説明

液晶化合物、液晶媒体、液晶媒体の調製方法

【課題】本発明は、液晶混合物に適する新規な化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】式Iの化合物およびこの化合物の1種類以上を備える液晶ディスプレイ。



(式中、


、Z、L、L、L、L、X、uおよびvは請求項1で定義される通りである。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物、電気光学的目的のためまたは液晶媒体中でのその化合物の使用、およびこの媒体を備えるディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、印加電圧によって物質の光学的性質を変化させることができるため、主に表示装置の中の誘電体として使用される。液晶に基づいた電気光学装置は、当業者に極めて公知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例として、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形:deformation of aligned phases)セル、ゲスト/ホストセル、捩れネマチック構造を有するTNセル、STN(スーパーツイストネマチック)セル、SBE(超複屈折効果:superbirefringence effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:optical mode interference)セルが挙げられる。最も一般的な表示装置は、Schadt−Helfrich効果に基づく、ツイストネマチック構造を有する。
【0003】
液晶材料としては、良好な化学的および熱的安定性を有すると共に、電場と電磁線放射に対しても優れた安定性を有することが必要である。さらに、液晶材料は、低粘度であり、セル中で使用されて、アドレス時間が短く、閾電圧が低くおよびコントラストが高いものでなければならない。
【0004】
さらに、液晶材料は、通常の動作温度において、即ち、室温以上または室温以下の出来る限り広い範囲において、適切な中間相、例えば前述のセル用のネマチック中間相またはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は通常、複数成分の混合物として使用されるため、成分が互いに容易に混和することが重要である。さらに導電率、誘電率異方性および光学異方性のような特性は、セルの型、用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。 例えば、ツイストネマチック型セルの材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有していなければならない。
【0005】
例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的低い複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
【0006】
この型のマトリックス型液晶ディスプレイは公知である。個々のピクセルの夫々のスイッチングに使用することができる非線形素子は、例えばアクティブ素子(つまりトランジスター)である。この用語「アクティブマトリックス」は、2つの区別される型に分けられる。
【0007】
1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(金属酸化物半導体)または他のダイオード。
【0008】
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(TFT)。
【0009】
基板材料として単結晶シリコンを使用する場合、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立て品の場合であっても、接続部での問題が生じるため、ディスプレイの大きさが制限される。
【0010】
好適であってより有望な第2の型の場合には、使用される電気光学的効果は、通常TN効果である。この場合、区別される2つの技術がある。即ち、例えばCdSeのように、化合物半導体を含むTFTと、多結晶またはアモルファスシリコンに基づいたTFTとである。
【0011】
TFTマトリックスは、ディスプレイの1つのガラス板の内面に形成され、もう一方のガラス板は、内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも適用できる。このディスプレイでは、フィルター素子がスイッチング可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置される。
【0012】
TFTディスプレイは、通常、透過光に対して直交した偏光板を備えたTNセルを作動させ、バックライトで照らされる。
【0013】
ここで用語「MLCディスプレイ」は、集積非線形素子を備えた全てのマトリックスディスプレイも含む。即ち、アクティブマトリックスに加えて、バリスター又はダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal)のような受動素子を備えたディスプレイも含む。
【0014】
