説明

液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置、バックライト制御方法、及び液晶表示装置

【課題】複数の電源の負荷変動を小さくすることができる液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置を提供する。
【解決手段】各発光基板11上に行列方向に配列された各発光ブロックBLを列単位で3つのグループに分け、各グループと各電源7A、7B、7Cを一対一で対応付けている。バックライト駆動部8は、電源7Aの出力電力PAを該電源7Aに対応するグループの各発光ブロックBLに供給し、電源7Bの出力電力PBを該電源7Bに対応するグループの各発光ブロックBLに供給し、電源7Cの出力電力PCを該電源7Cに対応するグループの各発光ブロックBLに供給するという電力配分を行っている。これにより、各電源7A、7B、7Cの出力電力の最大値が抑えられ、また各電源7A、7B、7Cの出力電力PA、PB、PCの変化が緩やかになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイパネルのバックライトとして用いられる行列方向に配列された複数の発光ブロックへの出力電力を制御する液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置、バックライト制御方法、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイパネルのバックライトとしては、冷陰極管や発光素子(例えばLED)等が用いられている。また、大型の液晶ディスプレイパネルでは、複数の冷陰極管を配列したり、複数のLEDを行列方向に配列したりしてバックライトを構成している。
【0003】
また、複数の冷陰極管や複数のLEDをバックライトとして用いる場合は、液晶ディスプレイパネルに表示される画像のコントラストを高くするため、あるいはバックライトの消費電力を低減するために、バックライトスキャンもしくはローカルディミング(局所輝度制御)を行うことがある。
【0004】
例えば、図6に示すように複数の発光ブロックBLを行列方向に配列してなるバックライトBKを用いる場合は、液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、各行R1〜R8毎に、行に配列された各発光ブロックBLの点灯期間と消灯期間を設定調節して、バックライトスキャン及びローカルディミングを行う。尚、各発光ブロックBLは、例えば1乃至複数のLEDからそれぞれ構成されるものとする。
【0005】
また、液晶ディスプレイパネルが大型化すると、バックライトも大型化し、バックライトの消費電力が増大する。このため、複数の電源からそれぞれの電力をバックライトに供給して、バックライトを点灯させることがある。例えば、図6に示すように各行R1〜R8を3つのグループG1〜G3に分割して、3組の電源S1〜S3及び駆動回路D1〜D3を各グループG1〜G3に割り当て、各電源S1〜S3から各駆動回路D1〜D3を介して各グループG1〜G3へとそれぞれの電力P1、P2、P3を供給して、バックライトBKを点灯させる。
【0006】
図7(a)は、各行R1〜R8毎に、行に配列された各発光ブロックBLの点灯期間と消灯期間を示すタイミングチャートである。また、図7(b)は、図7(a)に示すタイミングで各行R1〜R8の点灯期間と消灯期間を設定したときの各電源S1〜S3の出力電力P1、P2、P3の変化(定電圧での出力電流の変化に対応する)を示すグラフである。
【0007】
図7(a)から明らかなように各行R1〜R8毎に、行に配列された各発光ブロックBLの点灯期間Tonと消灯期間Toffが交互に切替えられ、各行R1〜R8間では点灯期間Tonと消灯期間Toffが順次ずらされている。このため、図7(b)に示すように各電源S1〜S3の出力電力P1〜P3が段階的に変化する。
【0008】
また、特許文献1では、複数の発光ブロックを複数のグループに分け、グループ別に、グループの各発光ブロックをバックライトに分散配置して、グループの各発光ブロックの点灯及び消灯を切替え制御し、これにより各グループの駆動回路の負荷を分散している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−55053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図6に示すような従来の電源構成においては、図7(b)に示すように各出力電力P1〜P3のいずれについても最大値と最小値の差が大きく、各電源S1〜S3の出力電力P1〜P3の最大値も大きかった。このため、各電源S1〜S3の負荷変動が大きく、各電源S1〜S3のトランスから大きなノイズ音(うねり音)が発生した。また、各電源S1〜S3の負荷が効果的に分散されているとは言い難かった。
