説明

液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置の製造システム

【課題】液晶表示装置の表示ムラを軽減させた液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置
の製造システムを提供する。
【解決手段】第一液滴吐出装置が、複数の第一格子点の各々に向けて第一液滴を吐出させ
、Y方向に隣接する第一格子点の間に第一凸部A1を有したカラーフィルタ層CFを形成
する。そして、第二液滴吐出装置が、Y方向に隣接する第一格子点の間に規定された複数
の第二格子点K2に向けて第二液滴D2を吐出させ、対向基板15の法線方向から見て、
隣接する第一凸部A1の間に第二凸部A2を有した配向膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の製造工程は、生産性の向上を図るため、各種の薄膜材料を液状体として
使用し、カラーフィルタや配向膜などの多層膜を形成させる、いわゆる液相プロセスを採
用している。インクジェット法は、液状体を微小な液滴として吐出させるため、他の液相
プロセス(例えば、スピンコート法やロールコート法など)に比べ、より高い精度の下で
薄膜を形成させることができる。
【0003】
インクジェット法は、液状体をノズルから吐出させるため、液状体の粘度を10mPa
・s以下にしなければならない。こうした低粘度の液状体は、液滴を乾燥させる際、吐出
領域の中央部と周辺部との間において、溶剤の蒸気圧に大きな差を来たす。すなわち、蒸
気圧の低い吐出領域の周辺部は、吐出領域の中央部に比べて、薄膜材料の濃度が高くなり
液状体の表面張力が高くなる。この結果、中央部に吐出された液状体が周辺部に流動し、
中央部の膜厚が周辺部の膜厚よりも薄くなってしまう。
【0004】
上記の膜厚差は、吐出ヘッドを改行走査させる場合に、さらに顕著になる。すなわち、
吐出領域の幅が吐出ヘッドの幅よりも大きい場合、吐出ヘッドが、吐出領域の上で数回に
わたり改行走査される。先行走査によって吐出された液滴は、後続走査によって吐出され
る液滴よりも早く乾燥し始めて低粘度化する。この結果、後続走査によって吐出された液
滴が、先行走査によって吐出された液滴の方に流動し、吐出ヘッドを改行させるたびに、
先行走査と後続走査との境界に膜厚の段差(スジムラ)を生じてしまう。
【0005】
特許文献1は、上記問題を解決するため、吐出ヘッドに複数のノズル列を設け、ノズル
列ごとに異なる濃度の配向膜材料を吐出させる。すなわち、吐出領域の中央部に高濃度の
配向膜材料を吐出させ、吐出領域の周辺部に低濃度の配向膜材料を吐出させる。これによ
って、配向膜材料の流動にともなう濃度分布を補償させることができ、配向膜の膜厚均一
性を向上させることができる。
【0006】
特許文献2は、微小な連続気孔を有する基板を用い、液状体に含まれる分散媒を基板の
裏面側から蒸発させてカラーフィルタを形成させる。これによって、液状体に含まれる分
散媒に対し、基板の表面側からの蒸発を抑制させることができ、基板の平面方向に対する
蒸発速度を均一にさせることができる。そのため、カラーフィルタの膜厚均一性を向上さ
せることができる。
【特許文献1】特開2006−35062号公報
【特許文献2】特開2006−75747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、異なる濃度の配向膜形成液を用いる場合、配向膜形成液の供給系の複雑
化を招き、さらには、吐出領域のサイズや形状を変更するたびに、配向膜形成液の濃度、
吐出位置、吐出量など、各種の吐出条件を最適化させなければならない。また、基板に通
気性を持たせる場合、基板の材質やサイズに大きな制約を設ける必要があり、インクジェ
ット法の適用範囲を著しく縮小させなければならない。
【0008】
これらの結果、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、インクジェット法の汎用性
を損なうために、上記のスジムラを十分に改善し難いものであった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、液晶表示装置
の表示ムラを軽減させた液晶表示装置の製造方法及び液晶表示装置の製造システムを提供
することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、基板と第一ノズルとを一方向に相対移動させ、前
記基板上で前記一方向に延びる複数の第一経路の各々に対して前記第一ノズルを走査させ
るとともに、前記第一ノズルから前記複数の第一経路の各々に向けてカラーフィルタ材料
を含む複数の第一液滴を吐出させ、前記第一経路に沿って延びる複数の第一凸部を有した
カラーフィルタ層を形成する工程と、前記基板と第二ノズルとを前記一方向に相対移動さ
せ、前記カラーフィルタ層上で前記一方向に延びる複数の第二経路の各々に対して前記第
二ノズルを走査させるとともに、前記第二ノズルから前記複数の第二経路の各々に向けて
配向膜材料を含む第二液滴を吐出させ、前記基板の法線方向から見て、隣接する前記第一
凸部の間に前記一方向に延びる第二凸部を有した配向膜を形成する工程と、を備えた。
【0010】
本発明の液晶表示装置の製造方法によれば、カラーフィルタ層が有する第一凸部と、配
向膜が有する第二凸部とが、同一方向に沿って交互に形成される。したがって、第一凸部
と第二凸部とを分散させる分だけ、基板の全体から見て、凸部に起因した表示ムラを目立
