説明

液晶化合物、その製造方法、液晶組成物および液晶電気光学素子

【課題】他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定であり、かつ液晶電気光学素子に用いた場合に広い温度範囲で高速応答性に優れ低電圧駆動できる性質を有する液晶化合物およびその製造方法、該液晶化合物を含有する液晶組成物および液晶電気光学素子の提供。
【解決手段】R1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−A4−CF2CHFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2(1)で特定される−CF2CHFCF2O−連結基を有する液晶化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶化合物、その製造方法、該化合物を含有する液晶組成物および液晶電気光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶電気光学素子は携帯電話やPDAのような携帯機器、複写機やパソコンモニタのようなOA機器用表示装置、液晶テレビなどの家電製品用表示装置をはじめ、時計、電卓、測定器、自動車用計器、カメラなどの用途に使用されており、広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等の種々の性能が要求されている。
このような液晶電気光学素子には液晶相を示す材料が使用されているが、現在のところ、これら全ての特性を単独の化合物で満たすわけではなく、1つまたは2つ以上の特性の優れた複数の液晶化合物や非液晶性化合物を混合して液晶組成物として要求性能を満たしている。
液晶電気光学素子の分野において、液晶組成物に使用される化合物に要求される種々の特性の中でも、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定であり、かつ液晶電気光学素子に用いた場合に広い温度範囲で高速応答性に優れ低電圧駆動できる性質を有する化合物または液晶組成物を提供することは重要な課題である。
【0003】
このような課題の解決策として、これまでに、−CF2O−連結基含有化合物および−CH2CH2CF2O−連結基含有化合物が用いられてきている。(特許文献1、特許文献2)しかし、−CF2O−連結基含有化合物については、構造によっては−CF2O−が分解されてしまうことがあるという問題点がある。また、−CH2CH2CF2O−連結基含有化合物については製造工程が多く、煩雑であるといった課題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−112778号公報
【特許文献2】特開2003−2858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定であり、かつ液晶電気光学素子に用いた場合に広い温度範囲で高速応答性に優れ低電圧駆動できる性質を有する液晶化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。また、該液晶化合物中の各基を調整することにより、前記の特性に加えて、大きな誘電率異方性等を併せ持つ液晶化合物を提供することも目的とする。
また、本発明は、該液晶化合物を含有し、広い温度範囲において低電圧で駆動でき、表示品位の高い液晶電気光学素子を得るのに好適な液晶組成物およびその液晶組成物を用いた液晶電気光学素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、このような課題の解決策として、−CF2CHFCF2O−連結基を有する特定構造の化合物を液晶組成物に含有させた場合に、その液晶組成物を用いた液晶電気光学素子が広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等の種々の要求性能を満たすのに有用な化合物であることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、式(1)で表される液晶化合物を提供する。
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−A4−CF2CHFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2 (1)
式(1)中の記号は、以下の意味を示す。
1、R2:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5または炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基であり、基中の1つ以上の−CH2 −は、エーテル性酸素原子(−O−)、チオエーテル性硫黄原子(−S−)で置換されていてもよく、基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
1、A、A、A、A、A6、A7:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
1、Z2、Z3、Z4、Z5:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基であり、基中の1つ以上の−CH2−は、−O−または−S−で置換されていてもよく、基中の任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。
a、b、c、d、e:相互に独立して0または1。ただし、0≦a+b+c+d+e≦3。
【0007】
前記式(1)で表される液晶化合物のうちでも、下記式(1−1)で表される化合物が好ましい。
11−(A11a−Z11−(A21b−Z21−(A31c−Z31−A41−CF2CHFCF2O−A51−Z41−(A61d−Z51−(A71e−R21 (1−1)
式中の記号は、以下の意味を示す。
11、R21:相互に独立して、水素原子、フッ素原子、−SF5、または炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基。該基中の1以上の−CH2−は−O−または−S−で置換されていてもよく、基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
11、A21、A31、A41、A51、A61、A71:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
11、Z21、Z31、Z41、Z51:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1つ以上の−CH2−は−O−で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
a、b、c、d、eは前記と同じ意味である。
【0008】
前記式(1)で表される液晶化合物のうちでも、下記式(1−2)で表される化合物が好ましい。
12−(A12a−Z12−(A22b−Z22−(A32c−Z32−A42−CF2CHFCF2O−A52−Z42−(A62d−Z52−(A72e−R22 (1−2)
式中の記号は、以下の意味を示す。
12:水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基。
22:フッ素原子、−SF5、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基。
12、A22、A32、A52、A62、A72:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
42:トランス−1,4−シクロへキシレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
12、Z22、Z32、Z42、Z52:相互に独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレン基。
a、b、c、d、eは前記と同じ意味である。
【0009】
また、前記式(1)で表される液晶化合物の製造方法は、下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物を反応させ前記式(1)で表される化合物を得る方法が好ましい。
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−A4−X (2)
CF=CFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2(3)
式(2)および式(3)中のR、R、A、A、A、A、A、A、A7、Z、Z、Z、Z、Z5、a、b、c、dおよびeは前記と同じ意味を示す。また、Xはハロゲン原子である。
【0010】
中でも、A4がトランス−1,4−シクロへキシレン基である場合は、下記工程1および工程2を含む方法が好ましい。なお、工程2では、銅試薬を含まないことが好ましい。
工程1:下記式(2’)で表される化合物を金属マグネシウムと反応させて、下記式(4)で表される化合物とする工程。
工程2:下記式(4)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物とを反応させて、下記式(1’)で表される化合物を合成する工程。
