説明

液晶表示素子

【課題】高度な微細加工技術を要することなく、高い階調表示を行なうことを課題とする。
【解決手段】液晶表示素子は、第一波長帯域を選択反射する第一液晶と、第一波長帯域とは異なる第二波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧が第一液晶とは異なる第二液晶とが、画素単位で配置される同一の電極に接して形成される第一液晶層を有する。液晶表示素子は、第二波長帯域を選択反射する第三液晶と、第一波長帯域及び第二波長帯域とは異なる第三波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧が第三液晶とは異なる第四液晶とが、画素単位で配置される同一の電極に接して形成される第二液晶層を有する。また、第一液晶層と第二液晶層とは、重ね合わせて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子は、一つの態様として、一対の基板間に液晶を含んだ液晶層を狭持して形成される。そして、液晶表示素子は、所定の駆動電圧が印加されることにより、液晶層における液晶分子の配列が制御され、入射される外光を変調して目的の画像を表示する。液晶表示素子としては、例えば、コレステリック液晶を用いたものがある。
【0003】
コレステリック液晶を用いた液晶表示素子では、例えば、異なる波長帯域を反射するRGB(Red‐Green‐Blue color model)の各液晶としての単パネルが3層に積層される。但し、3色の単パネルを用いた3層の積層は、単パネルに対して、単純に3倍程度の製造コストを要することとなる。
【0004】
製造コストを安価にするための技術としては、図19に示すように、単パネル中にRGBの3色の液晶を注入し、1画素を3副画素に分割する技術がある。図19の例では、副画素としてのRGBの液晶を1画素とし、3副画素それぞれに対して電極から電圧が印加されることとなる。また、単パネルを用いた技術では、副画素としてのRGBの3液晶を1画素とし、当該1画素単位で電極から電圧が印加されるものがある。なお、図19は、従来技術に係る単パネルでの3色液晶の表示素子の例を示す図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−267063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、高度な微細加工技術を要するとともに、高い階調表示を行なうことができないという課題がある。具体的には、1画素を3副画素に分割する技術では、3層の積層時と同様の面積を1画素で維持しつつ単パネル化するため、電極線の幅が1/3となり、当該電極線に対し、より高度な微細加工技術を要することとなる。すなわち、より高度な微細加工技術を要することは、液晶表示素子の製造において、低品質になり得るとともに歩留まりが高くなる。
【0007】
また、副画素としてのRGBの3液晶を1画素とする技術では、3層の積層時と同じ微細加工技術が適用可能である。ところが、副画素としてのRGBの3液晶を1画素とする技術では、3液晶の配向状態(プレーナ状態、フォーカルコニック状態及びホメオトロピック状態)の組み合わせから7色若しくは8色の低い階調表示となる。
【0008】
そこで、本願に開示する技術は、上記に鑑みてなされたものであって、高度な微細加工技術を要することなく、高い階調表示を行なうことが可能である液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示する液晶表示素子は、第一波長帯域を選択反射する第一液晶と、第一波長帯域とは異なる第二波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧が第一液晶とは異なる第二液晶とが、画素単位で配置される同一の電極に接して形成される第一液晶層を有する。液晶表示素子は、第二波長帯域を選択反射する第三液晶と、第一波長帯域及び第二波長帯域とは異なる第三波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧が第三液晶とは異なる第四液晶とが、画素単位で配置される同一の電極に接して形成される第二液晶層を有する。また、第二液晶層は、第一液晶層と重ね合わせて配置される。
【発明の効果】
【0010】
本願に開示する液晶表示素子の一つの様態によれば、高度な微細加工技術を要することなく、高い階調表示を行なうという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係る液晶表示素子の構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施例2に係る液晶表示素子の構成例を示す図である。
【図3A】図3Aは、実施例2に係る第一液晶層に含まれる各液晶を駆動する閾値電圧の例を示す図である。
【図3B】図3Bは、実施例2に係る第二液晶層に含まれる各液晶を駆動する閾値電圧の例を示す図である。
【図4】図4は、階調表示の一例としての所定位置を示す色度図例である。
【図5A】図5Aは、実施例2に係る第一液晶層によるポイント1における階調表示を説明する図である。
【図5B】図5Bは、実施例2に係る第二液晶層によるポイント1における階調表示を説明する図である。
【図6A】図6Aは、実施例2に係る第一液晶層によるポイント2における階調表示を説明する図である。
【図6B】図6Bは、実施例2に係る第二液晶層によるポイント2における階調表示を説明する図である。
【図7A】図7Aは、実施例2に係る第一液晶層によるポイント3における階調表示を説明する図である。
【図7B】図7Bは、実施例2に係る第二液晶層によるポイント3における階調表示を説明する図である。
