説明

液体芳香消臭剤組成物

【課題】 香料を可溶化した液体芳香消臭剤の保存安定性が高く、使用過程で吸上げ芯や揮散部材の目詰まりが少なく、安定して揮散し、液残りの無い高い品質の液体芳香消臭剤を提供すること。
【解決手段】 (A)イソステアリン酸ジエタノールアミド、(B)スルホン酸型および硫酸エステル型アニオン性界面活性剤から選択される1種または2種以上の混合物、(C)香料および(D)水からなることを特徴とする液体芳香消臭剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ、洗面所等の家屋内や自動車内等で使用する液体芳香消臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香消臭剤には液体、固体およびエアゾール等、種々の形態が知られている。これらの中で液体タイプは、オイルベース、アルコールベースおよび水ベースに大別され、芳香成分や消臭成分の揮散方法は毛細管現象を利用し、パルプや合成繊維等でできた芯材を利用して液を吸い上げ、開放された揮散体に導き、自然揮散させる方法や熱をかけたりファン等で風をあて強制的に揮散させる方式などが知られている。市場ではコスト、簡便性などの理由から水ベースが主流となっている。このタイプでは、香料が本質的に水に難溶性であるため界面活性剤を用いて香料を水に可溶化し、パルプ、合成繊維等でできた吸液性のある芯材を介して、内溶液を揮散させることにより機能を発揮している。香料を界面活性剤を用いて水に可溶化する技術は、化粧品、医薬品などの産業分野で広く応用されている技術で、界面活性剤としては低濃度からミセルを形成しやすい非イオン性界面活性剤が好ましいことや(非特許文献1)、酸化プロピレンや酸化エチレン付加型の非イオン界面活性剤とグリセリン、1,3−ブチレングリコールなどのポリオールとの組合せが好適である旨記述されている(非特許文献2)。従って現在の液体芳香消臭剤には主として非イオン性界面活性剤が可溶化剤として使われている。
【0003】
しかしながら界面活性剤は本質的に不揮発性であり、液が毛細管現象により吸い上げられ、揮散体の開放面から香料や水が蒸散した後に揮散体に残留蓄積し、次第に吸液性や揮散性を低下させ、このようなタイプの液体芳香剤の解決すべき問題点として残されている。使用する界面活性剤の量を低下させれば残留蓄積する量が減少し、吸液性や揮散性への悪影響も少なくなるが、香料を十分可溶化できなかったり、安定性に問題が発生してくる。このような問題点を解決するために可溶化に使用する界面活性剤、吸液材または揮散性構造物からの改善が提案されている。例えば、アルキル置換フェノールのアルキレンオキサイド付加体を用いることにより優れた可溶化能を実現できることが開示されている(特許文献1)。また、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩と第2級アルコール酸化エチレン付加物またはノニルフェノール酸化エチレン付加物の少なくとも1種を用いた保存安定性が良好で香りの質および持続性が良好な液体芳香剤組成物(特許文献2)、さらに、酸化エチレンの付加モル分布が特定の条件より狭い末端封鎖型の非イオン界面活性剤を配合することを特徴とする液体芳香消臭剤組成物(特許文献3)、さらにまた、吸液材や揮散構造体の材質を変更することによる効率的な揮散を狙ったもの(特許文献4)など多くの提案がなされている。しかしながら、特許文献1および3に開示されている技術内容はかなり特殊な界面活性剤を使用するものであり、コスト、汎用性に問題があり、また、特許文献2に開示されている技術は本質的に香料を可溶化した液体芳香剤の着色や分離に対する安定性を高めるための技術であり、本質的に本発明との関連性はうすい。特許文献4に開示されている吸液材および揮散構造体の構成も繊維として異種の合成樹脂が芯鞘構造を取っているような特殊な繊維を使用するものである。
【0004】
【非特許文献1】日本油化学会誌,49,(11,12),P.1383〜1390,2000年
【非特許文献2】最新・界面活性剤応用技術,刈米孝夫 編集,(株)シーエムシー発行,1990年
【特許文献1】特開昭57−70197
【特許文献2】特開昭63−189154
【特許文献3】特開2000−175996
【特許文献4】特開2005−58550
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来提案されている液体芳香消臭剤にかかわる技術は、特殊な界面活性剤を用いたり、特殊な部材を用いたりして経済的に問題があり、また、使用過程で避けられない吸液性能の低下や揮散性能の低下に対する改善は十分満足できるものではなかった。
【0006】
香料を界面活性剤で可溶化した溶液が吸液芯に吸い上げられ揮散部材表面で揮散成分(香料、エタノール、水など)が揮散、濃縮化する過程で、液晶相、ゲル相、結晶析出など濃縮化の程度に応じて様々な様相を呈する。これら諸相の物性は、使用される界面活性剤の種類、濃度、香料の種類、他の添加物などにより複雑に影響を受け、吸液性能や揮散性能に影響を与えている。従って、本発明が解決しようとする課題は香料を可溶化した液体芳香消臭剤の保存安定性が高く、使用過程で吸上げ芯や揮散部材の目詰まりが少なく、安定して揮散し、液残りの無い高い品質の液体芳香消臭剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定のアミド型界面活性剤とスルホン酸型または硫酸エステル型アニオン性界面活性剤を特定の比率で用いることにより、保存安定性が高く、且つ、使用過程での吸液性能の低下や揮散性能の低下が従来技術に比べて著しく低い液体芳香消臭剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、(A)イソステアリン酸ジエタノールアミド、(B)スルホン酸型および硫酸エステル型アニオン性界面活性剤から選択される1種または2種以上の混合物、(C)香料および(D)水からなることを特徴とする液体芳香消臭剤組成物を提供するものである。
【0009】
