説明

液晶化合物

【課題】液晶化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、直線状に並んだ5個以上のベンゼン環、およびこれらの環の間の2個の架橋単位を含有し、ここでこれらの単位の少なくとも1個が−CFO−架橋を表す化合物に関する。加えて、本発明は、液晶媒体、およびこれらの媒体を含む特にギガヘルツ領域用の高周波数部品、特にアンテナに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5個以上のベンゼン環、およびこれらの環の間の2個の架橋単位を含有し、ここでこれらの単位の少なくとも1個が−CFO−架橋を表す新規な化学化合物に関する。加えて、本発明は、液晶媒体、およびこれらの媒体を含む特にギガヘルツ領域用の高周波数部品、特にアンテナに関する。液晶媒体は、例えば、整調可能な「フェーズドアレー(phased−array)」アンテナ用のマイクロ波の位相シフトのために働く。
【背景技術】
【0002】
液晶媒体は、情報を表示するために、電気光学的ディスプレイ(液晶ディスプレイ、Liquid Crystal Displays、LCD)において、長らく使用されてきた。5個の環および−CFO−架橋を含有する化合物は、例えば特開2009−074050号公報(特許文献1)および国際特許出願公開第2008/105286号パンフレット(特許文献2)において、表示装置用に既に提案されている。
【0003】
しかしながら、最近、例えば、ドイツ国特許出願公開第10 2004 029 429号公報(特許文献3)および特開2005−120208号公報(特許文献4)などにいおて、マイクロ波技術用の部品における使用のためにも液晶媒体が提案された。
【0004】
高周波数技術における液晶媒体の工業的に有用な用途は、可変電圧により、特にギガヘルツ領域用に液晶媒体の誘電的特性を制御できるという液晶媒体の特性に基づく。これにより、可動部を一切含有しない同調可能なアンテナの構築が可能となる(A.Gaebler、A.Moessinger、F.Goeldenら、「Liquid Crystal−Reconfigurable Antenna Concepts for Space Applications at Microwave and Millimeter Waves」、International Journal of Antennas and Propagation、2009巻、論文ID 876989号、7頁、2009年、doi:10.1155/2009/876989(非特許文献1))。
【0005】
ドイツ国特許出願公開第10 2004 029 429号公報(特許文献3)には、マイクロ波技術、とりわけ位相シフト器において、従来の液晶媒体を使用することが記載されている。この文献において、対応する周波数領域における液晶媒体の特性について、液晶媒体が既に検討されている。
【0006】
しかしながら、これまで知られている個々の化合物の組成物は、一般に、多くの不利益を有している。他の欠陥に加えて、殆どの不利益は、不都合に高い損失および/または不充分な位相シフトまたは不充分な材料特性に帰結する。
【0007】
高周波数技術において使用するためには、特に、従来から見るとかなり異常な、まれな特性または特性の組み合わせを有する液晶媒体が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−074050号公報
【特許文献2】国際特許出願公開第2008/105286号パンフレット
【特許文献3】ドイツ国特許出願公開第10 2004 029 429号公報
【特許文献4】特開2005−120208号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】A.Gaebler、A.Moessinger、F.Goeldenら、「Liquid Crystal−Reconfigurable Antenna Concepts for Space Applications at Microwave and Millimeter Waves」、International Journal of Antennas and Propagation、2009巻、論文ID 876989号、7頁、2009年、doi:10.1155/2009/876989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、改良された特性を有する液晶媒体用の新規な成分が必要である。特に、マイクロ波領域における損失が低減されていなければならず、材料特性(η)が改良されていなければならない。
【0011】
加えて、成分の低温挙動における改良に対する要求がある。この場合、動作特性および寿命の両者における改良が不可欠である。
【0012】
よって、対応する実際の用途に適する特性を有する液晶媒体に対する多大な要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ここで、驚くべきことに、本発明による化合物を使用することで、適切なネマチック相範囲および高いΔnを有し、先行技術の材料の不具合を有していないか、少なくとも著しく低減された程度にのみ有する液晶媒体を達成可能であることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、式Iの化合物に関する。
【0015】
【化1】

