説明

液晶化合物およびその製造方法

本発明は液晶表示素子用の液晶化合物に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、ビニルシクロヘキシルベンゼンおよびその誘導体ならびに、中間体の製造過程において、中心骨格中にエテニル基を導入において、従来のウィッティヒ反応に代えてヘックカップリング反応によりトランス異性体のみを製造する製造方法を供給する。上記液晶化合物は、液晶組成物に広い中間相範囲と低粘度をもたらし得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビニルシクロヘキシルベンゼンおよびその誘導体を含む液晶化合物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、高い消去温度(clearing temperature)での物理特性を調節することにより、高速な応答速度、広い相転移温度、および低粘度を有する液晶表示素子用(LCD)に用いられる液晶化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶化合物は液晶フラットディスプレイ用の核心材料であって、液体としての流動性と結晶としての異方性とを併せ有する電気光学的特性を有する混合有機化合物である。上下電極に電圧を印加すると、液晶分子の配列が変化がバックライト光の透過度を変化させて、画像を形成する。
【0003】
前記液晶化合物は、分子量200〜600の単一液晶化合物約20種の混合物である。この種の液晶化合物を核心材料として用いる液晶表示装置には、20〜30インチ以下のノート型パソコン、モニター、携帯電話等、および、30インチから最大約100インチまでの大型パネルを用いるテレビおよび大型広告用ディスプレイがある。液晶化合物はさまざまな表示装置に適用され、市場性の高い商品である。なお、LCD市場は極地方から赤道付近に至るまで拡張されている。
【0004】
このLCD製品の市場性の拡大に応えるために、液晶化合物は、ノート型パソコンやモニターよりも、高速な動画を表示するTVなどに適した、高速な応答時間および広い駆動温度範囲という要求を満たす必要がある。
【0005】
液晶媒体は中間相(mesophase)と呼ばれる液体としての流動性と結晶としての異方性(屈折率および誘電率)とを併せ持たねばならない。液晶化合物は中心骨格部にシクロヘキシル、フェニル、ナフタレン、ピリダジン、ジオキサボランなどを有し、鎖部にアルキル、アルコキシ、アルケン、ハライド、CN,NCSなどを有することが好ましい。なお、液晶媒体は、その成分の組合せに応じて、様々な中間相および温度範囲を有する。
【0006】
液晶化合物に含まれているシクロヘキシル基やフェニル基の数が増加するにつれて、中間相若しくは固体相での消去温度が上昇する。
【0007】
米国特許公報(例えば、特許文献1参照)には、中心骨格中にエチレン基(−CHCH−)を導入することによって粘度が下がることが記載されている。また、従来の中心骨格中へのエチレン基の導入する特許として、米国特許公報(例えば、特許文献2〜5参照)がある。これらの特許では、アシル化方法により中心骨格中に「−C(O)CH−」基を有する化合物を製造し、その後、還元方法によってエチレン基を導入する方法が開示されている。
【0008】
また、米国特許公報(例えば、特許文献6〜8参照)は、カルボン酸化合物を還元した後、臭素化反応およびグリニャール反応を行うことにより、中心骨格中にエチレン基を導入することを開示している。
【0009】
さらに、米国特許公報(例えば、特許文献4、7〜10参照)には、トリフェニルホスフィン(以下、PPh)およびアルデヒド化合物を用いて中心骨格中にエテニル基(−CH=CH−)を導入した後に触媒還元を行うことにより、中心骨格にエチレン基を有する液晶化合物を製造する方法が開示されている。液晶化合物を製造する際にPPhを用いる場合、ほとんどの製品はシス異性体のエテニル基を有する。ところが、液晶媒体に用いられるためには、前記シス異性体をトランス異性体に変換しなければならない。
【0010】
この理由から、過酸化物を酸化剤として用いてシス異性体のエテニル基からエポキシド化合物を製造し、これらをPPhを用いて変換することにより多くがトランス異性体として存在する化合物が得られている(例えば、特許文献11参照)。
【0011】
しかしながら、このときに形成されるトランス異性体は少量のシス異性体も含んでいるため、純粋なトランス異性体を得るためには数回にわたって再結晶などの精製工程が求められる。
【0012】
これらに加えて、米国特許公報(例えば、特許文献12参照)は、アルデヒド化合物とグリニャール試薬との反応や触媒反応を用いて、あるいは、n−ブチルリチウム化合物を用いて、中心骨格中にエチレン基を有する化合物を製造する方法を開示している。なお、米国特許第公報(例えば、特許文献13参照)は、液晶化合物の末端にアルケニル基を導入する方法を開示している。しかしながら、これらの方法はいずれも製造手順および再結晶過程が複雑であるという問題がある。
【0013】
背景技術の項における上記情報は、発明の背景の理解の促進のためにのみ用いられ、そのため、この国の当該分野に属する通常の技術を有する者に既に知られている先行技術を形成しない情報を含みうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第4,556,745号明細書
【特許文献2】米国特許第4,035,056号明細書
【特許文献3】米国特許第4,261,651号明細書
【特許文献4】米国特許第4,439,015号明細書
【特許文献5】米国特許第4,482,492号明細書
【特許文献6】米国特許第4,431,853号明細書
【特許文献7】米国特許第4,583,826号明細書
【特許文献8】米国特許第4,460,770号明細書
【特許文献9】米国特許第4,550,981号明細書
【特許文献10】米国特許第4,652,089号明細書
【特許文献11】特許第3,002,429号公報
【特許文献12】米国特許第6,348,244号明細書
【特許文献13】米国特許第4,621,901号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、100〜250℃以上の高温において安定しており、広い中間相を有するとともに、低粘度を有する液晶用ビニルシクロヘキシルベンゼン化合物またはその誘導体を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、液晶化合物およびその製造方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、液晶の高温特性および高速な応答速度を調節することのできる液晶表示素子用の液晶組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の実施態様によれば、下記化学式1で表わされる液晶化合物が得られる。
【化1】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【0019】
また、本発明の他の実施態様によれば、下記化学式2で表わされる液晶化合物が得られる。
【化2】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【0020】
さらに、本発明の実施態様によれば、下記化学式1の液晶化合物の製造方法は、下記化学式5の化合物をソジウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリドで還元反応させて化学式4のトランス化合物を製造し、上記化学式4のトランス化合物をウィッティヒ反応させるステップを含む。
【化3】