【0011】
また、特許文献1では、グループ別に、グループの各発光ブロックをバックライトに分散配置しているために、各発光ブロックへの電力供給用の配線を簡単化することが困難であり、配線が複雑化すると考えられる。
【0012】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、複数の電源の負荷変動を小さくすることができ、また各発光ブロックへの電力供給用の配線を簡単化することが可能な液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置、バックライト制御方法、及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置は、液晶ディスプレイパネルのバックライトとして用いられる行列方向に配列された複数の発光ブロックを備え、前記液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、前記各発光ブロックの行毎に、発光ブロックの点灯期間と発光ブロックの消灯期間を設定して、ローカルディミングを行う液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置であって、前記各発光ブロックに電力を供給する複数の電源と、前記各発光ブロックを列単位で複数のグループに分割して、前記各電源からそれぞれのグループへと電力を供給する電力配分部とを備えている。
【0014】
このような本発明のバックライト制御装置では、行列方向に配列された各発光ブロックを行単位でローカルディミングしており、また行列方向に配列された各発光ブロックを列単位で複数のグループに分け、各グループにそれぞれの電源を割り振っている。このため、各行は、各電源のいずれにも対応して、いずれの電源からも電力供給を受ける。これにより、各電源の出力電力の変化が緩やかになり、各電源の負荷変動が減少し、また各電源の出力電力の最大値が抑えられ、各電源の負荷が効果的に分散される。また、各発光ブロックを列単位で複数のグループに分割することから、電源から各発光ブロックへの電力供給用の配線を簡単化することができ、配線の複雑化を招くことがない。
【0015】
尚、各発光ブロックは、例えば1個あるいは複数個の発光素子からそれぞれ構成される。また、各発光ブロックの行方向及び列方向を横方向及び縦方向にそれぞれ対応させても、あるいは各発光ブロックの行方向及び列方向を縦方向及び横方向にそれぞれ対応させてもよい。
【0016】
また、本発明のバックライト制御装置においては、前記各グループには、同数の前記各発光ブロックを割り当てている。
【0017】
この場合は、各グループの出力電力が同一となって、各電源の負荷変動及び出力電力の最大値を効果的に抑えることができる。
【0018】
次に、本発明の液晶ディスプレイパネルのバックライト制御方法は、液晶ディスプレイパネルのバックライトとして用いられる縦横方向に配列された複数の発光ブロックを備え、前記液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、前記各発光ブロックの縦又は横の並び毎に、発光ブロックの点灯期間と発光ブロックの消灯期間を設定して、ローカルディミングを行う液晶ディスプレイパネルのバックライト制御方法であって、前記各発光ブロックを複数のグループに分割して、複数の電源からそれぞれのグループへと電力を供給しており、前記ローカルディミングの対象となる前記各発光ブロックの縦又は横の並びの方向と、前記各グループが並ぶ方向とが直交している。
【0019】
このような本発明のバックライト制御方法では、液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、各発光ブロックの縦又は横の並び毎に、発光ブロックの点灯期間と発光ブロックの消灯期間を設定して、ローカルディミングを行っている。ここで、各発光ブロックの横方向及び縦方向を行方向及び列方向にそれぞれ対応させても、あるいは各発光ブロックの横方向及び縦方向を列方向及び行方向にそれぞれ対応させてもよい。従って、上記発明のバックライト制御装置と同様に、液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、各発光ブロックの行毎に、発光ブロックの点灯期間と発光ブロックの消灯期間を設定して、ローカルディミングを行っているといってもよい。また、ローカルディミングの対象となる各発光ブロックの縦又は横の並びの方向と、各電源の電力が供給されるそれぞれのグループが並ぶ方向とが直交していることから、上記発明のバックライト制御装置と同様に、行列方向に配列された各発光ブロックを行単位でローカルディミングし、また行列方向に配列された各発光ブロックを列単位で複数のグループに分け、各グループにそれぞれの電源を割り振っていることになる。このため、上記発明のバックライト制御装置と同様の作用効果を奏する。
