説明

液剤残量検出方法

【課題】液剤塗布ユニットに対して、液剤貯留圧送タンクによる液剤の供給時におけるタンク内の液剤残量検出を可能とする。
【解決手段】液剤貯留圧送タンク内の液剤を加圧する落し蓋に対し、上方に立てた液剤検出ロッドがあり、タンク上部のタンク蓋より上方に液剤検出ロッドを出し、液剤の減少量を目視やセンサーにより液剤残量検出を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤を塗布するディスペンサーに液剤を供給する液剤貯留圧送タンク内の、液剤の残量検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液剤塗布に関しては、各種業界分野に幅広く使用されている。近年液剤の粘度も、低粘度のものから高粘度のものまで一段と幅広くなってきている。また、一回の塗布使用量も超微少量から大容量まで幅広くなってきているが、いづれにしても連続生産をしている場合、ディスペンサーに供給するための液剤供給部の残量がどうなっているか検知することは重要である。
【0003】
ところで、従来より液剤供給部における液剤の残量検出方式には、図5に示すようなフロートが液剤と共に上下動することにより液面高さを検出するフロート方法や、図6に示すようなレベルゲージを外から見えるようにしたレベルゲージ方法や、図7に示す方法は、通電可能な液剤に静電容量を検出する検出片を差込み、液剤に触れているかどうかで検出を行う静電容量方法や、図8に示すようにファイバーにより検出する方法で、ファイバーセンサーの先端が図9の様に接液している場合と、図10の様に非接液時とで光の反射の異なりを検出する、ファイバーセンサー方法があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、上記各種方式の場合には使用する条件があり、たとえば、図5のフロート方法の場合液剤が低粘度でかつ液剤が硬化しないものに限定される。また図6のレベルゲージ方法の場合、液剤は低粘度もしくは中粘度までのものにしか対応できず、また液剤追加注入時などにおいては、気泡の混入などがあり扱いが難しい。また図7の静電容量方法の場合は、通電可能な液剤に限定されるし、図8のファイバーセンサー方法の場合は、低粘度液剤で、かつ透明な液剤に限定される。
【0005】
上記以外でも、塗布回数をカウントして想定する方法とか、液剤貯留圧送タンクの重量をロードセルなどでタンク重量を量る方法もあるが、大掛かりとなるし、また正確性に対してもタンクに取り付ける部材にもよるが不安定さが生じる場合がある。また、液剤面の高さ検出に超音波センサーを使用する方法もあるが、液剤を加圧する空間には使用不可である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
液剤を塗布するディスペンサーに液剤を供給するため、液剤貯留圧送タンクに液剤を入れ、液剤に対し落し蓋をする。落し蓋上部空間には加圧エアーを入れ液剤を加圧する。このため液剤貯留圧送タンク上部にはタンク蓋があり、タンク蓋には加圧エアー接続口や、ディスペンサーに液剤を供給するための中空ロッドがタンク蓋に固定され、かつ落し蓋に対して摺動可能な様に貫通させ、液剤の中に挿入している。また、落し蓋にはタンク蓋を貫通して液面と同様に上下動可能な様に動作する液剤検出ロッドが取り付けられていて、この液剤検出ロッドを包むように保護カバーがタンク上部に取り付いている。例えばポリカーボネートのような透明で剛性のある材料で保護カバーを組み付けることで、目視であるとか透過センサーなどで液剤の残量検出をする。
【0007】
また、液剤の供給を容易とするために、タンク蓋を着脱することにより、液剤供給容器ごと入れ替え可能な構成とすることにより、市販仕様の液剤供給容器の蓋を外し、液剤容器の入れ替えを可能とすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
液剤の種類、たとえば、液剤の粘度や透明度および導通性材料などに対する条件の制限なく、簡単な構造でかつ確実な液剤の残量検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】液剤塗布の一作動構成図
【図2】本発明の液剤残量検出の基本構成断面図
【図3】本発明の液剤残量検出における簡易液剤供給構成の断面図
【図4】本発明の液剤押圧落し蓋の一シール構成断面図
【図5】従来の液剤残量検出フロート方法の構成図
【図6】従来の液剤残量検出レベルゲージ方法の構成図
【図7】従来の液剤残量検出静電容量方法の構成図
【図8】従来の液剤残量検出ファイバーセンサー式の構成図
【図9】図8のファイバーセンサー先端の接液状態図
【図10】図8のファイバーセンサー先端の非接液状態図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1は液剤塗布に関する一実施形態の作動構成図を表したものである。
ディスペンサー1と液剤供給部2および液剤貯留圧送タンク3内を加圧するための空圧部4と液剤供給部2よりディスペンサー1に液剤5を供給するチューブ6より液剤5をディスペンサー1内の貯留部7に液剤5を供給し上部シリンダー8を駆動する空圧部9より構成されている。また10は塗布部材であり、ディスペンサー1を上下動させ所定の位置に液剤5を塗布させるものである。
【0011】
上記構成において、連続して塗布作業をしている場合、液切れを生じさせないようにして、生産に支障がないように液剤5を供給する必要がある。液体の残量を検知するために液剤供給部2に対して、本発明の液剤残量検出の基本構成を図2を用いて説明する。液剤貯留圧送タンク11内に液剤5を入れ、液剤5の上部には落し蓋12がある。また液剤貯留圧送タンク11の上部には、外部と密閉させる構造のタンク蓋13がある。
【0012】
タンク蓋13には、液剤貯留圧送タンク11内の液剤5を加圧し、ディスペンサー1へ液剤5を圧送するため、空圧部4より加圧エアーがレギュレーター14を経て、エアー接続口15より加圧エアーを注入し、落し蓋12を加圧する。レギュレーター14は、液剤5の粘度等により最適な液剤圧送を可能とするために加圧調整するためのものである。またエアー接続口15は、液剤貯留圧送タンク11の上部に設けてもよい。 16は加圧エアー溜まり部である。
