説明

液体柔軟剤組成物及びその製造方法

【課題】ベース柔軟剤の分散系を壊すことなく均一に香料が分散し、フレッシュな香りを衣料などに付与できる液体柔軟剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)成分:アルカノ−ルアミンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸メチルエステルとのエステル化反応生成物、該エステル化反応生成物の中和物、及び該エステル化反応生成物を更に4級化して得られる反応生成物から選ばれる1種以上の化合物、ここで、上記脂肪酸及び/又は脂肪酸メチルエステルのヨウ素価が5〜150である、
(B)成分:下記のB−1、B−2及びB−3のそれぞれから選ばれる各々1種以上香料成分からなる複数の香料成分
を、(A)成分3〜50質量%、(B)成分0.2質量%(2000ppm)以上の割合で含有する液体柔軟剤組成物であって、特定の工程(1)〜(4)を含む製造方法により調製することができる液体柔軟剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種衣料などに柔軟性を付与するための液体柔軟剤組成物、特に繊維への柔軟性付与効果や静電気防止効果に加えてよりフレッシュな香りを付与できる液体柔軟剤組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟剤に対して生活者は、繊維への柔軟性付与効果や静電気防止効果に加えて、香りに対するニーズが益々高くなってきている。香りは嗜好性の要素が強く、また、香りの質に対する要望も強く、よりフレッシュな香りが求められている。
しかしながら、現在の液体柔軟剤組成物の工業的製法においては、液体柔軟剤組成物製造の初期段階で香料が柔軟基材と酸性・高温条件化で混合されるため、香料が変質してフレッシュ感が失われる場合があった(特にフレッシュ感のある特定香料)。これらを解消するため、未賦香の柔軟剤に、従来、単純に香料を後から添加する方法が考えられている。しかしながら、この方法では、水系のベース柔軟剤に油である香料を後から添加するため、香料の混合にかなり強い機械力が必要となり、ベース柔軟剤の分散状態が崩壊する場合があった。
一方、香料を多量に配合しても貯蔵安定性と残香性良好な柔軟剤組成物の製造方法が、特許文献1に開示されているが、この方法では、(ア)カチオン溶解、(イ)水と混合、(ウ)冷却、(エ)シリコーンエマルションと混合の4工程からなり、香料を各工程時、又は工程間、又は(エ)工程後に添加する工程を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−163176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ベース柔軟剤の分散系を壊すことなく均一に香料が分散し、フレッシュな香りを衣料などに付与できる液体柔軟剤組成物を提供することを目的とする。
本発明は、又、香料の後添加プロセスを採用する上記液体柔軟剤組成物の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(A)成分を柔軟基材とする液体柔軟剤組成物であって、該柔軟剤組成物の製造時に(B)成分の特定香料を特定の方法で添加して製造すると、香料のフレッシュ感を損なうことなく、(B)成分を安定かつ均一に分散させることが可能となるとの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、(A)成分:アルカノ−ルアミンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸メチルエステルとのエステル化反応生成物、該エステル化反応生成物の中和物、及び該エステル化反応生成物を更に4級化して得られる反応生成物から選ばれる1種以上の化合物、ここで、上記脂肪酸及び/又は脂肪酸メチルエステルのヨウ素価が5〜150である、
(B)成分:下記のB−1、B−2及びB−3のそれぞれから選ばれる各々1種以上香料成分からなる複数の香料成分
を、(A)成分3〜50質量%、(B)成分0.2質量%(2000ppm)以上の割合で含有する液体柔軟剤組成物であって、下記工程(1)〜(4)を含む製造方法により調製することができる液体柔軟剤組成物を提供する。
B−1:アルデヒド類からなる香料成分
B−2:酢酸及びギ酸エステル類からなる香料成分
B−3:炭素数6以下のアルコールとのエステル類であって、B−2以外の香料成分
工程(1):(A)成分を40℃以上に加熱し、油相を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られた油相と水を混合し、乳化物を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた混合物を40℃未満に冷却する工程
工程(4):工程(3)で得られた混合物と、(B)成分を、剪断速度が5,000〜1,000,000 s-1条件で、単位時間に液が撹拌翼にかかる回数が2〜10,000 回/sの条件で、それぞれ混合する工程
ここで、剪断速度=撹拌翼先端の線速度/ローターとステーター間のクリアランス、
(式中、撹拌翼先端の線速度は、πnd/60である(ここで、nは回転数[rpm]、dは撹拌翼直径[m]である。)
又、単位時間に液が撹拌翼にかかる循環回数[回]= Nqd×r×d×θ÷V
(式中、Nqdは吐出流量係数、rは攪拌翼の回転数(rpm)、dは攪拌翼の直径(m)、θは攪拌時間(min)、Vは内容液の体積(m)である。)
【0006】
本発明は、又、上記(A)成分及び(B)成分を含有する柔軟剤組成物を、下記工程(1)〜(4)を含む方法により調製することを特徴とする上記液体柔軟剤組成物の製造方法を提供する。
工程(1):(A)成分を40℃以上に加熱し、油相を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られた油相と水を混合し、乳化物を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた混合物を40℃未満に冷却する工程
工程(4):工程(3)で得られた混合物と、(B)成分を、剪断速度が5,000〜1,000,000 s-1条件で、単位時間に液が撹拌翼にかかる回数が2〜10,000 回/sの条件で、それぞれ混合する工程
ここで、剪断速度=撹拌翼先端の線速度/ローターとステーター間のクリアランス、
(式中、撹拌翼先端の線速度は、πnd/60である(ここで、nは回転数[rpm]、dは撹拌翼直径[m]である。)
又、単位時間に液が撹拌翼にかかる循環回数[回]= Nqd×r×d×θ÷V
(式中、Nqdは吐出流量係数、rは攪拌翼の回転数(rpm)、dは攪拌翼の直径(m)、θは攪拌時間(min)、Vは内容液の体積(m)である。)
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、衣料を処理した直後はもとより、時間経過後においても衣料に付着させたフレッシュな香りに優れ、香料の分散安定性にも優れた液体柔軟剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】混合装置の一例を示すバッチ式混合装置1の模式図を示す。
【図2】連続式混合装置の概略断面図を示す。
【図3】剪断速度測定装置の概略断面図を示す。
【図4】別の剪断速度測定装置の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において使用できる(A)成分は、柔軟基材として用いるものであって、下記一般式1で表されるアルカノールアミンと、特定の脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルとのエステル化反応生成物、該エステル化反応生成物の中和物及び該エステル化反応生成物をさらに4級化した4級化反応生成物(以下、これらをエステル化反応生成物と称することがある)が使用される。
【化1】