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−Cy−X (2’)
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−Cy−MgX (4)
CF=CFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2(3)
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−Cy−CF2CHFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2 (1’)
式中の、−Cy−はトランス−1,4−シクロへキシレン基であり、他の記号は前記と同じ意味を示す。
【0011】
また、本発明は、前記式(1)で表される液晶化合物(1)を含む液晶組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、該液晶組成物を、電極が配設された2枚の基板間に封入してなる液晶電気光学素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の式(1)で表される液晶化合物は、他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れ、化学的にも安定である。また、本発明の化合物は、該化合物を構成する環基、置換基および連結基を適宜選択することにより、液晶電気光学素子に要求される様々な性能、具体的には、例えば、広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等、を満たした液晶組成物を調製できる。かつ該液晶組成物を液晶電気光学素子に用いた場合に広い温度範囲で高速応答性に優れ低電圧駆動できる。
本発明の製造方法に従えば、−CF2CHFCF2O−連結基を有する化合物を汎用性が高く工業的にも容易に簡便かつ効率的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明について更に詳しく説明する。
本明細書において、式(1)で表される液晶化合物を化合物(1)と記し、他の式で表される化合物も同様に記す。
【0015】
本発明の化合物(1)において、R1およびR2は、相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5または炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基であり、該基中の1つ以上の−CH2 −は、−O−、−S−で置換されていてもよく、基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、これら基および水素原子の置換のいずれも含んでいてもよい。
以下、−O−、−S−およびフッ素原子の少なくとも1つによる置換を含むアルキル基を「置換アルキル基」と記す。
また、−O−、−S−およびフッ素原子の少なくとも1つによる置換を含むアルケニル基を「置換アルケニル基」と記す。
【0016】
1価の脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基が挙げられ、中でもアルキル基またはアルケニル基が好ましい。
置換アルキル基としては、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルコキシアルキル基、フルオロアルキルチオ基等が挙げられる。
置換アルケニル基としては、アルケニルオキシ基、アルケニルオキシアルキル基、アルケニルチオ基、アルケニルチオアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロアルケニルオキシ基等が挙げられる。
【0017】
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基等が挙げられる。
アルキルチオアルキル基としては、メチルチオメチル基、エチルチオメチル基、プロピルチオメチル基、ブチルチオメチル基、メチルチオエチル基、エチルチオエチル基、プロピルチオエチル基、メチルチオプロピル基、エチルチオプロピル基、プロピルチオプロピル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基が挙げられる。
フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、フルオロメチル基、2−フルオロエチル基、ジフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、5−フルオロペンチル基等が挙げられる。
フルオロアルコキシ基としては、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ基等が挙げられる。
フルオロアルコキシアルキル基としては、トリフルオロメトキシメチル基等が挙げられる。
フルオロアルケニル基としては、2−フルオロエテニル基、2,2−ジフルオロエテニル基、1,2,2−トリフルオロエテニル基、3−フルオロ−1−ブテニル基、4−フルオロ−1−ブテニル基等が挙げられる。
フルオロアルキルチオ基としては、トリフルオロメチルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、1,1,2,2−テトラフルオロエチルチオ基、2,2,2−トリフルオロエチルチオ基等が挙げられる。
【0018】
1およびR2としては、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオ基、アルキルチオアルキル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アルケニルチオ基、フルオロアルキル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアルコキシアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニルチオ基が好ましい。
【0019】
なかでも、R1およびR2としては、反応性や副反応が生じにくいことから、水素原子、フッ素原子、−SF5、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数1〜18の置換アルキル基、炭素数2〜18の置換アルケニル基が好ましい。
【0020】
特に、R1としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基が特に好ましい。
2としては、フッ素原子、−SF5、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基が特に好ましい。
【0021】
化合物(1)において、A1、A2、A3、A4、A5、A6およびA7は、相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基である。
これらA1〜A7各基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、またA1〜A7の各環を構成する=CH−基の1つまたは2つは窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−、−S−で置換されていてもよく、これら基および水素原子の置換のいずれも含んでいてもよい。このような置換を含む基を、各環基名の前に「置換」の語を付して、たとえば「置換1,4−フェニレン基」、「置換トランス−1、4−シクロヘキシレン基」などと称することがある。ここでのハロゲン原子としては、塩素原子およびフッ素原子が好ましい。
【0022】
1〜A7が1,4−フェニレン基であり、さらで置換基としてハロゲン原子を有する場合、1つの1,4−フェニレン基で置換するハロゲン原子の数は1つから4つであるが、中でも、1つまたは2つが好ましい。トランス−1,4−シクロヘキシレン基であり、さらで置換基としてハロゲン原子を有する場合、置換するハロゲン原子の数は1〜4つであることが好ましい。また、ハロゲン原子はシクロヘキシレン基の1位または4位の炭素原子に結合していてもよい。
窒素原子による置換1,4−フェニレン基としては、2,5−ピリミジニレン基または2,5−ピリジニレン基等が挙げられる。
−O−、−S−による置換トランス−1,4−シクロへキシレン基としては、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,3−ジチアン−2,5−ジイル基等が挙げられる。
【0023】
1、A2、A3、A4、A5、A6およびA7としては、反応性や原料入手の関係から、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、置換トランス−1,4−シクロへキシレン基、および置換1,4−フェニレン基が好ましい。
中でも、A1、A2、A3、A5、A6およびA7としては、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、および1つまたは2つのフッ素原子で置換された1,4−フェニレン基が特に好ましい。