また、前記ディスペンサー1に液剤5を圧送するための圧送パイプ17は、タンク蓋13に保持リング18により固定され、落し蓋12を貫通させて液剤5に挿入接液させている。液剤5は圧送パイプ17内を通り、接続しているチューブ6を経て、ディスペンサー1に液剤5を供給する。ディスペンサー1への供給の安定と、また液剤の残量検出を正確に検出するため、エアー溜まり部16のエアーがタンク蓋13から洩れないように適宜シールを施す。また、エアー溜まり部16内に液剤が入らないように、液剤貯留圧送タンク11内面に対し、タンク蓋外周にシールAの19を設けるとともに、タンク蓋12を貫通し液剤5を圧送供給するための圧送パイプの摺動部にもシールBの20を設け液上がりを防止している。
【0013】
液剤残量を検出する方法は、落し蓋12に取り付けられた液剤検出ロッド21は、タンク蓋13を貫通し、この液剤検出ロッド21を包み、かつエアー漏れしないようにした保護カバー22がタンク蓋13に取り付けられている。液剤残量と共に上下動する液剤検出ロッド21の位置を確認するため、保護カバー22は、強度が強く且つ透明な材料、たとえばポリカーボネートなどで構成することにより目視が可能であり、また透過センサー23で検出するとか、あるいは磁気センサー等により検出することも可能である。24は透過センサー23のブラケットである。
【0014】
図3は、液剤の供給を容易にするための構成であり、図2の方法と基本的には同じであるが、液剤供給タンク25は、荷姿の液剤容器蓋のみ取り外して出し入れ可能としたものである。
液剤貯留圧送タンク11内に、上記の液剤供給タンク25を、タンク蓋13を着脱することにより、出し入れ交換可能としたものである。26は液剤供給タンク25を位置決めするためのブロックであり、圧送パイプ17に対して落し蓋12がスムーズに上下動させるための位置決め用である。
他の構成は図2と同様である。
【0015】
図4は、液剤供給タンク25内の液剤5に対する落し蓋12と、液剤供給タンク25の内面とのシール構造の構成断面図であり、液剤5の圧送パイプ17に対して、液剤供給タンク25内の落し蓋12との中心が振れていても、対応しやすい構造としたものであり、シールCの27は板状のゴム等で構成したものである。
【0016】
図5、図6、図7、図8は従来の液剤残量検出方法の構成図であり、簡単に各図に対する方法および特徴について述べる。また基本構成は図2を参照のこと。図5はフロート方法による液剤残量検出方法であり、液剤貯留圧送タンク11内に液剤5が入っている。タンク蓋13には加圧エアーがエアー接続口15より注入されている。ディスペンサー1に液剤を圧送するため、液剤5は圧送パイプ17を通りチューブ6より液剤は供給されている。フロートセンサー28は液面のフロート29位置を検知する方法であるが、低粘度の液剤や硬化しない液剤に限られる。
次に図6はレベルゲージ方法であり、液剤貯留圧送タンク11に設けられたレベルゲージ30で確認する方法であるが、低粘度液体もしくは中粘度液体までであり、高粘度には適さず、液剤の注入時には気泡の混入などが生じやすく品質、安定性にかける。図7は静電容量方法であり、静電容量センサー31の先端が接液しているかどうかで検出をするが、通電可能な液剤のみとなる。図8はファイバーセンサー方法であり、ファイバーセンサー32の先端が接液しているかどうかで検出する方法である。ファイバーセンサー32の先端が、図9の様な接液時か図10の様な非接液時かにより、光の反射で確認するものであるが、透明性のある液体に限定される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の液体残量検出は、各種業界分野における液剤塗布に関する液剤供給に対して、粘度や着色の有無、および導通性に関係なく、幅広い液剤の残量検出に有用である。
【符号の説明】
【0018】
1 ディスペンサー
2 液剤供給部
5 液剤
11 液剤貯留圧送タンク
12 落し蓋
13 タンク蓋
16 加圧エアー溜まり部
17 圧送パイプ
21 液剤検出ロッド
25 液剤供給タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤を塗布するディスペンサーに液剤を供給する液剤貯留圧送タンクにおいて液剤貯留圧送タンクに液剤を入れ、液剤に対し落し蓋をする。また液剤貯留圧送タンクには密閉するためのタンク蓋を取り付け、落し蓋上部空間には加圧エアーを入れ液剤を加圧している。
ディスペンサーに液剤を供給するための中空ロッドがタンク蓋に固定され、かつ落し蓋に対しては摺動可能な様に貫通させ液剤の中に挿入されている。また、落し蓋にはタンク蓋を貫通して液面と同様に、上下動可能な様に固定された液剤検出ロッドが取り付けられており、この液剤検出ロッドを包むように保護カバーがタンク蓋上部に取り付けている。この液剤検出ロッドを目視もしくはセンサーにより、液剤残量の検出を可能としたことを特徴とした液剤残量検出方法。
【請求項2】
上記液剤貯留圧送タンクにおいて、このタンク内周面と液剤を加圧している上部の落し蓋外周部、およびディスペンサーへ液剤供給するための中空ロッド外周と、落し蓋の貫通穴部に対して、液剤の液上がりを防止するためにシール部を設けたことを特徴とする、請求項1記載の液剤残量検出方法。
【請求項3】
液剤貯留圧送タンク内への液剤供給に対して、タンク蓋を着脱することにより液剤供給容器ごと入れ替え可能としたことを特徴とする、請求項1記載の液剤残量検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−31824(P2013−31824A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178609(P2011−178609)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(591262861)エース技研株式会社 (5)
【Fターム(参考)】