収容した液体を注出する液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に収容した液体を注出する液体容器は、一般的に、低コストで容易に製造することができる観点から、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂を原料としてブロー成形により一体的に製造される。
【0003】
このような液体容器として、例えば特許文献1に開示されているような液体容器が知られている。図5に示すように、この液体容器100は、注出口102を有する容器本体110を備え、容器本体110に収容された液体を注出口102から注出可能な容器であって、容器本体110は、平坦な載置面101を備えている。注出口102には、注出口102を開閉するコック103が取り付けられている。このような液体容器100によれば、載置面101を基台104の上面に当接させて、容器本体110を基台104に載置した状態で、コック103を開状態とすることにより、容器本体110に収容された液体を注出口102から注出する。
【特許文献1】特開2001−240100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような液体容器100では、液体が注出されることにより容器本体110内の液位が低下してゆき、注出口102の位置まで低下すると、それ以上の液体を注出口102から注出できなくなる。この場合、容器本体110内の液体をさらに注出するためには、容器本体110を前方に傾ける操作が必要になるが、この操作が煩わしく、液体の注出作業に労力がかかるという問題があった。
【0005】
また、より多くの液体を注出するために予め容器本体110を前方に傾けた状態で載置しておくと、容器本体110が不安定になり、基台104から落下するおそれを伴っていた。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、成形容易で、且つ、使用できずに残留する液体の量を少なくすることができる液体容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、注出口を有する容器本体を備え、該容器本体に収容された液体を前記注出口から注出可能な液体容器であって、前記容器本体は、水平面に当接する載置部と、該載置部の前方に設けられた液溜部とを底部に備え、前記液溜部は、内部に液体を収容可能なように前記載置部より下方に突出し、前記注出口は、前記液溜部において少なくとも一部が開口している液体容器により達成される。
【0008】
上記液体容器において、前記容器本体は、底部に設けられた凸部を備え、前記凸部は、液体を前記液溜部に案内可能なように前記液溜部から後方に延びており、下面が前記載置部を構成していることが好ましい。
【0009】
また、前記容器本体の前面は、上部が下部より後方に位置するように形成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記容器本体は、前記液溜部及び前記載置部の後端部により水平面上に支持される保管状態に対応した保管目盛と、前記載置部のみにより水平面上に支持される使用状態に対応した使用目盛とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体容器によれば、成形容易で、且つ、使用できずに残留する液体の量を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る液体容器を一部断面で示す側面図である。図1に示すように、液体容器1は、液体を収容する容器本体2を備えている。
【0013】
容器本体2は、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂を原料としてブロー成形により一体的に製造されており、水平面に当接する載置部4と、載置部4の前方に設けられた液溜部5とを備えている。また、容器本体2は、内部に液体を注入可能な注入部21と、液体容器1を持ち上げるときに把持するための把持部22と、内部に空気を導入可能な空気口24と、内部に収容された液体を注出可能な注出口3とを備えている。
【0014】
容器本体2は、液溜部5及び載置部4の後端部を支持部として、この支持部が基台90の水平な上面に当接することにより基台90上に載置される保管状態、及び、図2に示すように、載置部4のみを支持部として、この支持部が基台90の水平な上面に当接することにより基台90上に載置される使用状態のいずれかを選択可能に構成されている。容器本体2は、その後端から載置部4の前端に至るまで、載置部4より下方に突出する部分を有していない。
【0015】
容器本体2は、保管状態及び使用状態にそれぞれ対応した保管目盛11及び使用目盛12を側面に備えている。保管目盛11及び使用目盛12は、保管状態及び使用状態における容器本体2の内部の液量をそれぞれ測定可能である。容器本体2の平面視における形状は特に限定されず、例えば丸形や四角形にすることができる。
【0016】
載置部4は、使用状態における容器本体2の姿勢を前後方向に安定させる観点から、例えば、基台90の水平面に面状に当接するように、容器本体2の後端部から液溜部5まで平坦な面になるように形成された構成や、容器本体2の前後方向に沿って両側縁部で基台90の水平面に帯状に当接するように、容器本体2の両側縁部において容器本体2の後端部から液溜部5へ向かって帯状に延びるように形成された構成等であることが好ましい。また、載置部4は、容器本体2が保管状態のとき、側面視において後端部から前方へ向かって上方に傾斜しており、基台90の上面に対して例えば10度傾いている。これにより、容器本体2の使用状態における姿勢は、保管状態における姿勢に対して前方へ例えば10度傾斜する。
【0017】
液溜部5は、内部に液体を収容可能なように載置部4より下方に突出している。また、液溜部5は、容器本体2が保管状態のときに基台90の上面に当接する当接部23を有している。液溜部5の側面視における幅wを調整することにより、容器本体2が使用状態のときに液溜部5に最後に残留する液量を調整することができる。液溜部5の側面視における幅wは、液溜部5に最後に残留する液量を少なくする観点から、狭くすることが好ましく、具体的には、例えば10リットルの容量を有する容器本体2の場合、50mm以下であることが好ましい。
【0018】
注出口3は、容器本体2の前面に形成されており、少なくとも一部が液溜部5において開口している。注出口3をより下方に形成することにより、液溜部5に最後に残留する液量を少なくすることができる。注出口3には、注出口3を開閉するコック30が取り付けられている。コック30は、レバーを回動することにより注出口3を開閉する公知のレバーコックを用いることができる。