また本発明は、前記(A)と(B)との含有重量比率[(A):(B)]が0.1:99.9〜45:55であり、(A)と(B)の合計と(C)との含有重量比率[{(A)+(B)}:(C)]が1:2〜3:1であり、(A)と(B)の合計が0.15〜15重量%であり、かつ(C)が0.3〜10重量%である前記の液体芳香消臭剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体芳香消臭剤によれば、香料を安定に可溶化でき、使用過程での吸液性や揮散性の低下が低く、使用終了時の液の残りが無い消費者満足度の高い液体芳香消臭剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の液体芳香消臭剤組成物は必須成分として、(A)イソステアリン酸ジエタノールアミドを含む。イソステアリン酸と称される物質には原料や製造方法により数種類の異性体が知られているが、本発明に好適に用いられるものはダイマー酸製造時に副生物として得られるメチル分岐のイソステアリン酸である。イソステアリン酸を直接またはメチルエステルを経由し、ジエタノールアミンと反応させることにより容易にイソステアリン酸ジエタノールアミドが得られる。
【0012】
本発明に用いる、(B)スルホン酸型または硫酸エステル型アニオン性界面活性剤は、一般に洗浄剤等に広く応用されているアニオン性界面活性剤で、工業的にもっとも大量に製造されている部類の界面活性剤で、以下のものが挙げられる。これらのものは2種以上混合して用いても良い。アルキル基の炭素数が8〜18の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が8〜18のアルキル硫酸エステル塩、アルキル基の炭素数が8〜18で酸化エチレンの平均付加モル数が0.5から8のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル基の炭素数が8〜18のアルカンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が8〜18のアルファーオレフィンスルホン酸塩、アルキル基の炭素数が8〜18のアルファースルホ脂肪酸メチルエステル塩、アシル基の炭素数が8〜18のアシル化メチルタウリン塩およびアルキル基の合計の炭素数が12〜20のジアルキルスルホコハク酸エステル塩などである。これらのアニオン性界面活性剤に用いられる対イオンは、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン系化合物が用いられるがこれに限定されるものではない。
【0013】
(A)イソステアリン酸ジエタノールアミドと(B)スルホン酸型または硫酸エステル型アニオン性界面活性剤から選択される1種または2種以上の混合物の含有重量比率[(A):(B)]は、使用するアニオン性界面活性剤の種類や香料の種類によって異なり一概にはいえないが、通常、0.1:99.9〜45:55が好ましく、さらに好ましくは、10:90〜30:70である。(A):(B)の含有重量比率において(A)の割合が45:55より大きくなると、系の親水性、親油性のバランスが崩れ、安定な可溶化ができなくなる。また、(A):(B)の含有比率において(A)の割合が0.1:99.9より低い場合には、同様に親水性に傾きすぎて香料の可溶化ができなくなるかまたは安定性が悪くなってくる。また(A)と(B)の合計と(C)香料との含有重量比率[{(A)+(B)}:(C)]は1:2〜3:1が適当であり、界面活性剤(A)、(B)の合計と(C)香料の含有重量比率が1:2より界面活性剤の割合が小さくなると、香料を可溶化することができなくなる。また、界面活性剤の含有重量比率が3:1より大きくなると可溶化は容易になるが、液体芳香消臭剤とした場合には、吸液性や揮散性が低下してしまう。
【0014】
本発明の液体芳香消臭剤組成物において、(A)イソステアリン酸ジエタノールアミドと(B)スルホン酸型または硫酸エステル型アニオン性界面活性剤から選択される1種または2種以上の混合物の合計量は、スルホン酸型または硫酸エステル型アニオン性界面活性剤の種類や香料の種類、量により異なり一概にはいえないが、通常、0.15〜15重量%が好ましい。さらに好ましくは1〜20重量%である。(A)および(B)の合計量が0.15重量%より小さい場合には、香料の可溶化ができず、また、15重量%より多い場合には不揮発性残渣が多くなり、液体芳香消臭剤としては好ましくない。
【0015】
本発明の液体芳香消臭剤組成物には必須成分として(C)香料が含まれる。香料の配合量は液体芳香消臭剤の製品の求められる香質および力価などにより異なり一概にはいえないが、通常、0.3〜10重量%が好ましい。0.3重量%より小さい場合には一般的に香りの強さが十分でなく、10重量%を超える場合では可溶化することが困難になったり大量の溶剤などが必要になり経済的でなくなる。
【0016】
本発明に用いる香料は、特に制限されるものではなく、いずれの香料も使用することできる。具体的には、炭化水素類としては、例えば、オシメン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、ミルセン、ジヒドロミルセン、リモネン、テルピノーレン、α−フェランドレン、p−サイメン、β−カリオフィレン、β−ファルネセン、ビサボレン、セドレン、バレンセン、ツヨプセン、ロンギホレンなどを挙げることができる。
【0017】
アルコール類としては、例えば、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、ムゴール、テトラヒドロリナロール、ヒドロキシシトロネロール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、3,6−ジメチル−3−オクタノール、エチルリナロール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、l−メントール、カルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、シス−3−ヘキセノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、p−t−ブチルシクロヘキサノール、サンダロール(Givaudan社商品名)、バクダノール(IFF社商品名)、フェニルエチルアルコール、ヒドロトロパアルコール、アニスアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコールなどを挙げることができる。
