説明

液化石油ガスの製造方法

原料ガスの流通方向に対して、前段にメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層を有し、後段にオレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層を有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを流通させて主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つから、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する方法に関する。
【背景技術】
液化石油ガス(LPG)は、常温常圧下ではガス状を呈する石油系もしくは天然ガス系炭化水素を圧縮し、あるいは同時に冷却して液状にしたものをいい、その主成分はプロパンまたはブタンである。液体の状態で貯蔵および輸送が可能なLPGは可搬性に優れ、供給にパイプラインを必要とする天然ガスとは違い、ボンベに充填した状態でどのような場所にでも供給することができるという特徴がある。そのため、プロパンを主成分とするLPG、すなわちプロパンガスが、家庭用・業務用の燃料として広く用いられている。現在、日本国内においても、プロパンガスは約2,500万世帯(全世帯の50%以上)に供給されている。また、LPGは、家庭用・業務用燃料以外にも、カセットコンロ、使い捨てライター等の移動体用の燃料(主に、ブタンガス)、工業用燃料、自動車用燃料としても使用されている。
従来、LPGは、1)湿性天然ガスから回収する方法、2)原油のスタビライズ(蒸気圧調整)工程から回収する方法、3)石油精製工程などで生成されるものを分離・抽出する方法などにより生産されている。
LPG、特に家庭用・業務用の燃料として用いられるプロパンガスは将来的にも需要が見込め、工業的に実施可能な、新規な製造方法を確立できれば非常に有用である。
LPGの製造方法として、“Selective Synthesis of LPG from Synthesis Gas”,Kaoru Fujimoto et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,58,p.3059−3060(1985)には、メタノール合成用触媒である4wt%Pd/SiO、Cu−Zn−Al混合酸化物[Cu:Zn:Al=40:23:37(原子比)]またはCu系低圧メタノール合成用触媒(商品名:BASF S3−85)と、SiO/Al=7.6の高シリカY型ゼオライトとから成るハイブリッド触媒を用い、合成ガスからメタノール、ジメチルエーテルを経由してC2〜C4のパラフィンを選択率69〜85%で製造する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、プロパン(C3)およびブタン(C4)の選択率は63〜74%程度であり、生成物はLPG製品として適したものとは言い難い。
また、上記の“Selective Synthesis of LPG from Synthesis Gas”,Bull.Chem.Soc.Jpn.,58,p.3059−3060(1985)に記載の方法により得られる生成物の主成分はブタンである。家庭用・業務用の燃料として用いられるLPGは、前述の通り、プロパンガスである。プロパンガスは、ブタンガスと比べて、低温下でも安定した高出力で燃焼を続けることができる利点がある。家庭用・業務用の燃料として、また工業用燃料、自動車用燃料としても広く用いられる易液化性燃料ガスとしては、冬季あるいは寒冷地においても十分な、より高い蒸気圧を持ち、かつ、燃焼時においてより高カロリーであるプロパンガスの方がブタンガスよりも優れている。
【発明の開示】
本発明の目的は、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを原料として、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを原料として、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスをより経済的に製造する方法を提供することである。
本発明によれば、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とから、触媒反応により、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造することを特徴とする液化石油ガスの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを触媒層に流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造することを特徴とする液化石油ガスの製造方法(第1のLPGの製造方法)が提供される。
また、本発明によれば、該触媒層が、原料ガスの流通方向に対して、
前段にメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層を有し、
後段にオレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層を有する上記の液化石油ガスの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、該触媒層が、原料ガスの流通方向に対して、
前段にメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層を有し、
中段にゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒成分とを含有する触媒層を有し、
後段にオレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層を有する上記の液化石油ガスの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水と水素とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法(第2−1のLPGの製造方法)が提供される。
また、本発明によれば、(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを流通させて、主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水と水素とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)ゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒成分とを含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法(第2−2のLPGの製造方法)が提供される。
また、本発明によれば、(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水と水素とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)ゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒成分とを含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロピレンまたはブテンであり、プロパンまたはブタンと水素とを含む反応ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と、
(3)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に、オレフィン含有ガス異性化・水素化工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法(第2−3のLPGの製造方法)が提供される。
また、本発明によれば、(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法(第3−1のLPGの製造方法)が提供される。
また、本発明によれば、(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)ゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法(第3−2のLPGの製造方法)が提供される。
また、本発明によれば、(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水とを含む反応ガスを得るオレフィン製造工程と、
(2)ゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを流通させて、主成分がプロピレンまたはブテンであり、プロパンまたはブタンと水素とを含む反応ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と、
(3)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に、オレフィン含有ガス異性化・水素化工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法(第3−3のLPGの製造方法)が提供される。
また、本発明によれば、(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒の存在下で、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと、分離工程においてオレフィン含有ガスから分離され、リサイクル工程においてオレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルされたエチレン含有物とから、含まれる炭化水素の主成分がプロピレンまたはブテンであり、エチレンを含むオレフィン含有ガスを製造するオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)オレフィン含有ガス製造工程において得られたオレフィン含有ガスから、エチレンを含むエチレン含有物を分離し、プロピレン含有物を得る分離工程と、