【図8A】図8Aは、実施例2に係る第一液晶層によるポイント4における階調表示を説明する図である。
【図8B】図8Bは、実施例2に係る第二液晶層によるポイント4における階調表示を説明する図である。
【図9】図9は、階調表示の一例としての所定領域を示す色度図例である。
【図10A】図10Aは、実施例2に係る第一液晶層によるパターンAにおける階調表示を説明する図である。
【図10B】図10Bは、実施例2に係る第二液晶層によるパターンAにおける階調表示を説明する図である。
【図11A】図11Aは、実施例2に係る第一液晶層によるパターンBにおける階調表示を説明する図である。
【図11B】図11Bは、実施例2に係る第二液晶層によるパターンBにおける階調表示を説明する図である。
【図12A】図12Aは、実施例2に係る第一液晶層によるパターンCにおける階調表示を説明する図である。
【図12B】図12Bは、実施例2に係る第二液晶層によるパターンCにおける階調表示を説明する図である。
【図13】図13は、階調表示の一例としての所定領域を示す色度図例である。
【図14A】図14Aは、実施例2に係る第一液晶層によるパターンDにおける階調表示を説明する図である。
【図14B】図14Bは、実施例2に係る第二液晶層によるパターンDにおける階調表示を説明する図である。
【図15A】図15Aは、実施例2に係る第一液晶層によるパターンEにおける階調表示を説明する図である。
【図15B】図15Bは、実施例2に係る第二液晶層によるパターンEにおける階調表示を説明する図である。
【図16A】図16Aは、実施例2に係る第一液晶層によるパターンFにおける階調表示を説明する図である。
【図16B】図16Bは、実施例2に係る第二液晶層によるパターンFにおける階調表示を説明する図である。
【図17】図17は、パターンA〜Fにおける各液晶の取り得る階調の値の例について説明する図である。
【図18A】図18Aは、液晶注入前の空パネルである構造物の例を示す図である。
【図18B】図18Bは、構造物に緑色の液晶が注入される例を示す図である。
【図18C】図18Cは、緑色の液晶の注入口が封止される例を示す図である。
【図18D】図18Dは、構造物に赤色の液晶が注入される例を示す図である。
【図18E】図18Eは、赤色の液晶の注入口が封止される例を示す図である。
【図19】図19は、従来技術に係る単パネルでの3色液晶の表示素子の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本願に開示する液晶表示素子の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。また、各実施例は、内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0013】
図1を用いて、実施例1に係る液晶表示素子の構成例を説明する。図1は、実施例1に係る液晶表示素子の構成例を示す図である。なお、以下では、液晶表示素子の一つの態様として、コレステリック液晶を用いる場合を説明する。
【0014】
図1に示すように、液晶表示素子1は、第一液晶層2、第二液晶層3及びBK(Black)層4を有する。第一液晶層2は、第一波長帯域を選択反射する第一液晶7と、第一波長帯域とは異なる第二波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧が第一液晶7とは異なる第二液晶8とを有する。また、第一液晶層2は、第一液晶7と第二液晶8とが、画素単位で配置される同一の電極5a又は電極5bに接して形成される。なお、第一液晶層2においては、第一液晶7及び第二液晶8それぞれが隔壁13で分離されており、電極5a、電極5b、第一液晶7、第二液晶8、隔壁13及び走査電極15が基板11で狭持される。
【0015】
一方、第二液晶層3は、第二波長帯域を選択反射する第三液晶9と、第一波長帯域及び第二波長帯域とは異なる第三波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧が第三液晶9とは異なる第四液晶10とを有する。また、第二液晶層3は、第三液晶9と第四液晶10とが、画素単位で配置される同一の電極6a又は電極6bに接して形成され、第一液晶層2と重ね合わせて配置される。なお、第二液晶層3においては、第三液晶9及び第四液晶10それぞれが隔壁14で分離されており、電極6a、電極6b、第三液晶9、第四液晶10、隔壁14及び走査電極16が基板12で狭持される。また、第二液晶8及び第三液晶9は、同一の波長帯域を選択反射する同一色の液晶である。
【0016】
上述した構成において、液晶表示素子1では、例えば、駆動回路(図示せず)等から出力された信号に基づいて、1画素単位で配置される電極5a及び電極5bと、走査電極15とにより電圧が印加される。また、液晶表示素子1では、例えば、同様に、駆動回路等から出力された信号に基づいて、1画素単位で配置される電極6a及び電極6bと、走査電極16とにより電圧が印加される。
【0017】
そして、液晶表示素子1では、各液晶がプレーナ状態である場合に、第一液晶層2のうち閾値電圧が異なる第一液晶7及び第二液晶8と、第二液晶層3のうち閾値電圧が異なる第三液晶9及び第四液晶10とに当てられた光が反射される。その後、各液晶で反射された光は、所定の表示画面に目的の画像として出力される。また、表示画面は、各液晶がフォーカルコニック状態である場合に、可視光吸収層であるBK層4に当てられた光が反射されることで黒色を出力する。なお、BK層4は、表示画面に出力される画像の用途に応じて配置されれば良い。
【0018】
