説明

液晶性ポリエステルおよびその製造方法、組成物、成形品

【課題】 極めて低バリであり、また、半田耐熱性が高く、全方向に対しての熱膨張が小さい液晶性ポリエステルおよびその製造方法、またその組成物を提供する。
【解決手段】 2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し構造単位61〜74モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の繰り返し構造単位13〜19.5モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位13〜19.5モル%からなる液晶性ポリエステルであって、液晶性ポリエステル中の2−オキシ−6−ナフトエ酸の平均連鎖長が1.2〜2.2であることを特徴とする液晶性ポリエステル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高融点、高結晶性の液晶性ポリエステルおよびその製造方法、組成物、それらからなる成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶性ポリエステルは、その耐熱性、流動性、寸法安定性、難燃性などを活かし、電気・電子分野で用いられ、その需要が拡大している。その中でも熱変形温度が300℃以上を示すI型と言われる高耐熱液晶性ポリエステルが多く用いられ始めている。
【0003】
液晶性ポリエステルは、4−ヒドロキシ安息香酸や2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸をメソゲン単位としたものがあり、これら主骨格となる単位に芳香族ジオール/芳香族ジカルボン酸を共重合したものや、ポリアルキレンテレフタレートを共重合したものなどがある。
【0004】
その中でも、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸をメソゲン単位とした液晶性ポリエステルは、4−ヒドロキシ安息香酸をメソゲンとした液晶性ポリエステルに比べて、耐熱性に劣るものの、誘電特性や寸法安定性、耐光性に優れていることが知られている(例えば、特許文献1〜8参照)。
【0005】
特許文献1、2には、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸を共重合した液晶性ポリエステルが記載されているが、該組成物は融点が低く耐熱性が十分でなく、特許文献1では、融点+18℃という融点に近い温度で重合しているため、ヒドロキシナフトエ酸の連鎖が優位に生成してしまっている。特許文献2では、不純物を含有させた芳香族ジカルボン酸を用いているため、耐熱性に劣る。
【0006】
特許文献3〜8には2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸を共重合した液晶性ポリエステルが記載されているが、高分子量化のために固相重合を行っており、ヒドロキシナフトエ酸の連鎖が生成してしまい、寸法安定性が十分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭56−10562号公報
【特許文献2】特開2002−37869号公報
【特許文献3】特開2004−196930号公報
【特許文献4】特開2004−244452号公報
【特許文献5】特開2005−75843号公報
【特許文献6】特開2005−213418号公報
【特許文献7】特開昭61−285249号公報
【特許文献8】特開2007−100078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、極めて低バリであり、また、熱軟化に対して弱い部分を有しないために極めて半田耐熱性が高く、更に全方向に対しての熱膨張が小さい液晶性ポリエステルおよびその製造方法、またその組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定組成の液晶性ポリエステルにおいて、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し構造単位の連鎖長を制御することによって、特異的に改良された液晶性ポリエステルが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は
(1)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し構造単位61〜74モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の繰り返し構造単位13〜19.5モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位13〜19.5モル%からなる液晶性ポリエステルであって、液晶性ポリエステル中の2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長が1.2〜2.2である液晶性ポリエステル、
(2)液晶性ポリエステル中の2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長が1.3〜1.8である上記(1)記載の液晶性ポリエステル、
(3)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し単位65〜70モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル酸由来の繰り返し構造単位15〜17.5モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位15〜17.5モル%からなる液晶性ポリエステルである上記(1)または(2)記載の液晶性ポリエステル、
(4)得られる液晶性ポリエステル樹脂の融点+30〜+40℃の温度範囲で溶融重合して、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂を製造する液晶性ポリエステル樹脂の製造方法、
(5)重合時にランダム化触媒0.001〜0.05重量%を添加することを特徴とする上記(4)記載の液晶性ポリエステルの製造方法、
(6)ランダム化触媒が酢酸ナトリウムである上記(5)記載の液晶性ポリエステルの製造方法、
(7)請求項1〜3のいずれか記載の液晶性ポリエステル100重量部に対して、充填材0.1〜200重量部を配合してなる液晶性ポリエステル組成物、
(8)上記(1)〜(3)のいずれか記載の液晶性ポリエステル、または、上記(7)記載の液晶性ポリエステル組成物からなる成形品を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
極めて低バリであり、また、半田耐熱性が高く、全方向に対しての熱膨張が小さい液晶性ポリエステルおよびその組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の連鎖長の説明を示す。