【0020】
また、本発明のバックライト制御方法においては、前記各グループには、同数の前記各発光ブロックを割り当てている。
【0021】
この場合は、各グループの出力電力が同一となって、各電源の負荷変動及び出力電力の最大値を効果的に抑えることができる。
【0022】
また、本発明の液晶表示装置は、液晶ディスプレイパネルと、前記液晶ディスプレイパネルのバックライトとして用いられる行列方向に配列された複数の発光ブロックとを備え、前記液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、前記各発光ブロックの行毎に、発光ブロックの点灯期間と発光ブロックの消灯期間を設定して、ローカルディミングを行う液晶表示装置であって、前記各発光ブロックに電力を供給する複数の電源と、前記各発光ブロックを列単位で複数のグループに分割して、前記各電源の電力をそれぞれのグループに供給する電力配分部とを備えている。
【0023】
このような本発明の液晶表示装置でも、上記本発明のバックライト制御装置及びバックライト制御方法と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0024】
このような本発明によれば、行列方向に配列された各発光ブロックを行単位でローカルディミングしており、また行列方向に配列された各発光ブロックを列単位で複数のグループに分け、各グループにそれぞれの電源を割り振っている。このため、各行は、各電源のいずれにも対応して、いずれの電源からも電力供給を受ける。これにより、各電源の出力電力の変化が緩やかになり、各電源の負荷変動が減少し、また各電源の出力電力の最大値が抑えられ、各電源の負荷が効果的に分散される。また、各発光ブロックを列単位で複数のグループに分割することから、電源から各発光ブロックへの電力供給用の配線を簡単化することができ、配線の複雑化を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のバックライト制御装置の一実施形態を適用した液晶表示装置を示すブロック図である。
【図2】図1のバックライト制御装置の各電源、各駆動回路、及び各発光ブロックの関係を示す図である。
【図3】図2の発光ブロックを示す回路図である。
【図4】(a)は図2の行列方向に配列された各発光ブロックの行毎に、行に配列された各発光ブロックの点灯期間と消灯期間を示すタイミングチャートであり、また(b)は(a)に示すタイミングで各行の点灯期間と消灯期間を設定したときの各電源の出力電力の変化(定電圧での出力電流の変化に対応する)を示すグラフである。
【図5】(a)は図1のバックライト制御装置における3台の電源の出力電流のピーク値、及び図6の従来のバックライト制御装置における3台の電源の出力電流のピーク値を実験で測定して示す図表であり、(b)は図1のバックライト制御装置における3台の電源の出力電流の変動幅、及び従来のバックライト制御装置における3台の電源の出力電流の変動幅を実験で測定して示す図表である。
【図6】従来のバックライト制御装置の各電源、各駆動回路、及び各発光ブロックの関係を示す図である。
【図7】(a)は図6の行列方向に配列された各発光ブロックの行毎に、行に配列された各発光ブロックの点灯期間と消灯期間を示すタイミングチャートであり、また(b)は(a)に示すタイミングで各行の点灯期間と消灯期間を設定したときの各電源の出力電力の変化(定電圧での出力電流の変化に対応する)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明のバックライト制御装置の一実施形態を適用した液晶表示装置を示すブロック図である。この液晶表示装置1は、液晶ディスプレイパネル2と、液晶ディスプレイパネル2のバックライト機能を持つバックライトユニット3と、画像信号を入力して、画像信号を液晶ディスプレイパネル2の駆動制御に適した画像データに変換するインターフェース変換スケーラ部4と、インターフェース変換スケーラ部4から画像データを入力して一旦記憶し、画像データに基づきバックライトユニット3の駆動制御信号を出力するローカルディミング部5と、画像データをローカルディミング部5を通じて入力し、画像データに基づき液晶ディスプレイパネル2を駆動制御して、画像データに対応する画像を液晶ディスプレイパネル2の画面に表示するLCD駆動部6と、バックライトユニット3にそれぞれの出力電力PA、PB、PCを供給する3台の電源7A、7B、7Cと、ローカルディミング部5からの駆動制御信号を入力して、駆動制御信号に基づき各電源7A、7B、7Cからバックライトユニット3への出力電力PA、PB、PCを調節制御するバックライト駆動部8とを備えている。
【0028】
