説明

液晶表示装置およびその製造方法

【課題】高温下におけるセル厚増加に対応でき、低温下では液晶層における低温発泡現象を抑制することを可能とする液晶表示装置の提供をする。
【解決手段】少なくとも一方の基板上の液晶挟持領域部分に基板の間隔を保持するスペーサーを設けた液晶表示装置において、スペーサーが(メタ)アクリル酸類に由来する構成単位とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類に由来する構成単位が、そのカルボキシル基または水酸基を介して(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物とそれぞれ一部が反応した生成物を構成単位とし、(メタ)アクリロイル基を5モル%〜95モル%、酸価が5mgKOH/g〜400mgKOH/gである共重合樹脂と、2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーまたはオリゴマーと、エポキシ樹脂と、開始剤とからなる感光性樹脂組成物の硬化膜からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置に関し、特に、液晶を挟持する基板の間隔の保持に特徴を有する液晶表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、透明電極を設けたガラス等の透明な基板を1ないし10μm程度のギャップを設けてその間に液晶物質を封入し、電極間に印加した電圧によって液晶を一定の方向に配向させることによって形成される透明部分と不透明部分によって画像を表示している。カラー液晶表示装置はいずれかの透明電極基板上に光の三原色に対応する赤(R)、緑(G)、青(B)の三色および該三色間に適宜配置されるブラックマトリックス層(Bk)からなるカラーフィルターを設けており、液晶のシャッター作用によって3原色を加色して所望の色を表示している。
【0003】
カラー液晶表示装置用のカラーフィルターは、透明基板、着色層、保護膜、透明導電膜という順に積層されており、R、G、B、Bkの各位置に対向する電極あるいは薄膜トランジスタを形成した透明基板とを数μmの間隔を保持し、その間に液晶物質を封入して液晶表示装置を形成している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カラー液晶表示装置には、液晶の駆動方法によって単純マトリックス方式とアクティブマトリックス方式があるが、最近ではパーソナルコンピュータなどの表示装置用には画質に優れ、それぞれの画素を確実に制御することが可能であり、また動作速度も速いアクティブマトリックス方式の採用が進められている。
【0005】
アクティブマトリックス方式の液晶表示装置では各画素毎に薄膜トランジスタ(TFT)素子をガラス基板上に形成し、各素子のスイッチング作用によって各画素の液晶のシャッター作用を制御している。これらの素子の対極には一様な透明電極が形成されている。
【0006】
透明電極には、酸化錫、酸化インジウムおよびITOと称するこれらの複合酸化物が使用されている。透明電極の成膜方法には、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の各種の方法があるが、カラーフィルターの透明電極の基体となる保護膜は合成樹脂で形成されているので保護膜の耐熱性の面から比較的低温での成膜が可能な方法が求められている。このためにカラーフィルター用の透明電極の製造にはスパッタリングが広く用いられている。
【0007】
TFTを用いた液晶表示装置の断面構造を図4に示すが、液晶表示装置41はカラーフィルター42とTFTを形成した対向基板43とを所定の間隔を設けて対向させ、カラーフィルターとTFT基板はエポキシ樹脂等に補強用の繊維を混合したシール剤44によって接合している。カラーフィルターとTFT基板で形成される空間には液晶45が封入されているが、カラーフィルターとTFT基板との間隔を正確に保持しないと、液晶層の厚みの相違により液晶の旋光特性の差が生じて液晶が着色をしたり、あるいは色のむらが生じて正しく表示されなくなるという現象が生じるので、液晶にスペーサー46と称する3μmないし10μmの合成樹脂、ガラス、アルミナ等からなる粒子あるいは棒状体を多数混合したり、パターニングされた光硬化性樹脂膜等のスペーサーを使用して、液晶挟持間隔の保持を図っていた。
【0008】
スペーサーとして、粒子あるいは棒状体を使用するものにあっては、100個/mm2程度の大量の粒子を液晶に混合しているので、粘性の高い液晶と混合して挟持間隔内に注入した場合には、均一にスペーサーが分散せずに、スペーサーが一部にたまるという現象が生じることがある。このような現象が生じると、スペーサーが集まった部分の表示品質が悪化し、また間隔の正確な保持の面でも問題があった。また、カラーフィルター上にスペーサーをあらかじめ散布(湿式、乾式)する方式においても、散布時に密度分布を均一にする特別な工夫が必要であると同時に液晶注入時のスペーサー移動を抑える工夫が必要であった。
【0009】
また、パターニングされた硬化性樹脂膜等のスペーサーを使用する場合については、液晶セルは、その作製に際して120℃〜180℃の温度をかけて封止され形成されるが、この加熱圧着に際して所望とするセルギャップが確保されることが要請されると共に、液晶セルが作製された後にあっては、信頼性試験や作動時における液晶層の温度変化による光学的特性や層厚の変動を考慮し、高温下におけるセル厚増加に対応でき、また、低温下では液晶層における低温発泡現象を防止することが要請される。
【0010】
本発明は、液晶表示装置のセル組の際の加熱圧着に際して、所望とするセルギャップが確保されると共に、液晶セルが作製された後にあっては、信頼性に優れ、高温下におけるセル厚増加に対応でき、また、低温下では液晶層における低温発泡現象を抑制することを可能とする液晶表示装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液晶表示装置は、2枚の基板の間に液晶を挟持した液晶表示装置であって、少なくとも一方の基板上の液晶挟持領域部分に基板の間隔を保持するスペーサーを設けた液晶表示装置において、該スペーサーが、下記一般式(1)、(2)で示される構成単位が、そのカルボキシル基または水酸基を介して(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物とそれぞれ一部が反応した生成物を構成単位とし、下記一般式(1)に由来する構成単位を5モル%〜55モル%、下記一般式(2)に由来する構成単位を5モル%〜95モル%含有し、(メタ)アクリロイル基を5モル%〜95モル%含み、酸価が5mgKOH/g〜400mgKOH/gであり、かつポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000である共重合樹脂と、2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーまたはオリゴマーと、エポキシ樹脂と、開始剤とからなる感光性樹脂組成物の硬化膜からなることを特徴とする。
【0012】
【化5】

【0013】
(式中、Rは水素、または炭素数1〜5のアルキル基、R1 は炭素数2〜4のアルキレン基を表わす。)
上記の共重合樹脂が、共重合成分として、さらに、下記一般式(3)で示される構成単位を0モル%〜75モル%、下記一般式(4)で示される構成単位を0モル%〜75モル%含有することを特徴とする。
【0014】
【化6】

【0015】
(式中、Rは水素、または炭素数1〜5のアルキル基、R2 は芳香族炭素環、R3 はアルキル基、またはアラルキル基を表わす。)
上記の光硬化性樹脂膜において、ダイナミック微小硬度計を用いた三角すい圧子による25℃での押し込み試験から得られる負荷時のダイナミック硬度(DH1)が30〜60であることを特徴とする。