【図2】2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長の算出に用いる13C−NMRによるチャートの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の液晶性ポリエステルは、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し構造単位61〜74モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の繰り返し構造単位13〜19.5モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位13〜19.5モル%からなる液晶性ポリエステルであって、液晶性ポリエステル中の2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長が1.2〜2.2である液晶性ポリエステルである。
【0015】
ここで液晶性ポリエステルとは、溶融時に光学的異方性を示すサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルである。
【0016】
また、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニル酸由来の繰り返し構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位からなるとは、これらの構造単位がエステル結合を形成してポリエステルとなっていることを意味する。
【0017】
本発明の液晶性ポリエステルは、好ましくは、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し単位65〜70モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル酸由来の繰り返し構造単位15〜17.5モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位15〜17.5モル%からなる液晶性ポリエステルである。
【0018】
本発明の液晶性ポリエステルには、特性に大きな影響を与えない範囲で、その他の構造単位を共重合することができる。その共重合量は、全構造単位を100モル%とした場合に0.001〜2モル%である。
【0019】
本発明の液晶性ポリエステルは、液晶性ポリエステル中の2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長が、1.2〜2.2である。
【0020】
本発明のポリマー中の2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の連鎖長とは、2−オキシナフトイルが何個の2−オキシ−6−ナフトイルと他のモノマーを介さず結合しているかを表している。図1に2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の連鎖長の説明を示す。2−オキシ−6−ナフトイルが4,4’−ジオキシビフェニル、2,6−ナフタレンジオイルとエステル結合を介して結合している場合、連鎖長は0であり(図1、i)、2−オキシナフトイルが2−オキシ−6−ナフトイルとエステル結合で連結され、それぞれの他端が2−オキシ−6−ナフトイルとエステル結合介して結合していない場合、連鎖長は1であり(図1、ii)、同様に2−オキシ−6−ナフトイル3つがエステル結合を介して結合し、かつその両端が2−オキシ−6−ナフトイルとエステル結合を介して結合していない場合に連鎖長は2である(図1、iii)。
【0021】
平均連鎖長とは、ポリマーの中に存在する全2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の連鎖長の平均値であり、核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定によって測定できる。
【0022】
例えば、13C核−NMRにより、ポリマーをペンタフルオロフェノール/重クロロホルム混合溶媒に溶かし、2−オキシ−6−ナフトイルの2位の炭素のシフトにより、別の2−オキシ−6−ナフトイルの6位にエステル結合を介して結合した構造(ピークA)と2,6−ナフタレンジカルボン酸に結合した構造(ピークB)が分離されるため、それぞれのピークの強度を重量法から(それぞれピークA強度(a)およびピークB強度(b))から2−オキシ−6−ナフトイルの平均連鎖長=((a+b)/b−1)により算定する。
【0023】
図2に、2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長の算出に用いる13C−NMRによるチャートの模式図を示す。aは、2位の水酸基で他の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のカルボン酸由来の構造単位とエステル結合している2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位の2位の炭素原子由来の13C−NMRピークAのピーク強度を示し、bは、2位の水酸基で2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位のカルボン酸とエステル結合している2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位の2位の炭素原子由来の13C−NMRピークAのピーク強度を示す。
【0024】
この平均連鎖長の算定方法は、末永等によりPolymer Journal,25(3),315(1993)に例示されている。末永らの方法によるAverage sequence lengthでは、p−オキシベンゾイル構造単位が1つもp−オキシベンゾイル構造単位とエステル結合していない単量体をAverage sequence length=1としているが、単量体は連鎖をしていないため連鎖長を表す際に、単量体を連鎖長1とすると語弊が生じる。そこで、本願では、単量体を平均連鎖長0としており、末永等の算出式から1を引いた上記算出式を用いている。
【0025】
2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長は、好ましくは、1.3〜2.0であり、より好ましくは、1.3〜1.8であり、更に好ましくは、1.4〜1.6である。
【0026】
2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長が、1.2〜2.2の場合には、液晶メソゲンが分子鎖方向に均質に分散しているため、1分子鎖当たりの特性変動が少なくなり耐熱性が高くなる。またそれによって、分子鎖間相互作用の偏在も解消されるために、液晶面間距離の変動も小さくなり、かつ3次元的に結晶部位の偏在がなくなるために高い寸法精度をもつ液晶性ポリエステルが得られる。
【0027】
本発明の液晶性ポリエステルは、融点315℃以上であることが好ましい。ここでいう融点(Tm)とは、示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指し、本発明の液晶性ポリエステルは、より好ましくは、融点が318℃以上330℃以下であり、更に好ましくは、320℃以上328℃以下であり、最も好ましくは、322℃以上325℃以下である。
【0028】
融点が315℃未満では、高耐熱液晶性ポリエステル樹脂として十分な特性が得られない場合がある。融点が330℃以上では、溶融重合法における重合温度が芳香族ポリエステル結合の分解温度を超えてしまい、好ましくない。融点が、318〜330℃の範囲においては、本発明の液晶性ポリエステルの特性が顕著に発現するため、より好ましい。
