説明

液体注出容器

【課題】計量作業を行う通常使用時には、従来のノズルキャップと同等の使用性を有し、かつ、詰め替え作業時には、ボトル内に液が速やかに流下し、ノズル内に液が滞留して液面が上昇し溢れるといった不具合が生じることのない詰め替え作業性に優れる液体注出容器を提供する。
【解決手段】内容液を収納する容器本体10と、内容液を注出するノズル12を有し前記容器本体の口首部10aに装着されるノズル部材14と、前記ノズル12から注出される内容液を量り取る計量筒部16を有し、前記ノズル部材14に着脱自在に装着されるキャップ18とからなる液体注出容器であって、前記ノズル部材14の筒状壁部24の内側に、詰め替え時にノズル部材14を介して容器本体内に液を注ぎ込む際に、容器本体内の空気を容器外に排出するための空気置換流路28を有する液体注出容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤、液体漂白剤等の水性液剤や油性液剤等の液体製品を詰め替えて使用可能な液体注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体洗剤等の液体製品を収容するボトル(容器本体)と、内容液を注出するノズルを有して前記ボトルに装着されるノズルキャップ(ノズル部材)と、前記ノズルから注出される内容液を計量する計量筒部が設けられて、前記ノズルキャップに着脱自在に装着される計量キャップとを備えた液体注出容器が、一般に使用されている。
【0003】
この種の液体注出容器において、液を計量する通常使用時には、まず計量キャップをノズルキャップから外して、ノズルキャップから計量キャップに液を注ぎ出して計量する。
【0004】
このとき、計量キャップを回転させて外す際に、ノズルキャップが計量キャップと共回りして、計量キャップと一緒にボトルから外れてしまうことを防止するために、一般にノズルキャップはボトルに対して、打ち込み嵌合やラチェット嵌合などの方法によって、開閉不可能に嵌合されている。
【0005】
このような構造から、上記液体注出容器においては、パウチ等の詰め替え容器からボトル内に液を注ぎ込む詰め替え作業時に、ノズルキャップのノズルを狙って液を注ぎ込まなければならず、作業に神経を使う。
【0006】
また、ノズルの径が細く、開口断面積が小さなノズルキャップの場合には、詰め替え作業時に液がボトル内に流下する速度が遅くなり、パウチから液を注ぎ込む勢いを強くすると、ボトル内からの空気置換が間に合わなくなり、ノズルキャップ内に液が滞留してしまう。このように、空気置換が間に合わないとボトル内から空気の流出により激しく泡立ち、ノズルキャップの内の液面が上昇し、溢れてしまうという不具合に繋がる虞がある。
【0007】
液体の注ぎ口に関して、実公平01−20289号公報(:特許文献1)では、注ぎ口、副注ぎ口、空気吸い込み口(発音部)から構成されている注出具が開示されている。また、実公平01−23965号公報(:特許文献2)では、主流管、分流管、吸気管から構成された注出用ノズルがある。また、実公昭62−44923号公報(:特許文献3)では、主開口、副開口、空気吸入管から構成された注出具が開示されている。また、特開平01−294451号公報(:特許文献4)、注入口と空気導入パイプから構成される注出具が開示される。しかしながら、これら特許文献1〜4記載の注出具は、いずれも注ぎ口が二つに分かれ注ぎ出しのみ考慮し、詰め替えを全く想定していないものであるので詰め替えが困難で現実的でないものである。
【0008】
なお、特開平09−193954号公報(:特許文献5)では、本体キャップに突き刺し部材を有する容器連結具が開示されている。しかしながら、この容器連結具では、スパイク針が突き刺ささるスパウト部材をパウチ容器に設ける必要があり、そのようなスパウト部材をパウチ容器に設けるという特別な構成が必要なため、一般的なパウチ容器では、使用できない汎用性のないものである。
【0009】
一方、特開2008−155953号公報(:特許文献6)では、傾斜底壁を有して容器本体を開閉する計量キャップが開示されており、この場合、傾斜底壁の最下部側に、注ぎ口のほぼ中央まで下方に傾斜する傾斜壁が設けられているが、液の詰め替えの際に空気置換がしにくいので、上記のボトル内からの空気置換が間に合わなくなり、ノズルキャップ内に液が滞留して、ノズルキャップの内の液面が上昇し、溢れてしまうという不具合に繋がる等の問題が残るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公平01−20289号公報
【特許文献2】実公平01−23965号公報