式中、
は、−CFO−、−CHO−、−CH−CH−、−CFCF−、−CHCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−C≡C−、−(CO)O−、好ましくは、−CFO−を表し、
は、−CFO−を表し、
Zは、F、Cl、SCN、NCS、CN、OCN、NCO、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシを表し、
1〜4は、互いに独立に、F、ClまたはH、好ましくは、FまたはHを表し、
1〜6は、互いに独立に、H、F、ClまたはTを表し、
1〜6は、互いに独立に、HまたはTを表し、
Tは、6個までの炭素原子を有する、好ましくは1〜3個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルキニル、好ましくは、アルキルを表し、
Rは、1〜15個のC原子を有する無置換のアルキル基(ただし、この基における1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−で置き換えられていてもよく)、F、Cl、Br、CN、CF、OCF、SCN、NCSまたはSFを表し、
mは、2、3または4、好ましくは、2を表し、および
nおよびoは、互いに独立に、0、1または2、好ましくは、0または1を表し、
ただし、m+n+o=3または4であり、好ましくは、4であり、
および、ここで好ましい実施形態において、n=1、m=2およびo=0、特に、n+m+o=3の場合、YまたはLの少なくとも一つは基Tを表す。LまたはLは、特に好ましくは、基Tを表す。
【0016】
本発明による化合物は、比較的高い透明点、極めて高い誘電異方性(Δε)、高い光学異方性(Δn)、および、特にTがHでない場合、分子の長軸に関する有利に高い回転粘度を有する。単独または更なるメソゲン成分との混合物において、本発明による化合物は、広い温度範囲にわたってネマチック相を有する。これらの特性により、本発明による化合物は、高周波数技術用の部品における、特に、液晶位相シフト器における使用に特に適するものとなる。
【0017】
基Rは、好ましくは、1〜15個のC原子を有するアルキル基を表し、ただし加えて、この基における1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CH=CH−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−で置き換えられていてもよい。
【0018】
従って、本発明の例示的実施形態は、以下の構造である。
【0019】
【化2】

式中、可変基は上で定義される通りである。
【0020】
式Iの化合物は、以下の例示的合成(スキーム1)において見られるように、有利に調製できる。
【0021】
【化3】

<スキーム1>式Iの化合物の例示的合成
/RはC1〜6−アルキルまたは共にアルキル化されていてもよいアルキレンである。
【0022】
ベンゼン環の間の結合は、一般に、対応する置換ハロゲン化アリール類およびボロン酸誘導体より鈴木カップリングにより形成される。ベンゼン環が−CFO−基によって結合されている場合、この単位は、一般に、ビス(アルキルチオ)カルベニウム塩をフェノール誘導体と反応させることにより形成されるジチオオルトエステル類の酸化的フッ素化により調製される(例えば、欧州特許第1259503号明細書参照)。
【0023】
本発明による液晶媒体は、式Iの1種類以上の化合物と、任意成分として、少なくとも1種類の更なる、好ましくはメソゲン化合物とを含む。従って、液晶媒体は、好ましくは、2種類以上の化合物を含む。好ましい媒体は、式Iの好ましい化合物を含む。
【0024】
液晶媒体の更なる成分は、好ましくは、式IIの化合物より選択される。
【0025】
【化4】

式中、
11は、R11またはX11を表し、
12は、R12またはX12を表し、
11およびR12は、互いに独立に、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシ、または、2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシまたはフッ素化されていないアルコキシアルキル、好ましくは、フッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルケニルを表し、
11およびX12は、互いに独立に、F、Cl、Br、−CN、−NCS、−SCN、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されたアルコキシアルキル、好ましくは、フッ素化されたアルコキシ、フッ素化されたアルケニルオキシ、FまたはClを表し、
pは、0または1を表し、
11〜Z13は、互いに独立に、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−または単結合を表し、および
【0026】
【化5】

a)1,4−フェニレン、ただし、1個以上、好ましくは1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、
b)トランス−1,4−シクロヘキシレンまたはシクロヘキセニレン、ただし、1個または2個の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、ただし、HはFで置き換えられていてもよく、
c)1,4−ナフチレン
を表し、
ただし、基a)およびb)において、1個以上のH原子は、また、Br、Cl、F、CN、−NCS、−SCN、SF、C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アルコキシまたは一フッ素化または多フッ素化されたC〜C10アルキルまたはアルコキシ基で置き換えられていてもよく、
好ましくは、互いに独立に、
【0027】
【化6】