上記一般式(1)において、R1、R2、R3は、炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基、アミノアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R1、R2、R3の少なくとも一つは、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキル基の水素原子を少なくとも一つのヒドロキシル基で置換したヒドロキシアルキル基であり、具体的には、例えば−CH3、−C2H4OH、−C3H6NH2、−CH2CH(OH)−CH2OH等が挙げられる。A、B、Cは、それぞれ独立に炭素数2〜6、好ましくは2〜4のオキシアルキレン基であり、具体的には、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。また、o、p、qは、それぞれオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、それぞれ独立に0〜10であり、より好ましくは、0〜6、更に好ましくは0〜4、最も好ましくは0〜3である。なお、A、B又はCで示されるオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位又はオキシブチレン単位などは、ブロック状あるいはランダムに配列していてもよい。
【0010】
上記一般式(1)で示されるアルカノールアミンとして、より具体的には、例えばトリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−メチル−N−(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)エタノールアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル、2,3−ジヒドロキシプロピルアミン等が挙げられ、これらの中でも特に好ましいアルカノールアミンは、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N−ジメチル−2、3−ジヒドロキシプロピルアミン等である。
また、最終組成物(液体柔軟剤組成物)の透明化、粘度コントロールなど液性改善のためには、上記アルカノールアミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて付加したアルカノールアミンを用いることが好ましい。アルキレンオキサイドは、上記式(1)で示すように、炭素数2〜6のオキシアルキレン基から誘導され、炭素数2〜4のものがより好ましい。上記アルカノールアミンは、単独でも混合物でも用いることができる。
上記(A)成分に使用される脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルは不飽和基を有し、ヨウ素価が5〜150であるのが好ましい。また、上記の脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルの不飽和基のシス体の比率が50質量%以上であることが好ましい。
【0011】
上記エステル化反応生成物の特性を有するように、1種以上の不飽和脂肪酸と1種以上の飽和脂肪酸、または、1種以上の不飽和脂肪酸メチルエステルと1種以上の飽和脂肪酸メチルエステル(以下、場合によっては、これらを総称して単に「脂肪酸又は脂肪酸エステル」と言う)を原料として使用することができ、アルカノールアミンとのエステル化反応生成物、該エステル化反応生成物の中和物及び該エステル化反応生成物を更に4級化した4級化反応生成物から選ばれるエステル化反応生成物を1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
本発明の(A)成分に使用される脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルは、ヨウ素価が5〜150、好ましくは10〜100、より好ましくは30〜80である。このようなヨウ素価であると(B)成分の香料との相溶性が良く、液体柔軟剤組成物を製造の際(B)成分のフレッシュな香りを損なうことなく、分散が可能となる。さらに、脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルの不飽和基中のシス体の比率(シス体とトランス体とを含有する不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸メチルエステルにおけるシス体の質量比)は50質量%以上が好ましく、55%以上90%未満がより好ましく、60%以上80%未満がさらに好ましい。シス体比率がこの範囲内にある場合(B)成分の香料との親和性がさらに良好となり、(B)成分の分散安定化に好ましい。
【0012】
なお、本発明において、ヨウ素価は、財団法人日本油化学協会制定 基準油脂分析試験法(1990)2.4.5に準拠し、シス体比率は、油化学,40,109(1991)記載の13C−NMR法で測定した値を示す。
上記エステル化反応の原料脂肪酸又は原料脂肪酸メチルエステルとして使用される不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸メチルエステル、飽和脂肪酸メチルエステルは、上記特性を有するようになる限り、その種類が特に制限されるものではないが、脂肪酸、脂肪酸メチルエステルの炭素数が16〜24のものが好ましい。但し、炭素数10〜14のものが含まれていてもよい。この場合、炭素数16〜18のものの割合は、繊維や衣類に対する柔軟性付与の観点から80質量%以上であることが好ましい。
具体的には、本発明の場合、上記原料脂肪酸又は原料脂肪酸メチルエステルとしては、動植物油脂から誘導されるものがより好ましく、より具体的には、例えば牛脂、パーム油、パーム核油、大豆油、豚脂、ヒマワリ油、オリーブ油、サフラワー油などから誘導される脂肪酸又は脂肪酸メチルエステル等が挙げられる。また、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸、ラウリン酸メチルエステル、ミリスチン酸メチルエステル、パルミチン酸メチルエステル、ステアリン酸メチルエステル、パルミトオレイン酸メチルエステル、オレイン酸メチルエステル、エライジン酸メチルエステル等の炭素数10〜24の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のメチルエステルなどを1種単独で又は2種以上を適宜混合することにより、所望のシス体比率とヨウ素価を有する上記原料脂肪酸又は原料脂肪酸メチルエステルを調製することができる。また、上記化合物を水添や部分水添したものも用いることができる。なお、上記原料脂肪酸、原料脂肪酸メチルエステルにおけるシス体とトランス体との比率は、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステルの水素添加の反応条件や触媒存在下での熱処理などにより調整することもでき、より詳しくは、特開2001−181244号、同2001−181678号、特開2001−181672号公報の発明の詳細な説明に記載された方法を利用することができる。
【0013】
本発明の(A)成分を製造する際のエステル化反応は、通常知られている方法で行なうことができる。エステル化反応の際の上記アルカノールアミンと、上記原料脂肪酸又は原料脂肪酸メチルエステルとのモル比は、特に制限されるものではないが、最終組成物の柔軟性付与の観点からは、1.0〜2.5が良好であり、より高い柔軟性及び製造時の粘度増加を押さえ、製造性を向上させるためには、1.3〜2.0の範囲が好ましく、更に好ましく1.5〜1.9、最も好ましくは1.5〜1.8の範囲である。
また、反応温度は、170℃〜200℃の範囲で行ない、反応時間は6〜10時間とすると、好適である。反応温度が高すぎると反応生成物の香気が劣化し、組成物にした際の香気も劣化してしまう場合がある。この際、後述するブチル化ヒドロキシトルエンやヒドロキシエタンジホスホン酸などの酸化防止剤、キレート剤、還元剤の1種又は2種以上をエステル化反応前、反応中、反応後の少なくとも一工程に添加すれば、反応生成物や組成物の香気劣化を抑制することができる。また、エステル化反応を効率的に進めるための触媒としては、KOH、NaOH、MgO、シリカなどの固体触媒等を用いることが好ましい。
なお、本発明の(A)成分は、2種以上の脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルを原料として使用する場合、その平均ヨウ素価が5〜150であり、且つ不飽和基のシス体の比率が50質量%以上となるように混合した上記原料脂肪酸又は原料脂肪酸メチルエステルを使用して製造されることが好ましいが、これらを混合しないで、それぞれを原料脂肪酸又は原料脂肪酸メチルエステルとして製造した2種以上の反応生成物を各原料脂肪酸又は各原料脂肪酸メチルエステルの総和から算出される平均ヨウ素価及び不飽和基のシス体比率が上記範囲となるような割合で混ぜ合わせて製造されたエステル化反応生成物も本発明の(A)成分に含まれる。
【0014】
本発明の(A)成分としては、上記エステル化反応生成物の中和物を使用することもでき、具体的には、任意の無機又は有機の酸を使用し、中和物とすることができる。このような酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、ジアルキル硫酸、アルキル硫酸、ジアルキル炭酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸などのカルボン酸、アクリル酸系オリゴマーやポリマー、ヒドロキシエタンジホスホン酸、トリポリリン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等を用いることができ、これらの中でも、塩酸、硫酸、メチル硫酸が特に好ましい。
また、本発明の(A)成分としては、上記エステル化反応生成物を更に4級化した4級化反応生成物を使用することもでき、4級化反応は、通常知られている窒素原子にアルキル基を結合させる過アルキル化法により行うことができる。4級化剤としては、例えばジアルキル硫酸、ジアルキル炭酸、アルキルハライド等を用いることができる。より具体的には、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジメチル炭酸、塩化ベンジル、沃化メチル、塩化メチル、塩化エチル、臭化ブチル等が挙げられ、これらの中でも、ジメチル硫酸、塩化メチルがより好適である。また、エピクロロヒドリンなども使用することができる。
本発明において、上記4級化反応における上記エステル化反応生成物と上記4級化剤とのモル比、反応条件などは、特に制限されるものではなく、4級化剤の種類などによって適宜選定することができ、例えばジメチル硫酸で4級化する場合には、上記エステル化反応生成物のモル数に対して0.9〜0.99倍モル使用することが好ましく、その際の反応温度は80℃〜110℃が好適である。また、塩化メチルで4級化する場合には、上記エステル化反応生成物のモル数に対して1.0〜1.2倍モル使用することが好ましく、その際の反応温度は80℃〜110℃が好適である。なお、本発明におけるエステル化反応、4級化反応としては、特開2001−181244号、同2001−181678号、特開平6−228063号、特開2001−181672号、特開2001−181973号公報の発明の詳細な説明に記載された方法も利用することができる。
【0015】
上記(A)成分として上記エステル化反応生成物の中和物を使用する場合には、若干の非中和物が含まれる。中和の程度により、非中和物の含量は異なる。衣類への吸着性の観点からは、中和の程度は高いほうが好ましく、中和物として50%以上であることが好ましい。
上記(A)成分として上記4級化反応生成物を使用する場合には、4級化剤の量、反応温度、反応時間、反応溶媒の有無、種類などにより4級化物量が変化する。上記エステル化反応生成物を完全に4級化物することはほぼ不可能であり、エステル化反応生成物や4級化反応の反応工程において生じる中和物等が含まれる。4級化に際しては、原料アルカノールアミンがトリエタノールアミンの場合、エステル化反応生成物の4級化剤としては、ジメチル硫酸が好ましく、その4級化率を60%以上にすることができる。また、原料アルカノールアミンが、N−メチルジエタノールアミン、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N,−ジメチル−2,3−ジヒドロキシプロピルアミンである場合には、トリエタノールアミンの場合より4級化は容易である。そのエステル化反応生成物の4級化剤として塩化メチルを用いた場合には、その4級化率は80%以上にできる。
また、上記(A)には、アルカノールアミン、アルカノールアミンのメチル硫酸塩、塩酸塩などの中和物、アルカノールアミンの4級化物など、製造における原料由来の化合物がわずかに含まれる。このような(A)成分の原料由来の化合物は、通常、上記(A)成分生成時に0〜20%含まれる。本発明において、上記アルカノールアミン、その中和物、その4級化物の少なくとも1つを組成物中に0.1%以上含有することにより、柔軟処理の際に、水道水中の塩素に起因する衣類の退色を防止する効果が発現する。更に、上記(A)成分の長鎖基を有する反応生成物も上記退色防止効果を発現する。従って、上記化合物が上記(A)成分生成時に0.1%以上含まれるように製造すること、それらを含有する組成物、それらの効果を訴求した組成物も本発明に含まれる。
【0016】
また、上記(A)成分のカチオン性化合物(上記エステル化反応生成物、その中和物、その4級化物の総称)の長鎖基(炭素数10〜24、但し、ポリオキシアルキレン鎖部分を除く)の数は、原料物質であるアルカノールアミンと上記脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルとのモル比によって決まる。高い柔軟付与性能を得るためには、1分子中に含まれる長鎖基の数が2個又は3個以上のものの割合を多くすることが好ましく、カチオン性化合物に占めるそれらの割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上である。但し、防腐力・殺菌力・抗菌力の観点からは1分子中に含まれる長鎖基の数が1個のものの割合を多くすることが好ましい。カチオン性化合物の長鎖基の数を制御することにより、上記効果を強化した組成物、訴求した組成物を製造することができる。通常、カチオン性化合物の長鎖基の数は、1〜2個の混合物又は1〜3個の混合物として用いる。