また、A4としては、トランス−1,4−シクロへキシレン基および置換トランス−1,4−シクロへキシレン基が好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基が特に好ましい。
【0024】
化合物(1)において、Z1、Z2、Z3、Z4およびZ5は、相互に独立して、単結合、炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基であり、該基中の1つ以上の−CH2−は、−O−または−S−で置換されていてもよく、基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、これら基および水素原子の置換をいずれも含んでいてもよい。このような置換を有する基を、「置換」の語を付して称することがある。2価の脂肪族炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基が挙げられ、中でもアルキレン基が好ましい。
置換アルキレン基としては、−CF2CF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CHFCH2−、−CH2CHF−、−CF2CHF−、−CHFCF2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2S−、−SCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CF2CF2CF2−、−OCF2CF2O−、−C24CF2O−、等が挙げられる。
また、Z1、Z2、Z3、Z4またはZ5が単結合である場合には、それぞれの基の両側に存在する基は直接結合することを意味する。例えば、Zが単結合でありaおよびbが1の場合はAとA2とは直接結合する。また、Z、Z2およびZ3が単結合でありa、bおよびcが0である場合は、R1とA4とは直接結合する。
【0025】
1、Z2、Z3、Z4およびZ5としては、合成の容易さ等から、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、該基に対応するフッ素置換アルキレン基、または−O−置換アルキレン基が好ましい。
中でも、単結合および炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。
【0026】
本発明の化合物(1)において、a、b、c、dおよびeは相互に独立して0または1である。
ただし、0≦a+b+c+d+e≦3である。
a、b、c、dおよびeは化合物に要求特性に応じて適宜選択することができる。
たとえば化合物(1)が低粘性であること、あるいは該化合物が他の液晶材料または非液晶材料との相溶性に優れている点を重視する場合、0≦a+b+c+d+e≦1であることが好ましい。一方、化合物の高い液晶温度範囲を重視する場合、1≦a+b+c+d+e≦3であることが好ましい。
【0027】
化合物(1)液晶相の上限温度を高くし、粘性を下げる観点からは、A1、A2、A3、A4、A5、A6およびA7がトランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基であることが好ましい。また、R1およびR2がアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基であることが好ましい。
【0028】
化合物(1)のΔεを正に大きくする観点からは、−CF2CHFCF2O−のO側結合基である、「−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2」が、電子求引性の基であることが好ましいと考えられる。この「−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2」の電子求引性とは、化合物(1)において、d=e=0かつZ4およびZ5が単結合である「−A5−R2」の、R2が水素原子かつA5が非置換のフェニレン基またはシクロヘキシレン基であるものに比して電子求引性であることを意味する。
【0029】
「−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2」が電子求引性の基となる場合としては、各基が以下のものであることが挙げられる。
【0030】
2:フッ素原子、−OCF3、−OCF2H、−CN、−NCS、または−SF5
5、A6、A7:相互に独立して、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、または2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基。
4、Z5:単結合
d、e:相互に独立して0または1
また、A5、A6およびA7における置換型環基の置換位置は、R1に近いほうを4位、R2に近い方を1位とする。
【0031】
化合物(1)のΔεを負に大きくする観点からは、A1、A2、A3、A4、A5、A6およびA7の1つ以上が2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基であることが好ましい。また、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基に直接結合するR1およびR2がアルコキシ基であることが好ましい。
【0032】
本発明の化合物(1)としては、化合物(1−1)が好ましい。
11−(A11a−Z11−(A21b−Z21−(A31c−Z31−A41−CF2CHFCF2O−A51−Z41−(A61d−Z51−(A71e−R21 (1−1)
式中の記号は、以下の意味を示す。
11、R21:相互に独立して、水素原子、フッ素原子、−SF5、または炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基。該基中の1つ以上の−CH2−は−O−または−S−で置換されていてもよく、基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
11、A21、A31、A41、A51、A61、A71:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
11、Z21、Z31、Z41、Z51:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1つ以上の−CH2−は−O−で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
a、b、c、d、eは前記と同じ意味である。
【0033】
本発明の化合物(1)としては、化合物(1−2)がより好ましい。
12−(A12a−Z12−(A22b−Z22−(A32c−Z32−A42−CF2CHFCF2O−A52−Z42−(A62d−Z52−(A72e−R22 (1−2)
式中の記号は、以下の意味を示す。
12:水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基。
22:フッ素原子、−SF5、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基。
12、A22、A32、A52、A62、A72:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
42:トランス−1,4−シクロへキシレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基は−O−または−S−で置換されていてもよい。
12、Z22、Z32、Z42、Z52:相互に独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレン基。
a、b、c、d、eは前記と同じ意味である。
【0034】
本発明の化合物(1)の製造方法は、化合物(2)と化合物(3)を反応させ化合物(1)を得る方法が好ましい。
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−A4−X (2)
CF=CFCF2O−A5−Z4−(Ad−Z5−(A7e−R2(3)
式(2)および式(3)中のR、R、A、A、A、A、A、A、A7、Z、Z、Z、Z、Z5、a、b、c、dおよびeは前記と同じ意味を示す。また、Xはハロゲン原子である。
【0035】
中でも、A4がトランス−1,4−シクロへキシレン基である場合は、下記工程1および工程2を含む方法が好ましい。なお、工程2では、銅試薬を含まないことが好ましい。
工程1:化合物(2’)を金属マグネシウムと反応させて、化合物(4)とする工程。
工程2:化合物(4)と、化合物(3)とを反応させて、化合物(1’)を合成する工程。
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−Cy−X (2’)
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−Cy−MgX (4)
CF=CFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2(3)
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−Cy−CF2CHFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2 (1’)
