説明

液晶表示装置および色処理方法

【課題】画像が表示される表示面を視る角度によって生じる色ずれを低減することを可能とする液晶表示装置等を提供する。
【解決手段】画素の色が特定色領域RN内の色であるか否かが判定される(S112)。特定色領域RNは、表示面に色が表示された場合、表示面に対し垂直な軸上で人間が感じる表示面に表示される色と所定角度傾けた軸上で人間が感じる表示面に表示される色との差が所定値以上である複数の色を含む領域である。特定色領域RN内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、特定色領域RN外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、特定色領域RN外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の高い第2色とが算出される(S114,S116)。処理対象画素の色が第1色および第2色の一方に変更され、処理対象画素の近傍の画素の色が第1色および第2色の他方に変更される(S117)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および色処理方法に関し、特に、画像の画素の色を変更する処理を行なう液晶表示装置および色処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VA(Vertical Alignment)方式の液晶パネルを使用した液晶表示装置が普及しつつある。VA方式の液晶パネルは、黒を表示する際の漏れ光が少なく、高コントラストという特徴を有する。そのため、VA方式の液晶パネルは、TN(Twisted Nematic)方式の液晶パネルより、視野角の光学的変化が少ないため、多くの液晶テレビで使用されている。非特許文献1には、VA方式の原理および視野角拡大原理等が開示されている。
【非特許文献1】エイ.タケダ(A. Takeda)、エス.カタオカ(S. Kataoka)、ティー.ササキ(T. Sasaki)、エイチ.チダ(H. Chida)、ケイ.オオムラ(K. Ohmura)、ティー.ササバヤシ(T. Sasabayashi)、ワイ.コイケ(Y. Koike)およびケイ.オカモト(K. Okamoto)著、「ア スーパー−ハイ−イメージ−クオリティー マルチ−ドメイン バーティカル アラインメント エルシィーディ バイ ニュー ラビング−レス テクノロジー」(A Super-High-Image-Quality Multi-Domain Vertical Alignment LCD by New Rubbing-Less Technology)、エスアイディ(SID)'98ダイジェスト(Digest)、1998年、p.1077-1080
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、VA方式の液晶パネルは、斜めから見た場合の色変化が指摘される場合がある。実際には、VA方式の液晶パネルでは、正面から離れると輝度低下も発生しているが、画像のトーン(調子)は変わらないので輝度低下の指摘は少ないが、色の変化で視野角の狭さが指摘される場合が多い。
【0004】
図14は、VA方式の液晶パネルの特性を示す図である。図14において、縦軸は、輝度の相対値を示す。縦軸に示される値は、輝度の最大値を“1”とした場合の相対値である。横軸に示される値は、入力レベルの最大値を“1”とした場合の相対値である。
【0005】
以下においては、VA方式の液晶表示装置が有する、画像を表示する表示面を、VA方式表示面という。また、以下においては、VA方式表示面に対し垂直な軸であって、かつ、軸の一端がVA方式表示面の中心の位置に接する軸を、表示面垂直軸という。また、以下においては、水平方向にK(0〜180未満の実数)度傾けた表示面垂直軸上でユーザがVA方式表示面を視る場合において、K度傾けた表示面垂直軸におけるK度の角度を、視角という。
【0006】
ここで、VA方式表示面には、所定の色(例えば、白)が表示されているとする。この場合、図14において、特性曲線L0は、表示面垂直軸上でユーザ(人間)が感じる、VA方式表示面の明るさの特性を示す。すなわち、特性曲線L0は、ユーザ(人間)が、VA方式表示面を正面から視た場合における、ユーザ(人間)が感じる、VA方式表示面の明るさの特性を示す。
【0007】
特性曲線L0は、ガンマ値が“2.2”の場合の曲線である。特性曲線L30は、水平方向に30度傾けた表示面垂直軸上でユーザ(人間)が感じる、VA方式表示面の明るさの特性を示す。特性曲線L60は、水平方向に60度傾けた表示面垂直軸上で、ユーザ(人間)が感じる、VA方式表示面の明るさの特性を示す。
【0008】
図14に示されるように、ユーザがVA方式表示面を視る位置の対象となる表示面垂直軸を、30度、60度と傾けるほど、中間調において、輝度の値が大きくなる。すなわち、同じ入力レベルの信号でも、視角が大きくなるほど、輝度のずれが生じる。
【0009】
なお、輝度のずれが発生した場合でも、R,G,Bの原色については、他の色が混合されてないので、色ずれは発生しない。しかしながら、色度図上で原色よりやや内側の混合色では他の色の割合が変わるので色ずれが生じる。
【0010】
たとえば、図14では、入力レベルが“0.9”の場合、特性曲線L0および特性曲線L60が示す輝度は、それぞれ、A1およびA2であるとする。また、入力レベルが“0.4”の場合、特性曲線L0および特性曲線L60が示す輝度は、それぞれ、B1およびB2であるとする。
【0011】
この場合、視角が0度の場合、輝度A1のR(赤)色と、輝度B1のG(緑)色と、輝度B1のB(青)色とから、後述する朱色CA0が生成されるとする。また、視角が60度の場合、輝度A2のR(赤)色と、輝度B2のG(緑)色と、輝度B2のB(青)色とから、後述する朱色CA30が生成されるとする。この場合、視角が0度から60度に変化すると、主色(R)と従色(G,B)の混合比が、A1/B1からA2/B2となる。
【0012】
すなわち、主色(R)と従色(G,B)の混合比が、色が薄くなる方向へと変わる。そのため、視角が0度から60度に変化するにつれ、VA方式表示面に表示される朱色が薄くなるように識別される。この現象が、視聴者(ユーザ)から画質劣化と捉えられていた。
【0013】
上記現象を色度図上で表したものが、図15である。図15は、CIE 1976 UCS(Uniform Color Scale)色度図である。図15において、色領域RAは、液晶表示装置が表示可能な全ての色を示す領域である。色領域線LA0は、視角が0度の場合において、前述したように、輝度A1のR(赤)色と、輝度B1のG(緑)色と、輝度B1のB(青)色とから生成された朱色CA0を含む中間色を示す線である。色領域線LA30は、視角が30度の場合における朱色CA30を含む中間色を示す線である。色C0は、無彩色である。なお、無彩色C0の位置は、テレビジョン規格において、色温度が6500度である場合の無彩色の原点の位置である。図15において、原色CPは、赤(R)の原色の例である。また、図15において、無彩色C0と原色CPとを結ぶ線分を、線分L0Pとする。
【0014】
図15に示されるように、R,G,Bの原色(例えば、原色CP)の位置は、視角が変化しても、ほとんど変化しない。原色より彩度が低い中間色(たとえば、朱色CA0)の位置は、視角の変化に応じて、内側へ大きく移動する(たとえば、朱色CA30)。以上により、VA方式の液晶表示装置では、画像が表示される表示面を視る角度によって、中間色が変化してしまうという問題点がある。すなわち、VA方式の液晶表示装置では、画像が表示される表示面を視る角度によって色ずれが生じるという問題点がある。
【0015】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、画像が表示される表示面を視る角度によって生じる色ずれを低減することを可能とする液晶表示装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するために、この発明のある局面に従うと、画像を表示する表示面を有する、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置は、画像を取得する取得部と、画像を構成する複数の画素の各々に対し、画素の色が、液晶表示装置が表示可能な全ての色を示す色度図上の特定色領域内の色であるか否かを判定する色判定処理を行なう色判定部とを備える。特定色領域は、表示面に色が表示された場合、表示面に対し垂直な軸上で人間が感じる表示面に表示される色と、所定角度傾けた軸上で人間が感じる表示面に表示される色との差が所定値以上である複数の色を含む色度図上の領域である。液晶表示装置は、色判定部により特定色領域内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の高い第2色とを算出する色算出処理と、処理対象画素の色を第1色および第2色の一方に変更し、かつ、処理対象画素の近傍の画素の色を第1色および第2色の他方に変更する色変更処理とを、全ての処理対象画素に対して行なう色処理部と、色処理部により処理された全ての処理対象画素を含む画像を表示する表示部とをさらに備える。
【0017】