この型のMLCディスプレイは、特にテレビ用途(例えばポケット・テレビ)、またはコンピュータ用(ラップトップ)および自動車または航空機内で使用される高度情報表示装置用途に適している。コントラストの角度依存性と応答時間の問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題がある(非特許文献1及び2参照)。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化し、また、残像消去の問題も生じ得る。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命に全体に渡って関与するので、許容される耐用年数を得るためには、高い(初期)抵抗を有することが非常に重要である。特に、低電圧用混合物の場合には、高い抵抗値を達成することは従来不可能であった。さらに、温度の上昇および加熱および/またはUV照射後に、比抵抗の減少が可能な限り小さいことも重要である。また、先行技術におけるマトリックスの低温特性も不具合である。低温であっても、結晶および/またはスメクチック相が生じないことが要求され、さらに、粘性の温度依存性も可能な限り低いことが要求される。よって、先行技術のMLCディスプレイは今日の必要条件を満たさない。
【0015】
したがって、非常に高い比抵抗と同時に、広い動作温度範囲、低温でも短い応答時間および低い閾電圧を有しているMLCディスプレイであって、これらの不具合を有していないか、有していたとしても低減されているものが、引き続き強く要求されている。
【0016】
TN(Schadt−Helfrich)セルでは、セル中で以下の利点を促進する媒体が望まれる:
・ネマチック相のより広い範囲(特に、低温まで)
・極度に低い温度でのスイッチ能力(屋外用途、自動車、航空機)
・紫外線照射に対するより高い抵抗性(より長い寿命)。
【0017】
先行技術から入手可能な媒体では、これらの利点を、同時に他の特性を維持しながら達成することはできない。
【0018】
スーパーツイスト型(STN)セルの場合には、より大きな時分割駆動および/または低い閾電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能にする媒体が望まれる。この目的のために、特性値の実現可能な範囲(透明点、スメクチック−ネマチック相転移または融点、粘度、誘電特性値、弾性特性値)を一層広げることが、至急望まれている。
【0019】
よって、本発明は、特にMLC、TNまたはSTNの用途において、上記の不具合を示さないか、有していても低減されており、および好ましくは高い透明点および低い回転粘度(γ)を同時に有する新規な化合物を提供することを目的とする。特に、非常に良好なγ/透明点の比および比較的低いΔnの値を有する低Vth混合物を調製するために、式Iの化合物を使用できる。特に、本発明の化合物および混合物は、Δnが低い用途に適している。好ましくは、本発明の混合物は、反射型および半透過型の用途において使用される。
【0020】
低い閾電圧(Vth)のTFT液晶混合物の安定/駆動電圧ウィンドウを改良するためには、エステル成分を最小限とするか取り除くことが、エステル成分は安定性に劣っているため、望ましい。しかしながら、エステル性の材料を取り除くと、混合物の安定性およびVthのいずれもが上昇する。したがって、エステル類の極性特性を備えており、環がエステル結合を有していない単結合で連結されている材料のような安定性をも備える改良された材料を見出す必要がある。エステル性のカルボニル官能基をジフルオロメチル基で置き換えることは、液晶混合物の電圧および安定性の両者を改良できる1つの方法である。
【0021】
ジフルオロメチレンオキシ結合の液晶材料については非常に多数の先行技術が存在しているが、本発明での報告に関連する文献は少ない。以下に、これをまとめる。
【0022】
特許文献1には、CFO−基を有する化合物で特徴付けられる一般式が開示されているが、本発明の材料は明瞭に述べられていない。
【0023】
特許文献2には、液晶混合物においてアルケニル材料と組み合わせてCFO材料を使用することが網羅されている。
【0024】
特許文献3はCFO液晶の製造方法の特許出願であるが、本願のような特定の化合物は含まれていない。
【0025】
特許文献4は一般式のCFO化合物を理論的には含む混合物に関するもので、キラルドーパントと組み合わせて使用されている。この一般式は多くに液晶を網羅するが、本発明の化合物は開示されていない。
【特許文献1】独国特許第4006921号明細書
【特許文献2】国際公開第01/46336A2号パンフレット
【特許文献3】独国特許出願公開第19946228A1号明細書
【特許文献4】欧州特許第609566B1号明細書
【非特許文献1】TOGASHI,S.、SEKIGUCHI,K.、TANABE,H.、YAMAMOTO,E.、SORIMACHI,K.、TAJIMA,E.、WATANABE,H.及びSHIMIZU,H.、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第A210−288号、第141ff頁
【非特許文献2】STROMER,M.、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、Proc. Eurodisplay、(パリ)、1984年9月、第84巻、第145ff頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の1つの目的は、液晶混合物に適する新規な化合物を見出すことである。エステル化合物またはCFO−基を有する他の公知の化合物と置き換えるためには、新規の化合物は、単独または液晶混合物中で使用する場合、同等かそれ以上のパラメータ、良好な安定性および高い信頼性を有していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の化合物を液晶媒体中で使用することで、この目的が達成されることが見出された。
【0028】
従って、本発明は、一般式Iで特徴付けられる化合物に関する。
【0029】
【化1】

