説明

液晶組成物、液晶素子及びスピロ環化合物

【課題】表示コントラストが高い液晶素子、及びその作製に有用な液晶組成物の提供。
【解決手段】式Iで表される化合物、及び二色性色素を含有する液晶組成物、及び該液晶組成物を含有する液晶層を有する液晶素子。


式中、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよいが、Ra、Rb、Rc及びRdのうち少なくとも一つは、原子数2以上の鎖状構造を含む置換基であり;スピロ環を構成する環E1及び環E2は各々独立に、


を表し(図中の*は連結部位を表す);X1及びX2は各々独立に、−CH2−、酸素原子、硫黄原子を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲストホスト(「GH」という場合がある)方式等の液晶素子に関し、また液晶素子の作製に有用な液晶組成物及びスピロ環化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル情報の普及に伴い、デジタル情報を表示するためのディスプレイ(以下、電子ペーパーと呼ぶ)の重要性が増している。電子ペーパーに要求される性能としては、高い視認性と低消費電力が挙げられる。高い視認性とは、紙に近い白地を意味しており、そのためには、紙と同様の散乱白地に基づく表示方式が適している。低消費電力に関しては、反射型表示方式が、自発光型表示方式よりも低消費電力である。これまで、電子ペーパーとして、多くの方式が提案されている。例えば、反射型液晶表示方式、電気泳動表示方式、磁気泳動表示方式、二色球回転方式、エレクトロクロミック表示方式、ロイコサーマル表示方式などである。いずれの方式についても、高い視認性という観点からは、満足できるレベルにはなく、その改善が求められていた。
【0003】
液晶素子(液晶表示素子)については、すでに多くの方式が提案されており、中でもゲストホスト方式の液晶素子は、明るい表示が可能であって、反射型に適した液晶素子として期待されている。ゲストホスト方式は、ホストであるネマチック液晶中にゲストとして二色性色素を溶解させた液晶組成物を用いる表示方式である。二色性色素は、一軸の光吸収軸を有し、光吸収軸方向に振動する光のみを吸収することから、電場による液晶の動きに合わせて、二色性色素の配向を変化させ、光吸収軸の向きを制御することにより、セルの吸光状態を変化させることができる。
【0004】
ゲストホスト方式液晶素子の表示コントラストは、液晶層を構成する液晶組成物中の二色性色素のオーダーパラメータもしくはホスト液晶、又はセル構造によって左右されることが知られている。一般に、ネマチック液晶と二色性色素を組み合わせた液晶組成物は、配向処理した基板間に存在した場合には、ネマチック液晶が一軸配向状態をとるため片側の直線偏光しか吸収できず、半分の光が透過するため、表示コントラスト比が上がらない。また、配向処理をしていない基板間に、ネマチック液晶と二色性色素を組み合わせた液晶組成物を注入した場合にも、マルチドメイン状態をとるため、片側の直線偏光しか吸収できず、半分の光が透過するため、表示コントラスト比が上がらない。そのため、全方位の光を吸収させる方式として、カイラル剤との組み合わせによるカイラルネマチック相を利用した相転移型ゲストホスト方式が提案された(非特許文献1参照)。この方式では、偏光板を使用しない明るい表示が可能となる(特許文献1参照)。
【0005】
しかし、相転移型ゲストホスト方式においては、液晶の屈折率異方性が大きい場合、液晶に入射した光は、液晶のらせん構造にそって旋光してしまうため、二色性色素の光吸収効率が低下するという問題がある。表示コントラスト比向上のためには、屈折率異方性が低いホスト液晶を使用することが肝要であり、多くの研究者により検討されてきたが(特許文献1参照)、依然として、表示性能は満足できるレベルにはなく、その改善が求められており、より高いコントラスト比を有する液晶素子の提供が望まれている。
【非特許文献1】D.L.White;G.N.Taylor;J.Appl.Phys.,Vol.45,4718(1974)
【特許文献1】特開2006−83338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、表示コントラストが高い液晶素子、及びかかる液晶素子の作製に有用な液晶組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、3位、9位が置換されたスピロ[5,5]ウンデカン骨格を有する化合物をホスト液晶に添加することにより、屈折率異方性が小さい液晶組成物を調製できることを見出した。さらに、3位、9位が置換されたスピロ[5,5]ウンデカン骨格を有する化合物において、分子の長軸に対して直交する方向に分極率が大きくなるように、シアノ基、エチン基などの3重結合を有する置換基が配置されている場合、より屈折率異方性を小さくする効果があることを見出した。この知見に基づいてさらに検討した結果、該液晶組成物を用いることにより、相転移型ゲストホスト方式において高い表示コントラストを実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 少なくとも1種の下記一般式(I)で表される化合物、及び少なくとも1種の二色性色素を含有する液晶組成物:
【化1】

式中、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよいが、Ra、Rb、Rc及びRdのうち少なくとも一つは、原子数2以上の鎖状構造を含む置換基であり;スピロ環を構成する環E1及び環E2は各々独立に、
【化2】

を表し(図中の*は連結部位を表す);X1及びX2は各々独立に、−CH2−、酸素原子、硫黄原子を表す。
【0009】
[2] 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする[1]の液晶組成物:
【化3】

式中、A1及びA2は各々独立に、置換もしくは無置換の1,4−シクロへキシレンを表し、1,4−シクロへキシレンを構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよく;B1、B2、B3及びB4は各々独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、硫黄原子、−NR5−(R5は水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を表す)、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NR5−、−NR5−CO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2S−、−SCH2−、−CH=CH−、−CH≡CH−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表し;R1及びR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換もしくは無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよく;R3及びR4は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基、シアノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜5のアルキニル基を表し;a及びbは各々独立に0〜3の整数を表し、a及びbのうち少なくとも1つは0ではなく;スピロ環を構成する環E1及び環E2については、前記式(I)中のそれぞれと同義である。
【0010】
[3] 前記一般式(I)中、スピロ環
【化4】

であることを特徴とする[1]又は[2]の液晶組成物。
【0011】
[4] 前記R3及び/又はR4が、シアノ基、又は炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルキニル基である[1]〜[3]のいずれかの液晶組成物。
[5] 少なくとも1種のカイラル剤をさらに含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの液晶組成物。
[6] 少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に液晶層を有する液晶素子であって、該液晶層が、[1]〜[5]のいずれかの液晶組成物を含むことを特徴とする液晶素子。
[7] 少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に高分子媒体層を有する液晶素子であって、該高分子媒体層が、高分子と該高分子中に分散された[1]〜[5]のいずれかの液晶組成物とを含むことを特徴とする液晶素子。
[8] 少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に液晶層を有する液晶素子であって、該液晶層が、[1]〜[5]のいずれかの液晶組成物を含むマイクロカプセルを含有することを特徴とする液晶素子。
【0012】
[9] 一般式(III)で表される化合物:
【化5】

式中、A1、A2、B1、B2、B3、B4、R1、R2、R3、R4、a及びbはそれぞれ、前記式(II)のそれぞれと同義である。
[10] 一般式(III)中、A1及びA2は各々独立に、置換もしくは無置換の1,4−シクロへキシレンを表し;B1及びB2は各々独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表し;B3及びB4は各々独立に、単結合、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−を表し;R1及びR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換もしくは無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよく;R3及びR4は各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基を表し;a及びbは各々独立に0〜2の整数を表し、a及びbのうち少なくとも1つは0ではないことを特徴とする[9]の化合物。
【0013】
[11] 一般式(IV)で表される化合物:
【化6】