【0017】
また、近年、環境問題からクローズアップされている生分解性に関しては、本発明の上記(A)成分は、従来から使用されている柔軟基材である後述のジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、硬化牛脂ジメチルアンモニウムクロライド、部分硬化パームオレイルジメチルアンモニウムクロライドなどのジ長鎖ジメチルアンモニウム化合物、モノ長鎖トリメチルアンモニウム化合物などに比べて優れている。
本発明の液体柔軟剤組成物における上記(A)成分の配合量は、香料を比較的多量に配合し安定に分散配合させた組成物を得る観点から、本発明の液体柔軟剤組成物中に1〜40質量%配合するのが好適であり、より好ましくは3〜25質量%、更に好ましくは8〜20質量%である。なお、異なる原料から製造した反応生成物を併用しても効果に悪影響は与えず、反応生成物の2種以上を混合したものを用いることもできる。
【0018】
本発明において使用できる(B)成分は、B−1(アルデヒド類からなる香料成分)、B−2(酢酸及びギ酸エステル類からなる香料成分)及びB−3(炭素数6以下のアルコールとのエステル類であって、B−2以外の香料成分)のそれぞれから選ばれる各々1種以上香料成分からなる複数の香料成分である。(B)成分を構成する全ての香料成分の合計量が液体柔軟剤組成物の全質量に対して0.2質量%(2000ppm)以上、好ましくは0.25質量%(2500ppm)以上、より好ましくは0.3質量%(3000ppm)含有する香料組成物であることが好ましい。この範囲内にあると、(A)成分であるカチオン性化合物との相溶性が高く、組成物中での香料の分散性を高め、組成物の安定化を図ることができる。香料成分は複数種含まれるのが好ましい。又、この範囲内にあると、組成物全体に対する香りのバランスや強度に優れ、香料そのもののフレッシュ感の変質が少ない製品を得ることができる。含有量の上限値としては、100,000ppmであるのが好ましく、より好ましくは20,000ppmである。
本発明においては、B-1〜B-3の香料成分に、これ以外の非水溶性香料を併用することができる。この際、B-1〜B-3の割合を15質量%以上にするのが好ましく、より好ましくは20質量%以上である。上限は50質量%にするのが好ましく、より好ましくは40質量%である。尚、以外の非水溶性香料としては、後述の(D)成分に記載の香料のうち、B-1〜B-3以外の非水溶性香料があげられる。
【0019】
B−1群(アルデヒド類)
3-(p-Isopropylphenyl)propionaldehyde
3-Furaldehyde
4-Methylphenylacetaldehyde
Anis aldehyde
cis-3-Hexenyl oxyacetaldehyde
Cuminaldehyde/ethyl anthranilate Schiff base
Cyclamen aldehyde
Heptyl aldehyde
Hexyl aldehyde
Methyl anthranilate/anisic aldehyde Schiff base
Nonyl aldehyde
Octyl aldehyde
Phenoxyacetaldehyde
Phenylacetaldehyde
p-Isopropylphenylacetaldehyde
Tiglic aldehyde
Valeraldehyde
α-hexyl cinnamic aldehyde
【0020】
B−2群(酢酸及びギ酸エステル類)
Acetonyl acetate
Benzyl acetate
Butyl acetate
Butyl formate
Cinnamyl formate
Ethyl acetate
Ethyl formate
Furfuryl acetate
Isoamyl acetate
Isoamyl formate
Isobutyl acetate
Isobutyl formate
Isopropyl acetate
Isopropyl formate
Linalyl acetate
Linalyl formate
Myrcenyl acetate
Nerolidyl acetate
Neryl formate
Nopyl acetate
n-Pentyl acetate
n-Pentyl formate
Prenyl acetate
Prenyl formate
Propyl formate
sec-Butyl acetate
tert-Butyl acetate
trans-2-Nonenyl acetate
trans-3-Hexenyl acetate
【0021】
B−3群(炭素数6以下のアルコールとのエステル類であって、B−2以外のもの)
2-Methylbutyraldehyde
Allyl 2-ethylbutyrate
Allyl anthranilate
Allyl caproate
Allyl crotonate
Allyl cyclohexanehexanoate
Allyl cyclohexanepropionate
Allyl cyclohexanevalerate
Allyl cyclohexyloxyacetate
Allyl isovalerate
Allyl phenoxyacetate
Allyl sorbate
Butyl 10-undecenoate
Butyl acetoacetate
Butyl anthranilate
Butyl butyrate
Butyl cinnamate
Butyl crotonate
Butyl isobutyrate
Butyl isovalerate
Butyl lactate
Butyl nicotinate
Butyl propionate
Butyl tiglate
Butyl valerate
Ethyl 3-hydroxybutyrate
Ethyl acetoacetate
Ethyl acrylate
Ethyl anthranilate
Ethyl butyrate
Ethyl cis-4,7-octadienoate
Ethyl isobutyrate
Ethyl methylphenylglycidate
Ethyl propionate
Ethyl tiglate
【0022】
Ethyl trans-2-butenoate
Ethyl valerate
Furfuryl propionate
Heptyl butyrate
Hexyl 2-methylbutyrate
Isoamyl acetoacetate
Isoamyl benzoate
Isoamyl butyrate
Isoamyl cinnamate
Isoamyl decanoate
Isoamyl hexanoate
Isoamyl isobutyrate
Isoamyl isovalerate
Isoamyl octanoate
Isoamyl propionate
Isoamyl pyruvate
Isobutyl 2-butenoate
Isobutyl acetoacetate
Isobutyl angelate
Isobutyl butyrate
Isobutyl isobutyrate
Isobutyl isovalerate
Isobutyl n-valerate
Isobutyl propionate
Isobutyl sorbate
Isopropyl butyrate
Isopropyl caprate
Isopropyl cinnamate
Isopropyl hexanoate
Isopropyl isobutyrate
Isopropyl isovalerate
Isopropyl propionate
Isopropyl sorbate
Isopropyl tiglate
Linalyl hexanoate
【0023】
Methyl 2-methylbutyrate
Methyl anthranilate
Methyl anthranilate/cinnamic aldehyde Schiff base
Methyl anthranilate/cyclamen aldehyde Schiff base
Methyl anthranilate/hydroxycitronellal Schiff base
Methyl anthranilate/lilial Schiff base
Methyl butyrate
Methyl isovalerate
Methyl valerate
n-Pentyl acetoacetate
n-Pentyl butyrate
n-Pentyl hexanoate
n-Pentyl isobutyrate
n-Pentyl propanoate
Propyl 2-methylbutyrate
Propyl anthranilate
Propyl butyrate
Propyl isobutyrate
Propyl isovalerate
Propyl propionate
Propyl valerate
sec.Butyl n-butyrate
【0024】
また、本発明で用いる香料成分は、アルキル変性シリコーンと反応性があるものや、水溶性が高すぎるものは不適当である。さらに香料のClogP値が4.0以上7.0以下である香料成分が好ましい。
[ClogP]
ここで、ClogP値とは、化学物質について、1−オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1−オクタノール/水分配係数Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値である。前記ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数(f値)を積算して求めることができる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
一般に、香料はClogP値が大きいほど疎水的であることから、ClogP値が小さい香料成分を多く含んで構成された香料は、ClogP値が大きい香料成分を多く含んで構成された香料よりも親水的な香料であるといえる。すなわち、トップノートからベースノートまでの香りのバランスが良く、かつ香りの持続性と嗜好性の両方を満たすためには、ClogP値が適当な上記範囲に入る香料成分を一定量以上香料組成物中に含有するのが好ましい。
【0025】
B-1群:特定アルデヒド類は香料組成物中においてはフローラル調の骨格をなすことも多く、フレッシュで繊細な香調表現のために欠かせない。酸性下で熱によるストレスによって分解してしまう場合がある。
B-2群:ギ酸、酢酸エステル類は、香料組成物中ではフルーティ、シトラスなどフレッシュな香気を発するものが多くフレッシュ感を表現するために有効である。酸性条件下で分解してしまう場合がある。
B-3群:C6以下のアルコールとのエステル類は、香料組成物のトップノートの骨格を成す物質が多く、フレッシュな香料組成物に有効な成分である。酸性、熱に弱く分解して揮散してしまうことがある。
(B−1)、(B−2)、(B−3)成分の配合量比は(B−1)/(B−2)、(B−2)/(B−3)、(B−3)/(B−1)いずれの比も0.2〜5の範囲になっていることが好ましく、0.4〜2.5が特に好ましい。このように3成分を同量程度にバランスよく配合することによってフレッシュ感が際立ち、フレッシュ感を感覚的に持続させる事ができる。
【0026】
本発明組成物は、(A)成分及び(B)成分を必須成分とし、残部が水である水性組成物であるが、さらに、必要に応じて、種々の任意成分を含有させることができる。このうち、(C)成分としてノニオン界面活性剤及び/又は(D)成分としてカプセル香料を含有させるのが好ましい。尚、使用水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができるが、水中に微量に存在する鉄などの重金属を除去した水が好ましく、コストも考慮してイオン交換水が最も好ましい。
(C)成分:ノニオン界面活性剤
ノニオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、オキシアルキレン基が平均2〜100モル付加されたものがより好ましい。特に、下記一般式で表されるノニオン性界面活性剤が好ましい。
11−T−[(R21O)p−H]q
(式中、R11は、炭素数10〜18、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R21は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。pは平均付加モル数であり、2〜100、好ましくは5〜70の数を示す。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C24OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C24OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C24OH)−、−CONH−、又は−CON(C24OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0027】
上記一般式で表されるノニオン性界面活性剤の具体例として、下記一般式で表される化合物を挙げることができる。
11−O−(C24O)r−H
(式中、R11は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり、2〜100、好ましくは5〜70の数である。)
11−O−(C24O)s(C6O)t−H
(式中、R11は前記と同じ意味であり、s及びtは平均付加モル数であり、sは2〜100、好ましくは5〜70の数であり、tは1〜20、好ましくは1〜10の数である。(C24O)と(C6O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。)
ノニオン性界面活性剤を含有することにより、液体柔軟剤組成物の保存安定性が一層向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量に対して、0.1〜15質量%とするのがよく、特に0.3〜10質量%、更に0.5〜5質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、特定香料成分の分散安定性を充分なものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに柔軟処理時の余分な泡立ちを抑制する点からも、好ましいものとすることができる。
【0028】
[(D)成分:マイクロカプセル]