式中の、−Cy−はトランス−1,4−シクロへキシレン基であり、他の記号は前記と同じ意味を示す。
【0036】
また、化合物(2)は、市販品あるいは新実験化学講座(丸善株式会社出版)等、有機合成の成書に記載されている方法にて容易に得られる。
【0037】
化合物(3)は、国際公開2004/058676号に記載の方法で製造することができる。
【0038】
本発明の製造方法は溶媒中で実施するのが好ましい。溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;石油エーテル類または前記溶媒の適当な混合溶媒等を用いることができる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、エーテル系溶媒と脂肪族炭化水素系溶媒の混合溶媒が好ましい。
【0039】
本発明の製造方法は金属試薬またはラジカル開始剤を用いて実施するのが好ましい。金属試薬としては金属リチウム、金属マグネシウム、亜鉛粉末、銅粉末、ブチルリチウムなどのアルキルリチウム試薬、アルキルマグネシウムハライド等が好ましい。ラジカル開始剤としては、トリエチルボランなどホウ素化合物、m−クロロ過安息香酸、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのジアゾ化合物が好ましい。
中でも、A4がトランス−1,4−シクロへキシレン基である場合は、工程1として、金属マグネシウムを用いることが好ましい。
【0040】
ラジカル開始剤を用いる場合、水素源として Bu3SnH などのスズ化合物、(Me3Si)3SiH や Ph2SiH2 などのケイ素化合物などを添加してもよい。
【0041】
反応温度は−70〜50℃が好ましく、−10〜70℃がより好ましい。
【0042】
反応時間は0.1〜48時間が好ましく、1〜24時間がより好ましい。
【0043】
本発明の製造方法は、化合物(2)が下記化合物(2−1)であり、化合物(3)が下記化合物(3−1)である場合が好ましい。
11−(A11a−Z11−(A21b−Z21−(A31c−Z31−A41−X (2−1)
CF2=CFCF2O−A51−Z41−(A61d−Z51−(A71e−R21(3−1)
各式中の記号は前記と同じ意味を示す。
なお、A41がトランス−1,4−シクロへキシレン基である場合は、工程1および工程2において、化合物(2’)が下記化合物(2’−1)であり、化合物(4)が下記化合物(4−1)であり、化合物(3)が下記化合物(3−1)であり、化合物(1)が化合物(1’−1)である場合が好ましい。
11−(A11a−Z11−(A21b−Z21−(A31c−Z31−Cy−X (2’−1)
11−(A11a−Z11−(A21b−Z21−(A31c−Z31−Cy−MgX (4−1)
CF2=CFCF2O−A51−Z41−(A61d−Z51−(A71e−R21(3−1)
11−(A11a−Z11−(A21b−Z21−(A31c−Z31−Cy−CF2CHFCF2O−A51−Z41−(A61d−Z51−(A71e−R21 (1’−1)
各式中の記号は前記と同じ意味を示す。
【0044】
また、本発明の製造方法は、化合物(2)が下記化合物(2−2)であり、化合物(3)が下記化合物(3−2)である場合が特に好ましい。
12−(A12a−Z12−(A22b−Z22−(A32c−Z32−A42−X (2−2)
CF2=CFCF2O−A52−Z42−(A62d−Z52−(A72e−R22 (3−2)
各式中の記号は前記と同じ意味を示す。
なお、A42がトランス−1,4−シクロへキシレン基である場合は、工程1および工程2において、化合物(2’)が下記化合物(2’−2)であり、化合物(4)が下記化合物(4−2)であり、化合物(3)が下記化合物(3−2)であり、化合物(1)が化合物(1’−2)である場合が好ましい。
12−(A12a−Z12−(A22b−Z22−(A32c−Z32−Cy−X (2’−2)
12−(A12a−Z12−(A22b−Z22−(A32c−Z32−Cy−MgX (4−2)
CF2=CFCF2O−A52−Z42−(A62d−Z52−(A72e−R22(3−2)
12−(A12a−Z12−(A22b−Z22−(A32c−Z32−Cy−CF2CHFCF2O−A52−Z42−(A62d−Z52−(A72e−R22 (1’−2)
各式中の記号は前記と同じ意味を示す。
【0045】
また、本発明は、前記化合物(1)を含む液晶組成物を提供する。この液晶組成物は、本発明の化合物(1)と、他の液晶化合物または非液晶化合物(これらを総称して「他の化合物」という)とを混合して構成される。
【0046】
本発明の液晶組成物における化合物(1)の含有量は、用途、使用目的、他の化合物の種類等により適宜変更することができるが、液晶組成物全量に対して化合物(1)は0.5〜50質量%が好ましく、特に2〜20質量%が好ましい。また、用途、使用目的等により、液晶組成物中に化合物(1)を2種類以上含有してもよい。その場合、液晶組成物の全量に対して化合物(1)の合計量で0.5〜80質量%が好ましく、特に2〜50質量%が好ましい。
【0047】
化合物(1)と混合して用いる他の化合物としては、屈折率異方性値を調整する成分、粘性を下げる成分、低温で液晶性を示す成分、誘電率異方性を向上させる成分、コレステリック性を付与する成分、二色性を示す成分、導電性を付与する成分、その他各種添加剤等が挙げられる。これらは、用途、要求性能等により、適宜選択されるが、通常は、液晶化合物および該液晶化合物と類似構造を有する主成分と、必要に応じて添加される添加成分とからなるものが好ましい。
【0048】
本発明の液晶組成物において、前記他の化合物としては、例えば、以下の式で表されるものが挙げられる。以下の式中、R3およびR4は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基等の基を表す。また、R3およびR4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
以下の各式中、−Cy−はトランス−1,4−シクロへキシレン基を表し、−Ph−は1,4−フェニレン基を表し、−PhFF−はジフロオロフェニレン基を表す。
【0049】
3−Cy−Cy−R4
3−Cy−Ph−R4
3−Cy−PhFF−CN
3−Ph−Ph−R4
3−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Cy−COO−Ph−R4
3−Cy−COO−PhFF−CN
3−Ph−COO−Ph−R4
3−Ph−COO−PhFF−CN
3−Cy−CH=CH−Ph−R4
3−Ph−CH=CH−Ph−R4
3−Ph−CF=CF−Ph−R4
3−Cy−CF=CF−Ph−R4
3−Cy−CF=CF−Cy−R4
3−Cy−Ph−CF=CF−Ph−R4
3−Cy−Ph−CF=CF−Cy−R4
【0050】
3−Ph−Cy−CF=CF−Cy−R4
3−Cy−Cy−CF=CF−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF=CF−Ph−R4
3−Cy−CH2 CH2 −Ph−R4
3−Cy−Ph−CH2 CH2−Ph−R4
3−Cy−Ph−CH2 CH2−Cy−R4
3−Cy−Cy−CH2 CH2−Ph−R4
3−Ph−CH2 CH2−Ph−R4
3−Ph−Ph−CH2 CH2−Ph−R4
3−Ph−Ph−CH2 CH2−Cy−R4
3−Cy−Ph−Ph−R4
3−Cy−Ph−PhFF−CN
3−Cy−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Cy−Ph−C≡C−PhFF−CN
3−Cy−Ph−C≡C−Ph−Cy−R4
3−Cy−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−R4
【0051】
3−Cy−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−Cy−R4
3−Cy−Ph−Ph−Cy−R4
3−Ph−Ph−Ph−R4
3−Ph−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Ph−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−R4
3−Ph−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−Cy−R4
3−Cy−COO−Ph−Ph−R4
3−Cy−COO−Ph−PhFF−CN
3−Cy−Ph−COO−Ph−R4
3−Cy−Ph−COO−PhFF−CN
3−Cy−COO−Ph−COO−Ph−R
3−Cy−COO−Ph−COO−PhFF−CN
3−Ph−COO−Ph−COO−Ph−R4
3−Ph−COO−Ph−OCO−Ph−R4
3−Ph−CF2 O−Ph−R4
【0052】
3−Cy−CF2 O−Ph−R4
3−Ph−CF2 O−Cy−R4
3−Cy−Ph−CF2 O−Ph−R4
3−Cy−Ph−CF2 O−Cy−R4
3−Cy−Cy−CF2 O−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF2 O−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF2 O−Cy−R4