(3)分離工程において分離されたエチレン含有物の一部または全部を、オレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルするリサイクル工程と、
(4)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒の存在下で、分離工程において得られたプロピレン含有物と水素とから、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法(第4のLPGの製造方法)が提供される。
本発明によれば、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを原料として、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造することができる。
本発明によれば、例えば、プロパンの含有量が炭素量基準で50〜100%である液化石油ガスを製造することができる。また、本発明によれば、例えば、プロパンおよびブタンの合計含有量が炭素量基準で90〜100%である液化石油ガスを製造することができる。
また、本発明の第4のLPGの製造方法においては、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つから主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類含有ガスを製造した後、得られたオレフィン類からエチレンを分離し、これをオレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルする。
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン類含有ガスを製造する場合、メタノールの脱水によって生成するカルベン(HC:)の重合によってオレフィンが生成することから、通常、1種のオレフィンが得られることはなく、一定の組成分布を有する、2種以上のオレフィン類が得られる。炭素数3のプロピレンを主成分とするオレフィン類を製造した場合、得られるオレフィン含有ガス(反応ガス)には、プロピレン以外に、炭素数2のエチレンや、炭素数4のブテンなどが含まれる。
一方、反応原料のメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つにエチレンを添加しても、通常、得られるオレフィン含有ガスの組成分布が大きく変化することはなく、プロピレンまたはブテンを主成分とするオレフィン含有ガスが得られる。
従って、製造されるオレフィン含有ガスからエチレンを分離し、これをオレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルすることにより、結果的にプロピレンおよび/またはブテンの収量を増加させることができる。そのため、より高収率でメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからプロピレンおよび/またはブテン、さらにはプロパンおよび/またはブタンを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1のLPGの製造方法を実施するのに好適なLPG製造装置の一例について、主要な構成を示すプロセスフロー図である。
図2は、本発明の第2−1のLPGの製造方法を実施するのに好適なLPG製造装置の一例について、主要な構成を示すプロセスフロー図である。
図3は、本発明の第3−1のLPGの製造方法を実施するのに好適なLPG製造装置の一例について、主要な構成を示すプロセスフロー図である。
図4は、本発明の第4のLPGの製造方法を実施するのに好適なLPG製造装置の一例について、主要な構成を示すプロセスフロー図である。
主要な符号の説明
11 反応器
11a オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層
11b オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層
13、15 ライン
21 第1の反応器
21a オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層
22 第2の反応器
22a オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層
23、24、25 ライン
31 第1の反応器
31a オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層
32 第2の反応器
32a オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層
33、34、35、36 ライン
41 第1の反応器
41a オレフィン含有ガス合成用触媒
42 分離器
43 第2の反応器
43a オレフィン含有ガス水素化用触媒
411、412、413、415、416、417 ライン
414 リサイクルライン
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の第1のLPGの製造方法では、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを触媒層に流通させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する。
触媒層は、例えば、原料ガスの流通方向に対して、前段にメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層を有し、後段にオレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層を有する構成にすることができる。
触媒層は、また、原料ガスの流通方向に対して、前段にメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層を有し、中段にゼオライト触媒成分とオレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層を有し、後段にオレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層を有する構成にすることができる。
本発明の第2−1のLPGの製造方法では、まず、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを、オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に流通させ、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水と水素とを含む反応ガスを得て(オレフィン含有ガス製造工程)、次いで、この工程において得られた反応ガスを、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に流通させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する(オレフィン含有ガス水素化工程)。
また、第2−1のLPGの製造方法において、オレフィン含有ガス水素化工程に代えて、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスを、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層に流通させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程とすることができる(第2−2のLPGの製造方法)。
また、第2−1のLPGの製造方法において、オレフィン含有ガス水素化工程に代えて、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスを、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層に流通させ、主成分がプロピレンまたはブテンであり、プロパンまたはブタンと水素とを含む反応ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と、次いで、オレフィン含有ガス異性化・水素化工程において得られた反応ガスを、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に流通させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程とすることができる(第2−3のLPGの製造方法)。
本発明の第3−1のLPGの製造方法では、まず、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを含む原料ガスを、オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に流通させ、主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類を含む反応ガスを得て(オレフィン含有ガス製造工程)、次いで、この工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に流通させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する(オレフィン含有ガス水素化工程)。
また、第3−1のLPGの製造方法において、オレフィン含有ガス水素化工程に代えて、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層に流通させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程とすることができる(第3−2のLPGの製造方法)。
