説明

液晶光学レンズおよびその製造方法、ならびにこの液晶光学レンズを用いたレンズ装置

【目的】屈折力を調節することのできる液晶光学レンズおよびその製造方法、ならびにこの液晶光学レンズを用いたレンズ装置を提供する。
【解決手段】液晶光学レンズは、第1および第2素子基板と、液晶層とを備える。第1素子基板の上に、第1電極層および複数の第1積層を順番に積み重ねる。各第1積層は、第1電極層を露出する第1開口を有するとともに、第1導電層および第1導電層と第1電極層の間に配置された第1絶縁層を含む。第2素子基板の上に、第2電極層および複数の第2積層を順番に積み重ねる。各第2積層は、第2電極層を露出する第2開口を有するとともに、第2導電層および第2導電層と第2電極層の間に配置された第2絶縁層を含む。また、液晶光学レンズの製造方法および液晶光学レンズを使用したレンズ装置も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学レンズおよびその製造方法に関するものであり、特に、屈折力を調節することのできる液晶光学レンズおよびその製造方法、ならびにこの液晶光学レンズを用いたレンズ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般のレンズシステムにおいて、レンズ装置が光学ズーム機能を有する場合、レンズ装置に内設された各レンズ群は、ズーム率の変化に応じて、それに対応する動作を生成させなければならない。従来の小型光学ズームレンズの機械設計は、通常、少なくとも2つの駆動装置を必要とする。つまり、駆動源として、少なくとも2つのステップモーター、超音波モーター、または圧電アクチュエーター等を必要とする。しかしながら、この方法では、ズームレンズが大きく複雑な構造になってしまうため、製品を小型化し、携帯性を持たせるという目標に反することになる。さらに、各レンズ群の相対動作は、位置センサー(position sensor)およびクローズループ制御器(close-loop controller)を必要とするため、簡単かつ低価格を求める消費者製品の要求にも反してしまう。
【0003】
また、一般のレンズ装置に使用される焦点およびズーム構造は、レンズ群の駆動源(例えば、ステップモーター、超音波モーター、圧電アクチュエーター)として、コストの高い精密駆動装置を使用する他に、さらに、複数のマイクロギア、カム輪、タービン等の電動装置を使用するため、構造の枠組みがより複雑になる、組立工程がより困難で多工程になる、サイズがより大きくなる、コストがより高くなるといった問題だけでなく、消費電力が大幅に増加する問題も発生する。
【0004】
したがって、これらの問題を軽減するため、上述したレンズ装置に構造の複雑性を減らし、大きさを最小限に抑えることのできるズーム調節可能な液晶レンズを用いることがますます重要になっている。以下に、関連する研究計画についていくつか説明する。
【0005】
米国特許第7,079,203号(特許文献1)において、ポリマーネットワーク液晶(polymer network liquid crystal, PNLC)方式を利用して、レンズの光学機能を達成することが開示されているが、光学機能は、単一装置/モジュールで構成されたものではないため、実施上、困難であり、産業上利用が制限される。
【0006】
また、米国特許第7,042,549号(特許文献2)において、ポリマー分散型液晶(polymer dispersed liquid crystal, PDLC)方式を利用して、液晶滴下(droplet)を用いてレンズ機能を提供することが開示されているが、レンズのスケーリングを行うモジュール構造については開示されていない。
【0007】
米国特許第7,102,706号(特許文献3)において、PNLC中に液晶分子を配列させる方法が開示されているが、同様に、光学機能は、単一装置/モジュール構造ではないため、実施上、困難であり、産業上利用できない。
【0008】
さらに、米国特許第6,898,021号(特許文献4)において、単一の調整式液晶レンズ(tunable LC lens)構造が開示されているが、PNLC型のレンズ機能については記載されておらず、また、ここで提供されている光学システムは、多重液晶レンズ構造ではない。
【0009】
また、米国特許第6,859,333号(特許文献5)において、電場を変化させることで光路を改変させる液晶レンズの応用装置が開示されているが、ここで提供されている装置はモジュール構造ではないため、実施上、困難であり、産業上利用が制限される。
【0010】
同様にして、米国特許第5,867,238号(特許文献6)、第5,976,405号(特許文献7)、第6,002,383号(特許文献8)、第6,211,898号(特許文献9)、第6,452,650号(特許文献10)、第6,476,887号(特許文献11)、第6,497,928号(特許文献12)、第6,665,042号(特許文献13)、第6,815,016号(特許文献14)、第6,864,931号(特許文献15)、第6,897,936号(特許文献16)、第7,029,728号(特許文献17)、第7,034,907号(特許文献18)、第7,038,743号(特許文献19)および第7,038,754号(特許文献20)において、液晶レンズを用いた様々な方法、特に、PNCL混合物と絞り構造について開示されているが、いずれもスケーリング装置やモジュール構造については開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7,079,203号
【特許文献2】米国特許第7,042,549号
【特許文献3】米国特許第7,102,706号
【特許文献4】米国特許第6,898,021号
【特許文献5】米国特許第6,859,333号
【特許文献6】米国特許第5,867,238号
【特許文献7】米国特許第5,976,405号
【特許文献8】米国特許第6,002,383号
【特許文献9】米国特許第6,211,898号
【特許文献10】米国特許第6,452,650号
【特許文献11】米国特許第6,476,887号
【特許文献12】米国特許第6,497,928号
【特許文献13】米国特許第6,665,042号
【特許文献14】米国特許第6,815,016号