このような構成の液晶表示装置1においては、フレーム期間毎に、1画像を示す画像信号がインターフェース変換スケーラ部4に入力されて、ここで画像信号が画像データに変換され、画像データがローカルディミング部5を通じてLCD駆動部6に入力されて、LCD駆動部6により画像データに対応する1画像が液晶ディスプレイパネル2に表示される。
【0029】
一方、本実施形態のバックライト制御装置は、そのような液晶表示装置1におけるバックライトユニット3、ローカルディミング部5、各電源7A、7B、7C、及びバックライト駆動部8から構成される。
【0030】
バックライトユニット3は、行方向(横方向)に配列された各発光ブロックBLをそれぞれ搭載した8枚の発光基板11を備え、各発光基板11を列方向(縦方向)に並設して、各発光基板11上の各発光ブロックBLを行列方向に配列したものである。従って、各発光基板11は、第1行R1〜第8行R8に対応している。
【0031】
各電源7A、7B、7Cは、3個の電源回路7a、7b、7cをそれぞれ備えている。電源7Aの出力電力PA(各電源回路7aの出力電力の和)は、3本の電力供給ライン14R、14G、14Bを通じてバックライト駆動部8へと出力される。また、電源7Bの出力電力PB(各電源回路7bの出力電力の和)は、3本の電力供給ライン15R、15G、15Bを通じてバックライト駆動部8へと出力される。更に、電源7Cの出力電力PC(各電源回路7cの出力電力の和)は、3本の電力供給ライン16R、16G、16Bを通じてバックライト駆動部8へと出力される。
【0032】
また、ローカルディミング部5は、フレーム期間毎に、画像データに基づき各行R1〜R8の点灯期間及び消灯期間をそれぞれ求め、各行R1〜R8の点灯期間及び消灯期間を示す駆動制御信号をバックライト駆動部8に加える。
【0033】
バックライト駆動部8は、フレーム期間毎に、各行R1〜R8の点灯期間及び消灯期間を示す駆動制御信号を入力すると、各行R1〜R8別に、行の点灯期間に該行に対応する発光基板11へと各電源7A、7B、7Cの出力電力PA、PB、PCを供給して、該行の各発光ブロックBLを点灯し、行の消灯期間に該行に対応する発光基板11への各出力電力PA、PB、PCの供給を停止して、該行の各発光ブロックBLを消灯する。従って、各行R1〜R8別に、バックライト駆動部8により各出力電力PA、PB、PCの出力幅(点灯期間)の制御(PWM制御)が行われ、また各行R1〜R8のいずれにおいても、フレーム期間毎に、点灯期間で各発光ブロックBLが点灯し、消灯期間で各発光ブロックBLが消灯する(バックライトスキャン及びローカルディミング)。
【0034】
このように画像データに基づき各行R1〜R8の点灯期間及び消灯期間を求めて設定することにより、液晶ディスプレイパネル2に表示される画像の残像感を低減したり、画像のコントラストを高くすることができる。例えば、画像の明るい領域に対応する行の各発光ブロックBLの消灯期間を短くしたり、画像の暗い領域に対応する行の各発光ブロックBLの消灯期間を長くしたりして、画像のコントラストを高くする。
【0035】
ところで、液晶表示装置1が大型であるとすると、液晶ディスプレイパネル2及びバックライトユニット3も大型となって、バックライトユニット3の消費電力が大きくなる。また、液晶表示装置1をIDP(Information Display Panel)として用いる場合は、バックライトユニット3の輝度を高くする必用があって、これによってもバックライトユニット3の消費電力が増大する。そこで、バックライトユニット3の電源として、3台の電源7A、7B、7Cが設けられている。
【0036】
また、各発光基板11上に行列方向に配列された各発光ブロックBLを列単位で3つのグループに分け、各グループと各電源7A、7B、7Cを一対一で対応付けている。バックライト駆動部8は、各発光基板11の配線ラインを通じて、電源7Aの出力電力PAを該電源7Aに対応するグループの各発光ブロックBLに供給し、電源7Bの出力電力PBを該電源7Bに対応するグループの各発光ブロックBLに供給し、電源7Cの出力電力PCを該電源7Cに対応するグループの各発光ブロックBLに供給するという電力配分を行う。このような電力配分により、各電源7A、7B、7Cの負荷が効果的に分散される。
【0037】
次に、そのような各グループと各電源7A、7B、7Cとの対応付け、及び各電源7A、7B、7Cから各グループへの電力配分について詳しく説明する。
【0038】
図2は、各電源7A、7B、7Cからバックライト駆動部8を通じてバックライトユニット3の各発光ブロックBLへの電力供給経路を概念的に示す図である。
【0039】