【特許文献3】実公昭62−44923号公報
【特許文献4】特開平01−294451号公報
【特許文献5】特開平09−193954号公報
【特許文献6】特開2008−155953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ノズルキャップの詰め替え性に関する不具合を改善することを目的としたものであり、計量作業を行う通常使用時には、従来のノズルキャップと同等の使用性を有し、かつ、詰め替え作業時には、ボトル内に液が速やかに流下し、ノズル内に液が滞留して液面が上昇し溢れるといった不具合が生じることのない詰め替え作業性に優れる液体注出容器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は液体注出容器にかかるものであり、内容液を収納する容器本体と、内容液を注出するノズルを有し前記容器本体の口首部に装着されるノズル部材と、前記ノズルから注出される内容液を量り取る計量筒部を有して前記ノズル部材に着脱自在に装着されるキャップとを備えた液体注出容器であって、
前記ノズル部材が、ノズルの基部から垂直方向に立ち上がってその側面に開放部を有する樋状のノズルと、ノズル基部からノズル外方向に向かって結合される環状傾斜底部と、前記環状傾斜底部を経て上方に前記ノズルとの間に空間を隔てて垂直方向に立ち上がる筒状壁部とを有し、
前記樋状のノズルの内側には、容器本体内の内容液を容器外に注出するための開口部が設けられ、
前記キャップを前記ノズル部材に装着する際には、前記空間に前記キャップの計量筒部が挿入されるようにし、
前記ノズルの先端に液剤の注ぎ口が形成され、前記環状傾斜底部はノズル軸心を挟んで前記の注ぎ口と反対の方向に下降するように形成され、
前記キャップの外壁面にフランジ部が形成され、このフランジの先端部に前記ノズル部材の筒状壁部の上端に形成されたネジ部に螺合するネジ部が形成され、前記キャップのネジ部による前記筒状壁部上端部への螺合により前記キャップが前記筒状壁部への上端部に装着され、
前記ノズル部材の筒状壁部の外壁面にフランジ部を介して垂下した第二周壁が形成され、この第二周壁の先端部に前記容器本体の口首部に形成されたネジ部に螺合するネジ部が形成され、前記第二周壁のネジ部による前記容器本体口首部への螺合により前記ノズル部材が前記容器本体の口首部に装着される液体注出容器において、
前記ノズル部材の前記筒状壁部の内側に、詰め替え時にノズル部材を介して容器本体内に液を注ぎ込む際に、容器本体内の空気を容器外に排出するための空気置換流路を有することを特徴とする液体注出容器である。
【0013】
本発明においては、前記空気置換流路が、前記樋状のノズル内側に、対向するノズル内壁面を繋ぐようにして垂直方向に延設された分離壁により構成される筒状の空間であることが好適である。
【0014】
本発明においては、環状傾斜底部が、前記ノズル部材の注ぎ口側から前記ノズル部材の開放部側に向かって垂直方向下向きに傾斜する第一の傾斜底部と、前記ノズルの開放部側から前記ノズルの中央に向かって垂直方向下向きに傾斜する第二の傾斜底部とから構成され、
前記第一の傾斜底部と、前記第二の傾斜底部とは、段差によって連結されており、
前記第二の傾斜底部の下端縁には、液注出時の空気置換用の切欠き部が設けられていることが好適である。
【0015】
本発明においては、前記ノズル部材の前記ノズルの内側に、突き刺し部材を有することが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液体注出容器によれば、ノズル部材の前記筒状壁部の内側に、詰め替え時にノズル部材を介して容器本体内に液を注ぎ込む際に、容器本体内の空気を容器外に排出するための空気置換流路を有するので、ノズル部材内に勢いよく液を注ぎ込んでも容器本体内からの空気置換がスムーズに行うことができ、ボトル内に液が速やかに流下し、ノズル内に液が滞留して液面が上昇したり、液が溢れたりするといった不具合の確実な防止という効果を奏する。
【0017】
なお、前記空気置換流路を、前記樋状のノズル内側に、対向するノズル内壁面を繋ぐようにして垂直方向に延設された分離壁により構成される筒状の空間とすることによって、詰め替えの際にノズル部材に液を注ぎ込むときに液が分離壁を乗り越えることがなく空気置換流路に液が流れ込み難く、上記本発明の効果がより確実に発揮される。また、通常の使用の際に、ノズルから液を注ぎだす時には、上記の空気置換流路が液注出流路として作用するので、不必要な空気置換が生じて液が流れ出しすぎノズルの脇まで液が周り込んでしまい液垂れの問題が生じるということが無い。