【特許文献15】米国特許第6,864,931号
【特許文献16】米国特許第6,897,936号
【特許文献17】米国特許第7,029,728号
【特許文献18】米国特許第7,034,907号
【特許文献19】米国特許第7,038,743号
【特許文献20】米国特許第7,038,754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、内部の屈折率分布を電気的に制御および調節することによって、その屈折力を変化させる液晶光学レンズを提供する。
【0013】
本発明は、また、上述した液晶光学レンズを製造することのできる液晶光学レンズの製造方法を提供する。
【0014】
本発明は、さらに、上述した液晶光学レンズを使用し、より優れた光学性能を有するレンズ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、第1素子基板と、第2素子基板と、液晶層とを備えた液晶光学レンズを提供する。第1素子基板は、順番に積み重ねられた第1電極層および複数の第1積層を含む。各第1積層は、第1電極層を露出する第1開口を有するとともに、第1導電層および第1導電層と第1電極層の間に配置された第1絶縁層を含む。第2素子基板は、順番に積み重ねられた第2電極層および複数の第2積層を含む。さらに、第2素子基板は、第1素子基板の反対側に配置される。各第2積層は、第2電極層を露出する第2開口を有するとともに、第2導電層および第2導電層と第2電極層の間に配置された第2絶縁層を含む。液晶層は、第1素子基板と第2素子基板の間に配置され、第1開口と第2開口の中に構成される。
【0016】
本発明の1つの実施形態中、各第1積層の第1開口の幅は、第1素子基板から離れるにつれて大きくなり、各第2積層の第2開口の幅は、第2素子基板から離れるにつれて大きくなる。
【0017】
本発明の1つの実施形態中、第1積層の第1開口は、それぞれ第2積層の第2開口に対応する。
【0018】
本発明の1つの実施形態中、第1積層の第1開口および第2積層の第2開口は、円形の開口である。
【0019】
本発明の1つの実施形態中、液晶光学レンズは、さらに、第1配向層と、第2配向層とを含む。第1配向層は、第1配向方向を有するとともに、第1素子基板の上に配置されて、第1電極層および各第1積層の第1導電層を覆う。第2配向層は、第2配向方向を有するとともに、第2素子基板の上に配置されて、第2電極層および各第2積層の第2導電層を覆う。本発明の1つの実施形態中、第1配向方向が、第2配向方向に対して実質的に垂直である。
【0020】
本発明の1つの実施形態中、液晶光学レンズは、さらに、第1配向層と第2配向層の間に配置されたシーラント(sealant)を含み、第1素子基板と第2素子基板をシールする。
【0021】
本発明の1つの実施形態中、第1電極層および各第1積層の第1導電層は、第1電位に電気接続され、第2電極層および各第2積層の第2導電層は、第2電位に電気接続される。第1電位は、第2電位と異なる。
【0022】
本発明の1つの実施形態中、第1電極層および第2電極層は、第1駆動信号源によって駆動され、それに対応して、各第1積層の第1導電層および各第2積層の第2導電層は、第2駆動信号源によって駆動される。
【0023】
本発明の1つの実施形態中、液晶層の材料は、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)を含む。
【0024】
本発明の1つの実施形態中、第1積層または第2積層は、さらに、第1開口または第2開口を連結する溝(trench)を含み、この溝によって、液晶層の材料を第1開口または第2開口に伝送する。
【0025】
本発明の1つの実施形態中、第1電極層、第1導電層、第2電極層、および第2導電層の材料は、透明導電材料である。
【0026】
本発明は、また、下記のステップを含む液晶光学レンズの製造方法を提供する。まず、第1基板および第2基板を提供する。それから、第1基板の上に第1電極層および複数の第1積層を順番に積み重ねて、第1素子基板を形成する。各第1積層は、第1電極層を露出する第1開口を有するとともに、第1導電層および第1導電層と第1電極層の間に配置された第1絶縁層を含む。そして、第2基板の上に第2電極層および複数の第2積層を順番に積み重ねて、第2素子基板を形成する。各第2積層は、第2電極層を露出する第2開口を有するとともに、第2導電層および第2導電層と第2電極層の間に配置された第2絶縁層を含む。それから、第1素子基板と第2素子基板を組み立てるとともに、第1素子基板と第2素子基板の間に液晶材料を注入して、液晶層を形成する。
【0027】
本発明の1つの実施形態中、第1基板の上に第1電極層および第1積層を順番に積み重ねて、第1素子基板を形成する方法は、以下のステップを含む。まず、ステップ(a)を行って、第1基板の上に第1電極層を形成する。それから、ステップ(b)を行って、第1電極層の上に絶縁材料層および導電材料層を順番に形成する。そして、ステップ(c)を行って、絶縁材料層および導電材料層をパターン化し、第1絶縁層および第1導電層を有する第1積層を形成する。それから、ステップ(b)および(c)を繰り返し行って、第1電極層の上に複数の第1積層を積み重ねる。各第1積層の第1開口は、第1基板から離れるにつれて大きくなる。
【0028】
本発明の1つの実施形態中、第2基板の上に第2電極層および第2積層を順番に積み重ねて、第2素子基板を形成する方法は、以下のステップを含む。まず、ステップ(a)を行って、第2基板の上に第2電極層を形成する。それから、ステップ(b)を行って、第2電極層の上に絶縁材料層および導電材料層を順番に形成する。そして、ステップ(c)を行って、絶縁材料層および導電材料層をパターン化し、第2絶縁層および第2導電層を有する第2積層を形成する。それから、ステップ(b)および(c)を繰り返し行って、第2電極層の上に複数の第2積層を積み重ねる。各第2積層の第2開口は、第2基板から離れるにつれて大きくなる。
【0029】
本発明の1つの実施形態中、上述した液晶光学レンズの製造方法は、さらに、以下のステップを含む。まず、第1素子基板の上に第1配向層を形成して、第1電極層および各第1積層の第1導電層を覆う。第1配向層は、第1配向方向を有する。それから、第2配向層を第2素子基板の上に形成して、第2電極層および各第2積層の第2導電層を覆う。第2配向層は、第2配向方向を有し、第1配向方向と異なる。