図2に示すようにバックライトユニット3は、複数の発光ブロックBLを行列方向(横方向及び縦方向)に配列して構成されており、各発光ブロックBLが列単位で3つのグループGA、GB、GCに分割されている。第1列〜第6列の各発光ブロックBLがグループGAに属し、第7列〜第10列の各発光ブロックBLがグループGBに属し、第11列〜第16列の各発光ブロックBLがグループGCに属し、各グループGA、GB、GCと各電源7A、7B、7Cとが一対一で対応付けられている。
【0040】
また、バックライト駆動部8は、グループGA(第1列〜第6列)の各発光ブロックBLと電源7Aとの間の接続制御を行う駆動回路8A、グループGB(第7列〜第10列)の各発光ブロックBLと電源7Bとの間の接続制御を行う駆動回路8B、及びグループGC(第11列〜第16列)の各発光ブロックBLと電源7Cとの間の接続制御を行う駆動回路8Cを備えている。
【0041】
図3は、発光ブロックBLの構成を例示している。図3に示すように発光ブロックBLは、8個の赤色LED12R、8個の緑色LED12G、及び4個の青色LED12Bを備えており、1個の青色LED12Bを中心にして、その周りに2個の赤色LED12R及び2個の緑色LED12Gを配置した構成を1組とすると、この配置構成を4組設けたものである。また、各赤色LED12Rを直列接続し、各緑色LED12Gを直列接続し、各青色LED12Bを直列接続し、各赤色LED12Rの配線ライン13R、各緑色LED12Gの配線ライン13G、及び各青色LED12Bの配線ライン13Bを別々に設けている。
【0042】
尚、発光ブロックBLを1乃至複数の発光素子で構成することができ、また発光素子としてLEDとは異なる他の種類の素子(冷陰極管や白熱灯等)を適用しても構わない。
【0043】
図1に示すように電源7Aからは3本の電力供給ライン14R、14G、14Bが導出されてバックライト駆動部8に接続されている。また、各発光基板11別に、電源7Aの出力電力PAの供給を受ける第1列〜第6列(グループGA)の各発光ブロックBLの配線ライン13R、13G、13Bがバックライト駆動部8に接続されている。図2に示すようにバックライト駆動部8の駆動回路8Aは、各発光基板11(各行R1〜R8)別に、各電力供給ライン14R、14G、14Bを、電源7Aの出力電力PAの供給を受ける第1列〜第6列(グループGA)の各発光ブロックBLの配線ライン13R、13G、13Bに接続して、第1列〜第6列の各発光ブロックBL(各赤色LED12R、各緑色LED12G、及び各青色LED12B)を点灯したり、この接続を遮断して、第1列〜第6列の各発光ブロックBLを消灯する。
【0044】
また、図1に示すように電源7Bからは3本の電力供給ライン15R、15G、15Bが導出されてバックライト駆動部8に接続されている。また、各発光基板11別に、電源7Bの出力電力PBの供給を受ける第7列〜第10列(グループGB)の各発光ブロックBLの配線ライン13R、13G、13Bがバックライト駆動部8に接続されている。図2に示すようにバックライト駆動部8の駆動回路8Bは、各発光基板11(各行R1〜R8)別に、各電力供給ライン15R、15G、15Bを、電源7Bの出力電力PBの供給を受ける第7列〜第10列(グループGB)の各発光ブロックBLの配線ライン13R、13G、13Bに接続して、第7列〜第10列の各発光ブロックBL(各赤色LED12R、各緑色LED12G、及び各青色LED12B)を点灯したり、この接続を遮断して、第7列〜第10列の各発光ブロックBLを消灯する。
【0045】
更に、図1に示すように電源7Cからは3本の電力供給ライン16R、16G、16Bが導出されてバックライト駆動部8に接続されている。また、各発光基板11別に、電源7Cの出力電力PCが供給される第11列〜第16列の各発光ブロックBLの配線ライン13R、13G、13B(各行R1〜R8)がバックライト駆動部8に接続されている。図2に示すようにバックライト駆動部8の駆動回路8Cは、各発光基板11(各行R1〜R8)別に、各電力供給ライン16R、16G、16Bを、電源7Cの出力電力PCの供給を受ける第11列〜第16列(グループGC)の各発光ブロックBLの配線ライン13R、13G、13Bに接続して、第11列〜第16列の各発光ブロックBL(各赤色LED12R、各緑色LED12G、及び各青色LED12B)を点灯したり、この接続を遮断して、第11列〜第16列の各発光ブロックBLを消灯する。
【0046】
このようにバックライト駆動部8は、各発光基板11(各行R1〜R8)別に、電源7Aを発光基板11上のグループGAの各発光ブロックBLに接続したり、この接続を遮断し、また電源7Bを発光基板11上のグループGBの各発光ブロックBLに接続したり、この接続を遮断し、更に電源7Cを発光基板11上のグループGCの各発光ブロックBLに接続したり、この接続を遮断し、これにより各行R1〜R8の点灯期間及び消灯期間を設定し、かつ各電源7A、7B、7Cの出力電力PA、PB、PCを各グループGA、GB、GCに配分している。先に述べたように各行R1〜R8の点灯期間及び消灯期間は、ローカルディミング部5で画像データに基づき求められて設定されたものである。