【0029】
本発明の液晶性ポリエステルは、降温結晶化熱量5〜7J/g℃であることが好ましい。ここでいう降温結晶化熱量(ΔHc)とは、示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した際に観測される発熱ピーク温度(Tc)のピーク面積に相当する発熱量を指し、降温結晶化熱量(ΔHc)は、より好ましくは、5.2〜6.8J/g℃であり、更に好ましくは、5.4〜6.6J/g℃であり、最も好ましくは、5.5〜6.5J/g℃である。
【0030】
降温結晶化熱量が7J/gより高くなると、結晶ひずみが大きくなり寸法安定が低下する場合がある。また、5J/gより小さくなると、本発明の効果である半田耐熱性が得られない場合がある。降温結晶化熱量が、5.2〜6.8J/g℃であると、本発明の効果が顕著に得られて、より好ましい。
【0031】
本発明の液晶性ポリエステルは、数平均分子量は、3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは、5,000〜20,000、より好ましくは、8,000〜18,000の範囲である。
【0032】
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒(例えばペンタフルオロフェノール/クロロホルム混合溶媒や1−クロロナフタレン)を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
【0033】
また、本発明における液晶性ポリエステルの溶融粘度は、1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには、10〜100Pa・sが特に好ましい。
【0034】
なお、この溶融粘度は液晶性ポリエステルの融点+20℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0035】
本発明の液晶性ポリエステルは、好ましくは、得られる液晶性ポリエステル樹脂の融点+30〜+40℃の温度範囲で溶融重合することにより、製造する。
【0036】
通常融点が315℃を超える三成分モノマーからなる液晶性樹脂では、固化速度が速く、溶融状態を維持するために過剰の熱量を要する。そのため、従来の溶融重合では、重合温度が高くなりすぎ熱分解が併発して重合速度が得られないために、これまでは固相重合で製造されていた。
【0037】
しかし、このようなオリゴマー化を行った後、吐出、冷却固化した後固相重合を行う製造方法では、オリゴマー化を行う温度がポリマーの融点以下で行うために、2,6−ナフタレンジカルボン酸の反応速度と2−アセトキシ−6−ナフトエ酸の反応速度が大きく異なり、反応速度の速い2−アセトキシ−6−ナフトエ酸が長鎖連鎖を形成する傾向があった。
【0038】
そのまま吐出、冷却固化した場合には、その後の固相重合では末端基反応による分子量増大は起こっても、エステル交換反応によるシークエンスの組換は起こりにくいために、2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の連鎖長が2.3超と長くなる傾向があった。
【0039】
このような2−オキシ−6−ナフトイル長鎖連鎖を有する場合には、長鎖連鎖部分が高結晶性でありかつ高融点であるために、本来得られるべき液晶性樹脂の特性、特に耐熱性や寸法精度が減ずる傾向があった。
【0040】
また、溶融重合で液晶性ポリエステルを製造する場合にも、重縮合反応は発熱反応であることから重合温度は低い程反応進行が速いこと、また熱分解を抑制するためにも、得られる液晶性ポリエステルの融点+10〜+30℃未満の温度範囲で溶融重合を行うことが一般的であるが、本発明の製造方法は、このような従来製法とは異なり、本発明の3成分特定組成範囲からなる好ましくは融点315℃以上の液晶性ポリエステルを、融点+30℃〜+40℃の温度範囲で溶融重合することにより、シークエンスの相互交換を促進させ、2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長を、容易に1.2〜2.2とすることができることを見出したものである。
【0041】
溶融重合温度を、液晶性ポリエステルの融点+30℃〜+40℃の温度範囲にすることで、2−アセトキシ−6−ナフトエ酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸の反応速度差は減少し、エステル交換反応も促進され、初期に生じた2−オキシ−6−ナフトイルの連鎖も解消される。
【0042】
更に、本発明の液晶性ポリエステルの製造方法では、2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長を制御するために、ランダム化触媒を重合時に添加することが好ましい。
【0043】
ここでいうランダム化触媒とは、重合後半で2−オキシ−6−ナフトイルの連鎖のエステル結合と2,6−ナフタレンジカルボン酸もしくは4,4’−ジヒドロキシビフェニルの水酸基もしくはカルボキシル基または、これらが形成するエステル基との交換反応を促進する触媒をいう。
【0044】
ランダム化触媒は、300℃以上の高温、酸性条件化などでも作用することが好ましく、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アルミニウム、酢酸マンガン、酢酸スズ、酢酸鉛、酢酸カルシウムなどの酢酸金属塩、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウムなどのリン系化合物の金属塩、塩化ハフニウム、塩化スカンジウムなどのルイス酸性の高い金属ハロゲン化物などが挙げられる。なかでも、酢酸ナトリウム、リン酸カリウムが好ましく、特に酢酸ナトリウムが好ましい。酢酸ナトリウムを用いた場合には、ランダム化効果とともに重合の促進効果が得られ好ましい。
【0045】
本発明の液晶性ポリエステルの製造方法では、ランダム化触媒の添加量は、0.001〜0.05重量%が好ましく、0.01〜0.03重量%がより好ましい。ランダム化触媒が上記範囲においてはランダム化が促進され好ましい。ランダム化触媒は少なすぎるとそのランダム化促進効果は得られない場合があり、多すぎると残存したランダム化触媒により、耐熱安定性の低下などが起こる場合があるため好ましくない。
【0046】
本発明の液晶性ポリエステルは、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。
(1)2−アセトキシ−6−ナフトエ酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸から溶融脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、溶融脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸のジフェニルエステルから溶融脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを加え、溶融脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0047】
特に、(2)の製造方法が重合系の粘度が低く、ランダム性を向上させるのに好ましい。