【0030】
本発明の1つの実施形態中、上述した液晶光学レンズの製造方法は、さらに、以下のステップを含む。第1積層または第2積層の上に溝を形成して、第1開口または第2開口を連結し、この溝によって、液晶層の材料を第1開口または第2開口に伝送する。
【0031】
本発明は、さらに、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群とを備えたレンズ装置を提供する。第1レンズ群は、正の屈折力を有するとともに、物体側から像側に順番に配列された液晶光学レンズおよび補正レンズから構成される。第2レンズ群は、第1レンズ群と像側の間に配置され、負の屈折力を有する。第3レンズ群は、第2レンズ群と像側の間に配置され、正の屈折力を有する。第1レンズ群および第3レンズ群の位置は、レンズ装置に相対して固定され、第2レンズ群は、複数に区切られ且つ固定された距離をもって第1レンズ群と第3レンズ群の間で移動する。
【0032】
本発明の1つの実施形態中、第2レンズ群は、ズームレンズ群であり、第3レンズ群は、補正レンズ群である。
【0033】
本発明の1つの実施形態中、レンズ装置は、さらに、物体側と第1レンズ群の間に配置された屈折レンズを備える。この屈折レンズによって、物体側からの物体光を屈折させ、第1レンズ群に伝送する。
【0034】
本発明の1つの実施形態中、液晶光学レンズは、第1素子基板と、第2素子基板と、液晶層とを備える。第1素子基板は、順番に積み重ねられた第1電極層および複数の第1積層を含む。各第1積層は、第1電極層を露出する第1開口を有するとともに、第1導電層および第1導電層と第1電極層の間に配置された第1絶縁層を含む。第2素子基板は、順番に積み重ねられた第2電極層および複数の第2積層を含む。さらに、第2素子基板は、第1素子基板の反対側に配置される。各第2積層は、第2電極層を露出する第2開口を有するとともに、第2導電層および第2導電層と第2電極層の間に配置された第2絶縁層を含む。液晶層は、第1素子基板と第2素子基板の間に配置され、第1開口と第2開口の中に構成される。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明の実施形態に係る液晶光学レンズの電極層および導電層は、主に、立体積み重ね設計を採用するとともに、導電層は、環状の形状を採用する。そのため、適切な電圧を各電極にそれぞれ印加した時、凹凸レンズに類似する光焦点/発散機能を得ることができる。つまり、優れた焦点機能を有するGRINレンズ(gradient index lens)が形成される。さらに、本発明の実施形態は、上述した液晶光学レンズの製造方法を提供する。また、本発明の実施形態に係るレンズ装置は、上述した液晶光学レンズを採用する。レンズ装置は、優れた焦点機能を有するだけでなく、構造全体の複雑性やコストを下げることもできる。
【0036】
本発明の上記及び他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶光学レンズの概略的断面図である。
【図2A】図1の第1素子基板を示した概略図である。
【図2B】図1の第2素子基板を示した概略図である。
【図3A】共通の電圧源を共有する第1素子基板および第2素子基板を示した概略図である。
【図3B】複数の電圧源を共有する第1素子基板および第2素子基板を示した概略図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る液晶光学レンズを製造するためのプロセスを示した概略図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る液晶光学レンズを製造するためのプロセスを示した概略図である。
【図4C】本発明の実施形態に係る液晶光学レンズを製造するためのプロセスを示した概略図である。
【図4D】本発明の実施形態に係る液晶光学レンズを製造するためのプロセスを示した概略図である。
【図4E】本発明の実施形態に係る液晶光学レンズを製造するためのプロセスを示した概略図である。
【図4F】本発明の実施形態に係る液晶光学レンズを製造するためのプロセスを示した概略図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係るレンズ装置を示した概略図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係るレンズ装置を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶光学レンズの概略的断面図である。図2Aおよび図2Bは、図1の第1素子基板および第2素子基板をそれぞれ示した概略図である。図面をわかりやすくするために、図2Aおよび図2Bは、主に、電極層および導電層の一部を示す。そのため、存在し得る他のフィルム層については、省略する。図1、図2Aおよび図2Bを参照すると、本実施形態において、液晶光学レンズ1000は、第1素子基板1100と、第2素子基板1200と、液晶層1300とを備える。
【0039】
図1および図2Aに示すように、第1素子基板1100は、順番に積み重ねられた第1電極層1120および複数の第1積層1140を含む。各第1積層1140は、それぞれ第1電極層1120を露出する第1開口1140aを有するとともに、第1導電層1142および第1導電層1142と第1電極層1120の間に配置された第1絶縁層1144を含む。本実施形態において、各第1積層1140の第1開口1140aの幅H1は、第1素子基板1100から離れるにつれて(すなわち、図1に示したY軸方向に向かって)大きくなる。さらに、図2Aに示すように、第1積層1140の第1開口1140aは、例えば、円形の開口である。別の実施形態において、第1開口1140aの形状として、対称性を有する別のパターンを用いてもよい。上述した円形の開口は、単なる例として示しただけあるため、第1開口1140aの形状は、これに限定されない。
【0040】