詳細には、閾値電圧が異なる液晶を用いた液晶表示素子1では、例えば、第一液晶7の明るさの最大値(一定値)をとるとともに、第二液晶8、第三液晶9及び第四液晶10を階調表示させることで、所定のパターンの色が出力される。すなわち、液晶表示素子1では、各液晶の色の階調表示の組み合わせから種々のパターンの色が出力される。
【0019】
上述したように、液晶表示素子1は、画素単位に配置される電極を有する。また、液晶表示素子1は、異なる波長帯域を選択反射するとともに、駆動に要する閾値電圧が異なる複数の液晶を、二層構造の液晶層にそれぞれ有する。これらの結果、液晶表示素子1は、液晶単位に配置される電極を有する従来技術や、単パネルで液晶の配向状態の組み合わせから階調表示する従来技術等と比較して、高度な微細加工技術を要することなく、高い階調表示を行なうことができる。
【実施例2】
【0020】
[実施例2に係る液晶表示素子の構成]
次に、図2を用いて、実施例2に係る液晶表示素子の構成例を説明する。図2は、実施例2に係る液晶表示素子の構成例を示す図である。なお、以下では、液晶表示素子の一つの態様として、コレステリック液晶を用いる場合を説明する。
【0021】
例えば、図2に示すように、液晶表示素子100は、第一液晶層101、第二液晶層102及びBK層103を有する。このうち、第一液晶層101は、第一波長帯域を選択反射する青色のB(Blue)用液晶106と、第一波長帯域とは異なる第二波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧がB用液晶106とは異なる緑色のG(Green)用液晶107とを有する。
【0022】
また、第一液晶層101は、B用液晶106とG用液晶107とが、画素単位で配置される同一の電極104a又は電極104bに接して形成される。また、第一液晶層101においては、B用液晶106及びG用液晶107それぞれが隔壁112で分離されており、電極104a、電極104b、B用液晶106、G用液晶107、隔壁112及び走査電極114が基板110で狭持される。
【0023】
なお、第一液晶層101は、実施例1に係る第一液晶層2の一例として挙げられる。また、電極104aは、実施例1に係る電極5aの一例として、電極104bは、実施例1に係る電極5bの一例として挙げられる。また、B用液晶106は、実施例1に係る第一液晶7の一例として、G用液晶107は、実施例1に係る第二液晶8の一例として挙げられる。
【0024】
一方、第二液晶層102は、第二波長帯域を選択反射する緑色のG用液晶108と、第一波長帯域及び第二波長帯域とは異なる第三波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧がG用液晶108とは異なる赤色のR(Red)用液晶109とを有する。また、第二液晶層102は、G用液晶108とR用液晶109とが、画素単位で配置される同一の電極105a又は電極105bに接して形成され、第一液晶層101と重ね合わせて配置される。
【0025】
また、第二液晶層102においては、G用液晶108及びR用液晶109それぞれが隔壁113で分離されており、電極105a、電極105b、G用液晶108、R用液晶109、隔壁113及び走査電極115が基板111で狭持される。なお、第二液晶層102は、実施例1に係る第二液晶層3の一例として挙げられる。また、電極105aは、実施例1に係る電極6aの一例として、電極105bは、実施例1に係る電極6bの一例として挙げられる。また、G用液晶108は、実施例1に係る第三液晶9の一例として、R用液晶109は、実施例1に係る第四液晶10の一例として挙げられる。
【0026】
上述した構成において、液晶表示素子100では、例えば、駆動回路(図示せず)等から出力された信号に基づいて、1画素単位で配置される電極104a及び電極104bと、走査電極114とにより電圧が印加される。また、液晶表示素子100では、例えば、同様に、駆動回路等から出力された信号に基づいて、1画素単位で配置される電極105a及び電極105bと、走査電極115とにより電圧が印加される。
【0027】
各液晶がプレーナ状態である場合に、液晶表示素子100では、第一液晶層101のうち閾値電圧が異なるB用液晶106及びG用液晶107と、第二液晶層102のうち閾値電圧が異なるG用液晶108及びR用液晶109とに当てられた光が反射される。その後、各液晶で反射された光は、所定の表示画面に目的の画像として出力される。また、表示画面は、各液晶がフォーカルコニック状態である場合に、可視光吸収層であるBK層103に当てられた光が反射されることで黒色を出力する。なお、BK層103は、表示画面に出力される画像の用途に応じて配置されれば良い。
【0028】
[閾値電圧]
次に、図3A及び図3Bを用いて、実施例2に係る第一液晶層101及び第二液晶層102に含まれる各液晶を駆動する閾値電圧について説明する。図3Aは、実施例2に係る第一液晶層101に含まれる各液晶を駆動する閾値電圧の例を示す図である。図3Bは、実施例2に係る第二液晶層102に含まれる各液晶を駆動する閾値電圧の例を示す図である。
【0029】
例えば、図3Aに示すように、第一液晶層101に含まれるB用液晶106及びG用液晶107それぞれを駆動する閾値電圧は、青色のB用液晶106と緑色のG用液晶107とで異なる。また、例えば、各液晶の厚みが同一の状態であれば、閾値電圧は、B用液晶106とG用液晶107とが誘電率異方性を有することで異なる。なお、図3Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、破線を青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を示し、実線を緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を示している。