また、第3−1のLPGの製造方法において、オレフィン含有ガス水素化工程に代えて、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層に流通させ、主成分がプロピレンまたはブテンであり、プロパンまたはブタンと水素とを含む反応ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と、次いで、オレフィン含有ガス異性化・水素化工程において得られた反応ガスを、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に流通させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程とすることができる(第3−3のLPGの製造方法)。
ここで、ゼオライト触媒成分とは、メタノールから炭化水素への反応および/またはジメチルエーテルから炭化水素への反応において触媒作用を示すゼオライトを指す。
本発明のLPGの製造方法においては、反応原料として、メタノールまたはジメチルエーテルを単独で用いることもでき、また、メタノールとジメチルエーテルとの混合物を用いることもできる。原料としてメタノールとジメチルエーテルとの混合物を用いる場合、メタノールとジメチルエーテルとの含有比率は特に限定されない。また、反応原料として、水を含む未精製のメタノールなどを用いることもできる。
なお、メタノールからジメチルエーテルを製造し、これを反応原料とすることもできる。
上記のLPGの製造方法において、オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層は、2種以上のオレフィン含有ガス合成用触媒を含有していてもよい。また、生成するオレフィン類の主成分がプロピレンまたはブテンになるように反応を制御することが可能であれば、オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層は、1種以上のオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有していてもよい。オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層は、2層以上設けることもできる。また、オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層は、原料ガスの流通方向に対してその組成を変化させることもできる。
オレフィン含有ガス合成用触媒は、オレフィン水素化用触媒機能が付与された触媒であってもよい。このようなものとしては、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを併せ持つ触媒、具体的には、後述するゼオライト触媒成分からなるオレフィン含有ガス合成用触媒を、オレフィン水素化用触媒成分であるFe,Ni,Pd,Pt等の金属などで修飾(担持、イオン交換、骨格置換、あるいは、これらの金属成分を別途担体に担持して混合)した触媒が挙げられる。
上記のLPGの製造方法において、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層は、2種以上のオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有していてもよく、また、1種以上のオレフィン含有ガス合成用触媒を含有していてもよい。オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層は、2層以上設けることもできる。また、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層は、原料ガスの流通方向に対してその組成を変化させることもできる。
オレフィン含有ガス水素化用触媒は、オレフィン含有ガス合成用触媒機能が付与された触媒であってもよい。なお、このものは、オレフィン水素化用触媒機能が付与されたオレフィン含有ガス合成用触媒と同様のものである。
上記のLPGの製造方法において、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層は、2種以上のゼオライト触媒成分を含有していてもよく、また、2種以上のオレフィン水素化用触媒成分を含有していてもよい。ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層は、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを混合したものであってもよいし、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを併せ持つ触媒であってもよい。ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層は、2層以上設けることもできる。また、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層は、原料ガスの流通方向に対してその組成を変化させることもできる。
また、触媒層は、オレフィン含有ガス合成用触媒成分(ゼオライト触媒成分)、オレフィン水素化用触媒成分以外の添加成分を含有していてもよい。例えば、石英砂などで触媒を希釈して触媒層とすることができる。
上記のLPGの製造方法においては、下記式(I)に従って、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つから主成分がプロパンまたはブタンであるLPGを製造する。

本発明においては、オレフィン含有ガス合成用触媒であるゼオライトの細孔内の空間場に配座する酸点と塩基点との協奏作用により、メタノールの脱水によってカルベン(HC:)が生成する。そして、このカルベンの重合によって、2量体としてエチレンが、3量体として、あるいは、エチレンとの反応によってプロピレンが、4量体として、あるいは、プロピレンとの反応によって、あるいは、エチレンの2量化によってブテンが生成すると考えられる。また、エチレンなどの分解によってもカルベンが生成すると考えられる。
このオレフィンの生成過程においては、メタノールの脱水2量化によるジメチルエーテルの生成、ジメチルエーテルの水和によるメタノールの生成、低級オレフィンの重合による高級オレフィンの生成、高級オレフィンの分解、オレフィンの環化、異性化による芳香族炭化水素、共役炭化水素化合物および飽和炭化水素の生成、シクロペンタジエニル構造などを有する共役炭化水素化合物のタールまたはコークス化などの反応が起こると考えられる。
本発明においては、上記反応のうち、目的とするLPGに相当する炭素数のオレフィン、パラフィンまたはその前駆体の生成反応、すなわち、カルベンの生成反応、カルベンの重合によるエチレン、プロピレン、ブテンなど低級オレフィンの生成反応、カルベンとエチレンまたはプロピレンの反応およびエチレンの2量化反応、高級オレフィンの分解以外の反応を抑制することが重要である。さらには、生成するオレフィン類の主成分がプロピレンまたはブテンになるように反応を制御することが重要である。
そのためには、オレフィン含有ガス合成用触媒および/またはゼオライト触媒成分として、適当な酸強度、酸量(酸濃度)および細孔径を有するゼオライトを用いることが重要である。
オレフィン含有ガス合成用触媒、および、ゼオライト触媒成分としては、例えば、ZSM−34、ZSM−5、好ましくはSi/Al比(原子比)が100以下である高シリカZSM−5、SAPO−34等のシリコアルミノフォスフェート(SAPO)、ECR−1、マズモライト、ECR−18等の合成ポーリンジャイト型ゼオライトなどが挙げられる。また、Ni、Co、Fe、Pt、Pd、Cu、Ag等の金属、または、Mg、P、ランタニド等の元素を含有する、あるいは、これらの金属、元素またはTi、Nb等でイオン交換した上記のゼオライトも挙げられる。金属や化合物を含有させる、あるいは、金属や化合物でイオン交換することによって、また、コークを堆積させることによって、ゼオライトの酸強度や酸量を調整することが可能である。しかも、ゼオライトの酸強度や酸量を平均的にだけではなく、例えば、ゼオライト細孔外、細孔入口付近、細孔内部に分けて調整することが可能である。さらに、酸強度や酸量の調整と共に、同時にあるいは別途、細孔径を微妙に調節することも可能である。なお、金属や化合物を含有させる、あるいは、金属や化合物でイオン交換すると共に、コークを堆積させることもできる。オレフィン含有ガス合成用触媒、および、ゼオライト触媒成分としては、中でも、高シリカZSM−5、SAPO−34が好ましく、Si/Al比(原子比)が100以下、より好ましくは20以上70以下であるZSM−5、あるいは、この骨格のAlの半分以下の部分がFeで置換されたMFI構造のメタロシリケートがより好ましい。
生成するオレフィン類の主成分がプロピレンまたはブテンになるようにするためには、反応条件、特に原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒との接触時間を制御することも重要である。カルベンの重合、オレフィンの重合など、オレフィンの生成反応は逐次反応であり、原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒との接触時間が長くなるほど、炭素数の多いオレフィンが得られる傾向がある。
プロピレンまたはブテンを主成分とするオレフィン類含有ガスが得られる原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒との接触時間は、用いる触媒の種類や、その他の反応条件などによって異なる。本発明においては、予めオレフィン含有ガスの合成反応を行い、原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒との接触時間を決定することもできる。