(D)成分を配合すると、カプセル中から徐放される香料の影響で(B)成分のフレッシュ感をさらに持続させる事が可能となる。
[(D−1):芯物質]
(D−1)成分の香料組成物は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、繊維用仕上げ剤や毛髪化粧料に一般的に使用される香料成分を1種類以上含む香料などが挙げられるが、壁物質と反応性があるものや、水溶性が高すぎるものは使用できない。
カプセル化する際に同時に配合される香料用溶剤を含む場合が多いが、香りのフレッシュ感と嗜好性の点から、常圧での沸点が260℃未満、および、ClogP値が1.0以上6.0以下である香料成分を含有する香料組成物である。
また、よりフレッシュな香りにする観点から、常圧での沸点が260℃未満、および、ClogP値が1.0以上6.0以下である香料成分は、香料組成物から溶剤を除いた量に対して30質量%(以後単に%と表記)以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは80%以上、含有することが望ましい。
また、さらにフレッシュな香りにするために、260℃未満であって、ClogP値が1.0以上6.0以下である香料成分が、シトロネロール、リモネン、ゲラニオール、メントール、シトロネラール、シトラール、ピネンからなる群から選ばれる少なくとも1種の香料成分を含有することが好ましく、これらの特定香料成分を、香料組成物から溶剤を除いた量に対して10質量%以上、特に好ましくは30%以上含有することが好ましい。
【0029】
本発明で用いる香料組成物としてはα−ピネン、カンフェン、β−ピネン、ミルセン、リモネン、γ−テルピネン、ライムオキサイド、オクタナール、ノナナール、デセナール、ドデカナール、シトロネラール、シトラール、1,8−シネオール、ネリルアセテート、ゲラニルアセテート、β−カリオフィレン、1,4−シネオール、β−ビサボレン、リナロール、トリプラール、ジハイドロミルセノール、アリルヘプタノエート、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、シトロネロール、アリルシクロヘキサンプロピオネート、β−ダマスコン、フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、l−メントール、リラール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、メチルジヒドロジャスモネート、ヘキシルサリシレート、アンブロキサン、ガンマデカラクトン、ガラクソライド ベンジルベンゾエート50%溶液、トナリッド、2−メチル酪酸エチル、マンザネート、パラメチルアニソール、酢酸 p−t−ブチルシクロヘキシル、フルイテート、シクラメンアルデヒド、ローズフェノン、ヘリオトロピン、ベルトフィックス、ガンマウンデカラクトン、ヘリオナール、クマリン、エチルバニリン、ラズベリーケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するものが好ましい。
より好ましくは、以下の(1)から(3)からなる群から選ばれる香料組成物である
(1)α−ピネン、カンフェン、β−ピネン、ミルセン、リモネン、γ−テルピネン、ライムオキサイド、オクタナール、ノナナール、デセナール、ドデカナール、シトロネラール、シトラール、1,8−シネオール、ネリルアセテート、ゲラニルアセテート、β−カリオフィレン、1,4−シネオール、β−ビサボレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する香料組成物
(2)リナロール、トリプラール、ジハイドロミルセノール、アリルヘプタノエート、リモネン、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニルアセテート、オクタナール、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、ゲラニルアセテート、シトロネロール、シトラール、アリルシクロヘキサンプロピオネート、β−ダマスコン、フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、l−メントール、リラール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、メチルジヒドロジャスモネート、ヘキシルサリシレート、アンブロキサン、ガンマデカラクトン、ガラクソライド ベンジルベンゾエート50%溶液、トナリッドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する香料組成物
【0030】
(3)2−メチル酪酸エチル、マンザネート、パラメチルアニソール、アリルヘプタノエート、ジハイドロミルセノール、シトロネラール、酢酸 p−t−ブチルシクロヘキシル、シトロネロール、フルイテート、β−ダマスコン、フェニルエチルアルコール、シクラメンアルデヒド、ゲラニオール、アンブロキサン、ローズフェノン、ヘキシルサリシレート、ヘリオトロピン、ベルトフィックス、ガンマウンデカラクトン、ガラクソライド、ベンジルベンゾエート50%溶液、ヘキシルシンナミックアルデヒド、トナリッド、ヘリオナール、クマリン、エチルバニリン、ラズベリーケトンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する香料組成物
[沸点]
一方、香料成分の沸点は、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「香料と調香の基礎知識」、産業図書(1995)に記載されており、本明細書ではそれらの文献から引用する。
芯物質には香料とともに通常用いる溶剤を配合してもよいが、微量混入する場合を除いて水溶性溶剤を配合することは避けなければならない。
香料用溶剤としては、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。これら溶剤の使用量は、香料組成物中に0.1〜50質量%配合されるが、好ましくは、1〜30質量%配合される。
【0031】
[(D-2):壁物質]
本発明に用いられる(D−2)壁物質は、水不溶性の高分子物質であり、前記芯物質を安定にマイクロカプセル化することができる。本発明において、「水不溶性」とは、25℃の水100gへの溶解度が1g未満である場合をいう。本発明で用いる高分子物質は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜500,000である。これにより、乾燥時の芯物質の揮発を抑え、効果を持続させることが可能となる。
水不溶性の高分子物質の具体例としては、ウレタン系、メラミン系、ポリビニル系、ポリアクリル酸系、ポリメタクリル酸系等の合成高分子物質や、油脂、ワックス等の油性膜形成物質などを挙げることができる。これらの1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。それらの内から、本発明の目的に合致した最適な壁物質は、製造性、適度なカプセル壁の強度、コスト等を考慮して選択される。
ウレタン系高分子は、多官能性イソシアネート化合物とポリオールもしくはポリアミン化合物との縮合反応により得られる。多官能性イソシアネート化合物としては、ポリフェニルイソシアネート、トルエンジイソシアネート等があげられる。ポリオール化合物としては、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。ポリアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン等があげられる。ポリフェニルイソシアネートとヘキサメチレンジアミン、トルエンジイソシアネートとジエチレングリコールの組合せが好適に用いることができる。
メラミン系高分子は、メラミンとホルムアルデヒドから誘導されるメチロールメラミンからなるプレポリマーを加熱硬化して得られる。
ポリアクリル酸系高分子を構成するモノマーとしては、アクリル酸、もしくはその低級アルキルエステル等があげられる。
ポリビニル系高分子を構成するモノマーとしては、エチレン、無水マレイン酸、スチレン、ジビニルベンゼン等があげられる。
ポリメタクリル酸系高分子を構成するモノマーとしては、メタアクリル酸、もしくはその低級アルキルエステル等があげられる。
油脂としては、硬化油、固形脂肪酸および金属塩等があげられる。
ワックスとしては、密ロウ、木ロウ、パラフィン等があげられる。
【0032】
本発明で用いられる壁物質としては、ポリウレタン系高分子物質及びメラミン樹脂が好ましく、ポリフェニルイソシアネートとヘキサメチレンジアミンとから誘導されるポリウレタン系高分子物質及びメラミン樹脂がより好ましい。
本発明のマイクロカプセルの粒径は、特に制限されるものではなく、例えば単芯型構造のマイクロカプセルの場合、平均粒径が0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmとすることが望ましい。平均粒径が小さすぎると乾燥直後の香りが低下する場合があり、大きすぎると布に均一に付着しない。
本発明のマイクロカプセルの製造方法は、本発明の効果を妨げない限り公知の方法を用いることができ、具体的には界面重合法、in−situ重合法などが挙げられる。
壁物質としてウレタン系高分子を使用する場合、界面重合法が好ましい。具体的には、一方の容器に適宜濃度の乳化剤水溶液を調製しておき、別の容器に(D-1-1)香料組成物とポリイソシアネート化合物を投入する。次いで、前記2種類の溶液を高速撹拌機に充填した後、高速撹拌してO/Wエマルジョンを調製し、次いで適宜濃度のポリアミン水溶液を入れて、常温で所定時間撹拌、反応させてカプセル壁を硬化し、マイクロカプセルを調製することができる。
【0033】
壁物質としてメラミン系高分子を使用する場合、in−situ重合法が好ましい。壁物質を芯物質の外側から形成させる方法が好適である。例えば、撹拌機を備えた容器にて必要に応じて乳化剤を溶解した適宜濃度の水溶液に、(D-1-1)香料組成物を分散濃度が10〜40質量%になるように60〜80℃で分散させた後、撹拌によって芯物質が所定の粒径となるようにコントロールする。これとは別に、例えばメラミンとホルムアルデヒドとを質量比が3/1〜6/1となるように混合した後、60〜80℃で5〜20分間縮重合させて水溶性のプレポリマーを調製し、このプレポリマーを上記芯物質の分散液に投入する。次いで、クエン酸、硫酸、塩酸等の酸によりpHを2〜5に調製した後、60〜80℃で3〜6時間重合させることによってマイクロカプセルを調製することができる。
壁物質としてポリアクリル酸系高分子又はポリメタクリル酸系高分子を使用する場合、in−situ重合法が好ましい。壁物質を芯物質側から形成させる方法が好適である。例えば、予めアクリル酸エチル、メタクリル酸エチル等のモノマーを芯物質に対して5〜30%、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を上記モノマーに対して0.1〜5%となるように溶解させた芯物質に溶解させておき、これを撹拌機及び窒素導入管を備えた容器にて上記芯物質の分散濃度が10〜40質量%になるように必要に応じて上述した乳化剤を溶解した適宜濃度の水溶液に20〜70℃で分散させた後、撹拌によって芯物質が所定の粒径となるようにコントロールする。この分散液を60〜80℃まで昇温した後、窒素を導入しながら3〜6時間重合させることによってマイクロカプセルを調製することができる。
前記壁物質の膜形成を容易にするために、前記壁物質以外に、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて乳化剤、分散剤等を通常の使用量で配合することができる。このような乳化剤又は分散剤としては、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、エチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩等のアニオン系乳化剤又は分散剤、ポリビニルアルコール等の非イオン系乳化剤又は分散剤等があげられる。
本発明の組成物中における(D)成分のマイクロカプセル香料の配合量は、好ましくは0.01〜10質量%である。より好ましくは0.03〜8質量%である。さらに好ましくは0.05〜5質量%である。
【0034】
本発明組成物はさらに、通常液体柔軟剤組成物に含まれるその他の成分を含有することができる。具体的には、水溶性溶剤、無機又は有機の水溶性塩類、香料、酸化防止剤、抗菌剤、染料、消泡剤、消臭剤、スキンケア成分などを含有することができる。
[任意成分:水溶性溶剤]
水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式で表わされる化合物から選ばれる水溶性溶剤が好ましい。
31−O−(C24O)y−(C36O)z−H
(式中、R31は、炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜50、好ましくは2〜30、zは0〜50、好ましくは0〜20の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C49(C36O)(C24O)2H]等が挙げられる。
これらの成分の配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜30質量%とするのがよく、好ましくは2〜20質量%とすることができる。
[任意成分:香料組成物]
香料として、上記以外の香料を併用することもできる。
【0035】
[任意成分:シリコーン化合物]
本発明で用いるシリコーン化合物としては、変性、未変性いずれのシリコーンも用いることができるが、未変性ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミド・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、から選ばれるシリコーンが好ましく、ポリエーテル変性シリコーン及びジメチルシリコーンがより好ましい。特に好ましくはポリエーテル変性シリコーンである。
変性シリコーンの場合、シロキサン骨格に対する各種変性基の変性部位は、側鎖の部分でも、主鎖を部分的に分断しているものなどいずれでも良いが、側鎖に変性基を有するものがより好ましい。また、いずれの場合も主鎖の最末端はメチル基、ヒドロキシル基、水素原子であることが好ましい。
中でも下記一般式(I)で示されるポリエーテル変性シリコーンが最も好ましい。
【化2】