【0048】
(2)の製造方法における無水酢酸の使用量は、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニルのアセチル化しようとするフェノール性水酸基の合計の1.15当量以下であることが好ましく、1.10当量以下であることがより好ましく、下限については1.02当量以上であることが好ましい。存在するフェノール性水酸基の一部のみをアセチル化する場合にも、同様にアセチル化しようとするフェノール性水酸基に対して1.15当量以下、より好ましくは1.10当量以下、下限については1.02当量以上の無水酢酸を用いることが好ましい。
【0049】
本発明の液晶性ポリエステルは、例えば、所定量の2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、得られる液晶性ポリエステルの融点+30〜+40℃まで昇温し、減圧下溶融重縮合し、反応を完了させる方法で製造することができる。
【0050】
アセチル化させる条件は、温度としては好ましくは130〜150℃の範囲、より好ましくは、135〜148℃の範囲で、時間としては好ましくは、1〜6時間、より好ましくは、1.5〜3時間反応させる。
【0051】
重縮合させる条件は、好ましくは、液晶性ポリエステルの融点+30〜40℃の温度で、より好ましくは、融点+32℃〜+38℃の温度で、減圧度は、好ましくは、0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、より好ましくは、10mmHg(1330Pa)以下、さらにより好ましくは、5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
【0052】
重合で得られたポリマーは、反応容器内を、例えば、およそ1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。
【0053】
本発明の液晶性ポリエステルには任意に充填材を用いることができる。充填材は、例えば繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0054】
これら充填材のなかで特にガラス繊維が入手性、機械的強度のバランスの点から好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、これらのうち2種以上を併用して使用することもできる。本発明で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。特に酸化ケイ素含有量が50〜80重量%のガラス繊維が好ましく用いられ、より好ましくは65〜77重量%のガラス繊維である。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。またシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。
【0055】
なお、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0056】
充填材の配合量は、液晶性ポリエステル100重量部に対し、通常、0.1〜200重量部であり、好ましくは、1〜150重量部である。
【0057】
本発明の液晶性ポリエステルまたはその組成物には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
【0058】
本発明の液晶性ポリエステルに任意の充填材、添加剤を配合する方法としては、ドライブレンドや溶液配合法、液晶性ポリエステルの重合時添加、溶融混練などが用いることができ、溶融混練が好ましい。
【0059】
溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶性ポリエステルの融点以上融点+50℃以下で溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が好ましい。
【0060】
混練方法としては、1)液晶性ポリエステル、任意成分である充填材、その他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性ポリエステルにその他の添加剤を高濃度に含む液晶性ポリエステル組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように液晶性ポリエステル、任意成分である充填材およびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)液晶性ポリエステルと任意成分であるその他の添加剤の一部を一度混練し、ついで残りの任意成分である充填材、その他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
【0061】
かくして得られる本発明の液晶性ポリエステル組成物は、高い半田耐熱性、寸法精度を有している。
【0062】
本発明の液晶性ポリエステル組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性、難燃性を有する成形品に加工することが可能である。
【0063】
ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などが挙げられ、特に射出成形品とした場合に、本発明の効果である低バリ性が顕著に得られ好ましい。
【0064】
このようにして得られた液晶性ポリエステル組成物からなる成形品は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプベゼル、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、写真用フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィルム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィルム、シート用途としては自動車内部天井、ドアトリム、インストロメントパネルのパッド材、バンパーやサイドフレームの緩衝材、ボンネット裏等の吸音パット、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブおよびそれらの周辺部品に有用である。
【実施例】
【0065】
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。
【0066】
実施例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸922.8g(4.90モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル288.3g(1.55モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸334.7g(1.55モル)および無水酢酸1114g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが25kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0067】
