説明

液体酸素系漂白剤組成物および刺激低減方法

【課題】漂白力を低減させることなく、液体酸素系漂白剤組成物の皮膚への刺激を低減させることができる液体酸素系漂白剤組成物および刺激低減方法を提供する。
【解決手段】(A)過酸化水素と、(B)界面活性剤と、(C)平均粒子径1〜00nmのヘモグロビン凝集作用を有する無機粒子を含有することを特徴とする液体酸素系漂白剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体酸素系漂白剤組成物および刺激低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の漂白剤は、塩素系漂白剤と酸素系漂白剤とが存在するが、塩素系漂白剤は色柄物衣類等には使用できず、又独特な臭いを有していることから酸素系漂白剤が最近著しく普及している。
また、酸素系漂白剤には粉末タイプと液体タイプが存在するが、液体タイプはその利便性、水への溶けやすさが広く認知され、現在の主流になっている。
これら液体漂白剤はプラスティックボトルに充填され、一般家庭に供給されるのが一般的である。一方で環境に対する取り組みとして、プラスティックのリサイクル、使用量の削減の実施が求められており、この対応としてプラスティック使用量が少ない詰め替え容器が普及してきている。
【0003】
しかし、液体酸素系漂白剤組成物は、詰め替え時や、汚れに塗布する際に皮膚に接触した場合に、一過性の皮膚の軽い白化や軽い痛みを生じさせることがある。
【0004】
そこで、容器内の残量を確認しやすい容器等が提案されている。これにより、詰め替え時に容器の容量を超える液体酸素系漂白剤組成物を投入することによって液体酸素系漂白剤組成物があふれて皮膚に接触することなどを抑制できる。
また、液体漂白剤組成物に増粘剤等を添加して増粘させることにより、詰め替え時に飛び散ることなどを抑制する工夫や、液体酸素系漂白剤組成物に色をつけることにより、衣類へ塗布する際、目視で認識できる様にして、塗布した液体酸素系漂白剤組成物に皮膚を接触させない様にする工夫が実施されている。
【0005】
しかしながら、これらは液体酸素系漂白剤組成物自体の刺激を低減するものではなく、根本的な解決には至らないし、効果としても不充分である。
【0006】
そこで、非常に少ないながらも、液体酸素系漂白剤組成物自体の皮膚刺激を低減させる研究が行われている。
特許文献1(特表平9−512289号公報)には、過酸化水素は、アニオン界面活性剤を添加すると、過酸化水素のみの場合よりも皮膚への刺激を低減させることができる旨が開示されている。
【特許文献1】特表平9−512289号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術はその効果は十分でない。
なお、本発明者の検討によれば、過酸化水素と界面活性剤を配合した液体酸素系漂白剤組成物では、界面活性剤自体も皮膚に刺激を与えることがあり、また、過酸化水素と界面活性剤との相乗作用によって皮膚刺激が高まることがある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、過酸化水素と界面活性剤を配合した液体酸素系漂白剤組成物において、漂白力を低減させることなく、液体酸素系漂白剤組成物の皮膚への刺激を低減させることができる液体酸素系漂白剤組成物および刺激低減方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明においては以下の様な手段を提案する。
第1の発明は、(A)過酸化水素と、(B)界面活性剤と、(C)平均粒子径1〜300nmのヘモグロビン凝集作用を有する無機粒子を含有することを特徴とする液体酸素系漂白剤組成物である。
第2の発明は、第1の発明において、さらに(D)フェノール系ラジカルトラップ剤を含有する液体酸素系漂白剤組成物である。
第3の発明は、(A)過酸化水素と(B)界面活性剤とを含む液体酸素系漂白剤組成物に、(C)平均粒子径1〜300nmのヘモグロビン凝集作用を有する無機粒子を配合することにより、液体酸素系漂白剤組成物の皮膚に対する刺激を低減することを特徴とする、刺激低減方法である。
なお、本発明においては、「液体酸素系漂白組成物」は、洗浄と漂白の両方の効果を目的とする「液体酸素系漂白洗浄物」も含む概念とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、過酸化水素と界面活性剤を配合した液体酸素系漂白剤組成物において、漂白力を低減させることなく、液体酸素系漂白剤組成物の皮膚への刺激を低減させることができる液体酸素系漂白剤組成物および刺激低減方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[液体酸素系漂白剤組成物]
本発明の液体酸素系漂白剤組成物は、(A)過酸化水素と、(B)界面活性剤と、(C)平均粒子径1〜300nmのヘモグロビン凝集作用を有する無機粒子を含有することを特徴とする。