【0047】
また、各発光基板11(各行R1〜R8)のいずれにおいても、各グループGA、GB、GC(第1列〜第6列、第7列〜第10列、第11列〜第16列)別に、配線ライン13R、13G、13Bをそれぞれの1本のラインに共通化することができ、配線を簡単化することができ、配線の複雑化を招くことがない。
【0048】
図4(a)は、各グループGA、GB、GC別に、各行の点灯期間と消灯期間を示すタイミングチャートである。図4(a)においては、グループGAの第1行〜第8行に符号RA1〜RA8を付し、グループGBの第1行〜第8行に符号RB1〜RB8を付し、グループGCの第1行〜第8行に符号RC1〜RC8を付している。尚、図4(a)においては、説明の簡単化のために点灯期間及び消灯期間をそれぞれ一定長さとしている。
【0049】
また、図4(b)は、図4(a)に示すタイミングで各行の点灯期間と消灯期間を設定したときの各電源7A、7B、7Cの出力電力PA、PB、PCの変化(定電圧での出力電流の変化に対応する)を示すグラフである。
【0050】
図4(a)から明らかなように電源7Aから電力供給を受けるグループGAでは、各行RA1〜RA8毎に、行に配列された各発光ブロックBLの点灯期間Tonと消灯期間Toffが交互に切替えられ、また電源7Bから電力供給を受けるグループGBでも、各行RB1〜RB8毎に、各発光ブロックBLの点灯期間Tonと消灯期間Toffが交互に切替えられ、更に電源7Cから電力供給を受けるグループGCでも、各行RC1〜RC8毎に、各発光ブロックBLの点灯期間Tonと消灯期間Toffが交互に切替えられている。
【0051】
また、各グループGA〜GC間では、1番目の行RA1、RB1、RC1の点灯期間Tonのタイミングと消灯期間Toffのタイミングが一致し、2番目の行RA2、RB2、RC2の点灯期間Tonのタイミングと消灯期間Toffのタイミングが一致し、以降同様に3番目〜8番目のいずれの行でも点灯期間Tonのタイミングと消灯期間Toffのタイミングが一致している。従って、いずれの行でも、各発光ブロックBLの点灯期間Tonのタイミングと消灯期間Toffのタイミングが一致する。
【0052】
更に、各グループGA〜GCのいずれにおいても、1番目から8番目までの各行間で点灯期間Tonと消灯期間Toffが順次ずらされている。
【0053】
このように各電源7A、7B、7Cの出力電力PA、PB、PCを各グループGA、GB、GCに配分し、各行の点灯期間及び消灯期間をそれぞれ一定長さに設定した場合、電源7Aの出力電力PAは、グループGAの各行RA1〜RA8の点灯期間Tonで消費される電力の和であって、図4(b)に示すように変化する。同様に、電源7Bの出力電力PBは、グループGBの各行RB1〜RB8の点灯期間Tonで消費される電力の和であって、図4(b)に示すように変化し、更に電源7Cの出力電力PCは、グループGCの各行RC1〜RC8の点灯期間Tonで消費される電力の和であって、図4(b)に示すように変化する。
【0054】
図4(b)から明らかなように、電源7Aの出力電力PA、電源7Bの出力電力PB、及び電源7Cの出力電力PCのいずれについても、それらの変化が緩やかであって、それらの負荷変動が少なく、またそれらの最大値が抑えられて、各電源7A、7B、7Cの負荷が効果的に分散されている。
【0055】
図5(a)は、図1の本実施形態のバックライト制御装置における3台の電源7A、7B、7Cの出力電流のピーク値、及び図6及び図7(a)、(b)に示す従来のバックライト制御装置における3台の電源S1、S2、S3の出力電流のピーク値を実験で測定して示す図表である。尚、出力電圧が一定であるとする。
【0056】
図5(a)から明らかなように本実施形態の各電源7A、7B、7Cの出力電流のピーク値が4.2A又は2.8Aであり、従来の各電源S1、S2、S3の出力電流のピーク値が6.72A又は4.48Aである。従って、本実施形態の各電源7A、7B、7Cの出力電流のピーク値は、従来の各電源S1、S2、S3の出力電流のピーク値と比較して、37.5%低下している。
【0057】
また、図5(b)は、図1の本実施形態のバックライト制御装置における3台の電源7A、7B、7Cの出力電流の変動幅、及び図6及び図7(a)、(b)に示す従来のバックライト制御装置における3台の電源S1、S2、S3の出力電流の変動幅を実験で測定して示す図表である。尚、出力電圧が一定であり、出力電流の変化が出力電圧の変化に対応するものとする。
【0058】
図5(b)から明らかなように本実施形態の各電源7A、7B、7Cの出力電流の変動幅が0.84A又は0.56Aであり、従来の各電源S1、S2、S3の出力電流の変動幅が6.72A又は4.48Aである。従って、本実施形態の各電源7A、7B、7Cの出力電流の変動幅は、従来の各電源S1、S2、S3の出力電流の変動幅と比較して、80.0%低減している。