【0030】
また、例えば、図3Bに示すように、第二液晶層102に含まれるG用液晶108及びR用液晶109それぞれを駆動する閾値電圧は、緑色のG用液晶108と赤色のR用液晶109とで異なる。また、例えば、各液晶の厚みが同一の状態であれば、閾値電圧は、G用液晶108とR用液晶109とが誘電率異方性を有することで異なる。なお、図3Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、実線を緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を示し、一点破線を赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を示している。
【0031】
[階調表示]
次に、図4〜図16Bを用いて、実施例2に係る液晶表示素子100による階調表示について説明する。以下では、図4〜図8Bを用いて、色度図における所定位置の階調表示について説明し、図9〜図12B及び図13〜図16Bを用いて、色度図における異なる階調表示手法をそれぞれ説明する。
【0032】
図4は、階調表示の一例としての所定位置を示す色度図例である。例えば、図4に示すように、色度図は、白、緑、黄、橙、赤、紫及び青等の色の度合いを示す。なお、図4では、図示の関係上、上記の色それぞれの境界があるように図示されているが、実際には各色が滑らかに変化する図となる。以下では、図4に図示されたポイント1、ポイント2、ポイント3及びポイント4それぞれの位置における階調表示を説明する。
【0033】
図5Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるポイント1における階調表示を説明する図である。図5Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるポイント1における階調表示を説明する図である。なお、図5Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図5Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図5A及び図5Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線は、各液晶層で利用される位置を示している。
【0034】
例えば、図5Aに示すように、第一液晶層101では、青色及び緑色の双方について最小値付近が利用される。また、例えば、図5Bに示すように、第二液晶層102では、緑色について最小値付近が利用され、赤色について最大値付近が利用される。すなわち、ポイント1における階調表示について、液晶表示素子100は、赤色の色調が強い色を出力することとなる。
【0035】
図6Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるポイント2における階調表示を説明する図である。図6Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるポイント2における階調表示を説明する図である。なお、図6Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図6Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図6A及び図6Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線は、各液晶層で利用される位置を示している。
【0036】
例えば、図6Aに示すように、第一液晶層101では、青色について最大値付近が利用され、緑色について最小値付近が利用される。また、例えば、図6Bに示すように、第二液晶層102では、緑色について最小値付近が利用され、赤色について最大値付近が利用される。すなわち、ポイント2における階調表示について、液晶表示素子100は、赤色と青色との色調が強い紫に近い色を出力することとなる。
【0037】
図7Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるポイント3における階調表示を説明する図である。図7Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるポイント3における階調表示を説明する図である。なお、図7Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図7Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図7A及び図7Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線は、各液晶層で利用される位置を示している。
【0038】
例えば、図7Aに示すように、第一液晶層101では、青色について最大値付近が利用され、緑色について最小値付近が利用される。また、例えば、図7Bに示すように、第二液晶層102では、緑色及び赤色の双方について最大値付近が利用される。すなわち、ポイント3における階調表示について、液晶表示素子100は、青色、緑色及び赤色の色調から白色を出力することとなる。
【0039】