前述の通り、本発明においては、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層がオレフィン含有ガス合成用触媒を含有していてもよいが、その場合、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層においてもカルベンの重合、オレフィンの重合などの反応が進行する点を考慮して、より炭素数の多いオレフィンの生成反応、すなわち、目的とするLPG相当の炭素数のオレフィンの消滅反応が進行しないように、原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒との接触時間を決定することが必要である。
また、ゼオライト触媒成分とオレフィン含有ガス水素化用触媒成分とを含有する触媒層を用いる場合、この触媒層においてもカルベンの重合、オレフィンの重合などの反応が進行する点を考慮して、より炭素数の多いオレフィンの生成反応、すなわち、目的とするLPG相当の炭素数のオレフィンの消滅反応が進行しないように、原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒および/またはゼオライト触媒成分との接触時間を決定することが必要である。
一方、オレフィン含有ガス水素化用触媒、および、オレフィン水素化用触媒成分としては、公知の水素化触媒、および、公知のオレフィン水素化用触媒成分、具体的には、Fe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,Cu,Re等の金属または合金、Cu,Co,Ni,Cr,Zn,Re,Mo,W等の金属の酸化物、Co,Re,Mo,W等の金属の硫化物などが挙げられる。また、これらの触媒をカーボン、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、ゼオライト等の担体に担持して、あるいは、これらと混合して用いることもできる。オレフィン含有ガス水素化用触媒としては、中でも、ニッケル触媒、パラジウム触媒、白金触媒などが好ましい。オレフィン水素化用触媒成分としては、中でも、Fe,Ni,Pd,Ptなどが好ましい。
なお、ゼオライト触媒成分とオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層中のゼオライト触媒成分に対するオレフィン水素化用触媒成分の含有比率(質量基準)は適宜決めることができるが、通常、0.5〜1.5が好ましい。
また、生成するオレフィン類の主成分がプロピレンまたはブテンになるように反応を制御することが可能であれば、第1のLPGの製造方法において、触媒層は、オレフィン含有ガス合成用触媒とオレフィン含有ガス水素化用触媒とを含有する触媒層1層以上、あるいは、オレフィン水素化用触媒機能が付与されたオレフィン合成用触媒を含有する触媒層1層以上とすることもできる。
次に、図面を参照しながら、本発明のLPGの製造方法(第1のLPGの製造方法、第2−1のLPGの製造方法、第3−1のLPGの製造方法)の一実施形態について説明する。
図1に、本発明の第1のLPGの製造方法を実施するのに好適なLPG製造装置の一例を示す。
まず、反応原料であるメタノールおよび/またはジメチルエーテルと水素とが、ライン13を経て、反応器11に供給される。反応器11内には、原料ガスの流通方向に対して前段(ここでは、上層)にオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層11aが、後段(ここでは、下層)にオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層11bが備えられている。
原料ガス中のメタノールおよび/またはジメチルエーテルの濃度は、用いる触媒の種類や反応条件等に応じて適宜決めることができる。また、原料ガス中のメタノールおよび/またはジメチルエーテルに対する水素の含有比率も、用いる触媒の種類や反応条件等に応じて適宜決めることができる。
メタノールおよび/またはジメチルエーテルと水素とは混合して反応器に供給してもよく、また、別々に反応器に供給してもよい。
原料ガスは、メタノールおよび/またはジメチルエーテルと水素とを、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈したものであってもよい。また、原料ガスには水蒸気を含有させることもできる。
反応器11内において、オレフィン含有ガス合成用触媒の存在下、メタノールおよび/またはジメチルエーテルから主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類含有ガスが合成される。次いで、オレフィン含有ガス水素化用触媒の存在下、生成したオレフィンが水素化され、主成分がプロパンまたはブタンであるパラフィンが合成される。
反応は、通常、固定床で行われる。原料ガス組成、反応温度、反応圧力、触媒との接触時間などの反応条件は、用いる触媒の種類、性能、形状等に応じて適宜決めることができる。
合成されたパラフィンは加圧・冷却され、ライン15から製品となるLPGが得られる。LPGは、気液分離などにより水素等を除去してもよい。
なお、図示しないが、LPG製造装置には、昇圧機、熱交換器、バルブ、計装制御装置などが必要に応じて設けられる。
図2に、本発明の第2−1のLPGの製造方法を実施するのに好適なLPG製造装置の一例を示す。
まず、反応原料であるメタノールおよび/またはジメチルエーテルと水素とが、ライン23を経て、第1の反応器21に供給される。第1の反応器21内には、オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層21aが備えられている。
原料ガス中のメタノールおよび/またはジメチルエーテルの濃度は、用いる触媒の種類や反応条件等に応じて適宜決めることができる。また、原料ガス中のメタノールおよび/またはジメチルエーテルに対する水素の含有比率も、用いる触媒の種類や反応条件等に応じて適宜決めることができる。
メタノールおよび/またはジメチルエーテルと水素とは混合して反応器に供給してもよく、また、反応熱の除去を目的に、別々に反応器に供給、例えば、メタノールおよび/またはジメチルエーテル、あるいは、水素を反応器の途中に供給してもよい。
また、原料ガスには水蒸気を含有させることもできる。原料ガスには、その他に、不活性ガスなどを含有させることもできる。
第1の反応器21内において、オレフィン含有ガス合成用触媒の存在下、メタノールおよび/またはジメチルエーテルから主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類含有ガスが合成される。
反応は、固定床でも流動床でも移動床でも行うことができる。触媒層を2層以上設けるときには、固定床で行うことが好ましい。原料ガス組成、反応温度、反応圧力、触媒との接触時間などの反応条件は、用いる触媒の種類、性能、形状等に応じて適宜決めることができる。
このようにして得られた、主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水素とを含む反応ガスは、ライン24を経て、第2の反応器22に供給される。第2の反応器22内には、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層22aが備えられている。
第1の反応器21において得られた反応ガスに、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを添加して第2の反応器22に供給することもできる。また、第1の反応器21において得られた反応ガスに、さらに水素を添加して第2の反応器22に供給することもできる。
第2の反応器22内において、オレフィン含有ガス水素化用触媒の存在下、第1の反応器21内において生成したオレフィン含有ガスが水素化され、主成分がプロパンまたはブタンであるパラフィンが合成される。
反応は、固定床でも流動床でも移動床でも行うことができる。触媒層を2層以上設けるときには、固定床で行うことが好ましい。反応温度、反応圧力、触媒との接触時間などの反応条件は、用いる触媒の種類、性能、形状等に応じて適宜決めることができる。
合成されたパラフィンは加圧・冷却され、ライン25から製品となるLPGが得られる。LPGは、気液分離などにより水素等を除去してもよい。
なお、図示しないが、LPG製造装置には、昇圧機、熱交換器、バルブ、計装制御装置などが必要に応じて設けられる。
図3に、本発明の第3−1のLPGの製造方法を実施するのに好適なLPG製造装置の一例を示す。
まず、反応原料であるメタノールおよび/またはジメチルエーテルが、ライン33を経て、第1の反応器31に供給される。第1の反応器31内には、オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層31aが備えられている。
原料ガス中のメタノールおよび/またはジメチルエーテルの濃度は、用いる触媒の種類や反応条件等に応じて適宜決めることができる。
原料ガスであるメタノールおよび/またはジメチルエーテルを、反応熱の除去あるいは反応の選択性の向上を目的に、一部を分割して反応器に供給、例えば、一部を反応器の途中に供給してもよい。
また、原料ガスには水蒸気を含有させることもできる。原料ガスには、その他に、不活性ガスなどを含有させることもできる。
第1の反応器31内において、オレフィン含有ガス合成用触媒の存在下、メタノールおよび/またはジメチルエーテルから主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類含有ガスが合成される。
反応は、固定床でも流動床でも移動床でも行うことができる。触媒層を2層以上設けるときには、固定床で行うことが好ましい。原料ガス組成、反応温度、反応圧力、触媒との接触時間などの反応条件は、用いる触媒の種類、性能、形状等に応じて適宜決めることができる。