【0011】
(A)過酸化水素
(A)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、液体酸素系漂白剤組成物中、純分として0.1〜10質量%が好適であり、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜6質量%である。下限値以上にすることにより、充分な漂白性能が得られる。上限値以下とすることにより、例えば家庭用として好適なものとすることができる。本発明においては、この様に漂白効果が充分に得られる高濃度の範囲であっても皮膚への刺激を低減することができる。
【0012】
(B)界面活性剤
(B)成分としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上が用いられる。
これらの界面活性剤の中でも、直鎖又は分岐鎖の炭素数6〜24、特に10〜20のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する界面活性剤(B−1)、および炭素数6〜24、特に10〜20のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する界面活性剤(B−2)からなる群から選ばれる1種以上を用いるのがラー油などの油性しみの除去性能の点から好ましい。なお、(B−1)成分において、アルキル基またはアルケニル基はアリール基に結合していないものとする。
【0013】
上記アルキル基としては、例えばヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等を挙げることができる。
また、アルケニル基としては、上記アルキル基に対応するアルケニル基が挙げられ、例えばデセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基等が挙げられる。
【0014】
ノニオン界面活性剤として、より具体的には、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキル(ポリ)グリコシド[「アルキル(ポリ)グリコシド」は「アルキルポリグリコシド」と「アルキルグリコシド」の一方あるいは両方を示す]、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、脂肪酸モノグリセライド、アミンオキサイド等が挙げられる。
【0015】
これらの中でも、特にポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特に好ましいものは、下記一般式(1)に示される化合物である。
【0016】
【化1】

(式(1)中、R1は炭素数7〜16のアルキル基を示し、nはエチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数を示す。)
【0017】
上記一般式(1)において、R1で示されるアルキル基としては、直鎖状でも、分岐を有するものでもよい。
アルキル基の炭素数は7〜16であり、好ましくは10〜16、より好ましくは12〜14である。
具体的なアルキル基としては、例えばヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等を挙げることができる。
上記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルは、1種または2種以上混合して用いることができる。例えばRが異なる種類である2種以上の一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを混合して用いることができる。
【0018】
アニオン界面活性剤として、より具体的には、例えばアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖、または分岐のアルキル硫酸エステル塩、直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを付加したアルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、高級脂肪酸塩等が挙げられる。
なお、「塩」としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
【0019】
上記アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、炭素数8〜16のものが好ましい。
上記α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
上記アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