また、図1および図2Aに示すように、本実施形態では、第1積層1140の第1開口1140aの形状が円形で、第1開口1140aの幅H1が第1素子基板1100から離れるにつれて大きくなる他に、第1開口1140aの中心点を結ぶ線が第1素子基板1100に対して実質的に垂直に配列される。つまり、第1積層1140は、第1素子基板1100の上に互いに垂直に積み重ねられる。
【0041】
本実施形態において、第1電極層1120および第1導電層1142の材料は、例えば、透明導電材料である。透明導電材料は、例えば、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズ亜鉛酸化物、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミニウムスズ酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、カドニウムスズ酸化物、カドニウム亜鉛酸化物、他の適切な材料、またはその混合物である。また、第1絶縁層1144の材料は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、他の適切な材料、またはその混合物等の透明絶縁材料である。
【0042】
引き続き図1および図2Bを参照すると、第2素子基板1200は、第2電極層1220および複数の第2積層1240を含む。また、第2素子基板1200は、第1素子基板1100の反対側に配列される。各第2積層1240は、それぞれ第2電極層1220を露出する第2開口1240aを有するとともに、第2導電層1242および第2導電層1242と第2電極1220の間に配置された第2絶縁層1244を含む。本実施形態において、各第2積層1240の第2開口1240aの幅H2は、第2素子基板1200から離れるにつれて(すなわち、図1に示したY軸方向に向かって)大きくなる。
【0043】
同様にして、図2Bに示すように、第2積層1240の第2開口1240aも、円形の開口であってもよい。別の実施形態において、第2開口1240aの形状として、対称性を有する別のパターンを用いてもよい。上述した円形の開口は、単なる例として示しただけあるため、第2開口1240aの形状は、これに限定されない。注意すべきこととして、一般的に、第1開口1140aおよび第2開口1240aは同じ形状を有し、第1開口1140aは、それぞれ第2開口1240aに対応するため、構造全体は対称的である。また、上述した対称的形状を本実施形態の液晶光学レンズ1000の実際の操作に採用することによって、好適なパフォーマンスを達成することができる。しかしながら、上述した形状および配置方式は、単なる例として示しただけあるため、本発明はこれに限定されない。ユーザーの必要に応じて、調整可能である。
【0044】
同様にして、図1および図2Bに示すように、本実施形態では、第2積層1240の第2開口1240aの形状が円形で、第2開口1240aの幅H2が第2素子基板1200から離れるにつれて大きくなる他に、第2開口1240aの中心点を結ぶ線が第2素子基板1200に対して実質的に垂直に配列される。つまり、第2積層1240は、第2素子基板1200の上に互いに垂直に積み重ねられる。また、本実施形態において、第2電極層1220および第2導電層1242は、例えば、前に説明した第1電極層1120および第1導電層1142の材料と同じ材料から構成される。さらに、第2絶縁層1244は、第1絶縁層1144と同じ材料から構成される。したがって、これらは前の説明を参照することができるため、ここでは、説明を省略する。
【0045】
また、図1に示すように、液晶層1300は、第1素子基板1100と第2素子基板1200の間に配置され、第1開口1140aと第2開口1240aの中に構成される。本実施形態において、液晶層1300の材料は、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)であってもよいが、本発明のこの部分についてはユーザーによって決定されるため、本発明はこれに限定されない。さらに、図1、図2Aおよび図2Bに示すように、上述した第1積層1140または第2積層1240は、さらに、溝1600を含む。本実施形態において、溝1600は、第1開口1140aまたは第2開口1240aを連結するため、この溝1600によって、上述した液晶層1300の材料を第1開口1140aまたは第2開口1240aに伝送することができる。上述した溝1600の必要性は、主に、液晶光学レンズ1000がどのような方法で第1素子基板1100と第2素子基板1200の間に液晶層1300を注入するかによって決定される。一般的には、液晶層1300を注入する方法は、少なくとも真空注入法(vacuum injection method)または液晶滴下法(One Drop Filling (ODF) method)に分類される。しかしながら、これらの方法は、例として示しただけであり、本発明はこれらに限定されない。
【0046】
本実施形態において、図1に示すように、液晶光学レンズ1000は、さらに、第1配向層1420と、第2配向層1440とを含む。さらに詳しく説明すると、第1配向層1420は、第1配向方向を有するとともに、第1素子基板1100の上に配置され、第1電極層1120および各第1積層1140の第1導電層1142を覆う。また、第2配向層1440は、第2配向方向を有するとともに、第2素子基板1200の上に配置され、第2電極層1220および各第2積層1240の第2導電層1242を覆う。本実施形態において、図1に示すように、第1配向方向および第2配向方向は、実質的に互いに垂直であるため、液晶層1300の液晶分子は、Y軸方向に沿って第1配向層1420から第2配向層1440まで順番に回転して配列される。回転角は、図1に示すように、実質的に90°である。
【0047】
また、図1に示すように、液晶光学レンズ1000は、さらに、シーラント1500を含む。本実施形態において、シーラント1500は、第1配向層1420と第2配向層1440の間に配置され、第1素子基板1100と第2素子基板1200を接合する。一般的に、接着剤は、素子基板1100または1200のうちの少なくとも1つに配置され、素子基板1100と1200は並んで接合される。接着剤が固まると、上述したシーラント1500が形成される。本実施形態において、シーラント1500は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display, LCD)パネルの実装に用いるプラスチックフレーミング技術、または他の適切なプラスチックフレーミング技術および材料によって形成される。上記説明は、例として示しただけであるため、本発明はこれらに限定されない。