たなくさせることができる。この結果、液晶表示装置の表示ムラを低減させることができ
る。
【0011】
この液晶表示装置の製造方法は、前記第一ノズルから複数の前記第一経路の各々に向け
て前記第一液滴を吐出させ、前記基板の法線方向から見て、隣接する前記各第一経路の間
に前記第一凸部を形成し、前記基板と前記第二ノズルとを前記一方向に相対移動させ、前
記基板の法線方向から見て、隣接する前記各第一経路の間に規定された前記第二経路に対
し前記第二ノズルを走査させるとともに、前記第二ノズルから複数の前記第二経路の各々
に向けて前記第二液滴を吐出させ、前記基板の法線方向から見て、隣接する前記第二経路
の間に前記第二凸部を形成する構成であってもよい。
【0012】
この液晶表示装置の製造方法によれば、第一経路に沿って着弾する第一液滴が、隣接す
る第一経路の間に第一凸部を形成し、第二経路に沿って着弾する第二液滴が、隣接する第
二経路の間に第二凸部を形成する。そして、基板の法線方向から見て、隣接する第一経路
の間に、第二経路を設ける。したがって、第一凸部の間と対応する配向膜の領域に、より
確実に、第二凸部を形成させることができる。
【0013】
この液晶表示装置の製造方法は、前記一方向と交差する他方向に配列された複数の前記
第一ノズルと、前記基板とを、前記一方向に相対移動させ、複数の前記第一経路の各々に
対して複数の前記第一ノズルの各々を走査させるとともに、複数の前記第一ノズルの各々
から対応する前記第一経路に向けて前記第一液滴を吐出させ、前記他方向に配列された複
数の前記第二ノズルと、前記基板とを、前記一方向に相対移動させ、複数の前記第二経路
の各々に対して複数の前記第二ノズルの各々を走査させるとともに、複数の前記第二ノズ
ルの各々から対応する前記第二経路に向けて前記第二液滴を吐出させる構成であってもよ
い。
【0014】
この液晶表示装置の製造方法によれば、複数の第一経路に対し、複数の第一液滴を同時
に着弾させることができる。また、複数の第二経路に対し、複数の第二液滴を同時に着弾
させることができる。したがって、第一経路に応じた第一凸部と、第二経路に応じた第二
凸部とを、より高い精度の下で形成させることができる。
【0015】
本発明の液晶表示装置の製造システムは、カラーフィルタ材料を含む第一液滴を吐出す
る第一ノズルと、前記第一ノズルと基板とを一方向に沿って相対移動させ、前記一方向に
延びる前記基板上の複数の第一経路の各々に対して前記第一ノズルを走査させる第一走査
手段と、前記第一ノズルと前記第一走査手段とを駆動し、前記複数の第一経路の各々に向
けて前記第一液滴を吐出させ、前記第一経路に沿って延びる複数の第一凸部を有したカラ
ーフィルタ層を形成する第一制御部と、を有した第一液滴吐出装置と、配向膜材料を含む
第二液滴を吐出する第二ノズルと、前記第二ノズルと前記基板とを前記一方向に沿って相
対移動させ、前記一方向に延びる前記基板上の複数の第二経路の各々に対して前記第二ノ
ズルを走査させる第二走査手段と、前記第二ノズルと前記第二走査手段とを駆動し、前記
複数の第二経路の各々に向けて前記第二液滴を吐出させ、前記基板の法線方向から見て、
隣接する前記第一凸部の間に前記一方向に延びる第二凸部を有した配向膜を形成させる第
二制御部と、を有した第二液滴吐出装置と、を備えた。
【0016】
本発明の液晶表示装置の製造システムによれば、第一液滴吐出装置が、第一経路に沿う
第一凸部を有したカラーフィルタ層を形成する。そして、第二液滴吐出装置が、基板の法
線方向から見て、隣接する第一凸部の間に第二凸部を有した配向膜に形成する。したがっ
て、カラーフィルタ層の第一凸部と、配向膜の第二凸部とを、同一方向に沿って交互に形
成させることができる。よって、第一凸部と第二凸部とを分散させる分だけ、基板の全体
から見て、凸部に起因した表示ムラを目立たなくさせることができる。この結果、液晶表
示装置の表示ムラを低減させることができる。
【0017】
この液晶表示装置の製造システムであって、前記第一制御部は、複数の前記第一経路の
各々に向けて前記第一液滴を吐出させ、前記基板の法線方向から見て、隣接する前記各第
一経路の間に前記第一凸部を形成し、前記第二走査手段は、前記基板の法線方向から見て
、隣接する前記各第一経路の間に規定された前記第二経路に対して前記第二ノズルを走査
させ、前記第二制御部は、複数の前記第二経路の各々に向けて前記第二液滴を吐出させ、
前記基板の法線方向から見て、隣接する前記各第二経路の間に前記第二凸部を形成する。
【0018】
この液晶表示装置の製造システムによれば、第一液滴吐出装置が、隣接する第一経路の
間に第一凸部を形成し、第二液滴吐出装置が、隣接する第二経路の間に第二凸部を形成す
る。そして、第二液滴吐出装置が、基板の法線方向から見て、隣接する第一経路の間に対
して第二ノズルを走査させる。したがって、第一凸部の間と対向する配向膜の領域に、よ
り確実に、第二凸部を形成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に従って説明する。まず、液晶表示
装置10について説明する。図1は、液晶表示装置10を示す斜視図である。
図1において、液晶表示装置10は、バックライト11と液晶パネル12とを有する。
バックライト11は、LEDなどの光源13から出射された光を液晶パネル12の全面に
照射する。液晶パネル12には、相対向する透明基板(素子基板14と対向基板15)が
備えられている。素子基板14と対向基板15は、四角枠状のシール材16により貼り合
わされて、その間隙に液晶LCを封入する。
【0020】
素子基板14の下面には、偏光板や位相差板などの光学基板17が貼り合わされている