すなわち、画素の色が、特定色領域内の色であるか否かが判定される。特定色領域は、表示面に色が表示された場合、表示面に対し垂直な軸上で人間が感じる表示面に表示される色と、所定角度傾けた軸上で人間が感じる表示面に表示される色との差が所定値以上である複数の色を含む領域である。特定色領域内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の高い第2色とが算出される。処理対象画素の色が第1色および第2色の一方に変更され、かつ、処理対象画素の近傍の画素の色が第1色および第2色の他方に変更される。
【0018】
すなわち、人間が表示面を見る角度によって色の変化の度合いが大きい複数の色を含む特定色領域内の画素の色を、特定色領域外の2つの色と、2つの画素とにより表現する。
【0019】
したがって、画像が表示される画像表示面を視る角度によって生じる色ずれを大きく低減することができる。
【0020】
この発明の他の局面に従うと、画像を表示する表示面を有する、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置が行なう色処理方法は、画像を取得する取得ステップと、画像を構成する複数の画素の各々に対し、画素の色が、液晶表示装置が表示可能な全ての色を示す色度図上の特定色領域内の色であるか否かを判定する色判定処理を行なう色判定ステップとを備える。特定色領域は、表示面に色が表示された場合、表示面に対し垂直な軸上で人間が感じる表示面に表示される色と、所定角度傾けた軸上で人間が感じる表示面に表示される色との差が所定値以上である複数の色を含む色度図上の領域である。色処理方法は、色判定ステップにより特定色領域内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の高い第2色とを算出する色算出処理と、処理対象画素の色を第1色および第2色の一方に変更し、かつ、処理対象画素の近傍の画素の色を第1色および第2色の他方に変更する色変更処理とを、全ての処理対象画素に対して行なう色処理ステップと、色処理ステップにより処理された全ての処理対象画素を含む画像を表示する表示ステップとをさらに備える。
【0021】
すなわち、画素の色が、特定色領域内の色であるか否かが判定される。特定色領域は、表示面に色が表示された場合、表示面に対し垂直な軸上で人間が感じる表示面に表示される色と、所定角度傾けた軸上で人間が感じる表示面に表示される色との差が所定値以上である複数の色を含む領域である。特定色領域内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の高い第2色とが算出される。処理対象画素の色が第1色および第2色の一方に変更され、かつ、処理対象画素の近傍の画素の色が第1色および第2色の他方に変更される。
【0022】
すなわち、人間が表示面を見る角度によって色の変化の度合いが大きい複数の色を含む特定色領域内の画素の色を、特定色領域外の2つの色と、2つの画素とにより表現する。
【0023】
したがって、画像が表示される画像表示面を視る角度によって生じる色ずれを大きく低減することができる。
【0024】
なお、本発明は、色処理方法で行なわれる処理を、コンピュータに実行させるプログラムとしても実現することもできる。また、本発明は、当該プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体、集積回路としても実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、画素の色が、特定色領域内の色であるか否かが判定される。特定色領域は、表示面に色が表示された場合、表示面に対し垂直な軸上で人間が感じる表示面に表示される色と、所定角度傾けた軸上で人間が感じる表示面に表示される色との差が所定値以上である複数の色を含む領域である。特定色領域内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の高い第2色とが算出される。処理対象画素の色が第1色および第2色の一方に変更され、かつ、処理対象画素の近傍の画素の色が第1色および第2色の他方に変更される。
【0026】
すなわち、人間が表示面を見る角度によって色の変化の度合いが大きい複数の色を含む特定色領域内の画素の色を、特定色領域外の2つの色と、2つの画素とにより表現する。
【0027】
したがって、画像が表示される画像表示面を視る角度によって生じる色ずれを大きく低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0029】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態における液晶表示装置1000の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、液晶表示装置1000は、信号処理回路100と、データ駆動回路210と、走査駆動回路220と、液晶パネル230とを備える。
【0030】
なお、液晶表示装置1000は、図示されないバックライト部、電源部等も備える。また、液晶表示装置1000がテレビジョン受像機であるとした場合、液晶表示装置1000は、図示されない、チューナー、復号回路等をさらに備える。
【0031】
信号処理回路100は、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の画像処理専用の回路である。なお、信号処理回路100は、DSP,ASIC等に限定されることなく、他の演算回路であってもよい。
【0032】
信号処理回路100には、画像信号IMGが入力される。信号処理回路100は、入力される画像信号IMGに対し、色処理(例えば、後述する色ずれ低減処理等)、ガンマ補正等の画像処理を行なう。信号処理回路100は、画像処理を行なった画像信号を、データ駆動回路210へ送信する。データ駆動回路210は、受信した画像信号を、液晶パネル230へ送信する。
【0033】
液晶パネル230は、VA(Vertical Alignment)方式の液晶パネルである。液晶パネル230は、画像を表示する画像表示面を有する。
【0034】
また、信号処理回路100は、画像処理を行なった画像信号に同期した走査信号を、走査駆動回路220へ送信する。走査駆動回路220は、受信した走査信号に応じて、液晶パネル230を駆動させる。データ駆動回路210および走査駆動回路220の動作により、液晶パネル230の画像表示面に、画像信号に基づく画像が表示される。なお、液晶パネル230の画像表示面に画像を表示させるための処理は、一般的なVA方式の液晶表示装置の処理と同様なので詳細な説明は行なわない。
【0035】
以下においては、画像表示面に対し垂直な軸であって、かつ、軸の一端が画像表示面の中心の位置に接する軸を、表示面垂直軸という。また、以下においては、K(0〜180未満の実数)度傾けた表示面垂直軸上でユーザが画像表示面を視る場合において、水平方向にK度傾けた表示面垂直軸におけるK度の角度を、視角という。
【0036】
図2は、UCS色度図上の無彩色から原色までにおける、視角毎の色ずれを説明するための示す図である。具体的には、図2は、図15の無彩色C0と原色CPとを結ぶ線分L0P上の色を、画像表示面に表示した場合おける、視角毎の色ずれを実測値で示す図である。当該実測値は、色彩計等の装置により測定された値である。
【0037】
図2において、横軸は、図15の無彩色C0から原色CPまでの距離を“1”とした場合の相対値を示す。なお、図2の横軸は、画像表示面に線分L0P上の色を表示した場合における、画像表示面の正面から、画像表示面に表示される色を色彩計により測定した値(Δu’v’“0”)を示す軸となる。すなわち、画像表示面に線分L0P上の色を表示したときに、表示面垂直軸上からユーザが画像表示面を視た場合、ユーザは色のずれを感じない。
【0038】
特性曲線LC15は、画像表示面に線分L0P上の色を表示したときに、表示面垂直軸上から色彩計により測定した画像表示面に表示される色と、水平方向に15度傾けた表示面垂直軸上から色彩計により測定した画像表示面に表示される色との差(ずれ)の特性を示す。特性曲線LC30は、画像表示面に線分L0P上の色を表示したときに、表示面垂直軸上から色彩計により測定した画像表示面に表示される色と、水平方向に30度傾けた表示面垂直軸上から色彩計により測定した画像表示面に表示される色との差(ずれ)の特性を示す。
【0039】
特性曲線LC45は、画像表示面に線分L0P上の色を表示したときに、表示面垂直軸上から色彩計により測定した画像表示面に表示される色と、水平方向に45度傾けた表示面垂直軸上から色彩計により測定した画像表示面に表示される色との差(ずれ)の特性を示す。
【0040】
特性曲線LC30は、例えば、図15の線分L0P上の無彩色C0の位置から約0.8の距離だけ離れた位置の色が画像表示面に表示された場合、表示面垂直軸上でユーザが感じる画像表示面に表示される色と、水平方向に30度傾けた表示面垂直軸上でユーザが感じる画像表示面に表示される色との差(ずれ)が最も大きくなることを示す。
【0041】
図2に示されるように、特性曲線LC15,LC30,LC45の各々において、横軸の値が0.7〜0.95の範囲に対応するΔu’v’の値が、他の範囲に対応するΔu’v’の値より特に大きくなっている。
【0042】
本発明においては、表示面垂直軸上でユーザが感じる画像表示面に表示される色と、水平方向に所定角度(例えば、30度)傾けた表示面垂直軸上でユーザが感じる画像表示面に表示される色との差(Δu’v’)が、所定値以上である複数の色を含む領域を、特定色領域RNという。