を表し、
式中、R13は、Cl、C1〜7−アルキルまたはC3〜6−シクロアルキルを表す。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、液晶媒体は、式Iの1種類以上の化合物および式IIの1種類以上の化合物を含む。
【0029】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、式Iの化合物を全体で5〜95%、好ましくは10〜90%、特に好ましくは15〜80%含む。
【0030】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、5員および/または6員環を2個以下のみ有する化合物を10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下、非常に特に好ましくは1%以下含み、特には完全に含まない。
【0031】
本出願による液晶媒体は、好ましくは、式IおよびIIの化合物を全体で10〜100%、好ましくは20〜95%、特に好ましくは25〜90%含む。
【0032】
本発明によれば、式IIの化合物は、混合物全体の好ましくは10%〜90%、より好ましくは15%〜85%、更により好ましくは25%〜80%、非常に好ましくは30%〜75%の総濃度で使用される。
【0033】
加えて、液晶媒体は、安定化剤、キラルドーパントおよびナノ粒子などの更なる添加剤を含んでもよい。個々の添加された化合物は、0.01〜6%、好ましくは0.1〜3%の濃度で用いられる。しかしながら、液晶混合物の残りの構成成分、即ち、液晶またはメソゲン化合物のための濃度データは、これらの添加剤の濃度を考慮せずに示される。
【0034】
液晶媒体は、好ましくは0〜10質量%、特に0.01〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%の安定化剤を含む。媒体は、好ましくは、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール類、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン類または2−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール類より選択される1種類以上の安定化剤を含む。これらの助剤は当業者に既知であり、例えば、光安定化剤として商業的に入手可能である。
【0035】
従って、本発明の実施形態は、また、式Iの1種類以上の化合物を、上で示される通りの式IIの化合物より選択される1種類以上の化合物と、および、任意に、1種類以上の更なる化合物と、および、任意に、1種類以上の添加剤と混合することを特徴とする液晶媒体の調製方法でもある。
【0036】
本出願において、誘電的に正との表現はΔε>3.0の化合物または成分を記載し、誘電的に中性は−1.5≦Δε≦3.0のものを記載し、誘電的に負はΔε<−1.5のものを記載する。それぞれの化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物におけるそれぞれ個々の化合物の10%溶液の結果より決定される。ホスト混合物におけるそれぞれの化合物の溶解度が10%未満の場合、濃度を5%に低下する。試験混合物の容量は、ホメオトロピック配向を有するセルおよびホモジニアス配向を有するセルの両者において決定する。両タイプのセルのセル厚は、およそ20μmである。印加される電圧は1kHzの周波数および典型的には0.5V〜1.0Vの有効値を有する矩形波であるが、常にそれぞれの試験混合物の容量閾値よりも低く選択される。
【0037】
Δεは(ε−ε)と定義され、一方、εaverageは(ε+2ε)/3である。
【0038】
誘電的に正の化合物用に使用されるホスト混合物は混合物ZLI−4792であり、誘電的に中性および誘電的に負の化合物用に使用されるのは混合物ZLI−3086で、両者ともドイツ国メルク社製である。化合物の誘電率の絶対値は、興味ある化合物を添加した際の、ホスト混合物のそれぞれの値の変化より決定される。その値を、興味ある化合物の濃度100%に外挿する。
【0039】
20℃の測定温度でネマチック相を有する成分は、そのままで測定され、他の全ても化合物と同様に処理される。
【0040】
両方の場合において他に明言しない限り、本出願において閾電圧との表現は光学的閾値について言及し、10%相対的コントラスト(V10)についてであり、飽和電圧との表現は光学的飽和について言及し、90%相対的コントラスト(V90)についてである。フレデリクス閾値(VFr)とも呼ばれる容量的閾電圧(V)は、明示的に述べる場合にのみ使用する。
【0041】
本出願で示されるパラメータの範囲は、他に明示しない限り、全て限界値を含む。
【0042】
互いの組み合わせにおいて特性の各種の範囲に示される異なる上限および下限の値は、追加の好ましい範囲とする。
【0043】