【0019】
次に、以上のように構成された液体容器1を用いて液体を注出する方法を説明する。
【0020】
まず、容器本体2を基台90に使用状態で載置する。容器本体2が使用状態のとき、載置部4は基台90の水平面に当接する。また、液溜部5が基台90の前面91より前方に位置し、注出口3の少なくとも一部が載置部4より下方に位置する。
【0021】
次に、この状態でコック30を開状態とすることにより、容器本体2内の液体を注出口3から注出する。コック30を操作するとき、液溜部5が基台90の前面91に当接することにより、容器本体2の後方への動きが規制される。
【0022】
その後、液体が注出されると容器本体2内の液位が低下してゆき、液位が注出口3まで低下するとそれ以上の液体が注出口3から注出されなくなる。注出口3から注出されなかった液体は、液溜部5に残留する。
【0023】
本実施形態に係る液体容器1によれば、容器本体2が水平面に当接する載置部4と、載置部4の前方に設けられた液溜部5とを備え、液溜部5が内部に液体を収容可能なように載置部4より下方に突出し、注出口3が液溜部5において少なくとも一部が開口しているので、載置部4のみを基台90の水平面に当接させて載置することにより、容器本体2を安定した姿勢で使用状態にすることができる。したがって、容器本体2内の液体が減少してきても、従来の液体容器のように容器本体を傾ける必要がなく、安定した状態で液体を注出することができるので、使用できずに容器本体2に残留する液体の量を少なくすることができる。例えば、10リットルの容量を有する液体容器の場合、従来の液体容器では、容器本体に残留する液体の量が容器の容量の約20%であったが、本発明に係る液体容器によれば、容器本体に残留する液体の量が容器の容量の約3%になるので、使用できずに容器本体に残留する液体の量を、従来の液体容器より約1.7リットル少なくすることができる。また、コック30を操作するときに液溜部5が基台90の前面91に当接することにより、容器本体2の動きが規制されるので、容器本体2をさらに安定させた状態で液体を注出することができる。これは、容器本体2内の液量が減少することにより容器本体2が軽量になり、動き易くなったときに特に効果的である。また、ブロー成形可能なので、低コストで容易に製造することができる。
【0024】
また、容器本体2が保管状態に対応した保管目盛11と、使用状態に対応した使用目盛12とを備えるので、いずれの状態でも容器本体2内の液量を測定することができる。
【0025】
また、容器本体2がその後端から載置部4の前端に至るまで、載置部4より下方に突出する部分を有していないので、容器本体2を使用状態にしたときに載置部4全体を基台90の上面に確実に当接させて安定させることができ、容器本体2内の液体を安定した状態で注出することができる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0027】
例えば、本実施形態では、使用状態の容器本体2から液体を注出していたが、保管状態の容器本体2から液体を注出することも可能である。容器本体2が基台90に保管状態で載置されているときでも、載置部4が後端部から前方へ向かって上方に傾斜するので、使用できずに容器本体2に残留する液体を少なくすることができる。
【0028】
また、容器本体2は、載置部4を備えていれば底部の形状は特に限定されず、図3に示すように、底部に設けられた凸部13を備えていてもよい。凸部13は、容器本体2内の液体を液溜部5に案内可能なように液溜部5から後方に延びている。凸部13の下面は載置部4を構成している。凸部13は、ブロー成形により容器本体2と一体的に形成され、内部に液体を収容可能な空間を有する。このような構成によれば、容器本体2の底部の容積を小さくすることができるので、保管状態の容器本体2内に残留する液体の量をより少なくすることができる。
【0029】
また、容器本体2の形状は特に限定されるものではないが、前面の上部が下部より後方に位置することが好ましい。この場合、容器本体2は、図4に示すように、前方に張り出す張出部25を下部に備えていてもよい。液溜部5は、張出部25の下部に形成されている。このような構成によれば、容器本体2の重心がより後方に位置するので、使用状態の容器本体2をより安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体容器を一部断面で示す側面図である。
【図2】図1に示す液体容器の他の状態を一部断面で示す側面図である。
【図3】他の実施形態に係る液体容器の一部を下から視た斜視図である。
【図4】他の実施形態に係る液体容器を一部断面で示す側面図である。
【図5】従来の液体容器の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 液体容器
2 容器本体
3 注出口
4 載置部
5 液溜部
11 保管目盛
12 使用目盛
13 凸部
23 当接部
30 コック
90 基台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出口を有する容器本体を備え、該容器本体に収容された液体を前記注出口から注出可能な液体容器であって、
前記容器本体は、水平面に当接する載置部と、該載置部の前方に設けられた液溜部とを底部に備え、
前記液溜部は、内部に液体を収容可能なように前記載置部より下方に突出し、
前記注出口は、前記液溜部において少なくとも一部が開口している液体容器。
【請求項2】
前記容器本体は、底部に設けられた凸部を備え、
前記凸部は、液体を前記液溜部に案内可能なように前記液溜部から後方に延びており、下面が前記載置部を構成している請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
前記容器本体の前面は、上部が下部より後方に位置するように形成されている請求項1又は2に記載の液体容器。
【請求項4】
前記容器本体は、前記液溜部及び前記載置部の後端部により水平面上に支持される保管状態に対応した保管目盛と、前記載置部のみにより水平面上に支持される使用状態に対応した使用目盛とを備える請求項1から3のいずれかに記載の液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−195422(P2008−195422A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32549(P2007−32549)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(397069868)アズワン株式会社 (23)
【Fターム(参考)】