【0043】
なお、特性曲線LC15,LC30,LC45の各々が示す特性は、USC色度図が示す全ての色のうちの一部の色の特性である。そのため、本発明においては、図2に対応する以外の色の特性も考慮して、図2の横軸の値が、0.6〜0.9の範囲に含まれる複数の色を含む領域を、特定色領域RNとする。そのため、図2では、一例として、特性曲線LC30が示すΔu’v’の値が、約0.02以上の範囲の約8割の範囲が、特定色領域RNとなる。なお、特定色領域RNを決める値の範囲は、0.6〜0.9に限定されることなく、他の値の範囲(たとえば、0.7〜0.92)であってもよい。
【0044】
本発明において、特定色領域RNは、一例として、視角が30度以内の場合における色ずれに対処しようとするものである。なお、特定色領域RNの色ずれの対処となる視角は、30度以内に限定されることはない。
【0045】
図2に示される特定色領域RN内には、肌色が含まれる。そのため、画像表示面に、人間の顔を示す画像が表示されると、視角が大きくなるほど肌色が変化する。
【0046】
図3は、UCS色度図において、特定色領域RNを示す図である。図3において、図15に示される符号と同じ符号が付される箇所は、図15で説明したのと同様なので詳細な説明は繰り返さない。図3に示される色領域RAは、液晶表示装置1000の液晶パネル230が表示可能な全ての色を示す領域である。特定色領域RNは、色領域RA内に配置される領域である。
【0047】
図3において、領域境界線LR1は、特定色領域RN内の内側の境界を示す線である。また、領域境界線LR2は、特定色領域RN内の外側の境界を示す線である。以下においては、色領域RAの境界を示す線を、全色領域境界線という。全色領域境界線上には、原色CPが配置される。
【0048】
本発明は、画像表示面に画像を表示する場合、表示される予定の画像の画素の色が、特定色領域RN内の色である場合、特定色領域RN外の複数の色と、複数の画素を使用して、特定色領域RN内の色を表現するという発明である。
【0049】
(色ずれ低減のための処理)
次に、視角に応じて生じる色ずれを低減するための処理(以下、色ずれ低減処理という)について説明する。
【0050】
図4は、色ずれ低減処理のフローチャートである。図4をに示されるように、まず、色ずれ低減処理では、ステップS111の処理が行なわれる。
【0051】
ステップS111では、図1の信号処理回路100が、外部から画像を取得する。具体的には、信号処理回路100が、外部から画像を示す画像信号を取得する。以下においては、信号処理回路100が取得した画像信号が示す画像を、取得画像という。ここで、取得画像のサイズは、一例として、横1920画素、縦1080画素のサイズであるとする。
【0052】
ステップS112では、信号処理回路100が、取得画像を構成する複数の画素のうち、S(自然数)番目の画素の色が、図3に示す特定色領域RN内の色であるか否かを判定する。なお、Sの初期値は“1”であるとする。
【0053】
取得画像において、1〜1920番目の画素は、それぞれ、1行1列目の画素〜1行1920列目の画素である。取得画像において、1921番目の画素は、2行1列目の画素である。すなわち、S番目の画素は、Sの値が1増加する毎に、隣接する右の画素となる。なお、取得画像において、S番目の画素に隣接する右の画素が存在しない場合、S+1番目の画素は、1行下の1列目の画素となる。最終的に、S番目の画素は、1080行1920列の画素となる。
【0054】
ステップS112において、YESならば、処理はステップS113の処理に移行する。一方、ステップS112において、NOならば、処理はステップS112Aの処理に移行する。以下においては、画素の色が特定色領域RN内の色であると判定された画素を、処理対象画素という。ここでは、ステップS112において、NOと判定されたとして、ステップS112Aの処理が行なわれるとする。
【0055】
ステップS112Aでは、信号処理回路100がSの値を“1”インクリメントする。
ステップS112Bでは、取得画像を構成する全ての画素について、ステップS112の判定処理が終了したか否かが判定される。具体的には、信号処理回路100が、Sの値が、取得画像を構成する画素の数(1080×1920=2073600)より大きいか否かを判定する。
【0056】
ステップS112Bにおいて、YESならば、信号処理回路100がSの値を“1”に設定して、処理は後述するステップS119の処理に移行する。一方、ステップS112Bにおいて、NOならば、再度、ステップS112の処理が行なわれる。ここでは、NOと判定され、ステップS112の処理が行なわれるとする。
【0057】
ここで、取得画像は、以下の取得画像G100であるとする。ここで、S番目の画素が、取得画像G100に示される画素PXであるとする。
【0058】
図5は、一例としての取得画像G100を示す図である。図5において、画素PN1,PN2については後述する。
【0059】
また、図5の画素PXとしてのS番目の画素が、図3に示される画素PXであるとする。すなわち、S番目の画素PXの色が、図3に示される特定色領域RN内の色であるとする。この場合、ステップS112でYESと判定され、処理がステップS113の処理に移行する。また、この場合、画素PXは、処理対象画素である。
【0060】
ステップS113では、座標変換処理が行なわれる。座標変換処理では、信号処理回路100が、図3の無彩色C0の位置から、処理対象画素の色の位置を経由して、前述した全色領域境界線までを結ぶ線分における処理対象画素の色の位置を算出する。算出される色の位置は、UCS色度図上の位置である。以下においては、図3の無彩色C0の位置から、処理対象画素の色の位置を経由して、前述した全色領域境界線までを結ぶ線分を、色算出線分という。なお、以下の説明において、色算出線分上の位置は、UCS色度図上の位置である。
【0061】
図6は、特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の複数の色を使用して表現するための処理を説明するための図である。
【0062】
図6(A)は、色算出線分を示す図である。ここで、処理対象画素は、図3に示される画素PXであるとする。この場合、図6(A)において、色CXは、処理対象画素としての画素PXの色であるとする。この場合、ステップS113の処理により、色算出線分における処理対象画素の位置は、色CXの位置であると算出される。
【0063】
再び、図4において、ステップS114では、信号処理回路100が、領域外高彩度色を算出する。領域外高彩度色は、図6(A)に示されるように、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、領域境界線LR2に最も隣接する色Yである。すなわち、領域外高彩度色Yは、領域境界線LR2と全色領域境界線との間の位置の色である。すなわち、領域外高彩度色Yは、特定色領域RNと、全色領域境界線との間の位置の色である。
【0064】
ステップS115では、信号処理回路100が、色CXの位置と領域外高彩度色Yの位置との距離(以下、CX−Y距離という)を算出する。
【0065】
ステップS116では、信号処理回路100が、領域外低彩度色を算出する。領域外低彩度色は、図6(A)に示されるように、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、色CXの位置から、無彩色C0の方向へ、CX−Y距離(L1)だけ離れた位置の色Zである。すなわち、領域外低彩度色Zは、無彩色C0の位置と領域境界線LR1との間の位置の色である。すなわち、領域外低彩度色Zは、無彩色C0の位置と特定色領域RNとの間の位置の色である。
【0066】
また、処理対象画素の色CXの位置と領域外低彩度色Zの位置との距離(L1)は、処理対象画素の色CXの位置と領域外高彩度色Yの位置との距離(L1)と同じである。また、色算出線分において、無彩色C0の位置から特定色領域RN(領域境界線LR1)までの距離は、全色領域境界線から特定色領域RN(領域境界線LR2)までの距離より長い。
【0067】
ステップS117では、色変更処理が行なわれる。色変更処理では、信号処理回路100が、処理対象画素PXの色を、算出した領域外低彩度色Zに変更し、かつ、処理対象画素PXに対し、水平方向に隣接する画素PN(図5参照)の色を、領域外高彩度色Yに変更する(図6(B)参照)。
【0068】
なお、色変更処理において、画素の色を変更する場合、UCS色度図において、変更予定の色(例えば、領域外低彩度色Z)の位置を、データ駆動回路210が処理可能な色空間(たとえば、RGB色空間)内の位置に変換するための逆座標変換処理が行なわれる。すなわち、色の変更対象となる画素(たとえば、処理対象画素PX)の色は、逆座標変換処理された変更予定の色(例えば、RGB色空間内における領域外低彩度色Z)に変更される。
【0069】
図6(B)は、2画素で目標の色(色CX)を表示することを説明するための図である。これは、通常のテレビジョン信号の色情報は色差信号で伝送され、輝度信号の半分の周波数成分、すなわち、横方向に隣接する2画素で同じ色情報しかない点に合致している。このことは、2画素平均で所望の信号を実現するこの方式は、解像度低下を招くことがない利点を有することを意味している。なお、色変化は図2のΔu’v’の値において、一般の人間が識別可能な限界値は0.01近辺と言われており、この程度の範囲内の誤差で色の補正をすればよい。