【化4】

【化5】

式中、Rおよびnは上記と同義である。
【0021】
上記化学式5の化合物は、下記化学式6と下記化学式7の化合物とを反応させて製造することが好ましい。
【化6】

【化7】

式中、Rおよびnは上記と同義である。
【0022】
また、本発明の実施態様によれば、下記化学式2の液晶化合物の製造方法は、下記化学式5の化合物を水素化反応させて化学式5−1の化合物を製造し、上記化学式5−1の化合物をソジウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリドで還元反応させて化学式3の化合物を製造し、上記化学式3の化合物をウィッティヒ反応させるステップを含む。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

式中、Rおよびnは上記と同義である。
【0023】
また、本発明の実施態様によれば、下記化学式2の液晶化合物の製造方法は、下記化学式13の化合物を水素化反応させて化学式12の化合物を製造し、上記化学式12の化合物を加水分解して化学式11の化合物を製造し、上記化学式11の化合物をウィッティヒ反応させて化学式10の化合物を製造し、上記化学式10の化合物を加水分解反応させて化学式3の化合物を製造し、上記化学式3の化合物をウィッティヒ反応させるステップを含む。
【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

式中、Rおよびnは上記と同義である。
【0024】
上記化学式13の化合物は、化学式6および化学式14の化合物を反応させて製造することが好ましい。
【化18】

【化19】

式中、Rおよびnは上記と同義である。
【0025】
また、本発明の実施態様によれば、上記化学式1または上記化学式2の液晶化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含む液晶組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
上述したように、従来の方法によれば、主としてシス形異性体である化合物が生成されて、これを過酸化物系酸化剤を用いて数回にわたって再結晶を行う必要があったため、工程時間が延びると共に収率が低下した。
【0028】
このため、本発明は、中心骨格にエチレン基若しくはエテニル基を有し、かつ、末端はアルキル基およびビニル基で置換されたシクロヘキシル基およびフェニル基からなる3環または4環式液晶化合物を提供する。
【0029】
本発明は、高速な応答時間および広い温度範囲を併せ持つ液晶媒体を開発するために、中心骨格にエチレン基若しくはエテニル基を有し、かつ、末端はアルキル基およびビニル基で置換されたシクロヘキシル基およびフェニル基からなる3環または4環式液晶化合物を提供する。
【0030】
主骨格中にエテニル基構造を形成する際に、既存のウィッティヒ反応(Wittig Reaction)ではなく、ヘックカップリング反応(Heck coupling reaction)を利用することにより、トランス−エテニル基のみ100%の純度で生成される。
【0031】
慣用的手法によると、ウィッティヒ反応では、生成物は大部分がシス異性体であり、トランス異性体は少量である。中心骨格中にエテニル基を有する中間体の製造において、ウィッティヒ反応にかえて、ヘックカップリング反応を採用し、純粋なトランス異性体を製造する。本発明の製造方法によれば、シス異性体をトランス異性体に変えるためのエポキシ化およびPPhの2段階工程を行うことが不要になる。さらに、液晶化合物の製造のために本発明の中間体を用いる場合、純粋なトランス異性体のみが生成される。数回に亘っての再結晶工程が不要になる。なお、中間体におけるエテニル基を還元させる場合、中心骨格中にエチレン基を有する液晶化合物も合成される。
【0032】
本発明の液晶化合物は、中心骨格にエテニル基を有し、末端にアルキル基およびビニル基を有する下記化学式1で表わされるビニルシクロヘキシルベンゼン化合物を含む。
【0033】
また、本発明の液晶化合物は、下記化学式2で表わされるビニルシクロヘキシルベンゼンの誘導体化合物を含む。
【化20】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【化21】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【0034】
上記化学式1および2において、RはC2〜C7のアルキル基であることがより好ましい。
【0035】
本発明において、上記化学式1で表わされる化合物の製造方法は、下記の反応スキーム1に図式的に示す。
【化22】

式中、Rおよびnは上記と同義である。
【0036】
特に、本発明によれば、前記反応スキーム1に示すように、中心骨格中にエテニル基を導入において、従来のウィッティヒ反応ではなく、ヘックカップリング反応を用いる。
【0037】
より具体的に、本発明は、化学式8のメチル−4−フェニルシクロヘキサンカルボキシラートをタリウム(III)ニトラート触媒の存在において臭素化反応させて、化学式7のメチル−4(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボキシラートを合成する。その後、上記化学式7の化合物と化学式6のビニルシクロヘキサンとをヘックカップリング反応させて、中心骨格にエテニル基を有する化学式5のエステル化合物を製造する。このエステル化合物をソジウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド(以下、「ビトライド」と称する。)で還元させてアルデヒドを得る。上記アルデヒドを再結晶化させて化学式4のトランス物質のみを得た後、ウィッティヒ反応させて、化学式1の化合物を収率約9%で合成した。
【0038】
また、前記反応スキーム1のヘックカップリング反応に際し、化学式7の反応化学量論を考慮して、化学式6の化合物は、化学式7の化合物に対して100〜200モル%で添加することが好ましい。また、100〜150℃で24〜48時間ヘックカップリング反応を行うことが好ましい。その他の各工程における化合物の含量および反応条件は特に限定されるものではなく、通常の方法によって行われる。
【0039】
前記方法に従い製造された化学式1の化合物の好適な一例を下記に示す。
1−[2−(4−エチルシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ブチルシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ペンチルシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ヘキシルシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ヘプチルシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−エチルビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−プロピルビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ブチルビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ペンチルビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ヘキシルビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ヘキシルビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
【0040】
また、本発明において、上記化学式2で表わされる化合物は、化学式1の化合物のエテニル基を還元させることにより製造され、中心骨格の両脇に位置しているシクロヘキシル基やフェニル基の可撓性(flexibility)を一層増大させている。
【0041】
上記化学式2の化合物は、下記の反応スキーム2または3に示す方法により製造可能である。
【化23】

