説明

液晶反射用白色積層ポリエステルフィルム

【課題】
液晶ディスプレーに使用された場合に高い輝度を得ることができる液晶反射板用白色積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】
ポリエステルA層とポリエステルB層を有する積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層中に無機粒子を有し、ポリエステルB層中に微細な空隙を有し、かつフィルム幅方向のフィルム厚みムラが5%以下であり、平均フィルム厚みdとフィルム幅方向におけるフィルム厚みの標準偏差σ値との比(σ/d)が2.5以下である反射板用積層ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは大画面の、好ましくは画面の対角線長さが1.016m以上の液晶ディスプレー(以下、LCDとする場合あり)に用いる反射板用の積層ポリエステルフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムは、近年、特に各種光学用フィルムに多く使用され、LCDの 部材のプリズムシート、光拡散シート、反射板、タッチパネル等のベースフィルムや反射防止用ベースフィルムやディスプレーの防爆用ベースフィルム、PDPフィルター用フィルム等の各種用途に用いられている。これらの光学製品において、明るく鮮明な画像を得るために、光学用フィルムとして用いられるベースフィルムはその使用形態から透明性が良好で、かつ画像に影響を与える異物やキズ等の欠陥がないことが必要となる。ポリエステルフィルムは、通常シート状に溶融押出し、急冷固化して得た無定形シートを縦方向および横方向に延伸し、熱処理を行って得られる。これらの工程で冷却や延伸の均一性が十分でないと、フィルム内の物性ムラが起こり、光学用に使用した場合に画像の劣化及び画像ムラを招いてしまう問題がある。
【0003】
ディスプレーにおいて重要な特性に輝度が挙げられるが、この輝度に対して、部材として使用されるポリエステルフィルムが大きく影響することが知られている。特に高品質な画像を得る場合には高度な輝度が必要となる。使用したポリエステルフィルムの変形やポリエステルフィルム内の物性の違いが大きいと画面上に欠陥を起こす原因となる。このためには光学部材としてのポリエステルフィルムには平面性を要することは言うまでもないが、光学部材としての使用中に物性の平面性を欠く現象が起きないことが重要である。
【0004】
また、近年の液晶ディスプレーの大画面に伴い、フィルムの変形及び大画面ディスプレー内での物性の違いが顕著にディスプレーの性能として現れる傾向にある。
【0005】
例えば特許文献1では輝度ムラを起こす厚み変動の無い配向ポリエステルフィルムを製造するために、溶融樹脂シートを冷却固化する工程で、特定の補助冷却装置を使用することが提案されている。特許文献2では液晶ディスプレー部材として使用した際に、ムラや欠陥がなく、高度な輝度を実現させるため、フィルムヘーズが10%以下、厚みが200〜500μmの範囲に特定し、画面の対角線長さが1.016m以上の大画面液晶ディスプレーの光拡散シート用二軸配向ポリエステルフィルムを作製している。さらに特許文献3では反射輝度が高く、かつ指向性の小さい反射面を形成させるため、ポリエステルフィルムに微粒子を含む塗料を薄くコーティングし、微細凹凸の表面形状を有する液晶表示反射板用ベースフィルムを作製している。しかしながら上記の従来技術では、画面の対角線長さが1.016mサイズ以上の大画面液晶ディスプレーの部材として使用する場合、ディスプレー内の色ムラ及び輝度むらが発生しやすいことから、その解決のためにフィルム厚みむら、輝度のむらの更なる改善が必要であった。
【特許文献1】特開2006−281531号公報
【特許文献2】特開2006−184368号公報
【特許文献3】特開昭61−102687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決し、液晶画面内部の反射板部材に使用された場合に反射率を上げ、均一で、かつ、高いバックライト輝度を得ることができる液晶反射板用白色ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリエステルA層とポリエステルB層を有する積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層中に無機粒子を有し、ポリエステルB層中に微細な空隙を有し、かつフィルム幅方向のフィルム厚みムラが5%以下であり、平均フィルム厚みdとフィルム幅方向におけるフィルム厚みの標準偏差σ値との比(σ/d)が2.5以下である反射板用積層ポリエステルフィルムに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、大画面液晶ディスプレーの部材として使用された際に、ムラや欠陥がなく、高品質な画像を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は少なくともポリエステルA層とポリエステルB層とを有する積層ポリエステルフィルムであることが必要である。ポリエステルA層とポリエステルB層とは、同種のポリエステル成分を用いても、異種のポリエステル成分を用いても良いが、本発明では、ポリエステルA層を構成するポリエステルとして、融点が250℃未満の低融点ポリエステル樹脂と、融点が250℃以上のポリエステル樹脂を混合して使用することが望ましい。