【0070】
図6(B)に示されるように、領域外低彩度色Zを示す処理対象画素PXと領域外高彩度色Yを示す画素PNとを、ユーザ(人間)が視ると、ユーザは、処理対象画素PXおよび画素PNの2つの画素の色を、目の特性により色CXに感じる。これは、領域外低彩度色Zと、領域外高彩度色Yとの平均の色が、色CXであることによる。すなわち、この処理により、特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の複数の色と、複数の画素を使用して表現することができる。
【0071】
なお、画素PNは、図5に示されるように、処理対象画素PXの右隣の画素でなく、処理対象画素PXの左隣の画素であってもよい。なお、処理対象画素PXが、取得画像G100において右端の画素である場合、画素PNは、処理対象画素PXの左隣の画素となる。また、画素PNは、処理対象画素PXの上または下に隣接する画素としてもよい。
【0072】
再び、図7において、ステップS117の処理の後、前述したステップS112Bの処理が行なわれる。
【0073】
以上説明した、ステップS112〜S117の処理が、ステップS112BでYESと判定されるまで繰り返し行なわれることにより、取得画像G100が、取得画像G100において特定色領域RN内の色であると判定された画素の色が、色Z,Yをそれぞれ示す2つの画素により表現された画像(以下、色変更画像という)に変更される。
【0074】
1枚の画像を構成する全ての画素に対しステップS112の処理が行なわれると、ステップS112BでYESと判定され、信号処理回路100がSの値を“1”に設定して、ステップS119の処理が行なわれる。
【0075】
ステップS119では、画像表示処理が行なわれる。画像表示処理では、信号処理回路100が、色変更画像を、走査駆動回路220へ送信する。そして、信号処理回路100は、走査駆動回路220に、色変更画像を液晶パネル230の画像表示面に表示させるための走査信号を送信する。この処理により、液晶パネル230の画像表示面に、色変更画像が表示される。
【0076】
そして、再度、ステップS111の処理が行なわれる。
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、取得画像を構成する複数の画素の各々に対し、画素の色が、特定色領域RN内の色であるか否かを判定する。なお、特定色領域RNは、表示面垂直軸上でユーザが感じる画像表示面に表示される色と、水平方向に所定角度傾けた表示面垂直軸上でユーザが感じる画像表示面に表示される色との差が、所定値以上である複数の色を含む領域である。
【0077】
そして、特定色領域RN内の色であると判定された画素(処理対象画素)の位置に基づいて、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、領域境界線LR2に最も隣接する領域外高彩度色Yが算出される。また、処理対象画素の位置に基づいて、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、色CXの位置から、無彩色C0の方向へ、CX−Y距離だけ離れた位置の領域外低彩度色Zが算出される。
【0078】
また、処理対象画素の色を、算出した領域外低彩度色Zに変更し、かつ、処理対象画素に対し、水平方向に隣接する画素PNの色を、領域外高彩度色Yに変更する色変更処理が、全ての処理対象画素に対して行なわれる。
【0079】
以上の処理により生成された色変更画像が、液晶パネル230の画像表示面に表示される。すなわち、画像表示面に表示される色変更画像は、ユーザが画像表示面を視る角度によって、相対的に色変化の大きな特定色領域RN内の色を使用せずに、特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の領域外高彩度色Yおよび領域外低彩度色Zと、複数の画素を使用して表現した画像である。したがって、視角による、画像の色の変化を大きく低減することができる。すなわち、画像が表示される画像表示面を視る角度によって生じる色ずれを大きく低減することができる。
【0080】
なお、第1の実施の形態において説明した処理は、VA方式と駆動方式の異なる液晶パネルを使用することなく、信号の処理だけで、視角による、画像の色の変化を大きく低減する。すなわち、製造設備、プロセス等の変更を伴わずに、視角による、画像の色の変化を大きく低減することができる。
【0081】
<第1の実施の形態の変形例>
第1の実施の形態の色ずれ低減処理では、特定色領域RN内の処理対象画素の色の位置が、領域境界線LR1よりも、領域境界線LR2に近い位置にある場合、色Zの位置が、特定色領域RN内になる。この場合、処理対象画素の色が、視角によって色ずれが生じる色に変更されるという問題が生じる。
【0082】
また、特定色領域RN内の処理対象画素の色の位置が、領域境界線LR1よりも、領域境界線LR2に近い位置にある場合、色Zの位置が特定色領域RN外の位置になるように、色Yの位置を決める処理を行なった場合、色Yが原色になる場合もある。この場合、所望の色が表示できないという問題が生じる。
【0083】
次に、上記問題を解決するために、特定色領域RN内の画素の色を、4つの画素で表現するための処理について説明する。詳細は後述するが、テレビジョン受像機が表示する自然画においては、色情報に細かなパターン、すなわち、高い周波数成分はほとんどないので、上下2ラインで同じ色情報を表示しても解像度に関する画質の影響度は少ない。この場合、特定色領域RNを4等分にできるので、1:3の重み付けを利用することにより、前述した2画素の方式では困難であった領域の色の表現も実現できる。
【0084】
第1の実施の形態の変形例における液晶表示装置の構成および機能は、図1の液晶表示装置1000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0085】
(色ずれ低減のための処理)
次に、視角に応じて生じる色ずれを低減するための処理(以下、色ずれ低減処理Aという)について説明する。
【0086】
図7は、色ずれ低減処理Aのフローチャートである。図7において、図4のステップ番号と同じステップ番号の処理は、第1の実施の形態で説明した処理と同様な処理が行なわれるので詳細な説明は繰り返さない。
【0087】
色ずれ低減処理AのステップS111,S112,S113では、第1の実施の形態で説明した処理と同様な処理が行なわれる。
【0088】
ステップS113Aでは、信号処理回路100が、処理対象画素の色の位置が後述する色領域RY内の位置であるか否かを判定する。
【0089】
図8は、特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の複数の色を使用して表現するための処理を説明するための図である。
【0090】
図8(A)は、第1の実施の形態で説明した色算出線分を示す図である。図8(A)において、色領域RYは、色算出線分上の特定色領域RNを4等分することにより得られる4つの領域のうち、領域境界線LR2に隣接する領域である。すなわち、色領域RYは、色算出線分上の特定色領域RN内の領域であって、かつ、領域境界線LR1より領域境界線LR2に近い領域である。
【0091】
再び、図7において、ステップS113Aにおいて、YESならば、処理は後述するステップS214Aの処理に移行する。一方、ステップS113Aにおいて、NOならば、処理はステップS113Bの処理に移行する。ここでは、処理対象画素の色の位置が色領域RY内の位置であるとして、処理がステップS214Aの処理に移行するとする。
【0092】
なお、ステップS113Bでは、信号処理回路100が、処理対象画素の色の位置が、領域境界線LR2より領域境界線LR1に近いか否かを判定する。ステップS113Bにおいて、YESならば、処理はステップS114の処理に移行する。ステップS113Bにおいて、YESと判定される場合、処理対象画素の色の位置は、特定色領域RN内の位置であって、かつ、特定色領域RNの真ん中より無彩色C0側の位置である。
【0093】
一方、ステップS113Bにおいて、NOならば、処理はステップS214Aの処理に移行する。ステップS113Bにおいて、NOと判定される場合、処理対象画素の色の位置は、特定色領域RN内の位置であって、かつ、特定色領域RNの真ん中と、色領域RYとの間の位置である。
【0094】
ステップS114〜S117の処理は、第1の実施の形態で説明したので詳細な説明は繰り返さない。
【0095】
ステップS214Aでは、信号処理回路100が、第1領域外低彩度色を算出する。第1領域外低彩度色は、図8(A)に示されるように、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、領域境界線LR1に最も隣接する色Zである。
【0096】
ステップS215Aでは、信号処理回路100が、色CXの位置と第1領域外低彩度色Zの位置との距離(以下、CX−Z距離という)を算出する。
【0097】
ステップS216Aでは、信号処理回路100が、第2領域外高彩度色を算出する。第2領域外高彩度色は、図8(A)に示されるように、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、色CXの位置から、原色CPの方向へ、CX−Z距離(L1A)の1/3倍の距離(L2B)だけ離れた位置の色Yである。すなわち、図8(A)に示されるように、CX−Z距離(L1A)および色CXの位置と第2領域外高彩度色Yとの距離(L2B)の比は、3対1になる。