。光学基板17は、所定の方向に透過軸を有し、バックライト11からの光を液晶LCに
向けて透過可能にする。
【0021】
素子基板14の上面(以下単に、素子形成面14aという。)には、一方向に延びる複
数の走査線Lxが配列形成されている。各走査線Lxは、それぞれ素子基板14の一側に
配設される走査線駆動回路18に接続されている。各走査線Lxには、走査線駆動回路1
8からの走査信号が所定のタイミングで入力される。
【0022】
素子形成面14aには、走査線Lxと直交する方向に延びる複数のデータ線Lyが配列
形成されている。各データ線Lyは、それぞれ素子基板14の他側に配設されるデータ線
駆動回路19に接続されている。各データ線Lyには、データ線駆動回路19からの表示
データに基づくデータ信号が所定のタイミングで入力される。
【0023】
素子基板14の素子形成面14aには、走査線Lxとデータ線Lyとによって区画形成
された複数の素子領域S1が形成されている。各素子領域S1には、それぞれTFTから
なる図示しないスイッチング素子や光透過性の画素電極P1などが備えられている。
【0024】
各画素電極P1の上側には、その全体にわたりラビング処理の施された配向膜23が積
層されている。配向膜23は、配向性ポリイミドなどの配向性高分子からなる薄膜であっ
て、対応する画素電極P1の近傍で液晶LCの配向状態を規制する。
【0025】
ここで、走査線Lxの延びる方向をX方向とし、データ線Lyの延びる方向をY方向と
いう。
図2は、素子基板14側を上にした状態の対向基板15を示す斜視図である。図3(a
)及び(b)は、それぞれ対向基板15の要部を示す平面図及び断面図である。
【0026】
図2において、対向基板15の下面(図1における上面)には、偏光板24が配設され
ている。偏光板24は、所定の方向に透過軸を有して液晶LCからの光を透過可能にする
。対向基板15の上面(図1における下面:以下単に、フィルタ形成面15aという。)
には、隔壁25が形成されている。隔壁25は、液晶LCから出射される光を遮光する遮
光材料によって形成された薄膜であり、走査線Lx及びデータ線Lyと対向する格子状に
形成されている。
【0027】
隔壁25は、素子基板14の素子領域S1と対向するフィルタ形成面15aの領域に、
それぞれ隔壁25によって囲まれたフィルタ領域S2を区画形成する。複数のフィルタ領
域S2の各々には、それぞれカラーフィルタ層CFが形成されている。カラーフィルタ層
CFは、液晶LCから出射される光の中から特定波長の光を透過し、バックライト11か
らの光を有色の光に変換する。
【0028】
各カラーフィルタ層CFは、図3においてグラデーションを付した領域が厚く、グラデ
ーションを付していない領域が薄く形成されている。ここで、各カラーフィルタ層CFに
おいて、それぞれ相対的に膜厚の厚い領域を第一凸部A1という。各第一凸部A1は、そ
れぞれX方向に沿って連続する帯状に形成され、かつ、Y方向に沿って所定の間隔ごとに
形成されている。この第一凸部A1のY方向の形成ピッチを吐出ピッチPyという。
【0029】
各カラーフィルタ層CFは、それぞれカラーフィルタ材料(例えば、有機系顔料や無機
系顔料)の分散したフィルタ用インクを液滴にして各フィルタ領域S2の内部に吐出し、
複数の液滴からなる液状膜を乾燥させることにより形成される。
【0030】
隔壁25及びカラーフィルタ層CFの上側には、共通するオーバーコート層26と、対
向電極P2とが積層されている。オーバーコート層26は、液晶LCから出射される光を
透過する光透過性の樹脂によって形成された薄膜であり、対向基板15の表面全体を平坦
にする。対向電極P2は、透明電極材料(例えば、インジウム錫酸化物:ITO)からな
る光透過性の導電膜であり、走査線駆動回路18に接続されて所定の共通電位を受ける。
【0031】
対向電極P2の上側には、配向膜OFが積層されている。配向膜OFは、配向膜23と
同じく、配向性ポリイミドなどの配向性高分子からなる薄膜であって、近傍に位置する液
晶分子の配向状態を規制する。
【0032】
配向膜OFは、図3においてグラデーションを付した領域が厚く、グラデーションを付
していない領域が薄く形成されている。ここで、配向膜OFにおいて、相対的に膜厚の厚
い領域を第二凸部A2という。各第二凸部A2は、X方向に沿って連続する帯状に形成さ
れ、対向基板15の法線方向(反Z方向)から見て、第一凸部A1の間にあって、Y方向
に沿って前記吐出ピッチPyごとに形成されている。
【0033】
すなわち、この対向基板15は、その法線方向から見て、X方向に連続する第一凸部A
1と、X方向に連続する第二凸部A2とを、Y方向に沿って交互に分散して配置させてい
る。なお、隔壁25は、遮光材料によって形成されるため、第一凸部A1や第二凸部A2
よりも濃い黒色を表すが、図3では、カラーフィルタ層CFにおける第一凸部A1の濃淡
、及び配向膜OFにおける第二凸部A2の濃淡を説明する便宜上、隔壁25の黒色を省略
する。
【0034】
走査線駆動回路18は、各走査線Lxを線順次走査に基づいて1本ずつ所定のタイミン
グで選択し、各素子領域S1の制御素子をそれぞれ選択期間中だけオン状態にする。オン
状態のスイッチング素子は、表示データに基づくデータ信号をデータ線Lyから受けて、
対応する画素電極P1にデータ信号を出力する。各画素電極P1は、それぞれ画素電極P
1と対向電極P2との間の電位差に基づいて、対応する液晶LCの配向状態を変調し、光
学基板17からの光の偏光状態を素子領域S1ごとに変調させる。
【0035】