3−Cy−Ph−CF2 O−PhFF−R4
3−Cy−PhFF−CF2 O−PhFF−R4
3−Ph−Ph−CF2 O−PhFF−R4
3−Ph−PhFF−CF2 O−PhFF−R4
3−Ph−CF2 CF2 −Ph−R4
【0053】
3−Cy−CF2 CF2−Ph−R4
3−Cy−CF2 CF2−Cy−R4
3−Cy−Ph−CF2 CF2−Ph−R4
3−Cy−Ph−CF2 CF2−Cy−R4
3−Cy−Cy−CF2 CF2−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF2 CF2−Ph−R4
3−Ph−Ph−CF2 CF2−Cy−R4
【0054】
なお、これらの化合物は単なる代表例であり、該化合物中の環構造または末端基に存在する水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基等で置換されたものでもよい。また、シクロヘキサン環やベンゼン環が他の六員環や五員環、例えば、ピリミジン環やジオキサン環等で置換されたものでもよく、環と環との間の結合基がそれぞれ独立して他の2価の結合基、例えば−CH2 O−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−COOCH2 −、−OCOCH2 −または−COCH2 −等に変更されているものでもよく、所望の性能に合わせて選択することができる。
【0055】
さらに、本発明は、前記液晶組成物を液晶層の構成材として用いる液晶電気光学素子を提供する。本明細書において、液晶電気光学素子とは、表示素子に限られず、液晶の電気的または光学的特性を利用する各種の機能素子、例えば、液晶表示素子、さらに、調光窓、光シャッター、偏光変換素子、可変焦点レンズ等の用途に用いられる素子を含むものである。例えば、本発明の液晶組成物を液晶セル内に注入する等して形成される液晶層を、電極を備える2枚の基板間に挟持して構成される電気光学素子部を有する液晶電気光学素子を提供する。この液晶電気光学素子は、ツイストネマチック(TN)方式、スーパーツイストネマチック(STN)方式、ECBモード、VAモード、ゲストホスト方式、動的散乱方式、フェーズチェンジ方式、DAP方式、二周波駆動方式、強誘電性液晶表示方式等種々のモードで駆動されるものが挙げられる。
【0056】
代表的な液晶電気光学素子としては、ツイストネマチック(TN)型液晶表示素子が挙げられる。このツイストネマチック(TN)型液晶表示素子は、まず、プラスチック、ガラス等の基板上に、必要に応じてSiO2 、Al2 3 等のアンダーコート層やカラーフィルター層を形成し、In23 −SnO2 (ITO)、SnO2 等からなる被膜を成膜し、ホトリソグラフィ等により所要のパターンの電極を形成する。次に、必要に応じて、ポリイミド、ポリアミド、SiO2 、Al2 3 等のオーバーコート層を形成し、配向処理する。これにシール材を印刷し、電極面が相対向するように配して周辺をシールし、シール材を硬化して空セルを形成する。
【0057】
さらに、空セルに、本発明の組成物を注入し、注入口を封止剤で封止して液晶セルを構成する。この液晶セルに、必要に応じて、偏光板、カラー偏光板、光源、カラーフィルター、半透過反射板、反射板、導光板、紫外線カットフィルター等を積層、文字、図形等を印刷、ノングレア加工等をして液晶電気光学素子を得ることができる。
【0058】
なお、上述の説明は、液晶電気光学素子の基本的な構成および製法を説明したものであり、他の構成も採用できる。例えば、2層電極を用いた基板、2層の液晶層を形成した2層液晶セル、反射電極を用いた基板、TFT、MIM等の能動素子を形成したアクティブマトリクス基板を用いたアクティブマトリクス素子等、種々の構成のものが採用できる。
【0059】
さらに、本発明の組成物は、前記TN型以外のモード、即ち、高ツイスト角のSTN型液晶電気光学素子や、多色性色素を用いたゲスト−ホスト(GH)型液晶電気光学素子、横方向の電界で液晶分子を基板に対して平行に駆動させるインプレーンスイッチング(IPS)型液晶電気光学素子、液晶分子を基板に対して垂直配向させるVA型液晶電気光学素子、強誘電性液晶電気光学素子等、種々の方式で使用することができる。また、電気的に書き込みをする方式ではなく、熱により書き込みをする方式に用いることもできる。
【実施例】
【0060】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお以下の例は、本発明を制限することなく、本発明を例示しようとするものである。
【0061】
(実施例1)
化合物(1A)の合成
【化1】

窒素気流下、削状マグネシウム3.75gをTHF7.5mlに懸濁させ、EtBr3.06gを滴下した。発熱を確認後、40℃で化合物(2A)34.29gをTHF45mlに懸濁させ、滴下し1時間攪拌した後、一晩室温で攪拌した。
得られた反応液を化合物(3A)30.00gとTHF30mlを−20℃に冷却したところに滴下し、徐々に室温まで昇温させ、1時間攪拌を行った。10%塩酸60mlで処理し、有機相をヘキサンで抽出後、5%重炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄を行った。乾燥後、得られた粗油をシリカクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製後、ヘキサン/ソルミックスから再結晶を行い化合物(1A)4.21gを得た。
【0062】
得られた化合物(1A)のNMR、相系列、GC−MSを以下に示す。
<NMR>
19F−NMR(282.6MHz、重溶媒CDCl、基準CFCl)δ(ppm): −78.36(m、2F)、−117.76(m、2F)、−132.55(m、2F) 、−163.08(m、1F)、−210.09(m、1F)。
H−NMR (282.6MHz、重溶媒CDCl、基準SiMe)δ(ppm): 6.84(m、2H)、4.80(m、1H)、2.0−0.7(br、27H)。
<相系列>
C 20℃ Sm 58.5℃ N 106.9I(C:結晶、Sm:スメクチック、N:ネマチック相、I:等方相)
<GC−MS>
m/z=486
【0063】
また、メルク社製液晶組成物ZLI−4792を母液晶として用い、化合物(1A)について下記物性を測定した。結果を表1に示す。
【0064】
[透明点]
化合物(1A)30質量%と母液晶70質量%との混合物を用いて、偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−82HT型ホットステージ)に、試料(目的化合物と母液晶との混合物)を置き、1℃/分の速度で加熱しながら偏光顕微鏡を観察した。試料の一部が液晶相から等方性液体に変化したときの温度を透明点(Tc)として、外挿により求めたところ77.8℃であった。
[屈折率異方性(Δn)の測定]
化合物(1A)30質量%と母液晶70質量%との混合物を用いて、25℃における屈折率異方性(Δn)を外挿により求めた。
【0065】
[誘電率異方性(Δε)の測定]
化合物(1A)10質量%と母液晶90質量%との混合物を2枚のガラスセル(間隔8μm)の間に封入した。このセルに100mVの電圧を印加して液晶分子の短軸方向の誘電率(ε)を測定した。88Vの電圧を印加して液晶分子の長軸方向の誘電率(ε)を測定した。
化合物の誘電率異方性(Δε)は式Δε=ε−εから組成物のΔεを求めて、外挿することで求めた。
20℃でのΔεを求めたところ、9.38であった。
【0066】
[バルク粘度の測定]
母液晶質量70%、化合物(1A)30質量%からなる液晶組成物を調製し、ずり粘度計を用いて25℃および0℃にて測定後、外挿によって算出したところ、25℃で17.82mm・s-1、0℃で78.77mm・s-1であった。
【0067】
【表1】

【0068】
(比較例1)
【化2】

化合物(1A)と同様な方法で、比較例1の化合物のTcを外挿法によって求めたところ、73.3℃であった。
このことから、連結鎖が−CF2CHFCF2O−の液晶化合物は単結合のものよりも高いTcを示すことがわかった。
【0069】
(比較例2)
【化3】

化合物(1A)の化合物と同様な方法で、比較例2の化合物のΔεを外挿法によって求めたところ、8.15であった。
このことから、連結鎖が−CF2CHFCF2O−の液晶化合物は−CH2CH2CF2O−のものよりも大きな絶対値のΔεを示すことがわかった。
【0070】
以上のように、本発明の含フッ素液晶化合物は、粘度、Δε、TcおよびΔnの値について、液晶組成物の構成成分として用いるのに十分な値を有していることが分った。
このような本願化合物を液晶組成物に用いることで、液晶電気光学素子に要求される様々な性能を持つ組成物の調製ができることが明らかになった。
【0071】
実施例1および前述したスキームに基づいて、下記化合物を製造することができる。下記式中、−Cy−、−Ph−は上記と同様であり、他の記号は以下の意味を示す。
−Ph(2F)−:2−フルオロ−1,4−フェニレン基
−Ph(2F,6F)−:2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
−Ph(2F,3F)−:2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基
また、式(1)中のA1〜A7に相当する置換型環基の置換位置は、環員炭素がR1に近いほうを常に4位、R2に近い方を常に1位とする場合に相当する。
