説明

液晶表示装置およびその製造方法

【課題】データ信号入力端子の上部に位置するCFガラス基板の切断に起因して後発生する、ソース信号線の膜剥がれ、膜浮きの低減、および膜剥がれ、膜浮きによる製造工程における品質歩留まりの低下の低減を可能にする液晶表示装置を得ることを目的とする。
【解決手段】本発明の一実施形態における液晶表示装置は、上面上にマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線を有する第1の基板8と、液晶9を介して第1の基板8の上面と対向配置され、第1の基板8の端部から退避した位置に切断端部20を有する第2の基板5と、を備え、データ信号線4は、第2の基板5の切断端部20の下部に対応する領域が、他の領域に比べ細く形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は、ノート型やデスクトップ型のパソコン、テレビ、モニター携帯電話などに用いられている。一般に液晶表示装置は、CF(カラー・フィルタ)基板とTFT(Thin Film Transistor)基板を重ね合わせた後、TFTガラス基板上に形成された信号入力端子の上部に位置する不要なCF基板を切断する。CF基板の切断は、CF基板に切断用のスクライブ線を入れ、その上から衝撃を与えることで切断する方法が一般的である。また、ガラス基板から表示パネルが何枚か取れる他面取りに対しては、その面取り切り離し切断も同時に行う(スクライブ&ブレイク工程)。
【0003】
しかし、CF基板を切断する際に、CF基板へ与える衝撃がTFT基板に形成されたソース絶縁膜、ソース信号線に伝わり、ソース信号線の膜剥がれ、膜浮きが発生することがある。ソース信号線の膜剥がれは、信号線の断線であり、信号入力が不可能な致命的な欠陥になるという問題があった。また、ソース信号線の膜浮きは、液晶注入後のパネル洗浄にて使用する超音波により膜が剥がれる可能性が高く、剥がれてしまうと上述の通り致命的な欠陥になるという問題があった。
【0004】
そこで下記特許文献1には、液晶パネル回路配線形成後の回路配線断線を効果的に修正する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−328398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したソース信号線の膜剥がれ、膜浮きは、その発生程度によって生産工場内では不良検出されず、客先への出荷後に外的ストレスによるもので検出されることがあり、後発生が懸念されるという問題があった。また、膜剥がれ、膜浮きによる製造工程における歩留まりの低下が懸念されるという問題があった。
【0007】
そこで本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、データ信号入力端子の上部に位置するCF基板の切断に起因して後発生する、ソース信号線の膜剥がれ、膜浮きの低減、および膜剥がれ、膜浮きによる製造工程における品質歩留まりの低下の低減を可能にする液晶表示装置およびその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における液晶表示装置は、上面上にマトリクス状に配置された複数のデータ信号線と走査線を有する第1の基板と、液晶を介して前記第1の基板の前記上面と対向配置され、前記第1の基板の端部から退避した位置に切断端部を有する第2の基板と、を備え、前記第1の基板は、前記データ信号線と並列配置され、前記第2の基板の前記切断端部の下部に対応する領域が、他の領域に比べ細く形成されたモニタ用配線をさらに有することを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態における液晶表示装置の製造方法は、(a)上面上にマトリクス状に配置された複数のデータ信号線と走査線に加えて、前記データ信号線と並列配置するモニタ用配線を有する第1の基板を準備する工程と、(b)前記第1の基板の前記上面と対向するように第2の基板を配置する工程と、(c)前記データ信号線の入力端子の上部に位置し、前記第1の基板の端部から退避した位置で前記第2の基板を切断する工程と、を備え、前記工程(a)において、前記モニタ用配線は、前記第2の基板の切断端部の下部に対応する領域が、他の領域に比べ細く形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態における液晶表示装置およびその製造方法によれば、モニタ用配線をモニタすることで工程流動間における膜浮き、膜剥がれを早期発見し歩留まり低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1における液晶表示装置の信号入力端子側のCFガラス基板切断部付近の構成を示した平面図および断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2における液晶表示装置の信号入力端子側のCFガラス基板切断部付近の構成を示した平面図である。
