液晶表示装置の作製方法
【課題】作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有する液晶表示装置を作製することを目的とする。また、高速応答が可能で高性能であり、かつ表示欠陥が低減された高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製する技術を提供する。
【解決手段】スメクティック液晶を滴下法により滴下し、液晶層を形成する液晶表示装置の作製方法であり、スメクティック液晶を、基板上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜上に、配向膜のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下する。
【解決手段】スメクティック液晶を滴下法により滴下し、液晶層を形成する液晶表示装置の作製方法であり、スメクティック液晶を、基板上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜上に、配向膜のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は時計、電卓はもとより、パーソナルコンピュータなどのOA機器、液晶テレビやPDA、携帯電話など各種幅広い分野で用いられている。
【0003】
この液晶表示装置は、2枚の透光性基板の間に液晶を封入し、電圧を印加することにより液晶分子の向きを変えて光透過率を変化させて所定の画像等を光学的に表示する。
【0004】
液晶表示装置は薄型化、軽量化ができるとともに低消費電力で使用可能なためますます改良がなされている。視野角を改善し、同時に応答時間を短くする液晶材料として、スメクティック液晶である強誘電性液晶が注目されており、そのディスプレイヘの適用が考えられている(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−309723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置内に液晶層を形成する方法として一対の基板を貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入するディップ式(汲み上げ式、真空注入法とも言われる)がある。
【0006】
しかしながら、スメクティック液晶は室温状態では粘度が高く、液晶を注入するディップ式では、注入が困難であり、かなりの時間を要する上、注入ムラができるといった問題があった。
【0007】
本発明は、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有する液晶表示装置を作製することを目的とする。従って、本発明においては、高速応答が可能で高性能であり、かつ表示欠陥が低減された高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スメクティック液晶を滴下法により滴下し、液晶層を形成する液晶表示装置の作製方法であり、スメクティック液晶は、基板上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜上に、配向膜のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下されることを特徴とする。
【0009】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板を貼り合わせると、配向膜上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。
【0010】
従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本発明により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0011】
本発明は、液晶素子を表示素子として用い、表示機能を有する装置である液晶表示装置に用いることができる。なお、基板上に液晶素子などの表示素子を含む複数の画素やそれらの画素を駆動させる周辺駆動回路が形成された表示パネル本体のことでもよい。さらに、ICや抵抗素子や容量素子やインダクタやトランジスタなどを有するフレキシブルプリントサーキット(FPC)やプリント配線基盤(PWB)が取り付けられたものも含んでもよい。さらに、偏光板や位相差板などの光学シートを含んでいても良い。さらに、バックライト(導光板やプリズムシートや拡散シートや反射シートや光源(LEDや冷陰極管など)を含んでいても良い)を含んでいても良い。
【0012】
なお、液晶素子を用いた液晶表示装置としては、透過型液晶表示装置(透過型液晶表示ディスプレイ)、半透過型液晶表示装置(半透過型液晶ディスプレイ)、反射型液晶表示装置(反射型液晶ディスプレイ)がある。
【0013】
本発明の液晶表示装置の作製方法の一形態は、ラビング処理が施された一対の基板の一方にシール材による枠状のシールパターンを形成し、シールパターンの枠内に、ラビング処理の方向に対して平行な方向に、スメクティック液晶を複数回、一列に滴下し、一対の基板を、スメクティック液晶を挟持するように、シール材を介して貼り合わせ、シールパターンの枠内に、スメクティック液晶を拡充するように充填する。
【0014】
本発明の液晶表示装置の作製方法の一形態は、ラビング処理が施された一対の基板の一方にシール材による枠状のシールパターンを形成し、シールパターンの枠内に、ラビング処理の方向に対して平行な方向に、スメクティック液晶を複数回、一部重なるように一列に滴下し、一対の基板を、スメクティック液晶を挟持するように、シール材を介して貼り合わせ、シールパターンの枠内に、スメクティック液晶を拡充する。
【0015】
上記構成において、光源(バックライトなど)を用いる透過型液晶表示装置の場合は、一対の基板を透光性にし、光源よりの光を視認側に透過すればよい。一方、反射型液晶表示装置の場合は、一対の基板に設けられる一方の電極を反射性を有するようにすればよく、例えば、画素電極層に反射性を有する材料を用いればよい。
【0016】
液晶を滴下する基板は、半導体素子などが形成される素子基板でも、対向基板でもよく、貼り合わせ工程は減圧下で行ってもよい。また、液晶を滴下する際に液晶を加熱し、液晶の粘度を低下させてもよい。貼り合わせて、シール材の硬化を行った後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、液晶の配向乱れを修正することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明を用いると、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本発明により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態では、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。
【0020】
図1に、本発明を用いた本実施の形態の液晶表示装置の作製方法を示す。図1において、第1の基板800上に、配向膜として機能する絶縁層801、シール材802が枠状のシールパターンに形成されている。絶縁層801は、表面が矢印803のラビング方向にラビング処理され、配向膜として機能する。
【0021】
図1(A)のように、スメクティック液晶を液滴804a、804b、804c、804d、804eと一列に配向膜である絶縁層801のラビング方向と平行な方向に滴下する。
【0022】
対向する一対の配向膜である絶縁層のラビング方向は、図1、2、3では平行ラビング(パラレルラビング)としたが、反平行ラビング(アンチパラレルラビング)でもよい。反平行ラビングであってもラビングする向き(ベクトル)が異なるだけであるので、本発明において、液晶を滴下する方向は、滴下する配向膜である絶縁層のラビング方向と平行であればよい。
【0023】
次に第2の基板805を、シール材802を介して第1の基板800に貼り合わせる。第2の基板805によって液滴804a、804b、804c、804d、804eは押しつぶされ、液滴806a、806b、806c、806d、806eのように広がる(図1(B)参照。)。
【0024】
スメクティック液晶の液滴804a、804b、804c、804d、804eは、滴下し、一対の基板(第1の基板800と第2の基板805)を貼り合わせると、配向膜である絶縁層801上で、ラビング方向(矢印803)に対して垂直な方向に速く広がる。従って、液滴806a、806b、806c、806d、806eのようにラビング方向と垂直な方向に長軸を有する楕円形状に広がる。
【0025】
液滴806aにおいて領域820の拡大図を図3に示す。図3は、スメクティック液晶の配向例の模式図である。液晶分子821は、層822a、822b、822cと、層構造を有して同軸を揃えて配向している。液晶分子の配列により形成される層822a、822b、822cはそれぞれラビング方向(矢印803)と垂直な方向に層方向(層が形成される方向)を有している。
【0026】
このようにスメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)は、ラビング方向(矢印803)と垂直な方向となる。
【0027】
スメクティック液晶の液滴は層方向に配向膜上で広がるために、ラビング方向と垂直な層方向に複数液晶を滴下すると、液滴間で気泡の混入や滴下跡などの充填不良が生じる恐れがある。
【0028】
従って、配向膜のラビング方向と平行な方向に液晶を一列に複数滴下することによって、液晶がシール材のシールパターンに接して充填し、液晶層807を形成することができる(図1(C)参照。)。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。
【0029】
強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いてスメクティック液晶の液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本発明により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0030】
また、スメクティック液晶は、ラビング方向に一列に滴下すればよく、ラビング方向で液滴同士が接するように滴下してもよい。図2(A)は、スメクティック液晶を滴下する際、隣接する液滴同士が接する例である。スメクティック液晶の液滴814a、814b、814c、814d、814eは隣接する液滴と互いに接するように絶縁層801上にラビング方向と平行な方向に滴下される。また、図2(B)は、スメクティック液晶を滴下する際、隣接する液滴同士が一部重なりあう例である。スメクティック液晶の液滴824a、824b、824c、824d、824eは隣接する液滴と互いに一部重なるように絶縁層801上にラビング方向と平行な方向に滴下される。このようにラビング方向と平行な方向に一列液滴を滴下するのであれば、液滴同士が接する、または重なって滴下されてもよい。また、滴下するタイミングも、複数の吐出口を有するヘッドを用いて複数の液滴を同時に滴下してもよいし、一滴ずつ一列に滴下してもよい。
【0031】
本発明で用いることができる、ディスペンサ方式の液晶滴下法を図4を用いて説明する。図4の液晶滴下装置は、制御装置40、撮像手段42、ヘッド43、ヒーター44、液晶33、マーカー35、マーカー45を含み、図4において、配向膜である絶縁層34、シール材32、第1の基板20、第2の基板3が示されている。シール材32を形成し、その中にヘッド43より液晶33を配向膜である絶縁層34のラビング方向と平行な方向に一列複数滴下する。滴下される液晶33は、ヒーター44によって加熱され、粘度を低下させることで滴下可能となる。第1の基板20及び第2の基板30を貼り合わせ、液晶を充填し、シール材32を硬化させて、液晶層を形成する。
【0032】
第1の基板及び第2の基板を、液晶層を充填した状態で貼り合わせ後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0033】
本発明で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0034】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0035】
図18(A)(B)には、単安定モードの液晶表示装置の模式図を示す。
【0036】
第1の基板101、及び第2の基板102上には、それぞれ画素電極層である第1の電極層103及び配向膜である絶縁層105、並びに対向電極層である第2の電極層104及び配向膜である絶縁層106が形成されている。視認側の電極は、少なくとも透光性を有するように形成する。第1の基板101及び第2の基板102の液晶と反対側にはそれぞれ偏光板107、108が設けられており、クロスニコル配置となっている。
【0037】
このような構成を有する液晶表示装置において、第1の電極層103及び第2の電極層104に電圧が印加(縦電界方式と呼ぶ)されると、図18(A)に示すように、白色表示となる。このとき、液晶分子100は偏光板(偏光子)の軸(透過軸または吸収軸)からずれた方向で横に並んでいる状態となる。その結果、バックライトからの光は、偏光板を透過することができ、所定の映像表示が行われる。
【0038】
そして図18(B)に示すように、第1の電極層103及び第2の電極層104の間に電圧が印加されていないときは、黒色表示が行われる。このとき液晶分子110は偏光板(偏光子)の軸(透過軸または吸収軸)に沿って横に並んだ状態となる。すると、バックライトから、第1の基板101を透過し液晶層に入射した光は、第2の基板102を通過することができず黒色表示となる。
【0039】
このとき、カラーフィルタを設けることにより、フルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタは、第1の基板101側、又は第2の基板102側のいずれかに設けることができる。
【0040】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0041】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0042】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0043】
図1及び図2において、第1の基板800、第2の基板805としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる、プラスチック基板の他、高温では可塑化されてプラスチックと同じような成型加工が出来、常温ではゴムのような弾性体の性質を示す高分子材料エラストマー等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0044】
図1には図示しないが、第1の基板800、第2の基板805には画素電極層又は対向電極層となる電極層がそれぞれ形成されている。画素電極層又は対向電極層となる電極層は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素(SiO2)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、またはタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
【0045】
透過型液晶表示装置とする場合は、画素電極層及び対向電極層に透光性の導電性材料を用いればよい。一方、反射型液晶表示装置とする場合は、反射性を有する層を別途設けても良いし、画素電極層に反射性を有する導電性材料を、対向電極層に透光性の導電性材料をそれぞれ用いて形成し、画素電極層で反射した光を対向電極層より透過し、視認側に射出する構成とすればよい。
【0046】
透過型液晶表示装置の場合、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いればよい。また、反射型液晶表示装置の場合は、視認側の基板に偏光板を設け、透過型液晶表示装置の場合、液晶層を挟んで偏光板を第1の基板及び第2の基板側にも設ける構成とする。偏光板の他、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどを設けてもよい。
【0047】
本実施の形態では、第1の基板800にシール材を形成し、液晶を滴下し、第2の基板を貼り合わせる例を示した。基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、第1の基板800、及び第2の基板805は、どちらが素子基板でどちらが対向基板であってもよい。
【0048】
画素電極層、対向電極層、絶縁層などはスパッタリング法、真空蒸着法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)により薄膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、刷毛塗り法、スプレー法、フローコート法などを用いることもできる。また、インプリント技術、ナノメートルレベルの立体構造物を転写技術で形成できるナノインプリント技術を用いることもができる。インプリント、ナノインプリントは、フォトリソグラフィー工程を用いずに微細な立体構造物を形成できる技術である。
【0049】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有する液晶表示装置を作製することができる。さらに、高速応答が可能なスメクティック液晶を用いて、表示欠陥も低減される液晶層を形成することができる。従って、本発明により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0050】
(実施の形態2)
本実施の形態では、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。より具体的には、液晶表示装置の構成がパッシブマトリクス型の場合に関して示す。
【0051】
本発明を適用した本実施の形態のパッシブマトリクス型の液晶表示装置を示す。液晶表示装置の上面図を図5(A)に、図5(A)における線A−Bの断面図を図5(B)に示す。また、図5(A)には、配向膜として機能する絶縁層1704、着色層、対向基板である基板1710、偏光板1714などは省略され図示されていないが、図5(B)で示すようにそれぞれ設けられている。
【0052】
図5において、第1の方向に延びた画素電極層1701a、1701b、1701c、配向膜として機能する絶縁層1712が設けられた基板1700と、配向膜として機能する絶縁層1704、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた対向電極層1705a、1705b、1705c、カラーフィルタとして機能する着色層1706、偏光板1714が設けられた基板1710とが液晶層1703を挟持して対向しており、表示素子1713を有している(図5(A)(B)参照。)。配向膜はラビング処理などによって、膜表面が配向している絶縁層を指す。
【0053】
液晶層1703を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(基板1700又は基板1710)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜として機能する絶縁層(絶縁層1712、又は1704)上に、絶縁層のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。
【0054】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(基板1700及び基板1710)を貼り合わせると、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層1712、又は絶縁層1704)上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層1712、又は絶縁層1704)のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターンを充填し、液晶層1703を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層1703を形成することができる。
【0055】
基板1700及び基板1710を、液晶層1703を充填した状態で貼り合わせた後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0056】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0057】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0058】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0059】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0060】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0061】
基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板である基板1700、及び対向基板である基板1710どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0062】
基板1700、1710としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる、プラスチック基板の他、高温では可塑化されてプラスチックと同じような成型加工が出来、常温ではゴムのような弾性体の性質を示す高分子材料エラストマー等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0063】
画素電極層1701a、1701b、1701c、対向電極層1705は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素(SiO2)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、またはタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物から選ぶことができる。
【0064】
透過型液晶表示装置とする場合は、画素電極層1701a、1701b、1701c及び対向電極層1705に透光性の導電性材料を用いればよい。一方、反射型液晶表示装置とする場合は、反射性を有する層を別途設けても良いし、画素電極層1701a、1701b、1701cに反射性を有する導電性材料を、対向電極層1705に透光性の導電性材料をそれぞれ用いて形成し、画素電極層1701a、1701b、1701cで反射した光を対向電極層1705より透過し、視認側に射出する構成とすればよい。
【0065】