スピロ環を構成する環E1及び環E2は、前記式(I)のそれぞれと同義であり;B1、B2、B3、B4、R1、R2、a及びbは、[2中]の式(II)のそれぞれと同義であり;R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ、水素原子、シアノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜5のアルキニル基を表し、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つは水素原子ではない。
[12] 一般式(IV)中、スピロ環
【化7】

を表し;B1及びB2は各々独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表し;B3及びB4は各々独立に、単結合、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−を表し;R1及びR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換もしくは無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよく;R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ、水素原子、シアノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜5のアルキニル基を表し、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つは水素原子ではなく;a及びbは各々独立に0〜2の整数を表し、a及びbのうち少なくとも1つは0ではないことを特徴とする[11]の化合物。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液晶組成物は、複屈折異方性が小さい液晶組成物と二色性色素からなる組成物であり、本発明の液晶組成物は、液晶素子の作製に広く用いることができ、特にゲストホスト方式液晶表示素子の作製に用いるのが好ましい。本発明の液晶組成物を用いて作製された本発明の液晶素子は、高い表示コントラストを示す。
【発明の実施の形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0016】
本発明の液晶組成物は、少なくとも1種の所定のスピロ環化合物、及び、少なくとも1種の二色性色素を含有することを特徴とする。本発明の液晶組成物は、ゲストホスト方式の液晶素子、特に相転移型ゲストホスト方式の液晶素子の作製に有用である。
相転移型ゲストホスト方式においては、液晶に入射した光は液晶の屈折率異方性の影響により、らせん構造にそって旋光してしまうため、コントラスト比向上のためには、屈折率異方性が低いホスト液晶を使用することが重要である。一般に、脂肪族化合物から構成される液晶組成物は、芳香族化合物を含む液晶組成物と比較して、屈折率異方性が小さいため、1,4−トランス-シクロヘキサンから構成されるメソゲンを有する棒状液晶化合物は、従来該方式のホスト液晶として種々用いられている。
ところで、1,4−トランス-シクロヘキサンは、以下に示す通り、分子の長軸は1位−4位方向になる。椅子型配座のシクロヘキサンのσ結合に起因する分極を考えた場合、各々の結合分極率の1位−4位方向への正射影の総和は、それと直交する方向である2位−6位方向(あるいは3位−5位方向)への正射影の総和より大きいため、分子長軸(回転軸)が1位-4位方向である汎用の1,4−トランス-シクロヘキサンをメソゲンとする棒状液晶化合物は、依然高い屈折率異方性を有する。
【0017】
【化8】

【0018】
一方、以下に示す、シクロヘキサン骨格を有し、該シクロヘキサン骨格の2位−6位方向(あるいは3位−5位方向)が分子長軸(回転軸)となる棒状化合物は、相当する1,4−トランス-シクロヘキサンをメソゲンとする棒状液晶化合物より低い屈折率異方性を有する。
【0019】
【化9】

【0020】
本発明者らはこの考えに基づいて、種々の化合物について検討した結果、以下に示す通り、3位及び9位に鎖状の置換基を有するスピロ[5,5]ウンデカン等は、その分子長軸(回転軸)は、1位−4位方向からはずれ、むしろ2位−6位方向(あるいは3位−5位方向)に近くなるため、スピロ[5,5]ウンデカン骨格及びこれに類似する骨格を有するとともに、3位及び9位に鎖状の置換基を有する棒状化合物は、1,4−トランス-シクロヘキサン骨格を有する棒状化合物よりも屈折率異方性が小さくなるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0021】
【化10】

【0022】
さらに、本発明では、3位、9位が置換されたスピロ[5,5]ウンデカン骨格を有する化合物において、分子の長軸に対して直交する方向に分極率が大きくなるように、シアノ基、エチン基などの3重結合を有する置換基が配置されている場合、より屈折率異方性を小さくする効果があるとの知見も合わせて見出した。
【0023】
本発明では、上記構造的特徴を満足し、屈折率異方性が小さいスピロ環化合物を、ホスト液晶の全部もしくは一部として、又はホスト液晶の添加剤として用いることにより、ホスト液晶の屈折率異方性を低下させ、ゲストホストモードの液晶素子の作製に有用な液晶組成物を提供している。
以下、本発明の液晶組成物に用いられる各成分について、詳細に説明する。
[一般式(I)で表される化合物]
本発明の液晶組成物は、下記式(I)で表されるスピロ環構造の化合物を含有する。かかる化合物は、ホスト液晶の全部又は一部として、又はホスト液晶の屈折率異方性を低減するための添加剤として用いることができる。但し、これらの目的で添加される態様に限定されるものではない。
【0024】
【化11】

【0025】
式中、スピロ環を構成する環E1及び環E2は各々独立に、
【0026】
【化12】

を表し(図中の*は連結部位を表す);X1及びX2は各々独立に、−CH2−、酸素原子、硫黄原子を表す。
【0027】
前記式(I)中のスピロ環部位
【化13】

であるのが好ましい。
【0028】
さらに、好ましくは、前記スピロ環部位は、
【化14】

である。
【0029】
さらにより好ましくは、前記スピロ環部位は、
【化15】

である。
【0030】
式(I)中、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよいが、Ra、Rb、Rc及びRdの少なくとも1つは、原子数2以上の鎖状構造を含む置換基である。前記鎖状構造は、置換基の末端部に一価基として存在していても、末端部以外に二価基として存在していてもよい。前記鎖状構造は、原子数2以上のアルキル基(末端に存在する一価基)又はアルキレン基(末端以外に存在する二価基)であるのが好ましく、原子数2〜7のアルキル基又はアルキレン基であるのがより好ましい。アルキル基又はアルキレン基中のCH2基のうち1つ、もしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。
【0031】
前記一般式(I)で表される化合物の中でも、下記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
【0032】
【化16】

【0033】
式中、スピロ環を構成する環E1及び環E2については、前記式(I)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記式中、A1及びA2は、各々独立に、置換もしくは無置換の1,4−シクロへキシレンを表し、1,4−シクロへキシレンを構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。酸素原子もしくは硫黄原子で置換された1,4−シクロへキシレンとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0034】
【化17】