【0010】
低融点ポリエステルとしては、ポリエステルの共重合成分のジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などで代表される成分を1種以上含有する共重合ポリエステルが好ましく、特にイソフタル酸や1,4−シクロヘキサンジメタノールを含有する共重合ポリエステルが価格や性能面から好ましい。また、その他の共重合成分として他のジオールやジカルボン酸を用いても良い。ジオールとは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。
【0011】
一方、融点が250℃以上のポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられ、特に、耐熱性、機械特性の点からポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。また、本発明において、ポリエステルB層は融点が250℃以上のポリエステルを使用することが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明の場合、ポリエステルB層に用いるポリエステル樹脂としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0012】
また、このポリエステルの中には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などを添加することができる。
【0013】
本発明では、ポリエステルA層は無機粒子を含有することが必要であり、ポリエステルB層は微細な空隙を有することが必要である。ポリエステルA層に含有される無機粒子は、フィルムを白色化させることができるものであることが好ましい。さらに光沢値や反射率の向上にも有効であり、さらには耐紫外線性に対しても優れた効果があるものであることが好ましい。無機粒子としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等を用いることができる。また、これらの中でも、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなど気泡形成性を有するものを用いてもよい。また、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、雲母チタンなどポリエステルとの屈折率差によってフィルムを白色化せしめる粒子を用いても良い。これらの無機粒子は単独でも2種以上を併用してもよい。また、該無機粒子は多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには本発明の効果を阻害しない範囲内において、樹脂に対する分散性を向上させるために、表面処理が施されていてもよい。
【0014】
ポリエステルA層への無機粒子の添加量は、特に限定されないが、ポリエステルA層の総重量に対して0.05〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜20重量%の範囲にあるものが特に好ましい。添加量が上記範囲より少ない場合にはフィルムの白色性、隠蔽性(光学濃度)などの特性を向上させることが難しく、逆に上記範囲より多い場合にはフィルム表面の光沢または平滑性が低下しやすくなるだけでなく、延伸時にフィルム破れや後加工の際に粉発生等の不都合を生じる場合がある。本発明におけるポリエステルB層は、粒子径1〜2μmの粒子を起点とした微細な空洞を有することが必要である。 微細な空隙を形成させるために、本発明では、空隙形成剤を添加することが好ましい。空隙形成剤とは無機粒子や有機粒子等の不活性粒子、ポリエステルと非相溶な樹脂のうち、ポリエステル層が延伸された際に空洞を形成せしめるものである。空隙形成剤である無機粒子として代表的なものとしては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、雲母チタンなどである。
【0015】
また、非相溶樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、かつ該ポリエステルに対して非相溶性を示す熱可塑性樹脂であり、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりフィルム中に気泡を形成せしめる効果が大きいものである。より具体的に述べれば、示差走査熱量計(DSC)等を用いた測定において、ポリエステルと非相溶樹脂とを溶融した系において、ポリエステルに相当する融点以外に該非相溶樹脂に相当する融点が観察される熱可塑性樹脂である。ここで、非相溶樹脂の融点は、好ましくはポリエステルの融点よりも低温であって、かつ製膜時にフィルムを熱固定して配向させる際の温度(熱処理温度)よりも高温であることが好ましい。
【0016】