【0016】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、液晶表示装置の液晶を挟持する基板の少なくとも一方の液晶挟持領域部分に、上記一般式(1)、(2)で示される構成単位が、そのカルボキシル基または水酸基を介して(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物とそれぞれ一部が反応した生成物を構成単位とし、上記一般式(1)に由来する構成単位を5モル%〜55モル%、上記一般式(2)に由来する構成単位を5モル%〜95モル%含有し、(メタ)アクリロイル基を5モル%〜95モル%含み、酸価が5mgKOH/g〜400mgKOH/gであり、かつポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000である共重合樹脂と、2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーまたはオリゴマーと、エポキシ樹脂と、開始剤とからなる感光性樹脂組成物をスペーサーの厚みに塗布した後に、スペーサー形成部分以外には光が照射されないフォトマスクを設けて露光し、現像し、スペーサーとして光硬化性樹脂膜からなる硬化膜を設けた後、セル組みに際して120℃〜180℃の温度で封止することを特徴とする。
【0017】
上記の製造方法における共重合樹脂が、共重合成分として、さらに、上記一般式(3)で示される構成単位を0モル%〜75モル%、上記一般式(4)で示される構成単位を0モル%〜75モル%含有することを特徴とする。
【0018】
上記の製造方法における光硬化性樹脂膜において、ダイナミック微小硬度計を用いた三角すい圧子による25℃での押し込み試験から得られる負荷時のダイナミック硬度(DH1)が30〜60であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の液晶表示装置は、加熱圧着に際して所望とするセルギャップが確保されると共に、液晶セルが作製された後にあっては、信頼性に優れ、高温下におけるセル厚増加に対応でき、また、低温下では液晶層における低温発泡現象を抑制することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の液晶表示装置、またその製造方法は、スペーサーに特徴を有する。本発明の液晶表示装置、またその製造方法において、そのスペーサーを規定する貯蔵弾性率、損失正接、ヤング率、ダイナミック硬度のものとするには、スペーサーの材質としては光重合性アクリレートオリゴマーに2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーまたはオリゴマー、エポキシ樹脂と光重合開始剤を添加した感光性樹脂組成物である。
【0021】
光重合性アクリレートオリゴマーとしては、分子量1000〜2000程度のものが好ましく、ポリエステルアクリレートまたは、フェノールノボラックエポキシアクリレート、o−クレゾールノボラックエポキシアクリレート等のエポキシアクリレートあるいは、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴマアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等をあげることができるが、下記のごとき、特定の共重合樹脂が好ましい。
【0022】
下記のごとき特定の共重合樹脂を使用すると、スペーサーを規定する貯蔵弾性率、損失正接、ヤング率、ダイナミック硬度のものとできる他、アルカリ可溶性基や(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基の含有量の制御可能で、硬化性、アルカリ可溶性、塗膜性に優れたるものとできる。
【0023】
特定の共重合樹脂は、上記一般式(1)、(2)に(メタ)アクリロイル基が導入された構成単位を基本的に有するものであり、更に、必要に応じて一般式(3)、(4)を共重合成分とする。以下、(メタ)アクリロイル基は、メタクリロイル基、またはアクリロイル基を意味し、(メタ)アクリル酸はメタクリル酸、またはアクリル酸を意味する。
【0024】
上記一般式(1)〜(4)におけるRは、水素、または炭素数1〜5のアルキル基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基等が例示される。
【0025】
一般式(1)で示される共重合成分は、アルカリ現像性に寄与する成分であり、この構造単位を導入するために使用される単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−カルボキシ−1−ブテン、2−カルボキシ−1−ペンテン、2−カルボキシ−1−ヘキセン、2−カルボキシ−1−ヘプテン等が例示される。この一般式(1)で示される共重合成分の含有量は、共重合樹脂に要求されるアルカリ可溶性の程度により調整され、5モル%〜55モル%、好ましくは10モル%〜25モル%とされる。
【0026】
一般式(2)で示される共重合成分は、基本的には(メタ)アクリロイル基が導入される成分であり、R1 としてはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等である。この構造単位を導入するために使用される単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が例示される。この一般式(2)で示される共重合成分は、水酸基を介して(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物と反応し、(メタ)アクリロイル基が導入される共重合成分であり、その含有量は共重合樹脂に要求される光重合性の程度により調整され、5モル%〜95モル%、好ましくは10モル%〜50モル%とされる。
【0027】
一般式(3)で示される共重合成分は、塗膜形成用とする際に、共重合樹脂に塗膜性を付与する成分であり、R2 としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族環が例示される。この構造単位を導入するために使用される単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン等であり、また、芳香族環は塩素、臭素等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、アミノ基、ジアルキルアミノ基等のアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スルフォン酸基、燐酸基等で置換されていてもよい。一般式(3)で示される共重合成分の含有量は0モル%〜75モル%、好ましくは5モル%〜50モル%とされる。
【0028】
更に、一般式(4)で示される共重合成分は、共重合樹脂をアルカリ現像型とする際に、アルカリ現像性を抑制する成分であり、R3 としては、炭素数1〜12のアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基が例示される。この構造単位を導入するために使用される単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルエチル等の(メタ)アクリル酸のエテスル類が例示される。そして、一般式(4)で示される共重合成分の含有量は0モル%〜75モル%、好ましくは5モル%〜50モル%とされる。
【0029】
一般式(1)〜一般式(4)の構造単位を導入するために使用される単量体は、それぞれ例示したものを単独でも、また混合して使用してもよい。
【0030】
一般式(1)〜一般式(4)の構造単位を有する特定の重合体を製造するために用いられる重合用溶媒としては、水酸基、アミノ基等の活性水素を有しない溶媒が好ましく、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールエーテル類、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブエステル類やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸−3−メトキシブチル等が挙げられ、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等も用いることができる。