【0035】
1,4−シクロへキシレン等の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、置換もしくは無置換のアルキル基(好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基)、置換もしくは無置換のアルコキシ基(好ましくは、置換もしくは無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、tert−ブトキシ基)、シアノ基、置換もしくは無置換のアルキニル基(好ましくは置換もしくは無置換の炭素数2〜5のアルキニル基、例えばエチニル基)が挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、シアノ基、又は置換もしくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基又はアルキニル基であり、さらに好ましくは、シアノ基、又は置換もしくは無置換の、アルキル基又はアルキニル基である。
【0036】
1及びA2は、好ましくは、各々独立に、置換もしくは無置換の1,4−トランス−シクロへキシレンを表し、1,4−トランス−シクロへキシレンを構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。該置換基は、前段落の記述と同様である。
【0037】
また、A1及びA2は、各々複数存在する場合は、同じでも異なっていてもよい。
【0038】
前記式中、B1、B2、B3及びB4は、各々独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、硫黄原子、−NR5−(R5は水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を表す)、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NR5−、−NR5−CO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2S−、−SCH2−、−CH=CH−、−CH≡CH−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表す。より好ましくは、単結合、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NR5−、−NR5−CO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−又は−COO−CH2−を表し;さらに好ましくは、各々独立に、単結合、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−又は−COO−CH2−を表す。また、B1及びB2は、各々複数存在する場合は、同じでも異なっていてもよい。
【0039】
前記式中、R1及びR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換もしくは無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。前記アルキル基は直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよい。CH2基の一部が、酸素原子もしくは硫黄原子で置換された基の例としては、 −OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH2CH2OCH3、−OCH2CH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、−CH2CH2OCH2CH2OCH3、−CH2CH2OCH2CH3、−CH2CH2OCH3、−CH2OCH2CH2OCH2CH3、−CH2OCH2CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−CH2OCH3、−SCH2CH2SCH2CH3、−SCH2CH2SCH3、−CH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、−CH2CH2SCH2CH2SCH3、−CH2CH2SCH2CH3、−CH2CH2SCH3、−CH2SCH2CH2SCH2CH3、−CH2SCH2CH2SCH3、−CH2SCH2CH3、−CH2SCH3、−OCH2CH2SCH2CH2SCH2CH3、−OCH2CH2SCH2CH2SCH3、−OCH2CH2SCH2CH3、−OCH2CH2SCH3、−CH2CH2OCH2CH2SCH2CH3、−CH2CH2OCH2CH2SCH3、−CH2OCH2CH2SCH2CH3、−CH2OCH2CH2SCH3、−SCH2CH2OCH2CH2OCH2CH3、−SCH2CH2OCH2CH2OCH3、−SCH2CH2OCH2CH3、−SCH2CH2OCH3、−CH2CH2SCH2CH2OCH2CH3、−CH2CH2SCH2CH2OCH3、−CH2SCH2CH2OCH2CH3、−CH2SCH2CH2OCH3等が挙げられる。
前記アルキル基の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜5の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、tert−ブトキシ基)、シアノ基が挙げられ、好ましくは、ハロゲン原子、及びアルコキシ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子である。
【0040】
1及びR2は、好ましくは、各々独立に、水素原子、又は炭素数1〜20の置換もしくは無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよい。該置換基の例については、上記と同様である。
【0041】
1及びR2は、さらに好ましくは、炭素数1〜20の無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子で置換されていてもよい。
【0042】
1及びR2は、最も好ましくは、炭素数1〜20の無置換アルキル基を表す。
アルキル基の炭素数は、好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは3〜8である。
【0043】
式中、R3及びR4は各々独立に、水素原子、炭素数1〜3の置換もしくは無置換のアルキル基、シアノ基、又は炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルキニル基を表し、好ましくは、水素原子、メチル基、シアノ基、又はエチニル基を表す。
より屈折率異方性を小さくする効果を得るためには、R3及び/又はR4が、シアノ基、又は炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルキニル基であることが好ましく、シアノ基、又はエチニル基がより好ましい。R3及びはR4として、当該置換基を用いることにより、スピロ[5,5]ウンデカン骨格を有する化合物において、分子の長軸に対して直交する方向に分極率が大きくなるようなり、屈折率異方性を小さくすることができる。また、二色性色素のオーダーパラメータを向上させるためには、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、メチル基が好ましい。
アルキル基及びアルキニル基等の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜5の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、tert−ブトキシ基)、シアノ基が挙げられる。
【0044】
式中、a及びbは各々独立に0〜3の整数を表し、さらに好ましくは0〜2の整数を表し、a及びbのうち少なくとも1つは0ではない。
【0045】
前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例には、下記一般式(III)で表される化合物が含まれる。
【0046】
【化18】

【0047】
前記式中、A1及びA2はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0048】
前記式中、B1及びB2はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましくは、それぞれ独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表し、さらに好ましくは、それぞれ独立に、単結合、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−又はCOO−CH2−を表す。また、B1及びB2は、各々複数存在する場合は、同じでも異なっていてもよい。
【0049】
前記式中、B3及びB4はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましくは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−を表し、さらに好ましくは、それぞれ独立に、単結合、−COO−、又は−OCO−を表す。
【0050】
前記式中、R1及びR2はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0051】
前記式中、R3及びR4はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【0052】
前記式中、a及びbはそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0053】
前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例には、下記一般式(IV)で表される化合物が含まれる。
【0054】
【化19】

【0055】
前記式中、スピロ環を構成する環E1及びE2はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0056】
前記式中、B1及びB2はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましくは、それぞれ独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表し、さらに好ましくは、それぞれ独立に、単結合、−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−又はCOO−CH2−を表す。また、B1及びB2は、各々複数存在する場合は、同じでも異なっていてもよい。
【0057】
前記式中、B3及びB4はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましくは、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−を表し、さらに好ましくは、それぞれ独立に、単結合、−COO−、又は−OCO−を表す。
【0058】
前記式中、R1及びR2はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0059】
前記式中、R3及びR4はそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、シアノ基、又は置換もしくは無置換のエチニル基を表す。
【0060】
前記式中、a及びbはそれぞれ、前記一般式(II)中のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0061】
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字Xにて例示化合物(X)と示す。
【0062】
【化20】

【0063】
【化21】

【0064】
【化22】

【0065】
【化23】

【0066】
【化24】

【0067】
【化25】

【0068】
【化26】

【0069】
【化27】

【0070】
【化28】

【0071】
【化29】

【0072】
【化30】

【0073】
【化31】

【0074】
前記一般式(I)で表される化合物は、公知の方法を組み合せることで合成することができる。例えば、"Tetrahedron " (1989);45(3);p.687-694.、"Liebigs. Ann." (1995), p1319-1326に記載の方法を参照して、合成することができる。
【0075】
前記一般式(I)で表される化合物は、液晶性を有していても、液晶性を有していなくてもよい。
前記一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、屈折率異方性Δnが小さく、相転移型ゲストホスト方式において表示コントラストを向上するのに寄与し得る。
【0076】
本発明の液晶組成物中には、前記一般式(I)で表される化合物を一種のみ含有させてもよいし、複数種を含有させてもよい。前記液晶組成物中における、前記一般式(I)で表される化合物の含有量については特に制限されず、該化合物の組成物中における役割、機能等によって、その好ましい範囲も異なる。調製したホスト液晶の屈折率異方性Δn、色素溶解度、色素のオーダーパラメータを測定することで、所望の表示コントラストに必要なホスト液晶の組成を決定してもよい。
【0077】
[二色性色素]
本発明において、二色性色素は、ホスト液晶中に溶解し、光を吸収する機能を有する化合物と定義される。二色性色素は、二色比(R)及びオーダーパラメーター(S)が大きく、ホスト液晶に対して良好な相溶性を示すことが好ましい。二色性色素としては、吸収極大ならびに吸収帯に関しては、いかなるものであってもよいが、イエロー域(Y)、マゼンタ域(M)、あるいはシアン域(C)に吸収極大を有する場合が好ましい。また、本発明の液晶素子に用いられる二色性色素は、単独で使用してもよいが、複数を混合したものであってもよい。複数の色素を混合する場合には、Y、M、Cに吸収極大を有する二色性色素の混合物を用いるのが好ましい。公知の二色性色素としては、たとえば、A.V.Ivashchenko著,Diachronic Dyes for Liquid Crystal Display,CRC社,1994年に記載のものが挙げられる。イエロー色素、マゼンタ色素ならびにシアン色素を混合することによるフルカラー化表示を行う方法については、「カラーケミストリー」(時田澄男著、丸善、1982年)に詳しい。ここでいう、イエロー域とは430〜490nmの範囲、マゼンタ域とは500〜580nmの範囲、シアン域とは600〜700nmの範囲である。
【0078】
前記二色性色素の発色団はいかなるものであってもよいが、例えば、アゾ色素、アントラキノン色素、ペリレン色素、メロシアニン色素、アゾメチン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、アズレン色素、ジオキサジン色素、ポリチオフェン色素、フェノキサジン色素などが挙げられる。好ましくはアゾ色素、アントラキノン色素、フェノキサジン色素であり、特に好ましくはアントラキノン色素、フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)である。
【0079】
アゾ色素はモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、ペンタキスアゾ色素などいかなるものであってもよいが、好ましくはモノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素である。
アゾ色素に含まれる環構造としては芳香族基(ベンゼン環、ナフタレン環など)のほかにも複素環(キノリン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリミジン環など)であってもよい。
【0080】
アントラキノン色素の置換基としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。該置換基の置換数はいかなる数であってもよいが、ジ置換、トリ置換、テトラキス置換が好ましく、特に好ましくはジ置換、トリ置換である。該置換基の置換位置はいかなる場所であってもよいが、好ましくは1,4位ジ置換、1,5位ジ置換、1,4,5位トリ置換、1,2,4位トリ置換、1,2,5位トリ置換、1,2,4,5位テトラ置換、1,2,5,6位テトラ置換構造である。
【0081】
フェノキサゾン色素(フェノキサジン−3−オン)の置換基としては、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むものが好ましく、例えば、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミノ、アリールアミノ基である。
【0082】
以下に、本発明に使用可能な二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
【0083】
【化32】