【0048】
上述した構造からわかるように、本実施形態における液晶光学レンズ1000の電極層および導電層は、立体積み重ね設計を採用するとともに、導電層は、環状の形状を採用する。そのため、適切な電圧を各電極に印加した時、第1素子基板1100と第2素子基板1200の間に構成された液晶分子のねじれ度合いを制御して、第1素子基板1100と第2素子基板1200の間の屈折率分布を調節することができる。そのため、液晶光学レンズ1000は、凹凸レンズに類似する光焦点/発散機能を有する。つまり、本実施形態の液晶光学レンズ1000は、上述した構造を採用し、適切な駆動電圧を各導電層に補充することによって、GRINレンズを形成することができる。
【0049】
各電極層および導電層に用いる実施方式をさらに説明するため、図3Aおよび図3Bを参照して説明する。図3Aは、共通の電圧源を共有する第1素子基板および第2素子基板を示した概略図である。図3Bは、複数の電圧源を共有する第1素子基板および第2素子基板を示した概略図である。
【0050】
まず、図1および図3Aに示すように、第1電極層1120および各第1積層1140の第1導電層1142は、共通の第1電位に電気接続される。一方、第2電極層1220および各第2積層1240の第2導電層1242は、共通の第2電位に電気接続される。ここで、第1電位は、第2電位と同じではない。したがって、第1電極層1120と第2電極層1220に印加された電位の差は、各第1積層1140の第1導電層1142および対応する各第2積層1240の第2導電層1242に印加された電位の差に実質的に等しい。つまり、1つの電圧源Vcのみを採用し、上述した電極層および導電層を並列に連結することによって、前に説明したGRINレンズを形成する。
【0051】
さらに詳しく説明すると、第1電極層1120および第2電極層1220の電位の差は、各第1積層1140の第1導電層1142および対応する各第2積層1240の第2導電層1242に印加された電位の差に実質的に等しく、且つ図1に示すように、各電極層とそれに対応する導電層の間の距離は同じではないため、第1素子基板1100と第2素子基板1200の間に配置された液晶分子のねじれ度合いも同じではない。この時、電圧源の電圧が適切に調節されると、上述したGRINレンズを形成することができ、それによって、液晶光学レンズ1000は、凹凸レンズに類似する調節可能な光焦点/発散機能を得ることができる。
【0052】
また、図1および図3Bに示すように、第1電極層1120および第2電極層1220は、第1駆動信号源Vs1によって駆動され、各第1積層1140の第1導電層1142および対応する各第2積層1240の第2導電層1242は、それぞれ第2駆動信号源Vs2〜Vs6によって駆動される。したがって、第1電極層1120および第2電極層1220に印加された電位の差は、各第1積層1140の第1導電層1142および対応する各第2積層1240の第2導電層1242に印加された電位の差と等しくなくてもよい。そのため、複数の電圧源Vs1〜Vs6が上述した電極層および導電層にそれぞれ電気接続する設計を採用することによって、より柔軟性のある調節機構を得ることができ、それによって、上述したGRINレンズを形成することができる。同様にして、電圧源Vs1〜Vs6の電圧を適切に調整してGRINレンズを形成することによって、液晶光学レンズ100は、凹凸レンズに類似する調節可能な光焦点/発散機能を得ることができる。
【0053】
以下に、上述した液晶光学レンズ1000の製造方法について説明する。
【0054】
図4A〜図4Fは、本発明の実施形態に係る液晶光学レンズを製造するためのプロセスを示した概略図である。図4Aを参照すると、まず、第1基板1100aおよび第2基板1200aを提供する。ここで、第1基板1100aおよび第2基板1200aは、例えば、ガラス基板等の透明基板である。
【0055】
そして、図4Bに示すように、上述した第1電極層1120および第2電極層1220をそれぞれ第1基板1100aおよび第2基板1200aの上に形成する。本実施形態において、第1電極層1120および第2電極層1220は、前に説明した材料を用いるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、第1電極層1120および第2電極層1220を形成する方法は、スパッタリング法(sputtering)、有機金属気相成長法(metal organic chemical vapor deposition, MOCVD)、蒸着法(evaporation)、またはその他の適切な製造プロセスでもよい。
【0056】
次に、図4Cに示すように、第1電極層1120および第2電極層1220の上に、絶縁材料層P1および導電材料層P2を順番に形成する。本実施形態において、絶縁材料層P1を形成する方法は、化学気相成長法(chemical vapor deposition)を用いるが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、他の適切な製造方法、例えば、スクリーン印刷、コーティング、インクジェット、エネルギー源プロセス等を使用してもよい。また、絶縁材料層P1は、上述した絶縁層1144および1244で既に説明した材料を用いることができるため、ここでは更なる説明を省略する。導電材料層P2は、上述した第1導電層1120および第2導電層1220で説明した材料を用いることができる。
【0057】
そして、図4Dに示すように、第1基板1100aおよび第2基板1200aの上に形成された絶縁材料層P1および導電材料層P2をパターン化して、それぞれ上述した第1絶縁層1144と第1導電層1142を有する第1積層1140、および第2絶縁層1244と第2導電層1242を有する第2積層1240を形成する。本実施形態において、絶縁材料層P1および導電材料層P2をパターン化する方法は、例えば、フォトリソグラフィ、ドライエッチング、ウェットエッチング、または他の適切な製造プロセスである。
【0058】