【化24】

上記の反応スキーム2および3において、Rおよびnは上記と同義である。
【0042】
各反応について詳述する。
【0043】
まず、反応スキーム2により化学式2の化合物を製造する場合、前記反応スキーム1の方法と同様にして、ヘックカップリング反応を行うことにより化学式5の中間体を製造する。その後、化学式5の化合物を還元させて化学式5−1のエステル化合物を製造し、以降は前記反応スキーム1の方法と同様にビトライド(vitride)およびウィッティヒ反応を用いて化学式3の化合物および化学式2の化合物を製造する。
【0044】
さらに、反応スキーム3により化学式2の化合物を製造する場合、化学式17の1,4−ジブロモベンゼンと金属マグネシウムとを反応させてグリニャール試薬を製造し、これを化学式16のケトン化合物と反応させて化学式15の化合物を製造する。その後、化学式15の化合物を酸で処理し且つ脱水して化学式14のブロモベンゼン系化合物を合成し、これをパラジウム触媒下で化学式6のビニルシクロヘキサンをヘックカップリング反応させて化学式13の化合物を製造する。その後、製造された化学式13の化合物に対して水素化反応、加水分解およびウィッティヒ反応を行い、最終物質である化学式2の化合物を製造する。この反応は合計8工程を経て行われ、収率は2〜3%である。
【0045】
前記反応スキーム2または3のヘックカップリング反応に際し、化学式6の化合物は、化学式7または化学式14の化合物に対して100〜200モル%で添加することが好ましい。また、このとき、ヘックカップリング反応は、100〜150℃で24〜48時間行うことが好ましい。その他の各工程における化合物の含量および反応条件は特に限定されるものではなく、通常の方法によって行われる。
【0046】
反応スキーム1〜3に用いられる溶媒は、通常の有機合成に用いられる溶媒であればよく、その例としては、クロロホルム、ジメチルアセトアミド(DMA)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、エタノールなどの溶媒が挙げられる。
【0047】
上記の方法に従い製造された化学式2の化合物の好適な一例を下記に示す。
【0048】
1−[2−(4−エチルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ブチルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ペンチルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ヘキシルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ヘプチルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−エチルビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−プロピルビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ブチルビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ペンチルビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ヘキシルビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
1−[2−(4−ヘプチルビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
【0049】
本発明の実施態様では、上記化学式1または化学式2で表わされる化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を含む液晶表示素子用の液晶組成物が得られる。このとき、上記化学式1または化学式2で表わされる化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物の含量は、全体の液晶組成物に対して0.1〜20重量%であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0050】
本発明の液晶組成物には、液晶組成物の特性を適切に調節するために、上記化学式1または化学式2で表わされる化合物と同様に、通常の液晶化合物を含めることができる。なお、本発明に係る液晶組成物に含まれる各成分の含量は、用途に応じて様々に調整可能である。
【0051】
本発明化学式1または2で表わされる化合物を含む液晶組成物は、相転移温度範囲を広げ、これにより、広い温度範囲の液晶相が形成される。また、中心骨格中に導入されたエテニル基やエチレン基は液晶混合物の粘性を低下させ、これにより、製造される液晶製品の応答速度が大幅に改善される。前記組成物は高速な応答速度および広い駆動温度範囲を実現できるため、前記液晶化合物を含む液晶媒体は、信頼性の高い液晶製品を製造することができる。前記組成物は、その需要が爆発的に高まりつつあるテレビおよび大型広告用ディスプレイの製造に有効に用いられる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の技術的特徴および工程を下記の好ましい実施例を通じて詳しく説明する。しかしながら、これらの実施例は単に本発明を理解するためのに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されない。
【0053】
実施例1:1−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン
(実施例1−1)
4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化25】

メチル−4−フェニルシクロヘキサンカルボキシラート10g(45.8mmol)およびタリウム(III)ニトラート3.46g(7.78mmol)をクロロホルムに溶解した。得られた溶液120mLの温度を0℃まで下げた。得られた溶液に、Br1.87mL(36.6mmol)を滴下し、室温で24時間反応させた。その後、反応溶液を10%NaOH水溶液で中和し、クロロホルムで抽出した後、無水NaSOで乾燥させ、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮した。得られた物質をエタノールで再結晶化させ、4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル7.7gを収率57%で得た。
【0054】
(実施例1−2)
4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化26】

ポタシウムホスファート12.8g(60.1mmol)、前記実施例1−1の4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル14.3g(48mmol)および1−ペンチル−4−ビニルビシクロヘキサン10.5g(40mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)に溶解した。得られた溶液180mLをアルゴンガスを充填したフラスコに入れた。その後、パラジウムアセタート0.17g(触媒量)をフラスコに加え、120℃の油浴中で32時間反応させた。反応後に反応混合物に蒸溜水100mLを加え、エチルアセタートで抽出した。水層をクロロホルムで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した後、エタノールで再結晶化させて、4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル12.3gを収率64%で得た。
【0055】
(実施例1−3)
トランス−4−{4−[2−(4−ペンチルビシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド
【化27】

ビトライド(3.3Mトルエン溶液、10eq、26.6ml、87.7mmol)を、0℃でアルゴンガスを満たしたフラスコに注射器で入れ、ここにモルホリン(10eq、7.67ml、87.7mmol)を注射器で徐々に滴下した。その後、トルエン(モルホリンのmmolの半分、44ml)を注射器で滴下し、ビトライド溶液を製造した。アルゴンガスを満たした他の2口フラスコに、前記実施例1−2で得られたシクロヘキサンカルボキシラート化合物(4.20g、8.77mmol)のトルエン溶液88mlを入れ、前記ビトライド溶液を−70℃で30分徐々に滴下した。反応溶液を−30℃〜−50℃を維持しつつ6時間撹拌後、フラスコに非常にゆっくり水を1滴ずつ加えた。次いで、1MHClをフラスコに徐々に加えて反応溶液を中和させた。得られた白い沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液をトルエン(20ml×3回)で抽出した。有機層を集めて蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=5:1、Rf=0.32)で精製し、トランス−4−{4−[2−(4−ペンチルビシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド1.69gを収率43%で得た。
【0056】
(実施例1−4)
1−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
【化28】

ポタシウムtert−ブトキシド(1.0eq、0.44g、3.62mmol)を、フラスコに満たされたメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.2eq、1.55g、4.33mmol)のTHF(32ml)溶液に、3分間撹拌しながら徐々に添加した。その後、上記溶液を室温で30分間撹拌し、前記実施例1−3で得られたトランス−4−{4−[2−(4−ペンチルビシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド(1.62g、3.62mmol)のTHF溶液35mlを、上記反応混合物に10分間徐々に滴下し、室温で24時間撹拌した。
【0057】
白い沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液に水100mlを加えてエーテル(20ml×1回)で抽出した。水層をクロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層を集めて、水(30ml×2回)、塩水(brine、20ml×1回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.36)で精製した。残渣をクロロホルム3mlに溶かし、冷エタノール8mlをスポイトで1滴ずつ滴下し、ガラス棒で撹拌して再結晶化させ、1−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン1.42gを収率88%で得た。
HNMRδ0.87(t,3H),0.94−2.00(m,37H),2.43(tt,1H),4.91(d,1H),5.00(d,1H),5.82(ddd,1H),6.10(dd,1H),6.30(d,1H),7.20(d,2H),7.27(d,2H)
M+=446
相転移温度:C239.2℃ N>300℃ I
【0058】
実施例2:1−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エテニル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン
(実施例2−1)
4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化29】