【0084】
【化33】

【0085】
【化34】

【0086】
【化35】

【0087】
以下に、本発明に使用可能なアゾ系二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
【0088】
【化36】

【0089】
以下に本発明に使用可能なジオキサジン系二色性色素ならびにメロシアニン系二色性色素の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら限定されるものではない。
【0090】
【化37】

【0091】
本発明の液晶組成物において、二色性色素の含有量については制限はないが、二色性色素の含有量(混合物の場合には、二色性色素の全含有量)は、ホスト液晶の含有量(式(I)で表される化合物がホスト液晶である場合は、該化合物の含有量)に対して0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜6質量%であることが特に好ましい。また、液晶セルの吸収スペクトルを測定することで、所望の光学濃度に必要な色素濃度を決定することが望ましい。
【0092】
本発明の液晶組成物は、前記一般式(I)で表される化合物及び二色性色素以外に、他の成分を含有していてもよい。
(ホスト液晶)
本発明の液晶組成物は、液晶を含有しているのが好ましい。該液晶は、電界の作用により、その配向状態を変化させ、ゲストとして溶解されている二色性色素の配向状態を制御する機能を有する液晶、即ち、ゲスト液晶として機能する液晶であるのが好ましい。前記一般式(I)で表される化合物が単独でゲスト液晶として機能し得る場合は、別途液晶を添加する必要はない。
【0093】
前記ホスト液晶は、ネマチック相を示す液晶であるのが好ましい。ホスト液晶は、前記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1種類と公知の液晶化合物との混合物であるのが好ましい。ホスト液晶の屈折率異方性(Δn)の絶対値は0.25以下のものが好ましい。より好ましくは、|Δn|<0.15であり、さらに好ましくは、|Δn|<0.10であり、よりさらに好ましくは、|Δn|<0.05である。
【0094】
公知の液晶化合物の具体例としては、アゾメチン化合物、シアノビフェニル化合物、シアノフェニルエステル、フッ素置換フェニルエステル、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、フッ素置換シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル、シアノフェニルシクロヘキサン、フッ素置換フェニルシクロヘキサン、シアノ置換フェニルピリミジン、フッ素置換フェニルピリミジン、アルコキシ置換フェニルピリミジン、フッ素置換アルコキシ置換フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、トラン系化合物、フッ素置換トラン系化合物、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリルなどが挙げられる。「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第154〜192頁及び第715〜722頁に記載の液晶化合物を用いることができる。TFT駆動に適したフッ素置換されたホスト液晶を使用することもできる。例えば、Merck社の液晶(ZLI−4692、MLC−6267、6284、6287、6288、6406、6422、6423、6425、6435、6437、7700、7800、9000、9100、9200、9300、10000など、いずれも商品名)、チッソ社の液晶(LIXON5036xx、5037xx、5039xx、5040xx、5041xxなど、いずれも商品名)が挙げられる。
本発明に用いるホスト液晶は、誘電率異方性が正であっても負であってもよい。
【0095】
(カイラル剤)
また、本発明の液晶組成物には、カイラル剤を添加してもよい。カイラル剤を添加することにより、相転移型ゲストホスト方式の液晶素子の材料としてより適する。カイラル剤とは、光学活性物質であって、前記ホスト液晶材料に添加することで、該液晶組成物がカイラルネマチック相を示すようになるもののことを意味する。例えば、日本学術振興会第142委員会編,「液晶デバイスハンドブック」,日刊工業新聞社,1989年,199〜202頁に記載のTN、STN用カイラル剤が挙げられる。
【0096】
本発明の液晶組成物において、カイラル剤の含有量について制限はないが、本発明の液晶素子として用いる液晶セルのセルギャップをd、液晶のヘリカルピッチをPとしたときに、0.1≦d/P≦20となるように含有されることが好ましい。より好ましくは、0.25≦d/P≦5であり、さらに好ましくは、0.4≦d/P≦2であり、よりさらに好ましくは、0.5≦d/P≦1である。
なおヘリカルピッチとは、液晶分子のらせん構造が360°旋回する距離として定義される。
【0097】
(その他の添加剤)
本発明の液晶組成物には、ホスト液晶の物性を所望の範囲に変化させることを目的として(例えば、液晶相の温度範囲を所望の範囲にすることを目的として)、液晶性を示さない化合物を添加してもよい。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの化合物を含有させてもよい。
【0098】
本発明の液晶組成物の調製方法については特に制限されず、通常用いられる手段で各成分を混合することで調製できる。前記二色性色素は、ホスト液晶中に溶解しいているのが好ましい。ホスト液晶への前記二色性色素の溶解は、機械的攪拌、加熱、超音波、あるいはその組合せなどを利用することができる。
【0099】
[液晶素子]
本発明の液晶素子は、本発明の液晶組成物を含有する液晶層を備えた液晶素子である。本発明の液晶素子は、例えば、一対の電極基板(少なくとも一方は透明電極基板であるのが好ましい)間と、一対の電極基板に挟持される本発明の液晶組成物を含有する液晶層とから構成することができる。前記基板としては、通常ガラスあるいはプラスチック基板が用いられ、プラスチック基板としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。基板については、たとえば、日本学術振興会第142委員会編,「液晶デバイスハンドブック」,日刊工業新聞社,1989年,218〜231頁に詳しい。その基板上には、電極層が形成され、好ましくは透明電極である。その電極層としては、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズなどが用いられる。透明電極については、たとえば、日本学術振興会第142委員会編,「液晶デバイスハンドブック」,日刊工業新聞社,1989年,232〜239頁に記載のものが用いられる。
【0100】
本発明の液晶素子は液晶を配向させる目的で、液晶と基板の接する表面に配向処理を施した層を形成することが好ましい。該配向処理としては、たとえば、4級アンモニウム塩を塗布し配向させる方法、ポリイミドを塗布しラビング処理により配向する方法、SiOxを斜め方向から蒸着して配向する方法、さらには、光異性化を利用した光照射による配向方法などが挙げられる。配向膜については、たとえば、日本学術振興会第142委員会編,「液晶デバイスハンドブック」,日刊工業新聞社,1989年,240〜256頁に記載のものが用いられる。
【0101】
本発明の液晶素子は基板同士をスペーサーなどを介して、1〜50μmの間隔を設け、その空間に本発明の液晶組成物を注入して作製することができる。スペーサーについては、例えば、日本学術振興会第142委員会編,「液晶デバイスハンドブック」,日刊工業新聞社,1989年,257〜262頁に記載のものが用いられる。本発明の液晶組成物は、基板上に塗布あるいは印刷することにより基板間の空間に配置することができる。
【0102】
本発明の液晶素子は、単純マトリックス駆動方式あるいは薄膜トランジスタ(TFT)などを用いたアクティブマトリックス駆動方式を用いて駆動することができる。駆動方式については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の387〜460頁に詳細が記載され、本発明の液晶素子の駆動方法として利用できる。
【0103】
本発明の液晶素子を用いた液晶ディスプレイは、いかなる方式であってもよい。例えば、日本学術振興会第142委員会編,「液晶デバイスハンドブック」,日刊工業新聞社,1989年,309頁に記載のゲストホスト方式に記載されている(1)ホモジニアス配向、(2)ホメオトロピック配向、White−Taylor型(相転移)として(3)フォーカルコニック配向及び(4)ホメオトロピック配向、(5)Super Twisted Nematic(STN)との組合せ、(6)強誘電性液晶(FLC)との組合せ、また、内田龍男監修,「反射型カラーLCD総合技術」,シーエムシー社,1999年,2−1章(GHモード反射型カラーLCD),15〜16頁に記載されている、(1)Heilmeier型GHモード、(2)1/4波長板型GHモード、(3)2層型GHモード、(4)相転移型GHモード、(5)高分子分散液晶(PDLC)型GHモードなどが挙げられる。
【0104】
さらに、本発明の液晶素子は、特開平10−67990号、同10−239702号、同10−133223号、同10−339881号、同11−52411号、同11−64880号、特開2000−221538号公報などに記載されている積層型GHモードに用いることができる。
また、本発明の液晶素子は、特開平11−24090号公報などに記載されているマイクロカプセルを利用したGHモードに用いることができる。即ち、本発明の液晶素子の一実施形態は、少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に液晶層を有し、該液晶層が本発明の液晶組成物を含むマイクロカプセルを含有する、マイクロカプセルを利用したGHモードの液晶素子である。
さらに、本発明の液晶素子は、特開平5−61025号、同5−265053号、同6−3691号、同6−23061号、同5−203940号、同6−242423号、同6−289376号、同8−278490号、同9−813174号公報に記載されている高分子分散液晶型GHモードに用いることができる。即ち、本発明の液晶素子の一態様は、少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に高分子媒体層を有し、該高分子媒体層が、高分子と、該高分子中に分散された本発明の液晶組成物とを含む、高分子分散液晶型GHモード液晶素子である。
【0105】
さらに、本発明の液晶素子は、特開平6−235931号、同6−235940号、同6−265859号、同7−56174号、同9−146124号、同9−197388号、同10−20346号、同10−31207号、同10−31216号、同10−31231号、同10−31232号、同10−31233号、同10−31234号、同10−82986号、同10−90674号、同10−111513号、同10−111523号、同10−123509号、同10−123510号、同10−206851号、同10−253993号、同10−268300号、同11−149252号、特開2000−2874号公報などに記載されている反射型液晶ディスプレイに用いることができる。
【0106】
本発明の液晶素子は、複数の二色性色素を含有する液晶組成物を利用したものであってもよい。また、液晶組成物の色についても、いかなるものであってもよい。例えば、複数の二色性色素を混合して用いる等、黒色の液晶組成物を調製した場合には、電圧の印加によって白黒表示用の液晶素子としての利用が挙げられる。また、レッド、グリーン及びブルーに各々着色された液晶組成物を調製し、3種類の組成物を基板上に並置配置することにより、カラー表示用の液晶素子を作製することもできる。また、本発明の液晶素子は、積層構造を有していてもよい。例えば、イエロー、マゼンタ及びシアンに着色した液晶組成物の各々からなる層を3層積層させる構成;及びイエロー、マゼンタ及びシアンに着色した液晶組成物と、補色の関係にあるブルー、グリーン及びレッドに着色した液晶組成物の各々からなる層を並置配置させた層とを2層積層させる構成;及び黒に着色した液晶組成物の層と、レッド、ブルー及びグリーンの液晶組成物の各々からなる層を並置配置させた層とを2層積層させる構成;などが挙げられる。
【実施例】
【0107】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0108】
[実施例1:一般式(I)で表される化合物の合成例]
(例示化合物(8)の合成例)
【化38】