図8Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるポイント4における階調表示を説明する図である。図8Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるポイント4における階調表示を説明する図である。なお、図8Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図8Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図8A及び図8Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線は、各液晶層で利用される位置を示している。
【0040】
例えば、図8Aに示すように、第一液晶層101では、青色及び緑色の双方について最小値付近が利用される。また、例えば、図8Bに示すように、第二液晶層102では、緑色及び赤色の双方について最大値付近が利用される。すなわち、ポイント4における階調表示について、液晶表示素子100は、緑色と赤色との色調が強い黄色に近い色を出力することとなる。
【0041】
図9は、階調表示の一例としての所定領域を示す色度図例である。例えば、図9に示すように、色度図は、白、緑、黄、橙、赤、紫及び青等の色の度合いを示す。なお、図9では、図示の関係上、上記の色それぞれの境界があるように図示されているが、実際には各色が滑らかに変化する図となる。以下では、図9に図示されたパターンA、パターンB及びパターンCそれぞれの領域における階調表示を説明する。
【0042】
図10Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるパターンAにおける階調表示を説明する図である。図10Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるパターンAにおける階調表示を説明する図である。なお、図10Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図10Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図10A及び図10Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線の領域は、各液晶層で利用される領域を示している。
【0043】
例えば、図10Aに示すように、第一液晶層101では、点線の領域において、青色について最小値付近から最大値付近までが利用され、緑色について最小値付近が利用される。また、例えば、図10Bに示すように、第二液晶層102は、点線の領域において、緑色について最大値付近から最小値付近までが利用され、赤色について最大値付近が利用される。すなわち、パターンAにおける階調表示について、液晶表示素子100は、図10A及び図10Bに図示された点線の領域の移動により出力可能な色であって、白、黄、橙、赤及び紫に囲まれる領域に含まれる階調を出力することとなる。
【0044】
図11Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるパターンBにおける階調表示を説明する図である。図11Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるパターンBにおける階調表示を説明する図である。なお、図11Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図11Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図11A及び図11Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線の領域は、各液晶層で利用される領域を示している。
【0045】
例えば、図11Aに示すように、第一液晶層101は、点線の領域において、青色について最大値付近から最小値付近までが利用され、緑色について最大値付近が利用される。また、例えば、図11Bに示すように、第二液晶層102は、点線の領域において、緑色について最大値付近が利用され、赤色について最小値付近から最大値付近までが利用される。すなわち、パターンBにおける階調表示について、液晶表示素子100は、図11A及び図11Bに図示された点線の領域の移動により出力可能な色であって、白、青と緑の中間色、緑及び黄に囲まれる領域に含まれる階調を出力することとなる。
【0046】
図12Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるパターンCにおける階調表示を説明する図である。図12Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるパターンCにおける階調表示を説明する図である。なお、図12Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。図12Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図12A及び図12Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線の領域は、各液晶層で利用される領域を示している。
【0047】
例えば、図12Aに示すように、第一液晶層101は、点線の領域において、青色について最大値付近が利用され、緑色について最小値付近から最大値付近までが利用される。また、例えば、図12Bに示すように、第二液晶層102は、点線の領域において、緑色において最小値付近が利用され、赤色について最大値付近から最小値付近までが利用される。すなわち、パターンCにおける階調表示について、液晶表示素子100は、図12A及び図12Bに図示された点線の領域の移動により出力可能な色であって、白、青と緑の中間色、青及び紫に囲まれる領域に含まれる階調を出力することとなる。
【0048】