本出願を通じて、他に明言しない限り、以下の条件および定義を適用する。全ての濃度は質量パーセントで示され、それぞれ混合物全体に関するものであり、全ての温度は、摂氏度であり、全ての温度差は差異度である。液晶にとって典型的な全ての物理的特性は、「Merck Liquid Crystals、Physical Properties of Liquid Crystals」、1997年11月刊、ドイツ国メルク社に従って決定され、他に明言しない限り、20℃の温度においてである。光学異方性(Δn)は、589.3nmの波長で決定される。誘電異方性(Δε)は、1kHzの周波数で決定される。閾電圧ならびに他の全ての電気光学的特性は、ドイツ国メルク社で製造された試験セルを使用して決定される。Δεの決定のための試験セルは、およそ20μmのセル厚を有している。電極は、1.13cmの面積および保護リングを有する円形ITO電極である。配向層は、ホメオトロピック配向(ε)用には日本国日産化学社製SE−1211、ホモジニアス配向(ε)用には日本国日本合成ゴム社製ポリイミドAL−1054である。容量は、0.3Vrmsの電圧を有する正弦波を使用するSolatron1260周波数応答解析装置を使用して決定する。電気光学的測定において使用される光は、白色光である。ドイツ国Autronic−Melchers社製の商業的に入手可能なDMS装置を使用する装置構成を、ここでは用いる。特性電圧を、垂直観察の下で決定する。閾値(V10)、中間灰色(V50)および飽和(V90)電圧を、それぞれ、10%、50%および90%相対コントラストに対して決定する。
【0044】
液晶媒体を、A.Penirschke、S.Muller、P.Scheele、C.Weil、M.Wittek、C.HockおよびR.Jakoby:「Cavity Perturbation Method for Characterization of Liquid Crystals up to 35 GHz」、第34回European Microwave Conference、アムステルダム、545〜548頁に記載される通り、マイクロ波周波数領域における液晶媒体の特性について検討する。
【0045】
これについては、A.Gaebler、F.Golden、S.Muller、A.PenirschkeおよびR.Jakoby「Direct Simulation of Material Permittivites(以下省略)」、12MTC2009、International Instrumentation and Measurement Technology Conference、シンガポール、2009年(IEEE)、463〜467頁、および、ドイツ国特許出願公開第10 2004 029 429号公報(特許文献3)も比較されたい。これらにも測定方法が同様に詳細に記載されている。
【0046】
液晶をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の毛細管内に導入する。毛細管は180μmの内径および350μmの外径を有する。有効長は2.0cmである。充填された毛細管を、共振周波数が30GHzの空洞の中心に導入する。この空洞は6.6mmの長さ、7.1mmの幅および3.6mmの高さを有する。次いで、入力信号(ソース)を印加し、市販のベクトルネットワークアナライザを使用して出力信号の結果を記録する。
【0047】
液晶で充填された毛細管がある状態での測定と、液晶で充填された毛細管がない状態での測定との間における共振周波数およびQ因子の変化を、A.Penirschke、S.Muller、P.Scheele、C.Weil、M.Wittek、C.HockおよびR.Jakoby:「Cavity Perturbation Method for Characterization of Liquid Crystals up to 35 GHz」、第34回European Microwave Conference、アムステルダム、545〜548頁において、そこで記載される通り、式10および11を用いて、対応する目的とする周波数における誘電定数および損失角を決定するために使用する。
【0048】
液晶のダイレクターに垂直および平行な成分に対する特性の値は、磁界中の液晶の配向より得られる。このためには、永久磁石の磁界を使用する。磁界の強さは0.35テスラである。磁石の配置を対応して設定し、次いで、対応して90°回転する。
【0049】
マイクロ波領域における誘電異方性は、
Δε≡(εr‖−εr⊥
の通り定義される。
【0050】
変調能(modulatability)または同調能(tuneability)(τ)は、
τ≡(Δε/εr‖
の通り定義される。
【0051】
材料特性(η)は、
η≡(τ/tanδεrmax
の通り定義され、最大誘電損失係数tanδεrmaxは、
tanδεrmax≡max{tanδεr⊥;tanδεr‖
であり、tanδεrに対して測定された値の最大値に起因する。
【0052】