【図3】本発明の実施の形態3における液晶表示装置の信号入力端子側のCFガラス基板切断部付近の構成を示した断面図である。
【図4】本発明の実施の形態4における液晶表示装置の信号入力端子側のCFガラス基板切断部付近の構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1における液晶表示装置の信号入力端子側のCFガラス基板切断部付近の構成を示した平面図および断面図である。本実施の形態における液晶表示装置の構成は、一般的な液晶表示装置と同様であり、液晶パネルと、液晶パネルを駆動する駆動回路部(図示せず)と、光透過型であれば、例えばバックライト等の光源(図示せず)とから構成されている。液晶パネルは、上面上に互いに直交してマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線(図示せず)、データ信号線4と走査線との交点に配置された薄膜トランジスタ(図示せず)、薄膜トランジスタを介して配置された画素電極(図示せず)を有するアレイ基板(TFTガラス基板8)と、このTFTガラス基板8に対向する対向電極(図示せず)が形成されたCFガラス基板5(対向基板)と、TFTガラス基板8とCFガラス基板5との間に配向膜(図示せず)を介して保持された液晶材料9と、を備えている。液晶パネルは、ブラックマトリクス2内の領域がパネル表示エリア3となる。ここで、本実施の形態におけるデータ信号線4は、CFガラス基板5の切断端部20の下部に対応する領域が、他の領域に比べ細く形成されている。
【0013】
次に、本実施の形態における液晶表示装置の製造方法について説明する。はじめに、上面上に互いに直行してマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線、データ信号線4と走査線との交点に配置された薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタを介して配置された画素電極を有するTFTガラス基板8を準備する。ここで、データ信号線4は、上述した形状を有する。次に、TFTガラス基板8の上面と対向するように対向電極が形成されたCFガラス基板5を配置し、シール材6等で張り合わせして封着する。次に、データ信号線4の入力端子(TFTガラス基板端子部1)の上部に位置し、TFTガラス基板8から退避した位置でCFガラス基板5を切断して、CFガラス基板端材7を取り除く。次に、TFTガラス基板8とCFガラス基板5の隙間に液晶材料9を注入し封じ込めて液晶パネルが形成される。ここで、図1に示すように、CFガラス基板5を切断する際、データ信号線4の細い形状の上部に対応する領域にCFガラス基板5の切断端部20が位置するように切断する。
【0014】
このように、細い領域を有するデータ信号線4を形成し、CFガラス基板5切断端部20の下部に対応する領域に、データ信号線4の細い領域が位置することにより、切断時にデータ信号線4に与える衝撃が大きくなる。
【0015】
以上より、本実施の形態における液晶表示装置およびその製造方法によれば、CFガラス基板5切断時にデータ信号線4に与える衝撃が大きくなり、膜剥がれの起き易いものとなる。よって、以降、クリーニング装置などによる外的ストレスにより製造工程内で断線となり易くなる。従って、客先での後発生を未然に防ぐことが可能となる。
【0016】
<実施の形態2>
図2は、本発明の実施の形態2における液晶表示装置の信号入力端子側のCFガラス基板切断部付近の構成を示した平面図である。本実施の形態における液晶パネルは、上面上に互いに直交してマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線(図示せず)、データ信号線4と走査線との交点に配置された薄膜トランジスタ(図示せず)、薄膜トランジスタを介して配置された画素電極(図示せず)、データ信号線4と並列配置されたモニタ用配線10を有するアレイ基板(TFTガラス基板8)と、このTFTガラス基板8に対向する対向電極(図示せず)が形成されたCFガラス基板5(対向基板)と、TFTガラス基板8とCFガラス基板5との間に配向膜(図示せず)を介して保持された液晶材料9と、を備えている。ここで、本実施の形態におけるモニタ用配線10は、CFガラス基板5の切断端部20の下部に対応する領域が、他の領域に比べ細く形成されている。
【0017】