【0018】
また、環状傾斜底部が、前記ノズル部材の注ぎ口側から前記ノズル部材の開放部側に向かって垂直方向下向きに傾斜する第一の傾斜底部と、前記ノズルの開放部側から前記ノズルの中央に向かって垂直方向下向きに傾斜する第二の傾斜底部とから構成され、前記第一の傾斜底部と、前記第二の傾斜底部とは、段差によって連結されており、前記第二の傾斜底部の下端縁には、液注出時の空気置換用の切欠き部を設けることによって、ノズル開放部の傾斜底部の傾斜をより急傾斜にすることできるので、液をより速やかにボトル内に流下させることができる。
【0019】
また、前記ノズル部材の前記ノズルの内側に、突き刺し部材を有するものにすれば、口元に薄膜を有するのにパウチの薄膜をこの突き刺し部材で突き刺すことにより、パウチが開口し、速やかに液を流下させ詰め替えることができる。この際、空気置換流路が確実に確保されるので、流下する液がノズル部材内に滞留し、溢れたりするということがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液体注出容器の説明図で、(a)が容器本体の先端の口首部にノズル部材を螺合させ、そのノズル部材にキャップを被せた状態説明図、(b)はキャップの斜視説明図である。
【図2】図1の液体注出容器おけるノズル部材の説明図であって、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は下面図、(f)は上方斜視図、(g)は下方斜視図、(h)は(a)のA−A線に沿う縦断面図、(i)は同B−B線に沿う縦断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る液体注出容器におけるノズル部材の説明図であって、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は下面図、(f)は上方斜視図、(g)は下方斜視図、(h)は(a)のA−A線に沿う縦断面図、(i)は同B−B線に沿う縦断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る液体注出容器の液体詰め替え時の空気および液体の流れの説明図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る液体注出容器におけるノズル部材の説明図であって、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は下面図、(f)は上方斜視図、(g)は(a)のA−A線に沿う縦断面図、(h)は同B−B線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
以下の説明において上下と言う場合には、容器を使用しない静置状態においての上、下(鉛直上方、下方:図1において符号U、Dで示す)をいう。もちろん、使用時に注ぎ出すときにはノズル部材14が下向きに傾けるが、説明上、注出容器の上部にノズル部材14が設けられる。
【0023】
図1〜図2は第1の実施形態に係る液体注出容器の説明図である。
【0024】
第1の実施形態に係る液体注出容器は、図1に示すように、内容液を収納する容器本体10と、内容液を注出するノズル12を有し前記容器本体10の口首部10aに装着されるノズル部材14と、前記ノズル12から注出される内容液を量り取る計量筒部16を有し、前記ノズル部材14に着脱自在に装着されるキャップ18を備えた液体注出容器に関するものである。
【0025】
図2に示すように、前記液注出容器では、前記ノズル部材14が、ノズル12の基部12aから垂直方向に立ち上がってそのノズル12側面に開放部12bを有し、開放部12bがノズル12の先端に開口した注ぎ口12eに連続する樋状のノズル12と、ノズル基部12aからノズル12外径方向に向かって概略板状に展開形成されて結合される環状傾斜底部20と、前記環状傾斜底部20を経てその環状傾斜底部20の周囲に、前記ノズル12との間に空間22を隔てて垂直方向に上方向きに立ち上がる筒状壁部24とを有している。
【0026】
実施形態では、図2に示すように、ノズル12は、略筒体形状であって、その側面部に上下に渡って切り欠いた開放部12bを有しており、ノズル12先端の注ぎ口12eが開放部12bに向かって下がるように斜めに形成されている。
【0027】