透過型液晶表示装置の場合、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いればよい。また透過型液晶表示装置の場合、偏光板を基板1700の外側にも設ける構成とする。
【0066】
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層などを、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどがある。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面を平坦化する場合適用することができる。
【0067】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0068】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0069】
(実施の形態3)
本実施の形態では、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なる構成を有する液晶表示装置について説明する。具体的には、液晶表示装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
【0070】
液晶表示装置の上面図を図6(A)に、図6(A)における線E−Fの断面図を図6(B)に示す。また、図6(A)には、液晶層、及び対向基板側に設けられる配向膜、対向電極層、着色層などは省略され図示されていないが、図6(B)で示すようにそれぞれ設けられている。
【0071】
下地膜として絶縁層523が設けられた基板520上に、第1の方向に延びた第1の配線と、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の配線とがマトリクス状に設けられている。また、第1の配線はトランジスタ521のソース電極又はドレイン電極に接続されており、第2の配線はトランジスタ521のゲート電極に接続されている。さらに、第1の配線と接続されていないトランジスタ521のソース電極またはドレイン電極である配線層525bに、画素電極層531が接続されている。
【0072】
逆スタガ型薄膜トランジスタであるトランジスタ521、絶縁層557、絶縁層527、画素電極層531、配向膜として機能する絶縁層561が設けられた基板520と、配向膜として機能する絶縁層563、対向電極層564、カラーフィルタとして機能する着色層565、偏光板(偏光子を有する層、単に偏光子ともいう)556が設けられた基板568とが液晶層562を挟持して対向している。
【0073】
液晶層562を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(基板520又は基板568)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜として機能する絶縁層(絶縁層561、又は絶縁層563)上に、絶縁層のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。
【0074】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(基板520及び基板568)を貼り合わせると、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層561、又は絶縁層563)上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層557、又は絶縁層563)のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターンを充填し、液晶層562を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層562を形成することができる。
【0075】
基板520及び基板568を、液晶層562を充填した状態で貼り合わせ後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0076】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0077】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0078】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0079】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0080】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0081】
基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板である基板520、及び対向基板である基板568どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0082】
本実施の形態における図6では、トランジスタ521はチャネルエッチ型逆スタガトランジスタの例を示す。図6において、トランジスタ521は、ゲート電極層502、ゲート絶縁層526、半導体層504、一導電型を有する半導体層503a、503b、ソース電極層又はドレイン電極層である配線層525a、525bを含む。
【0083】
図7は、マルチゲート構造のトランジスタを用いる例である。図7において、マルチゲート構造のトランジスタ551及び画素電極層531、配向膜として機能する絶縁層561が設けられた基板520と、配向膜として機能する絶縁層563、対向電極層564、カラーフィルタとして機能する着色層565、偏光板(偏光子を有する層、単に偏光子ともいう)556が設けられた基板568とが液晶層562を挟持して対向している。
【0084】
図7において、偏光板556は対向基板である基板568の外側に設けられている。偏光板、カラーフィルタなどは基板内に設けられても良いし、基板外側に設けられてもよい。図7の液晶表示装置では、基板568外側に偏光板556、基板568内側に着色層565、対向電極層564という順に設ける例を示すが、偏光板と着色層の積層構造も図7に限定されず、偏光板及び着色層の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、図7では反射型液晶表示装置とするので偏光板は視認側である対向基板側に一枚設けるが、透過型液晶表示装置であれば、液晶層を挟むように素子基板及び対向基板両方に偏光板を設ける構成とする。また、偏光板と配向膜との間に位相差板などを設けても良く、もっとも視認側に近い面に反射防止膜などの光学フィルムを設けることもできる。
【0085】
トランジスタ551はマルチゲート型のチャネルエッチ型逆スタガトランジスタの例を示す。図7において、トランジスタ551は、ゲート電極層552a、552b、ゲート絶縁層558、半導体層554、一導電型を有する半導体層553a、553b、553c、ソース電極層又はドレイン電極層である配線層555a、555b、555cを含む。トランジスタ551上には絶縁層557が設けられている。
【0086】
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、また単結晶半導体などを用いることができる。
【0087】
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。また、このような薄膜プロセスに換えて、絶縁表面に単結晶半導体層を設けたSOI基板を用いても良い。SOI基板は、SIMOX(Separation by IMplanted Oxygen)法や、Smart−Cut法を用いて形成することができる。SIMOX法は、単結晶シリコン基板に酸素イオンを注入し、所定の深さに酸素含有層を形成した後、熱処理を行い、表面から一定の深さで埋込絶縁層を形成し、埋込絶縁層の上に単結晶シリコン層を形成する方法である。また、Smart−Cut法は、酸化された単結晶シリコン基板に水素イオン注入を行い、所望の深さに相当する所に水素含有層を形成し、他の支持基板(表面に貼り合わせ用の酸化シリコン膜を有する単結晶シリコン基板など)と貼り合わせる、加熱処理を行うことにより水素含有層にて単結晶シリコン基板を分断し、支持基板上に酸化シリコン膜と単結晶シリコン層との積層を形成する方法である。
【0088】
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質半導体層にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質半導体層の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質半導体層にレーザ光を照射すると非晶質半導体層が破壊されてしまうからである。結晶化のための加熱処理は、加熱炉、レーザ照射、若しくはランプから発する光の照射(ランプアニールともいう)などを用いることができる。加熱方法としてGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法等のRTA法がある。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法であり、LRTAとはランプ光により加熱処理を行う方法である。
【0089】
また、非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
【0090】
非晶質半導体膜への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0091】
結晶化を促進する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、希ガス元素を含む半導体層を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体層を除去する。
【0092】
レーザと、半導体膜とを相対的に走査することにより、レーザ照射を行うことができる。またレーザ照射において、ビームを精度よく重ね合わせたり、レーザ照射開始位置やレーザ照射終了位置を制御するため、マーカーを形成することもできる。マーカーは非晶質半導体膜と同時に、基板上へ形成すればよい。
【0093】
レーザ照射を用いる場合、連続発振型のレーザビーム(CW(CW:continuous−wave)レーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このレーザは、CWで射出することも、パルス発振で射出することも可能である。CWで射出する場合は、レーザのパワー密度が0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
【0094】
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
【0095】
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
【0096】
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上ができうる。
【0097】
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。またさらにレーザは、半導体膜に対して入射角θ(0<θ<90度)を持たせて照射させるとよい。レーザの干渉を防止することができるからである。
【0098】
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの均一なアニールが必要な場合は、スリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
【0099】
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜をアニールし、この半導体膜を用いて液晶表示装置を作製すると、その液晶表示装置の特性は、良好かつ均一である。
【0100】
また、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光の照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じるしきい値のばらつきを抑えることができる。
【0101】
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0102】
ゲート電極層は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、ゲート電極層は単層でも積層でもよい。
【0103】
本実施の形態ではゲート電極層をテーパー形状を有する様に形成するが、本発明はそれに限定されず、ゲート電極層を積層構造にして、一層のみがテーパー形状を有し、他方は異方性エッチングによって垂直な側面を有していてもよい。テーパー角度も積層するゲート電極層間で異なっていても良いし、同一でもよい。テーパー形状を有することによって、その上に積層する膜の被覆性が向上し、欠陥が軽減されるので信頼性が向上する。
【0104】
ソース電極層又はドレイン電極層は、スパッタリング法、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、ディスペンサ法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は金属などの導電性材料を用いることができ、具体的にはAg、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba、Si、Geなどの材料、又は上記材料の合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
【0105】
絶縁層523、557、527としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られる膜やSOG膜なども用いることができる。
【0106】
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0107】
なお、本実施の形態で示した薄膜トランジスタの作製方法に限らず、トップゲート型(例えば順スタガ型、コプラナ型)、ボトムゲート型(例えば、逆コプラナ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
【0108】
トランジスタはスイッチング素子として機能し得るものであれば、どのような構成で設けてもよい。半導体層も非晶質半導体、結晶性半導体、多結晶半導体、微結晶半導体など様々な半導体を用いることができ、有機化合物を用いて有機トランジスタを形成してもよい。
【0109】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0110】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0111】
(実施の形態4)
本実施の形態では、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。具体的には、本発明を用いた結晶性半導体膜を有する薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置について説明する。
【0112】
図12(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス状に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0113】
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素部2701の画素それぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極層が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極層側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
【0114】
図12(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図13(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図13(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図13において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible Printed Circuit)2750と接続している。
【0115】
また、画素に設けるTFTを結晶性を有する半導体で形成する場合には、図12(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図12(B)において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図12(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図12(C)に示すように、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
【0116】
図8(A)は、本発明を用いた本実施の形態の液晶表示装置の上面図であり、図8(B)は図8(A)の線C−Dにおける断面図である。
【0117】
図8で示すように、画素領域606、走査線駆動回路である駆動回路領域608a、走査線駆動領域である駆動回路領域608bが、シール材692によって、素子基板である基板600と対向基板である基板695との間に封止され、基板600上にICドライバによって形成された信号線駆動回路である駆動回路領域607が設けられている。画素領域606にはトランジスタ622及び容量素子623が設けられ、駆動回路領域608bにはトランジスタ620及びトランジスタ621を有する駆動回路が設けられている。
【0118】
基板600及び基板695は、透光性を有する絶縁性基板(以下、透光性基板とも記す)とする。特に可視光の波長領域において透光性を有する。例えば、バリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板等を用いることができる。また、ポリエチレン−テレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)に代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板を適用することができる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム等)などを用いることもできる。また一般的に合成樹脂からなる基板は、他の基板と比較して耐熱温度が低いことが懸念されるが、耐熱性の高い基板を用いた作製工程の後、転置することによっても採用することが可能となる。
【0119】
画素領域606には、下地膜604a、下地膜604bを介してスイッチング素子となるトランジスタ622が設けられている。
【0120】
下地膜604a、604bの材料は、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
【0121】
下地膜604a、604bは、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などを用いて形成することができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。
【0122】
本実施の形態では、トランジスタ622にマルチゲート型薄膜トランジスタ(TFT)を用い、ソース領域及びドレイン領域として機能する不純物領域を有する半導体層、ゲート絶縁層、2層の積層構造であるゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層を有し、ソース電極層又はドレイン電極層は、半導体層の不純物領域と画素電極層630に接して電気的に接続している。薄膜トランジスタは、多くの方法で作製することができる。例えば、活性層として、結晶性半導体膜を適用する。結晶性半導体膜上には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。該ゲート電極を用いて該活性層へ不純物元素を添加することができる。このようにゲート電極を用いた不純物元素の添加により、不純物元素添加のためのマスクを形成する必要はない。ゲート電極は、単層構造、又は積層構造を有することができる。不純物領域は、その濃度を制御することにより高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域とすることができる。このように低濃度不純物領域を有する薄膜トランジスタを、LDD(Light doped drain)構造と呼ぶ。また低濃度不純物領域は、ゲート電極と重なるように形成することができ、このような薄膜トランジスタを、GOLD(Gate Overlaped LDD)構造と呼ぶ。また薄膜トランジスタの極性は、不純物領域にリン(P)等を用いることによりn型とする。p型とする場合は、ボロン(B)等を添加すればよい。その後、ゲート電極等を覆う絶縁膜611及び絶縁膜612を形成する。絶縁膜611(及び絶縁膜612)に混入された水素元素により、結晶性半導体膜のダングリングボンドを終端することができる。
【0123】
さらに平坦性を高めるため、層間絶縁膜として絶縁膜615、絶縁膜616を形成してもよい。絶縁膜615、絶縁膜616には、有機材料、又は無機材料、若しくはそれらの積層構造を用いることができる。例えば酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、ポリシラザン、窒素含有炭素(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン樹脂などを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0124】
また結晶性半導体膜を用いることにより、画素領域と駆動回路領域を同一基板上に一体形成することができる。その場合、画素部のトランジスタと、駆動回路領域608bのトランジスタとは同時に形成される。駆動回路領域608bに用いるトランジスタは、CMOS回路を構成する。CMOS回路を構成する薄膜トランジスタは、GOLD構造であるが、トランジスタ622のようなLDD構造を用いることもできる。
【0125】
本実施の形態に限定されず、画素領域の薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0126】
なお、本実施の形態で示した薄膜トランジスタの作製方法に限らず、トップゲート型(例えば順スタガ型)、ボトムゲート型(例えば、逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
【0127】