式中、
【0030】
【化2】

1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CHO−、−OCH−、−C≡C−または単結合であり、
Xは、F、Cl、CN、OCN、NCS、SCN、SF、6個以下の炭素原子を有する無置換のアルキルまたはアルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基であり、
uは、0、1、2または3であり、および
vは、1または2であり、ただしu+vは3以下である。
【発明の効果】
【0031】
式Iの化合物は、広い範囲で適用できる。置換基の選択により、これらの化合物は、液晶媒体を主に構成する基礎材料として役立つ。しかしながら、例えば他の種類の化合物による液晶基礎材料に、その誘電体の誘電異方性および/または光学異方性を修正するためおよび/または誘電体の閾電圧および/または粘度を最適化するために、式Iの化合物を加えることもできる。
【0032】
式Iの化合物は無色で、電気光学的な使用のために好ましい温度範囲中で液晶媒体を形成する。これらの化合物は、化学的に、熱的に、および光に対して安定である。これらの化合物は末端部分に更に置換基を有していないため、先行技術と比較して、特に容易に製造できる。本発明の化合物は、低い回転粘度および高い誘電異方性を同時に有する液晶媒体のために特に有益である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
式Iの特に好ましい化合物は、以下の従属式I1〜I5(但し、L1〜8はHまたはFである)からなる群より選ばれる。
【0034】
【化3】

式I1〜I5の中でも、式I1の化合物が好ましい。
【0035】
式Iおよびその従属式の中で、好ましくはLおよびLの少なくとも一方はFである。最も好ましくは、LおよびLの両者ともFである。
【0036】
式Iの化合物は、それ自身文献に公知の方法で合成される(例えば標準的なものとして、Houben−Weyl著、Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、(Stuttgart)等)。正確には、これらの化合物の合成に適した公知の反応条件下で合成される。また、ここでは非常に詳しくは述べないが、それ自身公知の方法の変法を使用することもできる。
【0037】
式Iの化合物は、好ましくは、以下(スキーム1および2)のようにして調製される。
【0038】
【化4】

スキーム1:環Bが芳香環(vが1)の場合の式Iの化合物の調製
【0039】
【化5】

スキーム2:環AおよびBがシクロヘキサンの場合の式Iの化合物の調製
【0040】
スキーム1の反応順序は自明である。式8に類似の化合物を得るために、他の出発材料を使用することもできる。例えば、式2の出発材料に従い、他のp−ブロモ安息香酸誘導体を使用することもできる。同様にして、式I中の環Cに従い、式8の右から2番目の環を変えることもできる。また、式8の生成物のバリエーションを達成するために、式5の出発材料は種々の置換基L〜Lをもつこともできる。
【0041】
スキーム2中で説明される合成も自明である。スキーム1および2の変換は、当該分野で公知である。また、公知の幾つかの方法により、式9の化合物をビス(アルキルチオ)カルベニウム塩に変換することもできる。構造9中のビシクロヘキシル基を変化させることで、本発明の化合物の全ての変化が可能である。
【0042】
一般式:
【0043】
【化6】


(但し、環A〜C、ZおよびZは式Iで定義される通りである)
の中の様な各種の置換基を備える他のカルボン酸類は公知であるか、一般に公知の方法で調製できる。
【0044】
本発明の化合物への他の方法が以下のスキーム3および4中で説明されており、先行技術で公知の反応を含む。
【0045】
【化7】

スキーム3.ジフルオロオキシメチレン−結合液晶10の合成
a)DAST、CHCl;還流。 b)Br、CCl;hν、14d。
c)3,4,5−トリフルオロフェノール、NaH、DMF;50〜60℃、
15時間。 d)1.ブロモシクロヘキサン、Li、ZnBr、THF、
トルエン;超音波処理、室温、4時間;2.先の臭化物、触媒[Pd(dppf)
Cl]、THF、トルエン;室温。
【0046】
【化8】