この液晶性ポリエステル(A−1)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は323℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度333℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
【0068】
実施例2
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1004.1g(5.34モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル248.0g(1.33モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸288.0g(1.33モル)および無水酢酸1078g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが25kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0069】
この液晶性ポリエステル(A−2)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は322℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度332℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が22Pa・sであった。
【0070】
実施例3
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸112.5g(5.91モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル194.4g(1.04モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸225.7g(1.04モル)および無水酢酸1033g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、355℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を355℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが25kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0071】
この液晶性ポリエステル(A−3)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は321℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度331℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
【0072】
実施例4
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1004.1g(5.34モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル248.0g(1.33モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸288.0g(1.33モル)および無水酢酸1078g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが25kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0073】
この液晶性ポリエステル(A−4)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は328℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度338℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
【0074】
実施例5
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸922.8g(4.90モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル288.3g(1.55モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸334.7g(1.55モル)および無水酢酸1114g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、355℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を355℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが28kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0075】
この液晶性ポリエステル(A−5)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は324℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度334℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
【0076】
実施例6
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸922.8g(4.90モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル288.3g(1.55モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸334.7g(1.55モル)および無水酢酸1114g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として塩化ハフニウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、360℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが25kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0077】
この液晶性ポリエステル(A−6)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は326℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度336℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
【0078】
実施例7