上記アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキサイドを付加させたのものが好ましい。
上記α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
上記高級脂肪酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
【0020】
アニオン界面活性剤として、特に上記炭素数を有するものを使用すると、(C)成分や、必要に応じて配合される(D)成分を充分に可溶化でき、液が分離や白濁を示さない液体漂白性組成物をより容易に得ることができる。
【0021】
カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩が好ましい。
例えばジアルキル型第4級アンモニウム塩の場合は、長鎖アルキル基の炭素数は6〜24、特に10〜20が好ましく、短鎖アルキル基の炭素数は1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0022】
両性界面活性剤としては、例えばカルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等を挙げることができ、炭素数は10〜20が好ましい。
【0023】
(B)成分としては、特に上記一般式(1)で示されるノニオン界面活性剤や、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、およびα−オレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が好ましい。
これらの界面活性剤を使用することにより、被洗物への浸透性が良好で、より高い漂白性能を得ることができる。
また、ノニオン界面活性剤とアニオン界面活性剤を両方含有することが好ましい。
そして、特に上記一般式(1)で示されるノニオン界面活性剤と、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、およびα−オレフィンスルホン酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤とを含有することが好ましい。
【0024】
(B)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
液体酸素系漂白剤組成物中の(B)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、液体酸素系漂白剤組成物中、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜25質量%、特に好ましくは1〜20質量%含有すると好適である。下限値以上にすることにより、性能面で充分な効果が得られ、上限値以下とすることにより、コスト的に有利であり、安定性が向上する。
【0025】
(C)平均粒子径1〜300nmのヘモグロビン凝集作用を有する無機粒子
「ヘモグロビン凝集作用」とは、下記のヘモグロビン沈殿率試験法においてヘモグロビン沈殿率が30%以上となるものをいう。
【0026】
〔ヘモグロビン沈殿率試験法〕
(1)牛血液製のヘモグロビンを精製水に0.4質量%となるように溶解する(以下、「ヘモグロビン溶液」という)。
pH6.0の1Mリン酸緩衝液(以下、「緩衝液P」という)、及びpH9.0の1Mトリス緩衝液(以下、「緩衝液T」という)を調製する。
試料を純分として1.0質量%となるように精製水に懸濁または溶解する(以下、「試料原液」という)。
【0027】
(2)25℃に保温した前記ヘモグロビン溶液、緩衝液P、緩衝液T、試料原液を用いて、試験管にて下記の試料溶液A〜C及びブランク1,2を調製する。
試料溶液A:ヘモグロビン溶液:1mL、緩衝液P:1mL及び精製水:1mLを混合後、試料原液1mLを加えて混合した溶液。
試料溶液B:ヘモグロビン溶液:1mL、緩衝液T:1mL及び精製水:1mLを混合後、試料原液1mLを加えて混合した溶液。
試料溶液C:ヘモグロビン溶液:1mL及び精製水:2mLを混合後、試料原液1mLを加えて混合した溶液。
【0028】
ブランク1:試料溶液A〜Cに対応するブランクとして、上記試料溶液A〜Cにおいて、試料原液の代わりに精製水を用いたもの。
ブランク2:溶液A〜Cに対応するブランクとして、上記溶液A〜Cにおいて、ヘモグロビン溶液の代わりに精製水を用いたもの。
【0029】
(3)上記の試料溶液A〜C及びブランク1,2を室温(20〜25℃)で30分間放置した後、室温で遠心分離(約1800G、5分間)を行ない、上清液を分取して、分光光度計にて波長578nmにおける上清液の吸光度(以下、「OD値」という)を測定する。
【0030】
(4)試料溶液A〜Cのヘモグロビン沈殿率を、それぞれ次の式より求める。
ヘモグロビン沈殿率(%)=(ブランク1のOD値−試料溶液A〜CのOD値)/(ブランク1のOD値−ブランク2のOD値)×100
