説明

液圧装置

【解決課題】錆を含む水が、液体タンク内に流れ込まないようにする。
【解決手段】液圧回路Lが密閉された液体タンク2に連結され、該液体タンク2が配管4を介してダイナクリーン10に連結されている液圧装置Aにおいて、前記配管4に、結露26が前記液体タンク2内に流入するのを防止するための流入結露流下規制手段を設け、前記配管4内に発生した結露26をダイナクリーン10、又は、器外に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工作機械等に用いられる液圧装置であり、更に述べると、液体タンクが配管を介してダイナクリーンに連結されている、液圧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液圧装置、例えば、油圧ユニットは、作動油をアクチュエータに供給したり、該アクチュエータから戻される作動油を貯留する油タンクが設けられている。この油タンクは、作動油の汚染、酸化防止のために、密閉されるとともに、その上部は、配管を介してダイナクリーンに連結されている。このダイナクリーンは、密閉した油タンク内の圧力を安定させるもので、油タンク内の圧力の変化に対応して伸縮するブラダ(弾性袋)を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来例では、作動油が多くの水分を含んでいる場合には、前記水分が気化し易く、前記気化した水分は、前記配管内に結露して滞留する。そのため、該配管内部に錆が発生するとともに、前記錆を含んだ水が、油タンク内に流入すると、作動油の汚染を促進することになる。
【0004】
この発明は、上記事情に鑑み、錆を含む水が、液体タンク内に流れ込まないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、液圧回路が密閉された液体タンクに連結され、該液体タンクが配管を介してダイナクリーンに連結されている液圧装置において、前記配管に、結露が前記液体タンク内へ流入するのを防止するための結露流下規制手段を設けたことを特徴とする。
【0006】
この発明の前記結露流下規制手段は、前記配管の前記液体タンク側を前記ダイナクリーン側より高くすることにより形成されていることを特徴とする。この発明の前記結露流下規制手段は、前記配管の下部側に設けられた排水口と、前記排水口に向かって下方に傾斜する前記下部側の内面と、を備えていることを特徴とする。この発明の前記結露流下規制手段は、前記配管の下部側に設けられた排水口と、前記下部側の内面に設けられ、前記排水口に向かって下方に傾斜する案内溝と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、配管に結露流下規制手段を設けたので、前記配管内に発生した錆を含む水(結露)が液体タンク内に流入することはない。そのため、液体タンク内の液体が酸化したり、汚染されたりするのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す正面図である。
【図3】配管の要部拡大断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の第1実施形態を図1により説明する。
アクチュエータ1を駆動する液圧装置、例えば、油圧装置Aは、液圧回路Lに連結されている、密閉状態の液体タンク2と、前記液体タンク2に配管4を介して連結されたダイナクリーン10と、を備えている。液体タンク2内には、作動油8が貯留されており、該タンク4の上部は閉鎖部材9により密封されている。前記液体タンク2の上部側には、配管4の一端に位置する垂直状の第1連結端部4aが連結され、該配管4の他端に位置する垂直状の第2連結端部4bは、ダイナクリーン10のブラダ12に連結されている。
【0010】
前記両連結端部4a、4bを連結する傾斜管部4cは、液体タンク2側が前記ダイナクリーン10側より高くなっており、その中心線4wは、水平線14(床面と平行)に対して角度θ傾斜している。この傾斜角度は、必要に応じて適宜選択されるが、例えば、角度θ=10°が採用される。
【0011】
尚、図1において、16は液圧回路Lに配設され、液体タンク2内の作動油8を汲み上げるポンプ、17は液圧回路Lに配設されたアキュムレータ、19は液圧回路Lに配設された安全弁、18はフイルタ、20は切換弁、21は逆止弁、22はブラダ21の水抜き弁、23は切替スイッチ、をそれぞれ示す。
【0012】
本実施形態の作動について説明する。