このようにして得られた、主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類を含む反応ガスは、ライン34を経て、第2の反応器32に供給される。一方、水素含有ガスが、ライン36を経て、第2の反応器32に供給される。水素含有ガスとしては、水素ガスや、水素を窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈したものが挙げられる。第2の反応器32内には、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層32aが備えられている。
反応ガスに対する水素の供給量は、用いる触媒の種類や反応条件等に応じて適宜決めることができる。また、水素含有ガス中の水素濃度は適宜決めることができる。
また、反応ガスと水素含有ガスとは、予め混合した後に第2の反応器32に供給してもよいし、別々に第2の反応器32に供給してもよい。
第2の反応器32内において、オレフィン含有ガス水素化用触媒の存在下、第1の反応器31内において生成したオレフィン含有ガスが水素化され、主成分がプロパンまたはブタンであるパラフィンが合成される。
反応は、固定床でも流動床でも移動床でも行うことができる。触媒層を2層以上設けるときには、固定床で行うことが好ましい。原料ガス組成、反応温度、反応圧力、触媒との接触時間などの反応条件は、用いる触媒の種類、性能、形状等に応じて適宜決めることができる。
合成されたパラフィンは加圧・冷却され、ライン35から製品となるLPGが得られる。LPGは、気液分離などにより水素等を除去してもよい。
なお、図示しないが、LPG製造装置には、昇圧機、熱交換器、バルブ、計装制御装置などが必要に応じて設けられる。
以上のようにして、本発明ではメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからLPGを製造する。
第1のLPGの製造方法は、少ない工程でLPGを製造することができる点で好ましい。一方、第2−1〜第2−3のLPGの製造方法、第3−1〜第3−3のLPGの製造方法は、それぞれの反応工程において最適条件で反応を行うことができる点で、また、それぞれの反応工程出口において反応ガスのしかるべき成分の分離、除去、リサイクル、バイパスなど、新たな成分の添加などが可能であり、各工程単位でのモニタリングが可能となり、各工程単位での運転調節や触媒の前処理、再生・賦活、充填、交換などができる点で好ましい。
次に、経済性の点から、より好ましい第4のLPGの製造方法について説明する。なお、第4のLPGの製造方法は、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つから主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン含有ガスを製造した後、得られたオレフィン含有ガスからエチレンを分離し、これをオレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルすること以外は、第3−1のLPGの製造方法と同様のものである。
第4のLPGの製造方法のオレフィン含有ガス製造工程では、オレフィン含有ガス合成用触媒の存在下でメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと、後述の分離工程においてオレフィン含有ガスから分離されたエチレン含有物とから、含まれる炭化水素の主成分がプロピレンまたはブテンであり、エチレンを含むオレフィン含有ガスを製造する。なお、このオレフィン含有ガスは、オレフィン類、パラフィン類以外に、副生する水を含む。
反応原料としては、メタノールまたはジメチルエーテルを単独で用いることもでき、また、メタノールとジメチルエーテルとの混合物を用いることもできる。原料としてメタノールとジメチルエーテルとの混合物を用いる場合、メタノールとジメチルエーテルとの含有比率は特に限定されない。また、反応原料として、水を含む未精製のメタノールなどを用いることもできる。
なお、メタノールからジメチルエーテルを製造し、これを反応原料とすることもできる。
反応器に送入されるガス(以下、原料ガスとも言う。)中のエチレン含有物の含有量、すなわちリサイクル原料の含有量は適宜決めることができ、例えば、10〜50重量%とすることができる。
このオレフィン含有ガス製造工程においては、下記式(II)に従って、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つから、主成分がプロピレンまたはブテンであり、エチレンを含むオレフィン含有ガスを製造する。

第4のLPGの製造方法においても、生成するオレフィン類の主成分がプロピレンまたはブテンになるようにするためには、オレフィン含有ガス合成用触媒として、適当な酸強度、酸量(酸濃度)および細孔径を有するゼオライトを用いることが重要である。
オレフィン含有ガス合成用触媒としては、前記のものが挙げられ、第4のLPGの製造方法においても、オレフィン含有ガス合成用触媒としては、高シリカZSM−5、SAPO−34が好ましく、Si/Al比(原子比)が100以下、より好ましくは20以上70以下であるZSM−5、あるいは、この骨格のAlの半分以下の部分がFeで置換されたMFI構造のメタロシリケートがより好ましい。
また、第4のLPGの製造方法においても、生成するオレフィン類の主成分がプロピレンまたはブテンになるようにするためには、反応条件、特に原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒との接触時間を制御することも重要である。
プロピレンまたはブテンを主成分とするオレフィン類含有ガスが得られる原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒との接触時間は、用いる触媒の種類や、その他の反応条件などによって異なる。本発明においては、予めオレフィン含有ガスの合成反応を行い、原料ガスとオレフィン含有ガス合成用触媒との接触時間を決定することもできる。
第4のLPGの製造方法においても、オレフィン含有ガス合成用触媒は、一種を用いても、二種以上を併用してもよい。また、オレフィン含有ガス合成用触媒は、その所望の効果を損なわない範囲内で必要により他の添加成分を含有していてもよい。例えば、石英砂などで上記の触媒を希釈して用いることができる。
オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層は、2層以上設けることもできる。また、オレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層は、原料ガスの流通方向に対してその組成を変化させることもできる。
反応は、固定床でも流動床でも移動床でも行うことができる。触媒層を2層以上設けるときには、固定床で行うことが好ましい。原料ガス組成、反応温度、反応圧力、触媒との接触時間などの反応条件は、用いる触媒の種類、性能、形状等に応じて適宜決めることができる。
例えば、オレフィン含有ガス合成用触媒としてプロトン型ZSM−5ゼオライトを用いる場合、以下のような条件で反応を行うことができる。
反応器に送入されるガスは、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つ、後述の分離工程においてオレフィン含有ガスから分離されたエチレン含有物以外に、例えば、水、不活性ガスなどを含むものであってもよい。また、反応原料としてメタノールとジメチルエーテルとの混合物を用いる場合、メタノールとジメチルエーテルとの含有比率は特に限定されず、適宜決めることができる。反応器に送入されるガス中のエチレン含有物の含有量は適宜決めることができ、例えば、10〜50重量%とすることができる。
反応器入口温度は、活性の点から、300℃以上が好ましく、320℃以上がより好ましい。また、反応器入口温度は、選択性および触媒寿命の点から、470℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。
反応圧力は、活性、選択性および装置の操作性の点から、0.1MPa以上が好ましく、0.13MPa以上がより好ましい。また、反応圧力は、経済性、安全性の点から、2MPa以下が好ましく、0.99MPa以下がより好ましい。
ガス空間速度は、経済性の点から、2000hr−1以上が好ましく、4000hr−1以上がより好ましい。また、ガス空間速度は、活性および選択性の点から、60000hr−1以下が好ましく、30000hr−1以下がより好ましい。
反応器に送入されるガスは、分割して反応器に送入し、それにより反応温度を制御することもできる。
反応は固定床、流動床、移動床などで行うことができるが、反応温度の制御と触媒の再生方法との両面から選定することが好ましい。例えば、固定床としては、内部多段クエンチ方式などのクエンチ型反応器、多管型反応器、複数の熱交換器を内包するなどの多段型反応器、多段冷却ラジアルフロー方式や二重管熱交換方式や冷却コイル内蔵式や混合流方式などその他の反応器などを用いることができる。
オレフィン含有ガス合成用触媒は、温度制御を目的として、シリカ、アルミナなど、あるいは、不活性で安定な熱伝導体で希釈して用いることもできる。また、オレフィン含有ガス合成用触媒は、温度制御を目的として、熱交換器表面に塗布して用いることもできる。
第4のLPGの製造方法の分離工程では、上記のオレフィン含有ガス製造工程において得られたオレフィン含有ガスから、必要に応じて水分や、未反応の原料であるメタノールおよび/またはジメチルエーテルなどを公知の方法によって分離した後、エチレン含有物を分離し、プロピレン含有物を得る。
プロピレン含有物は、含まれるオレフィンの主成分がプロピレンまたはブテンであり、含まれるオレフィンの主成分がプロピレンであることがより好ましい。
一方、分離されるエチレン含有物は、含まれるオレフィンの主成分がエチレンであり、他の成分を含んでいてもよいが、C2成分(エチレン、エタン)の含有量が高いほど好ましく、具体的には、80重量%以上であることが好ましい。