それから、図4Eに示すように、図4Cおよび図4Dに示した製造プロセスを繰り返し行って、第1電極層1120および第2電極層1220の上に、それぞれ上述した第1積層1140および第2積層1240を積み重ねる。注意すべきこととして、各第1積層1140の第1開口1140aは、第1基板1100aから離れるにつれて(図4EのY軸方向に向かって)大きくなり、第2積層1240の第2開口1240aは、第2基板1200aから離れるにつれて(図4EのY軸方向に向かって)大きくなる。このステップまでで、上述した第1素子基板1100および第2素子基板1200の製造が実質的に完了する。
【0059】
続いて、図4Fに示すように、第1素子基板1100および第2素子基板1200を組み立てるとともに、第1素子基板1100と第2素子基板1200の間に液晶分子を注入して、上述した液晶層1300を形成する。本実施形態において、液晶層1300を形成する方法は、少なくとも真空注入法またはODF法を用いる。真空注入法を用いる場合、第1積層1140または第2積層1240の上に上述した溝1600を形成して、第1開口1140aまたは第2開口1240aを連結し、それによって、この溝1600から第1開口1140aまたは第2開口1240aに液晶層1300の液晶材料を伝送することができる。しかしながら、単に例を説明しただけであり、本発明はこれに限定されない。また、上述した第1素子基板1100および第2素子基板1200を組み立てる方法は、前にシーラント1500で説明した方法を採用することができる。したがって、前の説明を参照することができるため、ここでは更なる説明を省略する。
【0060】
1つの実施形態において、図1に示すように、上述した第1配向層1420を第1素子基板1100の上に形成して、第1電極層1120および各第1積層1140の第1導電層1142を覆うことができる。また、上述した第2配向層1440を第2素子基板1200の上に形成して、第2電極層1220および各第2積層1240の第2導電層1242を覆うことができる。本実施形態において、第1配向層1420および第2配向層1440を形成する方法は、例えば、コーティングプロセスがある。それから、第1配向層1420および第2配向層1440がそれぞれ上述した第1配向方向および第2配向方向を得るように、第1配向層1420および第2配向層1440に対して配向プロセスを行う。このステップまでで、図1に示した液晶光学レンズの製造方法が実質的に完了する。
【0061】
注意すべきこととして、図4A〜図4Fは、図1に示した液晶光学レンズの製造方法を示しただけである。本分野において通常の知識を有する者であれば、開示した製造ステップまたは方法に多少の変更を加えて、本実施形態の液晶光学レンズ1000を形成することができる(つまり、順番に電極層を形成してから上述した絶縁層を形成すること、および上述した導電層を形成してから絶縁層および導電層を形成するステップを繰り返し行うこと)。ただし、これらの変更は、本発明の保護範囲内であるものとする。
【0062】
また、図5は、本発明の別の実施形態に係るレンズ装置を示した概略図である。図5を参照すると、本実施形態に係るレンズ装置5000は、第1レンズ群5100と、第2レンズ群5200と、第3レンズ群5300とを備える。第1レンズ群5100は、正の屈折力を有し、物体側から像側に順番に配列された液晶光学レンズ5120および補正レンズ5140によって形成される。
【0063】
本実施形態において、液晶光学レンズ5120は、例えば、上述した液晶光学レンズ1000である。そのため、電圧によって液晶光学レンズ5120の内部の屈折率分布を調節および制御することができ、それによって、液晶光学レンズ5120の焦点距離を調節することができるため、液晶光学レンズ5120は焦点機能を有する。本実施形態において、補正レンズ5140は、例えば、凹凸レンズであるが、本発明はこれに限定されない。主に、補正レンズ5140を用いて、液晶光学レンズ5120の焦点距離を補正するため、レンズ装置5000は、優れたフォーカス品質を有する。
【0064】
引き続き図5を参照すると、第2レンズ群5200は、負の屈折力を有し、第1レンズ群5100と像側の間に配置される。第3レンズ群5300は、正の屈折力を有し、第2レンズ群5200と像側の間に配置される。本実施形態において、第2レンズ群5200は、ズームレンズ群であり、主に、複数に区切られ且つ固定された距離をもって第1レンズ群5100と第3レンズ群5300の間で移動して、レンズ装置5000のズーム機能を達成する。また、第1レンズ群5100と第3レンズ群5300の位置は、レンズ装置5000に相対して固定される。第3レンズ群5300は、画像形成の間にレンズ装置5000の光学品質を補正するための補正レンズ群である。
【0065】
本実施形態において、レンズ装置5000の第1レンズ群5100は、主に、液晶光学レンズ5120を使用して、焦点機能を行い、液晶光学レンズ5120は、単純な電圧制御プロセスによって、焦点機能を達成することができる。そのため、従来は、焦点機能を達成するために複数のレンズと複数のアクチュエーターを組み合わせる必要があったが、本実施形態のレンズ装置5000は、そのような機械構造の複雑性を減らすことが可能となる。また、レンズ装置5000のズーム機能を達成するために、第2レンズ群5200は、主に、区切られ且つ固定された距離をもって第1レンズ群5100と第3レンズ群5300の間で移動する。そのため、ズーム機能を達成するために位置センサーおよびクローズループ制御器を使用する必要がない。さらに、エネルギーを節約して、コストを下げることができるとともに、さらに、機械の複雑性を減らすこともできる。
【0066】
また、図5に示したレンズ装置は、直立設計を採用する。別の実施形態において、図5のレンズ装置と屈折レンズを組み合わせることによって、図6に示すようなレンズ装置5000aを形成してもよい。図6は、本発明の別の実施形態に係るレンズ装置を示した概略図である。
【0067】
図5および図6を同時に参照すると、レンズ装置5000aは、レンズ装置5000に類似する。これら2つの間の相違点は、レンズ装置5000aが、さらに、物体側と第1レンズ群5100の間に配置された屈折レンズ5400を備えることである。図6に示すように、物体側からの物体光L1は、屈折レンズ5400によって屈折し、第1レンズ5100に伝送される。