【0098】
なお、ステップS113BでNOと判定された後、ステップS216Aの処理が行なわれる場合、第2領域外高彩度色は、特定色領域RN内の色となる。この場合、信号処理回路100は、算出した第2領域外高彩度色を、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、領域境界線LR2に最も隣接する色Yとする。
【0099】
ステップS217Aでは、色変更処理Aが行なわれる。色変更処理Aでは、信号処理回路100が、処理対象画素PXの色を、算出した第1領域外低彩度色Zに変更し、かつ、処理対象画素PXに対し、水平方向に隣接する画素PN(図5参照)の色を、第2領域外高彩度色Yに変更する(図8(B)参照)。また、信号処理回路100は、画素PN1の色および画素PN2の色を、第2領域外高彩度色Yに変更する(図8(B)参照)。なお、色変更処理Aにおいて、画素の色を変更する場合、UCS色度図において、変更予定の色(例えば、第1領域外低彩度色Z)の位置を、データ駆動回路210が処理可能な色空間(たとえば、RGB色空間)内の位置に変換するための逆座標変換処理が行なわれる。すなわち、色の変更対象となる画素(たとえば、処理対象画素PX)の色は、逆座標変換処理された変更予定の色(例えば、RGB色空間内における第1領域外低彩度色Z)に変更される。
【0100】
色変更処理Aで行なわれる画像処理は、色の濃さに対するディザ法である。なお、色変更処理Aでは、ディザ法に限定されることなく、画像処理としての誤差拡散法が行なわれてもよい。
【0101】
画素PN1は、処理対象画素PXに対し、縦方向に隣接する画素である。なお、処理対象画素PXが、図5の取得画像G100において最下部の画素である場合、画素PN1は、処理対象画素PXの上に隣接する画素となる。画素PN2は、画素PNに対し縦方向に隣接する画素であって、かつ、画素PN1に対し、横方向に隣接する画素である。
【0102】
図8(B)に示されるように、第1領域外低彩度色Zを示す処理対象画素PXと、領域外高彩度色Yを示す画素PN,PN1,PN2とを、ユーザ(人間)が視ると、ユーザは、処理対象画素PXと、画素PN,PN1,PN2とによる4つの画素の色を、目の特性により色CXに感じる。すなわち、この処理により、特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の複数の色と、複数の画素を使用して表現することができる。
【0103】
なお、前述したように、処理対象画素PXが、取得画像G100において右端の画素である場合、画素PNは、処理対象画素PXの左隣の画素となる。この場合、画素PN2は、画素PN1の左隣の画素となる。すなわち、画素PN2の位置は、画素PN,PN1の位置により変化する。
【0104】
ステップS217Aの処理の後、ステップS112Bの処理が行なわれる。
以上説明した、ステップS214A〜S217Aの処理、第1の実施の形態で説明したステップS112〜S117の処理が、ステップS112BでYESと判定されるまで繰り返し行なわれることにより、取得画像G100が、色変更画像Aに変更される。色変更画像Aは、取得画像G100において特定色領域RN内の色領域RY内の1つの画素の色が、色Zを示す画素と、色Yを示す3つの画素とからなる4つの画素により表現された画像である。また、色変更画像Aは、取得画像G100において特定色領域RN内の色であると判定された画素の色が、色Z,Yをそれぞれ示す2つの画素により表現された画像でもある。
【0105】
1枚の画像を構成する全ての画素に対しステップS112の処理が行なわれると、ステップS112BでYESと判定され、信号処理回路100がSの値を“1”に設定して、ステップS119Aの処理が行なわれる。
【0106】
ステップS119Aでは、画像表示処理Aが行なわれる。画像表示処理Aでは、信号処理回路100が、色変更画像Aの信号を、データ駆動回路210へ送信する。データ駆動回路210は、受信した画像信号を、液晶パネル230へ送信する。そして、信号処理回路100は、走査駆動回路220に、色変更画像Aを液晶パネル230の画像表示面に表示させるための走査信号を送信する。この処理により、液晶パネル230の画像表示面に、色変更画像Aが表示される。
【0107】
そして、再度、ステップS111の処理が行なわれる。
以上説明したように、第1の実施の形態の変形例によれば、処理対象画素の色の位置に応じて、処理対象画素の色を、特定色領域RN外の色を使用した4つの画素で表現したり、処理対象画素の色を、特定色領域RN外の色を使用した2つの画素で表現したりする。
【0108】
したがって、第1の実施の形態の変形例による処理では、視角による、画像の色の変化を、第1の実施の形態よりさらに大きく低減することができる。すなわち、画像が表示される画像表示面を視る角度によって生じる色ずれをさらに大きく低減することができる。
【0109】
<第2の実施の形態>
次に、連続する複数の画像(フレーム)を使用することにより、第1の実施の形態の変形例よりもさらに、視角による、画像の色の変化を低減させるための処理について説明する。
【0110】
図9は、第2の実施の形態における液晶表示装置1000Bの構成を示すブロック図である。図9に示されるように、液晶表示装置1000Bは、図1の液晶表示装置1000と比較して、液晶表示装置1000Bがフレームバッファ240Bをさらに備える点が異なる。それ以外は、液晶表示装置1000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0111】
フレームバッファ240Bは、画像を一時的に記憶するメモリである。フレームバッファ240Bは、一例として、4枚の画像(フレーム)を記憶可能であるとする。なお、フレームバッファ240Bは、4枚に限定されることなく、5枚以上の画像(フレーム)を記憶可能であってもよい。
【0112】
信号処理回路100は、入力される画像信号IMGに対し、色処理(例えば、後述する色ずれ低減処理B等)、ガンマ補正等の画像処理を行ない、当該画像処理を行なった画像信号を、フレームバッファ240Bに送信する。フレームバッファ240Bは、4枚の画像を記憶している状態で、信号処理回路100から、新たに画像信号を受信した場合、4枚の画像のうち、最もはやく記憶された画像の信号を、データ駆動回路210へ送信する。なお、フレームバッファ240Bは、1枚の画像のみ記憶している場合であっても、記憶している画像を表示するタイミングになれば、記憶している画像の信号を、データ駆動回路210へ送信する。
【0113】
データ駆動回路210は、受信した画像信号を、液晶パネル230へ送信する。
また、信号処理回路100は、フレームバッファ240Bから送信される画像の信号を、液晶パネル230が受信するタイミングで、液晶パネル230の画像表示面に、液晶パネル230が受信した画像信号に基づく画像を表示させるための制御信号を送信する。なお、液晶パネル230の画像表示面に画像を表示させるための処理は、一般的なVA方式の液晶表示装置と同様なので詳細な説明は行なわない。
【0114】
(色ずれ低減のための処理)
次に、視角に応じて生じる色ずれを低減するための処理(以下、色ずれ低減処理Bという)について説明する。なお、信号処理回路100は、フレームカウンタnの値を保持しているとする。フレームカウンタnの初期値は、“0”であるとする。なお、信号処理回路100は、所定順序で連続して表示するための複数の画像(フレーム)を、外部から、1枚ずつ順に取得するとする。
【0115】
図10は、色ずれ低減処理Bのフローチャートである。図10において、図7のステップ番号と同じステップ番号の処理は、第1の実施の形態および第1の実施の形態の変形例で説明した処理と同様な処理が行なわれるので詳細な説明は繰り返さない。
【0116】
ステップS111Bでは、信号処理回路100が、外部から画像を取得する。具体的には、信号処理回路100が、外部から画像を示す画像信号を取得する。以下においては、信号処理回路100が取得した画像信号が示す画像を、取得画像という。ここで、取得画像は、図5の取得画像G100であるとする。取得画像G100のサイズは、一例として、横1920画素、縦1080画素のサイズであるとする。
【0117】
また、信号処理回路100は、画像を取得すると、フレームカウンタnを“1”インクリメントする。
【0118】
ステップS111Cでは、信号処理回路100が、フレームカウンタnの値が、“1”であるか否かを判定する。ステップS111Cにおいて、YESならば、処理はステップS112の処理に移行する。一方、ステップS111Cにおいて、NOならば、処理は、後述するステップS321Bに移行する。ここでは、フレームカウンタnの値が“1”であるとして、処理はステップS112に移行するとする。
【0119】
色ずれ低減処理BのステップS112,S113では、第1の実施の形態で説明した処理と同様な処理が行なわれる。
【0120】
ステップS113Nでは、信号処理回路100が、処理対象画素の色の位置が後述する色領域RYB内の位置であるか否かを判定する。
【0121】
図11は、特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の複数の色を使用して表現するための処理を説明するための図である。
【0122】