【0031】
重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものを使用することができ、その具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、および過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を使用する場合には、これと還元剤とを組み合わせてレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
【0032】
一般式(1)〜一般式(4)の構造単位を有する特定の重合体の製造においては、重量平均分子量を調節するために、分子量調節剤を使用することができ、例えば、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類、ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0033】
一般式(1)〜一般式(4)の構造単位を有する特定の重合体は、一般式(1)〜一般式(4)の単量体のランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれであってよい。
【0034】
ランダム共重合体の場合には、各単量体、触媒からなる配合組成物を、溶剤を入れた重合槽中に80〜110℃の温度条件で2〜5時間かけて滴下し、熟成させることにより重合させることができる。
【0035】
一般式(1)〜一般式(4)の構造単位を有する特定の重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「重量平均分子量」または「Mw」という。)は、10,000〜1,000,000の範囲のものとされ、酸価が5mgKOH/g〜400mgKOH/g、水酸基価が5mgKOH/g〜400mgKOH/gのものである。
【0036】
特定の共重合樹脂は、上記した一般式(1)〜一般式(4)の構造単位を有する特定の重合体に(メタ)アクリロイル含有イソシアネート化合物を反応させることにより得られる。(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物としては、(メタ)アクリロイル基が炭素数2〜6のアルキレン基を介してイソシアネート基(−NCO)と結合したもので、具体的には2−アクリロイルエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート等が例示される。2−メタクリロイルエチルイソシアネートは、昭和電工(株)製「カレンズMOI」等で市販されている。
【0037】
一般式(1)〜一般式(4)で示される構造単位を有する共重合体と(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物との反応は、イソシアネート化合物を少量の触媒の存在下、共重合体溶液中に滴下することにより行なわれる。触媒としてはラウリン酸ジブチル錫等が挙げられ、また、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチルp−クレゾール等の重合禁止剤が必要に応じて使用される。
【0038】
(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物は、一般式(1)〜一般式(4)の構造単位を有する特定の重合体における一般式(2)の構造単位とは、付加しウレタン結合により結合し、また、一般式(1)の構造単位とは、その一部が炭酸ガスを放出してアミド結合により結合する。
【0039】
すなわち、一般式(1)、一般式(2)で示される構造単位を有する共重合体と(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物との反応生成物は、下記一般式(5)で示される。
【0040】
【化7】

【0041】
(式中、R、R1 は一般式(1)〜(4)と同義であり、R′は炭素数2〜6のアルキレン基、a1 +a2 は、一般式(1)のaと、また、b1 +b2 は、一般式(2)のbとそれぞれ同義である。)
(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物は、一般式(2)の構造単位における水酸基との反応が一般式(1)の構造単位におけるカルボキシル基との反応に比して20倍近くの反応速度を有する。そのため、(メタ)アクリロイル基は一般式(2)の構造単位に主として導入され、また、一般式(1)の構造単位にはそのカルボキシル基に一部(メタ)アクリロイル基が導入されるとしても、ほとんどのカルボキシル基が残存することとなる。
【0042】
そして、一般式(2)に由来する構成単位の5モル%〜95モル%のうち、b1 は0モル%〜10モル%、b2 は5モル%〜95モル%とでき、また、一般式(1)に由来する構成単位の5モル%〜55モル%のうち、a1 は5モル%〜55モル%、a2 は0モル%〜10モル%とでき、(メタ)アクリロイル基の導入量を調整することができる。
【0043】
共重合樹脂においては、重量平均分子量が10,000〜1,000,000、好ましくは20,000〜100,000の範囲のものとされるのが好ましい。重量平均分子量が10,000より小さいと現像性が良すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくく、また、パターンが作製できる場合も最終的な膜厚が減る(膜減り)等の問題があり、また、1,000,000より大きいとレジスト化した時の粘度が高くなりすぎ塗工適性が低下する、また、現像性が悪くなりパターンが抜けにくくなるなどの問題がある。
【0044】
また、(メタ)アクリロイル基の導入量は、5モル%〜95モル%、好ましくは10モル%〜50モル%とするとよく、導入量が5モル%よりも少ないと光硬化性が低く、塗膜密着性、レジスト特性の改善効果が小さい。
【0045】
また、共重合樹脂の酸価は5mgKOH/g〜400mgKOH/g、好ましくは、10mgKOH/g〜200mgKOH/gとするとよく、酸価はアルカリ現像性と関係しており、酸価が低すぎると現像性が悪い、また、基板及びカラーフィルタ樹脂上への密着性が乏しい等の問題がある。また、酸価が高すぎると現像性が良すぎてパターン露光時のパターン形状を制御しにくい等の問題がある。また、共重合樹脂において、一般式(2)における水酸基は、必ずしも残す必要はなく、水酸基価0mgKOH/g〜200mgKOH/gとできるが、残す場合には、溶剤に対する溶解性を調節するのに有効である。
【0046】
特定の共重合樹脂について例示する。下記の共重合樹脂は、いずれも、一般式(1)で示される構成単位を2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)を単量体とし、また、一般式(2)で示される構成単位をアクリル酸(AA)を単量体とし、そのカルボキシル基または水酸基を介して2−メタクリロイルエチルイソシアネート(昭和電工(株)製「カレンズMOI」)とそれぞれ一部が反応した生成物を構成単位とするものであり、更に、一般式(3)で示される構成単位としてスチレン(St)を単量体とし、一般式(4)で示される構成単位としてベンジルメタクリレート(BzMA)を単量体とするものである。
【0047】
下記の表1に共重合樹脂組成(モル%)、表2にそのアクリロイル基含有量(モル%)、酸価(mgKOH/g)、スチレン換算重量平均分子量(Mw)を示す。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