【0072】
2環の化合物(a〜eが全て0であるもの。)としては以下のものが挙げられる。
【0073】
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-C2H5
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-F
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-NCS
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-SF5
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7O-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C2H5-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OCH3
C5H11-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-OCF2H
CH3CH=CH-C2H4-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
CH3OCH2-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-F
C3H7O-Ph(2F,3F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-F
【0074】
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-C2H5
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C3H7O-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C2H5-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OCH3
CH3CH=CH-C2H4-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
CH2=CH-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C5H11-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-OCF2H
【0075】
3環の化合物(a〜eの何れか1つが1であり、他の3つが0であるもの。)としては以下のものが挙げられる。
【0076】
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-C2H5
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-F
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-NCS
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-SF5
C5H11-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-OCF3
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C2H5-Cy-Ph(2F,3F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C3H7-Cy-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-OCF3
C3H7-Cy-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
【0077】
C2H5-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-F
C3H7-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
C3H7-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C5H11-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C3H7-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-NCS
C3H7-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-SF5
C3H7-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-OCF3
C2H5-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C3H7-Ph-Ph(2F,3F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C3H7-Ph-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C5H11-Ph-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
【0078】
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-F
CH2=CH-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C5H11-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C5H11-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-OCF2H
【0079】
C2H5-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-F
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-F
C5H11-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-CN
CH3CH=CHC2H4-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-F
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,3F)-OCH3
C3H7-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C2H5-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Cy-C5H11
C2H5-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-Cy-C5H11
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Cy-C5H11
C3H7-Ph(2F,3F)-CF2CHFCF2O-Ph-Cy-OC2H5
C2H5-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-F
C5H11-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-F
C5H11-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-CN
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,3F)-OC2H5
【0080】
C3H7-Cy-C2H4-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
C3H7-Cy-C2H4-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-C2H4-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-OCF3
CH3CH=CHC2H4-Cy-C2H4-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-C3H7
CH2=CH-Cy-CH2O-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
C3H7-Cy-CH2O-Ph(2F,3F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
【0081】
4環の化合物(a〜eの何れか2つが1であり、他の2つが0であるもの。)としては以下のものが挙げられる。
【0082】
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph-C2H5