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸922.8g(4.90モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル288.3g(1.55モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸334.7g(1.55モル)および無水酢酸1114g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、363℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を363℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが23kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0079】
この液晶性ポリエステル(A−7)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は322℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度332℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
【0080】
比較例1
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸752.7g(4モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル372.4g(2モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸432.4g(2モル)および無水酢酸1197g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、310℃まで3時間で昇温し2.5時間保持後、吐出してオリゴマーを得た。抜き出したオリゴマーを室温まで冷却し、粉砕機で粉砕し粉末を得た。粉末を25℃から250℃まで1時間で昇温し、250℃から320℃まで8時間かけて昇温し、次いで5時間保持し固相重合を行った。固相重合後、粉末を冷却した。
【0081】
この液晶性ポリエステル(B−1)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は343℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度353℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が27Pa・sであった。
【0082】
比較例2
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸792.8g(4.21モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル352.6g(1.89モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸409.4g(1.89モル)および無水酢酸1177g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、310℃まで3時間で昇温し2.5時間保持後、吐出してオリゴマーを得た。抜き出したオリゴマーを室温まで冷却し、粉砕機で粉砕し粉末を得た。粉末を25℃から250℃まで1時間で昇温し、250℃から325℃まで10時間かけて昇温し、次いで12時間保持し固相重合を行った。固相重合後、粉末を冷却した。
【0083】
この液晶性ポリエステル(B−2)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は344℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度354℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が34Pa・sであった。
【0084】
比較例3
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸828g(4.4モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル351.2g(1.8モル)2,6−ナフタレンジカルボン酸389.1g(1.8モル)および無水酢酸1159g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、310℃まで3時間で昇温し2.5時間保持後、吐出してオリゴマーを得た。抜き出したオリゴマーを室温まで冷却し、粉砕機で粉砕し粉末を得た。粉末を25℃から250℃まで1時間で昇温し、250℃から325℃まで10時間かけて昇温し、次いで12時間保持し固相重合を行った。固相重合後、粉末を冷却した。
【0085】
この液晶性ポリエステル(B−3)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は346℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度356℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が33Pa・sであった。
【0086】
比較例4
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸922.8g(4.90モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル288.3g(1.55モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸334.7g(1.55モル)および無水酢酸1114g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、310℃まで3時間で昇温し2.5時間保持後、吐出してオリゴマーを得た。抜き出したオリゴマーを室温まで冷却し、粉砕機で粉砕し粉末を得た。粉末を25℃から250℃まで1時間で昇温し、250℃から325℃まで10時間かけて昇温し、次いで12時間保持し固相重合を行った。固相重合後、粉末を冷却した。
【0087】
この液晶性ポリエステル(B−4)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は327℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度337℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が34Pa・sであった。
【0088】
比較例6
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1129.1g(6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル186.2g(1モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸216.2g(1モル)および無水酢酸1177g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、350℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが25kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0089】