次に、本実施の形態における液晶表示装置の製造方法について説明する。はじめに、上面上に互いに直行してマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線、データ信号線4と走査線との交点に配置された薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタを介して配置された画素電極、データ信号線4の並列配置されたモニタ用配線10を有するTFTガラス基板8を準備する。ここで、モニタ用配線10は、上述した形状を有する。次に、TFTガラス基板8の上面と対向するように対向電極が形成されたCFガラス基板5を配置し、シール材6等で張り合わせして封着する。次に、データ信号線4の入力端子(TFTガラス基板端子部1)の上部に位置し、TFTガラス基板8から退避した位置でCFガラス基板5を切断する。次に、TFTガラス基板8とCFガラス基板5の隙間に液晶材料9を注入し封じ込めて液晶パネルが形成される。ここで、図2に示すように、CFガラス基板5を切断する際、モニタ用配線10の細い形状の上部に対応する領域にCFガラス基板5の切断端部20が位置するように切断する。
【0018】
このように、細い領域を有するモニタ用配線10をデータ信号線4と並列に形成し、CFガラス基板5切断端部20の下部に対応する領域に、モニタ用配線10の細い領域が位置することにより、CFガラス基板5切断時にモニタ用配線10に与える衝撃が大きくなり、モニタ用配線10のみ膜剥がれの起き易いものとなる。
【0019】
以上より、本実施の形態の液晶表示装置およびその製造方法によれば、モニタ用配線10をモニタすることで工程流動間における膜浮き、膜剥がれを早期発見し歩留まり低下を防ぐことが可能となる。
【0020】
<実施の形態3>
図3は、本発明の実施の形態3における液晶表示装置の信号入力端子側のCFガラス基板切断部付近の構成を示した断面図である。本実施の形態における液晶パネルは、上面上に互いに直交してマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線(図示せず)、データ信号線4と走査線との交点に配置された薄膜トランジスタ(図示せず)、薄膜トランジスタを介して配置された画素電極(図示せず)を有するアレイ基板(TFTガラス基板8)と、このTFTガラス基板8に対向する対向電極(図示せず)が形成されたCFガラス基板5(対向基板)と、TFTガラス基板8とCFガラス基板5との間に配向膜(図示せず)を介して保持された液晶材料9と、を備えている。ここで、本実施の形態におけるデータ信号線4は、CFガラス基板5の切断端部20の下部に対応する領域に、2層構造11を有している。
【0021】
次に、本実施の形態における液晶表示装置の製造方法について説明する。はじめに、上面上に互いに直行してマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線、データ信号線4と走査線との交点に配置された薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタを介して配置された画素電極を有するTFTガラス基板8を準備する。ここで、データ信号線4は、上述した形状を有する。次に、TFTガラス基板8の上面と対向するように対向電極が形成されたCFガラス基板5を配置し、シール材6等で張り合わせして封着する。次に、データ信号線4の入力端子(TFTガラス基板端子部1)の上部に位置し、TFTガラス基板8から退避した位置でCFガラス基板5を切断する。次に、TFTガラス基板8とCFガラス基板5の隙間に液晶材料9を注入し封じ込めて液晶パネルが形成される。ここで、図3に示すように、CFガラス基板5を切断する際、データ信号線4の2層構造11の上部に対応する領域にCFガラス基板5の切断端部20が位置するように切断する。
【0022】
以上より、本実施の形態における液晶表示装置およびその製造方法によれば、CFガラス基板5切断端部20の下部のデータ信号線4を2層構造11に形成することで膜浮き、膜剥がれの発生を減らし歩留まり低下を防ぐことが可能となる。
【0023】
<実施の形態4>
図4は、本発明の実施の形態4における液晶表示装置の信号入力端子側のCFガラス基板切断部付近の構成を示した断面図である。本実施の形態における液晶パネルは、上面上に互いに直交してマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線(図示せず)、データ信号線4と走査線との交点に配置された薄膜トランジスタ(図示せず)、薄膜トランジスタを介して配置された画素電極(図示せず)、表示領域の外に配置された有機膜12の柱を有するアレイ基板(TFTガラス基板8)と、このTFTガラス基板8に対向する対向電極が形成されたCFガラス基板5(対向基板)と、TFTガラス基板8とCFガラス基板5との間に配向膜を介して保持された液晶材料9と、を備えている。ここで、本実施の形態における有機膜12は、CFガラス基板5の切断端部20の下部の外側において、データ信号線4上に部分的に配置されている。