図11(A)は、第1の実施の形態で説明した色算出線分を示す図である。図11(A)は、図8(A)の特定色領域RNの部分を拡大した図である。図11(A)において、色領域RYは、図8(A)を用いて説明したので詳細な説明は繰り返さない。
【0123】
図11(A)において、色領域RYBは、色算出線分上の色領域RYを4等分することにより得られる4つの領域のうち、領域境界線LR2に隣接する領域である。すなわち、色領域RYBは、色算出線分上の特定色領域RN内の領域であって、かつ、領域境界線LR1より領域境界線LR2に近い領域である。
【0124】
再び、図10において、ステップS113Nにおいて、YESならば、処理は後述するステップS314Bの処理に移行する。一方、ステップS113Nにおいて、NOならば、処理はステップS113Aに移行する。ここでは、処理対象画素の色の位置が色領域RYB内の位置であるとして、処理がステップS314Bの処理に移行するとする。
【0125】
なお、ステップS113A,ステップS113B,ステップS114〜S117、ステップS214A〜S217Aでは、第1の実施の形態および第1の実施の形態の変形例で説明した処理と同様な処理が行なわれるので詳細な説明は繰り返さない。
【0126】
ステップS314Bでは、ステップS214Aの処理と同様な処理が行なわれるので詳細な説明は繰り返さない。この処理により、第1領域外低彩度色が算出される。第1領域外低彩度色は、図11(A)に示されるように、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、領域境界線LR1に最も隣接する色Zである。
【0127】
ステップS315Bでは、ステップS215Aの処理と同様な処理が行なわれるので詳細な説明は繰り返さない。この処理により、色CXの位置と第1領域外低彩度色Zの位置との距離(以下、CX−Z距離という)が算出される。
【0128】
ステップS316Bでは、信号処理回路100が、第3領域外高彩度色を算出する。第3領域外高彩度色は、図11(A)に示されるように、色算出線分上の特定色領域RN外の色であって、かつ、色CXの位置から、原色CPの方向へ、CX−Z距離(L1C)の1/15倍の距離(L2D)だけ離れた位置の色Yである。すなわち、図11(A)に示されるように、CX−Z距離(L1C)および色CXの位置と第3領域外高彩度色Yとの距離(L2D)の比は、15対1になる。
【0129】
ステップS317Bでは、色変更処理ABが行なわれる。色変更処理ABは、図7のステップS217Aの色変更処理Aの説明において、第2領域外高彩度色を第3領域外高彩度色に置き換えた処理であるので詳細な説明は繰り返さない。この処理により、フレームカウンタnが“1”である場合、取得画像内の4つの画素に設定される色は、図11(B)に示されるnフレームが示す4つの画素のようになる。以下においては、ステップS317Bの処理により色が変更された4つの画素を、色変更済画素群という。
【0130】
ステップS317Bの処理の後、処理はステップS318Bの処理に移行する。
ステップS318Bでは、信号処理回路100が、色変更済画素群を構成する4つの画素の各々の座標と、算出した第3領域外高彩度色Yとを示す色変更情報を記憶する。色変更情報が示す第3領域外高彩度色Yは、データ駆動回路210が処理可能な色空間(たとえば、RGB色空間)内で表現される色である。
【0131】
なお、ステップS318Bの処理が繰り返される毎に、信号処理回路100は、色変更情報をさらに記憶する。すなわち、ステップS318Bの処理が複数回、繰り返されると、信号処理回路100は、複数の色変更情報を記憶することになる。
【0132】
ステップS318Bの処理の後、ステップS112Bの処理が行なわれる。
そして、前述したステップS112,S113,S113N,S113A,S113B,S114〜S117、ステップS214A〜S217Aの処理、ステップS314B〜S318Bの処理が、ステップS112BでYESと判定されるまで繰り返し行なわれることにより、取得画像G100が、前述した色変更画像Aに変更される。
【0133】
1枚の画像を構成する全ての画素に対しステップS112の処理が行なわれると、ステップS112BでYESと判定され、信号処理回路100がSの値を“1”に設定して、ステップS119Bの処理が行なわれる。
【0134】
ステップS119Bでは、画像表示処理Bが行なわれる。画像表示処理Bでは、信号処理回路100が、生成した最新の画像(たとえば、色変更画像A)を、フレームバッファ240Bに送信する。フレームバッファ240Bは、受信した画像(たとえば、色変更画像A)の信号を、データ駆動回路210へ送信する。データ駆動回路210は、受信した画像信号を、液晶パネル230へ送信する。
【0135】
また、信号処理回路100は、走査駆動回路220に、液晶パネル230が受信した画像(例えば、色変更画像A)を液晶パネル230の画像表示面に表示させるための走査信号を送信する。この処理により、液晶パネル230の画像表示面に、最新の画像(例えば、色変更画像A)が表示される。
【0136】
そして、再度、ステップS111Bの処理が行なわれる。ステップS111Bの処理により、フレームカウンタnが“1”である場合の取得画像の次に表示するための取得画像が得られる。また、ステップS111Bの処理により、フレームカウンタnは“2”になる。
【0137】
そして、ステップS111CでNOと判定され、処理がステップS321Bに移行するとする。
【0138】
以下においては、フレームカウンタnが“2”〜“4”のいずれかであるときの取得画像において、前述した色変更済画素群と同じ位置にある、4つの画素からなる画素群を色変更対象画素群という。
【0139】
ステップS321Bでは、信号処理回路100が、フレームカウンタnの値が、5であるか否かを判定する。ステップS321Bにおいて、YESならば、処理は後述するステップS330Bに移行する。一方、ステップS321Bにおいて、NOならば、処理はステップS327Bに移行する。ここでは、フレームカウンタnの値が“2”であるとして、処理はステップS327Bに移行するとする。
【0140】
ステップS327Bでは、色変更処理Bが行なわれる。色変更処理Bでは、信号処理回路100が、記憶している1以上の色変更情報に基づいて、最新の取得画像内の1以上の色変更対象画素群を、対応する第3領域外高彩度色Yに変更する。以下においては、ステップS327Bの処理により色が変更された4つの画素からなる画素群も、色変更済画素群という。
【0141】
たとえば、1つの色変更情報が、図5の取得画像G100内の色変更済画素群を構成する4つの画素の各々の座標と、第3領域外高彩度色Yとを示す場合、色変更処理Bでは、最新の取得画像内の図5で示される4つの画素の位置とそれぞれ同じ位置の4つの画素の色が、第3領域外高彩度色Yに変更される。
【0142】
この場合、取得画像内の色変更対象画素群を構成する4つの画素に設定される色は、図11(B)に示されるn+1フレームが示す4つの画素のようになる。色変更情報が複数あれば、最新の取得画像内の複数の色変更対象画素群の各々の色が、対応する色変更情報が示す第3領域外高彩度色Yに変更される。
【0143】
ステップS328Bでは、信号処理回路100が、記憶している1以上の色変更情報を消去する。そして、再度、ステップS119Bの処理が行なわれる。この処理により、ステップS327Bの処理により色が変更された画像が、液晶パネル230の画像表示面に表示される。
【0144】
そして、再度、ステップS111Bの処理が行なわれる。
なお、ステップS321Bにおいて、YESならば、処理はステップS330Bに移行する。
【0145】
ステップS330Bでは、信号処理回路100が、フレームカウンタnの値を、“1”に設定する。そして、再度、ステップS112Bの処理が行なわれる。
【0146】
以上説明した処理が、繰り返し行なわれることにより、液晶パネル230の画像表示面に1番目に表示される画像は、ステップS117の色変更処理、ステップS217Aの色変更処理AおよびステップS317Bの色変更処理ABの少なくとも1つの処理により、色が変更された画像となる。また、液晶パネル230の画像表示面に2番目〜4番目に表示される画像は、ステップS327Bの色変更処理Bにより色が変更された画像となる。
【0147】
すなわち、画像表示面に表示される1番目の画像は、図11(B)におけるnフレームが示す色変更済画素群を1以上示す。画像表示面に表示される2番目の画像は、図11(B)におけるn+1フレームが示す色変更済画素群を1以上示す。画像表示面に表示される3番目の画像は、図11(B)におけるn+2フレームが示す色変更済画素群を1以上示す。画像表示面に表示される4番目の画像は、図11(B)におけるn+3フレームが示す色変更済画素群を1以上示す。すなわち、色ずれ低減処理Bでは、処理対象画素の色を、特定色領域RN外の色を使用した16個の画素で表現する。
【0148】
図11(B)に示されるように、上記1〜4番目の画像が連続して表示される画像表示面を、ユーザ(人間)が視ると、画像内の同じ位置の色変更済画素群を構成する4つの画素の色を、目の特性により色CXに感じる。
【0149】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、処理対象画素の色の位置に応じて、連続して表示する4つの画像(フレーム)を使用して、処理対象画素の色を、特定色領域RN外の色を使用した16個の画素で表現する。なお、色ずれ低減処理Bは、処理対象画素の色の位置に応じて、第1の実施の形態の変形例に含まれる処理も行なう。