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-F
C2H5-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-F
C5H11-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-Ph(2F)-Ph(2F)-CN
C5H11-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-F
C2H5-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-CN
C2H5-Ph(2F,3F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F)-F
【0083】
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph-C2H5
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-F
C2H5-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,3F)-Ph(2F,3F)-OC2H5
C5H11-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-Ph(2F)-Ph(2F)-CN
C5H11-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-F
C2H5-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-Ph(2F)-CN
【0084】
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-Ph(2F,3F)-Cy-C2H5
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-Cy-CH=CH2
C3H7-Ph(2F,3F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-Ph(2F,3F)-Cy-CH3
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-Cy-Cy-C2H5
C3H7-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Cy-Cy-OCH3
【0085】
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-C2H5
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-F
C5H11-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-OCF3
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Cy-CH=CH2
C5H11-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-Cy-C2H5
C3H7-Cy-Ph(2F,3F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-Cy-C2H5
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-F
C5H11-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CN
C5H11-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-Ph(2F,3F)-OC2H5
C5H11-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-Cy-C3H7
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-Cy-OC2H5
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-Cy-OCH3
【0086】
C3H7-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Ph-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Ph-Ph(2F,6F)-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-CN
CH3-CH=CH-C2H4-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
CH2=CH-Cy-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C2H5O-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C3H7-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C3H7-Cy-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Ph-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Cy-Ph(2F,6F)-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-CN
CH2=CH-Cy-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
【0087】
5環の化合物(a〜eの何れか3つが1であり、他の2つが0であるもの。)としては以下のものが挙げられる。
【0088】
C3H7-Ph-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
C3H7-Ph-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Ph-Ph-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-CN
CH3-CH=CH-C2H4-Ph-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
CH2=CH-Cy-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C2H5O-Cy-Cy-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-Ph-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C3H7-Cy-Cy-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,3F)-OC2H5
C3H7-Cy-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Ph-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Cy-Ph-Ph(2F,6F)-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-CN
C3H7-Cy-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F,6F)-F
CH2=CH-Cy-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph(2F)-F
【0089】
C3H7-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-F
C3H7-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Ph-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Ph-Ph(2F,6F)-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-CN
CH3-CH=CH-C2H4-Ph-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-F
CH2=CH-Cy-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,3F)-OC2H5
C2H5O-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-CN
C3H7-Cy-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,3F)-OC2H5
C3H7-Cy-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Ph-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Cy-Ph(2F,6F)-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-CN