前記樋状のノズル12の内側には、容器本体10内の内容液をノズル12を介して容器外に注出するための貫通孔の開口部12cがノズル基部12a内側に位置して形成される。また、前記開口部12cの前記樋状のノズル12の開放部12b側端縁には、開口部12cに連続して液注出時の空気置換用の切欠き部12dが半円形状に切り欠いて形成されている。前記キャップ18を前記ノズル部材14に装着する際には、前記空間22に前記キャップ18の計量筒部16が挿入されるようにし計量筒部16の壁が当該空間22に入り込むようになっている。
【0028】
また、前記ノズル12はその先端(ノズル基部12aが下方側とすればその反対の上方側)に注ぎ口12eが開口して形成され、注ぎ口12eが開放部12bに連続するので、注ぎ口12eの周囲縁は前記開放部12bの周囲縁に向かって下がるように斜めに形成されている。ノズル12の立設位置は、ノズル部材14の軸心(符号Oで示す)から径方向一方側に偏って形成され、前記環状傾斜底部20は前記ノズル軸心Oを挟んで前記の注ぎ口12eと反対の方向に下降する斜面が周囲に形成されている。
【0029】
ここで、図1に示すように、前記キャップ18の外壁面に略袴状にフランジ部18aが形成され、このフランジ部18aの内側面に前記ノズル部材14における筒状壁部24の上端の外面に形成されたネジ部24a(雄ネジ)に螺合するネジ部18b(雌ネジ)が形成される。この場合、キャップ18の計量筒部16をノズル部材14の空間22内に差込んで、フランジ部18aによって筒状壁部24を覆うように装着されて、前記キャップ18のネジ部18bによる前記筒状壁部24上端部への螺合により、前記キャップ18が前記筒状壁部24への上端部に装着される。
【0030】
また、図1、図2に示すように、前記ノズル部材14においては、その筒状壁部24の外壁面にやや水平方向に展開するフランジ部26を介して垂下した第二周壁24bが袴状に形成され、この第二周壁24bの先端部内周面に、前記容器本体10の口首部10a外面に形成されたネジ部に螺合するネジ部24cが形成される。前記第二周壁24bのネジ部24cによる前記容器本体10の口首部10aへの螺合により、前記ノズル部材14が前記容器本体10の口首部10aに装着される液体注出容器の構成を有している。
【0031】
前記ノズル部材14の前記筒状壁部24の内側に、詰め替え時にノズル部材14を介して容器本体10内にパウチ等の詰め替え容器から液を注ぎ込む際に、容器本体10内の空気を容器外に排出するための空気置換流路28を略筒状に形成している。
【0032】
具体的には、前記空気置換流路28は、前記樋状のノズル12内側に、対向するノズル12の内壁面を繋ぐようにして垂直方向に延設された分離壁28a内部の空間を流路とするものである。図2に示す第1の実施形態では、空気置換流路28の分離壁28aはノズル壁面から離れる方向に膨出する弧形状の横断面の曲面板構造を呈し、分離壁28aとノズル12内壁面とによって、管状構造を呈した空気置換流路28を形成する。
【0033】
また、環状傾斜底部20は、一定範囲にノズル12を取り囲むように環状に形成された部分20aが注ぎ口12e側から前記ノズル12の開放部12b側に向かう方向であって垂直方向下向きに傾斜する面に、また、その外周の部分20bはノズル軸心Oを中心にすり鉢状に、それぞれが形成される。そして、前記環状傾斜底部20の各部分20a,20b同士は稜線20cを経由して連続する。また、環状傾斜底部20には、ノズル12の開口部12cから連続して切欠き部12dがノズル軸心O付近に切り欠き形成される。詰め替え時にパウチ等の詰め替え容器から注ぎ込まれた液体は前記ノズル周囲の部分20bによってノズル軸心Oに向かって流れて、開口部12cから容器本体10内に流れ込む。
【0034】
第1の実施形態に係る液体注出容器によれば、ノズル部材14の前記筒状壁部24の内側に、詰め替え時にノズル部材14を介して容器本体10内に液を注ぎ込む際に、容器本体10内の空気を容器外に排出するための空気置換流路28を有するので、ノズル部材14内に勢いよく液を注ぎ込んでも容器本体10内からの空気置換流路28から容器本体10内空気を容易に排出できる。したがって、空気置換をスムーズに行うことができ、ノズル部材14内に液を勢いよく注ぎ込んでもボトル内に液が速やかに流下し、ノズル12内に液が滞留して液面が上昇したり、液が溢れたりするといった不具合を確実に防止できる作用効果を奏する。
【0035】
また、前記空気置換流路28を、前記樋状のノズル12内側に、対向するノズル12内壁面を繋ぐようにして垂直方向に延設された分離壁28aにより構成される筒状の空間を設けたものなので、詰め替えの際にノズル部材14に液を注ぎ込むときに分離壁28aを乗り越えることがなく、空気置換流路28に液が流れ込み難い作用効果を確実に発揮できる。
【0036】