好ましい液晶材料の材料特性(η)は5以上、好ましくは6以上、好ましくは8以上、好ましくは10以上、好ましくは15以上、好ましくは17以上、特に好ましくは20以上、非常に特に好ましくは25以上である。
【0053】
対応する成分において、好ましい液晶材料は、15°/dB以上、好ましくは20°/dB以上、好ましくは30°/dB以上、好ましくは40°/dB以上、好ましくは50°/dB以上、特に好ましくは80°/dB以上、非常に特に好ましくは100°/dB以上の位相シフト品位を有する。
【0054】
本出願において明らかに他に明言しない限り、化合物との用語は1種類の化合物および複数種類の化合物の両者を意味する。
【0055】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、それぞれの場合において少なくとも−20℃〜80℃、好ましくは−30℃〜85℃、非常に特に好ましくは−40℃〜100℃のネマチック相を有する。この相は、特に好ましくは、120℃以上まで、好ましくは140℃以上まで、非常に特に好ましくは180℃以上にまで及ぶ。本明細書において、ネマチック相を有するとの表現は、一方でスメクチック相および結晶化が対応する温度における低温で確認されないことを意味し、他方でネマチック相から加熱しても透明化が起きないことを意味する。低温における検討は対応する温度において流動粘度計中で行なわれ、5μmのセル厚を有する試験用セルにおいて少なくとも100時間保存して確認する。高温においては、従来法により毛細管中で透明点を測定する。
【0056】
本発明による液晶媒体は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更により好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃以上、非常に特に好ましくは170℃以上の透明点を有する。
【0057】
本発明による液晶媒体のΔεは、1kHzおよび20℃において、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、非常に好ましくは3以上である。
【0058】
本発明による液晶媒体のΔnは、589nm(Na)および20℃において、好ましくは0.20以上〜0.90以下の範囲内、より好ましくは0.25以上〜0.90以下の範囲内、更により好ましくは0.30以上〜0.85以下の範囲内、非常に特に好ましくは0.35以上〜0.80以下の範囲内である。
【0059】
本出願の好ましい実施形態において、本発明による液晶媒体のΔnは、好ましくは0.50以上、より好ましくは0.55以上である。
【0060】
更に、本発明による液晶媒体は、マイクロ波領域における高い異方性により特徴付けられる。複屈折率は、例えば、およそ8.3GHzにおいて、好ましくは0.14以上、特に好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.20以上、特に好ましくは0.25以上、非常に特に好ましくは0.30以上である。加えて、複屈折率は、好ましくは、0.80以下である。
【0061】
しかしながら、実施形態によっては、また、負の値の誘電異方性を有する液晶も優位に使用できる。
【0062】
用いられる液晶は、個別の物質または混合物である。それらは、好ましくは、ネマチック相を有する。
【0063】
液晶媒体または本発明による少なくとも1種類の化合物を含む好ましい部品は、位相シフト器、バラクター、アンテナアレー(例えば、ラジオ、モバイル通信、マイクロ波/レーダーおよび他のデータ伝送用)、「整合回路適応フィルター」およびその他である。上で定義される通りの高周波数技術用の部品が好ましい。また、異なって印加される電圧により変調可能な部品も好ましい。非常に特に好ましい部品は位相シフト器である。好ましい実施形態において、複数の位相シフト器が機能的に連結され、例えば、位相制御されたグループアンテナを与える。グループアンテナは、干渉を介して束化を達成するために、行列(マトリクス)に配置された送信または受信素子の位相シフトを使用する。行(row)または格子の形態の位相シフト器の並列配置によって、所謂「位相配列」の構築が可能となり、高周波数(例えば、ギガヘルツ領域)用の整調可能な送信または受信アンテナとして機能できる。本発明による位相配列アンテナは、非常に広範に使用可能な受信錐体(reception cone)を有する。
【0064】
好ましい用途は、自動車、船舶、航空機、宇宙旅行および衛星技術の分野からの有人または無人の運搬体上でのレーダー設備およびデータ伝送装置である。
【0065】
適切な部品、特に、位相シフト器を製造するために、本発明による液晶媒体を、典型的には、1mm未満の横断面および数センチメートルの長さを有する矩形空洞内へ導入する。空洞は、2つの長手側に沿って搭載された対向電極を有する。そのような配置は、当業者によく知られている。アンテナの異なる周波数または方向を設定するために、可変電圧を印加することで、液晶媒体の誘電特性を後の操作において整調できる。