式(I)中、−Zは、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hであり、Rは同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基である。−Zとしては、−R、−OHが好ましく、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
【0036】
Xはポリオキシアルキレン基である。具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン基等があげられ、これらのうちの1種が付加したものであってもよく、あるいはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位などの異なった種類のオキシアルキレン基がブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、いずれの場合であっても、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜35質量%である。
−Yは、−R1−O−X−R2または−O−X−R2であり、R1は、炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、これらの中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの飽和炭化水素基(アルキレン基)が好ましく、中でもプロピレン基が特に好ましい。R2は、水素原子又は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、これらの中でも水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましい。特に好ましいR2は、水素原子又はメチル基である。
L、M、Nはいずれも各繰返し単位の数の平均値を表す。Lは0〜50、好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜3であり、Mは1〜1000、好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜50であり、Nは10〜10000、好ましくは20〜3000、更に好ましくは20〜500である。上記一般式(I)で表される変性シリコーンは、各繰返し単位がブロック状に配列しているブロックコポリマーの構造を有するものであってもよく、あるいは、各繰返し単位がランダムに配列しているランダムコポリマーの構造を有するものであってもよい。
【0037】
上記一般式(I)で表される変性シリコーンの製造方法は、特に限定されるものではない。ポリオキシアルキレン基を有するシリコーンは、Si−H基を有するシリコーンとポリオキシアルキレンまたは炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンとの付加反応により製造することができる。製造の際、ポリオキシアルキレンまたは炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレン、環状シリコーンなどの未反応原料、エタノール、イソプロピルアルコールなどの製造時に用いる溶剤、白金系などの触媒が微量残存するが、本発明の効果に影響を与えない。
本発明の任意成分として使用する変性シリコーン化合物は、その分子量が特に制限されるものではないが、重量平均分子量は500〜1,000,000が好ましく、より好ましくは1,000〜100,000の範囲である。本発明組成物を製造する際のハンドリング性が良好であるので好ましい。
なお、本発明において重量平均分子量は、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフ:島津製作所製)もしくはMALLS法(多角度光散乱検出器:Wyatt社)により測定することができる。
【0038】
本発明で用いることができるポリエーテル変性シリコーンとして商業的に入手可能な具体例としては、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
本発明の組成物における上記成分の配合量は、特に制限されるものではなく、通常、組成物全量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%配合することができる。
【0039】
[任意成分:酸化防止剤]
本発明では、組成物の香気安定性や色調安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、液体柔軟剤組成物の保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、0.01〜1質量%の範囲で使用されることが好ましい。
[任意成分:防腐剤]
防腐剤は、主に長期保存中の防腐性を保つために使用し、具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができ、防腐剤の配合量は、組成物全体に対して、0.0001〜1質量%である。
【0040】
[任意成分:染料]
染料の添加は任意であり、添加するとしても特に限定されない。染料を添加する場合は、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノート第22版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されている。染料の配合量は、組成物の全質量を基準として、好ましくは0.01〜50ppm、より好ましくは0.1〜30ppmとすることができる。このような配合量とすることにより、液体柔軟剤組成物に着色された色が非常に薄くなるのを防止でき、着色効果を充分なものとすることができる一方で、液体柔軟剤組成物に着色された色が濃くなりすぎるのを防止できる。
[任意成分:消泡剤、その他添加成分]
その他の添加剤として、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線吸収剤、後述するpH調整剤等が挙げられる。
【0041】
[物性:pH、粘度]
<pH>
本発明の仕上げ剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の分子中に含まれるエステル基の加水分解を抑制する目的で、pHを1〜6の範囲に調整することが好ましく、2〜4の範囲であることがより好ましい。pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
<粘度>
本発明の柔軟剤組成物の粘度は1000mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)未満であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、配合直後の粘度は800mPa・s未満であるのがより好ましく、500mPa・s未満であるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の使用性が良好であるので好ましい。本発明の液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。これらの水溶性塩類は液体仕上げ剤組成物中に0〜1%程度配合でき、液体柔軟剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
【0042】
[繊維製品への使用方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行ったり、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法があるが、その場合は適度な濃度に希釈して使用される。その場合、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。具体的には、柔軟処理を行う際は、全使用水量に対し、(A)成分の濃度が5ppm〜1000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは10ppm〜300ppmとなるような量で使用される。
【0043】
本発明の液体柔軟剤組成物であって、下記工程(1)〜(4)を含む製造方法により調製することができる。
<工程(1)>
工程(1)は、A成分を40℃以上の温度に加熱し、油相を調製する工程である。油相の調製は、(A)成分を溶融した状態で、他の油相成分と混合できればよく、例えば、ジャケット付きニーダーや、インラインミキサー等を用いることができる。
【0044】
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた油相を40℃以上の温度で水に分散し乳化物を得る工程である。本工程において、分散媒となる水には、必要に応じて防腐剤、抗菌剤、pH調整剤等を予め分散しておくことができる。また、油相に加え、別途用意した油剤を添加してもよい。
本工程は、例えば、混合装置として一般的な高剪断型の混合装置であるホモミキサーを用い、任意の温度とした水に油相を投入し、工程(1)で配合した陽イオン性界面活性剤の融点以上の温度に維持しながら混合することにより乳化物を得る方法が挙げられる。
また、混合装置としてパドル翼、プロペラ羽根等を備えた低剪断型の混合装置を用い、水を工程(1)で配合した温度以上に維持しながら撹拌し、油相を滴下し混合することにより乳化物を得る方法が挙げられる。
又、例えば、ホモミキサー、ウルトラミキサー、フィルミックス、クレアミックス等のバッチ式混合装置、マイルダー、ラインミキサー等の連続式混合装置等の高剪断型の混合装置、プロペラ羽根、パドル翼、アンカー翼、ディスクタービン翼、傾斜タービン翼、ファンタービン翼等を備えたバッチ式の低剪断型の混合装置を用いることができる。
【0045】
本工程における混合装置の運転条件は、特に限定されないが、例えば、乳化物中の油相の粒子の粒子径が、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは250nm以下となるように剪断速度等を調節する。なお、粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920、株式会社堀場製作所製)を用い、25℃、相対屈折率1.08にて、体積基準のメディアン径(d50)により測定される値である。
本工程において、油相と水との混合比は特に限定されないが、油相/水(質量比)が、好ましくは0.01〜0.50、より好ましくは0.05〜0.40とされる。このような条件を採用すると、得られる水中油型乳化物に所望する機能を付与でき、得られる水中油型乳化物の貯蔵安定性が向上する。
なお、工程(2)においては、配合する水の一部を第一水相、残部を第二水相に分割し、任意の温度とした第一水相に、工程(1)で調製した油相を投入し、乳化した後に第二水相を投入することができる。香料以外の油剤を多量に配合する場合には、水を一括で添加するよりも、水を分割して添加する方が、粒子状態の良好な水中油型乳化物が得られる。水の分割割合は特に限定されないが、例えば、第一水相の量は、好ましくは第一水相/油相(質量比)=0.5〜1.5、より好ましくは第一水相/油相(質量比)=0.7〜1.2とされる。このような条件を採用すると、得られる乳化物の流動性が適度なものとなり、油剤の乳化状態がより良好となる。
本工程における温度条件は、40℃以上であれば特に限定されないが、好ましくは油相構成成分の融点より10℃以上高い温度とされる。また、本工程における温度条件の上限は、油相に含まれる陽イオン性界面活性剤の種類や非イオン性界面活性剤の種類等を勘案して決定でき、例えば、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下とされる。100℃超とすると、配合成分の熱分解により、水中油型乳化物の粘度が上昇したり、香気の劣化を生じるおそれがある。
【0046】
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で得られた乳化物を40℃未満の温度に冷却する工程である。本工程で冷却された乳化物の温度は、40℃未満であれば特に限定されないが、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下である。また、本工程で冷却された乳化物の温度の下限は、特に限定されないが、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上とされる。
乳化物の冷却は、乳化物を40℃未満に冷却できるものであれば特に限定されず、例えば、工程(2)で用いた混合装置を水冷又は空冷する方法が挙げられる。
【0047】
<工程(4)>
工程(4)は、工程(3)で冷却した乳化物と非水溶性香料とを特定の剪断速度及び循環回数で混合し、乳化物に(B)成分の非水溶性香料を分散・乳化し、水中油型乳化物を得る工程である。
本工程における混合装置は、工程(2)における混合装置と同様である。
本工程に用いる混合装置の例について、以下に図面を用いて説明する。図1は、混合装置の一例を示すバッチ式混合装置1の模式図である。バッチ式混合装置1は、撹拌槽10と、撹拌槽10の内面12を掻き取る略U字状のスクレーパー翼31に攪拌槽10の中心方向に突出する突出翼32が設けられた壁面掻取翼30と、攪拌槽10の略中心に上下方向に延びる攪拌軸22と、該攪拌軸22から内面12に向かって突設された攪拌翼20とで概略構成されている。
このバッチ式混合装置1においては、攪拌槽10内に混合の対象とする原料を供給し、撹拌翼20及び壁面掻取翼30を回転させることで、供給された原料は、内面12と攪拌翼20との間で生じる剪断力を受けながら混合される。
このようなバッチ式混合装置としては、アジホモミキサー(株式会社エヌ・ピー・ラボ製)、ロボミクスホモミキサー(プライミクス株式会社製)、クレアミックス(エム・テクニック株式会社製)等が挙げられる。
【0048】
また、本工程には、図2に示すような連続式混合装置100を用いることができる。連続式混合装置100は、略円筒状のハウジング110と、攪拌翼122を供えるローター120と、ローター120をその回転軸回りに離間して覆うステーター130とで概略構成されている。
この連続式混合装置100においては、ローター120を回転させながら吸入口112からハウジング110内に乳化物と非水溶性香料とを混合した流体を供給することで、供給された流体は攪拌翼122とステーター130の内面132との間で生じる剪断力を受けながら混合され、水中油型乳化物となる。そして、水中油型乳化物は、排出口114から装置外へ排出される。
このような連続式混合装置としては、マイルダー(太平洋機工株式会社製)、ラインホモミキサー(プライミクス株式会社製)等が挙げられる。
本工程における剪断速度は、1,000sec-1以上であり、好ましくは5,000sec-1以上、より好ましくは25,000sec-1以上である。この範囲の剪断速度を採用すると、非水溶性香料の分散が良好で、得られる水中油型乳化物の貯蔵安定性と香気品質が優れたものとなる。また、剪断速度が速いほど、非水溶性香料の粒径は小さくかつ均一になるが、剪断速度の上限は、例えば、1,000,000sec-1以下とされる。剪断速度を1,000,000sec-1超としても、非水溶性香料の分散性向上の効果が飽和すると共に、剪断速度を1,000,000sec-1超とするためには混合装置の高度な調整が必要とされ、作業が煩雑である。
【0049】
剪断速度とは、混合装置の攪拌翼の先端速度をv(m/s)、該先端と混合装置の内面とのクリアランスをD(m)とした場合にv/D(sec-1)で算出される値である。
例えば、図1に示すバッチ式混合装置1における剪断速度は、攪拌翼20の先端24の先端速度と、先端24と攪拌槽10の内面12とのクリアランス(図1中のD1)とから算出できる。
また、図2に示す連続式混合装置100における剪断速度は、攪拌翼120の先端124の速度と、先端124とステーター130の内面132とのクリアランス(図2中のD2)とから算出できる。
なお、当該剪断速度は、混合装置の攪拌翼の回転速度又は攪拌翼と内面とのクリアランスの調節により調整することができる。
本工程における循環回数は、2以上であり、好ましくは4以上である。このような循環回数であると、水中油型乳化物中の非水溶性香料の分散が良好となり優れた貯蔵安定性が得られる。また、循環回数が多いほど非水溶性香料の粒径を小さくかつ均一にできるが、循環回数の上限は、例えば、1,000,000以下とされる。循環回数を1,000,000超としても、非水溶性香料の分散性向上の効果が飽和すると共に、攪拌装置に過度の負荷を与えることとなる
【0050】
循環回数とは、工程(4)において、内容物が撹拌羽根により受ける剪断回数を示すものである。循環回数は、乳化物と非水溶性香料とをバッチ式混合装置で混合する場合、下記(i)で規定されるものである。
(i)工程(4)をバッチ式混合装置で行う場合、下記(1)式により求められる値。
循環回数=Nqd×r×d×θ÷V・・・(1)
[式(1)中、Nqd:吐出流量係数、r:攪拌翼の回転数(rpm)、d:攪拌翼の直径(m)、θ:攪拌時間(min)、V:内容液の体積(m)]
上記(1)において吐出流量係数Nqdは、攪拌翼の形式により定まる定数であり、吐出流量Qdに基づいて、下記(ア)式により算出することができる。
Nqd=Qd/NR ・・・(ア)
[式(ア)中、Qd:吐出流量(m/min)、N:攪拌翼の回転数(rpm)、R:攪拌翼の内径(m)]
Qdは、「粒子が翼端から吐出され、翼からの吐出流の流れに運ばれて再び翼端に吸い込まれる」あるいは「翼からの吐出流から、翼からの吐出流によって誘起される流れに移り、翼に戻らずに循環を繰り返した後、翼からの吐出流の流れに戻り翼に吸い込まれる流れ」であると定義できる。
ここで、吐出流量係数Nqdは、撹拌翼の形式により定まるが、その係数の測定方法については、剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼に適した測定方法と、剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼に適した測定方法がある(参考文献:i 佐藤忠正 化学工学29,153(1965)、ii 特殊機化工業株式会社 乳化分散の理論と実際 実用編 13(1997))。剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼とは、プロペラ翼、パドル翼、タービン翼、ディスプロ翼、ディスパー翼等が挙げられる。剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼とは、T.K.パイプラインホモミキサーM型、T.K.ホモミキサーMARKII型、ウルトラタラックス、シャーフロー、シルバーソンミクサー等が挙げられる。
【0051】
剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼の吐出流量係数Nqd’は、実験的には、図3に示す測定装置200を用いて測定することができる。
図3に示すように測定装置200は、攪拌槽202と、攪拌槽202内に設けられた回転翼230と、鏡240とを備えるものである。鏡240は、攪拌槽202の下方に、攪拌槽202の底面214に対し角度αの傾斜で設けられたものである。攪拌槽202は、略円筒形の水槽210と、水槽210の内周面に、開口部212から底面214に掛けて等間隔で設けられた2枚の邪魔板220とを備え、水槽210は、ガラス又は透明樹脂等、少なくとも水槽210内部を鏡240で視認できる材質のものである。攪拌翼230は、攪拌軸232と接続され、攪拌軸232は、図示されない動力と接続されている。
測定装置200は、各構成部材が下記の条件を満たすものである。
d/R=0.25〜0.5、C/R=0.1〜0.8、W/R=0.1、θ=45°
(dは攪拌翼の直径(m)、Cは攪拌翼の取付高さ(m)、Wは邪魔板の幅(m)、Rは攪拌槽の内径(m)、αは攪拌槽の底面に対するミラーの角度(°)である。)
剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼のQd’の測定は、撹拌槽202内に粒子262を分散した内容液260を投入し、内容液260を攪拌翼230で攪拌した際、粒子262が測定時間Tの間に攪拌翼230を通過する回数mqを、矢印F方向で鏡240を介して目視でカウントする。そして、カウントした回数mqから、下記(イ)式により求めることができる(参考文献:佐藤忠正 化学工学29,153(1965))。測定に用いられる粒子262は、球形型のポリプロピレン製粒子(球形3mm、比重1.1g/cm)であり、10個とする。内容液体は25℃、測定時間Tは10〜15分である。
Qd’=mqV’/T ・・・(イ)
式(イ)中、Qd’は剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼の吐出流量(m/min)、mqは通過回数、V’は内容液260の体積(m)、Tは測定時間(min)を表す。
剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼の吐出流量係数Nqd’’は、実験的には、図4に示す測定装置300を用いて測定することができる。
図4に示すように測定装置300は、攪拌槽301と、攪拌槽301内に設けられたタービン翼302と、邪魔板の役目をするステーター303を回転翼304として備えるものである。水槽305は、回転翼304上部に備えられた転流板306が浸水する程度の水を有する。水槽305は、ガラス又は透明樹脂等、少なくとも水槽305内部を視認できる材質のものである。攪拌翼304は、攪拌軸307と接続され、攪拌軸307は、図示されない動力と接続されている。
【0052】
測定装置300は、各構成部材が下記の条件を満たすものである。
b/B=0.2〜0.3、z/Z=0.5〜0.7、l/L=0.5〜0.7
(bは攪拌翼の直径(m)、Bは攪拌槽の内径(m)、z/Zは攪拌翼の取付位置(m/m)、l/Lは転流板の取付位置(m/m)である。
剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼のQd’’の測定は、水槽305内に粒子308を分散した内容液309を投入し、内容液309を攪拌翼304で攪拌した際、粒子308がステーター303内に入ってから一循環して、再度ステーター303内に戻るまでの時間を測定し、これを循環1回として、1,000回の測定値をとり、循環時間分布を作成した。分布は、横軸を時間t[sec]、縦軸を「ある時間帯の回数/全回数」とし、これをg(t)としたときのものをプロットして、作成し、下記(ウ)式より、求めることができる(参考文献:特殊機化工業株式会社 乳化分散の理論と実際 実用編 13(1997))。測定に用いられる粒子308は、球形型のポリプロピレン製粒子(球径0.3mm、比重1.1g/cm)であり、10個とする。内容液体は25℃である。
Qd’’=V’’/T’’ ・・・(ウ)
式(ウ)中、Qd’’は剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼の吐出流量(m/min)、V’’は内容液309の体積(m)、T’’は混合時間(min)を表す。なお、T’’は、下記(エ)式より、求めることができる。
T’’=T1+T2 ・・・(エ)
式(エ)中、T1は、g(t)分布トップピークにあたるt軸をt1としたとき、t=0〜t1までの混合時間の平均を表す。T2は、g(t)分布トップピークにあたるt軸をt1としたとき、t=t1〜∞までの混合時間の平均を表す。t=0〜t1区間におけるg(t)、t=t1〜∞におけるg(t)は、g(t)軸のプロットをもとに、近似式として求めることができる。
【0053】
剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼、および剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼のNqdは回転数、つまり撹拌レイノルズ数により異なるが、Nqdに対する撹拌レイノルズ数の関係は、撹拌レイノルズ数が大きくなると、Nqdも大きな値をとる。撹拌レイノルズ数が大きい乱流領域では、Nqdが一定値をとるので、撹拌レイノルズ数を大きくしたときのNqdの値が10%以内であるときを確認し、その値を撹拌翼のNqdとして用いる。
例えば、バッチ式混合装置1において、攪拌翼20の直径dは、攪拌翼20の先端24が描く円形の直径(図1中のd1)であり、液体の体積Vは攪拌槽10内に投入する乳化物体積と非水溶性香料の体積の合計である。
また、循環回数は、乳化物と非水溶性香料とを連続式混合装置で混合する場合、下記(ii)で規定されるものである。
(ii)下記(2)式により求められる値。
循環回数=Nqd×r×d÷F ・・・(2)
[式(2)中、Nqd:吐出流量係数、r:攪拌翼の回転数(rpm)、d:攪拌翼の直径(m)、F:混合装置へ供給される流体の流量(m/min)]
上記(ii)において吐出流量係数は、(i)の場合と同様である。
例えば、連続式混合装置100において、攪拌翼122の直径dは、攪拌翼122の先端124が描く円の直径(図2中のd2)であり、混合装置へ供給される流体の流量Fは、吸入口112から供給される乳化物及び非水溶性香料の混合液の流量である。
本工程における温度条件は、特に限定されないが、例えば35℃未満が好ましく、30℃以下がより好ましい。30℃以下であれば、B成分の熱劣化をより良好に防止できる。
次に実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例
【0054】
実施例及び比較例の液体繊維処理剤組成物を製造するのに用いた成分を以下に示す。
(A)成分
表1に、実施例及び比較例で用いた(A)成分を示す。
表1