次に、画素電極層630及び絶縁膜616を覆うように、印刷法や液滴吐出法により、配向膜として機能する絶縁層631を形成する。なお、絶縁層631は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビング処理を行う。配向膜として機能する絶縁層633も配向膜として機能する絶縁層631と同様である。続いて、シール材692を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する。
【0128】
液晶の滴下は素子基板である基板600に行ってもよいし、カラーフィルタとして機能する着色層635が設けられた対向基板である基板695にシール材692を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板である基板600、及び対向基板である基板695どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0129】
シール材692としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0130】
液晶層632を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(基板600又は基板695)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜として機能する絶縁層(絶縁層631、又は絶縁層633)上に、絶縁層のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。次に、素子基板である基板600、及び配向膜として機能する絶縁層633、対向電極層634、カラーフィルタとして機能する着色層635が設けられた対向基板である基板695とをスペーサ637を介して貼り合わせる。
【0131】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(基板600及び基板695)を貼り合わせると、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層631、又は絶縁層633)上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層631、又は絶縁層633)のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターン内を充填し、液晶層632を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層632を形成することができる。
【0132】
基板600及び基板695を、液晶層632を充填した状態で貼り合わせた後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0133】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0134】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0135】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0136】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0137】
その後、対向基板である基板695の外側に偏光板641を設け、基板600の素子を有する面と反対側にも偏光板643を設ける。偏光板は、接着層によって基板に設けることができる。また偏光板と、基板との間に位相差板を設けてもよい。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板である基板695には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、カラーフィルタ等は、液晶表示装置をフルカラー表示とする場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を呈する材料から形成すればよく、モノカラー表示とする場合、着色層を無くす、もしくは少なくとも一つの色を呈する材料から形成すればよい。
【0138】
なお、バックライト装置にRGBの発光ダイオード(LED)等を配置し、時分割によりカラー表示する継時加法混色法(フィールドシーケンシャル法)を採用するときには、カラーフィルタを設けない場合がある。ブラックマトリクスは、トランジスタやCMOS回路の配線による外光の反射を低減するため、トランジスタやCMOS回路と重なるように設けるとよい。なお、ブラックマトリクスは、容量素子に重なるように形成してもよい。容量素子を構成する金属膜による反射を防止することができるからである。
【0139】
スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良いが、本実施の形態では基板全面に樹脂膜を形成した後これをエッチング加工して形成する方法を採用する。このようなスペーサの材料を、スピナーで塗布した後、露光と現像処理によって所定のパターンに形成する。さらにクリーンオーブンなどで150〜200℃で加熱して硬化させる。このようにして作製されるスペーサは露光と現像処理の条件によって形状を異ならせることができるが、好ましくは、スペーサの形状は柱状で頂部が平坦な形状となるようにすると、対向側の基板を合わせたときに液晶表示装置としての機械的な強度を確保することができる。形状は円錐状、角錐状などを用いることができ、特別な限定はない。
【0140】
続いて、画素領域と電気的に接続されている端子電極層678に、異方性導電体層696を介して、接続用の配線基板であるFPC694を設ける。FPC694は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。
【0141】
なおトランジスタが有する配線、ゲート電極層、画素電極層630、対向電極層634は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素(SiO2)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物から一種、又は複数種を用いて形成することができる。
【0142】
透過型液晶表示装置とする場合は、画素電極層630及び対向電極層634に透光性の導電性材料を用いればよい。一方、反射型液晶表示装置とする場合は、反射性を有する層を別途設けても良いし、画素電極層630に反射性を有する導電性材料を、対向電極層634に透光性の導電性材料をそれぞれ用いて形成し、画素電極層630で反射した光を対向電極層634より透過し、視認側に射出する構成とすればよい。
【0143】
ソース電極層又はドレイン電極層と画素電極層が直接接して電気的な接続を行うのではなく、配線層を介して接続してもよい。また、ソース電極層又はドレイン電極層の上に画素電極層が一部積層するように接続してもよいし、先に画素電極層を形成し、その画素電極層上に接するようにソース電極層又はドレイン電極層を形成する構成でもよい。
【0144】
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
【0145】
また、本発明の液晶表示装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、液晶表示装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
【0146】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0147】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0148】
(実施の形態5)
本実施の形態では液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。具体的には、本発明を用いた非晶質半導体膜を有する薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置について説明する。
【0149】
図9に示す液晶表示装置は、素子基板である基板200上に、画素領域に逆スタガ型薄膜トランジスタであるトランジスタ220、画素電極層201、絶縁膜202、配向膜として機能する絶縁層203、液晶層204、スペーサ281、配向膜として機能する絶縁層205、対向電極層206、カラーフィルタ208、ブラックマトリクス207、対向基板である基板210、偏光板231、偏光板233、封止領域にシール材282、端子電極層287、異方性導電層285、FPC286が設けられている。
【0150】
液晶層204を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(基板200又は基板210)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜として機能する絶縁層(絶縁層203、又は絶縁層205)上に、絶縁層のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。
【0151】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(基板200及び基板210)を貼り合わせると、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層203、又は絶縁層205)上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層203、又は絶縁層205)のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターン内を充填し、液晶層204を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層204を形成することができる。
【0152】
基板200及び基板210を、液晶層204を充填した状態で貼り合わせた後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0153】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0154】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0155】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0156】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0157】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0158】
基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板である基板200、及び基板210どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0159】
本実施の形態で作製される逆スタガ型薄膜トランジスタであるトランジスタ220のゲート電極層、ソース電極層、及びドレイン電極層は液滴吐出法によって形成されている。液滴吐出法は、液状の導電性材料を有する組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化し、導電層や電極層を形成する方法である。絶縁性材料を含む組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化すれば絶縁層も形成することができる。選択的に導電層や絶縁層などの液晶表示装置の構成物を形成することができるので、工程が簡略化し、材料のロスが防げるので、低コストで生産性良く液晶表示装置を作製することができる。
【0160】
本実施の形態では、半導体層として非晶質半導体を用いており、一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。本実施の形態では、半導体層と一導電型を有する半導体層として非晶質n型半導体層を積層する。またn型半導体層を形成し、nチャネル型薄膜トランジスタのNMOS構造、p型半導体層を形成したpチャネル型薄膜トランジスタのPMOS構造、nチャネル型薄膜トランジスタとpチャネル型薄膜トランジスタとのCMOS構造を作製することができる。本実施の形態では、トランジスタ220はnチャネル型の逆スタガ型薄膜トランジスタとなっている。また、半導体層のチャネル領域上に保護層を設けたチャネル保護型の逆スタガ型薄膜トランジスタを用いることもできる。
【0161】
また、導電性を付与するために、導電性を付与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、nチャネル型薄膜トランジスタ、Pチャネル型薄膜トランジスタを形成することもできる。n型半導体層を形成するかわりに、PH3ガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。
【0162】
また、半導体として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法、ディスペンサ法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、ペンタセン等の低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体の可溶性の高分子材料を用いることができる。
【0163】
次いで、バックライトユニット352の構成について説明する。バックライトユニット352は、光を発する光源331として冷陰極管、熱陰極管、発光ダイオード、無機EL、有機ELが、光を効率よく導光板335に導くためのランプリフレクタ332、光が全反射しながら液晶表示装置全面に光を導くための導光板335、明度のムラを低減するための拡散板336、導光板335の下に漏れた光を再利用するための反射板334を有するように構成されている。
【0164】
バックライトユニット352には、光源331の輝度を調整するための制御回路が接続されている。制御回路からの信号供給により、光源331の輝度を制御することができる。
【0165】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0166】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0167】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明を用いた液晶表示装置が有する各回路等の動作について説明する。
【0168】
図14には、液晶表示装置の画素部705及び駆動回路部708のシステムブロック図を示す。
【0169】
画素部705は、複数の画素を有し、各画素となる信号線712と、走査線710との交差領域には、スイッチング素子が設けられている。スイッチング素子により液晶分子の傾きを制御するための電圧の印加を制御することができる。このように各交差領域にスイッチング素子が設けられた構造をアクティブマトリクス型と呼ぶ。本発明の画素部は、このようなアクティブマトリクス型に限定されず、パッシブマトリクス型の構成を有してもよい。パッシブマトリクス型は、各画素にスイッチング素子がないため、工程が簡便である。
【0170】
駆動回路部708は、制御回路702、信号線駆動回路703、走査線駆動回路704を有する。制御回路702は、画素部705の表示内容に応じて、階調制御を行う機能を有する。そのため、制御回路702は、生成された信号を信号線駆動回路703、及び走査線駆動回路704に入力する。そして、走査線駆動回路704に基づき、走査線710を介してスイッチング素子が選択されると、選択された交差領域の画素電極に電圧が印加される。この電圧の値は、信号線駆動回路703から信号線を介して入力される信号に基づき決定される。
【0171】
さらに、制御回路702では、照明手段706へ供給する電力を制御する信号が生成され、該信号は、照明手段706の電源707に入力される。照明手段には、上記実施の形態で示したバックライトユニットを用いることができる。なお照明手段はバックライト以外にフロントライトもある。フロントライトとは、画素部の前面側に取りつけ、全体を照らす発光体および導光体で構成された板状のライトユニットである。このような照明手段により、低消費電力で、均等に画素部を照らすことができる。
【0172】
図14(B)に示すように走査線駆動回路704は、シフトレジスタ741、レベルシフタ742、バッファ743として機能する回路を有する。シフトレジスタ741にはゲートスタートパルス(GSP)、ゲートクロック信号(GCK)等の信号が入力される。なお、本発明の走査線駆動回路は、図14(B)に示す構成に限定されない。
【0173】
また図14(C)に示すように信号線駆動回路703は、シフトレジスタ731、第1のラッチ732、第2のラッチ733、レベルシフタ734、バッファ735として機能する回路を有する。バッファ735として機能する回路とは、弱い信号を増幅させる機能を有する回路であり、オペアンプ等を有する。シフトレジスタ731には、スタートパルス(SSP)、クロック信号(SCK)等の信号が、第1のラッチ732にはビデオ信号等のデータ(DATA)が入力される。第2のラッチ733にはラッチ(LAT)信号を一時保持することができ、一斉に画素部705へ入力させる。これを線順次駆動と呼ぶ。そのため、線順次駆動ではなく、点順次駆動を行う画素であれば、第2のラッチは不要とすることができる。このように、本発明の信号線駆動回路は図14(C)に示す構成に限定されない。
【0174】
このような信号線駆動回路703、走査線駆動回路704、画素部705は、同一基板上に設けられた半導体素子によって形成することができる。半導体素子は、ガラス基板に設けられた薄膜トランジスタを用いて形成することができる。この場合、半導体素子には結晶性半導体膜を適用するとよい(上記実施の形態4参照)。結晶性半導体膜は、電気特性、特に移動度が高いため、駆動回路部が有する回路を構成することができる。また、信号線駆動回路703や走査線駆動回路704は、IC(Integrated Circuit)チップを用いて、基板上に実装することもできる。この場合、画素部の半導体素子には非晶質半導体膜を適用することができる(上記実施の形態5参照)。
【0175】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0176】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明を用いた液晶表示装置に用いることのできる照明手段であるバックライトの構成について説明する。バックライトは光源を有するバックライトユニットとして液晶表示装置に設けられ、バックライトユニットは効率よく光を散乱させるため、光源は反射板により囲まれている。
【0177】
図11(A)に示すように、バックライトユニット352は、光源として冷陰極管401を用いることができる。また、冷陰極管401からの光を効率よく反射させるため、ランプリフレクタ332を設けることができる。冷陰極管401は、大型液晶表示装置に用いることが多い。これは冷陰極管からの輝度の強度のためである。そのため、冷陰極管を有するバックライトユニットは、パーソナルコンピュータのディスプレイに用いることができる。
【0178】
図11(B)に示すように、バックライトユニット352は、光源として発光ダイオード402を用いることができる。例えば、白色に発する発光ダイオード402を所定の間隔に配置する。また、発光ダイオード402からの光を効率よく反射させるため、ランプリフレクタ332を設けることができる。
【0179】
また図11(C)に示すように、バックライトユニット352は、光源として各色RGBの発光ダイオード403、404、405を用いることができる。各色RGBの発光ダイオード403、404、405を用いることにより、白色を発する発光ダイオード402のみと比較して、色再現性を高くすることができる。また、発光ダイオードからの光を効率よく反射させるため、ランプリフレクタ332を設けることができる。
【0180】
またさらに図11(D)に示すように、光源として各色RGBの発光ダイオード403、404、405を用いる場合、それらの数や配置を同じとする必要はない。例えば、発光強度の低い色の発光ダイオードを他の色の発光ダイオードより多く配置してもよい。
【0181】
さらに白色を発する発光ダイオード402と、各色RGBの発光ダイオード(LED)403、404、405とを組み合わせて用いてもよい。
【0182】
なおRGBの発光ダイオードを有する場合、フィールドシーケンシャルモードを適用すると、時間に応じてRGBの発光ダイオードを順次点灯させることによりカラー表示を行うことができる。
【0183】
発光ダイオードを用いると、輝度が高いため、大型液晶表示装置に適する。また、RGB各色の色純度が良いため冷陰極管と比べて色再現性に優れており、配置面積を小さくすることができるため、小型液晶表示装置に適応すると、狭額縁化を図ることができる。
【0184】
また、光源を必ずしも図11に示すバックライトユニットとして配置する必要はない。例えば、大型液晶表示装置に発光ダイオードを有するバックライトを搭載する場合、発光ダイオードは該基板の背面に配置することができる。このとき発光ダイオードは、所定の間隔を維持し、各色の発光ダイオードを順に配置させることができる。発光ダイオードの配置により、色再現性を高めることができる。
【0185】
このようなバックライトを用いた液晶表示装置を、本発明を用いて、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有するように作製することができる。よって、より高画質及び高性能な液晶表示装置を作製することができる。特に、発光ダイオードを有するバックライトは、大型液晶表示装置に適しており、大型液晶表示装置のコントラスト比を高めることにより、暗所でも質の高い映像を提供することができる。
【0186】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至6と適宜組み合わせることができる。
【0187】
(実施の形態8)
液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。具体的には、本発明を用いた液晶表示モジュールについて説明する。
【0188】
本実施の形態を図10(A)及び図10(B)を用いて説明する。図10(A)、図10(B)は、本発明を適用して作製される素子基板2600を用いて液晶表示装置(液晶表示モジュール)を構成する一例を示している。
【0189】
図10(A)は液晶表示モジュールの一例であり、素子基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む画素部2603、液晶層2604、着色層2605、偏光板2606が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。素子基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609により素子基板2600と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0190】