ポタシウムホスファート12.8g(60.1mmol)、前記実施例1−1で製造された4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル14.3g(48mmol)および1−プロピル−4−ビニルシクロヘキサン6.09g(40mmol)を含むN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)溶液180mLを、アルゴンガスを満たしたフラスコに入れた。次いで、パラジウムアセタート0.17g(触媒量)をフラスコに加え、120℃の油浴中で32時間反応させた。反応後、反応混合物に蒸溜水100mLを加え、エチルアセタートで抽出し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮後に、エタノールで再結晶化させて、4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル8.8gを収率60%で得た。
【0059】
(実施例2−2)
トランス−4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド
【化30】

ビトライド(3.3Mトルエン溶液、10eq、26.6ml、87.7mmol)を0℃でアルゴンガスを満たしたフラスコに注射器で入れ、モルホリン(10eq、7.67ml、87.7mmol)を注射器で徐々に滴下した。次いで、トルエン(モルホリンのmmolの半分、44ml)を注射器で滴下し、ビトライド溶液を製造した。アルゴンガスを満たした他の2口フラスコに、前記実施例1−2で得られたシクロヘキサンカルボキシラート化合物(4.20g、8.77mmol)のトルエン溶液(88ml)を入れ、前記ビトライド溶液を−70℃で30分間徐々に滴下した。−30℃〜−50℃を維持しつつ6時間撹拌し、フラスコに非常にゆっくり水を1滴ずつ加えた。そのフラスコに1MHClを徐々に加え、反応溶液を中和した。白い沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液をトルエン(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥後、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=5:1、Rf=0.32)で精製し、トランス−4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド1.34gを得た(収率:45%)。
【0060】
(実施例2−3)
1−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
【化31】

ポタシウムtert−ブトキシド(1.0eq、0.44g、3.62mmol)を、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.2eq、1.55g、4.33mmol)のTHF32ml溶液に3分間徐々に添加した。その後、室温で30分間撹拌し、反応混合物に前記実施例2−2で得られたトランス−4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド(1.23g、3.62mmol)のTHF溶液35mlを10分間徐々に滴下し、その後室温で24時間撹拌した。
【0061】
白い沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液に水100mlで洗浄し、エーテル(20ml×1回)で抽出した。その水層をクロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、水(30ml×2回)、塩水(brine、20ml×1回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.36)で精製した。残渣をクロロホルム(3ml)に溶かし、冷エタノール8mlをスポイトで1滴ずつ滴下し、ガラス棒で撹拌して再結晶化させ、1−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン0.98gを収率80%で得た。
HNMRδ0.87(t,3H),0.93−1.92(m,37H),2.43(tt,1H),4.94(d,1H),5.02(d,1H),5.81(ddd,1H),6.14(dd,1H),6.33(d,1H),7.12(d,2H),7.27(d,2H)
M+=336
相転移温度:C101.2℃ N199.0℃ I
【0062】
実施例3:1−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン
(実施例3−1)
4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化32】

アルゴンガスを満たしたフラスコに、ポタシウムホスファート12.8g(60.1mmol)、前記実施例1−1で得られた4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル14.3g(48mmol)および1−プロピル−4−ビニルビシクロヘキサン9.38g(40mmol)を含むN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)溶液180mLを入れた。次いで、パラジウムアセタート0.17g(触媒量)をフラスコに加え、120℃の油浴中で32時間反応させた。反応後、反応混合物に蒸溜水100mLを加え、エチルアセタートで抽出し、その後水層をクロロホルムで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮後、エタノールで再結晶化させ、4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル10.5gを収率58%で得た。
【0063】
(実施例3−2)
トランス−4−{4−[2−(4−プロピルビシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド
【化33】

0℃でアルゴンガスを満たしたフラスコに、ビトライド(3.3Mトルエン溶液、10eq、26.6ml、87.7mmol)を注射器で入れ、モルホリン(10eq、7.67ml、87.7mmol)を注射器で徐々に滴下した。次いで、トルエン(モルホリンのmmolの半分、44ml)を注射器で滴下し、ビトライド溶液を製造した。アルゴンガスを満たした他の2口フラスコに、前記実施例3−1で得られたシクロヘキサンカルボキシラート化合物(4.20g、8.77mmol)のトルエン溶液(88ml)を入れ、前記ビトライド溶液を−70℃で30分間徐々に滴下した。−30℃〜−50℃を維持しつつ6時間撹拌後、フラスコに非常にゆっくり水を1滴ずつ加えた。1MHClを徐々に加えて反応溶液を中和させた。白い沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液をトルエン(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=5:1、Rf=0.32)で精製し、トランス−4−{4−[2−(4−プロピルビシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド(1.10g)を収率:30%で得た。
【0064】
(実施例3−3)
1−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
【化34】

ポタシウムtert−ブトキシド(1.0eq、0.44g、3.62mmol)を、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.2eq、1.55g、4.33mmol)のTHF32ml溶液を撹拌しつつ3分間徐々に添加した。その後、室温で30分間撹拌し、反応混合物に前記実施例3−2で得られたトランス−4−{4−[2−(4−プロピルビシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド(1.52g、3.62mmol)のTHF溶液35mlを10分間徐々に滴下し、その後、室温で24時間撹拌した。白い沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液を水100mlで洗浄し、加えてエーテル(20ml×1回)で抽出した。その水層をクロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層を集めて水(30ml×2回)、塩水(brine、20ml×1回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.36)で精製した。残渣をクロロホルム3mlに溶かし、冷エタノール8mlをスポイトで1滴ずつ滴下し、ガラス棒で撹拌して再結晶化させて1−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン(0.85g)を得た(収率:56%)。
HNMRδ0.87(t,3H),1.00−1.92(m,37H),2.44(tt,1H),4.90(d,1H),4.98(d,1H),5.82(ddd,1H),6.11(dd,1H),6.30(d,1H),7.14(d,2H),7.27(d,2H)
M+=418
相転移温度:C197.2℃ I
【0065】
実施例4:1−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エテニル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン
(実施例4−1)
4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化35】

アルゴンガスを満たしたフラスコに、ポタシウムホスファート12.8g(60.1mmol)、前記実施例1−1で製造された4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル14.3g(48mmol)および1−ペンチル−4−ビニルシクロヘキサン8.33g(40mmol)を含むN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)溶液180mLを入れた。次いで、パラジウムアセタート0.17g(触媒量)をフラスコに加え、120℃の油浴中で32時間反応させた。反応後、反応混合物に蒸溜水100mLを加え、エチルアセタートで抽出し、水層をクロロホルムで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した後、エタノールで再結晶化させて、4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル9.8gを収率62%で得た。
【0066】
(実施例4−2)
トランス−4−{4−[2−(4−ペンチルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド
【化36】