スキーム4.シクロヘキシル−a,a−ジフルオロメチルフェニル
エステル類11の他の合成ルート
収率はフェノール成分に強く依存して変化する。
ルートA:a)CFBr、P(NMe、THF/ジオキサン 10/1;
0℃〜室温(RT)、18時間(80〜90%);b)Br、EtO;0℃、
1時間(85〜95%);c)2.6等量のXPhONa、DMF;60℃、
18時間(35〜70%);d)1.H、5%Pd−C、THF;60℃、
60bar;2.分取用HPLC;3.n−ペンタンからの結晶化(25〜
35%)。
ルートB:e)2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4
−ジフォスフェタン−2,4−ジスルフィド(Lawesson試薬)、クロロ
ベンゼン;還流、18時間(5〜30%);f)DBH(1,3−ジブロモ−5,
5−ジメチルヒダントイン)、70%HF−ピリジン、CHCl;−70℃〜
RT(5〜40%)。
【0047】
また、本発明は液晶媒体にも関連し、電気光学的ディスプレイ(特に、フレームと共にセルを構成する2枚の平らで平行な外板と、外板上のそれぞれのピクセルをスイッチングするための非線形素子と、セル中に存在し正の誘電異方性および高い比抵抗のネマチック液晶混合物とを有するSTNまたはMLCディスプレイ)に関連し、さらに、この型の媒体を備え、これらの媒体を電気光学的目的のために使用することに関する。さらに、反射型のディスプレイの用途に加え、本発明の混合物は、IPS(In Plane Switching)用途、OCB(Optically Controlled Birefringence)用途およびVA(Vertical Alignment)用途にも好適である。
【0048】
本発明の媒体は、好ましくは、複数種類(好ましくは2種類以上)の式Iの化合物に基づいており、すなわち、これらの化合物の割合は0.5〜95%、好ましくは1〜60%、特に好ましくは1〜40%の範囲である。
【0049】
好ましい様態を以下に示す。
【0050】
・媒体は、式I1−a〜I4−dの1種類以上の化合物を含む。
【0051】
【化9.1】