【0059】
このような実験の測定値からも、本実施形態では、電源7Aの出力電力PA、電源7Bの出力電力PB、及び電源7Cの出力電力PCの最大値が抑えられ、それらの変化が緩やかであることが分かる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。
【0061】
例えば、バックライトの各発光ブロックの分割数、つまりグループ数を2又は4以上に設定して、同数の電源を設けてもよい。また、各グループに同数の各発光ブロックを割り当てても構わない。この場合は、各グループの出力電力が同一となって、各電源の負荷変動及び出力電力の最大値を効果的に抑えることができる。更に、各発光ブロックBLの行方向及び列方向を縦方向及び横方向にそれぞれ対応させて、各発光ブロックBLを行単位でローカルディミングし、各発光ブロックBLを列単位で複数のグループに分けて、各グループにそれぞれの電源を割り振ってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 液晶表示装置
2 液晶ディスプレイパネル
3 バックライトユニット(バックライト)
4 インターフェース変換スケーラ部
5 ローカルディミング部
6 LCD駆動部
7A、7B、7C 電源
8 バックライト駆動部(電力配分部)
11 発光基板
12R 赤色LED
12G 緑色LED
12B 青色LED
13R〜13B 配線ライン
14R〜14B、15R〜15B、16R〜16B 電力供給ライン
BL 発光ブロック
GA、GB、GC グループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイパネルのバックライトとして用いられる行列方向に配列された複数の発光ブロックを備え、前記液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、前記各発光ブロックの行毎に、発光ブロックの点灯期間と発光ブロックの消灯期間を設定して、ローカルディミングを行う液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置であって、
前記各発光ブロックに電力を供給する複数の電源と、
前記各発光ブロックを列単位で複数のグループに分割して、前記各電源の電力をそれぞれのグループに供給する電力配分部とを備えたことを特徴とする液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置であって、
前記各グループには、同数の前記各発光ブロックを割り当てたことを特徴とする液晶ディスプレイパネルのバックライト制御装置。
【請求項3】
液晶ディスプレイパネルのバックライトとして用いられる縦横方向に配列された複数の発光ブロックを備え、前記液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、前記各発光ブロックの縦又は横の並び毎に、発光ブロックの点灯期間と発光ブロックの消灯期間を設定して、ローカルディミングを行う液晶ディスプレイパネルのバックライト制御方法であって、
前記各発光ブロックを複数のグループに分割して、複数の電源からそれぞれのグループへと電力を供給しており、
前記ローカルディミングの対象となる前記各発光ブロックの縦又は横の並びの方向と、前記各グループが並ぶ方向とが直交することを特徴とする液晶ディスプレイパネルのバックライト制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の液晶ディスプレイパネルのバックライト制御方法であって、
前記各グループには、同数の前記各発光ブロックを割り当てたことを特徴とする液晶ディスプレイパネルのバックライト制御方法。
【請求項5】
液晶ディスプレイパネルと、前記液晶ディスプレイパネルのバックライトとして用いられる行列方向に配列された複数の発光ブロックとを備え、前記液晶ディスプレイパネルのフレーム期間において、前記各発光ブロックの行毎に、発光ブロックの点灯期間と発光ブロックの消灯期間を設定して、ローカルディミングを行う液晶表示装置であって、
前記各発光ブロックに電力を供給する複数の電源と、
前記各発光ブロックを列単位で複数のグループに分割して、前記各電源の電力をそれぞれのグループに供給する電力配分部とを備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−168286(P2012−168286A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27762(P2011−27762)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】