0℃でアルゴンガスを満たしたフラスコに、ビトライド(3.3Mトルエン溶液、10eq、26.6ml、87.7mmol)を注射器で入れ、モルホリン(10eq、7.67ml、87.7mmol)を注射器で徐々に滴下した。次いで、トルエン(モルホリンのmmolの半分、44ml)を注射器で滴下し、ビトライド溶液を製造した。アルゴンガスを満たした他の2口フラスコに、前記実施例4−1で得られたシクロヘキサンカルボキシラート化合物(3.48g、8.77mmol)のトルエン溶液(88ml)を入れ、前記ビトライド溶液を−70℃で30分間徐々に滴下した。−30℃〜−50℃を維持しつつ6時間撹拌後、フラスコに非常にゆっくり水を1滴ずつ加えた。1MHClを徐々に加えて、反応溶液を中和させた。白い沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液をトルエン(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=5:1、Rf=0.32)で精製し、トランス−4−{4−[2−(4−ペンチルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド1.77gを収率55%で得た。
【0067】
(実施例4−3)
1−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
【化37】

ポタシウムtert−ブトキシド(1.0eq、0.44g、3.62mmol)を、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.2eq、1.55g、4.33mmol)のTHF(32ml)溶液に3分間徐々に添加した。その後、室温で30分間撹拌し、反応混合物に前記実施例4−2で得られたトランス−4−{4−[2−(4−ペンチルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド(1.32g、3.62mmol)のTHF溶液35mlを10分間徐々に滴下し、その後、室温で24時間撹拌した。白い沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液を水100mlで洗浄し、エーテル(20ml×1回)で抽出した。その水層をクロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層を集めて水(30ml×2回)、塩水(brine、20ml×1回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、その後減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.36)で精製した。残渣をクロロホルム(3ml)に溶かし、冷エタノール8mlをピペットで1滴ずつ滴下し、ガラス棒で撹拌して再結晶化させて1−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)エテニル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン1.02gを収率77%で得た。
HNMRδ0.87(t,3H),0.90−2.03(m,27H),2.44(tt,1H),4.91(dd,1H),5.02(dd,1H),5.81(ddd,1H),6.10(dd,1H),6.30(d,1H),7.13(d,2H),7.27(d,2H)
M+=364
相転移温度:C108.3℃ N204.3℃ I
【0068】
実施例5:1−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン(反応スキーム2による化学式2の化合物の合成)
(実施例5−1)
1−ペンチル−4−ビニル−ビシクロヘキサンに代えて、1−プロピル−4−ビニル−シクロヘキサンを使用した以外は、前記実施例1−2の方法と実質的に同様にして、4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを製造した。
【0069】
すなわち、ポタシウムホスファート12.8g(60.1mmol)、前記実施例1−1の4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル14.3g(48mmol)および1−プロピル−4−ビニル−シクロヘキサン6.09g(40.0mmol)を含むN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)溶液180mLを、アルゴンガスを満たしたフラスコに入れた。
【0070】
次いで、パラジウムアセタート0.17g(触媒量)をフラスコに加え、120℃の油浴中で32時間反応させた。反応後、得られた生成物に蒸溜水100mLを加え、エチルアセタートで抽出し、その後水層をクロロホルムで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した後、エタノールで再結晶化させて、4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル8.8gを収率60%で得た。
【0071】
(実施例5−2)
4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化38】

前記5−1で製造された4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル6.41g(17.4mmol)を、トルエン/エタノール(1:1体積%)混合液に溶解させた。得られた溶液200mLにPd/C0.4gを加え、水素化反応装置で12時間反応させた。反応後、Pd/Cをろ過により除去し、減圧下で濃縮して、4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル5.2gを収率80%で得た。
【0072】
(実施例5−3)
4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルバルデヒド
【化39】

アルゴンガスを満たしたフラスコにビトライド(3.3Mトルエン溶液)19mL(62.7mmol)を入れ、0℃に調節し、モルホリン5.5mL(62.7mmol)をシリンジで徐々に滴下した。その後、トルエン31mLをシリンジで滴下し、ビトライド溶液を製造した。実施例5−2の4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル2.3g(6.27mmol)のトルエン63mL溶液を、アルゴンガスを満たした他のフラスコに入れ、製造されたビトライド溶液を−70℃下で30分間で徐々に滴下した。その後、溶液を、−30℃〜−50℃に維持しつつ6時間撹拌し、水を非常にゆっくりフラスコに滴下した。反応後、1MHClをフラスコにゆっくり加え、反応溶液を中和させた。沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液をトルエン(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=5:1、Rf=0.32)で精製し、4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド0.96gを収率45%で得た。
【0073】
(実施例5−4)
1−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エチル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)−ベンゼン
【化40】

ポタシウムt−ブトキシド0.86g(7.01mmol)をメチルトリフェニルホスホニウムブロミド3g(8.41mmol)のTHF32mL溶液に撹拌しながら3分間徐々に滴下した。その後、室温で30分間撹拌し、この反応混合物に、4−{4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルバルデヒド2.39g(7.01mmol)のTHF25mL溶液を徐々に滴下し、その後室温で24時間反応させた。沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液に蒸溜水100mLで洗浄し、エーテル(20ml×1回)で抽出した。水層をクロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、NaCl溶液で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.36)で精製し、これを再びクロロホルム/エタノール溶液で再結晶化させて1−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)−エチル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン1.9gを収率80%で得た。
HNMRδ0.86(t,3H),0.90−2.00(m,25H),2.43(tt,1H),2.54−2.60(m,2H),4.91(dd,1H),5.00(d,1H),5.82(ddd,1H),7.10(s,4H)
M+=338
相転移温度:C45.7℃ S73.2℃ N119.5℃ I
【0074】
実施例6:1−[2−(4−ペンチルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
(実施例6−1)
1−ペンチル−4−ビニル−ビシクロヘキサンに代えて、1−ペンチル−4−ビニル−シクロヘキサンを使用した以外は、前記実施例1−2の方法と実質的に同様にして、4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを製造した。
【0075】
すなわち、アルゴンガスを満たしたフラスコに、ポタシウムホスファート12.8g(60.1mmol)、前記実施例1−1の4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル14.3g(48mmol)および1−ペンチル−4−ビニル−シクロヘキサン8.34g(40.0mmol)を含むN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)溶液180mLを入れた。
【0076】
その後、パラジウムアセタート0.17g(触媒量)をフラスコに加え、120℃の油浴中で32時間反応させた。反応後、得られた生成物に蒸溜水100mLを加え、エチルアセタートで抽出し、その後水層をクロロホルムで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した後、エタノールで再結晶化させて、4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−ビニル]−フェニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル9.8gを収率62%で得た。
【0077】
(実施例6−2)
4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化41】