【0066】
用語「アルキル」は、1〜15個の炭素原子を有する直鎖状および分岐状のアルキル基、特に、直鎖状の基であるメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルを包含する。2〜10個の炭素原子を有する基が、一般に好ましい。
【0067】
用語「アルケニル」は、2〜15個の炭素原子を有する直鎖状および分岐状のアルケニル基、特に直鎖状の基を包含する。特に好ましいアルケニル基は、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニル、C〜C−4−アルケニル、C〜C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特に、C〜C−1E−アルケニル、C〜C−3E−アルケニルおよびC〜C−4−アルケニルである。更に好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどである。5個までの炭素原子を有する基が、一般に好ましい。
【0068】
用語「アルコキシ」は、好ましくは、式C2n+1−O−の直鎖状の基を包含し、ここで、nは1〜10を表す。nは、好ましくは、1〜6である。好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−ノノキシ、n−デコキシである。
【0069】
用語「オキサアルキル」または「アルコキシアルキル」は、好ましくは、式C2n+1−O−(CHの直鎖状の基を包含し、ただし、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜10を表す。好ましくは、nが1で、mが1〜6である。
【0070】
用語「フッ素化アルキル基」は、好ましくは、一フッ素化または多フッ素化された基を包含する。ペルフッ素化された基も含む。CF、CHCF、CHCHF、CHF、CHF、CHFCFおよびCFCHFCFが特に好ましい。
【0071】
用語「フッ素化アルコキシ基」は、好ましくは、一フッ素化または多フッ素化された基を包含する。ペルフッ素化された基も含む。OCFが特に好ましい。
【0072】
本出願において、高周波数技術とは、1MHz〜1THz、好ましくは1GHz〜500GHz、より好ましくは2GHz〜300GHz、特に好ましくは5GHz〜150GHzの範囲内の周波数を有する用途を意味する。
【0073】
本発明による液晶媒体は、通常の濃度で更なる添加剤およびキラルドーパントを含むことができる。これらの更なる構成成分の総濃度は、混合物全体に基づいて0%〜10%、好ましくは0.1%〜6%の範囲内である。使用される個々の化合物の濃度は、それぞれ好ましくは0.1%〜3%の範囲内である。これらおよび類似の添加剤の濃度は、本出願において、液晶媒体の液晶成分および液晶化合物の濃度の値および範囲を言う場合は考慮されない。
【0074】
本発明による液晶媒体は、複数種類の化合物、好ましくは3〜30種類、より好ましくは4〜20種類、非常に好ましくは4〜16種類の化合物から成る。これらの化合物は、慣用的な方法で混合される。一般に、より少ない量で使用される化合物の所望量を、より多い量で使用される化合物に溶解する。より高い濃度で用いられる化合物の透明点より温度が高い場合には、溶解過程の完了を観察するのは特に容易である。しかしながら、他の慣用の方法、例えば、化合物の同族または共融混合物であってよい、例えば、所謂プレ混合の使用や、構成成分自身が使用可能な状態の混合物である所謂「マルチ・ボトル」系を使用して媒体を調製することも可能である。
【0075】
例えば、液晶の融点T(C,N)またはT(C,S)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの全ての温度は、摂氏度である。全ての温度差は差異度である。
【0076】
本出願において、高周波数技術とは、1MHz〜1THz、好ましくは1GHz〜500GHz、より好ましくは2GHz〜300GHz、特に好ましくは5GHz〜150GHzの範囲内の周波数を有する用途を意味する。好ましくは、「フェーズドアレー(phased−array)」モジュールを送信および受信アンテナにおいて使用できる通信転送に適するマイクロ波スペクトルまたは隣接領域で応用される。
【0077】
本発明および以下の例において、液晶化合物の構造は頭字語を用いて示され、化学式への変換は下の表AおよびBに従って行われる。全ての基C2n+1およびC2m+1は、それぞれnおよびm個のC原子を有する直鎖状のアルキル基であり;n、mおよびkは整数で、好ましくは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12を表す。表Bにおけるコードは自明である。表Aにおいては、親構造に対する頭字語のみが示されている。個々の場合において、親構造に対する頭字語の後に、ダッシュで区切られて、置換基R1*、R2*、L1*およびL2*に対するコードが続く。
【0078】
【表1】