【0109】
例示化合物(8)の合成は、"Liebigs. Ann." (1995), p1319-1326に記載の方法を参照して行うことができる。
得られた化合物は液晶性を示した。相転移点は以下の通りである。
相転移点:Cry(53℃)Sm(109℃)Iso。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(400MHz、CDCl3):0.80−1.60(m,46H)、1.60−1.85(m,10H)、1.97(dd,2H)、2.15(tt,1H)、4.72(tt,1H)。
【0110】
(例示化合物(25)の合成例)
【化39】

【0111】
例示化合物(25)の合成は、例示化合物(8)と同様に行うことができる。
得られた化合物は非液晶性であり、室温で油状であった。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(400MHz、CDCl3):0.80−1.60(m,34H)、1.60−1.85(m,10H)、1.95(dd,2H)、2.18(tt,1H)、4.72(tt,1H)。
【0112】
(例示化合物(61)の合成例)
【化40】

【0113】
例示化合物(61)は、下記スキームに従って合成することができる。
【0114】
【化41】

【0115】
化合物(61−A)と、トリメチロールメタン(1等量)、p−トルエンスルホン酸一水和物(0.1等量)のトルエン溶液を加熱還流し、化合物(61−B)を得た。なお、脱水反応により生成した水は共沸により反応系中から随時取り除いた。次に化合物(61−C)を塩化チオニル中で加熱還流し、未反応の塩化チオニルを留去して化合物(61−D)を得た。最後に、化合物(61−B)とピリジン(2等量)のテトラヒドロフラン溶液に、化合物(61−D)(1等量)のテトラヒドロフラン溶液を加え、室温で攪拌することで、例示化合物(61)を得た。
得られた化合物は液晶性を示した。相転移点は以下の通りである。
相転移点 Sm(37℃)Iso。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(400MHz、CDCl3):0.80−0.95(m,6H) 1.05−1.65(m,25H)、1.75−1.85(m,2H)、1.95−2.05(m,3H)、2.2−2.35(m,1H)、2.4−2.50(m,1H)、3.5−3.7(m,4H)、4.25(s,2H)。
【0116】
(例示化合物(53)の合成例)
【化42】