また、プロピレンの含有量がより高いプロピレン含有物を得る目的で、オレフィン含有ガスからエチレン含有物を分離する前、あるいは、分離した後、含まれるオレフィンの主成分がブテンであるブテン含有物を分離することもできる。オレフィン含有ガスを、一度に、プロピレン含有物と、エチレン含有物と、ブテン含有物とに分離してもよい。ブテン含有物を分離することにより、プロピレン含有物中のプロピレンの含有量を多くすることができ、その結果、製造されるLPG中のプロパンの含有量を多くすることができる。
ここで、プロピレンの沸点より低い沸点を持つ物質(低沸点成分)が、エチレン含有物となる。また、プロパンの沸点より高い沸点を持つ物質(高沸点成分)が、ブテン含有物となる。
エチレン含有物の分離は、例えば、気液分離、吸収分離、蒸留など公知の方法によって行うことができる。より具体的には、加圧常温での気液分離や吸収分離、冷却しての気液分離や吸収分離、あるいは、その組み合わせによって行うことができる。また、膜分離や吸着分離によって行うこともでき、これらと気液分離、吸収分離、蒸留との組み合わせによって行うこともできる。エチレン含有物の分離には、製油所で通常用いられているガス回収プロセス(「石油精製プロセス」石油学会/編、講談社サイエンティフィク、1998年、p.28〜p.32記載)を適用することができる。
なお、分離条件は、公知の方法に従って適宜決めることができる。
エチレンの含有量がより高いエチレン含有物をオレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルする目的で、得られたエチレン含有物から、さらに、エチレン以外の低沸点成分を公知の方法によって分離してもよい。
ブテン含有物を分離した場合、必要に応じてブテン、ブタン以外の高沸点成分を公知の方法によって分離した後、水素と反応させて主成分がブタンである液化石油ガスを製造することができる。また、エチレン含有物と同様に、ブテン含有物の一部または全部をオレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルすることも可能である。
オレフィン含有ガス水素化工程に送るプロピレン含有物中のプロピレン、プロパン、ブテンおよびブタンの合計含有量は高いほど好ましく、具体的には、70重量%以上であることが好ましい。特に、オレフィン含有ガス水素化工程に送るプロピレン含有物中のプロピレンおよびプロパンの含有量が高いほど好ましく、具体的には、50重量%以上であることが好ましい。
第4のLPGの製造方法のリサイクル工程では、上記の分離工程においてオレフィン含有ガスから分離されたエチレン含有物の一部または全部を、オレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルする。
分離工程において分離されたエチレン含有物は、経済性の点から、すべてオレフィン含有ガス製造工程にリサイクルすることが好ましいが、一部を系外に抜き出し、残りをオレフィン含有ガス製造工程にリサイクルすることもできる。
分離工程において分離されたエチレン含有物をリサイクルするためには、適宜リサイクルラインに昇圧手段を設ける等、公知の技術を採用することができる。
第4のLPGの製造方法のオレフィン含有ガス水素化工程では、オレフィン含有ガス水素化用触媒の存在下で、上記の分離工程において得られたプロピレン含有物と水素とから、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する。
このオレフィン含有ガス水素化工程においては、下記式(III)に従って、プロピレンと水素とを反応させ、プロパンを製造し、下記式(IV)に従って、ブテンと水素とを反応させ、ブタンを製造する。

オレフィン含有ガス水素化用触媒としては、前記のものが挙げられ、第4のLPGの製造方法においても、オレフィン含有ガス水素化用触媒としては、ニッケル触媒、パラジウム触媒、白金触媒などが好ましい。
第4のLPGの製造方法においても、オレフィン含有ガス水素化用触媒は、一種を用いても、二種以上を併用してもよい。また、オレフィン含有ガス水素化用触媒は、その所望の効果を損なわない範囲内で必要により他の添加成分を含有していてもよい。例えば、石英砂などで上記の触媒を希釈して用いることができる。
オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層は、2層以上設けることもできる。また、オレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層は、原料ガスの流通方向に対してその組成を変化させることもできる。
反応は、固定床でも流動床でも移動床でも行うことができる。触媒層を2層以上設けるときには、固定床で行うことが好ましい。原料ガス組成、反応温度、反応圧力、触媒との接触時間などの反応条件は、公知の方法に従い、用いる触媒の種類、性能、形状等に応じて適宜決めることができる。
例えば、オレフィン含有ガス水素化用触媒としてPd−アルミナ(パラジウム担持アルミナ)を用いる場合、以下のような条件で反応を行うことができる。
反応器に送入されるガス中のプロピレン含有物の含有量は、プロピレン含有物の組成(プロピレン含有量、ブテン含有量)等に応じて適宜決めることができ、例えば、10〜80%とすることができる。
反応器に送入されるガス中のプロピレン含有物と水素との含有比率は、プロピレン含有物の組成(プロピレン含有量、ブテン含有量)等に応じて適宜決めることができる。通常、反応器に送入されるガス中のオレフィン(主にプロピレン、ブテン)に対する水素の含有比率(モル基準)は、オレフィンをより十分に水素化する点から、1.1[H/C2n]以上が好ましく、1.5[H/C2n]以上がより好ましい。また、反応器に送入されるガス中のオレフィン(主にプロピレン、ブテン)に対する水素の含有比率(モル基準)は、経済性の点から、10[H/C2n]以下が好ましく、5[H/C2n]以下がより好ましい。
反応器に送入されるガスは、プロピレン含有物、水素以外に、例えば、水、不活性ガスなどを含むものであってもよい。
なお、分離工程において得られたプロピレン含有物と水素とは、混合して反応器に供給してもよく、また、別々に反応器に供給してもよい。また、反応器に送入されるガスは、分割して反応器に送入してもよい。
反応温度は、活性の点から、120℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましい。また、反応温度は、選択性および反応熱除去の点から、400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましい。
反応圧力は、活性の点から、0.11MPa以上が好ましく、0.13MPa以上がより好ましい。また、反応圧力は、経済性および安全性の点から、3MPa以下が好ましく、2MPa以下がより好ましい。
ガス空間速度は、経済性の点から、1000hr−1以上が好ましく、1500hr−1以上がより好ましい。また、ガス空間速度は、活性の点から、40000hr−1以下が好ましく、20000hr−1以下がより好ましい。
次に、図面を参照しながら、本発明のLPGの製造方法(第4のLPGの製造方法)の一実施形態について説明する。
図4に、本発明の第4のLPGの製造方法を実施するのに好適なLPG製造装置の一例を示す。
まず、反応原料であるメタノールおよび/またはジメチルエーテルが、ライン411および412を経て、第1の反応器41に供給される。さらに、原料としてリサイクルされるエチレン含有物が、分離器42からリサイクルライン414およびライン412を経て、第1の反応器41に供給される。第1の反応器41内には、オレフィン含有ガス合成用触媒41aが備えられている。この第1の反応器41内において、オレフィン含有ガス合成用触媒41aの存在下、メタノールおよび/またはジメチルエーテルと、エチレン含有物とから、主成分がプロピレンまたはブテンであり、エチレンを含むオレフィン類と、水とを含む反応ガスが合成される。
このようにして得られた、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであり、エチレンを含むオレフィン類と水とを含む反応ガスは、気液分離などにより水分などが除去された後、ライン413を経て、分離器42に供給される。この分離器42内において、水分などが除去された反応ガス、すなわち、合成されたオレフィン類含有ガスは、主成分がプロピレンまたはブテンであるプロピレン含有物と、プロピレンの沸点より低い沸点を持つ、主成分がエチレンであるエチレン含有物(低沸点成分)とに分離される。
なお、合成されたオレフィン類含有ガスから、プロパンの沸点より高い沸点を持つ、主成分がブテンまたはブタンであるブテン・ブテン含有物(高沸点成分)を分離してもよい。
分離されたエチレン含有物は、リサイクルライン414およびライン412により、第1の反応器41にリサイクルされる。
一方、分離器42内において分離されたプロピレン含有物は、ライン415を経て、第2の反応器43に供給される。また、水素が、ライン416を経て、第2の反応器43に供給される。第2の反応器43内には、オレフィン含有ガス水素化用触媒43aが備えられている。この第2の反応器43内において、オレフィン含有ガス水素化用触媒43aの存在下、プロピレンまたはブテンを主成分とするオレフィン類が水素化され、主成分がプロパンまたはブタンであるパラフィンが合成される。
合成されたパラフィンは加圧・冷却され、ライン417から製品となるLPGが得られる。LPGは、気液分離などの公知の方法により水素、メタン、エタンや、炭素数5以上のオレフィン、ナフサ、油分等を除去してもよい。
なお、図示しないが、LPG製造装置には、昇圧機、熱交換器、バルブ、計装制御装置などが必要に応じて設けられる。
以上のようにして、本発明の第4のLPGの製造方法ではメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからLPGを製造する。
本発明のLPGの製造方法によれば、主成分がプロパンまたはブタンであるLPG、具体的にはプロパンおよびブタンの合計含有量が炭素量基準で90%以上、さらには95%以上(100%も含む)であるLPGを製造することができる。