感光性樹脂組成物において、光重合性アクリレートオリゴマーや共重合樹脂は固形分比で5重量%〜80重量%、好ましくは10重量%〜50重量%含有される。80重量%より多いと粘度が高くなりすぎその結果流動性が低下し塗布性に問題が生じ、また、5重量%より少ないと粘度が低くなりすぎ塗布乾燥後の塗膜安定性が不充分であり、露光、現像適性を損なう等の問題がある。
【0051】
次に、感光性樹脂組成物における他の構成成分について説明する。
【0052】
2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーおよびオリゴマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)のエチレンオキシド3モル付加物、エチレンオキシド6モル付加物、プロピレンオキシド3モル付加物、プロピレンオキシド6モル付加物、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。 2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーは、感光性樹脂組成物中に固形分比3重量%〜50重量%、好ましくは5重量%〜20重量%含有される。50重量%より多いと粘度が低くなりすぎ塗布乾燥後の塗膜安定性が不充分なため、露光、現像適性を損なう等の問題があり、また、3重量%より少ないと現像の未露光部の抜けが悪くなる等の問題がある。
【0053】
エポキシ樹脂は、露光、現像後に存在する未反応の酸性基と反応し、これによってスペーサーに耐アルカリ性を付与するためのものである。使用するエポキシ樹脂としては、オルソクレゾールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型、フェノールノボラック型、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシ樹脂等を挙げることができ、例えば、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂あるいはクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂としては、以下に化学構造式1および化学構造式2で示すものを挙げることができる。
【0054】
【化8】

【0055】
このようなエポキシ樹脂は、感光性樹脂組成物中に固形分比1重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜15重量%で含有される。エポキシ樹脂の含有量が1重量%未満では、スペーサーに十分な耐アルカリ性を付与することができず、一方、エポキシ樹脂の含有量が20重量%を超えると、光硬化に供しないエポキシ樹脂量が多くなりすぎ、感光性樹脂組成物の保存安定性、現像適性が低下するので好ましくない。また、エポキシ樹脂は、感光性樹脂組成物の乾燥塗膜のタックを除去するためにも有効であり、添加量3重量%程度で十分な効果が発現する。感光性樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂が、露光、アルカリ現像後においても反応することなくスペーサー中に残存している酸性基と、加熱処理によって反応し、スペーサーに優れた耐アルカリ性を付与することになる。
【0056】
開始剤としては、2−メチル−1−〔4−メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,4−ジエチルチオキサントン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられ、例えば、イルガキュアー184、イルガキュアー907、イルガキャアー651、イルガキュアー369(いずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社商品名)、ダロキュアー(メルク社商品名)などが例示され、感光性樹脂組成物中に単独または混合して固形分比0.1重量%〜20重量%の範囲で含有されることが好ましい。
【0057】
また、感光性樹脂組成物には、界面活性剤や後述するシランカップリング剤が適宜添加されてもよい。
【0058】
感光性樹脂組成物は、溶媒としてジエチレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブタノール等を使用し、固形分濃度5重量%〜50重量%とされる。
【0059】
本発明の液晶表示装置においては、上記感光性樹脂組成物を使用し、硬化させてスペーサーが形成される。液晶セルを作製するに際しては、120〜180℃(典型的には150℃)の温度で圧力をかけて封止されるが、その際には、所望とするセルギャップ間隔が維持できない程、塑性変形するものは好ましくなく、また、弾性変形成分もできるだけ変位が少なく方が目標とするセルギャップに合わせやすいことに着目し、スペーサーをその粘弾性により規定できることが見出された。
【0060】
すなわち、動的粘弾性測定で得られる貯蔵弾性率(=弾性変形分/形状が元通りに戻る成分)が規定値以上であること、また、損失正接(=変形してしまう割合/大きい程塑性変形成分が多い)が規定値以下であることが必要である。また、応力−歪み曲線から導かれるヤング率が150℃において規定値以上であることが必要である。
【0061】
また、液晶セルを作製した後に、信頼性試験があるが、液晶の熱膨張率に対してスペーサー形成樹脂の熱膨張率が大きいと、セルが対応できず、セル内が大気圧により真空となり、封止部分から空気が入り発泡現象を生じることがある。そのため、スペーサーに要求される物性は、液晶素子で一般的に信頼性が要求される−40℃〜80℃での範囲でのものが必要とされる。
【0062】
すなわち、上記の温度範囲での動的粘弾性測定で得られる貯蔵弾性率(=弾性変形分/形状が元通りに戻る成分)が規定値以下であること、但し、力学的に不安定となっても問題があるので、一定の値以上であること。また、損失正接(=変形してしまう割合/大きい程塑性変形成分が多い)が規定値以下であることが必要である。また、応力−歪み曲線から導かれるヤング率が25℃において規定値以下であることが必要である。但し、力学的に不安定となっも問題があるので、一定の値以上であること。また、ダイナミック硬度が一定の範囲にあること等が要求される。
【0063】
本発明の液晶表示装置は、スペーサーを形成する光硬化性樹脂膜の硬度を動的貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接により規定するものであり、−40℃〜80℃の範囲での動的粘弾性測定により得られる貯蔵弾性率(E′)が5.0×109 (Pa)以下、好ましくは1.0×107 (Pa)〜2.0×109 (Pa)であり、かつ、損失正接{tanδ=E″(損失弾性率)/E′}が0.1以下、好ましくは0.02以下であり、また、120℃〜180℃の範囲での貯蔵弾性率(E′)が5.0×107 (Pa)以上、好ましくは1.0×108 以上であり、かつ、損失正接{tanδ=E″(損失弾性率)/E′}が0.3以下、好ましくは0.2以下のものである。動的貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接は、下記の測定装置及び測定方法を採用する。
【0064】
測定用試料:PETフィルム面に感光性樹脂塑性物を塗工した後、90℃、3分間でプリベークし、次いで、紫外線を500mJ/cm2 パターン露光し、1重量%苛性ソーダ水溶液現像液中に1分間つけ置きして現像した後、200℃で30分間ポストベークし、厚さ50μm、幅5mm、長さ12mmの光硬化性樹脂膜を作製した。
【0065】
測定装置: 固体粘弾性アナライザーRSA−II レオメトリックス製
測定アタッチメント(モード): フイルム引っ張り
測定周波数: 6.28rad/s
測定温度: −50℃〜250℃
測定方法:
(1) サンプルをフイルム引っ張り測定用治具にセットする。
【0066】