図13は、階調表示の一例としての所定領域を示す色度図例である。例えば、図13に示すように、色度図は、白、緑、黄、橙、赤、紫及び青等の色の度合いを示す。なお、図13では、図示の関係上、上記の色それぞれの境界があるように図示されているが、実際には各色が滑らかに変化する図となる。以下では、図13に図示されたパターンD、パターンE及びパターンFそれぞれの領域における階調表示を説明する。
【0049】
図14Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるパターンDにおける階調表示を説明する図である。図14Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるパターンDにおける階調表示を説明する図である。なお、図14Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図14Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図14A及び図14Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線の領域は、各液晶層で利用される領域を示している。
【0050】
例えば、図14Aに示すように、第一液晶層101では、点線の領域において、青色について最小値付近から最大値付近までが利用され、緑色について最小値付近が利用される。また、例えば、図14Bに示すように、第二液晶層102では、点線の領域において、緑色について最小値付近から最大値付近までが利用され、赤色について最小値付近が利用される。すなわち、パターンDにおける階調表示について、液晶表示素子100は、図14A及び図14Bに図示された点線の領域の移動により出力可能な色であって、白、青及び緑に囲まれる領域に含まれる階調を出力することとなる。
【0051】
図15Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるパターンEにおける階調表示を説明する図である。図15Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるパターンEにおける階調表示を説明する図である。なお、図15Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図15Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図15A及び図15Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線の領域は、各液晶層で利用される領域を示している。
【0052】
例えば、図15Aに示すように、第一液晶層101では、点線の領域において、青色について最小値付近から最大値付近までが利用され、緑色について最小値付近が利用される。また、例えば、図15Bに示すように、第二液晶層102では、点線の領域において、緑色について最小値付近が利用され、赤色について最大値付近から最小値付近までが利用される。すなわち、パターンEにおける階調表示について、液晶表示素子100は、図15A及び図15Bに図示された点線の領域の移動により出力可能な色であって、白、青、紫、赤及び橙に囲まれる領域に含まれる階調を出力することとなる。
【0053】
図16Aは、実施例2に係る第一液晶層101によるパターンFにおける階調表示を説明する図である。図16Bは、実施例2に係る第二液晶層102によるパターンFにおける階調表示を説明する図である。なお、図16Aでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、青色のB用液晶106の閾値電圧及び明るさの値を破線で示し、緑色のG用液晶107の閾値電圧及び明るさの値を実線で示している。また、図16Bでは、縦軸を「明るさ」、横軸を「電圧」とし、緑色のG用液晶108の閾値電圧及び明るさの値を実線で示し、赤色のR用液晶109の閾値電圧及び明るさの値を一点破線で示している。また、図16A及び図16Bにおいて、縦軸と水平に図示された点線の領域は、各液晶層で利用される領域を示している。
【0054】
例えば、図16Aに示すように、第一液晶層101では、点線の領域において、青色について最小値付近が利用され、緑について最大値付近から最小値付近までが利用される。また、例えば、図16Bに示すように、第二液晶層102では、点線の領域において、緑色について最小値付近が利用され、赤色について最大値付近から最小値付近までが利用される。すなわち、パターンFにおける階調表示について、液晶表示素子100は、図16A及び図16Bに図示された点線の領域の移動により出力可能な色であって、白、橙、黄及び緑に囲まれる領域に含まれる階調を出力することとなる。
【0055】
ここで、図17を用いて、上記各パターンにおける各液晶の取り得る階調の値について説明する。図17は、パターンA〜Fにおける各液晶の取り得る階調の値の例について説明する図である。
【0056】
図17に示すように、図9に図示したパターンAにおける階調の値は、例えば、赤色について最大値付近となり、緑色について所定領域内で変動し、青色について所定領域内で変動する。また、図17に示すように、図9に図示したパターンBにおける階調の値は、例えば、赤色について所定領域内で変動し、緑色について最大値付近となり、青色について所定領域内で変動する。また、図17に示すように、図9に図示したパターンCにおける階調の値は、例えば、赤色について所定領域内で変動し、緑色について所定領域内で変動し、青色について最大値付近となる。
【0057】