【0055】
<A−1、A−2の調整>
A.水素添加したパーム脂肪酸メチルの合成
オレイン酸メチル75質量%、リノール酸メチル16質量%およびステアリン酸メチル9質量%よりなるパーム脂肪酸メチル(ライオン株式会社、パステルM182、分子量296)2.5kgと市販の安定化ニッケル触媒0.9g(0.1質量%/脂肪酸メチル)を4Lのオートクレーブに仕込み、窒素ガス置換を3回行った。ついで、回転数を800rpmにあわせ、温度185℃で約54Lの水素ガスを導入した。導入した水素が完全に消費されたら、冷却し、濾過助剤を使用して触媒を除き、水素添加したパーム脂肪酸メチルを得た。けん化価より求めた分子量は297であった。GCから求めた脂肪酸メチル組成は、ステアリン酸メチル11質量%、エライジン酸メチル(トランス体)23質量%、オレイン酸メチル(シス体)65質量%、リノール酸メチル0質量%であり、不飽和脂肪酸メチルエステルのトランス/シス比率は25/75(質量比)であった。尚、不飽和アルキル基は、GCにより次の方法で測定した。
機種 :Hitachi FID ガスクロG-3000カラム:GLサイエンス TC-70(0.25mm I.Dx30)
温度 :カラム150℃ → 230℃,昇温速度10℃/min、インジェクター&デイテクタ-240℃カラム圧力:1.0kgf/cm2
【0056】
(A−1)アルカノールアミンエステルとそのカチオンの合成
上記Aで調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489g(1.65モル)にステアリン酸メチル137g(0.46モル)とパルミチン酸メチル156g(0.58モル)を混合した脂肪酸メチルエステル(不飽和脂肪酸メチル/飽和脂肪酸メチルの質量比40/60)と、トリエタノールアミン250g(1.67モル)、酸化マグネシウム0.51g、14%水酸化ナトリウム水溶液3.69gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
得られたアルカノールアミンエステル270g(0.46モル)を温度計,滴下ロート,冷却機を備えた4つ口フラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、ジメチル硫酸57.4g(0.45モル)を1時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、約62gの未変性エタノール(日本エタノール(株))を滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(住友化学工業(株))をそれぞれ100ppmの濃度になるように添加した。得られた反応生成物にはモノエステルアンモニウム塩/ジエステルアンモニウム塩/トリエステルアンモニウム塩が28/53/19(質量比)で含まれていた。このエタノール溶液中には、4級化されていないモノエステルアミンとジエステルアミンとトリエステルアミンが9.0質量%含まれており、その比率は1/9/90(質量比)で存在していた。さらに副生成物として、両性化合物が2.0質量%含まれていた。尚、使用した脂肪酸メチルエステルの平均ヨウ素価は35であった。
【0057】
(A−4)アルカノールアミンエステルとそのカチオンの合成
上記1−1で調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489g(1.65モル)と、トリエタノールアミン98g(0.66モル)、酸化マグネシウム0.29g、14%水酸化ナトリウム水溶液2.1gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。
得られたアルカノールアミンエステル300gを温度計,滴下ロート,冷却機を備えた4つ口フラスコに入れ窒素置換した。次いで85℃に加熱し、アルカノールアミンエステルに対して0.98倍モルのジメチル硫酸を1時間にわたり滴下した。滴下終了後、温度を90℃に保ち、1時間攪拌した。反応終了後、エタノールを滴下しながら冷却し、固形分85%のエタノール溶液を調製し、最後にフェリオックスCY−115(ライオン(株))と、ジブチルヒドロキシトルエン(住友化学工業(株))をそれぞれ100ppmの濃度になるように添加し、B-1の4級アンモニウム塩を得た。得られた反応生成物には(A)成分:モノエステルアンモニウム塩/(b)成分:ジエステルアンモニウム塩/(c)成分:トリエステルアンモニウム塩が12/54/34(質量比)で含まれていた。尚、使用した脂肪酸メチルエステルのヨウ素価は86であった。
【0058】
[B成分] 香料組成物
表2 本発明に使用した香料組成物は以下の通り(表内数値は香料組成物中の質量%)