C3H7-Cy-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-F
CH2=CH-Cy-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-F
【0090】
C3H7-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F)-F
C3H7-Ph-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Ph(2F,6F)-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F)-CN
CH3-CH=CH-C2H4-Ph-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F)-F
CH2=CH-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Cy-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Cy-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Cy-Ph(2F,3F)-OC2H5
C2H5O-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F)-Ph(2F,6F)-CN
C3H7-Cy-Cy-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F,3F)-OC2H5
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F)-OCF3
C3H7-Cy-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-F
C3H7-Cy-Ph(2F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph(2F,6F)-Ph(2F,6F)-CN
C2H5-Cy-Ph(2F,6F)-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F)-CN
C3H7-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F,6F)-F
CH2=CH-Cy-Ph-CF2CHFCF2O-Ph-Ph-Ph(2F)-F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される液晶化合物。
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−A4−CF2CHFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2 (1)
式(1)中の記号は、以下の意味を示す。
1、R2:相互に独立して、水素原子、ハロゲン原子、−CN、−NCS、−SF5または炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基であり、基中の1つ以上の−CH2 −は、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
1、A、A、A、A、A6、A7:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,3−シクロブチレン基、1,2−シクロプロピレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、または1,4−フェニレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、該基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
1、Z2、Z3、Z4、Z5:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4の2価の脂肪族炭化水素基であり、基中の1つ以上の−CH2 −は、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、基中の任意の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
a、b、c、d、e:相互に独立して0または1。ただし、0≦a+b+c+d+e≦3。
【請求項2】
前記式(1)で表される液晶化合物が、下記式(1−1)で表される化合物である、請求項1に記載の液晶化合物。
11−(A11a−Z11−(A21b−Z21−(A31c−Z31−A41−CF2CHFCF2O−A51−Z41−(A61d−Z51−(A71e−R21 (1−1)
式中の記号は、以下の意味を示す。
11、R21:相互に独立して、水素原子、フッ素原子、−SF5、または炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数2〜18のアルケニル基。該基中の1以上の−CH2−はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよく、基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
11、A21、A31、A41、A51、A61、A71:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
11、Z21、Z31、Z41、Z51:相互に独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基であり、基中の1つ以上の−CH2−はエーテル性酸素原子で置換されていてもよく、また基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。
a、b、c、d、eは前記と同じ意味である。
【請求項3】
前記式(1)で表される液晶化合物が、下記式(1−2)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の液晶化合物。
12−(A12a−Z12−(A22b−Z22−(A32c−Z32−A42−CF2CHFCF2O−A52−Z42−(A62d−Z52−(A72e−R22 (1−2)
式中の記号は、以下の意味を示す。
12:水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基。
22:フッ素原子、−SF5、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10の置換アルキル基。
12、A22、A32、A52、A62、A72:相互に独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基、または1,4−フェニレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、基中に存在する1つまたは2つの=CH−基は窒素原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
42:トランス−1,4−シクロへキシレン基。該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、1つまたは2つの−CH2−基はエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子で置換されていてもよい。
12、Z22、Z32、Z42、Z52:相互に独立して、単結合または炭素数1〜4のアルキレン基。
a、b、c、d、eは前記と同じ意味である。
【請求項4】
下記式(2)で表される化合物と下記式(3)で表される化合物を反応させることを特徴とする請求項1に記載の式(1)で表される液晶化合物の製造方法。
1−(A1a−Z1−(A2b−Z2−(A3c−Z3−A4−X (2)
CF=CFCF2O−A5−Z4−(A6d−Z5−(A7e−R2(3)
式(2)および式(3)中のR、R、A、A、A、A、A、A、A7、Z、Z、Z、Z、Z5、a、b、c、dおよびeは請求項1における式(1)の定義と同じであり、Xはハロゲン原子である。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載の液晶化合物を含む液晶組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶組成物を、電極が配設された2枚の基板間に封入してなる液晶電気光学素子。

【公開番号】特開2013−112621(P2013−112621A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257852(P2011−257852)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000108030)AGCセイミケミカル株式会社 (130)
【Fターム(参考)】