(2) −50℃〜250℃の温度領域で6.28rad/sでの温度依存性を測定し、温度依存性のデータから、−40℃〜80℃の温度領域、及び120℃〜180℃での動的貯蔵弾性率(E′、Pa)、動的損失弾性率(E″、Pa)を求め、動的損失弾性率(E″、Pa)/動的貯蔵弾性率(E′、Pa)=tanδを求める。
【0067】
本発明の液晶表示装置は、スペーサーを形成する光硬化性樹脂膜の弾性率を、光硬化性樹脂膜の引っ張り試験から得られる応力−歪み曲線から導かれるヤング率により規定するものであり、25℃において10,000MPa以下、好ましくは500〜2000、また、150℃において10MPa以上、好ましくは30MPa以上のものである。
【0068】
測定用試料:PETフィルム面に感光性樹脂塑性物を塗工した後、90℃、3分間でプリベークし、次いで、紫外線を500mJ/cm2 パターン露光し、1重量%苛性ソーダ水溶液現像液中に1分間つけ置きして現像した後、200℃で30分間ポストベークし、厚さ50μm、幅5mm、長さ12mmの光硬化性樹脂膜を作製した。
【0069】
25℃でのヤング率は、下記の測定装置及び測定方法を採用する。
【0070】
測定装置: テンシロン万能試験機 RTA−100 ORIENTEC社製 測定モード: フイルム引っ張り試験
測定温度: 25℃
測定方法: サンプルをフイルム引っ張り測定用治具にセットし、上下方向に引っ張り弾性率を測定。
【0071】
150℃でのヤング率は、下記の測定装置及び測定方法を採用する。
【0072】
測定装置: 固体粘弾性アナライザーRSA−II レオメトリックス製
測定モード: STRAIN RATE SWEEP
測定温度: 150℃
測定方法: サンプルをフイルム引っ張り測定用治具にセットし、上下方向に引っ張り弾性率を測定。
【0073】
本発明の液晶表示装置は、スペーサーを形成する光硬化性樹脂膜の弾性率を、ダイナミック微小硬度計を用いた三角すい圧子による押し込み試験から得られる負荷時の変位深度(D1)と除荷時の変位深度(D2)により、下記式
DH=3.8584×P/(D×D)
D1、D2:変位深度(μm)
P:荷重(gf)
から計算されるダイナミック硬度(DH)により規定するものであり、負荷時のダイナミック硬度(DH1)が、30〜60、好ましくは40〜50であることを特徴とする。ダイナミック硬度は、下記の測定装置及び測定方法を採用する。
【0074】
測定用試料:ガラス面に感光性樹脂組成物を塗工した後、90℃、3分間でプリベークし、次いで、紫外線を500mJ/cm2 パターン露光し、1重量%苛性ソーダ水溶液現像液中に1分間つけ置きして現像した後、200℃で30分間ポストベークし、膜厚5μmの光硬化性樹脂膜を作製した。
【0075】
測定装置: ダイナミック超微小硬度計「DUH−201S」島津製作所製
測定アタッチメント:三角すい圧子 115℃
測定方法: 下記の設定荷重まで負荷を下記速度で与え、下記保持時間だけ荷重を保持した後、除荷を行ない、負荷時の押し込み変位深度(D1)と除荷時の変位深度(D2)を求める。
【0076】
設定荷重:29.4mN(=3gf)、負荷速度:0.132390mN/sec、保持時間:10sec
この測定結果をもとに、上記の式により負荷時のダイナミック硬度(DH1)と除荷時のダイナミック硬度(DH2)を得る。負荷時のダイナミック硬度(DH1)が大きいということは、押し込み変位深度Dが小さいことに相当し、塑性変形部分も含んだ弾性部分が高いことを示す。除荷時のダイナミック硬度(DH2)は、塑性変形を起こしている量を示す値であり、完全に戻れば無限大となる。従って、大きいほど塑性変形量が少ないことに相当する。そのため、弾性変形成分と塑性変形成分の割合を、DH2/DH1にて表すことができ、本発明の目的ではこの値ができるだけ小さくなるスペーサー塗膜とすることが好ましい。
【0077】
本発明の液晶表示装置は、上記のごとくスペーサーを粘弾性により規定することにより、セル組み工程で変形が少なく、所望のセルギャップを維持でき、かつ熱膨張の差をスペーサーにおける粘弾性によっても吸収することができるので、低温での発泡現象を抑制しうるものとできる。
【0078】
次に、液晶表示装置について説明する。図1は、カラーフィルターにスペーサーを形成した液晶表示装置の1実施例を示す部分断面図である。液晶表示装置1はカラーフィルター2とこれに対向するTFT等の対向基板3から構成されており、カラーフィルターは、ガラス基板4上にクロム等の金属またはそれらの酸化物で形成するか、または樹脂及び遮光剤からなる樹脂ブラックマトリックスにより形成されるブラックマトリックス5が形成されており、ブラックマトリックスを境界にしてR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色からなる着色層6が形成されている。
【0079】
着色層上には、透明な合成樹脂からなる保護膜7が設けられており、保護膜上にはITO等からなる透明電極膜8を形成されている。また、透明電極膜上には光硬化性樹脂膜からなるスペーサー9が設けられる。そして、カラーフィルターと対向基板の液晶と接するそれぞれの面には配向膜12が形成されており、エポキシ樹脂等のシール材10によって接合され、カラーフィルターと対向基板の間には液晶11が封入される。
【0080】
また、図2には、カラーフィルターの一部の着色画素の平面図を示すが、カラーフィルター21の着色画素22は、ブラックマトリックス23で区画されており、着色画素の周囲には表示に有効でない部分が形成されているので、この部分にスペーサー24を設けることができる。着色画素の大きさは画面サイズと画質規格により異なるが、数10μm〜数100μm×数10μm〜数100μm程度、一例としては100μm×300μm程度の小さなものであるが、その一部には対向するTFT基板などに形成された素子が表示面から見えないようにするための領域が設けられることがある。スペーサーをそのような領域に設けるならば表示にはなんら障害とはならない。
【0081】
更に、図3(A)〜(C)はカラーフィルターの着色層を利用したスペーサーの形成方法を示すものである。まず、図3(A)に示す方法は、カラーフィルター31の基板に、着色層とした赤、緑および青の3色の着色画素を形成する際に、図では赤の着色画素である第1色目の着色画素32を形成した上に、第2色目の着色画素33である緑が部分的に赤の着色画素を覆うフォトマスクを用いて露光して緑の着色画素を形成し、次いで第3色目の着色画素34である青のフォトマスクにもスペーサーを形成すべき箇所にも着色画素が形成可能となるようなフォトマスクを用いて、スペーサー形成箇所にも青の着色画素を形成する。ついで、ITO膜等の透明電極膜35を成膜し、最後にスペーサー36を形成してもよい。この方法によれば、着色画素の積み重ねによってスペーサーの高さを確保することができるので、透明電極膜上に形成するスペーサーの高さは厚みの薄いものでもよい。
【0082】
また、図3(B)に示す方法は、カラーフィルター31の基板に、ブラックマスクBkをクロムを使用して成膜した後、着色画素B、G、Rを一部重ねて成膜し、画素間にスペーサー36を形成する方法であり、また、図3(C)に示す方法は、カラーフィルター31の基板に、樹脂を使用して成膜したブラックマスクBkを着色画素B、G、Rと共に成膜した後、ブラックマスクBk上にスペーサー36を形成する方法である。なお、図3(B)(C)では透明電極膜は省略してある。
【0083】
スペーサーは、4画素に1個、1画素に1個のごとく、適宜配置されるが、スペーサーとしての機能の観点からは、スペーサーの密度は、体積密度で0.1%〜5%、好ましくは0.3%〜2%であり、大きすぎると液晶注入工程での注入効率が低下するので好ましくなく、また、小さすぎるとセル組みに際して変形する原因となる。また、表面積密度としては、50〜2000μm2 /mm2 、好ましくは500〜1000μm2 /mm2 とするとよい。小さすぎるとセル組みに際して変形する原因となり、大きすぎると大きすぎると液晶注入工程での注入効率が低下するので好ましくない。
【0084】