空隙形成剤としてポリエステルと非相溶な樹脂であるポリメチルペンテン(PMP)を用いる場合の一例について述べる。ポリエチレンテレフタレート(PET)80重量%とポリメチルペンテン(PMP)10重量%、PMPの分散剤として、ポリエチレングリコール(PEG)10重量%を含有するフィルムを混合融解し、示差走査熱量計(DSC)で25〜300℃まで測定すると200℃を越えてから230℃付近で見られる1つめのピークがPMPの融点であり、260℃付近で見られる2つめのピークがPETの融点である。この温度は通常のフィルムの熱処理温度である200〜230℃に比べ高いためPMPが非相溶樹脂の空隙形成剤としてフィルム製造段階での熱処理後も機能を発揮する。
【0017】
かかる点から非相溶樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂などが好ましく用いられる。これらは単独重合体であっても共重合体であってもよく、さらには2種以上の非相溶樹脂を併用してもよい。これらの中でも、臨界表面張力の小さなポリプロピレン、ポリメチルペンテンのようなポリオレフィンが好ましく、さらにはポリメチルペンテンがとくに好ましく用いられる。ポリメチルペンテンは相対的にポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、添加量当たりの気泡形成の効果が大きいという特徴があり、非相溶樹脂として特に好ましいものである。
【0018】
本発明では、空隙形成剤の含有量はポリエステルB層の総重量に対して10〜80重量%が好適な範囲である。その含有量が10重量%未満では空隙の数が少なく、LCD部材としての能力が低くなることがある。一方、80重量%より大きくなると空隙形成剤をPETに混合せしめることができなかったり、凝集が発生するなど、空隙形成性が低下すると共にフィルム破断等が起こりやすくなるため、生産性が低下することがある。この空隙(ボイド)の存在によりフィルムに入射された光がフィルムを構成するポリマーと空気との界面で反射を起こし、フィルムの反射率の向上に効果をもたらすものである。その大きさや形状は特に限定されないが、空隙が細かく大きさが均一なものがより反射率が向上することから好ましい。また本発明では大型液晶ディスプレー向けのポリエステルフィルムのため、この空隙が広範囲に渡って均一に存在することが重要である。
【0019】
本発明では、空隙形成剤を均一分散させるには、分散剤として熱可塑性エラストマーを添加することが有効である。熱可塑性ポリエステルエラストマーとは、例えば、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、エチレノキサイド/プロピレノキサイド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスルホネートなどで代表されるものである。本発明フィルムの場合、特にポリアルキレングリコール、中でもポリエチレングリコール、また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体などが好ましい。添加量としては、非相溶樹脂を含有する層全体を100重量%として、2重量%以上25重量%以下が好ましい。2重量%未満だと添加の効果がなく分散性が悪くなり、25重量%より大きいとフィルムを構成するポリエステルの特性を損うおそれがある。このような熱可塑性ポリエステルエラストマーは、予めフィルムを構成するポリエステル中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整可能である。 また本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルB層のフィルム内部に微細な気泡を含有することが必要である。また、このことによって白色化されていることが好ましい。微細な気泡は、フィルム母材、たとえばポリエステル中に、高融点のポリエステルと気泡の核剤となりうる非相溶な樹脂を細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することで、非相溶樹脂粒子の周りにボイド(気泡)ができることにより形成される。これが光に散乱作用を発揮して、フィルム面からの反射率を得ることが可能となる。
【0020】
本発明においては、400〜700nmの光の波長域における平均反射率はフィルム片面では少なくとも98%以上の高反射率が好ましい。98%未満であると、バックライトとしての輝度が落ちることがあるからである。
【0021】
本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフィルムによれば、ディスプレー装置における画面輝度は平均反射率と相対関係にある。本発明の測定において、バックライト輝度はサイドライト方式では2800cd/m以上、直下型方式では4800cd/m以上が好ましい。上記のように、反射率を98%以上の高反射率とするためには、ポリエステルB層のフィルム内部により多くの微細な気泡を含有させ高度に白色化されていることが重要であり、これが光に散乱作用を発揮するため反射率を向上させる要素である。具体的には、先述したようにB層中に非相溶樹脂を所定量含有せしめることによって、達成することができる。
【0022】