また、本発明のLPGの製造方法によれば、主成分がプロパンであるLPG、具体的にはプロパンの含有量が炭素量基準で50%以上、さらには60%以上、さらには90%以上(100%も含む)であるLPGを製造することができる。本発明により製造されるLPGは、家庭用・業務用の燃料として広く用いられているプロパンガスに適した組成を有するものである。
また、本発明において原料として用いるメタノールは、天然ガス(メタン)の水蒸気改質法、複合改質法あるいは自己熱改質法により製造される合成ガスや、石炭コークスから製造される水性ガスなどを原料として工業的に、大規模に製造されている。メタノールからLPGを製造する本発明は、工業的にも実施可能なLPGの製造方法として期待できる。
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
図1に示すLPG製造装置を用いてLPGを製造した。オレフィン含有ガス合成用触媒としては、Si/Al比(原子比)が25.0であるH−ZSM−5を乾燥基準で73.5重量%、アルミナバインダー(触媒化成工業株式会社製、カタロイドAP)を乾燥基準で26.5重量%混合し、湿式成形、乾燥、焼成して得た触媒を用いた。オレフィン含有ガス水素化用触媒としては、2.0重量%Pt/カーボン触媒(エヌイー・ケム・キャット社製)を用いた。オレフィン含有ガス合成用触媒、オレフィン含有ガス水素化用触媒は、いずれも、同一形状の1/32インチ円柱形状押し出し成形品を用いた。
組成がメタノール50モル%、水素50モル%の原料ガスを、前段(50%反応器容積)が前記のオレフィン含有ガス合成用触媒から成る第1の触媒層であり、後段(50%反応器容積)が前記のオレフィン含有ガス水素化用触媒と前記のオレフィン含有ガス合成用触媒との容量比1:1の粒状混合物から成る第2の触媒層である触媒層に流通させた。反応条件は、反応温度として反応器入口制御温度330℃、触媒層最高温度375℃、反応圧力メタノール分圧70kPa、オレフィン含有ガス合成用触媒とのメタノール液空間速度40hr−1、オレフィン含有ガス水素化用触媒とのメタノール液空間速度40hr−1、すなわち全触媒とのメタノール液空間速度20hr−1とした。
生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、未反応のメタノールは検出されず、メタノールの転換反応はほぼ100%進行していた。また、LPGへの転化率、すなわちプロパンおよびブタンへの転化率は炭素量基準66%で、そのLPG中のプロパン含有量は炭素量基準64%であった。
【実施例2】
図2に示すLPG製造装置を用いてLPGを製造した。オレフィン含有ガス合成用触媒としては、実施例1と同じオレフィン含有ガス合成用触媒と、実施例1と同じオレフィン含有ガス合成用触媒に0.2重量%のPtを担持した触媒(以下、オレフィン含有ガス異性化・水素化用触媒という。)とを用いた。オレフィン含有ガス水素化用触媒としては、実施例1と同じオレフィン含有ガス水素化用触媒を用いた。なお、このオレフィン含有ガス異性化・水素化用触媒は、オレフィン水素化用触媒機能が付与されたオレフィン含有ガス合成用触媒である。
実施例1と同じ組成の原料ガスを、入口から容積で2/3の部分が前記のオレフィン含有ガス合成用触媒であり、残り1/3の部分が前記のオレフィン含有ガス異性化・水素化用触媒から成る第1の触媒層に流通させた。反応条件は、反応温度として反応器入口制御温度330℃、触媒層最高温度375℃、反応圧力メタノール分圧70kPa、第1の触媒層の触媒とのメタノール液空間速度25hr−1とした。
次いで、得られた反応ガスを、前記のオレフィン含有ガス水素化用触媒から成る第2の触媒層に流通させた。反応条件は、反応温度330℃、反応圧力110kPa、オレフィン含有ガス水素化用触媒との原料メタノール基準の液空間速度100hr−1とした。
生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、未反応のメタノールは検出されず、メタノールの転換反応はほぼ100%進行していた。また、LPGへの転化率、すなわちプロパンおよびブタンへの転化率は炭素量基準68%で、そのLPG中のプロパン含有量は炭素量基準70%であった。
【実施例3】
図3に示すLPG製造装置を用いてLPGを製造した。オレフィン含有ガス合成用触媒としては、実施例1と同じオレフィン含有ガス合成用触媒を用いた。オレフィン含有ガス水素化用触媒としては、実施例1と同じオレフィン含有ガス水素化用触媒と、実施例2と同じオレフィン含有ガス異性化・水素化用触媒とを用いた。
組成がメタノール50モル%、スチーム50モル%の原料ガスを、前記のオレフィン含有ガス合成用触媒から成る第1の触媒層に流通させた。反応条件は、反応温度として反応器入口制御温度330℃、触媒層最高温度365℃、反応圧力メタノール分圧70kPa、第1の触媒層の触媒とのメタノール液空間速度40hr−1とした。
次いで、得られた反応ガスと水素とを、入口から容積で1/2の部分が前記のオレフィン含有ガス異性化・水素化用触媒であり、残り1/2の部分が前記のオレフィン含有ガス水素化用触媒から成る第2の触媒層に流通させた。水素の供給量は、第1の触媒層に流通させた原料メタノールガスと同量(モル基準)とした。反応条件は、反応温度330℃、反応圧力120kPa、オレフィン含有ガス水素化用触媒との原料メタノール基準の液空間速度40hr−1とした。
生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、未反応のメタノールは検出されず、メタノールの転換反応はほぼ100%進行していた。また、LPGへの転化率、すなわちプロパンおよびブタンへの転化率は炭素量基準70%で、そのLPG中のプロパン含有量は炭素量基準67%であった。
〔参考例1〕
65質量%のSiO/Al比が50(Si/Al比(原子比)が25)のプロトン型ZSM−5と35質量%のアルミナバインダーとからなる0.8mm径の円筒状押出し成形触媒を反応管に充填し、組成がメタノール:水素=1:1(モル比)の原料ガスを流通させて反応を行なった。反応条件は、反応器入口制御温度330℃(603K)、反応圧力0.14MPa、メタノールガス空間速度11200hr−1とした。生成物は、ガスクロマトグラフィーにより分析した。その結果を表1に示す。
〔参考例2〕
組成がエチレン:水素=1:2(モル比)の原料ガスを用い、エチレンガス空間速度を参考例1のメタノールガス空間速度と炭素基準で同一(エチレンガス空間速度5600hr−1)にした以外は参考例1と同様にして反応を行なった。その結果を表1に示す。
〔参考例3〕
組成がメタノール:エチレン:水素=2:1:4(モル比)の原料ガスを用い、メタノールガス空間速度とエチレンガス空間速度との合計を参考例1のメタノールガス空間速度と炭素基準で同一(メタノールガス空間速度5600hr−1、エチレンガス空間速度2800hr−1)にした以外は参考例1と同様にして反応を行なった。その結果を表1に示す。
〔参考例4〕
組成がメタノール:水素=1:1(モル比)の原料ガスを用い、メタノールガス空間速度を5600hr−1にした以外は参考例1と同様にして反応を行ない、別に、組成がエチレン:水素=1:2(モル比)の原料ガスを用い、エチレンガス空間速度を2800hr−1にした以外は参考例2と同様にして反応を行なって、得られた生成物を2:1の割合で混合した。言い換えると、メタノールとエチレンとを別々に反応管に流通させた以外は参考例3と同様にして反応を行なった。その結果を表1に示す。

表1に示す参考例1〜4の結果から、メタノールを原料としても、エチレンを原料としても、また、メタノールとエチレンとの混合物を原料としても、C3成分(プロピレンおよびプロパン)またはC4成分(ブテンおよびブタン)を主成分とする反応ガスが得られることがわかる。特に、メタノールとエチレンとの混合物を原料とした参考例3では、C3成分(プロピレンおよびプロパン)を主成分とする反応ガスが得られた。
【実施例4】
図4に示すLPG製造装置を用いてLPGを製造した。
オレフィン含有ガス合成用触媒としては、65質量%のSiO/Al比が50(Si/Al比(原子比)が25)のプロトン型ZSM−5と35質量%のアルミナバインダーとからなる0.8mm径の円柱状押出し成形触媒を用いた。オレフィン含有ガス水素化用触媒としては、0.8mm径の円柱状の2.0質量%Pt/カーボン触媒(エヌイー・ケム・キャット社製)を用いた。
(オレフィン含有ガス製造工程)
組成がメタノール:後述のオレフィン含有ガスから分離され、オレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルされたエチレン含有物=2:1(モル比)の原料ガスを、前記のオレフィン含有ガス合成用触媒層に流通させた。反応条件は、反応器入口制御温度330℃、反応圧力0.14MPa、メタノールガス空間速度5600hr−1とした。
生成物(オレフィン含有ガス)をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、その組成は、低沸点成分31質量%、LPG留分57質量%、重質分12質量%であり、メタノールの転化率は100%であった。
(分離・リサイクル工程)
オレフィン含有ガス製造工程において得られたオレフィン含有ガスを気液分離した後、モレキュラーシーブで乾燥し、冷却分離により、オレフィン含有ガスから、メタン2質量%、エタン1質量%、エチレン97質量%からなるガスをエチレン含有物(低沸点成分)として分離し、プロピレン含有物を得た。
プロピレン含有物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、その組成は、プロパン7質量%、プロピレン56質量%、ブタン11質量%、ブテン21質量%、その他の成分5質量%であった。
分離されたエチレン含有物は、オレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルした。
(オレフィン含有ガス水素化工程)
次いで、分離・リサイクル工程において得られたプロピレン含有物と水素とを、前記のオレフィン含有ガス水素化用触媒層に流通させた。水素の供給量は、プロピレン含有物の4.5倍量(モル基準)[オレフィン含有ガス合成用触媒層に流通させた原料メタノールガスの約1倍量(モル基準)]とした。反応条件は、反応温度250℃、反応圧力0.14MPa、プロピレン含有物ガス空間速度5600hr−1とした。