【0024】
次に、本実施の形態における液晶表示装置の製造方法について説明する。はじめに、上面上に互いに直行してマトリクス状に配置された複数のデータ信号線4と走査線、データ信号線4と走査線との交点に配置された薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタを介して配置された画素電極、表示領域外に配置された有機膜12を有するTFTガラス基板8を準備する。次に、TFTガラス基板8の上面と対向するように対向電極が形成されたCFガラス基板5を配置し、シール材6等で張り合わせして封着する。次に、データ信号線4の入力端子(TFTガラス基板端子1)の上部に位置し、TFTガラス基板8から退避した位置でCFガラス基板5を切断する。次に、TFTガラス基板8とCFガラス基板5の隙間に液晶材料9を注入し封じ込めて液晶パネルが形成される。ここで、図4に示すように、CFガラス基板5を切断する際、有機膜12が配置された位置よりも内側にCFガラス基板5の切断端部20が位置するように切断する。
【0025】
以上より、本実施の形態における液晶表示装置およびその製造方法によれば、有機膜12による柱をCFガラス基板切断端部20の下部の外側においてデータ信号線4上に部分的に配置することにより、CFガラス基板端材7が直接ソース信号線へ接触しないようにしたもので、膜浮き、膜剥がれの発生を減らし歩留まり低下を防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1 TFTガラス基板端子部、2 ブラックマトリクス、3 パネル表示エリア、4 データ信号線、5 CFガラス基板、6 シール材、7 CFガラス基板端材、8 TFTガラス基板、9 液晶材料、10 モニタ用配線、11 データ信号線の2層構造、12 有機膜、20 切断端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面上にマトリクス状に配置された複数のデータ信号線と走査線を有する第1の基板と、
液晶を介して前記第1の基板の前記上面と対向配置され、前記第1の基板の端部から退避した位置に切断端部を有する第2の基板と、を備え、
前記第1の基板は、前記データ信号線と並列配置され、前記第2の基板の前記切断端部の下部に対応する領域が、他の領域に比べ細く形成されたモニタ用配線をさらに有する、液晶表示装置。
【請求項2】
上面上にマトリクス状に配置された複数のデータ信号線と走査線を有する第1の基板と、
液晶を介して前記第1の基板の前記上面と対向配置され、前記第1の基板の端部から退避した位置に切断端部を有する第2の基板と、を備え、
前記第1の基板は、前記第2の基板の切断端部の下部の外側において、前記データ信号線上に部分的に配置された有機膜をさらに有する、液晶表示装置。
【請求項3】
(a)上面上にマトリクス状に配置された複数のデータ信号線と走査線に加えて、前記データ信号線と並列配置するモニタ用配線を有する第1の基板を準備する工程と、
(b)前記第1の基板の前記上面と対向するように第2の基板を配置する工程と、
(c)前記データ信号線の入力端子の上部に位置し、前記第1の基板の端部から退避した位置で前記第2の基板を切断する工程と、を備え、
前記工程(a)において、前記モニタ用配線は、前記第2の基板の切断端部の下部に対応する領域が、他の領域に比べ細く形成された、液晶表示装置の製造方法。
【請求項4】
(a)上面上にマトリクス状に配置された複数のデータ信号線と走査線に加えて、有機膜を有する第1の基板を準備する工程と、
(b)前記第1の基板の前記上面と対向するように第2の基板を配置する工程と、
(c)前記データ信号線の入力端子の上部に位置し、前記第1の基板の端部から退避した位置で前記第2の基板を切断する工程と、を備え、
前記工程(a)において、前記有機膜は、前記第2の基板の切断端部の下部の外側において、前記データ信号線上に部分的に配置された、液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226386(P2012−226386A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183733(P2012−183733)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2008−216175(P2008−216175)の分割
【原出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】