本発明における反射率は、好ましくは100%以上であり、より好ましくは101%以上である。反射率については特に上限はないが、反射率を上げるためには、核剤添加量を上げる必要があり、その場合製膜性が不安定になることがあるため、110%以下であることが好ましい。なお、本発明における反射率とは相対反射率であり、その定義および測定法は後述する。
【0023】
前述の如く、液晶反射板用白色積層ポリエステルフィルムが微細な気泡を含有することにより、該ポリエステルフィルムの密度は通常のポリエステルフィルムよりも低くなる。さらに空隙形成剤を添加すれば、さらに密度は低くなる。つまり、白くて軽いフィルムが得られる。この白色ポリエステルフィルムを、液晶ディスプレー反射板用基材としての機械的特性を保ちながら、軽量にするには、フィルムの密度が0.50g/cm3〜1.30g/cm3であることが好ましい。フィルムの密度を0.50g/cm3〜1.30g/cm3とするためには、上記のごとく空隙形成剤、例えば低密度0.83g/cm3のポリメチルペンテンを用いた場合、層全体を100重量%として、5重量%以上40重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以上30重量%以下に含有させ、延伸倍率を 2.5〜4.5とすることにより達成することができる。密度が本発明の範囲にあると、液晶ディスプレー反射板として使用した場合、画面の明るさにおいて、顕著に優れた輝度を発揮する。
【0024】
また、この液晶反射板用白色ポリエステルフィルムの構成は、A層/B層/A層、またはA層/B層の構成からなり、該B層が前記微細気泡を含有した層となることが、高反射率と製膜性を両立させるのに好ましい。また、フィルム表面に相当するポリエステルA層は、ポリエステル樹脂に無機粒子を含有することが必須である。この無機粒子の数平均粒子径は0.3〜2.0μmであり、A層中に含有する無機粒子含有率は6重量%〜30重量%であることが好ましい。また、本発明では、B層にもA層と同じく、無機粒子を含有せしめても良い。B層中に無機粒子を含有せしめる場合、粒子の平均粒子径は0.3〜2.0μmであり、粒子含有率は10重量%以下であることが好ましい。無機粒子の一例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等を用いることができる。
【0025】
本発明の白色積層ポリエステルフィルムの厚みは、薄すぎるとコシがなくなり作業性に劣るため、また厚すぎると原価が高値になり生産性に劣ると共に近年薄型化が進行している液晶ディスプレーとして使用することを考慮し、フィルム総厚みで150 μm〜500μm、より好ましくは170〜300μmの範囲にあるものが、実用面での取扱性にも優れており、好ましい。また、他の素材と貼合わせる場合にも、取扱性の点から、厚みの上限は500μm以下が好ましい。
【0026】
また、本発明のフィルムは、フィルム幅方向の厚みムラが5%以下、かつ、平均厚みd(μm)と幅方向における厚みの標準偏差σ(μm)との比(d/σ)が2.5以下を同時に満足することが必要である。さらに好ましい厚みムラは3%以下であり、d/σの値は2以下である。厚みムラは5%を越えると、平滑性が低下するために局部的にフィルムのタルミが生じ、後加工での塗工時に塗布ムラが発生する。最大突起高さとしては、平滑性の点から4μm以下であることが好ましく、さらには2μm以下であることがより好ましい。最大突起高さが4μmを超えると、均一な光沢の表面が得られず、かつバックライトに用いた際に輝度が減少するので好ましくない。同じく平均厚みdと幅方向における厚みの標準偏差σ値との比(d/σ)が2.5を越えると平滑性が低下するために局部的にフィルムのタルミが生じる。
【0027】
次に本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフィルムの製造方法について説明するが、この方法に限定されるものではない。ポリエステル樹脂に無機粒子や添加剤を混合したマスターペレットと、ポリエチレンテレフタレートからなるPETチップを混合しA層用原料とする。それを充分乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。一方、非相溶樹脂としてメルトフローレートが400g/10minのポリメチルペンテンを、分散剤としてポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール共重合物を、ポリエチレンテレフタレートに混合しB層用原料とする。それを十分乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに供給する。Tダイ3層口金内で押出機A層のポリマーがB層ポリマーの両表層にくるように積層し、丸型ピノールを使用して積層フィルムの厚み比率がA層/B層/A層=1〜10/80〜98/1〜10からなる3層構成の溶融押出シートを口金のリップより吐出する。このとき、押出機のスクリュー回転数(押出速度)が不安定になると安定したポリマーの吐出が出来ないため、流路内においてポリマーの流速差が生じポリメチルペンテンの分散性が悪化することから、幅方向での密度ムラとなることがある。押出機のシリンダー温度の適切化およびスクリュー通水量の調整を施すことにより押出機のスクリュー回転数を安定させることができる。または、押出機に供給する回収原料をペレット化して使用する割合を適切にすることが重要である。