【0117】
例示化合物(53)は例示化合物(61)と同様の方法で合成できる。
得られた化合物は非液晶性であった。融点は、86℃であった。
得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(400MHz、CDCl3):0.85−1.85(m,43H) 、1.9−2.05(m,3H)、2.15−2.3(m,1H)、2.35−2.5(m,1H)、3.5−3.7(m,4H)、4.25(s,2H)。
【0118】
(例示化合物(69)の合成例)
【化43】

例示化合物(69)は例示化合物(61)と同様の方法で合成することができる。
得られた化合物は液晶性であった。相転移点を以下に示す。
相転移点:Cryst(75℃)Sm(111℃)Iso。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(400MHz、CDCl3):0.8−1.85(m,49H) 、1.9−2.05(m,3H)、2.15−2.3(m,1H)、2.4−2.55(m,1H)、3.5−3.7(m,4H)、4.15(s,2H)。
【0119】
(例示化合物(57)の合成例)
【化44】

【0120】
例示化合物(57)は、下記スキームに従って合成することができる。
【0121】
【化45】

【0122】
前記スキーム中、化合物(57−A)〜化合物(57−C)までの合成は“Tetrahedron ” (1989);45(3);p.687-694.に記載の方法を参照して行うことができる。水素化リチウムアルミニウム(LAH)のテトラヒドロフラン懸濁液に化合物(57−C)のテトラヒドロフラン溶液をゆっくりと滴下し、拡販しながら緩やかに加熱還流することで化合物(57−D)を得た。ついで、化合物(57−E)と化合物(57−D)のジクロロメタン溶液に、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のジクロロメタン溶液を滴下し、室温で攪拌することで例示化合物(57)を得た。
得られた化合物は非液晶性であり、融点はで91℃あった。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ0.80−1.5(m,36H) 1.6−1.85(m,8H)、1.95−2.15(m,3H)、2.25−2.3(m,2H)、3.75−3.85(m,2H)、4.0−4.2(m,2H)、4.7(t,1H)。
【0123】
(例示化合物(84)の合成例)
【化46】

【0124】
例示化合物(84)は、下記スキームに従って合成することができる。
【0125】
【化47】

【0126】
化合物(84−B)の合成は"Liebigs Ann. " (1995);p.1319-1326.に記載の方法を参照して行った。化合物(84−A)1.2gをテトラヒドロフラン10mLに溶解した溶液を−78℃に冷却後、1.58mol/Lのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液9.0mLを加え、0℃で一時間撹拌した。化合物(84−B)3.0gをテトラヒドロフラン10mLに溶解した溶液を加え、0℃で一時間撹拌し、さらに室温で2時間撹拌した。塩酸で中和後、酢酸エチル100mLで抽出した。酢酸エチル溶液を水100mLで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した。残渣に1.0mol/Lのテトラ(n-ブチル)アンモニウムフルオライドのテトラヒドロフラン溶液100mLを加え、室温で20時間撹拌した。水300mLを加え、ヘキサン300mLで抽出した。ヘキサン溶液を水300mLで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10:1)で精製し、化合物(84−C)を2.6g得た。化合物(84−C)1.3gをテトラヒドロフラン10mLに溶解した溶液を0℃に冷却後、ピリジン0.5mLを加え、さらに、化合物(84−D)1.78gをテトラヒドロフラン10mLに溶解した溶液を加え、室温で24時間撹拌した。水100mLを加え、ヘキサン200mLで抽出した。ヘキサン溶液を水200mLで洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=30:1)で精製し、例示化合物(84)を1.48g得た。
【0127】
得られた化合物は液晶性であった。相転移温度を以下に示す。
相転移点:Cryst(65℃)Sm(72℃)Iso。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ0.75−1.88(m,52H) 、1.88−2.10(m,6H) 、2.18(tt,1H)、2.52(s,1H)。
【0128】
(例示化合物(107)の合成例)
【化48】

【0129】
例示化合物(107)は、下記スキームに従って合成することができる。
【0130】
【化49】

【0131】
化合物(107−A)に臭化水素酸(5等量×4)、硫酸(0.5等量)を加え、100℃で加熱攪拌することで化合物(107−B)を得た(収率86%)。次に、マグネシウム粉末(1.1等量)をテトラヒドロフラン中攪拌し、そこに化合物(107−B)のテトラヒドロフラン溶液を注意深く加えて3時間加熱還流し、冷却した溶液を粉砕したドライアイス(40等量)のテトラヒドロフラン溶液に滴下して1時間室温で攪拌し、塩酸で処理することで化合物(107−C)を得た(収率50%)。次に、水素化リチウムアルミニウム(LAH)のテトラヒドロフラン懸濁液に化合物(107−C)のテトラヒドロフラン溶液をゆっくりと滴下し、緩やかに加熱還流することで化合物(107−D)を得た(収率99%)。次に、化合物(107−D)に臭化水素酸(5等量×4)、硫酸(0.5等量)を加え、100℃で加熱攪拌することで化合物(107−E)を得た(収率80%)。
化合物(107−F)の合成は"Liebigs Ann. " (1995);p.1319-1326.に記載の方法を参照して行った。次に、化合物(107−F)のテトラヒドロフラン溶液にリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のヘキサン溶液を−78℃で注意深く滴下し、滴下後−78℃で40分攪拌した後、化合物(107−E)のテトラヒドロフラン溶液を−78℃で滴下し、室温でさらに3時間攪拌することで、例示化合物(107)を得た(収率60%)。
【0132】
得られた化合物は液晶性であった。相転移温度を以下に示す。
相転移点:Cryst(128℃)Sm(169℃)Iso。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ0.80−1.6(m,55H) 、1.65−1.95(m,8H)
【0133】
(例示化合物(109)の合成例)
【化50】

【0134】
例示化合物(109)は、下記スキームに従って合成することができる。
【0135】
【化51】

【0136】
化合物(109−A)に臭化水素酸(5等量×4)、硫酸(0.5等量)を加え、100℃で加熱攪拌することで化合物(109−B)を得た(収率86%)。化合物(109−C)の合成は"Liebigs Ann. " (1995);p.1319-1326.に記載の方法を参照して行った。次に、化合物(109−C)のテトラヒドロフラン溶液にリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のヘキサン溶液を−78℃で注意深く滴下し、滴下後−78℃で40分攪拌した後、化合物(109−B)のテトラヒドロフラン溶液を−78℃滴下し、室温でさらに3時間攪拌することで、例示化合物(109)を得た(収率56%)。
【0137】
得られた化合物は液晶性であった。相転移温度を以下に示す。
相転移点:Cryst(125℃)Sm(148℃)Iso。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ0.80−1.6(m,53H) 、1.6−1.8(m,6H)、1.8−1.95(m,2H)
【0138】
(例示化合物(111)の合成例)
【化52】