この際、対向基板15は、第一凸部A1と第二凸部A2とを分散させる分だけ、対向基
板15の全体から見て、カラーフィルタ層CFの膜厚のバラツキや配向膜OFの膜厚のバ
ラツキに起因した表示ムラを目立たなくさせることができる。そのため、変調された光は
、対応する配向膜OFとカラーフィルタ層CFを介して有色の光に変換され、表示ムラの
無いフルカラーの画像を表示する。
【0036】
次に、液晶表示装置10の製造システムについて図4に従って説明する。図4は液晶表
示装置10の製造システムを模式的に示す構成図である。
液晶表示装置10の製造システム30は、対向基板15の搬入・搬出を行うストッカ3
1と、対向基板15に対して各種の処理工程を行う対向基板製造ライン32とを有する。
【0037】
ストッカ31は、任意の処理工程までの処理が行われた複数種類の対向基板15をカセ
ット単位で保管する。ストッカ31は、保管する対向基板15をカセット単位で対向基板
製造ライン32に搬入し、対向基板製造ライン32から搬出される対向基板15を空のカ
セットに収納して保管する。
【0038】
なお、ストッカ31は、素子基板14を製造するための図示しない素子基板製造ライン
に素子基板14を搬入し、素子基板製造ラインから搬出される素子基板14を空のカセッ
トに収納して保管する。また、ストッカ31は、素子基板14と対向基板15との間に液
晶LCを封入し液晶パネルを製造するための図示しないパネル製造ラインに、素子基板1
4と対向基板15とを搬入し、パネル製造ラインから搬出される液晶パネル12を保管す
る。
【0039】
対向基板製造ライン32は、隔壁25の形成工程を行う隔壁形成ライン33、カラーフ
ィルタ層CFの形成工程を行うフィルタ形成ライン34、オーバーコート層26の形成工
程を行うオーバーコート層形成ライン35を有する。また、対向基板製造ライン32は、
対向電極P2の形成工程を行う対向電極形成ライン36、配向膜OFの形成工程を行う配
向膜形成ライン37を有する。
【0040】
隔壁形成ライン33は、未処理状態の対向基板15をストッカ31から搬入して各種装
置に搬送するための搬送ライン33Lを有する。隔壁形成ライン33は、その搬送ライン
33Lの途中に、例えば対向基板15の表面を洗浄する洗浄装置33A、洗浄したフィル
タ形成面15aに対し遮光材料を含むアクリル系感光性樹脂を塗布する塗布装置33Bを
有する。また、隔壁形成ライン33は、搬送ライン33Lの途中に、フィルタ形成面15
aに形成した塗布膜を露光・現像する露光装置33C及び現像装置33D、現像した塗布
膜を乾燥するベーキング装置33Eを有する。
【0041】
隔壁形成ライン33は、ストッカ31から搬入される対向基板15に対し、洗浄装置3
3Aを用いた洗浄工程、塗布装置33Bを用いた塗布工程を実行する。また、隔壁形成ラ
イン33は、露光装置33Cを用いた露光工程、現像装置33Dを用いた現像工程、ベー
キング装置33Eを用いた乾燥工程を実行し、対向基板15のフィルタ形成面15aに隔
壁25を形成してストッカ31に搬出する。
【0042】
フィルタ形成ライン34は、隔壁25の形成された対向基板15をストッカ31から搬
入して各種装置に搬送するための搬送ライン34Lを有する。フィルタ形成ライン34は
、その搬送ライン34Lの途中に、例えば対向基板15の表面を洗浄する洗浄装置34A
、洗浄したフィルタ形成面15aに対し各色用のフィルタ用インクを吐出する第一液滴吐
出装置34B、吐出したフィルタ用インクを乾燥するベーキング装置34Cを有する。
【0043】
フィルタ形成ライン34は、ストッカ31から搬入されて隔壁25を有した対向基板1
5に対し、洗浄装置34Aを用いた洗浄工程、第一液滴吐出装置34Bを用いた液滴吐出
工程を実行する。また、フィルタ形成ライン34は、ベーキング装置34Cを用いた乾燥
工程を実行し、対向基板15のフィルタ形成面15aにカラーフィルタ層CFを形成して
ストッカ31に搬出する。
【0044】
オーバーコート層形成ライン35は、カラーフィルタ層CFの形成された対向基板15
をストッカ31から搬入して各種装置に搬送するための搬送ライン35Lを有する。オー
バーコート層形成ライン35は、その搬送ライン35Lの途中に、例えば対向基板15の
表面を洗浄する洗浄装置35A、洗浄したカラーフィルタ層CFに対し無色透明の樹脂材
料を分散させた感光性樹脂を塗布する塗布装置35Bを有する。また、オーバーコート層
形成ライン35は、搬送ライン35Lの途中に、カラーフィルタ層CFの上に形成した塗
布膜を露光・現像する露光装置35C及び現像装置35D、現像したオーバーコート層2
6を乾燥するベーキング装置35Eを有する。
【0045】
オーバーコート層形成ライン35は、ストッカ31から搬入されてカラーフィルタ層C
Fを有した対向基板15に対し、洗浄装置35Aを用いた洗浄工程、塗布装置35Bを用
いた塗布工程を実行する。また、オーバーコート層形成ライン35は、露光装置35Cを
用いた露光工程、現像装置35Dを用いた現像工程、ベーキング装置35Eを用いた乾燥
工程を実行し、カラーフィルタ層CFの上にオーバーコート層26を形成してストッカ3
1に搬出する。
【0046】
対向電極形成ライン36は、オーバーコート層26の形成された対向基板15をストッ
カ31から搬入して各種装置に搬送するための搬送ライン36Lを有する。対向電極形成
ライン36は、その搬送ライン36Lの途中に、例えばオーバーコート層26の表面を洗
浄する洗浄装置36A、洗浄したオーバーコート層26に対し対向電極P2を成膜する成
膜装置36Bを有する。
【0047】