【0150】
したがって、第2の実施の形態による処理では、視角による、画像の色の変化を、第1の実施の形態の変形例よりさらに大きく低減することができる。すなわち、画像が表示される画像表示面を視る角度によって生じる色ずれをさらに大きく低減することができる。
【0151】
なお、第2の実施の形態の処理は、図10の色ずれ低減処理Bにおいて、ステップS119Bの画像表示処理Bの代わりに図7のステップS119Aの画像表示処理Aと同様な処理が行なわれれば、図1の液晶表示装置1000でも実行可能である。
【0152】
なお、第2の実施の形態では、処理対象画素の色を、図11(B)に示される4つの色変更済画素群のように色を割り当てたが、これに限定されることなく、色Y、色Zの割り当てを図11(B)以外のようにしても、本発明は実施可能である。
【0153】
なお、第2の実施の形態では、連続する4枚の画像(フレーム)を使用したが、連続する5枚以上の画像を使用して、さらに精度よく、特定色領域RN内の色を表現してもよい。なお、当然ながら、本発明は、4画素×4フレーム以外の組み合わせでも実施可能である。たとえば、本発明は、2画素×4フレーム、4画素×2フレーム等の組み合わせでも実施可能である。
【0154】
また、第2の実施の形態では、特定色領域RN外の色を使用した16個の画素で表現する。すなわち、1/16単位まで色の濃さが細かくなると、色Z,色Yは領域境界線に隣接する固定された離散的な色であっても、一般画像では十分な色数である場合が多い。そのため、本発明では、処理対象画素の色の位置に応じて第3領域外高彩度色Yを算出することなく、色Yを、領域境界線LR2に隣接する固定された離散的な色としてもよい。
【0155】
また、本発明は、処理対象画素の色の位置に応じて第3領域外高彩度色Yを算出することなく、処理対象画素の色の位置が、特定色領域RN内の離散的な位置に近いかを判定することにより、使用する色Yおよび色Zの数を算出し、算出した数の色Yおよび色Zにより、処理対象画素の色を表現してもよい。
【0156】
なお、激しく動く動画では細かな色のニュアンスまではユーザに認識されないので、動画検出アルゴリズムも入れながら、複数フレーム(静止画/細かな色)と単独フレーム(動画/ある程度大雑把な色)とを切り替えるような処理を行なっても良い。
【0157】
また、本発明では、特定のドット状パターンを避けるため、少数側の色をラウンドロビングして位置をずらすことが望ましいのは無論である。
【0158】
(実験結果)
次に、発明者らの実験において、大多数の一般視聴者が色変化を指摘する第1の色は肌色であることが判明した。他の原色系はある程度の色変化は鈍感または許容する結果であった。具体的には、肌色は、UCS色度図において、Δu’v’の値が0.008である場合、色変化の指摘があるのに対し、赤や青はΔu’v’の値が0.03または0.04の場合、色変化の指摘があった。そこで、肌色のみ本発明を適用することで、回路規模の縮小を図ることが可能であることを見いだした。以下においては、UCS色度図において、肌色を示す領域を肌色領域RMという。
【0159】
図12は、UCS色度図において、肌色領域RMを説明するための図である。図12において、肌色領域RMは、u’=0.2,v’=0.46の位置と、u’=0.32,v’=0.54の位置とを結ぶ領域である。なお、肌色領域RMの長さは、Δu’v’0.03である。発明者らは、肌色領域RM付近が、上記実験により、肌色と認識されることを見いだした。
【0160】
肌色領域RMのサイズの領域であればルックアップテーブル等の簡易的な処理回路でも可能となる。図12において、色DSは、マクベスチャートのDark Skinの座標を示している。マクベスチャートは、カメラ、映画の撮影時における撮影機器等の色バランスを調整するための基準カラーチャートである。色LSは、マクベスチャートのLight Skinの座標を示している。ほぼ、このあたりが肌色の典型的な色である。なお、色DS,LSは、特定色領域RN内に含まれる。
【0161】
(機能ブロック図)
図13は、第1の実施の形態、第1の実施の形態の変形例および第2の実施の形態における、信号処理回路100の機能ブロック図である。
【0162】
図13に示されるように、信号処理回路100は、取得部101と、色判定部102と、色処理部103と、位置判定部104とを含む。
【0163】
取得部101は、画像を取得する。色判定部102は、画像を構成する複数の画素の各々に対し、画素の色が、液晶表示装置が表示可能な全ての色を示す色度図上の特定色領域内の色であるか否かを判定する色判定処理を行なう。
【0164】
色処理部103は、色判定部102により特定色領域内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、特定色領域外の色であって、かつ、処理対象画素の色より彩度の高い第2色とを算出する色算出処理と、処理対象画素の色を第1色および第2色の一方に変更し、かつ、処理対象画素の近傍の画素の色を第1色および第2色の他方に変更する色変更処理とを、全ての処理対象画素に対して行なう。
【0165】
位置判定部104は、処理対象画素の色の位置が、色度図上の無彩色の位置から、処理対象画素の色の位置を経由して、全ての色を含む全色領域の境界を示す全色領域境界線までを結ぶ線分上の特定色領域内の領域であって、かつ、第1の境界線上位置より第2の境界線上位置に近い領域である所定領域内の位置であるか否かを判定する。
【0166】
色処理部103は、位置判定部104により処理対象画素の色の位置が所定領域内の位置であると判定された場合、色算出処理と、処理対象画素の色を第1色に変更し、かつ、処理対象画素の近傍の複数の画素の色を第2色に変更する複数色変更処理とを、色の位置が所定領域内の位置であると判定された全ての処理対象画素に対して行なう。
【0167】
なお、信号処理回路100に含まれる、取得部101、色判定部102、色処理部103および位置判定部104の全てまたは一部は、ハードウエアで構成されてもよい。また、取得部101、色判定部102、色処理部103および位置判定部104の全てまたは一部は、信号処理回路100により実行されるプログラムのモジュールであってもよい。
【0168】
なお、本発明は、図4、図7、図10のフローチャートに示される各ステップを、コンピュータに実行させるプログラムとしても実現することもできる。また、本発明は、当該プログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体、集積回路としても実現することができる。
【0169】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明における色の処理により、VA方式の液晶表示装置による、視角による、画像の色の変化を低減することができ、画像の高画質化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】第1の実施の形態における液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】UCS色度図上の無彩色から原色までにおける、視角毎の色ずれを説明するための示す図である。
【図3】UCS色度図において、特定色領域RNを示す図である。
【図4】色ずれ低減処理のフローチャートである。
【図5】一例としての取得画像を示す図である。
【図6】特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の複数の色を使用して表現するための処理を説明するための図である。
【図7】色ずれ低減処理Aのフローチャートである。
【図8】特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の複数の色を使用して表現するための処理を説明するための図である。
【図9】第2の実施の形態における液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図10】色ずれ低減処理Bのフローチャートである。
【図11】特定色領域RN内の色であると判定された画素の色を、特定色領域RN外の複数の色を使用して表現するための処理を説明するための図である。
【図12】UCS色度図において、肌色領域RMを説明するための図である。
【図13】第1の実施の形態、第1の実施の形態の変形例および第2の実施の形態における、信号処理回路の機能ブロック図である。
【図14】VA方式の液晶パネルの特性を示す図である。
【図15】色の変化を説明するための図である。
【符号の説明】
【0172】
100 信号処理回路
230 液晶パネル
1000,1000B 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示面を有する、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置であって、
画像を取得する取得部と、
前記画像を構成する複数の画素の各々に対し、画素の色が、前記液晶表示装置が表示可能な全ての色を示す色度図上の特定色領域内の色であるか否かを判定する色判定処理を行なう色判定部とを備え、
前記特定色領域は、前記表示面に色が表示された場合、前記表示面に対し垂直な軸上で人間が感じる前記表示面に表示される色と、所定角度傾けた前記軸上で人間が感じる前記表示面に表示される色との差が所定値以上である複数の色を含む前記色度図上の領域であり、