【0059】
表3 [C成分]

【0060】
[(D)成分]マイクロカプセル
(D-1)
300mL容ビーカーに、イオン交換水200gと、乳化剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(重量平均分子量16,000、商品名「ポリティPS−1900」、ライオン製)5gとを入れ、該ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩を溶解させた。
100mL容ビーカーに、芯物質として表4に示す香料組成物(D-1-1)と、壁物質を構成する材料としてポリフェニルイソシアネート(商品名「PAPI−135」、Dow Chemical製)8gとを入れ、両者を混合した。
500mL容ビーカーに、前記の二種類の溶液を入れ、ホモミキサーを用い、3000rpmの速度で5分間攪拌し、O/Wエマルジョンを生成させた。そこへ、壁物質を構成する材料として40wt%のヘキサメチレンジアミン水溶液75gを入れ、常温において400rpmで2時間攪拌して界面重合反応させ、ウレタン系高分子の壁を有するアニオン性マイクロカプセルの水性分散液を得た。
このようにして調製したマイクロカプセルの平均粒子径を、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−300V(島津製作所製)で測定した結果、約5μmであった。得られたカプセルスラリー中の香料組成物(D-1-2)の含有率は約16%であった。
(D-2)
乳化剤として、エチレン−無水マレイン酸共重合体(商品名「A-C573A」、「A-C573P」、いずれもハネウェル社製)のナトリウム塩、及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(重量平均分子量16,000、商品名「ポリティPS−1900」、ライオン製)をそれぞれ5%含有する水溶液300gに、表5に示す香料組成物(D-1-2)を112gを加え、ホモミキサーを用い、2,500rpmの速度で攪拌してO/Wエマルジョンを調製した。
別途、メラミン30gと、35%のホルムアルデヒド水溶液100gと、水350gとを含む溶液を調製し、これに少量の水酸化ナトリウムを加えてpHを約9に調節した。これを80℃で30分間攪拌し、メチロールメラミン水溶液を得た。
得られたメチロールメラミン水溶液を前記O/Wエマルジョンに添加して、70℃で約2時間攪拌してin−situ重合反応させ、メラミン系高分子のカプセル壁を有するアニオン性マイクロカプセルの水性分散液を得た。
(D−1)と同様にしてマイクロカプセルの平均粒子径を測定した結果、約4・mであった。得られたカプセルスラリー中の香料組成物(D-1-2)の含有率は約16%であった。
【0061】
(D-3)
乳化剤として、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩の代わりにポリビニルアルコール商品名「ゴーセノールGL05」、日本合成化学製)を5g用い、香料組成物として、表6に示す香料組成物(D-1-3)を40g用い、(D−1)と同様にして、非イオン性マイクロカプセルの水性分散液約340gを得た。
D-1と同様にしてマイクロカプセルの平均粒子径測定した結果、約5μmであった。得られたカプセルスラリー中の香料組成物(D-1-3)の含有率は約16%であった。
(D−4)
室温下にて5wt%ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液20.33g、10wt%ポリビニルアルコール水溶液60.20g、2.5wt%亜硝酸ナトリウム水溶液1.12gを水207.0gに溶解させて水相混合物を得た。一方、表4に示す香料組成物(D−1−1)144g、高圧水素化油96g、メチルメタクリレート24.0g、メタクリル酸12.0g、98wt%エチレングリコールジメタクリレート水溶液24.55g、tert-ブチルパーネオデカノエート1.20gを混合攪拌し、油相混合物を得た。水相へ油相を添加し、ディゾルバーミキサーを用いて40分間3500rpmで攪拌する。アンカーミキサーを用いて50℃で60分間さらに攪拌し、60分以内に75℃に加温し、75℃を2時間保つ。攪拌しながら10%tert-ブチルヒドロペルオキサイド水溶液3.6gを加える。50分後、2%アスコルビン酸水溶液16.25gを加える。その後、攪拌しながら60分間かけて室温に冷却し、マイクロカプセルの水性分散液を調製した。
(D-1)同様にマイクロカプセルの大きさを測定した結果、(D−4)は平均粒径が約5μmであった。また、香料組成物(D−1−1)の含有率は約20%であった。
【0062】
表4 (D-1-1)