そして、上記の試料溶液A〜Cのヘモグロビン沈殿率において、最も高い数値をその試料のヘモグロビン沈殿率とする。
【0031】
(C)成分は平均粒子径は、1〜300nm好ましくは1〜200nm、より好ましくは1〜200nm、特に、4〜50nmである。上限値以下にすることで液体酸素系漂白剤組成物中に配合した場合、沈殿が生じず、均一系で使用することができ、良好な液体酸素系漂白剤組成物の皮膚刺激低減効果が得られる。下限値未満のものは、工業的な製造が困難である。本発明において、平均粒子径はBET法と呼ばれる通常窒素吸着法により測定される比表面積から、真球の平均粒子径として算出されるものである。なおこの比表面積から平均粒子径への算出は、本粒子が一次粒子であり、真球とみなしても問題ない大きさである。
(C)成分において、ヘモグロビン沈殿率は30%以上であり、好ましくは40%以上、さらに好ましくは、50%以上である。この範囲とすることにより、過酸化水素や界面活性剤に起因すると推測される皮膚への刺激を低減することができる。
【0032】
(C)成分の無機粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、酸化アルミニウムゾル、水酸化アルミニウムゾル、酸化マグネシウムゾル、水酸化マグネシウムゾル、酸化亜鉛ゾル、水酸化亜鉛ゾル、金コロイド粒子などが挙げられ、これらの中で、上述の試験方法により、ヘモグロビン沈殿率が30%以上となるものが使用できる。
【0033】
好ましいものとしては、SiO含有量が90質量%以上のコロイダルシリカが挙げられる。そして、動的光散乱法による平均粒子径が50nm以下(下限値は例えば1nm以上)のコロイダルシリカが好ましい。そして、これら両方の条件を満足するコロイダルシリカが特に望ましい。
そしてコロイダルシリカの分散液中にナトリウムイオン、リチウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオンなどの陽イオンを配合して分散安定性を向上させたもの、またはコリダルシリカ表面または内部にアルミニウムなどの金属原子を有するものが、特に好ましい。
【0034】
特に好ましいものとしては、例えば、スノーテックスC、スノーテックスO、スノーテックスOS、スノーテックスS、スノーテックスAK、スノーテックスCM、(以上、全て商品名、日産化学社製)、シリカドール20A、シリカドール20P(以上、全て商品名、日本化学工業)、カタロイドSI−550、カタロイドSN、カタロイドSA(以上、全て商品名、触媒化成工業製)、KLEBOSOL 30R25、KLEBOSOL 30CAL25(以上、全て商品名、クラリアント社製)などが挙げられる。これらは透明性が高く、かつ、溶液中での分散安定性や流動性が良好で、液体酸素系漂白剤組成物への配合に好都合である。
【0035】
(C)成分は1種または2種以上混合して用いることができる。
(C)成分の配合量は、液体酸素系漂白剤組成物中、固形分(濃度)で0.01〜20質量%、特には0.1〜20質量%とすることが望ましい。0.01質量以上とすることにより、皮膚刺激低減の効果が向上し、20質量%以下にすることにより、分散安定性を向上させることができる。
【0036】
(D)フェノール系ラジカルトラップ剤
本発明の液体酸素系漂白剤組成物には、(D)成分を配合することが好ましい。
(D)成分を配合することにより、(A)成分(過酸化水素)の分解を抑制することができる。また香料、色素、ポリマーを配合する場合、その分解を抑制することができる。
【0037】
「フェノール系ラジカルトラップ剤」とは、フェノール及びフェノール誘導体から選ばれる1種以上の化合物であって、ラジカルを補足する機能を備えるものである。ラジカルを補足する機能を有するか否かは、ESR測定(電子スピン共鳴法)にて、固体の金属(例えば銅)に過酸化水素を作用したときと比較して、ラジカルトラップ剤をさらに添加したときの方が、系中のラジカル濃度が低くなっていた場合にラジカルを補足する機能を有すると判断することができる。
【0038】
フェノール誘導体としては、フェノール性OH基を有する化合物や、フェノール性OH基のエステル誘導体、フェノール性OH基のエーテル誘導体が好ましい。中でも、フェノール性OH基を有する化合物が好ましい。
フェノール性OH基を有する化合物としては、ベンゼン環が置換基として1つ以上のフェノール性OH基を有する化合物や、1つ以上のフェノール性OH基とそれ以外の1つ以上の置換基を有する化合物などが挙げられる。
なお、「フェノール性OH基のエステル誘導体」とはフェノール性OH基の水素原子が、炭素数1〜3程度の脂肪酸とエステル反応することにより形成されるエステル基を有する化合物を示す。
「フェノール性OH基のエーテル誘導体」とはフェノール性OH基の水素原子が、例えば炭素数1〜5のアルキル基やフェニル基などのアリール基と置換してエーテル結合を構成している基を有する化合物を示す。