【0028】
この溶融されたシートを、ドラム表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力にて密着冷却固化し、未延伸フィルム(以下、「Aフィルム」ということもある)を得る。
【0029】
該未延伸フィルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(以下、「縦方向」ともいう)に2.0〜5.0倍延伸し、20〜50℃のロール群で冷却し、一軸延伸フィルム(以下、「Bフィルム」ともいう)。縦延伸倍率は3.3倍以上の高倍率を用いるためフィルムの加熱が不足すると長手方向の延伸ムラやフィルム破断を招きやすい。
【0030】
続いて、縦延伸したフィルム(Bフィルム)の両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜140℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(「幅方向」または「横方向」ということもある)に横延伸する。予熱段階で過加熱になると結晶化が進行しフィルム破断が発生しやすいので、この温度は110〜125℃が安定製膜に好ましい。
【0031】
延伸倍率は、縦、横それぞれ2.5〜4.5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると得られるフィルムの白さが不良となり、逆に16倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなり製膜性が不良となる傾向がある。好ましい面積倍率を満たしたとしても、Bフィルムの両端部の厚みが適切でないと安定した製膜は望めないので注意が必要である。この工程でもテンター条件とフィルム厚みムラによりボイド(気泡)形成にムラが発生し、密度ムラが生じることがある。
【0032】
こうして二軸延伸されたフィルムの平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却し、二軸延伸フィルム(以下、「Cフィルム」ともいう)を得る。かかるCフィルムを巻き取り、本発明フィルムを得る。
【0033】
また、フィルムの厚み方向のムラを低減させる手法として、β線などを用いてCフィルムの幅方向の厚みを測定する手法を採用することは、本発明において好ましい態様の一つである。すなわち、Cフィルムの幅方向の厚み情報を、口金にフィードバックし、口金の幅方向のリップ厚みを調整することによって、Cフィルムの幅方向の厚みムラを低減させることができる。ここで、β線はフィルムに照射させたときの減衰量から厚みを換算するしくみになっている。そのため、フィルム幅方向の密度が均一なフィルムであれば、上記手法を用いることによって、Cフィルムのフィルム幅方向の厚みムラを低減させることができる。
【0034】
しかし、フィルム幅方向に密度ムラが存在する場合には、正確な値を示さないことがある。例えば、フィルム幅方向において、中央部と端部でフィルム密度が異なる場合、誤って換算された厚みが得られることとなる。そのため、厚みムラを改善するためには、Cフィルム幅方向の厚みがフラットになるよう補正をかける必要がある。
【0035】
かくして得られた本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフィルムは、フィルム内部に微細な気泡が形成され高反射率が達成されており、液晶などのディスプレーの反射板として使用された場合に輝度ムラのない画面を得ることができる。
【0036】
特に、本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフィルムは、画面の対角線長さが1.016m以上の大画面液晶ディスプレーに好適に用いることができる。これは、本発明のフィルムは、フィルム面内の物性ムラが小さいため、大画面液晶ディスプレーに用いたとしても、画面全体において輝度ムラのない画面を得ることができるためである。
【実施例】
【0037】
(物性の測定ならびに効果の評価方法)
本発明の物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
【0038】
(1)密度
(A)フィルムの幅方向の長さが1000mm以上の場合
フィルム幅方向の一方の端部から10cm四方(面積100cm)のサンプルを10枚得る。次いで、フィルム幅方向のもう一方の端部から10cm四方のサンプルを10枚得る。次いで、フィルム幅方向の中央部から10cm四方のサンプルを10枚得る。かくして得られた30枚のサンプルの総重量A[g]を計測する。次いで、以下の式を用いてフィルムの密度Bを求める。
密度B[g/cm]=(総重量A[g])/(総体積C[cm])
ここで、総体積C[cm]=フィルム厚み[cm]×100[cm]×30
フィルム厚みは、(2)で述べている実厚みの平均値とする。
上記測定をN=2(サンプリングを2回行うことをいう)で行い、平均値を該フィルムの密度とした。