前記6−1で製造された4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル6.9g(17.4mmol)を、トルエン/エタノール(1:1体積%)混合液に溶解させた。得られた溶液200mLにPd/C0.4gを加え、水素化反応装置で12時間反応させた。反応後、Pd/Cをろ過し、減圧下で濃縮後に、クロロホルム/エタノール溶液で再結晶化させ4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル6.1gを収率88%で得た。
【0078】
(実施例6−3)
4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルバルデヒド
【化42】

ビトライド(3.3Mトルエン溶液)19mL(62.7mmol)をシリンジでアルゴンガスを満たしたフラスコに入れ、0℃に調節し、モルホリン5.5mL(62.7mmol)をシリンジで徐々に滴下した。その後、トルエン31mLをシリンジで滴下してビトライド溶液を製造した。アルゴンガスを満たした他のフラスコに、実施例6−2で得られた4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル2.5g(6.27mmol)のトルエン63mL溶液を入れ、−70℃下で30分間、ビトライド溶液を徐々に滴下した。その後、溶液を−30℃〜−50℃に維持しつつ6時間反応させた後、水を1滴ずつ加えた。1MHClを加え、反応溶液を中和させた。
【0079】
沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液をトルエン(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=5:1、Rf=0.32)で精製し、4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド1.27gを収率55%で得た。
【0080】
(実施例6−4)
1−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エチル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)−ベンゼン
【化43】

フラスコ中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド3g(8.41mmol)のTHF40mL溶液に、ポタシウムt−ブトキシド0.86g(7.01mmol)を3分間撹拌しながら徐々に滴下した後、室温で30分間反応させた。上記反応混合物に4−{4−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルバルデヒド2.58g(7.01mmol)のTHF25mL溶液を徐々に滴下し、その後室温で24時間撹拌した。
【0081】
沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液に蒸溜水100mLで洗浄し、エーテル(20ml×1回)で抽出し、水層をクロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、NaCl溶液で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.36)で精製し、これを再びクロロホルム/エタノール溶液で再結晶化させて1−[2−(4−ペンチル−シクロヘキシル)−エチル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン1.98gを収率77%で得た。
HNMRδ0.87(t,3H),0.93−2.00(m,29H),2.43(tt,1H),2.54−2.60(m,2H),4.91(dd,1H),5.00(d,1H),5.82(ddd,1H),7.10(s,4H)
M+=366
相転移温度:C99.6℃ N122.8℃ I
【0082】
実施例7:1−[2−(4−プロピルビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
(実施例7−1)
1−ペンチル−4−ビニル−ビシクロヘキサンに代えて、1−プロピル−4−ビニル−ビシクロヘキサンを使用した以外は、前記実施例1−2の方法と実質的に同様にして、4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを製造した。
【0083】
すなわち、アルゴンガスを満たしたフラスコに、ポタシウムホスファート12.8g(60.1mmol)、前記実施例1−1の4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル14.3g(48mmol)および1−プロピル−4−ビニル−ビシクロヘキサン9.38g(40.0mmol)を含むN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)溶液180mLを入れた。次いで、パラジウムアセタート0.17g(触媒量)をフラスコに加え、120℃の油浴中で32時間反応させた。反応後に、得られた生成物に蒸溜水100mLを加え、エチルアセタートで抽出し、その後水層をクロロホルムで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した後に、エタノールで再結晶化させて、4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル10.5gを収率58%で得た。
【0084】
(実施例7−2)
4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化44】

前記実施例7−1で製造された4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル7.8g(17.4mmol)をトルエン/エタノール(1:1体積%)混合液に溶解させた。得られた溶液200mLにPd/C0.4gを加え、水素化反応装置で12時間反応させた。反応後、Pd/Cをろ過して除去し、ろ液を減圧下で濃縮し、4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル6.8gを収率86%で得た。
【0085】
(実施例7−3)
4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルバルデヒド
【化45】

アルゴンガスを満たしたフラスコに、ビトライド(3.3Mトルエン溶液)19mL(62.7mmol)をシリンジで入れ、0℃に調節し、溶液にモルホリン5.5mL(62.7mmol)をシリンジで徐々に滴下した。その後、トルエン31mLをシリンジで滴下して、ビトライド溶液を製造した。
【0086】
アルゴンガスを満たした他のフラスコに、実施例7−2で得られた4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル2.8g(6.27mmol)のトルエン63mL溶液を入れ、ビトライド溶液を−70℃下で30分で徐々に滴下した。その後、溶液を−30℃〜−50℃に維持しつつ6時間反応させ、水を滴下した。反応後、1MHClをフラスコに加えて中和させた。沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液をトルエン(20ml×1回)で抽出した。有機層を集め、蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=5:1、Rf=0.32)で精製し、4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド0.80gを収率30%で得た。
【0087】
(実施例7−4)
1−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)−エチル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)−ベンゼン
【化46】

フラスコ中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド3g(8.41mmol)のTHF40mL溶液にポタシウムt−ブトキシド0.86g(7.01mmol)を3分間で徐々に滴下した後、室温で30分間反応させた。反応混合物に4−{4−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)エチル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド2.96g(7.01mmol)のTHF25mL溶液を徐々に滴下し、その後室温で24時間反応させた。
【0088】
沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液に蒸溜水100mLで洗浄し、エーテル(20ml×1回)で抽出し、水層を再びクロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、NaCl溶液で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.36)で精製し、クロロホルム/エタノールを添加して再結晶化させて、1−[2−(4−プロピル−ビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン1.65gを収率56%で得た。
HNMRδ0.86(t,3H),0.90−2.00(m,35H),2.43(tt,1H),2.54−2.59(m,2H),4.91(dd,1H),5.00(d,1H),5.82(ddd,1H),7.10(s,4H)
M+=420
相転移温度:C214.6℃ N260.3℃ I
【0089】
実施例8:1−[2−(4−ペンチルビシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン
(実施例8−1)
1−ペンチル−4−ビニル−ビシクロヘキサンに代えて、1−ペンチル−4−ビニル−ビシクロヘキサンを使用した以外は、前記実施例1−2の方法と実質的に同様にして、4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステルを製造した。
【0090】
すなわち、アルゴンガスを満たしたフラスコに、ポタシウムホスファート12.8g(60.1mmol)、前記実施例1−1の4−(4−ブロモフェニル)シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル14.3g(48mmol)および1−ペンチル−4−ビニル−ビシクロヘキサン10.5g(40.0mmol)を含むN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)溶液180mLを入れた。
【0091】
次いで、パラジウムアセタート0.17g(触媒量)をフラスコに加え、120℃の油浴中で32時間反応させた。反応後、得られた生成物に蒸溜水100mLを加え、エチルアセタートで抽出し、その後水層をクロロホルムで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮後、エタノールで再結晶化させて、4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−ビニル]−フェニル}シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル12.3gを収率64%で得た。
【0092】
(実施例8−2)
4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル
【化47】