現像により形成されるスペーサーの形状は、その高さが2μm〜10μmの、例えば台形状とされ、また、その端部は丸みを帯びた球状、角ばった矩形状等に形成されるが、球状とすることにより配向膜形成後に行なうラビング工程での配向等への影響を低減するために効果的である。
【0085】
また、100μm×300μmの着色画素に1個のスペーサーを設けるならば、1mm2 には約33個のスペーサーが形成可能である。この数は通常の液晶にスペーサーを混合した場合の数字である100個/mm2 という値に比べて小さいが、表示面全体にわたり均一に配置しているので、このような数のスペーサーによって充分に目的を達することが可能である。
【0086】
また、通常のスペーサー散布では、散布位置を制御することは極めて困難であるが、本発明では、所望とする位置に、所望サイズのスペーサーを固定した状態で作製できるので、画像品質等も優れたものとなる。
【0087】
スペーサーを形成する場所は、着色層を区画するブラックマトリックス上に形成するのが表示品質に影響を与えないので好ましく、また、スペーサーを光硬化性透明樹脂膜とするのが好ましいが、透明に限定されず、着色して形成することも可能である。
【0088】
図1に示す液晶表示装置の製造方法について説明する。
【0089】
透明基板上に、まず、着色層を設け、その着色層上に、感光性樹脂組成物を、スピンナー法、ロール法、スプレイ法、スクリーン印刷法などの任意の塗布方法によって塗布し、所定のフォトマスクを用いて紫外線を照射して必要な箇所を硬化し、紫外線が照射されなかった部分の未硬化の感光性樹脂をアルカリ水溶液溶剤で溶解除去することによって保護膜を形成する。
【0090】
次いで、保護膜上に、カラーフィルターの全面にわたり、DCマグネトロンスパッタリング法によって、電気抵抗などの特性に優れたITO膜を成膜する。
【0091】
次いで、ITO膜上に、本発明の感光性樹脂組成物をスピンナー法、ロール法、スプレイ法、スクリーン印刷法などの任意の塗布方法によって液晶層の挟持間隔に相当する厚みに塗布し、次いで、所定のフォトマスクを用いて紫外線を照射してスペーサーの形成箇所を硬化し、紫外線が照射されなかった部分の未硬化の感光性樹脂をアルカリ水溶液溶剤で溶解除去することにより、スペーサーを形成する。
【0092】
スペーサー用の光硬化性樹脂膜を設ける前に、シランカップリング剤などをITO膜上に塗布して密着性を高めることができる。シランカップリング剤としては、例えばビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等を挙げることができる。より具体的には、ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等を使用することができる。また、アクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。エポキシシランとしては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトシキシラン等を挙げることができる。さらに、アミノシランとしては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を使用することができる。その他のシランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン等を使用することができる。
【0093】
図1に示す液晶表示装置の他に、図1の液晶表示装置と同様に、透明基板上に、着色層、保護膜を形成した後、保護膜上にスペーサーを形成し、そのスペーサーも含め、ITO膜を形成し、液晶表示装置としてもよい。
【0094】
この場合には、保護膜を本発明の光硬化性樹脂膜と同一の材料によって形成することによって、下地層である保護膜との密着強度の大きなスペーサーを形成することも可能である。この場合には、スペーサー上にもITO膜が形成されて対極との間に導電接続が形成されるので、あらかじめスペーサー上をマスキング処理をしてスペーサー上にはITO膜が形成されないようにしたり、対向電極側に短絡を防止する手段を講ずるか、あるいは形成されたITO膜をエッチングによってスペーサー上から除去するとよい。
【0095】
また、上記の液晶表示装置においては、保護膜を必須とする構成を示したが、図1の液晶表示装置と同様に、透明基板上に、着色層を形成した後、着色層上に直接ITO膜を形成し、そのITO膜面上にスペーサーを形成した構成の液晶表示装置としてもよい。
【0096】
また、後述する実施例で記載するように、図1の液晶表示装置と同様に、透明基板上に、着色層を形成した後、着色層上にスペーサーを形成し、次いでそのスペーサーも含め、ITO膜を形成し、液晶表示装置としてもよい。
【0097】
また、上述した液晶表示装置は、いずれも、カラーフィルター側にスペーサーを形成する方法をしめしたが、スペーサーを対向するTFT基板上に形成し、上記と同様に形成したカラーフィルターとセル組みしてもよい。
【0098】
本発明は、液晶表示装置において、液晶層を挟持する少なくともいずれか一方の基板上に、両基板を所定の間隔を設けて保持することが可能であるスペーサーを形成するので、液晶中にはスペーサーの粒子等を分散させる必要はない。
【実施例】
【0099】
以下に、本発明の実施例を示し、更に詳細に説明する。なお、実施例1で使用する共重合樹脂(1)は、下記の方法で合成する。
(共重合樹脂(1)の合成)
組成
・ベンジルメタクリレート ・・・ 264g(15モル%)
・スチレン ・・・ 385g(37モル%)
・アクリル酸 ・・・ 216g(30モル%)
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート ・・・ 234g(18モル%)
をアゾビスイソブチロニトリル5gと共に650gの酢酸−3−メトキシブチルに溶解した溶液を、酢酸−3−メトキシブチル1000gを入れた重合槽中に、100℃で、6時間かけて滴下し、重合させ重合体溶液を得た。
【0100】
この重合体溶液の固形分は40重量%、粘度は1050mPa・s(30℃、B型粘度計)であり、重合体の酸価は152mgKOH/g、水酸基価は90mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で37,000であった。
【0101】
得られた共重合体は、スチレン単位15モル%、ベンジルメタクリレート単位37モル%、アクリル酸単位30モル%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位18モル%からなるものである。
【0102】
次に、得られた重合体溶液に、組成
・2−メタクロイルエチルイソシアネート ・・・・ 270g
・ラウリン酸ジブチル錫 ・・・・ 1g
・酢酸−3−メトキシブチル ・・・・ 2230g
の混合物を5時間かけて滴下した。
【0103】
反応の進行はIR(赤外線吸収スペクトル)によりモニターしつつ、2200cm-1のイソシアネート基によるピークが消失した時点とした。
【0104】
得られた反応溶液の固形分は26重量%、粘度は500mPa・s(30℃、B型粘度計)であり、重合体は、酸価は120mgKOH/g、水酸基価は5mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で45,000であり、また(メタ)アクリロイル基を17モル%含有していた。
(実施例1)
厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株)製AL材)上に、金属クロムからなる厚み100nm、開口率50%、各画素の大きさ20μm×40μmのブラックマトリックスをスパッタリングにより形成した。
【0105】
その上に、下記の組成の赤色感光性樹脂をスピンコーティング法により塗布(塗布厚1.5μm)し、その後、70℃のオーブン中で30分間乾燥した。次いで、所定のパターンのフォトマスクを介して塗布面に水銀ランプを用いて露光を行い、水によるスプレー現像を1分間行って、赤色画素を形成すべき領域に赤色のレリーフパターンを形成した。さらに、その後、150℃で30分間加熱して硬化処理を施した。