【0039】
(B)フィルムの幅方向の長さが200mm以上1000mm未満の場合
フィルム幅方向の一方の端部から10cm四方(面積100cm)のサンプルを10枚得る。次いで、フィルム幅方向のもう一方の端部から10cm四方のサンプルを10枚得る。かくして得られた20枚のサンプルの総重量A[g]を計測する。次いで、以下の式を用いてフィルムの密度Bを求める。
密度B[g/cm]=(総重量A[g])/(総体積C[cm])
ここで、総体積C[cm]=フィルム厚み[cm]×100[cm]×20
フィルム厚みは、(2)で述べている実厚みの平均値とする。
上記測定をN=3(サンプリングを3回行うことをいう)で行い、平均値を該フィルムの密度とした。
【0040】
(C)フィルムの幅方向の長さが100mm以上200mm未満の場合
フィルム幅方向の中央部から10cm四方(面積100cm)のサンプルを10枚得て、該10枚のサンプルの総重量A[g]を計測する。次いで、以下の式を用いてフィルムの密度Bを求める。
密度B[g/cm]=(総重量A[g])/(総体積C[cm])
ここで、総体積C[cm]=フィルム厚み[cm]×100[cm]×10
フィルム厚みは、(2)で述べている実厚みの平均値とする。
上記測定をN=3(サンプリングを3回行うことをいう)で行い、平均値を該フィルムの密度とした。
【0041】
(2)厚みムラ
アンリツ電気社製連続フィルム接触式厚さ型(電子マイクロメ−タ−)を用いて、製品幅の厚みムラをチャ−ト上に記載しながらフィルムの長手方向と直交する方向(製品の幅方向)に測定する。得られた厚みムラを示すチャ−ト用紙から、厚みムラの最大Max(μm)、最小値Min(μm)から厚みムラ(Max−Min)(μm)を読みとる。
フィルム送り速度 1.5m/分
チャ−ト送り速度 12cm/分
チャ−ト紙上の目盛り 1.6μm/1目盛り
次に同サンプルのフィルム幅方向を6等分し、各等分点(5点)を測定し平均値を求める。測定した5点の中で、最大Max(μm)、最小値Min(μm)から厚みムラ(Max−Min)(μm)を求める。測定器はμ―mate(ミツトヨ製)を用いる。
【0042】
また、得られた厚みムラの結果は、表1に記載の基準に基づき、その実用性を評価した。
【0043】
(3)平均厚みd、厚みの標準偏差σ
東レ型自動口金システム(LK13)の自動口金短期間積層プロファイルから幅方向の厚みを60回積算した平均厚みをd(μm)、偏差率を標準偏差σ(μm)とした。
【0044】
また、上記より得られるσ/dの結果は、表1に記載の基準に基づき、その実用性を評価した。
【0045】
(4)最大突起粗さ(Rt)
JIS−B6010に準じて測定を行った。最大突起高さは、キャリアフィルム表面に形成される凹凸の内、最も高い突起と最も深い谷との高低差を示し、JIS B 0601−1982により定義される「最大高さ(Rmax)」と同義である。
【0046】
また、上記より得られる最大突起粗さ(Rt)の結果は、表1に記載の基準に基づき、その実用性を評価した。

(5)製品硬度
スリット後の製品のフィルム幅方向を11等分し、各等分点(10点)をパロテスター硬度測定器を用いて測定する。
次いで、硬度ムラを下記式から算出する。
製品硬度ムラ=製品硬度最大値−製品硬度最小値
また、上記より得られる硬度ムラの結果は、表1に記載の基準に基づき、その実用性を評価した。
【0047】
(6)平均相対反射率
(A)フィルムの幅方向の長さが1000mm以上の場合
フィルムの幅方向に両端部と中央部を、等間隔に3カ所サンプリングし、サンプル1〜3を得る。次いで、フィルムの別の場所から、フィルムの幅方向に両端部と中央部を、等間隔に3カ所サンプリングし、サンプル4〜6を得る。サンプル面積は5cm×5cmとする。
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時のサンプル1の反射率を400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、サンプル1の平均反射率とする。
サンプル2〜6も同様に、反射率測定を行い、サンプル2〜6の平均反射率を得る。
得られたサンプル1〜6の平均反射率の平均をもって、フィルムの平均相対反射率とする。
【0048】
(B)フィルムの幅方向の長さが1000mm未満の場合
フィルムの幅方向に両端部からサンプリングし、サンプル1および2を得る。
次いで、フィルムの別の場所から、両端部からサンプリングし、サンプル3および4を得る。さらに、フィルムの別の場所から、両端部からサンプリングし、サンプル5および6を得る。サンプル面積は5cm×5cmとする。
(A)と同様の方法により、得られたサンプル1〜6の平均反射率を求める。得られたサンプル1〜6の平均反射率の平均をもって、フィルムの平均相対反射率とする。
【0049】
(C)フィルムの幅方向の長さが100mm未満の場合
フィルム幅方向の中央部からサンプリングし、サンプル1を得る。
次いで、サンプリング場所を変更し、フィルムの幅方向の中央部からサンプリングし、サンプル2を得る。さらに、サンプリング場所を変更し、フィルムの幅方向の中央部からサンプリングし、サンプル3を得る。サンプル面積は5cm×5cmとする。