前記実施例8−1により製造された4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エテニル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル8.3g(17.4mmol)をトルエン/エタノール(1:1体積%)混合液に溶解させた。得られた溶液200mLにPd/C0.4gを加え、水素化反応装置で12時間反応させた。反応後、Pd/Cをろ過し、減圧下で濃縮後に、クロロホルム/エタノール溶液で再結晶化させ、4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル7.5gを収率90%で得た。
【0093】
(実施例8−39)
4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルバルデヒド
【化48】

アルゴンガスを満たしたフラスコにビトライド(3.3M in toluene)19mL(62.7mmol)をシリンジで入れ、0℃に調整し、モルホリン5.5mL(62.7mmol)をシリンジで徐々に滴下した。その後、トルエン31mLをシリンジで滴下してビトライド溶液を製造した。
【0094】
アルゴンガスを満たした他のフラスコに、実施例8−2で得られた4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルボン酸メチルエステル3.0g(6.27mmol)のトルエン63mL溶液を入れ、ビトライド溶液を−70℃下で30分間で徐々に滴下した。その後、−30℃〜−50℃に維持しつつ6時間撹拌し、水を滴下した。反応後、1MHClをフラスコにゆっくり加えて中和した。
【0095】
沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液をトルエン(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、無水NaSOで乾燥させた。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=5:1、Rf=0.32)で精製し、4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド1.33gを収率47%で得た。
【0096】
(実施例8−4)
1−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エチル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)−ベンゼン
【化49】

フラスコ中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド3g(8.41mmol)のTHF40mL溶液に、ポタシウムt−ブトキシド0.86g(7.01mmol)を3分間撹拌しながら徐々に滴下した後、室温で30分間撹拌した。反応混合物に4−{4−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エチル]−フェニル}−シクロヘキサンカルバルデヒド3.16g(7.01mmol)のTHF25mL溶液を徐々に滴下し、その後室温で24時間撹拌した。
【0097】
沈殿物を減圧下でろ過し、ろ液に蒸溜水100mLで洗浄し、エーテル(20ml×1回)で抽出し、水層をクロロホルム(20ml×3回)で抽出した。有機層を集め、NaCl溶液で洗浄後、無水NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.36)で精製し、クロロホルム/エタノール溶液を添加して再結晶化させて、1−[2−(4−ペンチル−ビシクロヘキシル)−エチル]−4−(4−ビニル−シクロヘキシル)ベンゼン2.6gを収率82%で得た。
HNMRδ0.88(t,3H),0.91−2.01(m,39H),2.44(tt,1H),2.54−2.60(m,2H),4.92(dd,1H),5.00(d,1H),5.82(ddd,1H),7.10(s,4H)
M+=448
相転移温度:C236.06℃ N255.1℃ I
【0098】
実施例9.1−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン(反応スキーム3による化学式2の化合物の合成)
(実施例9−1)
8−(4−ブロモフェニル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール
【化50】

2口フラスコにマグネシウム(0.60g、24.6mmol)およびTHF5mlを入れ、1,4−ジブロモベンゼン(5.30g、22.4mmol)のTHF溶液25mlを少量加えて反応を開始させた。その後、残りの1,4−ジブロモベンゼンのTHF溶液を20〜25℃に維持しつつ徐々に滴下し、その後2時間撹拌した。1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オン(2.60g、17.0mmol)のTHF溶液8mlを10〜15℃に維持しつつ徐々に滴下した後、室温まで昇温させた後、室温で24時間撹拌した。得られた溶液にNHCl水溶液50mlを注ぎ、トルエン(50ml×3回)で抽出した。有機層を蒸溜水(20ml×2回)で洗浄後、減圧下で濃縮して、8−(4−ブロモフェニル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−8−オール9.30gを得た。
【0099】
(実施例9−2)
8−(4−ブロモフェニル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−7−エン
【化51】

臭素化合物(9.30g、29.7mmol)をトルエン50mlに溶かした後、p−トルエンスルホン酸モノヒドラート0.03gを入れ、110℃で4時間還流させた。反応溶液をNaCO(30ml×2回)、飽和NaCl(30ml×2回)水溶液で続けて洗浄した。有機層を減圧下で濃縮し、黄色結晶を得た。黄色結晶をエタノールで再結晶化させて、8−(4−ブロモフェニル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−7−エン6.60gを収率77%で得た。
【0100】
(実施例9−3)
8−{4−[(E)−2−(4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−7−エン
【化52】

アルゴンガスを満たしたフラスコに、KPO(6.27g、29.55mmol)が溶解されているジメチルアセトアミド溶液(DMA)30mlを入れ、8−(4−ブロモフェニル)−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−7−エン(5.8g、19.70mmol)および1−プロピル−4−ビニルシクロヘキサン(3.0g、19.70mmol)、DMA40mlを注射器で滴下した。その後、Pd(OAc)のDMA溶液(1.8×10−3M、17ml、3.36mmol)を得られた溶液に加えて、140℃まで予熱しておいた油浴中で96時間反応させた。
【0101】
得られた溶液を蒸溜水10mlに注ぎ、エチルアセタート(20ml×3回)で抽出した。有機層を塩水(10ml×2回)で洗浄後、減圧下で濃縮し、ろ過した。残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=1:1)で精製して、8−{4−[(E)−2−(4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−7−エン4.6gを収率63%で得た。
【0102】
(実施例9−4)
8−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン
【化53】

8−{4−[(E)−2−(4−プロピルシクロヘキシル)エテニル]フェニル}−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカ−7−エン(6.1g、16.64mmol)をトルエン/エタノール(トルエン:EtOH=1:3)混合液に溶解させた。得られた溶液200mlに、Pd/C0.14gを加え、4日間水素化反応させた。反応後、Pd/Cをろ別し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エーテル=8:1)で精製して、8−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}−1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン4.40gを収率72%で得た。
【0103】
(実施例9−5)
4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}シクロヘキサノン
【化54】