対向電極形成ライン36は、ストッカ31から搬入されてオーバーコート層26を有し
た対向基板15に対し、洗浄装置36Aを用いた洗浄工程と、成膜装置36Bを用いた成
膜工程とを実行し、オーバーコート層26の上に対向電極P2を積層してストッカ31に
搬出する。なお、対向電極P2をパターニングする場合には、成膜装置36Bの後段に、
レジストマスクを形成するための塗布装置、ベーキング装置、露光装置、現像装置、レジ
ストマスクをマスクにして対向電極P2をエッチングするエッチング装置、洗浄装置を配
置する構成にしてもよい。
【0048】
配向膜形成ライン37は、対向電極P2の形成された対向基板15をストッカ31から
搬入して各種装置に搬送するための搬送ライン37Lを有する。配向膜形成ライン37は
、その搬送ライン37Lの途中に、例えば対向電極P2の表面を洗浄する洗浄装置37A
、洗浄した対向電極P2に対し配向膜用インクを吐出する第二液滴吐出装置37B、吐出
した対向電極用インクを乾燥して焼成するベーキング装置37Cを有する。
【0049】
配向膜形成ライン37は、ストッカ31から搬入されて対向電極P2を有した対向基板
15に対し、洗浄装置37Aを用いた洗浄工程、第二液滴吐出装置37Bを用いた液滴吐
出工程を実行する。また、配向膜形成ライン37は、ベーキング装置37Cを用いた乾燥
・焼成工程を実行し、対向電極P2の上に配向膜OFを積層してストッカ31に搬出する

【0050】
次に、上記第一液滴吐出装置34Bついて、図5及び図6に従って説明する。図5は、
第一液滴吐出装置34Bを示す斜視図である。なお、第二液滴吐出装置37Bは、第一液
滴吐出装置34Bと略同様の構成を有するため、第一液滴吐出装置34Bと異なる点につ
いてのみ以下に説明する。
【0051】
図5において、第一液滴吐出装置34Bには、直方体形状に形成された基台40が備え
られている。基台40の上面には、その長手方向(X方向)に沿って延びる一対の案内溝
40aが形成されている。一対の案内溝40aには、基台40に内設されたX軸モータの
出力軸に駆動連結される基板ステージ41が取着されている。
【0052】
基板ステージ41は、フィルタ形成面15a(あるいは対向電極P2)を上側にした状
態で対向基板15を位置決め固定する。基板ステージ41は、X軸モータが正転又は逆転
するとき、案内溝40aに沿って所定の速度でX方向又は反X方向に移動し、位置決め固
定した対向基板15をX方向又は反X方向に走査(主走査)する。なお、本実施形態では
、第一液滴吐出装置34Bの基板ステージ41が第一走査手段を構成し、第二液滴吐出装
置37Bの基板ステージ41が第二走査手段を構成する。
【0053】
基台40の上方には、門型に形成されたガイド部材42が架設されている。ガイド部材
42の上側には、インクタンク42aが配設されている。インクタンク42aは、各種の
インクIk(対向電極用インクあるいは配向膜用インク)を収容し、所定の圧力に調整さ
れたインクIkを吐出ヘッドHに向けて供給する。
【0054】
ガイド部材42には、X方向に延びる上下一対のガイドレール42bが形成されている
。上下一対のガイドレール42bには、ガイド部材42に内設されたY軸モータの出力軸
に駆動連結されるキャリッジ43が取着されている。キャリッジ43の下側には、Y方向
に延びる略直方体形状の吐出ヘッドHが搭載されている。キャリッジ43は、Y軸モータ
が正転又は逆転するとき、ガイドレール42bに沿ってY方向又は反Y方向に移動し、搭
載する吐出ヘッドHをY方向又は反Y方向に走査(副走査)する。
【0055】
図6は、吐出ヘッドHを下方(対向基板15)から見た図である。図7及び図8は、そ
れぞれ第一及び第二液滴吐出装置34B,37Bの吐出動作を模式的に示す図である。な
お、図7及び図8では、カラーフィルタ層CFにおける第一凸部A1の濃淡と、配向膜O
Fにおける第二凸部A2の濃淡とを説明する便宜上、隔壁25が表す黒色を省略する。
【0056】
図6において、吐出ヘッドHの上側(基板ステージ41側)には、ノズルプレート44
が備えられている。ノズルプレート44の上面には、対向基板15と平行のノズル形成面
44aが形成され、そのノズル形成面44aには、ノズル形成面44aの法線方向に貫通
する複数のノズルNがY方向に沿って等間隔に配列され、1列のノズル列を構成している
。ノズルNの形成ピッチは、上記第一凸部A1の形成ピッチと同じく、吐出ピッチPyに
よって形成されている。
【0057】
なお、本実施形態において、第一液滴吐出装置34Bが有するノズルNを第一ノズルと
し、第二液滴吐出装置37Bが有するノズルNを第二ノズルという。
吐出ヘッドHの下側には、ヘッド基板45が設けられ、そのヘッド基板45の一側端に
は、入力端子45aが設けられている。入力端子45aには、吐出ヘッドHを駆動するた
めの所定の駆動波形信号が入力される。
【0058】
図7において、吐出ヘッドHは、各ノズルNの上側に、それぞれインクタンク42aに
連通するキャビティ46を有している。各キャビティ46は、それぞれインクタンク42
aが導出するインクIkを対応するノズルNに供給する。各キャビティ46の上側には、
上下方向に振動可能な振動板47が貼り付けられて、対応するキャビティ46の容積を拡
大・縮小可能にする。振動板47の上側には、各ノズルNに対応する圧電素子PZが配設
されている。各圧電素子PZは、それぞれ圧電素子PZを駆動するための駆動波形信号を
受けるとき、上下方向に収縮・伸張し、対応する振動板47を振動させる。キャビティ4
6は、対応する振動板47が振動するとき、対応するノズルNの内部のメニスカスを上下