また、図17に示すように、図13に図示したパターンDにおける階調の値は、例えば、赤色について最小値付近となり、緑色について所定領域内で変動し、青色について所定領域内で変動する。また、図17に示すように、図13に図示したパターンEにおける階調の値は、例えば、赤色について所定領域内で変動し、緑色について最小値付近となり、青色について所定領域内で変動する。また、図17に示すように、図13に図示したパターンFにおける階調の値は、例えば、赤色について所定領域内で変動し、緑色について所定領域内で変動し、青色について最小値付近となる。
【0058】
[構造物]
次に、図18A〜図18Eを用いて、実施例2に係る液晶表示素子100のパネルについて説明する。図18Aは、液晶注入前の空パネルである構造物の例を示す図である。また、図18Bは、構造物に緑色の液晶が注入される例を示す図である。また、図18Cは、緑色の液晶の注入口が封止される例を示す図である。また、図18Dは、構造物に赤色の液晶が注入される例を示す図である。また、図18Eは、赤色の液晶の注入口が封止される例を示す図である。なお、以下では、液晶表示素子100の各液晶層に注入される色が、赤色及び緑色と、青色及び緑色とである場合を説明する。
【0059】
例えば、基板は、100μm厚のポリエチレンテレフタレート製フィルム基板である。そして、基板表面には、透明導電膜が成膜される。また、2枚の基板は、パッシブ駆動ができるように、互いに直交する方向に駆動電極が形成される。液晶表示素子100は、上記の基板を4枚(2組)有する。
【0060】
続いて、構造物は、スピンナにてアクリル系ネガレジストが一方の基板に成膜され、フォトプロセスを通すことにより、2つに仕切られた液晶の注入領域を規定するためのアクリル系ネガレジストから形成される。その後、構造物は、基板端部の液晶の注入用の開口部を2つ設けるためにシール剤が一方の基板に塗布され、2枚の基板を貼り合わせて加圧及び加熱することで接着される。
【0061】
これらにより準備された構造物としての空パネル(図18A参照)2枚は、それぞれ真空状態にされる。そして、構造物には、緑色のコレステリック液晶に浸漬させ、大気開放が行なわれることで緑色の液晶が注入される(図18B参照)。続いて、構造物は、緑色の液晶が注入された注入口が封止される(図18C参照)。その後、構造物には、赤色の液晶が注入される(図18D参照)。そして、構造物は、赤色の液晶が注入された注入口が封止される(図18E参照)。
【0062】
青色と緑色とを注入する液晶層については、緑色と赤色とを含んだ液晶層の作製と同様であるためその説明を省略する。また、各液晶層(液晶パネル)の作製後には、光を反射する方向から青色及び緑色のパネル、赤色及び緑色のパネルの順に2層に積層される。なお、このようにして作製される液晶パネルには、誘電率異方性を有することで駆動に要する閾値電圧が異なる赤色及び緑色と、青色及び緑色との液晶がそれぞれ注入されていることとなる。
【0063】
[実施例2による効果]
上述したように、液晶表示素子100は、波長帯域の異なる液晶を1画素単位で配置される共通の電極で駆動させる。また、液晶表示素子100は、二層構造の各層に閾値電圧が異なる複数の液晶を有し、各液晶の駆動パターンを組み合わせて階調表示する。これらの結果、液晶表示素子100は、高度な微細加工技術を要することなく、高い階調表示を行なうことができる。また、液晶表示素子100では、二層構造にすることで電極のライン数を三層構造と比較して削減することができるので、電極に電圧を提供するドライバの数を削減し、より低コストである液晶表示素子を実現することができる。
【実施例3】
【0064】
さて、これまで本願に開示する液晶表示素子の実施例について説明したが、上述した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)配向膜、(2)配向膜の膜厚、(3)液晶の組み合わせ、(4)閾値電圧の制御、(5)基板の種類、(6)レジスト、において異なる実施例を説明する。
【0065】
(1)配向膜
上記実施例2では、各液晶の駆動に要する閾値電圧が異なるようにするために、誘電率異方性を有する液晶それぞれを用いる場合を説明したが、液晶と電極との界面に配向膜を介在させることで閾値電圧が異なるようにすることもできる。
【0066】
例えば、第一液晶層101は、B用液晶106及びG用液晶107と、電極104a及び電極104bとの間に配向膜を介在させて形成される。また、例えば、第二液晶層102は、G用液晶108及びR用液晶109と、電極105a及び電極105bとの間に配向膜を介在させて形成される。
【0067】
(2)配向膜の膜厚
また、上記実施例2では、各液晶の駆動に要する閾値電圧が異なるようにするために、誘電率異方性を有する液晶それぞれを用いる場合を説明したが、液晶と電極との界面に膜厚の異なる配向膜を介在させることで閾値電圧が異なるようにすることもできる。
【0068】
例えば、第一液晶層101は、B用液晶106及びG用液晶107と、電極104a及び電極104bとの間に膜厚が異なる配向膜を介在させて形成される。また、例えば、第二液晶層102は、G用液晶108及びR用液晶109と、電極105a及び電極105bとの間に膜厚が異なる配向膜を介在させて形成される。
【0069】
ここで、配向膜の膜厚が異なる液晶表示素子100のパネルについて説明する。例えば、基板は、100μm厚のポリエチレンテレフタレート製フィルム基板である。そして、基板表面には、透明導電膜が成膜される。また、2枚の基板は、パッシブ駆動ができるように、互いに直交する方向に駆動電極が形成される。液晶表示素子100は、上記の基板を4枚(2組)有する。
【0070】