また、図10(A)(B)の液晶表示装置では、対向基板2601の外側(視認側)に偏光板2606、内側に着色層2605という順に設ける例を示すが、偏光板2606は対向基板2601の内側(液晶側)に設けてもよく、着色層2605を対向基板の外側に設けてもよい。また、偏光板2606と着色層2605の積層構造も図10(A)に限定されず、偏光板2606及び着色層2605の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。
【0191】
液晶層2604を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(素子基板2600又は対向基板2601)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜上に、配向膜のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。
【0192】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(素子基板2600及び対向基板2601)を貼り合わせると、配向膜上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターン内を充填し、液晶層2604を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層2604を形成することができる。
【0193】
素子基板2600及び対向基板2601を、液晶層2604を充填した状態で貼り合わせた後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0194】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0195】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0196】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0197】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0198】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0199】
基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板2600、及び対向基板2601どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0200】
図10(B)は図10(A)の液晶表示モジュールに上記FLCモードを適用した一例であり、FS−LCD(Field sequential−LCD)となっている。FS−LCDは、1フレーム期間に赤色発光と緑色発光と青色発光をそれぞれ行うものであり、時間分割を用いて画像を合成しカラー表示を行うことが可能である。また、各発光を発光ダイオードまたは冷陰極管等で行うので、カラーフィルタが不要である。よって、3原色のカラーフィルタを並べ、各色の表示領域を限定する必要がなく、どの領域でも3色全ての表示を行うことができる。一方、1フレーム期間に3色の発光を行うため、液晶の高速な応答が求められる。本発明の液晶表示装置に、FS方式を用いた上記FLCモード、AFLCモードを適用し、高性能で高画質な液晶表示装置、また液晶テレビジョン装置を完成させることができる。
【0201】
また、液晶表示モジュールの光学応答速度は、液晶表示モジュールのセルギャップを狭くすることで高速化する。また液晶材料の粘度を下げることでも高速化できる。また、印加電圧を一瞬だけ高く(または低く)するオーバードライブ法により、より高速化が可能である。
【0202】
図10(B)の液晶表示モジュールは透過型の液晶表示モジュールを示しており、光源として赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cが設けられている。光源は赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cのそれぞれオンオフを制御するために、制御部2912が設置されている。制御部2912によって、各色の発光は制御され、液晶に光は入射し、時間分割を用いて画像を合成し、カラー表示が行われる。
【0203】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0204】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至8と適宜組み合わせることができる。
【0205】
(実施の形態9)
本発明によって形成される液晶表示装置によって、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)を完成させることができる。図15はテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図を示している。
【0206】
表示パネルには、図12(A)で示すような構成として、図15において、画素部901のみが形成されて走査線側駆動回路903と信号線側駆動回路902とが、図13(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図13(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図12(B)に示すようにTFTを形成し、画素部901と走査線側駆動回路903を基板上に形成し信号線側駆動回路902を別途ドライバICとして実装する場合、また図12(C)で示すように画素部901と信号線側駆動回路902と走査線側駆動回路903を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
【0207】
図15において、その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ904で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路905と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路906と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路907などからなっている。コントロール回路907は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路908を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0208】
チューナ904で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路909に送られ、その出力は音声信号処理回路910を経てスピーカー913に供給される。制御回路911は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部912から受け、チューナ904や音声信号処理回路910に信号を送出する。
【0209】
表示モジュールを、図16(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示モジュールとして液晶表示モジュールを用いれば液晶テレビジョン装置を作製することができる。図16(A)において、表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
【0210】
筐体2001に表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
【0211】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003及びサブ画面2008を本発明の液晶表示装置で形成することができる。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い液晶表示装置とすることができる。
【0212】
図16(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、表示部2011、操作部であるリモコン装置2012、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図16(B)のテレビジョン装置は、壁かけ型となっており、設置するスペースを広く必要としない。
【0213】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
【0214】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至8と適宜組み合わせることができる。
【0215】
(実施の形態10)
本発明に係る電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。また、パチンコ機、スロットマシン、ピンボール機、大型ゲーム機など液晶表示装置を有するあらゆる遊技機に適用することができる。その具体例について、図17を参照して説明する。
【0216】
図17(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯情報端末機器を提供することができる。
【0217】
図17(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能なデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0218】
図17(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯電話機を提供することができる。
【0219】
図17(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の液晶表示装置を適用することができる。
【0220】
図17(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0221】
図17(F)に示すスロットマシンは、本体9501、表示部9502等を含んでいる。表示部9502は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能なスロットマシンを提供することができる。
【0222】
このように、本発明の液晶表示装置により、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な電子機器を提供することができる。
【0223】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至9と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0224】
本実施例では、本発明を用いた透過型液晶表示装置の作製方法について説明する。使用したスメクティック液晶である強誘電性液晶(FLC)は、FELIX M4851/100(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)であり、配向膜として機能する絶縁層はAL1054(JSR社製)を使用した。
【0225】
対向基板にはあらかじめ、柱状スペーサ(高さ1.5μm)が形成されており、素子基板の画素電極と対向基板の対向電極間隔が1.5μmとなるように形成されている。
【0226】
まず、素子基板および対向基板それぞれを洗浄し、配向膜として機能する絶縁層(膜厚35nm)を印刷法により成膜し、仮焼成を50℃、3分間行った後に本焼成をクリーンオーブンで180℃、1時間行った。
【0227】
その後、素子基板および対向基板それぞれにラビング処理を行った。ラビング条件は、押し込み量0.2mm、ラビングロールの回転数100rpm、基板前進速度10mm/sec、ラビング回数は1回とした。なお、ラビング方向は図1と同様に平行となるパラレルラビングとした。ラビング後は洗浄機にてラビング布等の汚れを除去した。
【0228】
続いて、紫外線硬化型のシール材(ワールドロックNo.717(協立化学産業社製))を対向基板側に塗布した。このとき、シール材形状は開口部のないループ形状とした。
【0229】
次に対向基板側にFLCを滴下した。この際、FLCは室温では粘度が高く精度の良い滴下が不可能であるため、等方相以上の温度となるように、ここでは75℃で滴下を行った。また、滴下後のFLCの広がる速度はラビング方向よりもラビング方向に垂直な方向の方が速いため、ラビング方向に沿ってFLCを滴下した。なお、滴下数は4滴(9mg)で、シール材の中央部付近に滴下した。画素部を含む液晶の滴下領域(液晶の充填領域)は約4インチであった。
【0230】
また、滴下したFLCがすぐに強誘電相に転移するとFLCが基板に対して高く形成され、その後の貼り合わせ工程で素子基板と対向基板のギャップが縮まらないという問題が起きてしまう。このため、本実施例では、滴下ステージの温度を等方相以上の温度である75℃とした。これにより、滴下後のFLCの高さを低くすることができた。
【0231】
そして、素子基板と対向基板を真空中で貼り合わせた。まず、チャンバー内を100Paまで真空引きし、素子基板と対向基板のアライメントマーカーを合わせながらギャップを縮めていった。シール材が両基板に触れるところまでギャップを縮め、紫外線照射機にて局所的に紫外線を照射して両基板を仮止めし、チャンバー内を大気開放した。この時点ではFLCは画素部全体には広がっていない。
【0232】
次に、紫外線硬化型シール材を紫外線照射機で硬化した。このとき、画素部のFLCに紫外線が当たらないように遮光マスクを使用した。その後、基板を分断しクリーンオーブンにて120℃、1時間熱処理を行った。これにより、FLCは画素部全体に広がった。このときのFLCの広がり方は、ラビング方向に平行にFLCを滴下したため、画素部中央部に気泡が残らないように広がっていった。
【0233】
続いて、FPCを熱圧着することにより貼り付け、偏光板を両基板に貼り合わせることにより透過型のFLCディスプレイを作製する。
【0234】
以上より、FLCをラビング方向に平行に一列に滴下することにより、画素部に気泡の残らない、配向乱れの少ない液晶ディスプレイを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1】本発明の概念図である。
【図2】本発明の概念図である。
【図3】本発明の液晶の配向を示す模式図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の作製方法を示した図である。
【図5】本発明の液晶表示装置を示した上面図及び断面図である。
【図6】本発明の液晶表示装置を示した上面図及び断面図である。
【図7】本発明の液晶表示装置を示した断面図である。
【図8】本発明の液晶表示装置を示した上面図及び断面図である。
【図9】本発明の液晶表示装置を示した断面図である。
【図10】本発明の液晶表示モジュールを示した断面図である。
【図11】本発明の液晶表示装置に用いることのできるバックライトである。
【図12】本発明の液晶表示装置を示した上面図である。
【図13】本発明の液晶表示装置を示した上面図である。
【図14】本発明の液晶表示装置を示したブロック図である。
【図15】本発明が適用される電子機器の主要な構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の電子機器を示した図である。
【図17】本発明の電子機器を示した図である。
【図18】本発明の液晶モードを示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は時計、電卓はもとより、パーソナルコンピュータなどのOA機器、液晶テレビやPDA、携帯電話など各種幅広い分野で用いられている。
【0003】
この液晶表示装置は、2枚の透光性基板の間に液晶を封入し、電圧を印加することにより液晶分子の向きを変えて光透過率を変化させて所定の画像等を光学的に表示する。
【0004】
液晶表示装置は薄型化、軽量化ができるとともに低消費電力で使用可能なためますます改良がなされている。視野角を改善し、同時に応答時間を短くする液晶材料として、スメクティック液晶である強誘電性液晶が注目されており、そのディスプレイヘの適用が考えられている(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−309723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置内に液晶層を形成する方法として一対の基板を貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入するディップ式(汲み上げ式、真空注入法とも言われる)がある。
【0006】
しかしながら、スメクティック液晶は室温状態では粘度が高く、液晶を注入するディップ式では、注入が困難であり、かなりの時間を要する上、注入ムラができるといった問題があった。
【0007】
本発明は、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有する液晶表示装置を作製することを目的とする。従って、本発明においては、高速応答が可能で高性能であり、かつ表示欠陥が低減された高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、スメクティック液晶を滴下法により滴下し、液晶層を形成する液晶表示装置の作製方法であり、スメクティック液晶は、基板上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜上に、配向膜のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下されることを特徴とする。
【0009】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板を貼り合わせると、配向膜上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。
【0010】
従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本発明により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0011】
本発明は、液晶素子を表示素子として用い、表示機能を有する装置である液晶表示装置に用いることができる。なお、基板上に液晶素子などの表示素子を含む複数の画素やそれらの画素を駆動させる周辺駆動回路が形成された表示パネル本体のことでもよい。さらに、ICや抵抗素子や容量素子やインダクタやトランジスタなどを有するフレキシブルプリントサーキット(FPC)やプリント配線基盤(PWB)が取り付けられたものも含んでもよい。さらに、偏光板や位相差板などの光学シートを含んでいても良い。さらに、バックライト(導光板やプリズムシートや拡散シートや反射シートや光源(LEDや冷陰極管など)を含んでいても良い)を含んでいても良い。
【0012】
なお、液晶素子を用いた液晶表示装置としては、透過型液晶表示装置(透過型液晶表示ディスプレイ)、半透過型液晶表示装置(半透過型液晶ディスプレイ)、反射型液晶表示装置(反射型液晶ディスプレイ)がある。
【0013】
本発明の液晶表示装置の作製方法の一形態は、ラビング処理が施された一対の基板の一方にシール材による枠状のシールパターンを形成し、シールパターンの枠内に、ラビング処理の方向に対して平行な方向に、スメクティック液晶を複数回、一列に滴下し、一対の基板を、スメクティック液晶を挟持するように、シール材を介して貼り合わせ、シールパターンの枠内に、スメクティック液晶を拡充するように充填する。
【0014】
本発明の液晶表示装置の作製方法の一形態は、ラビング処理が施された一対の基板の一方にシール材による枠状のシールパターンを形成し、シールパターンの枠内に、ラビング処理の方向に対して平行な方向に、スメクティック液晶を複数回、一部重なるように一列に滴下し、一対の基板を、スメクティック液晶を挟持するように、シール材を介して貼り合わせ、シールパターンの枠内に、スメクティック液晶を拡充する。
【0015】
上記構成において、光源(バックライトなど)を用いる透過型液晶表示装置の場合は、一対の基板を透光性にし、光源よりの光を視認側に透過すればよい。一方、反射型液晶表示装置の場合は、一対の基板に設けられる一方の電極を反射性を有するようにすればよく、例えば、画素電極層に反射性を有する材料を用いればよい。
【0016】
液晶を滴下する基板は、半導体素子などが形成される素子基板でも、対向基板でもよく、貼り合わせ工程は減圧下で行ってもよい。また、液晶を滴下する際に液晶を加熱し、液晶の粘度を低下させてもよい。貼り合わせて、シール材の硬化を行った後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことで、液晶の配向乱れを修正することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明を用いると、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本発明により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態では、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。
【0020】
図1に、本発明を用いた本実施の形態の液晶表示装置の作製方法を示す。図1において、第1の基板800上に、配向膜として機能する絶縁層801、シール材802が枠状のシールパターンに形成されている。絶縁層801は、表面が矢印803のラビング方向にラビング処理され、配向膜として機能する。
【0021】
図1(A)のように、スメクティック液晶を液滴804a、804b、804c、804d、804eと一列に配向膜である絶縁層801のラビング方向と平行な方向に滴下する。
【0022】
対向する一対の配向膜である絶縁層のラビング方向は、図1、2、3では平行ラビング(パラレルラビング)としたが、反平行ラビング(アンチパラレルラビング)でもよい。反平行ラビングであってもラビングする向き(ベクトル)が異なるだけであるので、本発明において、液晶を滴下する方向は、滴下する配向膜である絶縁層のラビング方向と平行であればよい。
【0023】
次に第2の基板805を、シール材802を介して第1の基板800に貼り合わせる。第2の基板805によって液滴804a、804b、804c、804d、804eは押しつぶされ、液滴806a、806b、806c、806d、806eのように広がる(図1(B)参照。)。
【0024】