油圧ユニットAは、ポンプ16の駆動により液体タンク2内の作動油8を油圧回路(液圧回路)L内に圧送したり、該液圧回路L内の作動油8を液体タンク2内に戻したりして、アクチュエータ1を駆動させる。そのため、熱を帯びた高含水の作動油8が液体タンク2内に入るので、該液体タンク2内の圧力が上昇すると共に、水分が気化して配管4の内面に付着し結露26する。
【0013】
前記液体タンク2内の圧力が上昇すると、前記液体タンク2内の空気25は、配管4を通ってダイナクリーン10に流れ込む。そうすると、ブラダ12が膨張して前記空気25を溜める。又、前記配管4内の結露26は、落下して配管4の下部側内面4dに溜まるが、この内面4dは傾斜しているので、前記結露26はダイナクリーン10のブラダ12内に落下し収容される。そのため、液体タンク2内には、錆を含んだ水(結露)が入り込むことがないので、作動油8の汚染を防止することができる。
【0014】
なお、配管4を冷却手段、例えば、配管4に巻き付けられる冷却媒体、により冷却する様にしても良い。このように冷却すると、液体タンク2内で気化した水分は、該配管4内ですぐに冷却されて液化し、ダイナクリーン10へ流れ込むので、配管4内の錆の発生を抑制することができる。
【0015】
この発明の第2実施形態を図2、図3により説明する。
この実施形態と第1実施形態との相違点は、配管4に傾斜管部4cを設ける代わりに、水平管部4hを設け、該水平管部4hの下部側に排水口30を設けると共に、前記水平管部4hの下部側傾斜内面4fを前記排出口30に向かって下方に傾斜させたことである。
【0016】
この実施形態では、液体タンク2内の圧力が高くなると、空気25は、配管4を通ってダイナクリーン10に入り蓄積されるが、結露(水)26は下部側傾斜内面4fに落下し、該下部側傾斜内面4fに案内されながら排出口30に流れ込む。前記排出口30内の水26は、バルブ31を開くことにより器外に排出される。そのため、液体タンク2内には、錆を含んだ水(結露)が入り込むことがないので、作動油8の汚染を防止することができる。
【0017】
この発明の第3実施形態を図4により説明する。
この実施形態と第2実施形態との相違点は、前記水平管部4hの下部側傾斜内面4fを前記排出口30に向かって下方に傾斜させる代わりに、該下部側傾斜内面を傾斜させずに水平状面4eにし、かつ、該水平状面4eに前記排出口30に向かって下方に傾斜する傾斜溝35を形成したことである。
【0018】
この実施形態では、前記第2実施形態と同様に、液体タンク2内の圧力が高くなると、空気25は、配管4を通ってダイナクリーン10に入り蓄積されるが、結露(水)26は下部側内面4eに落下し、前記傾斜溝35に案内されながら排出口30に流れ込む。そのため、液体タンク2内には、錆を含んだ水(結露)が入り込むことがないので、作動油8の汚染を防止することができる。
【0019】
前記実施例では、液圧装置として作動油を使用する油圧装置について説明したが、この油圧装置の代わりに、他の液体、例えば、水を使用する液圧装置を用いることができることは勿論である。
【符号の説明】
【0020】
1 アクチュエータ
2 液体タンク
4 配管
8 作動油
10 ダイナクリーン
25 空気
26 結露
A 液圧装置
L 液圧回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧回路が密閉された液圧タンクに連結され、該液体タンクが配管を介してダイナクリーンに連結されている液圧装置において、
前記配管に、結露が前記液体タンク内へ流入するのを防止するための結露流下規制手段を設けたことを特徴とする液圧装置。
【請求項2】
前記結露流下規制手段は、前記配管の前記液体タンク側を前記ダイナクリーン側より高くすることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の液圧装置。
【請求項3】
前記結露流下規制手段は、前記配管の下部側に設けられた排水口と、前記排水口に向かって下方に傾斜する前記下部側の内面と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の液圧装置。
【請求項4】
前記結露流下規制手段は、前記配管の下部側に設けられた排水口と、前記下部側の内面に設けられ、前記排水口に向かって下方に傾斜する案内溝と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の液圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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