方向に振動させ、所定重量のインクIkをノズルNから液滴として吐出させる。吐出され
た液滴は、対向基板15に向かって飛行して対向電極P2の上面に着弾する。
【0059】
ここで、図7(a)に示すように、第一液滴吐出装置34Bに搭載された吐出ヘッドH
を第一吐出ヘッドH1とし、第一吐出ヘッドH1から吐出される液滴を、第一液滴D1と
いう。また、図8(a)に示すように、第二液滴吐出装置37Bに搭載された吐出ヘッド
Hをヘッド第二吐出ヘッドH2とし、第二吐出ヘッドH2から吐出される液滴を、第二液
滴D2という。
【0060】
図7(b)において、対向基板15の上面、すなわちフィルタ形成面15aは、一点鎖
線で示す第一ドットパターン格子によって仮想分割されている。第一ドットパターン格子
とは、X方向の吐出ピッチPxと、Y方向の吐出ピッチPyとによって規定された格子で
ある。吐出ピッチPxは、第一液滴D1の吐出周波数と基板ステージ41の走査速度とに
基づいて規定される値であって、X方向に沿って規定される第一液滴D1の最小の吐出間
隔である。第一液滴D1の吐出・非吐出は、この第一ドットパターン格子の格子点(第一
格子点K1)ごとに規定される。第一液滴D1を吐出するノズルNは、第一格子点K1の
上方を通過するノズルNに規定される。なお、本実施形態では、X方向に連続する複数の
第一格子点K1によって第一経路が構成される。
【0061】
第一吐出ヘッドH1は、フィルタ形成面15aがX方向に主走査されるとき、第一格子
点K1がノズルNの直下に位置するたびに、各圧電素子PZをそれぞれ駆動させて対応す
るノズルNから第一液滴D1を吐出させる。吐出された各第一液滴D1は、それぞれ対応
する第一格子点K1の上に着弾してフィルタ形成面15aの面方向に濡れ広がり、各フィ
ルタ領域S2の内部にそれぞれ第一液状膜LCFを形成する。
【0062】
この際、各第一格子点K1に着弾した第一液滴D1は、それぞれ濡れ広がる際に、液滴
D1の中央部と周辺部との間において溶剤の蒸気圧に大きな差を来たし、中央部の液状体
が周辺部に流動することによって、周辺部の膜厚を中央部の膜厚よりも厚くする。周辺部
の膜厚を厚くする各第一液滴D1は、それぞれ反X方向に沿って順に合一し、Y方向に隣
接する第一格子点K1の略中央に、X方向に連続する膜厚の厚い領域、すなわち第一凸部
A1を形成する。
【0063】
図8(b)において、対向電極P2の上面、すなわち対向電極P2の上面は、一点鎖線
で示す第二ドットパターン格子によって仮想分割されている。第二ドットパターン格子と
は、第一ドットパターン格子と同じく、X方向の吐出ピッチPxと、Y方向の吐出ピッチ
Pyとによって規定された格子である。
【0064】
第二ドットパターン格子の各格子点(第二格子点K2)は、それぞれ第一液滴D1の着
弾位置(第一格子点K1)からY方向に向かって吐出ピッチPyの半分の距離だけ変位し
た位置、すなわち第一凸部A1の直上に規定されている。第二液滴D2の吐出・非吐出は
、これら第二格子点K2ごとに規定される。第二液滴D2を吐出するノズルNは、各第二
格子点K2の上方を通過するノズルN、すなわち第一凸部A1の直上を通過するノズルN
に規定される。なお、本実施形態では、X方向に連続する複数の第二格子点K2によって
、第二経路が構成される。
【0065】
第二吐出ヘッドH2は、対向電極P2がX方向に主走査されるとき、第二格子点K2が
ノズルNの直下に位置するたびに、各圧電素子PZをそれぞれ駆動させて対応するノズル
Nから第二液滴D2を吐出させる。吐出された各第二液滴D2は、それぞれ対向電極P2
の上に着弾して対向電極P2の面方向に濡れ広がり、対向電極P2の反X方向に沿って順
に延びる第二液状膜LOFを形成する。
【0066】
この際、各第二格子点K2に着弾した第二液滴D2は、それぞれ濡れ広がる際に、液滴
の中央部と周辺部との間において溶剤の蒸気圧に大きな差を来たし、中央部の液状体が周
辺部に流動することによって、周辺部の膜厚を中央部の膜厚よりも厚くする。周辺部の膜
厚を厚くした各第二液滴D2は、それぞれ反X方向に沿って順に合一し、Y方向に隣接す
る第二格子点K2の略中央に、X方向に連続する膜厚の厚い領域、すなわち第二凸部A2
を形成する。
【0067】
これによって、各第二液滴D2は、対向基板15の法線方向から見て、隣接する第一凸
部A1の間に第二凸部A2を形成し、X方向に連続する第一凸部A1と、X方向に連続す
る第二凸部A2とを、Y方向に沿って交互に分散させる。
【0068】
次に、上記第一液滴吐出装置34Bの電気的構成ついて図9に従って説明する。図9は
、第一液滴吐出装置34Bの電気的構成を示すブロック回路図である。なお、第二液滴吐
出装置37Bは、第一液滴吐出装置34Bと略同様の電気的構成を有するため、第一液滴
吐出装置34Bと異なる点についてのみ以下に説明する。
【0069】
図9において、制御部51には、CPU、ROM、RAMなどが備えられている。制御
部51は、RAMやROMなどに格納された各種データ及び各種プログラムに従って、基
板ステージ41及びキャリッジ43を移動させるとともに、吐出ヘッドHを駆動制御させ
る。なお、本実施形態では、第一液滴吐出装置34Bの制御部51が第一制御部を構成し
、第二液滴吐出装置37Bの制御部51が第二制御部を構成する。
【0070】
制御部51には、起動スイッチ、停止スイッチ等の操作スイッチを有した入出力装置5
2が接続されている。入出力装置52は、例えばCPU、RAM、ROM、ハードディス
ク、液晶ディスプレイなどを有した外部コンピュータである。入出力装置52は、ROM