【0106】
次に、下記の組成の緑色感光性樹脂を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、緑色画素を形成すべき領域に緑色のレリーフパターンを形成した。
【0107】
さらに、下記の組成の青色感光性樹脂を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、青色画素を形成すべき領域に青色のレリーフパターンを形成し、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる着色層を作成した。
【0108】
(赤色感光性樹脂の組成)
・ピラゾロンレッド(赤色顔料) … 10重量部
・ポリビニルアルコール/5%スチルバゾリウムキノリウム
(感光性樹脂) … 5重量部
・水 … 85重量部
(緑色感光性樹脂の組成)
・リオノールグリーン2Y−301(緑色顔料) … 9重量部
・ポリビニルアルコール/5%スチルバゾリウムキノリウム
(感光性樹脂) … 5重量部
・水 … 86重量部
(青色感光性樹脂の組成)
・ファストゲンブルー(青色顔料) … 3重量部
・ポリビニルアルコール/5%スチルバゾリウムキノリウム
(感光性樹脂) … 5重量部
・水 … 92重量部。
【0109】
次に、形成した着色層上に、下記の組成のスペーサー用感光性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布(乾燥膜厚5.0μm)した。
【0110】
(感光性樹脂組成物の調製)
下記組成
・上記で合成した共重合樹脂(1)(固形分26重量%)
… 45.7重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製、SR399) … 9.1重量部
・オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート180S70) … 5.2重量部
・2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン … 1.3重量部
・2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール … 1.0重量部
・ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(ノニオンHS−210、日本油脂(株)製) … 1.9重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル … 24.8重量部
・3−メトキシブチルアセテート … 12.9重量部
を室温で攪拌・混合。
【0111】
(露光・現像工程)
感光性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離に、所望の形状、大きさで、所望の間隔になるように設計されたフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて、ブラックマトリックス上のスペーサーの形成領域にのみ紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、感光性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。
【0112】
その後、基板を180℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して固定スペーサーを形成し、カラーフィルターを形成した。
【0113】
次に、基板温度200℃でアルゴンと酸素を放電ガスとし、DCマグネトロンスパッタリング法によってITOをターゲットとして透明電極膜を固定スペーサーを含む表面に成膜した。
【0114】
次いで、ポリイミドよりなる配向膜を形成した後、エポキシ樹脂をシール材としてTFTを形成したガラス基板とを150℃で0.3kg/cm2 の圧力をかけて接合してセル組みし、TN液晶を封入して、本発明の液晶表示装置を作製した。
【0115】
(実施例2)
実施例1で得たガラス基板上に形成した着色層上に、基板温度200℃でアルゴンと酸素を放電ガスとし、DCマグネトロンスパッタリング法によってITOをターゲットとして透明電極膜を成膜した。
【0116】
次いで、透明電極膜上に、実施例1同様にしてスペーサーを形成し、次いで、ポリイミドよりなる配向膜を形成した後、エポキシ樹脂をシール材としてTFTを形成したガラス基板とを150℃で0.3kg/cm2 の圧力をかけて接合してセル組みし、TN液晶を封入して本発明の液晶表示装置を作製した。
【0117】
(比較例)
実施例1における感光性樹脂組成物に代えて、
・アルカリ可溶バインダー(ベンジルメタクリレート・スチレン・アクリル酸を主成分とする共重合物(分子量3000) … 30重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製、SR399) … 20重量部
・オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エピコート180S70) … 5重量部
・2−メチル−1−〔4−メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1 … 3重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル … 30重量部
・3−メトキシブチルアセテート … 12重量部
を室温で攪拌・混合し、感光性樹脂組成物とした以外は、実施例1同様にして液晶表示装置を作製した。
【0118】
実施例1、実施例2、比較例で使用した感光性樹脂組成物について、上述した測定方法で、その動的貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接を測定した。実施例1、実施例2で使用した感光性樹脂組成物についての測定結果を図5に示し、比較例1で使用した感光性樹脂組成物についての測定結果を図6に示す。
【0119】
図5から、実施例1、2における光硬化性樹脂膜の−40℃〜80℃の範囲での動的粘弾性測定により得られる貯蔵弾性率(E′)は1.0×109 (Pa)〜5.0×109 (Pa)の範囲にあり、かつ、損失正接{tanδ=E″(損失弾性率)/E′}は0.01〜0.1の範囲にあり、また、120℃〜180℃の範囲での貯蔵弾性率(E′)は5.0×107 (Pa)〜1.0×109 (Pa)の範囲にあり、かつ損失正接{tanδ=E″(損失弾性率)/E′}が0.1〜0.3の範囲であることがわかる。
【0120】
これに対して、図6からわかるように、比較例1における光硬化性樹脂膜の−40℃〜80℃の範囲での動的粘弾性測定により得られる貯蔵弾性率(E′)は5.0×108 (Pa)〜1.0×109 (Pa)の範囲にあり、かつ、損失正接{tanδ=E″(損失弾性率)/E′}は0.05〜0.15であり、また、120℃〜180℃の範囲での貯蔵弾性率(E′)は1.0×108 (Pa)〜1.0×109 (Pa)の範囲にあり、かつ、損失正接{tanδ=E″(損失弾性率)/E′}が0.1〜0.3の範囲にある。
【0121】
すなわち、実施例1、2における光硬化性樹脂膜とは、−40℃〜80℃の範囲での損失正接において相違することがわかる。
【0122】
実施例1、実施例2、比較例で使用した感光性樹脂組成物について、上述した測定方法で、その引っ張り試験から得られる応力−歪み曲線から導かれる1%歪みにおけるヤング率(MPa)を測定した。その結果を下記の表3に示す。
【0123】
【表3】

【0124】
表から、実施例1、2にあっては、25℃におけるヤング率(MPa)は、10,000以下の範囲に含まれ、また、150℃におけるヤング率(MPa)は、10MPa以上の範囲に含まれるのに対して、比較例のものは、150℃におけるヤング率(MPa)において外れるものであることがわかる。
【0125】