【0052】
【化9.2】

【0053】
【化9.3】

【0054】
【化9.4】

【0055】
・Xは、好ましくは、F、Cl、CN、OCN、NCS、SCN、SF、OCH、CH、OC、C、OC、C、CF、C、C、CFH、OCF、OCFH、OCFHCF、OCFHCHF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCHF、OCFCFCFH、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFHCFHCF、OCHCFCF、OCFCFCF、OCFCFHCHF、OCFCHCHF、OCFHCFCHF、OCFHCFHCHF、OCFHCHCF、OCHCFHCF、OCHCFCHF、OCFCFHCH、OCFCHCHF、OCFHCFCH、OCFHCFHCHF、OCFHCHCF、OCHCFCHF、OCHCFHCHF、OCFCHCH、OCFHCFHCH、OCFHCHCHF、OCHCFCH、OCHCFHCHF、OCHCHCHF、OCHFCHCH、OCHCFHCH、OCHCHCHF、OCClFCF、OCClFCClF、OCClFCHF、OCFHCClF、OCClFCHF、OCClFCClF、OCFCHCl、OCFCHCl、OCFCClF、OCFCClFH、OCFCClF、OCFCFCClF、OCFCFCClF、OCClFCFCF、OCClFCFCHF、OCClFCFCClF、OCClFCFHCF、OCClFCClFCF、OCClCFCF、OCClHCFCF、OCClFCFCF、OCClFCClFCF、OCFCClFCHF、OCFCFCClF、OCFCClCHF、OCFCHCClF、OCClFCFCFH、OCFHCFCClF、OCClFCFHCHF、OCClFCClFCFH、OCFHCFHCClF、OCClFCHCF、OCFHCClCF、OCClCFHCF、OCHCClFCF、OCClCFCFH、OCHCFCClF、OCFCClFCH、OCFCFHCClH、OCFCClCFH、OCFCHCClF、OCClFCFCH、OCFHCFCClH、OCClFCClFCHF、OCFHCFHCClF、OCClFCHCF、OCFHCClCF、OCClCFCFH、OCHCFCClF、OCClCFHCFH、OCClHCClFCFH、OCFCClHCClH、OCFCHCClH、OCClFCFHCH、OCFCClFCClH、OCClFCHCFH、OCFHCClCFH、OCClCFCH、OCHCFCClH、OCClCFHCFH、OCHCClFCFCl、OCHCHCFH、OCClHCClHCFH、OCHCClCFH、OCClFCHCH、OCFHCHCClH、OCClHCFHCClH、OCHCFHCClH、OCClCHCFH、OCHCClCFH、CH=CF、OCH=CF、CF=CF、OCF=CF、CF=CHF、OCF=CHF、CH=CHF、OCH=CHF、CFCHCFまたはCFCHFCF、特に、F、Cl、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、OCFHCF、OCFHCHF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCHF、OCFCFCHF、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFCFCF、OCFCFCClF、OCClFCFCF、CH=CF、OCH、OCまたはOCである。
【0056】
・液晶媒体全体中の式Iの化合物の割合は1〜40質量%で、好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは1〜25質量%である。
【0057】
上記の用途において、液晶媒体は、好ましくは、少なくとも1種類の式Iの化合物を含み、ネマチックホスト混合物は1種類以上のネマチックまたはネマトジェニックな化合物を含む。
【0058】
好ましくは、液晶媒体は2〜25種類、好ましくは3〜15種類の化合物を含み、少なくとも1種類は式Iの化合物である。他の化合物はネマチックホスト混合物を構成し、好ましくはネマチックまたはネマトジェニック物質から選ばれる低分子量の液晶化合物であり、例えば、アゾキシベンゼン類、ベンジリデン−アニリン類、ビフェニル類、テルフェニル類、フェニルまたはシクロヘキシル安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシル安息香酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニルまたはシクロヘキシルエステル類、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸またはシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシルビフェニル類、フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルシクロヘキセン類、シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン類、1,4−ビス−シクロヘキシルベンゼン類、4,4’−ビス−シクロヘキシルビフェニル類、フェニル−またはシクロヘキシルピリミジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリジン類、フェニル−またはシクロヘキシルピリダジン類、フェニル−またはシクロヘキシルジオキサン類、フェニル−またはシクロヘキシル−1,3−ジチアン類、1,2−ジフェニルエタン類、1,2−ジシクロヘキシルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルエタン類、1−シクロヘキシル−2−(4−フェニルシクロヘキシル)エタン類、1−シクロヘキシル−2−ビフェニルエタン類、1−フェニル−2−シクロヘキシルフェニルエタン類、随意的にハロゲン化されたスチルベン類、ベンジルフェニルエーテル類、トラン類および置換桂皮酸類および更にネマチックまたはネマトジェニック物質の種類である。また、これらの化合物中の1,4−フェニレン基は、側鎖がモノまたはジフッ素置換されていてもよい。