また、通常の使用の際に、ノズル12から液を注ぎだす時には、開口部12cから液が流れ出すとともに上記の空気置換流路28が液注出流路として作用するので、不必要に空気置換が生じることがなく、液が流れ出しすぎるということがない。その際、切欠き部12dから必要な空気置換が行える。従来のように空気置換流路28部分が、ノズル12から液を注ぎだす時にも空気置換のために作用して、液が流れ出しすぎて、ノズル12の脇まで液が周り込んでしまい液垂れに繋がってしまうという問題が生じない。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態に係る注出容器について、図3、図4によって説明する。
【0038】
第2の実施形態に係る液体注出容器は、図3、図4に示すノズル部材14Aを設けたものである。なお、第1の実施形態に係る液体注出容器と同様部分に同一符号を付している。
【0039】
このノズル部材14Aにおいては、図3に示すように、環状傾斜底部30が、前記ノズル12の注ぎ口12e側から前記ノズル12の開放部12b側に向かう方向であって垂直方向下向きに傾斜する第一の傾斜底部30aと、前記ノズル12の開放部12b側端から前記ノズル12の中央に向かって垂直方向下向きに傾斜する第二の傾斜底部30bとから構成される。前記第一の傾斜底部30aと、前記第二の傾斜底部30bとは、段差30cによって連結されている。段差30cはノズル基部12aの開口部12cを囲む部分の一部を下方に延ばして、ちょうど、中心軸心Oを囲む弧を描く部分を垂直方向下方に延ばした形状を呈している。段差30cは第二の傾斜底部30bを下方に筒状に延ばした中心軸O側の側面部であり、その段差30cは第1の傾斜底部30a側に向けて開口している。第二の傾斜底部30bは、略箱形状を呈している。
【0040】
そして、前記第二の傾斜底部30bの下端縁には、段差30cの開口部に連続して液注出時の空気置換用の切欠き部12dが設けられている。
【0041】
また、空気置換流路28は、分離壁28aがノズル側に凹むやや弧を描いた略板状に形成されている。図3および図4に示す第2の実施形態では、空気置換流路28の分離壁28aが断面弧を描き、分離壁28aとノズル12内壁面とで断面月形状の管状構造を呈した空気置換流路28を形成している。
【0042】
この第2の実施形態に係る液体注出容器によれば、上記第1の実施形態に係る作用効果に加えて、前記第一の傾斜底部30aと、前記第二の傾斜底部30bとは、段差30cによって連結されており、前記第二の傾斜底部30bの下端縁には、液注出時の空気置換用の切欠き部12dが設けられている。したがって、環状傾斜底部30の傾斜を第1実施形態の液体注出容器に比較してより急傾斜の部分(第二の傾斜底部30b)を形成することができ、かつ、開口部12cの実質的な開口面積を広く形成することができるので、図4に示すように、液詰め替え維持に、液体は第二の傾斜底部30bに沿って曲がって流れ落ち(符号L1で示す)、液の流れ出し口を広く取れ(開口部12cの平面視の投影面積と段差30cの側方開口面積とが加味される)、かつ、スムーズに空気置換路28から空気が流れて(空気流れを符号L2で示す)空気置換できるので、液をより速やかに容器本体10(ボトル)内に流下させることができる。
【0043】
また、空気置換流路28は、その分離壁28aがノズル12の内壁面に沿っているので、液流れがスムーズで液だまりが生じにくい。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態に係る液体注出容器を図5に基づき説明する。なお、図1、図2に示した第1の実施形態に係る液体注出容器と同様部分に同一の符号を付している。
【0045】
図5に示すように、前記ノズル部材14Bの前記ノズル12の内側に、突き刺し部材32を有したものである。突き刺し部材32は、図5に示すように、ノズル12の開放部12b側縁部の両側を繋ぐように板状部32aが固定され、その板状部32aから上方に剣状部32bに延出する略T字状のものである。パウチ等の詰め替え包装体(図示省略)の破りやすい薄膜を剣状部32bに突き刺して当該包装体を開封してその中身の液をノズル部材14Bの筒状壁部24内に流し込んで、詰め替えることができる。
【0046】
このように、ノズル部材14Bの前記ノズル12の内側に、突き刺し部材を有するものにして、口元に薄膜を有するのにパウチの薄膜をこの突き刺し部材32で突き刺すことにより、パウチが開口し、速やかに液を流下させ詰め替えることができる。この際、空気置換流路28が確実に確保されるので、流下する液がノズル部材14内に滞留し、溢れたりするということがない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の液体注出容器は、液体洗剤、柔軟剤、液体漂白剤等水性液剤や油性液剤などの液体製品を容易に詰め替えうるようにするために利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 容器本体