8−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}−1,4−オキサスピロ[4.5]デカン(4.4g、11.87mmol)のトルエン溶液30mlに10%硫酸(20ml)を加えて、18時間還流させた。反応終了後、トルエン層を水(10ml×3回)で洗浄し、減圧下で濃縮して、4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}シクロヘキサノン3.2gを収率72%で得た。
【0104】
(実施例9−6)
1−[4−(メトキシメチレン)シクロヘキシル]−4−[2−(4−プロピル−シクロヘキシル)エチル]−ベンゼン
【化55】

アルゴンガスを満たしたフラスコ内で、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド(2g、5.9mmol)が含まれているTHF20ml溶液に、−10℃下で、固体試料ポタシウムtert−ブトキシド(0.6g、5.9mmol)を3分間かけて徐々に入れた後、この温度を維持しつつさらに20分間撹拌した。反応溶液の温度を0℃に合わせ、4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}シクロヘキサノン(1.5g、4.5mmol)のTHF(15ml)を徐々に滴下した後、得られた溶液を撹拌しながら室温まで昇温させた。反応終了後、得られた溶液を蒸溜水(20ml)で希釈させ、エーテル(20ml×3回)で抽出し、蒸溜水(10ml×2回)で洗浄後、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(エチルアセタート:石油エーテル=1:40)で精製し、1−[4−(メトキシメチレン)シクロヘキシル]−4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−ベンゼン1.2gを収率80%で得た。
【0105】
(実施例9−7)
トランス−4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド
【化56】

1−[4−(メトキシメチレン)シクロヘキシル]−4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−ベンゼン(1.23g、2.74mmol)とTHF/2NHCl10mlとを4:1の体積比で混ぜ合わせ、8時間還流させた。反応終了後、得られた溶液を蒸溜水10mlで希釈し、エーテル抽出(5ml×2回)を行い、蒸溜水(5ml×2回)で洗浄した。残渣をカラムクロマトグラフィー(エチルアセタート:石油エーテル=1:60)で精製した。得られた結晶はシス/トランス混合物であり、NMRで確認したときにその混合比はシス:トランス=1:5であった。これをヘキサンで分別・再結晶化させて、純粋なトランス−4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}シクロヘキサンカルバルデヒド0.2gを収率18%で得た。
【0106】
(実施例9−8)
1−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)−ベンゼン
【化57】

メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(0.25g、0.7mmol)のTHF溶液5mlを撹拌しつつ、ポタシウムtert−ブトキシド(0.07g、0.7mmol)を3分間徐々に添加した後、室温で1時間撹拌した。得られた溶液に、トランス−4−{4−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]フェニル}シクロヘキサン−カルバルデヒド(0.2g、0.58mmol)のTHF溶液2mlを徐々に滴下し、同温度を維持しつつ24時間撹拌した。反応終了後、白い沈殿物をろ別した。ろ液をエーテル(10ml×3回)で抽出し、有機層を集めて蒸溜水(10ml×2回)、塩水(10ml×2回)で洗浄した。残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル)で精製して、最終物質である1−[2−(4−プロピルシクロヘキシル)エチル]−4−(4−ビニルシクロヘキシル)ベンゼン0.12gを収率65%で得た。
HNMRδ0.86(t,3H),0.90−2.00(m,25H),2.43(tt,1H),2.54−2.60(m,2H),4.91(dd,1H),5.00(d,1H),5.82(ddd,1H),7.10(s,4H)
M+=338
【0107】
実施例10〜17および比較例1〜3:液晶組成物の製造
前記化学式1および化学式2の化合物、および対照の液晶化合物をそれぞれ10重量%ずつを混合することにより、液晶組成物を製造した。ベース組成物としては、一般に液晶組成物として用いられる慣用のホスト組成物が使用された。
【0108】
比較例1は、化学式1および化学式2の化合物を含まず、従来のベース組成物のみのものである。
【0109】
各液晶組成物の粘度および相転移温度(TN−I)を評価し、その結果を下記表1に示す。
【表1】

【0110】
本発明は、実用的な典型的な実施例として現在考えられるものに関して述べられているが、本発明は開示した実施例に限定されないものと理解されるべきであり、従属項の精神および範囲に含まれる種々の変更や同等の方式も含むことが意図されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表わされる液晶化合物:
【化1】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【請求項2】
前記化学式1において、RはC2〜C7のアルキル基である請求項1に記載の液晶化合物。
【請求項3】
下記化学式2で表わされる液晶化合物:
【化2】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【請求項4】
前記化学式2において、RはC2〜C7のアルキル基である請求項3に記載の液晶化合物。
【請求項5】
下記化学式5の化合物をソジウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム無水物で還元反応させて化学式4のトランス化合物を製造し、
前記化学式4のトランス化合物をウィッティヒ反応させるステップを含む、前記化学式1の液晶化合物の製造方法。
【化3】

【化4】

【化5】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【請求項6】
前記化学式5の化合物は、下記化学式6の化合物と下記化学式7の化合物とを反応させて製造される、請求項5に記載の製造方法。
【化6】

【化7】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【請求項7】
下記化学式5の化合物を水素化反応させて化学式5−1の化合物を製造し、
前記化学式5−1の化合物をソジウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム無水物で還元反応させて化学式3の化合物を製造し、
前記化学式3の化合物をウィッティヒ反応させるステップを含む、下記化学式2の液晶化合物の製造方法。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【請求項8】
前記化学式5の化合物は、下記化学式6の化合物と化学式7の化合物とを反応させて製造される、請求項7に記載の製造方法。
【化12】

【化13】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【請求項9】
下記化学式13の化合物を水素化反応させて化学式12の化合物を製造し、
前記化学式12の化合物を加水分解して化学式11の化合物を製造し、
前記化学式11の化合物をウィッティヒ反応させて化学式10の化合物を製造し、
前記化学式10の化合物を加水分解反応させて化学式3の化合物を製造し、
前記化学式3の化合物をウィッティヒ反応させるステップを含む、下記化学式2の液晶化合物の製造方法。
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【請求項10】
前記化学式13の化合物は、化学式6の化合物と化学式14の化合物とを反応させて製造される、請求項9に記載の製造方法。
【化20】

【化21】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。
【請求項11】
下記化学式1または下記化学式2の液晶化合物からなる群から選ばれた少なくともを一つの化合物を含む液晶組成物。
【化22】

【化23】

式中、RはC1〜C15のアルキル基であり、nは1または2の整数である。

【公表番号】特表2012−512152(P2012−512152A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540612(P2011−540612)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【国際出願番号】PCT/KR2009/007468
【国際公開番号】WO2010/071335
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(303016937)ドウジン セミケム カンパニー リミテッド (13)
【Fターム(参考)】