(A)と同様の方法により、得られたサンプル1〜3の平均反射率を求める。得られたサンプル1〜3の平均反射率の平均をもって、フィルムの平均相対反射率とする。
【0050】
(7)バックライト輝度
輝度測定は、冷陰極管にインバーターを使用し、AC12V印加した後、1時間待機し冷陰極管の明るさが均一かつ一定になるのを待った。その後に、輝度計(topcon製BM−7fast)にて、測定距離850mmで輝度を測定した。測定回数は3回とし、その平均値をとる。
【0051】
(8)光沢度
(A)フィルムの幅方向の長さが1000mm以上の場合
フィルムの幅方向に両端部と中央部を、等間隔に3カ所サンプリングし、サンプル1〜3を得る。次いで、フィルムの別の場所から、フィルムの幅方向に両端部と中央部を、等間隔に3カ所サンプリングし、サンプル4〜6を得る。サンプル面積は10cm×10cmとする。
スガ試験機製デジタル変角光沢計(UGU―4D)を用いて、JIS K7105に準じ、入射角および受光角を60°にあわせて、フィルムの光沢度を評価した。得られた光沢度をサンプル1の光沢度とする。
サンプル2〜6も同様に、光沢度測定を行い、サンプル2〜6の光沢度を得る。
得られたサンプル1〜6の光沢度の平均をもって、フィルムの光沢度とする。
【0052】
(B)フィルムの幅方向の長さが1000mm未満の場合
フィルムの幅方向に両端部からサンプリングし、サンプル1および2を得る。
次いで、フィルムの別の場所から、両端部からサンプリングし、サンプル3および4を得る。さらに、フィルムの別の場所から、両端部からサンプリングし、サンプル5および6を得る。サンプル面積は10m×10cmとする。
(A)と同様の方法により、得られたサンプル1〜6の光沢度を求める。得られたサンプル1〜6の光沢度の平均をもって、フィルムの光沢度とする。
【0053】
(C)フィルムの幅方向の長さが200mm未満の場合
フィルム幅方向の中央部からサンプリングし、サンプル1を得る。
次いで、サンプリング場所を変更し、フィルムの幅方向の中央部からサンプリングし、サンプル2を得る。さらに、サンプリング場所を変更し、フィルムの幅方向の中央部からサンプリングし、サンプル3を得る。サンプル面積は10cm×10cmとする。
(A)と同様の方法により、得られたサンプル1〜3の光沢度を求める。得られたサンプル1〜3の光沢度の平均をもって、フィルムの光沢度とする。
【0054】
本発明を表2、3の実施例および比較例に基づいて説明する。
【0055】
実施例1
ポリエステルA層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が280℃の押出機Aに供給した。
・ポリエチレンテレフタレートチップ(東レ株式会社製F20M、以降PETと省略する):86重量%
・平均粒径1.0μmの炭酸カルシウム(大日本インキ化学工業株式会社製炭酸カルシウム):14重量%
一方、ポリエステルB層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が290℃の押出機Bに供給した。・PET:70重量%
・ポリブチレンテレフタレートとテトラメチレングリコールの共重合物(東レデュポン株式会社製“ハイトレル”、以降PBT/PTMGと省略する):5重量%
・ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を10mol%とポリエチレングリコールを5mol%共重合した共重合物(東レ株式会社製T794M、以降PET/I/PEGと省略):10重量%
・ポリメチルペンテン(MFRが230g/10minである三井化学株式会社製ポリメチルペンテン樹脂、以降PMPと省略):15重量%
A層/B層/A層の厚み比率が4:92:4となるように東レ(株)製積層装置丸形ピノールF136B(以下、積層装置丸形ピノールB)を通してTダイよりシート状に成形した。さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却固化した未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り厚み250μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムの特性は表のとおりであった。
【0056】
Cフィルム厚みターゲットBで厚み制御をテストして得られたフィルムの幅方向厚みムラは最大突起高さRが1.6μm、標準偏差値は3.6%と良く、平均厚みもMax253μm/Min249μmであった。パロテスター硬度ムラも実用レベルであった。
【0057】
実施例2
実施例1において、押出機Bに送る原料の構成はPETを70重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフィルムを得た。積層装置丸形ピノールBを使用し、Cフィルム厚みターゲットBで厚み制御をテストして得られたフィルムの幅方向厚みムラは最大突起高さRが1.3μm、標準偏差値は3.4%と良く、平均厚みもMax250μm/Min248μmであるが、製品硬度は最大値110/最小値85であった。パロテスター硬度ムラは良好であった。
【0058】
実施例3