また、フェノール性OH基のエステル誘導体、エーテル誘導体は、フェノール性OH基から誘導される置換基(エステル基、エーテル結合を有する基)を2つ以上有していてもよいし、これら以外の置換基を有していてもよい。
【0039】
なお、ベンゼン環が2個の置換基を有する場合、置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、3個以上の置換基を有する場合も置換位置は限定されない。
フェノール性OH基やこれから誘導される置換基以外の置換基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基)、フェニル基などのアリール基が挙げられる。
【0040】
これらの中でもさらに好ましい化合物は、G.E.Penketh,J.Appl.Chem,7,512(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)0が1.25V以下の化合物であり、特に好ましくは、0.75V以下の化合物である。
(D)成分は、他のラジカルトラップ剤よりラジカルをトラップする効果が高いため、(A)成分のみならず、香料、色素、ポリマーの分解を抑制することができる。
【0041】
以下に、本発明の(D)成分の具体例として、代表的な化合物の構造式を示す。
なお、式中に示してあるMeは、メチル基を、Etは、エチル基を示す。
【0042】
【化2】

【0043】
【化3】

【0044】
【化4】

【0045】
【化5】

【0046】
【化6】

【0047】
(D)成分として、特に好ましいものとしてはジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等を挙げることができ、これらの中でも特に好ましくは4−メトキシフェノールが挙げられる。
【0048】
(D)成分は、1種単独で用いてもよく、あるいは複数の化合物の混合物として用いてもよい。
(D)成分の液体酸素系漂白剤組成物中の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、0.01〜6質量%が好適であり、より好ましくは0.05〜5質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。0.1%質量%以上配合することにより、(A)成分のみならず、香料、色素、ポリマーの分解を抑制することができる。
6質量%以下とすることにより、液体酸素系漂白剤組成物の安定性が向上し、例えば結晶の析出や液の分離の発生を抑制することができる。
【0049】
その他の任意成分
液体酸素系漂白剤組成物には、安定化のために、ホスホン酸系金属補足成分(キレート剤)を配合してもよい。
具体的には、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体が挙げられる。
これらの中でも特に1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸などがより好ましい。1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸の主な市販品としては、例えばオルブライトウィルソン社のBRIQUEST ADPA(商品名)、キレスト社のキレストPH−210(商品名)、モンサント社のDEQUEST 2010(商品名)等が挙げられるが、何れを使用しても同様の効果が得られる。
これらは1種または2種以上混合して用いることができる。
【0050】
液体酸素系漂白剤組成物中の配合量は0.05〜3質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%、特に好ましくは0.3〜3質量%含有すると好適である。
この範囲とすることにより液体酸素系漂白剤組成物の安定性、特に(A)成分の安定性が良好となる。
【0051】
また、液体酸素系漂白剤組成物には、さらに漂白効果を向上させる目的で、有機過酸前駆体を配合することができる。
有機過酸前駆体の代表例としては、テトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等を挙げることができる。
これらの中でも特にノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシ安息香酸等がより好ましい。
【0052】
また、液体酸素系漂白剤組成物には、さらにしみ除去性能を向上させる目的で、高分子化合物を配合してもよい。具体的には、ソイルリリースポリマーと呼ばれるもので、アルキレンテレフタレート単位及び/またはアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位を骨格にした高分子化合物である。なお、重合はランダムまたはブロックで重合するが、ブロックで重合したものが好ましい。
【0053】
アルキレンテレフタレートとしてはエチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート及びこれらの混合物が挙げられ、中でもエチレンテレフタレートが好ましい。アルキレンイソフタレートとしてはエチレンイソフタレート、プロピレンイソフタレート、ブチレンイソフタレート及びこれらの混合物が挙げられ、中でもエチレンイソフタレートが好ましい。ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン等が挙げられるが、ポリオキシエチレンが好ましい。
【0054】
高分子化合物の質量平均分子量は、また、水への溶解分散性を向上させるために、500以上、好ましくは800以上、特に好ましくは1500以上であると望ましい。また、質量平均分子量の上限値は、8000以下、好ましくは7000以下、特に6000以下が好ましい。この質量平均分子量の範囲で用いると、ポリエステルの油性汚れの塗布漂白洗浄性能が十分に発現し、しかも液体酸素系漂白剤組成物の液外観が良好で実使用上好ましい。
なお、本明細書において、質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)で溶媒をTHF(テトラヒドロフラン)で測定したとき、PEG(ポリエチレングリコール)を較正曲線に用い換算したときの値である。
【0055】
この様な高分子化合物の製造方法は、各種の文献、教科書及び特許等に開示されている。
例えば、Journa lof Polymer Science,第3巻,609〜630ページ(1948年)、Journal of Polymer Science,第8巻,1〜22ページ(1951年)、特開昭61−218699号公報に記載の方法を用いることができ、また、それ以外の方法を用いて製造してもよい。
これら高分子化合物の具体的例としては、商品名TexCareSRN−100(ドイツ、Clariant GmbH社製)、商品名TexCareSRN−300(ドイツ、ClariantGmbH社製)、として市販されているものが挙げられる。
特に好ましいのはTexCareSRN−100(ドイツ、Clariant GmbH社製)である。
この様な好ましい高分子化合物を用いると、水への溶解性が高く、したがって透明感の高い液体酸素系漂白剤組成物が得られる。
【0056】
高分子化合物は液体酸素系漂白剤組成物中に0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜2質量%の範囲で用いられる。この範囲で用いることにより、配合することによって期待できる性能を充分に発現させることができる。また、コストの点でも好ましい。
【0057】
さらに、液体酸素系漂白剤組成物には、香料等の各種成分を安定配合するためにエタノール、イソプロパノール、フェニルポリオキシエチレンアルコール等の1価のアルコール類や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類などのハイドロトロープ剤を配合することができる。
【0058】
また、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウムなどの無機塩類や、シリコーン類、殺菌剤、蛍光染料、酵素等の一般に、液体洗浄剤組成物や液体漂白剤組成物に配合される成分であれば必要に応じて配合することができる。
【0059】
また、液体酸素系漂白剤組成物には、香料を配合することもできる。
香料としては、通常、下記香料原料を複数組み合わせ配合した香料組成物が好適に使用される。上記香料組成物の配合量は、液体酸素系漂白剤組成物全量に対して0.001〜20質量%が好適であり、より好ましくは、0.01〜10質量%配合される。
【0060】
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)及び「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)及び「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)及び「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)及び「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等で見られ、それぞれを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。
【0061】
[刺激低減方法]
本発明の刺激低減方法は、(A)過酸化水素と(B)界面活性剤とを含む液体酸素系漂白剤組成物に、(C)平均粒子径1〜300nmのヘモグロビン凝集作用を有する無機粒子を配合することにより、液体酸素系漂白剤組成物の皮膚に対する刺激を低減することを特徴とする、刺激低減方法である。