【0068】
さらに詳しく説明すると、レンズ装置5000a内に配置された屈折レンズ5400によって、物体光L1を屈折させて、第1レンズ群5100に伝送した後、像側に順番に伝送して、画像が形成される。つまり、レンズ装置5000aは、別の角度の光を受け取ることができる。例えば、物体光を90°屈折させた後、像側に伝送して、画像を形成することによって、潜望式のレンズ装置5000aが形成される。
【0069】
また、レンズ装置5000aとレンズ装置5000は類似するため、レンズ装置5000aは、上述したレンズ装置5000で既に説明した利点を有する。したがって、ここでは説明を省略する。
【0070】
以上のように、本発明の液晶光学レンズの電極層および導電層は、主に、立体積重ね設計を採用するとともに、導電層は、環状の形状を採用する。そのため、適切な電圧を各電極にそれぞれ印加した時、第1素子基板と第2素子基板の間に構成された液晶分子のねじれ度合いを制御することができ、その結果、凹凸レンズに類似する光焦点/発散機能を得ることができる。
【0071】
つまり、本発明の液晶光学レンズは、上述した構造を採用し、各導電層に適切な駆動電圧を補充することによって、優れた焦点機能を備えたGRINレンズを形成することができる。また、本発明は、上述した液晶光学レンズの製造方法を提供する。
【0072】
また、本発明のレンズ装置は、上述した液晶光学レンズを採用する。このレンズ装置は、優れた焦点機能を有するだけでなく、全体の構造の複雑性やコストを下げることもできる。
【0073】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【符号の説明】
【0074】
1000 液晶光学レンズ
1100 第1素子基板
1100a 第1基板
1120 第1電極層
1140 第1積層
1140a 第1開口
1142 第1導電層
1144 第1絶縁層
1200 第2素子基板
1200a 第2基板
1220 第2電極層
1240 第2積層
1240a 第2開口
1242 第2導電層
1244 第2絶縁層
1300 液晶層
1420 第1配向層
1440 第2配向層
1500 シーラント
1600 溝
5000、5000a レンズ装置
5100 第1レンズ群
5120 液晶光学レンズ
5140 補正レンズ
5200 第2レンズ群
5300 第3レンズ群
5400 屈折レンズ
P1 絶縁材料層
P2 導電材料層
Vc 電圧源
Vc1〜Vc6 駆動信号源
H1、H2 幅
L1 物体光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順番に積み重ねられた第1電極層および複数の第1積層を含み、前記各第1積層が、前記第1電極層を露出する第1開口を有するとともに、第1導電層および前記第1導電層と前記第1電極層の間に配置された第1絶縁層を含む第1素子基板と、
順番に積み重ねられた第2電極層および複数の第2積層を含み、且つ前記第1素子基板の反対側に構成され、前記各第2積層が、前記第2電極層を露出する第2開口を有するとともに、第2導電層および前記第2導電層と前記第2電極層の間に配置された第2絶縁層を含む第2素子基板と、
前記第1素子基板と前記第2素子基板の間に配置され、且つ前記第1開口と前記第2開口の中に構成された液晶層と
を備えた液晶光学レンズ。
【請求項2】
前記各第1積層の前記第1開口の幅が、前記第1素子基板から離れるにつれて大きくなり、前記各第2積層の前記第2開口の幅が、前記第2素子基板から離れるにつれて大きくなる請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項3】
前記第1積層の前記第1開口が、それぞれ前記第2積層の前記第2開口に対応する請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項4】
前記第1積層の前記第1開口および前記第2積層の前記第2開口が、円形の開口である請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項5】
第1配向方向を有するとともに、前記第1素子基板の上に配置されて、前記第1電極層および前記各第1積層の前記第1導電層を覆う第1配向層と、
第2配向方向を有するとともに、前記第2素子基板の上に配置されて、前記第2電極層および前記各第2積層の前記第2導電層を覆う第2配向層と
をさらに備えた請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項6】
前記第1配向方向が、前記第2配向方向に対して実質的に垂直である請求項2記載の液晶光学レンズ。
【請求項7】
前記第1配向層と前記第2配向層の間に配置され、前記第1素子基板と前記第2素子基板をシールするシーラントをさらに備えた請求項2記載の液晶光学レンズ。
【請求項8】
前記第1電極層および前記各第1積層の前記第1導電層が、第1電位に電気接続されるとともに、前記第2電極層および前記各第2積層の前記第2導電層が、第2電位に電気接続され、前記第1電位と前記第2電位が異なる請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項9】
前記第1電極層および前記第2電極層が、第1駆動信号源によって駆動され、前記各第1積層の前記第1導電層および対応する前記各第2積層の前記第2導電層が、第2駆動信号源によって駆動される請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項10】
前記液晶層の材料が、ポリマーネットワーク液晶(PNLC)を含む請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項11】
前記第1積層または前記第2積層が、さらに、前記第1開口または前記第2開口を連結する溝を含み、前記溝によって、前記液晶層の前記材料を前記第1開口または前記第2開口に伝送する請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項12】
前記第1電極層、前記第1導電層、前記第2電極層、および前記第2導電層の材料が、透明導電材料である請求項1記載の液晶光学レンズ。