【0139】
例示化合物(111)は、例示化合物(109)と同様のスキームに従って合成することができる。
得られた化合物は非液晶性であり、融点はで86℃あった。
また、得られた化合物の1H−NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz、CDCl3)δ0.85−1.55(m,43H) 、1.7−1.95(m,8H)
【0140】
[実施例2:液晶組成物の調製例]
<二色性色素の合成>
二色性色素(1−1)及び(1−8)は、特開2003−192664号公報に記載の方法に従い合成した。二色性色素(1−12)は、特開2005−272713号公報に記載の方法に従い合成した。二色性色素(1−13)は、特開2005−145991号公報に記載の方法に従い合成した。
【0141】
<ホスト液晶(HLC−1)の調製>
市販の室温ネマチック液晶商品名MLC−6609(E.Merck社製)88mg、及び例示化合物(8)12mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−1)を調製した。ホスト液晶(HLC−1)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(82.7℃)Iso。
【0142】
<ホスト液晶(HLC−2)の調製>
MLC−6609(E.Merck社製)84mg、例示化合物(25)16mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−2)を調製した。ホスト液晶(HLC−2)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(94.0℃)Iso。
【0143】
<ホスト液晶(HLC−3)の調製>
市販の室温ネマチック液晶商品名ZLI−2806(E.Merck社製)80mg、例示化合物(8)20mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−3)を調製した。ホスト液晶(HLC−3)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(82.1℃)Iso。
【0144】
<ホスト液晶(HLC−4)の調製>
ZLI−2806(E.Merck社製)88mg、例示化合物(25)12mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−4)を調製した。ホスト液晶(HLC−4)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(102.9℃)Iso。
【0145】
<ホスト液晶(HLC−5)の調製>
ZLI−2806(E.Merck社製)90mg、例示化合物(53)10mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−5)を調製した。ホスト液晶(HLC−5)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(93℃)Iso。
【0146】
<ホスト液晶(HLC−6)の調製>
ZLI−2806(E.Merck社製)90mg、例示化合物(61)10mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−6)を調製した。ホスト液晶(HLC−6)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(85℃)Iso。
【0147】
<ホスト液晶(HLC−7)の調製>
ZLI−2806(E.Merck社製)95mg、例示化合物(69)5mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−7)を調製した。ホスト液晶(HLC−7)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(96℃)Iso。
【0148】
<ホスト液晶(HLC−8)の調製>
ZLI−2806(E.Merck社製)90mg、例示化合物(84)10mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−8)を調製した。ホスト液晶(HLC−8)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(97℃)Iso。
【0149】
<ホスト液晶(HLC−9)の調製>
ZLI−2806(E.Merck社製)90mg、例示化合物(111)10mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−9)を調製した。ホスト液晶(HLC−9)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(98℃)Iso。
【0150】
<ホスト液晶(HLC−10)の調製(比較例)>
ZLI−2806(E.Merck社製)90mg、下記に示すシクロヘキサン3環型液晶化合物(LC−1)10mgを混合し、該混合物を150℃のホットプレート上で1時間加熱して、ホスト液晶(HLC−8)を調製した。ホスト液晶(HLC−8)を室温にまで冷却させ、1晩放置した。相転移点:Ne(106℃)Iso。
【0151】
【化53】

【0152】
<ホスト液晶の評価>
ホスト液晶(HCL−1)〜(HCL−10)、MLC−6609(E.Merck社製)及び、ZLI−2806(E.Merck社製)を、夫々、くさび型の液晶セル(N−Wedge NLCD−057、商品名、NIPPO DENKI CO.,LTD.製)に130℃で注入し、30℃における550nmのΔnを求めた。結果を下記表1及び表2に示す。
【0153】
【表1】

【0154】
表1から明らかなように、市販ネマチック液晶MLC−6609に、例示化合物(8)、(25)を添加することにより、複屈折異方性Δnが減少することが分かった。
【0155】
【表2】

【0156】
表2から明らかなように、市販ネマチック液晶ZLI−2806に、例示化合物(8)、(25)、(53)、(61)、(69)、(84)、(111)を添加することにより、屈折率異方性Δnが減少することが分かった。特に、分子の長軸に対して直交方向に分極率が大きくなるように三重結合を有する(84)、(111)では、屈折率異方性Δnを小さくする効果が大きいことが明らかになった。
一方、ZLI−2806に、1,4−トランスシクロヘキサン骨格をメソゲンに有する液晶化合物(LC−1)を含有させると、複屈折異方性Δnは減少せずに増加することが分かった。
【0157】
<液晶組成物(LCM−1)の調製>
上記で調製したホスト液晶(HLC−3)100mg、二色性色素(No.1−1)5mg及びカイラル剤としてR−811(商品名、E.Merck社製)0.36mgを混合し、該混合物を130℃のホットプレート上で1時間加熱して、液晶組成物を調製した。該液晶組成物を室温にまで冷却させ、1晩放置した。
【0158】
<液晶組成物(LCM−2)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−1)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−4)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−2)を調製した。
【0159】
<液晶組成物(LCM−3)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−1)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−5)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−3)を調製した。
【0160】
<液晶組成物(LCM−4)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−1)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−6)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−4)を調製した。
【0161】
<液晶組成物(LCM−5)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−1)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−8)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−5)を調製した。
【0162】
<液晶組成物(LCM−6)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−1)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−9)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−6)を調製した。
【0163】
<液晶組成物(LCM−7)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−1)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−10)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−7)を調製した。
【0164】
<液晶組成物(LCM−8)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−1)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をZLI−2806(E.Merck社製)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−8)を調製した。
【0165】
<液晶組成物(LCM−9)の調製>
上記で調製したホスト液晶(HLC−3)100mg、二色性色素(No.1−8)5mg及びカイラル剤としてR−811(商品名、E.Merck社製)0.36mgを混合し、該混合物を130℃のホットプレート上で1時間加熱して、液晶組成物を調製した。該液晶組成物を室温にまで冷却させ、1晩放置した。
【0166】
<液晶組成物(LCM−10)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−9)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−6)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−10)を調製した。
【0167】
<液晶組成物(LCM−11)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−9)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−8)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−11)を調製した。
【0168】
<液晶組成物(LCM−12)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−9)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−9)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−12)を調製した。
【0169】
<液晶組成物(LCM−13)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−9)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−10)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−13)を調製した。
【0170】
<液晶組成物(LCM−14)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−9)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をZLI−2806(E.Merck社製)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−14)を調製した。
【0171】
<液晶組成物(LCM−15)の調製>
上記で調製したホスト液晶(HLC−3)100mg、二色性色素(No.1−12)5mg及びカイラル剤としてR−811(商品名、E.Merck社製)0.36mgを混合し、該混合物を130℃のホットプレート上で1時間加熱して、液晶組成物を調製した。該液晶組成物を室温にまで冷却させ、1晩放置した。
【0172】
<液晶組成物(LCM−16)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−15)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−6)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−16)を調製した。
【0173】
<液晶組成物(LCM−17)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−15)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−8)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−17)を調製した。
【0174】
<液晶組成物(LCM−18)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−15)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−9)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−18)を調製した。
【0175】
<液晶組成物(LCM−19)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−15)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−10)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−13)を調製した。
【0176】
<液晶組成物(LCM−20)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−15)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をZLI−2806(E.Merck社製)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−14)を調製した。
【0177】
<液晶組成物(LCM−21)の調製>
上記で調製したホスト液晶(HLC−3)100mg、二色性色素(No.1−13)5mg及びカイラル剤としてR−811(商品名、E.Merck社製)0.36mgを混合し、該混合物を130℃のホットプレート上で1時間加熱して、液晶組成物を調製した。該液晶組成物を室温にまで冷却させ、1晩放置した。
【0178】
<液晶組成物(LCM−22)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−21)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−7)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−22)を調製した。
【0179】
<液晶組成物(LCM−23)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−21)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−8)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−23)を調製した。
【0180】
<液晶組成物(LCM−24)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−21)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−9)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−24)を調製した。
【0181】
<液晶組成物(LCM−25)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−21)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をホスト液晶(HLC−10)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−25)を調製した。
【0182】
<液晶組成物(LCM−26)の調製>
前述の<液晶組成物(LCM−21)の調製>において、ホスト液晶(HLC−3)をZLI−2806(E.Merck社製)に変更した以外は、同じ方法で、液晶組成物(LCM−26)を調製した。
【0183】
[実施例3:液晶素子の作製例]
上記で得られた液晶組成物の各々を、ニッポ電機製の液晶セルに注入し、液晶素子を作製した。用いた液晶セル様の基板は、ITO透明電極層が形成されたガラス基板(厚み1.1mm)であり、セルギャップ8μmで、エポキシ樹脂シール付きであり、一対の基板の対向面には、JSR製ポリイミド配向膜JALS−2021(商品名、垂直配向)が形成されたものである。
【0184】
<吸光度の評価>
作製した液晶素子の画像表示面側において、100Hz、20Vの電圧を印加時の急光度を、分光光度測定器(島津製作所社製、UV−2400PC、商品名)を用いて測定した。結果を表3〜6に示す。
【0185】
【表3】