好ましい混合物成分を表AおよびBに与える。
【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

以下の例は、本発明を一切制限することなく本発明を説明する。
【0083】
しかしながら、物理的特性より、当業者に対しては、いかなる特性が達成可能であるか、およびどの範囲で特性を改変できるかが明らかとなる。よって、特に、好ましく達成することができる種々の特性の組み合わせが、当業者のために十分規定される。
【実施例】
【0084】
用いられるアセチレン類は、商業的に入手可能でない場合でも、標準的な実験室的手法によって合成される。
【0085】
<合成例>
1.1)
【0086】
【化7】

120g(430mmol)のビフェニル2を500mlのTHFに溶解し、n−ヘキサン中のn−ブチルリチウムの2.5M溶液188ml(470mmol)を−70℃において加える。この温度で30分後、COを器具内に通し、内部温度を60℃より低く保ちながら冷THFで反応物を希釈する。反応が弱まってきた後、反応混合物を−30℃において水と共に撹拌し、塩酸を使用して酸性とする。有機相をエバポレートし、残渣をイソプロパノールより結晶化する。
【0087】
【化8】

窒素雰囲気下において、111g(370mmol)の酸3、47ml(480mmol)のプロパンジチオール、42ml(480mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸、145mlのトルエンおよび145mlのイソオクタンを合わせ、水分離器上で沸騰させて加熱する。水の生成が完了した後、400mlのジブチルエーテルを80℃で反応物に加え、1000mlのジエチルエーテルを室温で加える。引き続いて、混合物を0℃まで冷却する。析出した固体を吸引濾別し、乾燥する。
【0088】
1.2)
【0089】
【化9】

200mlのジクロロメタン中に39ml(280mmol)のトリエチルアミンおよび54g(280mmol)のフェノール5が溶解された混合物を、400mlのジクロロメタン中の124g(240mmol)のトリフレート4の懸濁液に20℃で加え、混合物を更に60分撹拌する。引き続いて、77g(480mmol)のトリエチルアミントリスヒドロフルオリドを−70℃で反応物に加える。−70℃で60分後、30mlのジクロロメタン中に溶解された15ml(600mmol)の臭素を加える。30分後、反応物を75分にわたって−30℃まで温め、41ml(480mmol)のモルホリンを加える。0℃で1時間後、150mlの47%水酸化カリウム溶液を、600gの氷/水混合物上で反応混合物に加える。有機相をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機相を乾燥し、エバポレートする。残渣をn−ヘプタンで抽出し、抽出物をシリカゲルを通して濾過する。
【0090】
1.3)上の手順に類似して、化合物9を調製する。
【0091】
【化10】

1.4)
【0092】
【化11】

窒素雰囲気下において、75g(160mmol)の臭化物9を580mlのジオキサンに溶解し、49g(190mmol)のビス(ピナコラト)ジボロンを加える。引き続いて、43g(440mmol)の酢酸カリウムおよび3.4gのPdCl−dppfを混合物に加え、次いで、100℃で6時間温める。1000mlのMTBエーテルおよび300mlの水を、反応物に室温で加える。水相をMTBエーテルで抽出し、合わせた有機相を水および塩化ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し、エバポレートする。残渣をシリカゲルに通し、得られた生成物をエタノールより結晶化する。
【0093】
1.5)
【0094】
【化12】

最初に、6g(20mmol)のメタホウ酸ナトリウム八水和物を15mlの水に導入し、30mlのTHF、286mg(0.4mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリドおよび0.05ml(0.4mmol)の水酸化ヒドラジウムを加え、混合物を室温で5分間撹拌する。10g(20mmol)の臭化物6および10.6g(20mmol)のボロン酸エステル10を70mlのTHF中に溶解し、引き続いて、70mlのTHFを加える。反応物を還流下で8時間加熱する。冷却後、反応物を200mlのMTBエーテルで希釈する。有機相を蒸発させ、残渣をn−ヘプタン/トルエン(9:1)およびアセトンより結晶化する。
【0095】
Δε=+42.5
Δn=0.211
γ=5890mPa・s
C86N236I
2.1)
【0096】
【化13】

窒素下において、ヘキサン中のブチルリチウムの15%溶液35ml(55mmol)を、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンのTHF溶液8.6ml(50mmol)に−20℃で加え、混合物を20分撹拌する。この溶液を−70℃で、24g(50mmol)の臭化物9の溶液に加える。1時間後、30mlのTHFに溶解された5.6ml(50mmol)のN−ホルミルピペリジンを加える。引き続いて、冷却器を取り外す。反応物を−10℃で加水分解し、塩酸を使用して酸性とする。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し、エバポレートする。残渣をシリカゲル(クロロブタン)に通す。
【0097】
2.2)
【0098】
【化14】

窒素下において、5.4g(14mmol)のエチルトリフェニルホスホニウムブロミドを100mlのTHF中に懸濁し、1.5g(13mmol)のカリウムtert−ブトキシドを0℃で加える。30分後、6.1g(12mmol)のアルデヒド12の溶液を加える。混合物を室温で60時間撹拌する。引き続いて、水を反応物に加え、次いで、塩酸を使用して酸性とし、ヘプタンで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥し、エバポレートする。残渣をシリカゲル(ヘプタン)に通す。
【0099】
2.3)
【0100】
【化15】

2.2g(4.2mmol)のスチレン13を20mlのTHFに溶解し、白金触媒上で水素化する。溶液をエバポレートし、シリカゲル(ヘプタン)に通す。
【0101】
2.4)ボロン酸エステル15の合成を、上の手順1.4に類似して行う。
【0102】
【化16】