又はハードディスクに記憶された制御プログラムに従って液滴吐出装置を駆動させるため
の各種の制御信号を制御部51に出力する。制御部51は、対向電極P2あるいは配向膜
OFを描画するための描画データIpを入出力装置52から受信する。
【0071】
制御部51は、入出力装置52からの描画データIpをドットパターンデータPDに展
開して格納する。ここで、ドットパターンデータPDは、X方向の吐出ピッチPxとY方
向の吐出ピッチPyとからなるドットパターン格子、すなわち第一あるいは第二ドットパ
ターン格子を規定する。ドットパターンデータPDは、規定したドットパターン格子の各
格子点にそれぞれ各ビットの値(“0”あるいは“1”)を対応させるためのデータであ
って、各ビットの値に応じて、それぞれ圧電素子PZのオンあるいはオフを規定するもの
である。すなわち、ドットパターンデータPDは、対向基板15が主走査されるとき、吐
出ピッチPxに応じた所定の吐出周波数ごとに圧電素子PZのオンあるいはオフを規定す
るものである。
【0072】
制御部51は、基板ステージ41の1走査分に相当するドットパターンデータPDを展
開すると、ドットパターンデータPDを利用して所定の転送クロックに同期したシリアル
パターンデータSIを生成し、ヘッド駆動回路58にシリアル転送する。シリアルパター
ンデータSIは、液滴の吐出・非吐出を規定するためのビットの値をノズルNの数量分だ
け有し、吐出周期ごとに順次生成される。
【0073】
制御部51は、X軸モータ駆動回路53に接続されて、X軸モータ駆動回路53に対応
する駆動制御信号を出力する。X軸モータ駆動回路53は、制御部51からの駆動制御信
号に応答してX軸モータMXを正転又は逆転させ、基板ステージ41をX方向又は反X方
向に主走査する。
【0074】
制御部51は、Y軸モータ駆動回路54に接続されて、Y軸モータ駆動回路54に対応
する駆動制御信号を出力する。Y軸モータ駆動回路54は、制御部51からの駆動制御信
号に応答してY軸モータMYを正転又は逆転させ、キャリッジ43をY方向又は反Y方向
に副走査する。
【0075】
制御部51は、X軸モータ回転検出器55に接続されて、X軸モータ回転検出器55か
ら検出信号を受ける。制御部51は、X軸モータ回転検出器55からの検出信号に基づい
て、基板ステージ41の移動方向及び移動量、すなわち、対向基板15の移動方向及び移
動量を演算する。制御部51は、演算結果に基づいて、ドットパターン格子における各格
子点K1,K2が対応するノズルNの直下に位置するとき、吐出タイミング信号LPを出
力する。
【0076】
制御部51は、Y軸モータ回転検出器56に接続されて、Y軸モータ回転検出器56か
ら検出信号を受ける。制御部51は、Y軸モータ回転検出器56からの検出信号に基づい
て、キャリッジ43の移動方向及び移動量を演算する。制御部51は、演算結果に基づい
て、各格子点K1,K2が主走査される経路上に、各ノズルNを配置させる。すなわち、
第一液滴吐出装置34Bの制御部51は、各第一格子点K1が主走査される経路上に、各
ノズルNを配置させる。また、第二液滴吐出装置37Bの制御部51は、各第二格子点K
2が主走査される経路上に、各ノズルNを配置させる。
【0077】
制御部51は、対向基板15の端縁を検出する基板検出装置57に接続されて、基板検
出装置57から検出信号を受ける。制御部51は、基板検出装置57からの検出信号に基
づいて、対向基板15の初期位置を演算する。
【0078】
制御部51は、ヘッド駆動回路58に接続されて、ヘッド駆動回路58にラッチ信号L
ATと吐出タイミング信号LPを入力する。また、制御部51は、圧電素子PZを駆動す
るための駆動波形信号COMを吐出タイミング信号LPに同期させてヘッド駆動回路58
に入力する。
【0079】
ヘッド駆動回路58は、ラッチ信号LATを受けるたびに、制御部51からのシリアル
パターンデータSIをラッチしてシリアル/パラレル変換する。ヘッド駆動回路58は、
制御部51からの吐出タイミング信号LPを受けるとき、シリアル/パラレル変換したデ
ータに基づいて選択される圧電素子PZにそれぞれ駆動波形信号COMを供給する。
【0080】
次に、液晶表示装置の製造システム30を利用した液晶表示装置の製造方法について説
明する。
まず、図4に示すように、ストッカ31は、未処理の対向基板15を隔壁形成ライン3
3に搬送する。隔壁形成ライン33は、対向基板15に対して洗浄工程、塗布工程、露光
工程、現像装置、乾燥工程を順に実行し、対向基板15のフィルタ形成面15aに隔壁2
5を形成してストッカ31に搬出する。
【0081】
次いで、ストッカ31は、隔壁25を有した対向基板15を、隔壁形成ライン33から
フィルタ形成ライン34に搬送する。フィルタ形成ライン34は、隔壁25を有した対向
基板15に対して洗浄工程を実行し、第一液滴吐出装置34Bに搬送する。
【0082】
第一液滴吐出装置34Bは、フィルタ形成面15aを上側にした対向基板15を基板ス
テージ41に載置固定し、キャリッジ43の反X方向に配置させる。次いで、第一液滴吐
出装置34Bは、その入出力装置52からの描画データIpを受信し、描画データIpを
ドットパターンデータPDに展開して格納する。また、第一液滴吐出装置34Bは、その
Y軸モータ駆動回路54を介してY軸モータMYを駆動制御し、第一格子点K1の走査径
路上に各ノズルNを配置させる、すなわち、キャリッジ43を第一液状膜LCF用にセッ
トする。
【0083】
第一液滴吐出装置34Bは、キャリッジ43をセットすると、そのX軸モータ駆動回路
53を介してX軸モータMXを駆動制御して対向基板15の主走査を開始する。第一液滴