この液晶性ポリエステル(B−5)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は314℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
【0090】
比較例7
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1004.1g(5.34モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル248.0g(1.33モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸288.0g(1.33モル)および無水酢酸1027g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、350℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を350℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが30kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0091】
この液晶性ポリエステル(B−6)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は326℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度336℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が23Pa・sであった。
【0092】
比較例8
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1004.1g(5.34モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル248.0g(1.33モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸288.0g(1.33モル)および無水酢酸1078g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、371℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を371℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続けたが、系が茶色に変色し、ポリマーは得られなかった。
【0093】
比較例9
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸792.8g(4.21モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル352.6g(1.89モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸409.4g(1.89モル)および無水酢酸1027g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、379℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を379℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続けたが、系が茶色に変色し、ポリマーは得られなかった。
【0094】
比較例10
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸978.5g(3.85モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル521.4g(2.075モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸605.3g(2.075モル)および無水酢酸1213g(フェノール性水酸基合計の1.10当量)、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムを理論ポリマー収量を100重量%とした場合に、0.02重量%となるように仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、351℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を351℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが18kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
【0095】
この液晶性ポリエステル(B−7)のTm(液晶性ポリエステルの融点)は336℃で、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度346℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が24Pa・sであった。
【0096】
充填材(C)
C−1 日本電気硝子製 Eガラスチョップドストランド(ECS−03T747H)。
C−2 山口雲母工業所製 マイカ ミカレット
【0097】
実施例8〜9、比較例5
東芝機械製TEM35B型2軸押出機(噛み合い型同方向)に、シリンダーC1(元込めフィーダー側ヒーター)〜C6(ダイ側ヒーター)の、C3部にサイドフィーダーを設置し、C5部に真空ベントを設置した。
【0098】
ニーディングブロックをC2部、C4部に組み込んだスクリューアレンジを用い、液晶性ポリエステル(A−2、B−2)100重量部をホッパーから投入し、表1に示す配合量の充填材(C−1、C−2)をサイドから投入し、シリンダー温度を熱可塑性樹脂の融点+20℃に設定し、溶融混練してペレットとした。
【0099】
得られた組成物ペレットおよび液晶性ポリエステル(A−1〜7、B−1〜7)ペレットを熱風乾燥後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製)に供し成形品を得て、下記の評価を行った。結果は表1、表2に示す。
【0100】
実施例1〜9,比較例1〜10の液晶性ポリエステルおよび組成物ペレットの特性は次の方法により測定した。
【0101】
(1)2−オキシ−6−ナフトイルの平均連鎖長
ポリマーをペンタフルオロフェノール/重クロロホルム=50/50混合溶媒に溶かし、バリアン社製UNITY INOVA500型NMR装置を用いて、80℃において、繰り返し時間3.5秒で50000回積算して13C核−NMRを測定し、2−オキシ−6−ナフトイルの2位の炭素のシフトにより、別の2−オキシ−6−ナフトイルの6位にエステル結合を介して結合した構造(ピークA)と2,6−ナフタレンジカルボン酸に結合した構造(ピークB)が分離されるため、それぞれのピークの強度を重量法から(それぞれピークA強度(a)およびピークB強度(b))から2−オキシ−6−ナフトイルの平均連鎖長=((a+b)/b−1)により算定した。なお、a、bの値は、表1,2に記載した。