(A)〜(C)成分やその他の成分の好適な態様などは、上述の通りである。
具体的には、好ましくは、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じて添加される(D)成分や他の任意成分を、水を含む溶剤を用いて、全体の97から98質量%程度の濃度となる様にまず調整したものを原液とし、そのpH(25℃におけるpH、以下同じ)を原液pHとする。
なお、この原液pHは(A)過酸化水素の分解を考慮し、必要に応じて酸性物質やアルカリ性物質を添加し、8以下、好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7以下にすることが好ましい。
ついで、この原液にさらにバランスの水、最終製品のpH(最終pH)を調整するための酸、アルカリを加え、製品濃度に調整することにより、液体酸素系漂白剤組成物の皮膚刺激を低減する。最終pHは例えば、4〜7である。
【0062】
原液のpHを調整するための酸性物質としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体等の有機酸(通常は水溶液として用いる)が挙げられる。アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア(通常は水溶液として用いる)等が挙げられる。
【0063】
液体酸素系漂白剤組成物は、一般的に用いられている容器に収納することができる。
例えば、計量キャップを備えたノズル型容器や中栓型容器、自動計量機構または簡易計量機構を備えたスクイズ容器やポンプ容器、液を吹きかけるあるいは泡状に塗布するトリガー容器やスクイズ容器、液を塗りつける塗布面を持った塗布容器、詰め替え容器(パウチ、薄肉ボトル、付け替えボトル等)等が挙げられる。
特に限定するものではないが、過酸化水素製剤を収納する容器として好ましい容器が、例えば、特開2002−338997号公報、特開2004−149702号公報、特開平11−100594号公報等に提示されており、この様な形態のものは好適である。
この様に(A)成分と(B)成分とを含有する液体酸素系漂白剤組成物において、(C)成分を添加することにより、簡便に液体酸素系漂白剤組成物の刺激を低減することができる。
【0064】
本発明においては、過酸化水素と界面活性剤を配合した液体酸素系漂白剤組成物において、漂白力を低減させることなく、液体酸素系漂白剤組成物の皮膚への刺激を低減させることができる液体酸素系漂白剤組成物および刺激低減方法を提供することができる。
そのため、液体酸素系漂白剤組成物が皮膚に触れても、皮膚への刺激性が低減されているので、安全、安心で、しかも漂白性能に優れた液体酸素系漂白剤組成物が得られる。
【0065】
この様な効果が得られる理由は定かではないが、以下の様に考えられる。
過酸化水素が皮膚に付着すると、消毒剤オキシドールの使用時にも見られるように、皮膚が白化する現象が見られる。この白化は完全に可逆的である。
この現象は、皮膚に常在するカタラーゼの作用により、過酸化水素が分解され、急激に発生した酸素が皮膚の間に入り込んで、この皮膚の間に入り込んだ酸素が白く見えるためと考えられる。
また、過酸化水素や界面活性剤は、それ自体が皮膚に浸透して皮膚に対する刺激物となる。また、界面活性剤は過酸化水素の皮膚への浸透を促す役割も果たすと推測される。
本発明においては、ヘモグロビン凝集作用を有する(C)成分が、皮膚や粘膜の蛋白質を凝集、収れんさせることができ、これにより皮膚、粘膜の表面付近に、これらが緻密になった実質的なバリアが形成されるのではないかと考えられる。その結果、皮膚、粘膜内部に刺激の原因となる成分が浸透することを抑制できるのではないかと推測される。また、皮膚に常在するカタラーゼなどが、皮膚の表面に付着した液体酸素系漂白剤組成物中の成分に作用して、これを分解することなどを抑制できるのではないかと推測される。
【実施例】
【0066】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
また、「%」は特に説明がなければ「質量%」を示す。
【0067】
(実施例1〜5及び比較例1〜4)
表1の組成(合計100質量%で、配合組成の単位は質量%である。)に基づいて、まず、水の一部を除き、全体の97〜98質量%濃度になるように各成分を添加した原液を得た。次に、その後、残りのバランス量の水等を加えて、表1に示した値になるようにpH調整したもののpHを最終pHとし、表1に記載した。
表1に示す組成の実施例1〜5及び比較例1〜4の液体酸素系漂白剤組成物を得た。
これらについて、下記の方法に従って評価を行った。結果を表1にあわせて示した。
【0068】
[皮膚刺激性評価法]
試験は5人のパネラーで行い評価した。
手の指(腹側)1本に、液体酸素系漂白剤組成物を1滴垂らし、反対側の指(腹)でこすりつけ、水で洗わないで、放置10分後の皮膚の状態を観察し、以下の評価を行った。
5点:痛み、皮膚の白化の変化がまったくない。