【0018】
アルデヒド類としては、例えば、シトラール、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、α−メチレンシトロネラール、ミルテナール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、3,7−ジメチルオクタナール、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、n−デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、テトラデカナール、シス−3−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセナール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、シクロシトラール、ジメチルテトラヒドロベンズアルデヒド、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタール、シトロネラールシクロモノグリコールアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジエチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、ベンズアルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒド、p−イソプロピルヒドラトロパルアルデヒド、シクラメンアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドジエチルアセタール、アミルシンナミックアルデヒドジエチルアセタール、ヘリオトロピンジメチルアセタール、アセトアルデヒドエチルフェニルエチルアセタール、アセトアルデヒド2−フェニル−2,4−ペンタンジオールアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールなどを挙げることができる。
【0019】
ケトン類としては、例えば、カンファー、メントン、ピペリテノン、ゲラニルアセトン、アセチルセドレン、ヌートカトン、ヨノン、メチルヨノン、アリルヨノン、イロン、ダマスコン、ダマセノン、イソダマスコン、2−ペンタノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、メチレンテトラメチルヘプタノン、2,3−ヘキサジオン、2−シクロペンチルシクロペンタノン、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフラノン、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトン、ベンゾフェノン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、ホモフロナール(Givaudan社商品名)、マルトール、エチルマルトール、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、アセト酢酸エチルエチレングリコールケタールなどを挙げることができる。
【0020】
エステル類としては、例えば、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸3−ペンテニルテトラヒドロピラニル、酢酸ミラルディル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸シス−3−ヘキセニル、イソ吉草酸フェニルエチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、安息香酸メチル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、桂皮酸リナリル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸オイゲニル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸シトロネリル、フェニル酢酸メンチル、サリチル酸アミル、ヘキサン酸リナリル、ヘキサン酸シトロネリル、オクタン酸リナリル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、ゲラン酸エチル、シクロゲラン酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチルなどを挙げることができる。
【0021】
フェノール類としては、例えば、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、グアヤコール、クレオゾール、ベラトロール、ハイドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルハイドロキノンジメチルエーテルなどを挙げることができる。
【0022】
エーテル類としては、例えば、デシルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン(IFF社商品名)、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス(Firmenich社商品名)、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、テアスピラン、ローズオキサイドなどを挙げることができる。
【0023】
ラクトン類としては、例えば、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスミンラクトン、メチルγ−デカラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリンなどを挙げることができる。