スメクティック液晶の液滴804a、804b、804c、804d、804eは、滴下し、一対の基板(第1の基板800と第2の基板805)を貼り合わせると、配向膜である絶縁層801上で、ラビング方向(矢印803)に対して垂直な方向に速く広がる。従って、液滴806a、806b、806c、806d、806eのようにラビング方向と垂直な方向に長軸を有する楕円形状に広がる。
【0025】
液滴806aにおいて領域820の拡大図を図3に示す。図3は、スメクティック液晶の配向例の模式図である。液晶分子821は、層822a、822b、822cと、層構造を有して同軸を揃えて配向している。液晶分子の配列により形成される層822a、822b、822cはそれぞれラビング方向(矢印803)と垂直な方向に層方向(層が形成される方向)を有している。
【0026】
このようにスメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)は、ラビング方向(矢印803)と垂直な方向となる。
【0027】
スメクティック液晶の液滴は層方向に配向膜上で広がるために、ラビング方向と垂直な層方向に複数液晶を滴下すると、液滴間で気泡の混入や滴下跡などの充填不良が生じる恐れがある。
【0028】
従って、配向膜のラビング方向と平行な方向に液晶を一列に複数滴下することによって、液晶がシール材のシールパターンに接して充填し、液晶層807を形成することができる(図1(C)参照。)。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。
【0029】
強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いてスメクティック液晶の液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本発明により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0030】
また、スメクティック液晶は、ラビング方向に一列に滴下すればよく、ラビング方向で液滴同士が接するように滴下してもよい。図2(A)は、スメクティック液晶を滴下する際、隣接する液滴同士が接する例である。スメクティック液晶の液滴814a、814b、814c、814d、814eは隣接する液滴と互いに接するように絶縁層801上にラビング方向と平行な方向に滴下される。また、図2(B)は、スメクティック液晶を滴下する際、隣接する液滴同士が一部重なりあう例である。スメクティック液晶の液滴824a、824b、824c、824d、824eは隣接する液滴と互いに一部重なるように絶縁層801上にラビング方向と平行な方向に滴下される。このようにラビング方向と平行な方向に一列液滴を滴下するのであれば、液滴同士が接する、または重なって滴下されてもよい。また、滴下するタイミングも、複数の吐出口を有するヘッドを用いて複数の液滴を同時に滴下してもよいし、一滴ずつ一列に滴下してもよい。
【0031】
本発明で用いることができる、ディスペンサ方式の液晶滴下法を図4を用いて説明する。図4の液晶滴下装置は、制御装置40、撮像手段42、ヘッド43、ヒーター44、液晶33、マーカー35、マーカー45を含み、図4において、配向膜である絶縁層34、シール材32、第1の基板20、第2の基板3が示されている。シール材32を形成し、その中にヘッド43より液晶33を配向膜である絶縁層34のラビング方向と平行な方向に一列複数滴下する。滴下される液晶33は、ヒーター44によって加熱され、粘度を低下させることで滴下可能となる。第1の基板20及び第2の基板30を貼り合わせ、液晶を充填し、シール材32を硬化させて、液晶層を形成する。
【0032】
第1の基板及び第2の基板を、液晶層を充填した状態で貼り合わせ後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0033】
本発明で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0034】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0035】
図18(A)(B)には、単安定モードの液晶表示装置の模式図を示す。
【0036】
第1の基板101、及び第2の基板102上には、それぞれ画素電極層である第1の電極層103及び配向膜である絶縁層105、並びに対向電極層である第2の電極層104及び配向膜である絶縁層106が形成されている。視認側の電極は、少なくとも透光性を有するように形成する。第1の基板101及び第2の基板102の液晶と反対側にはそれぞれ偏光板107、108が設けられており、クロスニコル配置となっている。
【0037】
このような構成を有する液晶表示装置において、第1の電極層103及び第2の電極層104に電圧が印加(縦電界方式と呼ぶ)されると、図18(A)に示すように、白色表示となる。このとき、液晶分子100は偏光板(偏光子)の軸(透過軸または吸収軸)からずれた方向で横に並んでいる状態となる。その結果、バックライトからの光は、偏光板を透過することができ、所定の映像表示が行われる。
【0038】
そして図18(B)に示すように、第1の電極層103及び第2の電極層104の間に電圧が印加されていないときは、黒色表示が行われる。このとき液晶分子110は偏光板(偏光子)の軸(透過軸または吸収軸)に沿って横に並んだ状態となる。すると、バックライトから、第1の基板101を透過し液晶層に入射した光は、第2の基板102を通過することができず黒色表示となる。
【0039】
このとき、カラーフィルタを設けることにより、フルカラー表示を行うことができる。カラーフィルタは、第1の基板101側、又は第2の基板102側のいずれかに設けることができる。
【0040】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0041】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0042】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0043】
図1及び図2において、第1の基板800、第2の基板805としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる、プラスチック基板の他、高温では可塑化されてプラスチックと同じような成型加工が出来、常温ではゴムのような弾性体の性質を示す高分子材料エラストマー等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0044】
図1には図示しないが、第1の基板800、第2の基板805には画素電極層又は対向電極層となる電極層がそれぞれ形成されている。画素電極層又は対向電極層となる電極層は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素(SiO2)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、またはタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属、又はその合金、若しくはその金属窒化物から一つ、又は複数種を用いて形成することができる。
【0045】
透過型液晶表示装置とする場合は、画素電極層及び対向電極層に透光性の導電性材料を用いればよい。一方、反射型液晶表示装置とする場合は、反射性を有する層を別途設けても良いし、画素電極層に反射性を有する導電性材料を、対向電極層に透光性の導電性材料をそれぞれ用いて形成し、画素電極層で反射した光を対向電極層より透過し、視認側に射出する構成とすればよい。
【0046】
透過型液晶表示装置の場合、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いればよい。また、反射型液晶表示装置の場合は、視認側の基板に偏光板を設け、透過型液晶表示装置の場合、液晶層を挟んで偏光板を第1の基板及び第2の基板側にも設ける構成とする。偏光板の他、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどを設けてもよい。
【0047】
本実施の形態では、第1の基板800にシール材を形成し、液晶を滴下し、第2の基板を貼り合わせる例を示した。基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、第1の基板800、及び第2の基板805は、どちらが素子基板でどちらが対向基板であってもよい。
【0048】
画素電極層、対向電極層、絶縁層などはスパッタリング法、真空蒸着法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)により薄膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、選択的にパターンを形成できる液滴吐出法や、パターンが転写または描写できる印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、その他スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、刷毛塗り法、スプレー法、フローコート法などを用いることもできる。また、インプリント技術、ナノメートルレベルの立体構造物を転写技術で形成できるナノインプリント技術を用いることもができる。インプリント、ナノインプリントは、フォトリソグラフィー工程を用いずに微細な立体構造物を形成できる技術である。
【0049】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有する液晶表示装置を作製することができる。さらに、高速応答が可能なスメクティック液晶を用いて、表示欠陥も低減される液晶層を形成することができる。従って、本発明により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0050】
(実施の形態2)
本実施の形態では、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。より具体的には、液晶表示装置の構成がパッシブマトリクス型の場合に関して示す。
【0051】
本発明を適用した本実施の形態のパッシブマトリクス型の液晶表示装置を示す。液晶表示装置の上面図を図5(A)に、図5(A)における線A−Bの断面図を図5(B)に示す。また、図5(A)には、配向膜として機能する絶縁層1704、着色層、対向基板である基板1710、偏光板1714などは省略され図示されていないが、図5(B)で示すようにそれぞれ設けられている。
【0052】
図5において、第1の方向に延びた画素電極層1701a、1701b、1701c、配向膜として機能する絶縁層1712が設けられた基板1700と、配向膜として機能する絶縁層1704、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた対向電極層1705a、1705b、1705c、カラーフィルタとして機能する着色層1706、偏光板1714が設けられた基板1710とが液晶層1703を挟持して対向しており、表示素子1713を有している(図5(A)(B)参照。)。配向膜はラビング処理などによって、膜表面が配向している絶縁層を指す。
【0053】
液晶層1703を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(基板1700又は基板1710)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜として機能する絶縁層(絶縁層1712、又は1704)上に、絶縁層のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。
【0054】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(基板1700及び基板1710)を貼り合わせると、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層1712、又は絶縁層1704)上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層1712、又は絶縁層1704)のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターンを充填し、液晶層1703を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層1703を形成することができる。
【0055】
基板1700及び基板1710を、液晶層1703を充填した状態で貼り合わせた後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0056】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0057】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0058】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0059】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0060】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0061】
基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板である基板1700、及び対向基板である基板1710どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0062】
基板1700、1710としては、ガラス基板や石英基板等を用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなる、プラスチック基板の他、高温では可塑化されてプラスチックと同じような成型加工が出来、常温ではゴムのような弾性体の性質を示す高分子材料エラストマー等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、無機蒸着フィルムを用いることもできる。
【0063】
画素電極層1701a、1701b、1701c、対向電極層1705は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素(SiO2)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、またはタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物から選ぶことができる。
【0064】
透過型液晶表示装置とする場合は、画素電極層1701a、1701b、1701c及び対向電極層1705に透光性の導電性材料を用いればよい。一方、反射型液晶表示装置とする場合は、反射性を有する層を別途設けても良いし、画素電極層1701a、1701b、1701cに反射性を有する導電性材料を、対向電極層1705に透光性の導電性材料をそれぞれ用いて形成し、画素電極層1701a、1701b、1701cで反射した光を対向電極層1705より透過し、視認側に射出する構成とすればよい。
【0065】
透過型液晶表示装置の場合、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いればよい。また透過型液晶表示装置の場合、偏光板を基板1700の外側にも設ける構成とする。
【0066】
また、液滴吐出法により、導電層、絶縁層などを、組成物を吐出し形成した後、その平坦性を高めるために表面を圧力によってプレスして平坦化してもよい。プレスの方法としては、ローラー状のものを表面に走査することによって、凹凸を軽減する、平坦な板状な物で表面をプレスするなどがある。プレスする時に、加熱工程を行っても良い。また溶剤等によって表面を軟化、または融解させエアナイフで表面の凹凸部を除去しても良い。また、CMP法を用いて研磨しても良い。この工程は、液滴吐出法によって凹凸が生じる場合に、その表面を平坦化する場合適用することができる。
【0067】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0068】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0069】
(実施の形態3)
本実施の形態では、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。本実施の形態では、上記実施の形態2とは異なる構成を有する液晶表示装置について説明する。具体的には、液晶表示装置の構成がアクティブマトリクス型の場合に関して示す。
【0070】
液晶表示装置の上面図を図6(A)に、図6(A)における線E−Fの断面図を図6(B)に示す。また、図6(A)には、液晶層、及び対向基板側に設けられる配向膜、対向電極層、着色層などは省略され図示されていないが、図6(B)で示すようにそれぞれ設けられている。
【0071】
下地膜として絶縁層523が設けられた基板520上に、第1の方向に延びた第1の配線と、第1の方向と垂直な第2の方向に延びた第2の配線とがマトリクス状に設けられている。また、第1の配線はトランジスタ521のソース電極又はドレイン電極に接続されており、第2の配線はトランジスタ521のゲート電極に接続されている。さらに、第1の配線と接続されていないトランジスタ521のソース電極またはドレイン電極である配線層525bに、画素電極層531が接続されている。
【0072】
逆スタガ型薄膜トランジスタであるトランジスタ521、絶縁層557、絶縁層527、画素電極層531、配向膜として機能する絶縁層561が設けられた基板520と、配向膜として機能する絶縁層563、対向電極層564、カラーフィルタとして機能する着色層565、偏光板(偏光子を有する層、単に偏光子ともいう)556が設けられた基板568とが液晶層562を挟持して対向している。
【0073】
液晶層562を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(基板520又は基板568)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜として機能する絶縁層(絶縁層561、又は絶縁層563)上に、絶縁層のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。
【0074】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(基板520及び基板568)を貼り合わせると、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層561、又は絶縁層563)上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層557、又は絶縁層563)のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターンを充填し、液晶層562を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層562を形成することができる。
【0075】
基板520及び基板568を、液晶層562を充填した状態で貼り合わせ後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0076】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0077】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0078】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0079】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0080】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0081】
基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板である基板520、及び対向基板である基板568どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0082】
本実施の形態における図6では、トランジスタ521はチャネルエッチ型逆スタガトランジスタの例を示す。図6において、トランジスタ521は、ゲート電極層502、ゲート絶縁層526、半導体層504、一導電型を有する半導体層503a、503b、ソース電極層又はドレイン電極層である配線層525a、525bを含む。
【0083】
図7は、マルチゲート構造のトランジスタを用いる例である。図7において、マルチゲート構造のトランジスタ551及び画素電極層531、配向膜として機能する絶縁層561が設けられた基板520と、配向膜として機能する絶縁層563、対向電極層564、カラーフィルタとして機能する着色層565、偏光板(偏光子を有する層、単に偏光子ともいう)556が設けられた基板568とが液晶層562を挟持して対向している。
【0084】
図7において、偏光板556は対向基板である基板568の外側に設けられている。偏光板、カラーフィルタなどは基板内に設けられても良いし、基板外側に設けられてもよい。図7の液晶表示装置では、基板568外側に偏光板556、基板568内側に着色層565、対向電極層564という順に設ける例を示すが、偏光板と着色層の積層構造も図7に限定されず、偏光板及び着色層の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、図7では反射型液晶表示装置とするので偏光板は視認側である対向基板側に一枚設けるが、透過型液晶表示装置であれば、液晶層を挟むように素子基板及び対向基板両方に偏光板を設ける構成とする。また、偏光板と配向膜との間に位相差板などを設けても良く、もっとも視認側に近い面に反射防止膜などの光学フィルムを設けることもできる。
【0085】
トランジスタ551はマルチゲート型のチャネルエッチ型逆スタガトランジスタの例を示す。図7において、トランジスタ551は、ゲート電極層552a、552b、ゲート絶縁層558、半導体層554、一導電型を有する半導体層553a、553b、553c、ソース電極層又はドレイン電極層である配線層555a、555b、555cを含む。トランジスタ551上には絶縁層557が設けられている。
【0086】
半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質半導体(以下「アモルファス半導体:AS」ともいう。)、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、また単結晶半導体などを用いることができる。
【0087】