【0059】
これらの液晶混合物の成分として可能な最も重要な化合物は、以下の式で特徴付けることができる。
【0060】
R’−L’−G’−E−R”
ただし、L’およびEは同一でも異なっていてもよく、それぞれ互いに独立に、−Phe−、−Cyc−、−Phe−Phe−、−Phe−Cyc−、−Cyc−Cyc−、−Pyr−、−Dio−、−B−Phe−および−B−Cyc−およびそれらの鏡像体よりなる群からの2価の基であり、ただし、Pheは無置換またはフッ素置換された1,4−フェニレン、Cycはトランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−シクロヘキセニレン、Pyrはピリミジン−2,5−ジイルまたはピリジン−2,5−ジイル、Bは2−(トランス−1,4−シクロヘキシル)エチル、ピリミジン−2,5−ジイル、Dioは1,3−ジオキサン−2,5−ジイルである。
【0061】
これらの化合物中のG’は以下の2価の基から選ばれる:−CH=CH−、−N(O)N−、−CH=CY−、−CH=N(O)−、−C≡C−、−CH−CH−、−CO−O−、−CH−O−、−CO−S−、−CH−S−、−CFO−、−OCF−、−CH=N−、−COO−Phe−COO−または単結合で、Yはハロゲン、好ましくは塩素または−CNである。
【0062】
R’およびR”は、それぞれ互いに独立に、1〜18個、好ましくは3〜12個の炭素原子のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニルまたはアルコキシカルボニルオキシであり、または、R’およびR”の一方はF、SF、CF、OCF、Cl、NCSまたはCNである。
【0063】
これらの化合物のほとんどの場合、R’およびR”は、それぞれ互いに独立に、異なった鎖長のアルキル、アルケニルまたはアルコキシで、ネマチック媒体中における炭素原子の合計は、一般に2および9個の間、好ましくは2および7個の間である。
【0064】
これらの化合物およびそれらの混合物の多くは商業的に入手できる。これらの化合物の全ては公知であるか、それ自身文献に公知の方法で合成される(例えば標準的なものとして、Houben−Weyl著、Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag社、(Stuttgart)等)。正確には、これらの化合物の合成に適した公知の反応条件下で合成される。また、ここでは非常に詳しくは述べないが、それ自身公知の方法の変法を使用することもできる。
【0065】
本発明のMLCディスプレイは、偏光子、電極基礎板からなり、この型のディスプレイの従来の構成に対応する表面処理された電極である。ここで用語「従来の構成」は広く用いられ、特に多結晶シリコンTFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含んで、MLCディスプレイの変更および修正をも全て網羅する。
【0066】
しかしながら、本発明のディスプレイと、捩れネマチックセルに基づく従来のディスプレイとの間の重要な相違は、液晶層の液晶パラメータの選択にある。
【0067】
本は発明で使用できる液晶混合物は、それ自身公知の従来の方法によって調製される。一般に、より少量で使用される化合物の所望の量を、好ましくは加温しながら、主要な構成成分に溶解する。また、成分の溶液を有機溶媒、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノールに混合し、完全に混合後、例えば蒸留して溶媒を再び取り除くことも可能である。
【0068】
このように、本発明の更なる様態は液晶媒体の調製方法であり、少なくとも1種類の式Iの化合物を他の液晶化合物と混合し、必要に応じて更に添加剤を加えながら混合する。
【0069】
また、誘電体は、当業者に公知で文献に記載される更なる添加剤を含む場合がある。例えば、0〜15%の多色性色素、安定剤、ナノ微粒子またはキラルドーパントを加えることができる。
【実施例】
【0070】
以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。以上および以下において、パーセンテージは質量パーセントである。温度はすべて摂氏で示される。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点を表わす。さらに、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、およびIは等方相を表す。これらの記号間のデータは相転移温度を表す。Δnは光学異方性を表す(589nm、20℃)。流動粘度ν20(mm/sec)および回転粘度γ(mPa・s)は、それぞれ20℃で決定した。Δεは、誘電異方性(Δε=ε−ε、ここでεは長鎖分子軸に平行な誘電率、εはそれに垂直の誘電率を表す)を表わす。電気光学的データは、特に別に述べない限り、20℃において第1次透過極小(即ち、0.5μmのd・Δn値)でTNセル中において測定した。光学的データは、特に別に述べない限り、20℃で測定した。
【0071】
化合物のΔεおよびΔnの値は、10質量%の化合物と、90質量%の商業的に入手可能な液晶混合物ZLI−4792(Merck KGaA社、Darmstadt市)との液晶混合物より、直線外挿することで測定する。
【0072】
実施例中で、「慣用の操作」とは、必要に応じて水を加え、混合物をジクロルメタンと、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテルまたはトルエンにより抽出し、相分離し、有機層を乾燥および蒸発させ、生成物を減圧蒸留または結晶化および/またはクロマトグラフィーで精製することを意味する。以下の略称を用いる。
【0073】
n−BuLi n−ブチルリチウムの1.6モルn−ヘキサン溶液
THF テトラヒドロフラン
DAST ジエチルアミノサルファー トリフロライド
RT 室温
<例1>
【0074】
【化10】