2.5)16の合成を、11の調製(例1.5)に類似して行う。
【0103】
【化17】

Δε=+35.5
Δn=0.159
γ=8584mPa・s
C80SmA(39)N101I
<混合物例1>
以下の表に示される組成および特性を有する液晶混合物を調製する。成分(16)は、合成例2.5)からの化合物である。
【0104】
【表6】

この液晶混合物は、マイクロ波の分野における、特に、位相シフト器(「フェーズドアレー」)のための用途のために使用される。
【0105】
記載に従い、また、本発明の実施形態および変法の更なる組み合わせも以下の請求項より生じる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物。
【化1】

(式中、
は、−CFO−、−CHO−、−CH−CH−、−CFCF−、−CHCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−C≡C−、−(CO)O−を表し、
は、−CFO−を表し、
Zは、F、Cl、SCN、NCS、CN、OCN、NCO、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシを表し、
1〜4は、互いに独立に、F、ClまたはHを表し、
1〜6は、互いに独立に、H、F、ClまたはTを表し、
1〜6は、互いに独立に、HまたはTを表し、
Tは、6個までの炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルキニルを表し、
Rは、1〜15個のC原子を有する無置換のアルキル基(ただし、この基における1個以上のCH基は、それぞれ互いに独立に、O原子が互いに直接結合しないようにして、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−(CO)O−、−O(CO)−、−(CO)−または−O−で置き換えられていてもよく)、F、Cl、Br、CN、CF、OCF、SCN、NCSまたはSFを表し、
mは、2、3または4を表し、および
nおよびoは、互いに独立に、0、1または2を表し、
ただし、m+n+o=3または4である。)
【請求項2】
が−CFO−基を表すことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが2であることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
nおよびoの両者が1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
n=1、m=2およびo=0の場合、YまたはLの少なくとも一方は基Tを表すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の式Iの1種類以上の化合物を含むことを特徴とする液晶媒体。
【請求項7】
式IIの化合物より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むことを特徴とする請求項6に記載の液晶媒体。
【化2】

(式中、
11は、R11またはX11を表し、
12は、R12またはX12を表し、
11およびR12は、互いに独立に、1〜17個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルキルまたはフッ素化されていないアルコキシ、または、2〜15個、好ましくは3〜10個のC原子を有するフッ素化されていないアルケニル、フッ素化されていないアルケニルオキシまたはフッ素化されていないアルコキシアルキルを表し、
11およびX12は、互いに独立に、F、Cl、Br、−CN、−NCS、−SCN、−SF、1〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルキルまたはフッ素化されたアルコキシ、または、2〜7個のC原子を有するフッ素化されたアルケニル、フッ素化されたアルケニルオキシまたはフッ素化されたアルコキシアルキルを表し、
pは、0または1を表し、
11〜Z13は、互いに独立に、トランス−CH=CH−、トランス−CF=CF−、−C≡C−または単結合を表し、および
【化3】

互いに独立に、
a)1,4−フェニレン、ただし、1個以上、好ましくは1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、
b)トランス−1,4−シクロヘキシレンまたはシクロヘキセニレン、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、ただし、HはFで置き換えられていてもよく、
c)1,4−ナフチレン
を表し、
ただし、基a)およびb)において、1個以上のH原子は、また、Br、Cl、F、CN、−NCS、−SCN、SF、C〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アルコキシまたは一フッ素化または多フッ素化されたC〜C10アルキルまたはアルコキシ基で置き換えられていてもよい。)
【請求項8】
媒体における式Iの化合物の濃度が、全体で、5%〜95%の範囲内であることを特徴とする請求項6または7に記載の液晶媒体。
【請求項9】
液晶混合物における請求項1〜5のいずれか一項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項10】
高周波数技術用の部品における請求項1〜5のいずれか一項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項11】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の液晶媒体を調製する方法であって、式Iの1種類以上の化合物を、請求項7に記載の式IIの化合物より選択される1種類以上の化合物と、および、任意成分として、1種類以上の更なる化合物と、および、任意成分として、1種類以上の添加剤と混合することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の液晶媒体を含むことを特徴とする高周波数技術用の部品。
【請求項13】
1個以上の機能的に連結された位相シフト器であることを特徴とする請求項12に記載の部品。
【請求項14】
高周波数技術用の部品における請求項6〜8のいずれか一項に記載の液晶媒体の使用。
【請求項15】
請求項12または13に記載の1個以上の部品を含むことを特徴とする位相制御されたグループアンテナ。

【公開番号】特開2011−98963(P2011−98963A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245528(P2010−245528)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】