実施例1、実施例2、比較例で使用した感光性樹脂組成物について、上述した測定方法で、そのダイナミック硬度を測定した。その結果を下記表4に示す。
【0126】
【表4】

【0127】
表から、実施例1、2にあっては、25℃におけるダイナミック硬度は30〜60の範囲に含まれるのに対して、比較例のものは、外れるものであることがわかる。
【0128】
次に、実施例1、実施例2、比較例で作製した液晶表示装置について、その固定スペーサーサイズを顕微鏡で観察した。実施例1、2のものは、4画素に1個のスペーサーがブラックマトリックス上に形成され、上底100μm2 、下底は上底より10μmの太りが見られる台形の形状であることが観察され、また、5μmの膜厚に形成したものが、所望の厚みの4.7μmとなっていた。これに対して、比較例のものは4.3μmであり、所望の厚みとはならず、つぶれた形状となっていた。
【0129】
実施例1、実施例2、比較例で作製した液晶表示装置について、耐低温発泡について、−30℃から−40℃で数日間冷却したところ、実施例1、2のものは変化は見られなかったが、比較例のものは点々と小さな泡が発生した。
【0130】
また、実施例1、実施例2、比較例で作製した液晶表示装置について、セル内に液晶を封入した後、100℃〜120℃にアニールしたところ、実施例1、2のものは変化は見られなかったが、比較例のものはコントラストが低下した。
【0131】
また、実施例1、実施例2、比較例で作製した液晶表示装置について、−30℃→室温→+80℃をそれぞれ1日あたり100サイクル繰り返す、熱衝撃試験を実施したところ、実施例1、2のものは変化は見られなかったが、比較例のものはコントラストの低下と発泡が生じた。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1は、本発明の液晶表示装置の1実施例を示す部分断面図である。
【図2】図2は、スペーサーを形成したカラーフィルターを示す平面図である。
【図3】図3は、スペーサーを形成したカラーフィルターの他の実施例を示す断面図である。
【図4】図4は、従来の液晶表示装置の断面図である。
【図5】図5は、実施例1、実施例2で使用した感光性樹脂組成物についての動的貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接の測定結果である。
【図6】図7は、比較例で使用した感光性樹脂組成物についての動的貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接の測定結果である。
【符号の説明】
【0133】
1は液晶表示装置、2はカラーフィルター、3は対向基板、4はガラス基板、5はブラックマトリックス、6は着色層、7は保護膜、8は透明電極膜、9はスペーサー、10はシール材、11は液晶、12は配向膜、21はカラーフィルター、22は着色画素、23はブラックマトリックス、24はスペーサー、31はカラーフィルター、32は第1色目の着色画素、33は第2色目の着色画素、34は第2色目の着色画素、35は透明電極膜、36はスペーサー、41は液晶表示装置、42はカラーフィルター、43は対向基板、44はシール材、45は液晶、46はスペーサーである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の基板の間に液晶を挟持した液晶表示装置であって、少なくとも一方の基板上の液晶挟持領域部分に基板の間隔を保持するスペーサーを設けた液晶表示装置において、該スペーサーが、下記一般式(1)、(2)で示される構成単位が、そのカルボキシル基または水酸基を介して(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物とそれぞれ一部が反応した生成物を構成単位とし、下記一般式(1)に由来する構成単位を5モル%〜55モル%、下記一般式(2)に由来する構成単位を5モル%〜95モル%含有し、(メタ)アクリロイル基を5モル%〜95モル%含み、酸価が5mgKOH/g〜400mgKOH/gであり、かつポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000である共重合樹脂と、2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーまたはオリゴマーと、エポキシ樹脂と、開始剤とからなる感光性樹脂組成物の硬化膜からなることを特徴とする液晶表示装置。
【化1】

(式中、Rは水素、または炭素数1〜5のアルキル基、R1 は炭素数2〜4のアルキレン基を表わす。)
【請求項2】
共重合樹脂が、共重合成分として、さらに、下記一般式(3)で示される構成単位を0モル%〜75モル%、下記一般式(4)で示される構成単位を0モル%〜75モル%含有することを特徴とする請求項4記載の液晶表示装置。
【化2】

(式中、Rは水素、または炭素数1〜5のアルキル基、R2 は芳香族炭素環、R3 はアルキル基、またはアラルキル基を表わす。)
【請求項3】
光硬化性樹脂膜において、ダイナミック微小硬度計を用いた三角すい圧子による25℃での押し込み試験から得られる負荷時のダイナミック硬度(DH1)が30〜60であることを特徴とする請求項1、または請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
液晶表示装置の液晶を挟持する基板の少なくとも一方の液晶挟持領域部分に、下記一般式(1)、(2)で示される構成単位が、そのカルボキシル基または水酸基を介して(メタ)アクリロイルアルキルイソシアネート化合物とそれぞれ一部が反応した生成物を構成単位とし、下記一般式(1)に由来する構成単位を5モル%〜55モル%、下記一般式(2)に由来する構成単位を5モル%〜95モル%含有し、(メタ)アクリロイル基を5モル%〜95モル%含み、酸価が5mgKOH/g〜400mgKOH/gであり、かつポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜1,000,000である共重合樹脂と、2官能以上の多官能光重合性アクリレートモノマーまたはオリゴマーと、エポキシ樹脂と、開始剤とからなる感光性樹脂組成物をスペーサーの厚みに塗布した後に、スペーサー形成部分以外には光が照射されないフォトマスクを設けて露光し、現像し、スペーサーとして光硬化性樹脂膜からなる硬化膜を設けた後、セル組みに際して120℃〜180℃の温度で封止することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【化3】

(式中、Rは水素、または炭素数1〜5のアルキル基、R1 は炭素数2〜4のアルキレン基を表わす。)
【請求項5】
共重合樹脂が、共重合成分として、さらに、下記一般式(3)で示される構成単位を0モル%〜75モル%、下記一般式(4)で示される構成単位を0モル%〜75モル%含有することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置の製造方法。
【化4】

(式中、Rは水素、または炭素数1〜5のアルキル基、R2 は芳香族炭素環、R3 はアルキル基、またはアラルキル基を表わす。)
【請求項6】
光硬化性樹脂膜において、ダイナミック微小硬度計を用いた三角すい圧子による25℃での押し込み試験から得られる負荷時のダイナミック硬度(DH1)が30〜60であることを特徴とする請求項4、または請求項5記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−203854(P2008−203854A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33931(P2008−33931)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【分割の表示】特願平10−361856の分割
【原出願日】平成10年12月5日(1998.12.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】