【0063】
表5 (D-1-2)

【0064】
表6 (D-1-3)

【0065】
表7 任意成分

【0066】
上記表中の任意成分であるポリエーテル変性シリコーンは、次の様に合成した。
即ち、(CHSiO(CHCHSiO)210(CHHSiO)9Si(CH)で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し、5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーンを得た。このポリエーテル変性シリコーン90gに対して、10gのジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加して使用した。
【化3】

【0067】
実施例1〜16
[柔軟剤組成物の調製方法]
<製法A>
柔軟剤組成物を、内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、次の手順により調製した。
(工程1)(A)成分、及び必要によりポリエーテル変性シリコーンを(A)成分の融点(低くくとも40℃以上)以上に加温し、20分混合攪拌して、油相混合物を得た。
一方、(C)成分、(E)任意成分をバランス用精製水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、990gから油相混合物と(E)任意成分の合計質量を差し引いた残部に相当する。
(工程2)(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。
(工程3)攪拌を低速で継続しながら30℃になるまで冷却した。
(工程4)内容物をアジホモミキサー(みずほ工業製)に移し、所定量の(B)成分を添加し下記の運転条件でホモミキサーを運転し、(B)成分を乳化した。その後、必要に応じて、(D)成分、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、均一になるよう攪拌混合し、目的の液体柔軟剤組成物を得た。
アジホモミキサー:内容量2L、ローター径[mmφ]28、クリアランス[mm]0.5
運転条件:回転数[rpm]2,000、撹拌時間[s]150、周速[m/s]2.9、吐出流量係数Nqd[−]0.20、剪断速度[s-1]5,864、循環回数[回]11.0、(攪拌翼の直径(m))が(28mm/1000mm)で0.000021952、Vが0.002m、撹拌時間[min]150秒/60秒=2.5minであるのでNqd×r×d×θ÷Vが11.0である。
【0068】
<製法B(比較例)>
製法Aにて工程3まで同様に調製する。
(工程4)内容物をアジホモミキサー(みずほ工業製)に移し、所定量のB成分を添加し下記の運転条件でホモミキサーを運転し、(B)成分を乳化した。その後、必要に応じて、(D)成分、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、均一になるよう攪拌混合し、目的の液体柔軟剤組成物を得た。
アジホモミキサー:内容量2L、ローター径[mmφ]28、クリアランス[mm]0.5
運転条件:回転数[rpm]300、撹拌時間[s]300、周速[m/s]0.4、吐出流量係数[-]0.20、剪断速度[s-1]880、循環回数[回]3.3、(攪拌翼の直径(m))が(28mm/1000mm)で0.000021952、Vが0.002m、撹拌時間[min]300秒/60秒=5minであるのでNqd×r×d×θ÷Vが3.3である。
【0069】
<製法C(比較例)>:
(A)、(B)成分を同時に乳化分散(従来方法)
柔軟剤組成物は、内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、次の手順により調製した。
(工程1)(A)成分、(B)成分及び必要によりポリエーテル変性シリコーンを(A)成分の融点(低くくとも40℃以上)以上に加温し、20分混合攪拌して、油相混合物を得た。
一方、(C)成分、(E)任意成分をバランス用精製水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、990gから油相混合物と(E)任意成分の合計質量を差し引いた残部に相当する。
(工程2)(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は30:70(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。その後、必要に応じて、(D)成分、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の液体柔軟剤組成物を得た。
(工程3)攪拌を低速で継続しながら30℃以下になるまで冷却した。
【0070】
[香りのフレッシュ感比較用組成物の調製方法]
実施例及び比較例で調製した同一組成物を上記製法Aの工程4にて(B)成分を添加しないで同様に調製した未賦香サンプルを用意する。そのものを200mLビーカーに全体が100gとなる量をとり、各々の実施例、比較例と同一、同量の所定量の(B)成分をマグネチックスターラー攪拌下(チップ4cm、800rpm)で添加し3分攪拌し香りのフレッシュ感比較用組成物とした。
[柔軟剤組成物の香りのフレッシュ感(香気)の評価方法]
実施例、比較例の組成物および香りのフレッシュ感比較用組成物にて以下の方法にて香りのリフレッシュ感を評価した
[評価用布の前処理方法]
市販の綿タオル(東進社製)を市販洗剤「トップ」(ライオン社製)により二槽式洗濯機(三菱電機製CW-C30A1-H)を用いて3回前処理を行なった。(洗剤標準使用量、浴比30倍、45℃の水道水、洗浄10分→注水すすぎ10分を2回)
【0071】
[洗濯時すすぎ工程での処理布の香気評価(脱水直後、3日後)]
前処理洗浄した綿タオル(東進社製)1.0kgを、二槽式洗濯機(三菱電機製CW-C30A1-H)を用いて、市販洗剤「トップ」(ライオン社製)で10分間洗浄し(標準使用量、標準コース、浴比30倍、25℃の水道水使用)、3分間のすすぎに続いて、すすぎ2回目に柔軟剤組成物にて3分間柔軟処理(柔軟剤組成物10mL、浴比20倍、25℃の水道水使用)を行った。洗浄、すすぎの各工程間で脱水を1分間行った。処理後、別途、フレッシュ感比較用組成物で同様の処理を行いタオルの香気評価を行った(脱水直後評価)。
その後、柔軟処理したタオルを20℃、45%RHの恒温調湿室で3日間乾燥させ、上記と同様にタオルの香気評価を行った(3日後評価)。
各々の実施例、比較例の組成物で柔軟処理したタオルを評価サンプルとし、各々のフレッシュ感比較用組成物で柔軟処理したタオルを比較サンプルして、以下の評価基準にて香りのフレッシュ感を評価した。実用上○以上を合格とした。
[評価基準]
◎:比較サンプルと評価サンプルの香気(フレッシュ感)に差がないと答えた人数が9人以上
○:比較サンプルと評価サンプルの香気(フレッシュ感)に差がないと答えた人数が7人以上
△:比較サンプルと評価サンプルの香気(フレッシュ感)に差がないと答えた人数が5人以上
×:比較サンプルと評価サンプルの香気(フレッシュ感)に差がないと答えた人数が5人未満
【0072】
[香料安定分散性の評価方法]
組成物を10μL用いて、プレパラートを作成し、光学顕微鏡(オリンパスBX-51)を用いて視野400倍の微分干渉法による顕微鏡観察を行った。5mm×5mmの視野を観察した際に見られた香料の分散不良に起因する油滴の状態について以下の評価基準に基づき評点をつけた。安定性上、○以上を合格とした。
[評価基準]
◎:視野において不自然に大きな油滴はほとんど観察されなかった(3個未満)
○:視野において不自然に大きな油滴がまれに観察された(3個〜10個未満)
△:視野において不自然に大きな油滴がたまに観察された(10個〜30個未満)
×:視野において不自然に大きな油滴が多く観察された(30個以上)
得られた性能評価結果を表8〜10にまとめて示す。
【0073】
表8

【0074】
表9

【0075】
表10


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:アルカノ−ルアミンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸メチルエステルとのエステル化反応生成物、該エステル化反応生成物の中和物、及び該エステル化反応生成物を更に4級化して得られる反応生成物から選ばれる1種以上の化合物、ここで、上記脂肪酸及び/又は脂肪酸メチルエステルのヨウ素価が5〜150である、
(B)成分:下記のB−1、B−2及びB−3のそれぞれから選ばれる各々1種以上香料成分からなる複数の香料成分
を、(A)成分3〜50質量%、(B)成分0.2質量%(2000ppm)以上の割合で含有する液体柔軟剤組成物であって、下記工程(1)〜(4)を含む製造方法により調製することができる液体柔軟剤組成物。
B−1:アルデヒド類からなる香料成分
B−2:酢酸及びギ酸エステル類からなる香料成分
B−3:炭素数6以下のアルコールとのエステル類であって、B−2以外の香料成分
工程(1):(A)成分を40℃以上に加熱し、油相を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られた油相と水を混合し、乳化物を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた混合物を40℃未満に冷却する工程
工程(4):工程(3)で得られた混合物と、(B)成分を、剪断速度が5,000〜1,000,000 s-1条件で、単位時間に液が撹拌翼にかかる回数が2〜10,000 回/sの条件で、それぞれ混合する工程
ここで、剪断速度=撹拌翼先端の線速度/ローターとステーター間のクリアランス、
(式中、撹拌翼先端の線速度は、πnd/60である(ここで、nは回転数[rpm]、dは撹拌翼直径[m]である。)
又、単位時間に液が撹拌翼にかかる循環回数[回]= Nqd×r×d3×θ÷V
(式中、Nqdは吐出流量係数、rは攪拌翼の回転数(rpm)、dは攪拌翼の直径(m)、θは攪拌時間(min)、Vは内容液の体積(m3)である。)
【請求項2】
さらに(C)成分としてノニオン界面活性剤を含有する請求項1記載の柔軟剤組成物。
【請求項3】
さらに(D)成分としてカプセル香料を含有する請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
(A)成分:アルカノ−ルアミンと、脂肪酸及び/又は脂肪酸メチルエステルとのエステル化反応生成物、該エステル化反応生成物の中和物、及び該エステル化反応生成物を更に4級化して得られる反応生成物から選ばれる1種以上の化合物、ここで、上記脂肪酸及び/又は脂肪酸メチルエステルのヨウ素価が5〜150である、
(B)成分:下記のB−1、B−2及びB−3のそれぞれから選ばれる各々1種以上香料成分からなる複数の香料成分
を、(A)成分3〜50質量%、(B)成分0.2質量%(2000ppm)以上の割合で含有する液体柔軟剤組成物を、下記工程(1)〜(4)を含む方法により調製することを特徴とする請求項1記載の液体柔軟剤組成物の製造方法。
工程(1):(A)成分を40℃以上に加熱し、油相を調製する工程
工程(2):工程(1)で得られた油相と水を混合し、乳化物を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた混合物を40℃未満に冷却する工程
工程(4):工程(3)で得られた混合物と、(B)成分を、剪断速度が5,000〜1,000,000 s-1条件で、単位時間に液が撹拌翼にかかる回数が2〜10,000 回/sの条件で、それぞれ混合する工程
ここで、剪断速度=撹拌翼先端の線速度/ローターとステーター間のクリアランス、
(式中、撹拌翼先端の線速度は、πnd/60である(ここで、nは回転数[rpm]、dは撹拌翼直径[m]である。)
又、単位時間に液が撹拌翼にかかる循環回数[回]= Nqd×r×d3×θ÷V
(式中、Nqdは吐出流量係数、rは攪拌翼の回転数(rpm)、dは攪拌翼の直径(m)、θは攪拌時間(min)、Vは内容液の体積(m3)である。)

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−23774(P2013−23774A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156927(P2011−156927)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】