【請求項13】
第1基板および第2基板を提供することと、
前記第1基板の上に第1電極層および複数の第1積層を順番に積み重ねて、第1素子基板を形成し、前記各第1積層が、前記第1電極層を露出する第1開口を有するとともに、第1導電層および前記第1導電層と前記第1電極層の間に配置された第1絶縁層を含むことと、
前記第2基板の上に第2電極層および複数の第2積層を順番に積み重ねて、第2素子基板を形成し、前記各第2積層が、前記第2電極層を露出する第2開口を有するとともに、第2導電層および前記第2導電層と前記第2電極層の間に配置された第2絶縁層を含むことと、
前記第1素子基板と前記第2素子基板を組み立てるとともに、前記第1素子基板と前記第2素子基板の間に液晶材料を注入して、液晶層を形成することと
を含む液晶光学レンズの製造方法。
【請求項14】
前記第1基板の上に前記第1電極層および前記第1積層を積み重ねて、前記第1素子基板を形成することが、
(a)前記第1基板の上に前記第1電極層を形成することと、
(b)前記第1電極層の上に絶縁材料層および導電材料層を順番に形成することと、
(c)前記絶縁材料層および前記導電材料層をパターン化して、前記第1絶縁層および前記第1導電層を有する前記第1積層を形成することと、
ステップ(b)および(c)を繰り返し行って、前記第1電極層の上に前記第1積層を積み重ねることと
を含み、前記各第1積層の前記第1開口が、前記第1基板から離れるにつれて大きくなる請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
前記第2基板の上に前記第2電極層および前記第2積層を順番に積み重ねて、前記第2素子基板を形成することが、
(a)前記第2基板の上に前記第2電極層を形成することと、
(b)前記第2電極層の上に絶縁材料層および導電材料層を順番に形成することと、
(c)前記絶縁材料層および前記導電材料層をパターン化して、前記第2絶縁層および前記第2導電層を有する前記第2積層を形成することと、
ステップ(b)および(c)を繰り返し行って、前記第2電極層の上に前記第2積層を積み重ねることと
を含み、前記各第2積層の前記第2開口が、前記第2基板から離れるにつれて大きくなる請求項13記載の製造方法。
【請求項16】
前記第1素子基板の上に第1配向方向を有する第1配向層を形成して、前記第1電極層および前記各第1積層の前記第1導電層を覆うことと、
前記第2素子基板の上に第2配向方向を有する第2配向層を形成して、前記第2電極層および前記各第2積層の前記第2導電層を覆うことと
をさらに含み、前記第2配向層が、前記第1配向方向と異なる請求項13記載の製造方法。
【請求項17】
液晶光学レンズの製造方法であって、
さらに前記第1積層または前記第2積層の上に溝を形成して、前記第1開口または前記第2開口を連結し、前記溝によって、前記液晶材料を前記第1開口または前記第2開口に伝送する請求項13記載の製造方法。
【請求項18】
正の屈折力を有し、物体側から像側に順番に配列された液晶光学レンズおよび補正レンズから構成された第1レンズ群と、
前記第1レンズ群と前記像側の間に配置され、負の屈折力を有する第2レンズ群と、
前記第2レンズ群と前記像側の間に配置され、正の屈折力を有する第3レンズ群と
を備え、前記第1レンズ群および前記第3レンズ群の位置が、前記レンズ装置に相対して固定され、前記第2レンズ群が、複数に区切られ且つ固定された距離をもって前記第1レンズ群と前記第3レンズ群の間で移動するレンズ装置。
【請求項19】
前記第2レンズ群が、ズームレンズ群であり、前記第3レンズ群が、補正レンズ群である請求項18記載のレンズ装置。
【請求項20】
前記液晶光学レンズが、
順番に積み重ねられた第1電極層および複数の第1積層を含み、前記各第1積層が、前記第1電極層を露出する第1開口を有するとともに、第1導電層および前記第1導電層と前記第1電極層の間に配置された第1絶縁層を含む第1素子基板と、
順番に積み重ねられた第2電極層および複数の第2積層を含み、且つ前記第1素子基板の反対側に配置され、前記各第2積層が、前記第2電極層を露出する第2開口を有するとともに、第2導電層および前記第2導電層と前記第2電極層の間に配置された第2絶縁層を含む第2素子基板と、
前記第1素子基板と前記第2素子基板の間に配置され、前記第1開口と前記第2開口の中に構成された液晶層と
を備えた請求項18記載のレンズ装置。
【請求項21】
前記各第1積層の前記第1開口の幅が、前記第1素子基板から離れるにつれて大きくなり、前記各第2積層の前記第2開口の幅が、前記第2素子基板から離れるにつれて大きくなる請求項20記載のレンズ装置。
【請求項22】
前記第1積層の前記第1開口が、それぞれ前記第2積層の前記第2開口に対応する請求項20記載のレンズ装置。
【請求項23】
前記第1積層の前記第1開口および前記第2積層の前記第2開口が、円形の開口である請求項20記載のレンズ装置。
【請求項24】
第1配向方向を有するとともに、前記第1素子基板の上に配置されて、前記第1電極層および前記各第1積層の前記第1導電層を覆う第1配向層と、
第2配向方向を有するとともに、前記第2素子基板の上に配置されて、前記第2電極層および前記各第2積層の前記第2導電層を覆う第2配向層と
をさらに備えた請求項20記載のレンズ装置。
【請求項25】
前記物体側と前記第1レンズ群の間に配置された屈折レンズをさらに備え、前記屈折レンズによって、前記物体側からの物体光を屈折させて、前記第1レンズ群に伝送する請求項18記載のレンズ装置。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図4F】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−70187(P2011−70187A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−209004(P2010−209004)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(507352477)點晶科技股▲フン▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】