10a 口首部
12 ノズル
12a ノズルの基部(ノズル基部)
12b ノズルの開放部
12c ノズルの開口部
12d 切欠き部
12e ノズルの注ぎ口
14 ノズル部材(第1の実施形態)
14A ノズル部材(第2の実施形態)
14B ノズル部材(第3の実施形態)
16 計量筒部
18 キャップ
18a フランジ部
18b ネジ部
20 環状傾斜底部
20a ノズル周囲の環状の部分
20b すり鉢状の部分
20c 稜線
22 空間(ノズルと筒状壁部間)
24 筒状壁部
24a ネジ部
24b 第二周壁
24c ネジ部
26 フランジ部
28 空気置換流路
28a 分離壁
30 環状傾斜底部(第2の実施形態)
30a 第一の傾斜底部
30b 第二の傾斜底部
30c 段差
32 突き刺し部材(第3の実施形態)
32a 板状部
32b 剣状部
O ノズル軸心(ノズル部材の中心軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収納する容器本体と、内容液を注出するノズルを有し前記容器本体の口首部に装着されるノズル部材と、前記ノズルから注出される内容液を量り取る計量筒部を有して前記ノズル部材に着脱自在に装着されるキャップとを備えた液体注出容器であって、
前記ノズル部材が、ノズルの基部から垂直方向に立ち上がってその側面に開放部を有する樋状のノズルと、ノズル基部からノズル外方向に向かって結合される環状傾斜底部と、前記環状傾斜底部を経て上方に前記ノズルとの間に空間を隔てて垂直方向に立ち上がる筒状壁部とを有し、
前記樋状のノズルの内側には、容器本体内の内容液を容器外に注出するための開口部が設けられ、
前記キャップを前記ノズル部材に装着する際には、前記空間に前記キャップの計量筒部が挿入されるようにし、
前記ノズルの先端に液剤の注ぎ口が形成され、前記環状傾斜底部はノズル軸心を挟んで前記の注ぎ口と反対の方向に下降するように形成され、
前記キャップの外壁面にフランジ部が形成され、このフランジの先端部に前記ノズル部材の筒状壁部の上端に形成されたネジ部に螺合するネジ部が形成され、前記キャップのネジ部による前記筒状壁部上端部への螺合により前記キャップが前記筒状壁部への上端部に装着され、
前記ノズル部材の筒状壁部の外壁面にフランジ部を介して垂下した第二周壁が形成され、この第二周壁の先端部に前記容器本体の口首部に形成されたネジ部に螺合するネジ部が形成され、前記第二周壁のネジ部による前記容器本体口首部への螺合により前記ノズル部材が前記容器本体の口首部に装着される液体注出容器において、
前記ノズル部材の前記筒状壁部の内側に、詰め替え時にノズル部材を介して容器本体内に液を注ぎ込む際に、容器本体内の空気を容器外に排出するための空気置換流路を有することを特徴とする液体注出容器。
【請求項2】
前記空気置換流路が、前記樋状のノズル内側に、対向するノズル内壁面を繋ぐようにして垂直方向に延設された分離壁により構成される筒状の空間であることを特徴とする請求項1に記載の液体注出容器。
【請求項3】
環状傾斜底部が、前記ノズル部材の注ぎ口側から前記ノズル部材の開放部側に向かって垂直方向下向きに傾斜する第一の傾斜底部と、前記ノズルの開放部側から前記ノズルの中央に向かって垂直方向下向きに傾斜する第二の傾斜底部とから構成され、
前記第一の傾斜底部と、前記第二の傾斜底部とは、段差によって連結されており、
前記第二の傾斜底部の下端縁には、液注出時の空気置換用の切欠き部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体注出容器。
【請求項4】
前記ノズル部材の前記ノズルの内側に、突き刺し部材を有することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれかに記載の液体注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−56591(P2012−56591A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200185(P2010−200185)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】