【0186】
【表4】

【0187】
【表5】

【0188】
【表6】

【0189】
表3に示した結果より、例示化合物(8)、(25)、(53)、(61)、(84)及び(111)をそれぞれ含有する液晶組成物(LCM−1)、(LCM−2)、(LCM−3)、(LCM−4)、(LCM−5)及び(LCM−6)をそれぞれ用いて作製された本発明の液晶素子は、液晶組成物(LCM−7)及び(LCM−8)をそれぞれ用いて作製された液晶素子と比較して、電圧印加時の吸光度が向上することがわかった。
【0190】
表4に示した結果より、例示化合物(8)、(61)、(84)及び(111)をそれぞれ含有する液晶組成物(LCM−9)、(LCM−10)、(LCM−11)及び(LCM−12)をそれぞれ用いて作製された本発明の液晶素子は、液晶組成物(LCM−13)及び(LCM−14)をそれぞれ用いて作製された液晶素子と比較して、電圧印加時の吸光度が向上することがわかった。
【0191】
表5に示した結果より、例示化合物(8)、(61)、(84)及び(111)をそれぞれ含有する液晶組成物(LCM−15)、(LCM−16)、(LCM−17)及び(LCM−18)をそれぞれ用いて作製された本発明の液晶素子は、液晶組成物(LCM−19)及び(LCM−20)をそれぞれ用いて作製された液晶素子と比較して、電圧印加時の吸光度が向上することがわかった。
【0192】
表6に示した結果より、例示化合物8)、(61)、(84)及び(111)をそれぞれ含有する液晶組成物(LCM−21)、(LCM−22)、(LCM−23)及び(LCM−24)をそれぞれ用いて作製された本発明の液晶素子は、液晶組成物(LCM−25)及び(LCM−26)をそれぞれ用いて作製された液晶素子と比較して、電圧印加時の吸光度が向上することがわかった。
【0193】
以上の結果から、前記一般式(I)で表される化合物をホスト液晶として含有する本発明の液晶組成物は、屈折率異方性Δnが小さいことが分かった。さらに、一般式(I)で表される化合物のうち、分子の長軸に対して直交する方向に分極率が大きくなるように、三重結合を有する置換基が配置されている化合物は、屈折率異方性を小さくする効果が大きいことが分かった。本発明の液晶組成物を用いて作製した液晶素子は、前記一般式(I)で表される化合物を含有しない液晶組成物を用いて作製した液晶素子と比較して、電圧印加時における吸光度が大きくなり、表示性能が向上することが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の下記一般式(I)で表される化合物、及び少なくとも1種の二色性色素を含有する液晶組成物:
【化1】

式中、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ、水素原子又は置換基を表し、互いに同一でも異なっていてもよいが、Ra、Rb、Rc及びRdのうち少なくとも一つは、原子数2以上の鎖状構造を含む置換基であり;スピロ環を構成する環E1及び環E2は各々独立に、
【化2】

を表し(図中の*は連結部位を表す);X1及びX2は各々独立に、−CH2−、酸素原子、硫黄原子を表す。
【請求項2】
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物:
【化3】

式中、A1及びA2は各々独立に、置換もしくは無置換の1,4−シクロへキシレンを表し、1,4−シクロへキシレンを構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよく;B1、B2、B3及びB4は各々独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、硫黄原子、−NR5−(R5は水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を表す)、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NR5−、−NR5−CO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2S−、−SCH2−、−CH=CH−、−CH≡CH−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表し;R1及びR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換もしくは無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよく;R3及びR4は各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基、シアノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜5のアルキニル基を表し;a及びbは各々独立に0〜3の整数を表し、a及びbのうち少なくとも1つは0ではなく;スピロ環を構成する環E1及び環E2については、前記式(I)中のそれぞれと同義である。
【請求項3】
前記一般式(I)中、スピロ環
【化4】

であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
前記R3及び/又はR4が、シアノ基、又は炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルキニル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のカイラル剤をさらに含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に液晶層を有する液晶素子であって、該液晶層が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶組成物を含むことを特徴とする液晶素子。
【請求項7】
少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に高分子媒体層を有する液晶素子であって、該高分子媒体層が、高分子と該高分子中に分散された請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶組成物とを含むことを特徴とする液晶素子。
【請求項8】
少なくとも一方が透明電極である一対の電極間に液晶層を有する液晶素子であって、該液晶層が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶組成物を含むマイクロカプセルを含有することを特徴とする液晶素子。
【請求項9】
一般式(III)で表される化合物:
【化5】

式中、A1、A2、B1、B2、B3、B4、R1、R2、R3、R4、a及びbはそれぞれ、請求項2中に記載の式(II)のそれぞれと同義である。
【請求項10】
一般式(III)中、A1及びA2は各々独立に、置換もしくは無置換の1,4−シクロへキシレンを表し;B1及びB2は各々独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表し;B3及びB4は各々独立に、単結合、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−を表し;R1及びR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換もしくは無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよく;R3及びR4は各々独立に、水素原子、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜3のアルキル基を表し;a及びbは各々独立に0〜2の整数を表し、a及びbのうち少なくとも1つは0ではないことを特徴とする請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
一般式(IV)で表される化合物:
【化6】

スピロ環を構成する環E1及び環E2は、請求項1中に記載の式(I)のそれぞれと同義であり;B1、B2、B3、B4、R1、R2、a及びbは、請求項2中に記載の式(II)のそれぞれと同義であり;R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ、水素原子、シアノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜5のアルキニル基を表し、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つは水素原子ではない。
【請求項12】
一般式(IV)中、スピロ環
【化7】

を表し;B1及びB2は各々独立に、単結合、−CH2−、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCOO−CH2−、−CH2−OCOO−又は−CH2−OCOO−CH2−を表し;B3及びB4は各々独立に、単結合、酸素原子、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−OCOO−を表し;R1及びR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜20の置換もしくは無置換アルキル基を表し、アルキル基を構成するCH2基のうち1つもしくは隣接していない2つ以上のCH2基は、酸素原子もしくは硫黄原子で置換されていてもよく;R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17はそれぞれ、水素原子、シアノ基、又は置換もしくは無置換の炭素数2〜5のアルキニル基を表し、R3、R4、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17の少なくとも1つは水素原子ではなく;a及びbは各々独立に0〜2の整数を表し、a及びbのうち少なくとも1つは0ではないことを特徴とする請求項11に記載の化合物。

【公開番号】特開2008−297327(P2008−297327A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141510(P2007−141510)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】