【0102】
(2)半田耐熱性
ファナックα30C射出成形機により、シリンダー温度を融点+20℃、金型温度150℃において、12.7mm幅×150mm長×0.5mm厚の棒流動金型において、射出速度300mm/s、圧力を下限圧+10kgfで棒流動試験片を作成し、半田浴に10秒つけて、変形、溶融、ふくれなどの異常有無を判定した。異常が起こらない最高温度を2℃きざみで判定した。
【0103】
(3)バリ発生率
ファナックα30C射出成形機により、シリンダー温度を融点+20℃、金型温度150℃において、12.7mm幅×150mm長×0.5mm厚の棒流動金型において、射出速度300mm/s、圧力を下限圧から10kgfずつ上げて行き、各圧力で50本を成形し、スプルー軸根本部分にバリが1本でも発生しない最高圧力を求めた。
【0104】
(4)寸法精度
ファナックα30C射出成形機により、シリンダー温度を融点+20℃、金型温度90℃において、射出速度300mm/s、圧力を下限圧+10kgfに設定し、80mm角×2mm厚の角板成形品を成形し、線膨張係数をセイコー電子工業製SSC−5020・TMA100により測定した。測定は30℃〜150℃までを10℃/分の速度で昇温した。線膨張率は30℃を基準とし150℃の値を求めた。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

【0107】
表1、表2から明らかなように、本発明の特定組成の液晶性ポリエステルは、融点+30〜40℃の温度範囲において溶融重合によって製造され、融点及び結晶化熱量が高く、2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖が1.2〜2.2の特定範囲にあるため、射出成形時、オーバーパック気味に条件を取った場合にもバリが出にくく、得られた成形品は半田耐熱温度が融点に近接する程に極めて高く、寸法精度に優れていることがわかる。
【0108】
また、製造工程にランダム化触媒、特に酢酸ナトリウムを用いない実施例4と比較してランダム化触媒として酢酸ナトリウムを用いた実施例2では、平均連鎖長が改善され、半田耐熱性、低バリ性、寸法精度がより高くなることがわかる。実施例6に示した、ランダム化触媒として塩化ハフニウムを用いた場合には、ランダム化触媒を用いない実施例4よりも効果が高いが、酢酸ナトリウムを用いた実施例2よりも効果が低く、ランダム化触媒として酢酸ナトリウムが優れた効果を発揮することがわかる。
【0109】
実施例7から、溶融重合温度が融点+40℃と本発明が規定する上限においては、重合は可能であるが、得られるポリマーの耐熱レベルが、特に好ましい温度範囲で重合している実施例1に対して若干低下する傾向が見られることがわかる。
【0110】
充填材を配合すると、低バリ効果がより顕著に得られ、ガラス繊維においてその効果が高いことが実施例2に対して実施例6、8を比較することでわかる。
【0111】
溶融重合温度が本願の特に好ましい範囲にある実施例1は、特に、高性能の液晶性ポリエステルとなる。比較例8、9では本願の効果が得られないため、特定の温度範囲での溶融重合によって得られた液晶性ポリエステルは、より高性能の液晶性ポリエステルとなることがわかる。
【0112】
比較例4に示したように、固相重合法で製造し、液晶性ポリエステル中の2−オキシ−6−ナフトエ酸の平均連鎖長が2.5の場合には、本願の効果が得られず、また、比較例1〜3、9に示した組成範囲の液晶性ポリエステルでは、溶融重合法ではポリエステルの分解温度を超えてしまいポリマーが着色し、固相重合法では、本願の効果は得られない。
【0113】
また、比較例10に示したように、本発明の組成範囲外、平均連鎖長も本発明の範囲外では、本発明の効果が得られず、特に融点が高くても耐熱性が得られない。
【0114】
従って、本発明の効果は、特定組成からなる液晶性ポリエステルを、好ましくは、特定温度範囲で溶融重合することによって得られる連鎖長制御によって生成する、特異的なポリマー構造に起因するものであることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によれば、極めて低バリであり、半田耐熱性が高く、全方向に対しての熱膨張が小さい液晶性ポリエステルおよびその組成物が提供されるため、電気・電子部品、機械機構部品、自動車部品などに有用であり、特に精密部品に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し構造単位61〜74モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル由来の繰り返し構造単位13〜19.5モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位13〜19.5モル%からなる液晶性ポリエステルであって、液晶性ポリエステル中の2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長が1.2〜2.2である液晶性ポリエステル。
【請求項2】
液晶性ポリエステル中の2−オキシ−6−ナフトイル構造単位の平均連鎖長が1.3〜1.8である請求項1記載の液晶性ポリエステル。
【請求項3】
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の繰り返し単位65〜70モル%、4,4’−ジヒドロキシビフェニル酸由来の繰り返し構造単位15〜17.5モル%、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の繰り返し構造単位15〜17.5モル%からなる液晶性ポリエステルである請求項1または2記載の液晶性ポリエステル。
【請求項4】
得られる液晶性ポリエステル樹脂の融点+30〜+40℃の温度範囲で溶融重合して、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶性ポリエステル樹脂を製造する液晶性ポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項5】
重合時にランダム化触媒0.001〜0.05重量%を添加する請求項4記載の液晶性ポリエステルの製造方法。
【請求項6】
ランダム化触媒が酢酸ナトリウムである請求項5記載の液晶性ポリエステルの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか記載の液晶性ポリエステル100重量部に対して、充填材0.1〜200重量部を配合してなる液晶性ポリエステル組成物。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか記載の液晶性ポリエステル、または、請求項7記載の液晶性ポリエステル組成物からなる成形品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−59399(P2010−59399A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165392(P2009−165392)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.レーザーディスク
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】