続いて、配向膜は、各基板の単パネル内の異なる各液晶を形成する領域別に、駆動に要する閾値電圧が異なるようにするため、異なる膜厚で形成される。具体的には、配向膜は、UV(UltraViolet)キュアラブル液晶がスピンナにて塗布され、一方の液晶を形成する領域のみをUV硬化させて、洗浄されることで一方の液晶を形成する領域のみ形成される。そして、配向膜は、回転数を変えつつUVキュアラブル液晶がスピンナにて塗布され、もう一方の液晶を形成する領域をUV硬化させて、洗浄されることでもう一方の液晶を形成する領域に異なる膜厚が形成される。
【0071】
続いて、構造物は、スピンナにてアクリル系ネガレジストが一方の基板に成膜され、フォトプロセスを通すことにより、2つに仕切られた液晶の注入領域を規定するためのアクリル系ネガレジストから形成される。その後、構造物は、基板端部の液晶の注入用の開口部を2つ設けるためにシール剤が一方の基板に塗布され、2枚の基板を貼り合せて加圧及び加熱することで接着される。
【0072】
これらにより準備された構造物としての空パネル(図18A参照)2枚は、それぞれ真空状態にされる。そして、構造物には、緑色のコレステリック液晶に浸漬させ、大気開放が行なわれることで緑色の液晶が注入される(図18B参照)。続いて、構造物は、緑色の液晶が注入された注入口が封止される(図18C参照)。その後、構造物には、赤色の液晶が注入される(図18D参照)。そして、構造物は、赤色の液晶が注入された注入口が封止される(図18E参照)。
【0073】
青色と緑色とを注入する液晶層については、緑色と赤色とを含んだ液晶層の作製と同様であるためその説明を省略する。また、各液晶層(液晶パネル)の作成後には、光を反射する方向から青色及び緑色のパネル、赤色及び緑色のパネルの順に2層に積層される。なお、このようにして作製される液晶パネルには、膜厚の異なる配向膜を有することで駆動に要する閾値電圧が異なる赤色及び緑色と、青色及び緑色との液晶がそれぞれ注入されていることとなる。また、配向膜は、UVキュアラブル液晶だけでなく、配向制御効果を有する膜であれば何であっても良い。
【0074】
(3)液晶の組み合わせ
また、上記実施例2では、1つのパネルに赤色及び緑色の組み合わせ、もう一方のパネルに青色及び緑色の組み合わせである場合を説明したが、これら以外の組み合わせであっても良い。
【0075】
(4)閾値電圧の制御
また、上記実施例2では、液晶の駆動に要する閾値電圧が異なるようにするため、誘電率異方性を有する液晶を用いる場合を説明したが、液晶の粘度を変更するようにしても良い。
【0076】
(5)基板の種類
また、上記実施例2では、フィルム基板を有する液晶表示素子である場合を説明したが、例えば、ガラス基板等のフィルム基板とは異なる基板を用いることとしても良い。また、フィルム基板は、ポリエチレンテレフタレート製以外のフィルム基板であっても良い。
【0077】
(6)レジスト
また、上記実施例2では、アクリル系ネガレジストを基板に成膜する場合を説明したが、アクリル系以外のネガレジスト又はポジレジストであっても良い。なお、ポジレジストである場合には、樹脂性等の球状スペーサを別途基板に散布する。
【符号の説明】
【0078】
100 液晶表示素子
101 第一液晶層
102 第二液晶層
103 BK層
104a、104b 電極
105a、105b 電極
106 B用液晶
107 G用液晶
108 G用液晶
109 R用液晶
110、111 基板
112、113 隔壁
114、115 走査電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一波長帯域を選択反射する第一液晶と、前記第一波長帯域とは異なる第二波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧が前記第一液晶とは異なる第二液晶とが、画素単位で配置される同一の電極に接して形成される第一液晶層と、
前記第二波長帯域を選択反射する第三液晶と、前記第一波長帯域及び前記第二波長帯域とは異なる第三波長帯域を選択反射し、駆動に要する閾値電圧が前記第三液晶とは異なる第四液晶とが、画素単位で配置される同一の電極に接して形成され、前記第一液晶層と重ね合わせて配置される第二液晶層と
を有することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
前記第一液晶層は、
誘電率異方性を有する前記第一液晶と前記第二液晶とが、画素単位で配置される同一の電極に接して形成され、
前記第二液晶層は、
誘電率異方性を有する前記第三液晶と前記第四液晶とが、画素単位で配置される同一の電極に接して形成され、前記第一液晶層と重ね合わせて配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項3】
前記第一液晶層は、
前記第一液晶及び前記第二液晶と、前記電極との間に配向膜を介在させて形成され、
前記第二液晶層は、
前記第三液晶及び前記第四液晶と、前記電極との間に配向膜を介在させて形成されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
【請求項4】
前記第一液晶層は、
前記第一液晶及び前記第二液晶と、前記電極との間に膜厚が異なる配向膜を介在させて形成され、
前記第二液晶層は、
前記第三液晶及び前記第四液晶と、前記電極との間に膜厚が異なる配向膜を介在させて形成されることを特徴とする請求項1または3に記載の液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−107409(P2011−107409A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262213(P2009−262213)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】