P.Kirschら、Angew.Chem.Int.Ed.2001年刊、第40巻、第8号、第1480〜1484頁(スキーム1も参照)に記載される方法と類似して、p−ブロモ化合物1を調製する。
【0075】
ボロン酸類とブロモベンゼン類とのカップリングに一般的な方法は、以下の通りである。
【0076】
【化11】

メタホウ酸ナトリウム8水和物(12.5g、45.0mmol)の水溶液(72ml)に、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.90g、1.26mmol)、水酸化ヒドラジン(0.06ml、1.23mmol)、臭化物1(23.5g、60.0mmol)およびテトラヒドロフラン(THF、18ml)を加える。混合物を5分間攪拌し、THF(30ml)に溶解されたベンゼンボロン酸(7.30g、60.0mmol)、またはベンゼンボロン酸の任意の誘導体、を加える。混合物を攪拌し、出発材料のほとんどが消費されたことを薄層クロマトグラフィーで確認できるまで、12時間沸点に保つ。冷却後、水とメチルt−ブチルエーテルを加え、相分離させる。エーテルにより更に抽出し、混合された有機層を水と食塩水により洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥するまで蒸発させる。残渣を石油エーテルで回収し、シリカのパッドを通して濾過する。生成物をエタノールおよびヘキサンから結晶化させる。
【0077】
融点:75℃
C 75 I
Δn=0.090
Δε=19
式:
【0078】
【化12】

の化合物を調製する。一般的な方法に類似して、またはスキーム1〜4(以下の表の17〜46の化合物については、シクロヘキサン誘導体)に従い、調製する。その部分構造を、以下の表に示す。
【0079】
表1.化合物および物理的特性
【0080】
【表1.1】

【0081】
【表1.2】

【0082】
【表1.3】

【0083】
【表1.4】

【0084】
【表1.5】

【0085】
【表1.6】

【0086】
【表1.7】

【0087】
【表1.8】

【0088】
【表1.9】

【0089】
【表1.10】

【0090】
【表1.11】

【0091】
【表1.12】

【0092】
【表1.13】

【0093】
【表1.14】

【0094】
【表1.15】

【0095】
【表1.16】

【0096】
【表1.17】

【0097】
【表1.18】

【0098】
【表1.19】

【0099】
【表1.20】

【0100】
【表1.21】

【0101】
【表1.22】

【0102】
【表1.23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで表される化合物。
【化1】


(式中、
【化2】

1〜4は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CHO−、−OCH−、−C≡C−または単結合であり、
Xは、F、Cl、CN、OCN、NCS、SCN、SF、6個以下の炭素原子を有する無置換のアルキルまたはアルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基であり、
uは、0、1、2または3であり、および
vは、1または2であり、ただしu+vは3以下である。)
【請求項2】
およびZの少なくともいずれか一方は単結合である請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式I1〜I5のいずれか1つの化合物。
【化3】

(式中、L1〜8は、それぞれ互いに独立に、HまたはFであり、Xは、式Iに対して定義された意味を有する。)
【請求項4】
Xは、F、Cl、CN、CF、CHF、OCF、OCHF、OCFHCF、OCFHCHF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCHF、OCFCFCHF、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFCFCF、OCFCFCClF、OCClFCFCF、CH=CF、OCH、OCまたはOCである請求項1ないし3いずれか記載の化合物。
【請求項5】
およびLはFであり、LおよびLはHである請求項1ないし4いずれか記載の化合物。
【請求項6】
【化4】

である請求項1ないし5いずれか記載の化合物。
【請求項7】
およびZのいずれも単結合である請求項1ないし6いずれか記載の化合物。
【請求項8】
電気光学的な目的のための請求項1ないし7いずれか記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1ないし7いずれか記載の化合物の少なくとも1種類を含み、少なくとも2種類の化合物を含有する液晶媒体。
【請求項10】
少なくとも1種類の請求項1ないし7いずれか記載の化合物を他の液晶化合物と混合する工程を含む請求項9記載の液晶媒体の調製方法。
【請求項11】
さらなる添加剤を添加しながら前記化合物を混合する請求項10記載の調製方法。
【請求項12】
少なくとも1種類の請求項1ないし7いずれか記載の化合物を含む媒体を備える電気光学的液晶ディスプレイ。

【公開番号】特開2007−284439(P2007−284439A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104833(P2007−104833)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】