【0024】
酸類としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、桂皮酸、フタール酸、アビエチン酸、バニリン酸、ピロガロールなどを挙げることができる。
【0025】
合成ムスクとしては、例えば、ムスコン、シクロペンタデカノン、5−シクロヘキサデセン−1−オン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、ムスクアンブレット、6−アセチルヘキサメチルインダン、6−アセチルヘキサテトラリン、ガラクソリド(IFF社商品名)などを挙げることができる。
【0026】
又、天然香料としては、例えば、アビエス、アンブレット・シード、アンジェリカ、アニス、アルモアゼ、ベージル、ベイ、ベルガモット、バーチ、ボア・ド・ローズ、カラムス、カンファー、カナンガ、キャラウェイ、カルダモン、カシア、シダーウッド、カモミル、シトロネラ、コスタス、クミン、ディル、エレミ、ユーカリ、ガルバナム、ゼラニウム、ジンジャー、グレープフルーツ、グアイアック、ガーデニア、ひのき、ホウショウ、ヒアシンス、ジャスミン、ジュニパ・ベリー、ラブダナム、ラバンジン、ラベンダー、レモン、レモングラス、ライム、リナロエ、ミモザ、ミント、オークモス、オレンジフラワー、イリス、パチョリ、パルマローザ、ペパーミント、ローズ、クラリー・セージ、サンダル、チュベローズ、ベチバー、スミレ、イラン・イランなどの精油などを挙げることができる。
【0027】
その他香料化学総覧,1,2,3[奥田治著 廣川書店出版]、Perfume and flavor Chemicals,1,2[Steffen Arctander著]、合成香料[印藤元一著 化学工業日報社出版]などに記載の香料化合物を挙げることができる。
本発明の液体芳香消臭剤組成物には、本発明の効果を妨げないことを限度として、通常芳香剤組成物に使用されている各種添加物を配合することができる。かかる添加物としては、例えば、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防臭剤、抗菌剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、溶剤、ハイドロトロープ剤、紫外線吸収剤、色素、防虫剤、殺虫剤、忌避剤などを配合することができる。
【0028】
本発明の液体芳香消臭剤組成物の製造方法としては、特に制限されることなく、一般の界面活性剤を用いた油性成分の可溶化プロセスで良く、即ち、所定量の(A)イソステアリン酸ジエタノールアミド、(B)スルホン酸型または硫酸エステル型アニオン性界面活性剤から選択される1種または2種以上の混合物、(C)香料を混合し、必要なら加温またはエタノールなどの溶剤を加え均一にする。これを所定量の(D)水に必要なら加温し、撹拌しながら添加し、透明な可溶化液を得ることができる。
【0029】
以下、実施例により本発明の実施の態様を更に具体的に説明する。なお、これらの実施例は本発明をなんら限定するものではない。
【実施例】
【0030】
実施例1〜6および比較例1〜5
下記の表1および表2に示した処方で液体芳香消臭剤を配合して液の性状の安定性を試験した。安定性の評価条件は50℃、2週間である。安定性評価の記号の意味は下記の通りである。なお、処方中の数値は全て重量(g)を示す。
○ : 透明
△ : やや濁りが見受けられる
× : 白濁または分離
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
表1および表2の結果から明らかな様にイソステアリン酸ジエタノールアミドとスルホン酸系、硫酸エステル系アニオン性界面活性剤の組合せのみ良好な安定性を示し、アニオン性界面活性剤単独、非イオン性界面活性剤単独では、本特許で規定する各成分の量比の範囲内では、安定性の良好なものは得られない。また、イソステアリン酸ジエタノールアミドをヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドに置きかえてもやはり安定なものは得られなかった。
【0034】
実施例6〜8
下記の表3に示した処方で液体芳香消臭剤を配合し、以下の揮散試験により液体芳香消臭剤の揮散速度を試験し、その結果を表3に示す。
揮散試験
下記の表3に示す処方の液体芳香消臭剤をそれぞれ30.0gを内径約5cm、高さ5cmの蓋付のプラスチック容器に入れ、蓋に開けたスリットに幅35mm、長さ85mmのろ紙を差込、蓋の上部に出るろ紙の部分を長さ35mmにする。これを25℃の恒温室にいれ、ろ紙によって吸い上げられた内溶液の揮散量の経日変化を測定する。下記の表3に297時間目の揮散率(揮散した液量/揮散開始時点の液量×100)(%)を示す。
【0035】
【表3】

【0036】
表3の結果から明らかなように、界面活性剤と香料の含有重量比率[{(A)+(B)}:(C)]が1:1(実施例6)および1:2(実施例7)では、1:3.3(実施例8)に比べ内溶液の揮散が早い事が明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)イソステアリン酸ジエタノールアミド、(B)スルホン酸型および硫酸エステル型アニオン性界面活性剤から選択される1種または2種以上の混合物、(C)香料および(D)水からなることを特徴とする液体芳香消臭剤組成物。
【請求項2】
前記(A)と(B)との含有重量比率[(A):(B)]が0.1:99.9〜45:55であり、(A)と(B)の合計と(C)との含有重量比率[{(A)+(B)}:(C)]が1:2〜3:1であり、(A)と(B)の合計が0.15〜15重量%であり、かつ(C)が0.3〜10重量%である請求項1に記載の液体芳香消臭剤組成物。

【公開番号】特開2007−75527(P2007−75527A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270823(P2005−270823)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000214537)長谷川香料株式会社 (176)
【Fターム(参考)】