非晶質半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。また、このような薄膜プロセスに換えて、絶縁表面に単結晶半導体層を設けたSOI基板を用いても良い。SOI基板は、SIMOX(Separation by IMplanted Oxygen)法や、Smart−Cut法を用いて形成することができる。SIMOX法は、単結晶シリコン基板に酸素イオンを注入し、所定の深さに酸素含有層を形成した後、熱処理を行い、表面から一定の深さで埋込絶縁層を形成し、埋込絶縁層の上に単結晶シリコン層を形成する方法である。また、Smart−Cut法は、酸化された単結晶シリコン基板に水素イオン注入を行い、所望の深さに相当する所に水素含有層を形成し、他の支持基板(表面に貼り合わせ用の酸化シリコン膜を有する単結晶シリコン基板など)と貼り合わせる、加熱処理を行うことにより水素含有層にて単結晶シリコン基板を分断し、支持基板上に酸化シリコン膜と単結晶シリコン層との積層を形成する方法である。
【0088】
半導体膜に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体層の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質半導体層にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質半導体層の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質半導体層にレーザ光を照射すると非晶質半導体層が破壊されてしまうからである。結晶化のための加熱処理は、加熱炉、レーザ照射、若しくはランプから発する光の照射(ランプアニールともいう)などを用いることができる。加熱方法としてGRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)法、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)法等のRTA法がある。GRTAとは高温のガスを用いて加熱処理を行う方法であり、LRTAとはランプ光により加熱処理を行う方法である。
【0089】
また、非晶質半導体層を結晶化し、結晶性半導体層を形成する結晶化工程で、非晶質半導体層に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
【0090】
非晶質半導体膜への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面のぬれ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
【0091】
結晶化を促進する元素を結晶性半導体層から除去、又は軽減するため、結晶性半導体層に接して、不純物元素を含む半導体層を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体層に、希ガス元素を含む半導体層を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体層中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体層中に移動し、結晶性半導体層中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体層を除去する。
【0092】
レーザと、半導体膜とを相対的に走査することにより、レーザ照射を行うことができる。またレーザ照射において、ビームを精度よく重ね合わせたり、レーザ照射開始位置やレーザ照射終了位置を制御するため、マーカーを形成することもできる。マーカーは非晶質半導体膜と同時に、基板上へ形成すればよい。
【0093】
レーザ照射を用いる場合、連続発振型のレーザビーム(CW(CW:continuous−wave)レーザビーム)やパルス発振型のレーザビーム(パルスレーザビーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザビームは、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザビームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザビームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このレーザは、CWで射出することも、パルス発振で射出することも可能である。CWで射出する場合は、レーザのパワー密度が0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
【0094】
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、Arイオンレーザ、またはTi:サファイアレーザは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザビームを発振させると、半導体膜がレーザによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
【0095】
媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
【0096】
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上ができうる。
【0097】
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザビームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザビームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。またさらにレーザは、半導体膜に対して入射角θ(0<θ<90度)を持たせて照射させるとよい。レーザの干渉を防止することができるからである。
【0098】
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの均一なアニールが必要な場合は、スリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
【0099】
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜をアニールし、この半導体膜を用いて液晶表示装置を作製すると、その液晶表示装置の特性は、良好かつ均一である。
【0100】
また、希ガスや窒素などの不活性ガス雰囲気中でレーザ光を照射するようにしても良い。これにより、レーザ光の照射による半導体表面の荒れを抑えることができ、界面準位密度のばらつきによって生じるしきい値のばらつきを抑えることができる。
【0101】
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
【0102】
ゲート電極層は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法等の手法により形成することができる。ゲート電極層はタンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成すればよい。また、ゲート電極層としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、AgPdCu合金を用いてもよい。また、ゲート電極層は単層でも積層でもよい。
【0103】
本実施の形態ではゲート電極層をテーパー形状を有する様に形成するが、本発明はそれに限定されず、ゲート電極層を積層構造にして、一層のみがテーパー形状を有し、他方は異方性エッチングによって垂直な側面を有していてもよい。テーパー角度も積層するゲート電極層間で異なっていても良いし、同一でもよい。テーパー形状を有することによって、その上に積層する膜の被覆性が向上し、欠陥が軽減されるので信頼性が向上する。
【0104】
ソース電極層又はドレイン電極層は、スパッタリング法、PVD法、CVD法、蒸着法等により導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチングして形成することができる。また、液滴吐出法、印刷法、ディスペンサ法、電解メッキ法等により、所定の場所に選択的に導電層を形成することができる。更にはリフロー法、ダマシン法を用いても良い。ソース電極層又はドレイン電極層の材料は金属などの導電性材料を用いることができ、具体的にはAg、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、W、Al、Ta、Mo、Cd、Zn、Fe、Ti、Zr、Ba、Si、Geなどの材料、又は上記材料の合金、若しくはその窒化物を用いて形成する。また、これらの積層構造としても良い。
【0105】
絶縁層523、557、527としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウムその他の無機絶縁性材料、又はアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いる。また、ベンゾシクロブテン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。作製法としては、プラズマCVD法や熱CVD法などの気相成長法やスパッタリング法を用いることができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)を用いることもできる。塗布法で得られる膜やSOG膜なども用いることができる。
【0106】
本実施の形態に限定されず、薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0107】
なお、本実施の形態で示した薄膜トランジスタの作製方法に限らず、トップゲート型(例えば順スタガ型、コプラナ型)、ボトムゲート型(例えば、逆コプラナ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
【0108】
トランジスタはスイッチング素子として機能し得るものであれば、どのような構成で設けてもよい。半導体層も非晶質半導体、結晶性半導体、多結晶半導体、微結晶半導体など様々な半導体を用いることができ、有機化合物を用いて有機トランジスタを形成してもよい。
【0109】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0110】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0111】
(実施の形態4)
本実施の形態では、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。具体的には、本発明を用いた結晶性半導体膜を有する薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置について説明する。
【0112】
図12(A)は本発明に係る表示パネルの構成を示す上面図であり、絶縁表面を有する基板2700上に画素2702をマトリクス状に配列させた画素部2701、走査線側入力端子2703、信号線側入力端子2704が形成されている。画素数は種々の規格に従って設ければ良く、XGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1024×768×3(RGB)、UXGAであってRGBを用いたフルカラー表示であれば1600×1200×3(RGB)、フルスペックハイビジョンに対応させ、RGBを用いたフルカラー表示であれば1920×1080×3(RGB)とすれば良い。
【0113】
画素2702は、走査線側入力端子2703から延在する走査線と、信号線側入力端子2704から延在する信号線とが交差することで、マトリクス状に配設される。画素部2701の画素それぞれには、スイッチング素子とそれに接続する画素電極層が備えられている。スイッチング素子の代表的な一例はTFTであり、TFTのゲート電極層側が走査線と、ソース若しくはドレイン側が信号線と接続されることにより、個々の画素を外部から入力する信号によって独立して制御可能としている。
【0114】
図12(A)は、走査線及び信号線へ入力する信号を、外付けの駆動回路により制御する表示パネルの構成を示しているが、図13(A)に示すように、COG(Chip on Glass)方式によりドライバIC2751を基板2700上に実装しても良い。また他の実装形態として、図13(B)に示すようなTAB(Tape Automated Bonding)方式を用いてもよい。ドライバICは単結晶半導体基板に形成されたものでも良いし、ガラス基板上にTFTで回路を形成したものであっても良い。図13において、ドライバIC2751は、FPC(Flexible Printed Circuit)2750と接続している。
【0115】
また、画素に設けるTFTを結晶性を有する半導体で形成する場合には、図12(B)に示すように走査線側駆動回路3702を基板3700上に形成することもできる。図12(B)において、画素部3701は、信号線側入力端子3704と接続した図12(A)と同様に外付けの駆動回路により制御する。画素に設けるTFTを移動度の高い、多結晶(微結晶)半導体、単結晶半導体などで形成する場合は、図12(C)に示すように、画素部4701、走査線駆動回路4702と、信号線駆動回路4704を基板4700上に一体形成することもできる。
【0116】
図8(A)は、本発明を用いた本実施の形態の液晶表示装置の上面図であり、図8(B)は図8(A)の線C−Dにおける断面図である。
【0117】
図8で示すように、画素領域606、走査線駆動回路である駆動回路領域608a、走査線駆動領域である駆動回路領域608bが、シール材692によって、素子基板である基板600と対向基板である基板695との間に封止され、基板600上にICドライバによって形成された信号線駆動回路である駆動回路領域607が設けられている。画素領域606にはトランジスタ622及び容量素子623が設けられ、駆動回路領域608bにはトランジスタ620及びトランジスタ621を有する駆動回路が設けられている。
【0118】
基板600及び基板695は、透光性を有する絶縁性基板(以下、透光性基板とも記す)とする。特に可視光の波長領域において透光性を有する。例えば、バリウムホウケイ酸ガラスや、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板等を用いることができる。また、ポリエチレン−テレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)に代表されるプラスチックや、アクリル等の可撓性を有する合成樹脂からなる基板を適用することができる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム等)などを用いることもできる。また一般的に合成樹脂からなる基板は、他の基板と比較して耐熱温度が低いことが懸念されるが、耐熱性の高い基板を用いた作製工程の後、転置することによっても採用することが可能となる。
【0119】
画素領域606には、下地膜604a、下地膜604bを介してスイッチング素子となるトランジスタ622が設けられている。
【0120】
下地膜604a、604bの材料は、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体、又はポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いてもよい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料を用いてもよい。また、ベンゾシクロブテン、パリレン、フッ化アリーレンエーテル、ポリイミドなどの有機材料、水溶性ホモポリマーと水溶性共重合体を含む組成物材料等を用いてもよい。また、オキサゾール樹脂を用いることもでき、例えば光硬化型ポリベンゾオキサゾールなどを用いることができる。
【0121】
下地膜604a、604bは、スパッタリング法、PVD法(Physical Vapor Deposition)、減圧CVD法(LPCVD法)、またはプラズマCVD法等のCVD法(Chemical Vapor Deposition)などを用いて形成することができる。また、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法などを用いることもできる。
【0122】
本実施の形態では、トランジスタ622にマルチゲート型薄膜トランジスタ(TFT)を用い、ソース領域及びドレイン領域として機能する不純物領域を有する半導体層、ゲート絶縁層、2層の積層構造であるゲート電極層、ソース電極層及びドレイン電極層を有し、ソース電極層又はドレイン電極層は、半導体層の不純物領域と画素電極層630に接して電気的に接続している。薄膜トランジスタは、多くの方法で作製することができる。例えば、活性層として、結晶性半導体膜を適用する。結晶性半導体膜上には、ゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられる。該ゲート電極を用いて該活性層へ不純物元素を添加することができる。このようにゲート電極を用いた不純物元素の添加により、不純物元素添加のためのマスクを形成する必要はない。ゲート電極は、単層構造、又は積層構造を有することができる。不純物領域は、その濃度を制御することにより高濃度不純物領域及び低濃度不純物領域とすることができる。このように低濃度不純物領域を有する薄膜トランジスタを、LDD(Light doped drain)構造と呼ぶ。また低濃度不純物領域は、ゲート電極と重なるように形成することができ、このような薄膜トランジスタを、GOLD(Gate Overlaped LDD)構造と呼ぶ。また薄膜トランジスタの極性は、不純物領域にリン(P)等を用いることによりn型とする。p型とする場合は、ボロン(B)等を添加すればよい。その後、ゲート電極等を覆う絶縁膜611及び絶縁膜612を形成する。絶縁膜611(及び絶縁膜612)に混入された水素元素により、結晶性半導体膜のダングリングボンドを終端することができる。
【0123】
さらに平坦性を高めるため、層間絶縁膜として絶縁膜615、絶縁膜616を形成してもよい。絶縁膜615、絶縁膜616には、有機材料、又は無機材料、若しくはそれらの積層構造を用いることができる。例えば酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒素含有量が酸素含有量よりも多い窒化酸化アルミニウムまたは酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、ポリシラザン、窒素含有炭素(CN)、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ、その他の無機絶縁性材料を含む物質から選ばれた材料で形成することができる。また、有機絶縁性材料を用いてもよく、有機材料としては、感光性、非感光性どちらでも良く、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン樹脂などを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0124】
また結晶性半導体膜を用いることにより、画素領域と駆動回路領域を同一基板上に一体形成することができる。その場合、画素部のトランジスタと、駆動回路領域608bのトランジスタとは同時に形成される。駆動回路領域608bに用いるトランジスタは、CMOS回路を構成する。CMOS回路を構成する薄膜トランジスタは、GOLD構造であるが、トランジスタ622のようなLDD構造を用いることもできる。
【0125】
本実施の形態に限定されず、画素領域の薄膜トランジスタはチャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造でも、二つ形成されるダブルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。また、周辺駆動回路領域の薄膜トランジスタも、シングルゲート構造、ダブルゲート構造もしくはトリプルゲート構造であっても良い。
【0126】
なお、本実施の形態で示した薄膜トランジスタの作製方法に限らず、トップゲート型(例えば順スタガ型)、ボトムゲート型(例えば、逆スタガ型)、あるいはチャネル領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極層を有する、デュアルゲート型やその他の構造においても適用できる。
【0127】
次に、画素電極層630及び絶縁膜616を覆うように、印刷法や液滴吐出法により、配向膜として機能する絶縁層631を形成する。なお、絶縁層631は、スクリーン印刷法やオフセット印刷法を用いれば、選択的に形成することができる。その後、ラビング処理を行う。配向膜として機能する絶縁層633も配向膜として機能する絶縁層631と同様である。続いて、シール材692を液滴吐出法により画素を形成した周辺の領域に形成する。
【0128】
液晶の滴下は素子基板である基板600に行ってもよいし、カラーフィルタとして機能する着色層635が設けられた対向基板である基板695にシール材692を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板である基板600、及び対向基板である基板695どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0129】
シール材692としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0130】
液晶層632を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(基板600又は基板695)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜として機能する絶縁層(絶縁層631、又は絶縁層633)上に、絶縁層のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。次に、素子基板である基板600、及び配向膜として機能する絶縁層633、対向電極層634、カラーフィルタとして機能する着色層635が設けられた対向基板である基板695とをスペーサ637を介して貼り合わせる。
【0131】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(基板600及び基板695)を貼り合わせると、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層631、又は絶縁層633)上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層631、又は絶縁層633)のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターン内を充填し、液晶層632を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層632を形成することができる。
【0132】