前記色判定部により前記特定色領域内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、前記特定色領域外の色であって、かつ、前記処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、前記特定色領域外の色であって、かつ、前記処理対象画素の色より彩度の高い第2色とを算出する色算出処理と、前記処理対象画素の色を前記第1色および前記第2色の一方に変更し、かつ、前記処理対象画素の近傍の画素の色を前記第1色および前記第2色の他方に変更する色変更処理とを、全ての前記処理対象画素に対して行なう色処理部と、
前記色処理部により処理された前記全ての処理対象画素を含む画像を表示する表示部と
をさらに備える、液晶表示装置。
【請求項2】
前記特定色領域は、前記色度図が示す前記全ての色を含む全色領域内に配置され、
前記色度図上の無彩色の位置から、前記処理対象画素の色の位置を経由して、前記全色領域の境界を示す全色領域境界線までを結ぶ線分において、前記無彩色の位置から前記特定色領域までの距離は、前記全色領域境界線から前記特定色領域までの距離より長く、
前記第1色は、前記線分において、前記無彩色の位置と前記特定色領域との間の位置の色であり、
前記第2色は、前記線分において、前記特定色領域と前記全色領域境界線との間の位置の色である、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記線分において、前記処理対象画素の色の位置と前記第1色の位置との距離は、前記処理対象画素の色の位置と前記第2色の位置との距離と同じである、
請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記線分は、前記特定色領域の境界を示す領域境界線上の第1および第2の境界線上位置を通過し、
前記第1の境界線上位置は、前記第2の境界線上位置より前記無彩色の位置に近い位置であり、
前記処理対象画素の色の位置が、前記線分上の前記特定色領域内の領域であって、かつ、前記第1の境界線上位置より前記第2の境界線上位置に近い領域である所定領域内の位置であるか否かを判定する位置判定部をさらに備え、
前記色処理部は、前記位置判定部により前記処理対象画素の色の位置が前記所定領域内の位置であると判定された場合、前記色算出処理と、前記処理対象画素の色を前記第1色に変更し、かつ、前記処理対象画素の近傍の複数の画素の色を前記第2色に変更する複数色変更処理とを、色の位置が前記所定領域内の位置であると判定された全ての前記処理対象画素に対して行なう、
請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記取得部は、所定の順序で連続して表示するための複数の画像を取得し、
前記色判定部は、前記取得部が取得した前記複数の画像のいずれかの画像に対し、前記色判定処理を行い、
前記色処理部は、前記位置判定部により前記処理対象画素の色の位置が前記所定領域内の位置であると判定された場合、前記色算出処理および前記複数色変更処理を、色の位置が前記所定領域内の位置であると判定された、前記色判定処理が行なわれた画像に含まれる全ての前記処理対象画素に対して行なうとともに、前記複数の画像のうち、前記色判定処理が行なわれた画像より後に表示するための画像に対しては、前記色算出処理および前記複数色変更処理が行なわれた前記処理対象画素の位置と同じ位置の画素の色および当該画素の近傍の複数の画素の色を前記第2色に変更する、
請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記処理対象画素および前記処理対象画素の近傍の画素は、水平方向に隣接する、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記色処理部が行なう前記色変更処理は、ディザ法または誤差拡散法に基づく処理である、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記特定色領域は、肌色を含む領域である、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記色度図は、UCS(Uniform Color Scale)色度図である、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
画像を表示する表示面を有する、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置が行なう色処理方法であって、
画像を取得する取得ステップと、
前記画像を構成する複数の画素の各々に対し、画素の色が、前記液晶表示装置が表示可能な全ての色を示す色度図上の特定色領域内の色であるか否かを判定する色判定処理を行なう色判定ステップとを備え、
前記特定色領域は、前記表示面に色が表示された場合、前記表示面に対し垂直な軸上で人間が感じる前記表示面に表示される色と、所定角度傾けた前記軸上で人間が感じる前記表示面に表示される色との差が所定値以上である複数の色を含む前記色度図上の領域であり、
前記色判定ステップにより前記特定色領域内の色であると判定された画素である処理対象画素の色の位置に基づいて、前記特定色領域外の色であって、かつ、前記処理対象画素の色より彩度の低い第1色と、前記特定色領域外の色であって、かつ、前記処理対象画素の色より彩度の高い第2色とを算出する色算出処理と、前記処理対象画素の色を前記第1色および前記第2色の一方に変更し、かつ、前記処理対象画素の近傍の画素の色を前記第1色および前記第2色の他方に変更する色変更処理とを、全ての前記処理対象画素に対して行なう色処理ステップと、
前記色処理ステップにより処理された前記全ての処理対象画素を含む画像を表示する表示ステップと
をさらに備える、色処理方法。
【請求項11】
前記特定色領域は、前記色度図が示す前記全ての色を含む全色領域内に配置され、
前記色度図上の無彩色の位置から、前記処理対象画素の色の位置を経由して、前記全色領域の境界を示す全色領域境界線までを結ぶ線分において、前記無彩色の位置から前記特定色領域までの距離は、前記全色領域境界線から前記特定色領域までの距離より長く、
前記第1色は、前記線分において、前記無彩色の位置と前記特定色領域との間の位置の色であり、
前記第2色は、前記線分において、前記特定色領域と前記全色領域境界線との間の位置の色である、
請求項10に記載の色処理方法。
【請求項12】
前記線分において、前記処理対象画素の色の位置と前記第1色の位置との距離は、前記処理対象画素の色の位置と前記第2色の位置との距離と同じである、
請求項11に記載の色処理方法。
【請求項13】
前記線分は、前記特定色領域の境界を示す領域境界線上の第1および第2の境界線上位置を通過し、
前記第1の境界線上位置は、前記第2の境界線上位置より前記無彩色の位置に近い位置であり、
前記処理対象画素の色の位置が、前記線分上の前記特定色領域内の領域であって、かつ、前記第1の境界線上位置より前記第2の境界線上位置に近い領域である所定領域内の位置であるか否かを判定する位置判定ステップをさらに備え、
前記色処理ステップは、前記位置判定ステップにより前記処理対象画素の色の位置が前記所定領域内の位置であると判定された場合、前記色算出処理と、前記処理対象画素の色を前記第1色に変更し、かつ、前記処理対象画素の近傍の複数の画素の色を前記第2色に変更する複数色変更処理とを、色の位置が前記所定領域内の位置であると判定された全ての前記処理対象画素に対して行なう、
請求項11に記載の色処理方法。
【請求項14】
前記取得ステップは、所定の順序で連続して表示するための複数の画像を取得し、
前記色判定ステップは、前記取得ステップが取得した前記複数の画像のいずれかの画像に対し、前記色判定処理を行い、
前記色処理ステップは、前記位置判定ステップにより前記処理対象画素の色の位置が前記所定領域内の位置であると判定された場合、前記色算出処理および前記複数色変更処理を、色の位置が前記所定領域内の位置であると判定された、前記色判定処理が行なわれた画像に含まれる全ての前記処理対象画素に対して行なうとともに、前記複数の画像のうち、前記色判定処理が行なわれた画像より後に表示するための画像に対しては、前記色算出処理および前記複数色変更処理が行なわれた前記処理対象画素の位置と同じ位置の画素の色および当該画素の近傍の複数の画素の色を前記第2色に変更する、
請求項13に記載の色処理方法。
【請求項15】
前記処理対象画素および前記処理対象画素の近傍の画素は、水平方向に隣接する、
請求項10に記載の色処理方法。
【請求項16】
前記色処理ステップが行なう前記色変更処理は、ディザ法または誤差拡散法に基づく処理である、請求項10に記載の色処理方法。
【請求項17】
前記特定色領域は、肌色を含む領域である、
請求項10に記載の色処理方法。
【請求項18】
前記色度図は、UCS(Uniform Color Scale)色度図である、
請求項10に記載の色処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−54729(P2010−54729A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218575(P2008−218575)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】