生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、その組成は、プロパン63質量%、ブタン32質量%、その他の成分5質量%であった。炭素基準で、供給したメタノールの78%が、プロパンおよびブタンの合計含有量が95%、プロパンの含有量が63%のLPGに変換された。
〔比較例1〕
分離工程において分離されたエチレン含有物をオレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルせず、オレフィン含有ガス製造工程におけるメタノールガス空間速度を5600hr−1とし、また、オレフィン含有ガス水素化工程における水素の供給量をオレフィン含有ガス合成用触媒層に流通させた原料メタノールガスと同量(モル基準)とした以外は実施例4と同様にしてLPGを製造した。
オレフィン含有ガス製造工程における生成物(オレフィン含有ガス)をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、その組成は、低沸点成分23質量%、LPG留分57質量%、重質分20質量%であり、メタノールの転化率は96%であった。
また、オレフィン含有ガス水素化工程における生成物をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、その組成は、メタン1質量%、エタン34質量%、プロパン36質量%、ブタン19質量%、その他の成分10質量%であった。炭素基準で、供給したメタノールの68%しかLPGに変換されず、しかも、LPG中のプロパンおよびブタンの合計含有量は81%であった。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明によれば、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを原料として、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造することができる。
また、本発明によれば、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを原料として、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスをより経済的に製造することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とから、触媒反応により、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項2】
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを触媒層に流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項3】
該触媒層が、原料ガスの流通方向に対して、
前段にメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層を有し、
後段にオレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層を有する請求項2に記載の液化石油ガスの製造方法。
【請求項4】
該触媒層が、原料ガスの流通方向に対して、
前段にメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層を有し、
中段にゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層を有し、
後段にオレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層を有する請求項2に記載の液化石油ガスの製造方法。
【請求項5】
(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水と水素とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項6】
(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水と水素とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)ゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項7】
(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水と水素とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)ゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒成分とを含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロピレンまたはブテンであり、プロパンまたはブタンと水素とを含む反応ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と、
(3)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に、オレフィン含有ガス異性化・水素化工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項8】
(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項9】
(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)ゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒成分とを含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項10】
(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒を含有する触媒層に、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを含む原料ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロピレンまたはブテンであるオレフィン類と水とを含む反応ガスを得るオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)ゼオライト触媒成分と、オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン水素化用触媒成分とを含有する触媒層に、オレフィン含有ガス製造工程において得られた反応ガスと水素含有ガスとを流通させて、主成分がプロピレンまたはブテンであり、プロパンまたはブタンと水素とを含む反応ガスを製造するオレフィン含有ガス異性化・水素化工程と、
(3)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒を含有する触媒層に、オレフィン含有ガス異性化・水素化工程において得られた反応ガスを流通させて、少なくとも主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項11】
(1)メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つからオレフィン含有ガスを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス合成用触媒の存在下で、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと、分離工程においてオレフィン含有ガスから分離され、リサイクル工程においてオレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルされたエチレン含有物とから、含まれる炭化水素の主成分がプロピレンまたはブテンであり、エチレンを含むオレフィン含有ガスを製造するオレフィン含有ガス製造工程と、
(2)オレフィン含有ガス製造工程において得られたオレフィン含有ガスから、エチレンを含むエチレン含有物を分離し、プロピレン含有物を得る分離工程と、
(3)分離工程において分離されたエチレン含有物の一部または全部を、オレフィン含有ガス製造工程の原料としてリサイクルするリサイクル工程と、
(4)オレフィンを水素化してパラフィンを製造する際に用いられるオレフィン含有ガス水素化用触媒の存在下で、分離工程において得られたプロピレン含有物と水素とから、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するオレフィン含有ガス水素化工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項12】
製造される液化石油ガス中のプロパンの含有量が、炭素量基準で50〜100%である請求項1〜11のいずれかに記載の液化石油ガスの製造方法。
【請求項13】
製造される液化石油ガス中のプロパンおよびブタンの合計含有量が、炭素量基準で90〜100%である請求項1〜11のいずれかに記載の液化石油ガスの製造方法。

【国際公開番号】WO2004/074411
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502740(P2005−502740)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001804
【国際出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【出願人】(503065494)日本ガス合成株式会社 (18)
【Fターム(参考)】