実施例1において、押出機Bに送る原料の構成はPETを70重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフィルムを得た。積層装置丸形ピノールAを使用し、Cフィルム厚みターゲットBで厚み制御をテストして得られたフィルムの幅方向厚みムラは最大突起高さRが1.3μm、標準偏差値は3.3%と良く、平均厚みもMax250μm/Min249μmであった。パロテスター硬度ムラは良好であった。
【0059】
実施例4
実施例1において、押出機Bに送る原料の構成はPETを70重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフィルムを得た。積層装置丸形ピノールCを使用し、Cフィルム厚みターゲットDで厚み制御をテストして得られたフィルムの幅方向厚みムラは最大突起高さRが2.0μm、標準偏差値は3.%と良く、平均厚みもMax251μm/Min249μmであった。パロテスター硬度ムラは良好であった。
【0060】
実施例5
実施例1において、押出機Bに送る原料の構成はPETを70重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフィルムを得た。積層装置丸形ピノールCを使用し、Cフィルム厚みターゲットBで厚み制御をテストして得られたフィルムの幅方向厚みムラは最大突起高さRが1.5μm、標準偏差値は3.2%と良く、平均厚みもMax251μm/Min250μmであった。パロテスター硬度ムラは良好であった。
【0061】
比較例1
実施例1において、押出機Bに送る原料の構成はPETを70重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフィルムを得た。積層装置丸形ピノールAを使用し、Cフィルム厚みは手動で調整し自動口金にターゲットストさせ厚み制御をテストして得られたフィルムの幅方向厚みムラは最大突起高さRが6.3μm、標準偏差値は9.2%と悪く、平均厚みもMax249μm/Min242μmであった。パロテスター硬度ムラは実用できないレベルであった。
【0062】
比較例2
実施例1において、押出機Bに送る原料の構成はPETを70重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフィルムを得た。積層装置丸形ピノールBを使用し、Cフィルム厚みは手動で調整し自動口金にターゲットストさせ厚み制御をテストして得られたフィルムの幅方向厚みムラは最大突起高さRが3.7μm、標準偏差値は8.9%と悪く、平均厚みもMax254μm/Min246μmであった。パロテスター硬度ムラは実用できないレベルであった。
【0063】
比較例3
実施例1において、押出機Bに送る原料の構成はPETを70重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフィルムを得た。積層装置丸形ピノールAを使用し、Cフィルム厚みは手動で調整し自動口金にターゲットストさせ厚み制御をテストして得られたフィルムの幅方向厚みムラは最大突起高さRが5.8μm、標準偏差値は9.2%と悪く、平均厚みもMax253μm/Min246μmであった。パロテスター硬度ムラは実用できないレベルであった。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
なお、実施例、比較例で用いた厚み制御ターゲットの詳細を表4に示す。
【0068】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のフィルムは、大画面の、好ましくは画面の対角線長さが1.016m以上の液晶ディスプレーに用いられる反射板として好適に用いることができ、有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリエステルA層とポリエステルB層を有する積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層中に無機粒子を有し、ポリエステルB層中に微細な空隙を有し、かつフィルム幅方向のフィルム厚みムラが5%以下であり、平均フィルム厚みd(μm)とフィルム幅方向におけるフィルム厚みの標準偏差σ(μm)との比(σ/d)が2.5以下である反射板用積層ポリエステルフィルム。
【請求項2】
少なくとも一方の表面の最大突起高さが4μm以下である請求項1に記載の反射板用積層ポリエステルフィルム。
【請求項3】
密度が0.50g/cm3〜1.30g/cm3である請求項1または2に記載の反射板用積層ポリエステルフィルム。
【請求項4】
画面の対角線長さが1.016m以上の大画面液晶ディスプレーに用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の反射板用積層ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2010−52329(P2010−52329A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221067(P2008−221067)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】