基板600及び基板695を、液晶層632を充填した状態で貼り合わせた後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0133】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0134】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0135】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0136】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0137】
その後、対向基板である基板695の外側に偏光板641を設け、基板600の素子を有する面と反対側にも偏光板643を設ける。偏光板は、接着層によって基板に設けることができる。また偏光板と、基板との間に位相差板を設けてもよい。シール材にはフィラーが混入されていても良く、さらに対向基板である基板695には、遮蔽膜(ブラックマトリクス)などが形成されていても良い。なお、カラーフィルタ等は、液晶表示装置をフルカラー表示とする場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を呈する材料から形成すればよく、モノカラー表示とする場合、着色層を無くす、もしくは少なくとも一つの色を呈する材料から形成すればよい。
【0138】
なお、バックライト装置にRGBの発光ダイオード(LED)等を配置し、時分割によりカラー表示する継時加法混色法(フィールドシーケンシャル法)を採用するときには、カラーフィルタを設けない場合がある。ブラックマトリクスは、トランジスタやCMOS回路の配線による外光の反射を低減するため、トランジスタやCMOS回路と重なるように設けるとよい。なお、ブラックマトリクスは、容量素子に重なるように形成してもよい。容量素子を構成する金属膜による反射を防止することができるからである。
【0139】
スペーサは数μmの粒子を散布して設ける方法でも良いが、本実施の形態では基板全面に樹脂膜を形成した後これをエッチング加工して形成する方法を採用する。このようなスペーサの材料を、スピナーで塗布した後、露光と現像処理によって所定のパターンに形成する。さらにクリーンオーブンなどで150〜200℃で加熱して硬化させる。このようにして作製されるスペーサは露光と現像処理の条件によって形状を異ならせることができるが、好ましくは、スペーサの形状は柱状で頂部が平坦な形状となるようにすると、対向側の基板を合わせたときに液晶表示装置としての機械的な強度を確保することができる。形状は円錐状、角錐状などを用いることができ、特別な限定はない。
【0140】
続いて、画素領域と電気的に接続されている端子電極層678に、異方性導電体層696を介して、接続用の配線基板であるFPC694を設ける。FPC694は、外部からの信号や電位を伝達する役目を担う。上記工程を経て、表示機能を有する液晶表示装置を作製することができる。
【0141】
なおトランジスタが有する配線、ゲート電極層、画素電極層630、対向電極層634は、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに酸化珪素(SiO2)を混合した導電材料、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物から一種、又は複数種を用いて形成することができる。
【0142】
透過型液晶表示装置とする場合は、画素電極層630及び対向電極層634に透光性の導電性材料を用いればよい。一方、反射型液晶表示装置とする場合は、反射性を有する層を別途設けても良いし、画素電極層630に反射性を有する導電性材料を、対向電極層634に透光性の導電性材料をそれぞれ用いて形成し、画素電極層630で反射した光を対向電極層634より透過し、視認側に射出する構成とすればよい。
【0143】
ソース電極層又はドレイン電極層と画素電極層が直接接して電気的な接続を行うのではなく、配線層を介して接続してもよい。また、ソース電極層又はドレイン電極層の上に画素電極層が一部積層するように接続してもよいし、先に画素電極層を形成し、その画素電極層上に接するようにソース電極層又はドレイン電極層を形成する構成でもよい。
【0144】
本実施の形態では、上記のような回路で形成するが、本発明はこれに限定されず、周辺駆動回路としてICチップを前述したCOG方式やTAB方式によって実装したものでもよい。また、ゲート線駆動回路、ソース線駆動回路は複数であっても単数であっても良い。
【0145】
また、本発明の液晶表示装置において、画面表示の駆動方法は特に限定されず、例えば、点順次駆動方法や線順次駆動方法や面順次駆動方法などを用いればよい。代表的には、線順次駆動方法とし、時分割階調駆動方法や面積階調駆動方法を適宜用いればよい。また、液晶表示装置のソース線に入力する映像信号は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよく、適宜、映像信号に合わせて駆動回路などを設計すればよい。
【0146】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0147】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0148】
(実施の形態5)
本実施の形態では液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。具体的には、本発明を用いた非晶質半導体膜を有する薄膜トランジスタを用いた液晶表示装置について説明する。
【0149】
図9に示す液晶表示装置は、素子基板である基板200上に、画素領域に逆スタガ型薄膜トランジスタであるトランジスタ220、画素電極層201、絶縁膜202、配向膜として機能する絶縁層203、液晶層204、スペーサ281、配向膜として機能する絶縁層205、対向電極層206、カラーフィルタ208、ブラックマトリクス207、対向基板である基板210、偏光板231、偏光板233、封止領域にシール材282、端子電極層287、異方性導電層285、FPC286が設けられている。
【0150】
液晶層204を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(基板200又は基板210)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜として機能する絶縁層(絶縁層203、又は絶縁層205)上に、絶縁層のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。
【0151】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(基板200及び基板210)を貼り合わせると、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層203、又は絶縁層205)上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜として機能する絶縁層(絶縁層203、又は絶縁層205)のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターン内を充填し、液晶層204を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層204を形成することができる。
【0152】
基板200及び基板210を、液晶層204を充填した状態で貼り合わせた後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0153】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0154】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0155】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0156】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0157】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0158】
基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板である基板200、及び基板210どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0159】
本実施の形態で作製される逆スタガ型薄膜トランジスタであるトランジスタ220のゲート電極層、ソース電極層、及びドレイン電極層は液滴吐出法によって形成されている。液滴吐出法は、液状の導電性材料を有する組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化し、導電層や電極層を形成する方法である。絶縁性材料を含む組成物を吐出し、乾燥や焼成によって固化すれば絶縁層も形成することができる。選択的に導電層や絶縁層などの液晶表示装置の構成物を形成することができるので、工程が簡略化し、材料のロスが防げるので、低コストで生産性良く液晶表示装置を作製することができる。
【0160】
本実施の形態では、半導体層として非晶質半導体を用いており、一導電型を有する半導体層は必要に応じて形成すればよい。本実施の形態では、半導体層と一導電型を有する半導体層として非晶質n型半導体層を積層する。またn型半導体層を形成し、nチャネル型薄膜トランジスタのNMOS構造、p型半導体層を形成したpチャネル型薄膜トランジスタのPMOS構造、nチャネル型薄膜トランジスタとpチャネル型薄膜トランジスタとのCMOS構造を作製することができる。本実施の形態では、トランジスタ220はnチャネル型の逆スタガ型薄膜トランジスタとなっている。また、半導体層のチャネル領域上に保護層を設けたチャネル保護型の逆スタガ型薄膜トランジスタを用いることもできる。
【0161】
また、導電性を付与するために、導電性を付与する元素をドーピングによって添加し、不純物領域を半導体層に形成することで、nチャネル型薄膜トランジスタ、Pチャネル型薄膜トランジスタを形成することもできる。n型半導体層を形成するかわりに、PH3ガスによるプラズマ処理を行うことによって、半導体層に導電性を付与してもよい。
【0162】
また、半導体として、有機半導体材料を用い、印刷法、スプレー法、スピン塗布法、液滴吐出法、ディスペンサ法などで形成することができる。この場合、上記エッチング工程が必要ないため、工程数を削減することが可能である。有機半導体としては、ペンタセン等の低分子材料、高分子材料などが用いられ、有機色素、導電性高分子材料などの材料も用いることができる。本発明に用いる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的には、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体の可溶性の高分子材料を用いることができる。
【0163】
次いで、バックライトユニット352の構成について説明する。バックライトユニット352は、光を発する光源331として冷陰極管、熱陰極管、発光ダイオード、無機EL、有機ELが、光を効率よく導光板335に導くためのランプリフレクタ332、光が全反射しながら液晶表示装置全面に光を導くための導光板335、明度のムラを低減するための拡散板336、導光板335の下に漏れた光を再利用するための反射板334を有するように構成されている。
【0164】
バックライトユニット352には、光源331の輝度を調整するための制御回路が接続されている。制御回路からの信号供給により、光源331の輝度を制御することができる。
【0165】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0166】
本実施の形態は、上記の実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0167】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明を用いた液晶表示装置が有する各回路等の動作について説明する。
【0168】
図14には、液晶表示装置の画素部705及び駆動回路部708のシステムブロック図を示す。
【0169】
画素部705は、複数の画素を有し、各画素となる信号線712と、走査線710との交差領域には、スイッチング素子が設けられている。スイッチング素子により液晶分子の傾きを制御するための電圧の印加を制御することができる。このように各交差領域にスイッチング素子が設けられた構造をアクティブマトリクス型と呼ぶ。本発明の画素部は、このようなアクティブマトリクス型に限定されず、パッシブマトリクス型の構成を有してもよい。パッシブマトリクス型は、各画素にスイッチング素子がないため、工程が簡便である。
【0170】
駆動回路部708は、制御回路702、信号線駆動回路703、走査線駆動回路704を有する。制御回路702は、画素部705の表示内容に応じて、階調制御を行う機能を有する。そのため、制御回路702は、生成された信号を信号線駆動回路703、及び走査線駆動回路704に入力する。そして、走査線駆動回路704に基づき、走査線710を介してスイッチング素子が選択されると、選択された交差領域の画素電極に電圧が印加される。この電圧の値は、信号線駆動回路703から信号線を介して入力される信号に基づき決定される。
【0171】
さらに、制御回路702では、照明手段706へ供給する電力を制御する信号が生成され、該信号は、照明手段706の電源707に入力される。照明手段には、上記実施の形態で示したバックライトユニットを用いることができる。なお照明手段はバックライト以外にフロントライトもある。フロントライトとは、画素部の前面側に取りつけ、全体を照らす発光体および導光体で構成された板状のライトユニットである。このような照明手段により、低消費電力で、均等に画素部を照らすことができる。
【0172】
図14(B)に示すように走査線駆動回路704は、シフトレジスタ741、レベルシフタ742、バッファ743として機能する回路を有する。シフトレジスタ741にはゲートスタートパルス(GSP)、ゲートクロック信号(GCK)等の信号が入力される。なお、本発明の走査線駆動回路は、図14(B)に示す構成に限定されない。
【0173】
また図14(C)に示すように信号線駆動回路703は、シフトレジスタ731、第1のラッチ732、第2のラッチ733、レベルシフタ734、バッファ735として機能する回路を有する。バッファ735として機能する回路とは、弱い信号を増幅させる機能を有する回路であり、オペアンプ等を有する。シフトレジスタ731には、スタートパルス(SSP)、クロック信号(SCK)等の信号が、第1のラッチ732にはビデオ信号等のデータ(DATA)が入力される。第2のラッチ733にはラッチ(LAT)信号を一時保持することができ、一斉に画素部705へ入力させる。これを線順次駆動と呼ぶ。そのため、線順次駆動ではなく、点順次駆動を行う画素であれば、第2のラッチは不要とすることができる。このように、本発明の信号線駆動回路は図14(C)に示す構成に限定されない。
【0174】
このような信号線駆動回路703、走査線駆動回路704、画素部705は、同一基板上に設けられた半導体素子によって形成することができる。半導体素子は、ガラス基板に設けられた薄膜トランジスタを用いて形成することができる。この場合、半導体素子には結晶性半導体膜を適用するとよい(上記実施の形態4参照)。結晶性半導体膜は、電気特性、特に移動度が高いため、駆動回路部が有する回路を構成することができる。また、信号線駆動回路703や走査線駆動回路704は、IC(Integrated Circuit)チップを用いて、基板上に実装することもできる。この場合、画素部の半導体素子には非晶質半導体膜を適用することができる(上記実施の形態5参照)。
【0175】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0176】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明を用いた液晶表示装置に用いることのできる照明手段であるバックライトの構成について説明する。バックライトは光源を有するバックライトユニットとして液晶表示装置に設けられ、バックライトユニットは効率よく光を散乱させるため、光源は反射板により囲まれている。
【0177】
図11(A)に示すように、バックライトユニット352は、光源として冷陰極管401を用いることができる。また、冷陰極管401からの光を効率よく反射させるため、ランプリフレクタ332を設けることができる。冷陰極管401は、大型液晶表示装置に用いることが多い。これは冷陰極管からの輝度の強度のためである。そのため、冷陰極管を有するバックライトユニットは、パーソナルコンピュータのディスプレイに用いることができる。
【0178】
図11(B)に示すように、バックライトユニット352は、光源として発光ダイオード402を用いることができる。例えば、白色に発する発光ダイオード402を所定の間隔に配置する。また、発光ダイオード402からの光を効率よく反射させるため、ランプリフレクタ332を設けることができる。
【0179】
また図11(C)に示すように、バックライトユニット352は、光源として各色RGBの発光ダイオード403、404、405を用いることができる。各色RGBの発光ダイオード403、404、405を用いることにより、白色を発する発光ダイオード402のみと比較して、色再現性を高くすることができる。また、発光ダイオードからの光を効率よく反射させるため、ランプリフレクタ332を設けることができる。
【0180】
またさらに図11(D)に示すように、光源として各色RGBの発光ダイオード403、404、405を用いる場合、それらの数や配置を同じとする必要はない。例えば、発光強度の低い色の発光ダイオードを他の色の発光ダイオードより多く配置してもよい。
【0181】
さらに白色を発する発光ダイオード402と、各色RGBの発光ダイオード(LED)403、404、405とを組み合わせて用いてもよい。
【0182】
なおRGBの発光ダイオードを有する場合、フィールドシーケンシャルモードを適用すると、時間に応じてRGBの発光ダイオードを順次点灯させることによりカラー表示を行うことができる。
【0183】
発光ダイオードを用いると、輝度が高いため、大型液晶表示装置に適する。また、RGB各色の色純度が良いため冷陰極管と比べて色再現性に優れており、配置面積を小さくすることができるため、小型液晶表示装置に適応すると、狭額縁化を図ることができる。
【0184】
また、光源を必ずしも図11に示すバックライトユニットとして配置する必要はない。例えば、大型液晶表示装置に発光ダイオードを有するバックライトを搭載する場合、発光ダイオードは該基板の背面に配置することができる。このとき発光ダイオードは、所定の間隔を維持し、各色の発光ダイオードを順に配置させることができる。発光ダイオードの配置により、色再現性を高めることができる。
【0185】
このようなバックライトを用いた液晶表示装置を、本発明を用いて、液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有するように作製することができる。よって、より高画質及び高性能な液晶表示装置を作製することができる。特に、発光ダイオードを有するバックライトは、大型液晶表示装置に適しており、大型液晶表示装置のコントラスト比を高めることにより、暗所でも質の高い映像を提供することができる。
【0186】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至6と適宜組み合わせることができる。
【0187】
(実施の形態8)
液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一な液晶層を有し、より高い性能及び画質を付与することを目的とした液晶表示装置の一例について説明する。具体的には、本発明を用いた液晶表示モジュールについて説明する。
【0188】
本実施の形態を図10(A)及び図10(B)を用いて説明する。図10(A)、図10(B)は、本発明を適用して作製される素子基板2600を用いて液晶表示装置(液晶表示モジュール)を構成する一例を示している。
【0189】
図10(A)は液晶表示モジュールの一例であり、素子基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む画素部2603、液晶層2604、着色層2605、偏光板2606が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。素子基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609により素子基板2600と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0190】
また、図10(A)(B)の液晶表示装置では、対向基板2601の外側(視認側)に偏光板2606、内側に着色層2605という順に設ける例を示すが、偏光板2606は対向基板2601の内側(液晶側)に設けてもよく、着色層2605を対向基板の外側に設けてもよい。また、偏光板2606と着色層2605の積層構造も図10(A)に限定されず、偏光板2606及び着色層2605の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。
【0191】
液晶層2604を実施の形態1と同様に、本発明を用いてスメクティック液晶を滴下法により滴下して形成する。スメクティック液晶は、基板(素子基板2600又は対向基板2601)上に設けられたシール材のシールパターンによって囲まれた領域の配向膜上に、配向膜のラビング方向に対して平行に一列になるように複数滴下される。
【0192】
スメクティック液晶の液滴は、滴下し、一対の基板(素子基板2600及び対向基板2601)を貼り合わせると、配向膜上で、ラビング方向に対して垂直な方向に速く広がる。スメクティック液晶は層構造を有する液晶であり、層方向(液晶分子の配列により層の形成される方向)が、ラビング方向と垂直な方向となるからである。従って、配向膜のラビング方向と平行な方向に液晶を滴下することによって、液晶がシール材のシールパターン内を充填し、液晶層2604を形成することができる。よって、本発明を用いると、液晶がシール材のシールパターン内を充填するように広がっていく際に、気泡の混入や、滴下跡が生じず、気泡や滴下跡による液晶の配向乱れを防ぐことができる。従って、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層2604を形成することができる。
【0193】
素子基板2600及び対向基板2601を、液晶層2604を充填した状態で貼り合わせた後、シール材を硬化し、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理によって、液晶の配向乱れをさらに修正することができる。また、貼り合わせ工程は減圧下で行うと好ましい。
【0194】