4点:痛み、皮膚の白化にわずかな変化が認められる。
3点:痛み、皮膚の白化の変化が認められる。
2点:痛み、皮膚の白化の変化がかなり認められる。
1点:痛み、皮膚の白化の著しい変化が認められる。
5人の平均値が、4.5点以上を◎、4.4〜3.5点を○、3.4〜2.5点を△、2.5点未満を×とした。
【0069】
[漂白性能評価方法]
1)紅茶汚染布の作製方法
沸騰した水道水150mLに紅茶ティーバッグ(トワイニング社製、オレンジペコ)一袋を3分間入れた後取り出す。この液を木綿布(綿ブロード#100、5×5cm)に0.1mL滴下し、風乾した。
【0070】
2)汚染布に剤を0.2mlずつ5枚滴下し、5分間放置した後、Terg−O−Tometer(製品名、U.S.Testing社製)を用い洗浄した。なお洗浄条件は120rpm、25℃,4°DH水道水、浴比30(水900gに対して、汚染布を含めた布量が30gとなるよう白布の綿肌シャツを添加)、市販洗剤(ライオン(株)スーパートップ)500ppm)で10分間洗浄し、次いで1分間脱水し、2分間流水すすぎを行い、1分間脱水した。アイロンで乾燥後、反射率計(日本電色社製Σ90)を用いて下記の式により漂白洗浄率を求めた。なお、下記式において、白布は汚染前の布である。
【0071】
【数1】

【0072】
漂白洗浄率(%)を算出後、試験布5枚の平均値を求め、下記判定基準で性能を評価した。
76%以上を◎、75%〜51%を○、50%〜26%を△、25%以下を×とした。
【0073】
【表1】

【0074】
表1中の*1〜13は、下記の通りである。
a−1:*1:三菱瓦斯化学社製
b−1:*2:式(I)R:C1225、n=15(EMALEX715;日本エマルジョン社製 純度100%)
b−2:*3:炭素数10〜14アルキルベンゼンスルホン酸(ライポンLH−200;ライオン社製 純度96%)
b−3:*4:炭素数14のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム(リポランLB−440;ライオン社製 純度38%)
c−1:*5:スノーテックスXS (平均平均粒子径4-6nm、ヘモグロビン沈殿率90%)
(純分20質量%、日産化学製)
c−2:*6:スノーテックスS (平均平均粒子径8-11nm、ヘモグロビン沈殿率70%)
(純分20質量%、日産化学製)
c−3:*7:スノーテックスC (平均平均粒子径10-20nm、ヘモグロビン沈殿率48%)
(純分20質量%、日産化学製)
c−4:*8:クオートロンPL−20 (平均粒子径213nm、ヘモグロビン沈殿率8%)
(純分24質量%、扶桑化学工業社製)
d−4(上記化学式の番号に対応する化合物):*9:関東化学社製、酸化還元電位:0.80V
d−6(上記化学式の番号に対応する化合物):*10:MQ−F (製品名、川口化学社製 純度100%)
*11:95%エタノール(日本アルコール販売)
*12:SRN−170 アルキレンテレフタレート単位及び/またはアルキレンイソフタレート単位とポリオキシアルキレン単位を有する高分子化合物(クラリアント社製 純度70%)
*13:25%水酸化ナトリウム(旭硝子社製)、62.5%硫酸(日産化学工業社製)
【0075】
上記表1の結果からわかるように、本発明の範囲となる実施例1〜5は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べ、漂白効果が高く、皮膚への刺激が少ない漂白剤組成物であることが判明した。
なお、比較例1は、(C)成分、(D)成分が配合されていない場合、比較例2は、(A)成分が配合されていない場合、比較例3は、(C)成分に対応する成分のヘモグロビン凝集率が30%未満の場合、比較例4は、(B)成分が配合されていない場合である。いずれの比較例も、漂白効果と皮膚刺激低減効果を両立させることができないことがわかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)過酸化水素と、(B)界面活性剤と、(C)平均粒子径1〜300nmのヘモグロビン凝集作用を有する無機粒子を含有することを特徴とする液体酸素系漂白剤組成物。
【請求項2】
さらに(D)フェノール系ラジカルトラップ剤を含有する請求項1記載の液体酸素系漂白剤組成物。
【請求項3】
(A)過酸化水素と(B)界面活性剤とを含む液体酸素系漂白剤組成物に、(C)平均粒子径1〜300nmのヘモグロビン凝集作用を有する無機粒子を配合することにより、液体酸素系漂白剤組成物の皮膚に対する刺激を低減することを特徴とする、刺激低減方法。


【公開番号】特開2006−169370(P2006−169370A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363331(P2004−363331)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】