本実施の形態で用いることのできるスメクティック液晶としては、強誘電性液晶(FLC:Ferroelectric Liquid Crystal)、反強誘電性液晶(AFLC:AntiFerroelectric Liquid Crystal)などがある。また、スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加してもよく、例えば、強誘電性液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLC(Polymer Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)などを用いることができる。
【0195】
本発明の液晶表示装置で用いることのできるモードには、双安定モードと、単安定モードがあり、双安定モードには、SS(Surface Stabilized)−FLCモード、単安定モードには、V−FLCモード、HV(Half V)−FLCモードがある。さらに、V−FLCモードには、PS−V−FLCモード、及びAFLCモードがあり、HV(Half V)−FLCモードには、FLCモード、PS−HV−FLCモードがある。
【0196】
配向膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、ポリアミドなどを用いることができる。絶縁層は、ラビング処理によって配向膜として機能させることができるが、その形成方法は限定されない。液晶を一方向に配向させられるように、配向膜として機能できる絶縁層であればよい。絶縁層の配向処理として光照射、加熱処理を行ってもよい。
【0197】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いることができる。例えば、ビスフェノールA型液状樹脂、ビスフェノールA型固形樹脂、含ブロムエポキシ樹脂、ビスフェノールF型樹脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノール型樹脂、クレゾール型樹脂、ノボラック型樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリジシルアミン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0198】
スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加したPS−FLCなどを用いる場合は、シール材として熱硬化型樹脂、又は液晶に添加した紫外線硬化樹脂の硬化する光の波長以外で硬化する紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。シール材は、光照射、加熱処理、又は両方を行って硬化を行えばよい。
【0199】
基板に薄膜トランジスタなどの半導体素子を形成した素子基板を用いる場合、液晶の滴下は素子基板に行ってもよいし、カラーフィルタやブラックマトリクスなどが設けられた対向基板にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。従って、素子基板2600、及び対向基板2601どちら側にシール材を形成し、液晶を滴下してもよい。
【0200】
図10(B)は図10(A)の液晶表示モジュールに上記FLCモードを適用した一例であり、FS−LCD(Field sequential−LCD)となっている。FS−LCDは、1フレーム期間に赤色発光と緑色発光と青色発光をそれぞれ行うものであり、時間分割を用いて画像を合成しカラー表示を行うことが可能である。また、各発光を発光ダイオードまたは冷陰極管等で行うので、カラーフィルタが不要である。よって、3原色のカラーフィルタを並べ、各色の表示領域を限定する必要がなく、どの領域でも3色全ての表示を行うことができる。一方、1フレーム期間に3色の発光を行うため、液晶の高速な応答が求められる。本発明の液晶表示装置に、FS方式を用いた上記FLCモード、AFLCモードを適用し、高性能で高画質な液晶表示装置、また液晶テレビジョン装置を完成させることができる。
【0201】
また、液晶表示モジュールの光学応答速度は、液晶表示モジュールのセルギャップを狭くすることで高速化する。また液晶材料の粘度を下げることでも高速化できる。また、印加電圧を一瞬だけ高く(または低く)するオーバードライブ法により、より高速化が可能である。
【0202】
図10(B)の液晶表示モジュールは透過型の液晶表示モジュールを示しており、光源として赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cが設けられている。光源は赤色光源2910a、緑色光源2910b、青色光源2910cのそれぞれオンオフを制御するために、制御部2912が設置されている。制御部2912によって、各色の発光は制御され、液晶に光は入射し、時間分割を用いて画像を合成し、カラー表示が行われる。
【0203】
本実施の形態により、作製工程による液晶の配向乱れを防ぎ、高精度に配向した均一なスメクティック液晶の液晶層を形成することができる。強誘電性液晶などのスメクティック液晶は、応答速度が速いため、本発明を用いて液晶層を形成することで、応答速度が速く、かつ表示欠陥も低減された液晶表示装置を作製することができる。従って、本実施の形態により、より高性能及び高画質の液晶表示装置を歩留まり良く作製することができる。
【0204】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至8と適宜組み合わせることができる。
【0205】
(実施の形態9)
本発明によって形成される液晶表示装置によって、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)を完成させることができる。図15はテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図を示している。
【0206】
表示パネルには、図12(A)で示すような構成として、図15において、画素部901のみが形成されて走査線側駆動回路903と信号線側駆動回路902とが、図13(B)のようなTAB方式により実装される場合と、図13(A)のようなCOG方式により実装される場合と、図12(B)に示すようにTFTを形成し、画素部901と走査線側駆動回路903を基板上に形成し信号線側駆動回路902を別途ドライバICとして実装する場合、また図12(C)で示すように画素部901と信号線側駆動回路902と走査線側駆動回路903を基板上に一体形成する場合などがあるが、どのような形態としても良い。
【0207】
図15において、その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ904で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路905と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路906と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路907などからなっている。コントロール回路907は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路908を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0208】
チューナ904で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路909に送られ、その出力は音声信号処理回路910を経てスピーカー913に供給される。制御回路911は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部912から受け、チューナ904や音声信号処理回路910に信号を送出する。
【0209】
表示モジュールを、図16(A)、(B)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示モジュールとして液晶表示モジュールを用いれば液晶テレビジョン装置を作製することができる。図16(A)において、表示モジュールにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカー部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、本発明によりテレビジョン装置を完成させることができる。
【0210】
筐体2001に表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン装置2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
【0211】
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示用パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003及びサブ画面2008を本発明の液晶表示装置で形成することができる。本発明を用いると、このような大型基板を用いて、多くのTFTや電子部品を用いても、信頼性の高い液晶表示装置とすることができる。
【0212】
図16(B)は例えば20〜80インチの大型の表示部を有するテレビジョン装置であり、筐体2010、表示部2011、操作部であるリモコン装置2012、スピーカー部2013等を含む。本発明は、表示部2011の作製に適用される。図16(B)のテレビジョン装置は、壁かけ型となっており、設置するスペースを広く必要としない。
【0213】
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。
【0214】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至8と適宜組み合わせることができる。
【0215】
(実施の形態10)
本発明に係る電子機器として、テレビジョン装置(単にテレビ、又はテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コンピュータ用のモニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。また、パチンコ機、スロットマシン、ピンボール機、大型ゲーム機など液晶表示装置を有するあらゆる遊技機に適用することができる。その具体例について、図17を参照して説明する。
【0216】
図17(A)に示す携帯情報端末機器は、本体9201、表示部9202等を含んでいる。表示部9202は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯情報端末機器を提供することができる。
【0217】
図17(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を含んでいる。表示部9701は本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能なデジタルビデオカメラを提供することができる。
【0218】
図17(C)に示す携帯電話機は、本体9101、表示部9102等を含んでいる。表示部9102は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯電話機を提供することができる。
【0219】
図17(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含んでいる。表示部9302は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯型のテレビジョン装置を提供することができる。またテレビジョン装置としては、携帯電話機などの携帯端末に搭載する小型のものから、持ち運びをすることができる中型のもの、また、大型のもの(例えば40インチ以上)まで、幅広いものに、本発明の液晶表示装置を適用することができる。
【0220】
図17(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含んでいる。表示部9402は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な携帯型のコンピュータを提供することができる。
【0221】
図17(F)に示すスロットマシンは、本体9501、表示部9502等を含んでいる。表示部9502は、本発明の液晶表示装置を適用することができる。その結果、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能なスロットマシンを提供することができる。
【0222】
このように、本発明の液晶表示装置により、視認性が優れた高画質な画像を表示することができる高性能な電子機器を提供することができる。
【0223】
本実施の形態は、上記の実施の形態1乃至9と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0224】
本実施例では、本発明を用いた透過型液晶表示装置の作製方法について説明する。使用したスメクティック液晶である強誘電性液晶(FLC)は、FELIX M4851/100(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)であり、配向膜として機能する絶縁層はAL1054(JSR社製)を使用した。
【0225】
対向基板にはあらかじめ、柱状スペーサ(高さ1.5μm)が形成されており、素子基板の画素電極と対向基板の対向電極間隔が1.5μmとなるように形成されている。
【0226】
まず、素子基板および対向基板それぞれを洗浄し、配向膜として機能する絶縁層(膜厚35nm)を印刷法により成膜し、仮焼成を50℃、3分間行った後に本焼成をクリーンオーブンで180℃、1時間行った。
【0227】
その後、素子基板および対向基板それぞれにラビング処理を行った。ラビング条件は、押し込み量0.2mm、ラビングロールの回転数100rpm、基板前進速度10mm/sec、ラビング回数は1回とした。なお、ラビング方向は図1と同様に平行となるパラレルラビングとした。ラビング後は洗浄機にてラビング布等の汚れを除去した。
【0228】
続いて、紫外線硬化型のシール材(ワールドロックNo.717(協立化学産業社製))を対向基板側に塗布した。このとき、シール材形状は開口部のないループ形状とした。
【0229】
次に対向基板側にFLCを滴下した。この際、FLCは室温では粘度が高く精度の良い滴下が不可能であるため、等方相以上の温度となるように、ここでは75℃で滴下を行った。また、滴下後のFLCの広がる速度はラビング方向よりもラビング方向に垂直な方向の方が速いため、ラビング方向に沿ってFLCを滴下した。なお、滴下数は4滴(9mg)で、シール材の中央部付近に滴下した。画素部を含む液晶の滴下領域(液晶の充填領域)は約4インチであった。
【0230】
また、滴下したFLCがすぐに強誘電相に転移するとFLCが基板に対して高く形成され、その後の貼り合わせ工程で素子基板と対向基板のギャップが縮まらないという問題が起きてしまう。このため、本実施例では、滴下ステージの温度を等方相以上の温度である75℃とした。これにより、滴下後のFLCの高さを低くすることができた。
【0231】
そして、素子基板と対向基板を真空中で貼り合わせた。まず、チャンバー内を100Paまで真空引きし、素子基板と対向基板のアライメントマーカーを合わせながらギャップを縮めていった。シール材が両基板に触れるところまでギャップを縮め、紫外線照射機にて局所的に紫外線を照射して両基板を仮止めし、チャンバー内を大気開放した。この時点ではFLCは画素部全体には広がっていない。
【0232】
次に、紫外線硬化型シール材を紫外線照射機で硬化した。このとき、画素部のFLCに紫外線が当たらないように遮光マスクを使用した。その後、基板を分断しクリーンオーブンにて120℃、1時間熱処理を行った。これにより、FLCは画素部全体に広がった。このときのFLCの広がり方は、ラビング方向に平行にFLCを滴下したため、画素部中央部に気泡が残らないように広がっていった。
【0233】
続いて、FPCを熱圧着することにより貼り付け、偏光板を両基板に貼り合わせることにより透過型のFLCディスプレイを作製する。
【0234】
以上より、FLCをラビング方向に平行に一列に滴下することにより、画素部に気泡の残らない、配向乱れの少ない液晶ディスプレイを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1】本発明の概念図である。
【図2】本発明の概念図である。
【図3】本発明の液晶の配向を示す模式図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の作製方法を示した図である。
【図5】本発明の液晶表示装置を示した上面図及び断面図である。
【図6】本発明の液晶表示装置を示した上面図及び断面図である。
【図7】本発明の液晶表示装置を示した断面図である。
【図8】本発明の液晶表示装置を示した上面図及び断面図である。
【図9】本発明の液晶表示装置を示した断面図である。
【図10】本発明の液晶表示モジュールを示した断面図である。
【図11】本発明の液晶表示装置に用いることのできるバックライトである。
【図12】本発明の液晶表示装置を示した上面図である。
【図13】本発明の液晶表示装置を示した上面図である。
【図14】本発明の液晶表示装置を示したブロック図である。
【図15】本発明が適用される電子機器の主要な構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の電子機器を示した図である。
【図17】本発明の電子機器を示した図である。
【図18】本発明の液晶モードを示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラビング処理が施された一対の基板の一方にシール材による枠状のシールパターンを形成し、
前記シールパターンの枠内に、前記ラビング処理の方向に対して平行な方向に、スメクティック液晶を複数回、一列に滴下し、
前記一対の基板を、前記スメクティック液晶を挟持するように、前記シール材を介して貼り合わせ、
前記シールパターンの枠内に、前記スメクティック液晶を拡充するように充填することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項2】
ラビング処理が施された一対の基板の一方にシール材による枠状のシールパターンを形成し、
前記シールパターンの枠内に、前記ラビング処理の方向に対して平行な方向に、スメクティック液晶を複数回、一部重なるように一列に滴下し、
前記一対の基板を、前記スメクティック液晶を挟持するように、前記シール材を介して貼り合わせ、
前記シールパターンの枠内に、前記スメクティック液晶を拡充するように充填することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記スメクティック液晶は強誘電性液晶、または反強誘電性液晶であることを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記一対の基板は透光性を有することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記一対の基板のうち対向基板に前記シールパターンを形成することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記一対の基板のうち素子基板に前記シールパターンを形成することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記スメクティック液晶を複数同時に滴下することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記一対の基板は減圧下で貼り合わすことを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、前記スメクティック液晶を加熱しながら滴下することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項1】
ラビング処理が施された一対の基板の一方にシール材による枠状のシールパターンを形成し、
前記シールパターンの枠内に、前記ラビング処理の方向に対して平行な方向に、スメクティック液晶を複数回、一列に滴下し、
前記一対の基板を、前記スメクティック液晶を挟持するように、前記シール材を介して貼り合わせ、
前記シールパターンの枠内に、前記スメクティック液晶を拡充するように充填することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項2】
ラビング処理が施された一対の基板の一方にシール材による枠状のシールパターンを形成し、
前記シールパターンの枠内に、前記ラビング処理の方向に対して平行な方向に、スメクティック液晶を複数回、一部重なるように一列に滴下し、
前記一対の基板を、前記スメクティック液晶を挟持するように、前記シール材を介して貼り合わせ、
前記シールパターンの枠内に、前記スメクティック液晶を拡充するように充填することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記スメクティック液晶は強誘電性液晶、または反強誘電性液晶であることを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、前記スメクティック液晶に紫外線硬化樹脂を添加することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記一対の基板は透光性を有することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記一対の基板のうち対向基板に前記シールパターンを形成することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項において、前記一対の基板のうち素子基板に前記シールパターンを形成することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、前記スメクティック液晶を複数同時に滴下することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項において、前記一対の基板は減圧下で貼り合わすことを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項において、前記スメクティック液晶を加熱しながら滴下することを特徴とする液晶表示装置の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−268923(P2008−268923A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72674(P2008−72674)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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