吐出装置34Bは、対向基板15の主走査を開始すると、その基板検出装置57及びX軸
モータ回転検出器55からの検出信号に基づいて、第一格子点K1がノズルNの直下に到
達したか否か判断する。
【0084】
この間、第一液滴吐出装置34Bは、1走査分に相当するドットパターンデータPDを
展開して転送クロックに同期したシリアルパターンデータSIを順次生成し、そのヘッド
駆動回路58にシリアル転送する。また、第一液滴吐出装置34Bは、シリアルパターン
データSIを転送するたびに、そのヘッド駆動回路58に対してラッチ信号LATを入力
し、ヘッド駆動回路58にシリアルパターンデータSIをシリアル/パラレル変換させる
。そして、第一液滴吐出装置34Bは、第一格子点K1がノズルNの直下に到達するたび
に、そのヘッド駆動回路58に対して吐出タイミング信号LPと駆動波形信号COMを入
力する。
【0085】
第一液滴吐出装置34Bは、吐出タイミング信号LPと駆動波形信号COMをヘッド駆
動回路58に入力するたびに、ヘッド駆動回路58を介し、シリアルパターンデータSI
に基づいて選択される各圧電素子PZにそれぞれ駆動波形信号COMを供給する。そして
、第一液滴吐出装置34Bは、ドットパターンデータPDに基づいて選択されるノズルN
から対応する第一格子点K1に向けて一斉に第一液滴D1を吐出させ、第一凸部A1を有
した第一液状膜LCFを各フィルタ領域S2に形成する。
【0086】
フィルタ形成ライン34は、第一液状膜LCFを有した対向基板15に乾燥工程を実行
し、各フィルタ領域S2にカラーフィルタ層CFを形成してストッカ31に搬出する。
ストッカ31は、カラーフィルタ層CFを有した対向基板15を、フィルタ形成ライン
34からオーバーコート層形成ライン35に搬送する。オーバーコート層形成ライン35
は、カラーフィルタ層CFを有した対向基板15に対して洗浄工程、塗布工程、露光工程
、現像工程、乾燥工程を実行し、カラーフィルタ層CFの上にオーバーコート層26を積
層してストッカ31に搬出する。
【0087】
ストッカ31は、オーバーコート層26を有した対向基板15を、オーバーコート層形
成ライン35から対向電極形成ライン36に搬送する。対向電極形成ライン36は、オー
バーコート層26を有した対向基板15に対して洗浄工程と成膜工程を実行し、オーバー
コート層26に対向電極P2を積層してストッカ31に搬出する。
【0088】
ストッカ31は、対向電極P2を有した対向基板15を、対向電極形成ライン36から
配向膜形成ライン37に搬送する。配向膜形成ライン37は、対向電極P2を有した対向
基板15に対して洗浄工程を実行し、第二液滴吐出装置37Bに搬送する。
【0089】
第二液滴吐出装置37Bは、対向電極P2を上側にした対向基板15を基板ステージ4
1に載置固定し、キャリッジ43の反X方向に配置させる。次いで、第二液滴吐出装置3
7Bは、その入出力装置52からの描画データIpを受信し、描画データIpをドットパ
ターンデータPDに展開して格納する。また、第二液滴吐出装置37Bは、そのY軸モー
タ駆動回路54を介してY軸モータMYを駆動制御し、第二格子点K2の走査径路上に各
ノズルNを配置させる、すなわち、キャリッジ43を第二液状膜LOF用にセットする。
【0090】
第二液滴吐出装置37Bは、キャリッジ43をセットすると、そのX軸モータ駆動回路
53を介してX軸モータMXを駆動制御して対向基板15の主走査を開始する。第二液滴
吐出装置37Bは、対向基板15の主走査を開始すると、その基板検出装置57及びX軸
モータ回転検出器55からの検出信号に基づいて、第二格子点K2がノズルNの直下に到
達したか否か判断する。
【0091】
この間、第二液滴吐出装置37Bは、1走査分に相当するドットパターンデータPDを
展開して転送クロックに同期したシリアルパターンデータSIを順次生成し、そのヘッド
駆動回路58にシリアル転送する。また、第二液滴吐出装置37Bは、シリアルパターン
データSIを転送するたびに、そのヘッド駆動回路58に対してラッチ信号LATを入力
し、ヘッド駆動回路58にシリアルパターンデータSIをシリアル/パラレル変換させる
。そして、第二液滴吐出装置37Bは、第二格子点K2がノズルNの直下に到達するたび
に、そのヘッド駆動回路58に対して吐出タイミング信号LPと駆動波形信号COMを入
力する。
【0092】
第二液滴吐出装置37Bは、吐出タイミング信号LPと駆動波形信号COMをヘッド駆
動回路58に入力するたびに、ヘッド駆動回路58を介し、シリアルパターンデータSI
に基づいて選択される各圧電素子PZにそれぞれ駆動波形信号COMを供給する。そして
、第二液滴吐出装置37Bは、ドットパターンデータPDに基づいて選択されるノズルN
から対応する第二格子点K2に向けて一斉に第二液滴D2を吐出させ、対向基板15の法
線方向から見て、隣接する第一凸部A1の間に第二凸部A2を有した第二液状膜LOFを
形成する。
【0093】
配向膜形成ライン37は、第二液状膜LOFを有した対向基板15に乾燥工程を実行し
、対向電極P2の上に配向膜OFを積層してストッカ31に搬出する。
以後、ストッカ31は、配向膜OFを有する対向基板15と、素子基板製造ラインから
搬出される素子基板14とをパネル製造ラインに搬入し、素子基板14と対向基板15と
の間に液晶LCを封入させて液晶パネル12を製造する。
【0094】
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、第一液滴吐出装置34Bが、複数の第一格子点K1の各
々に向けて第一液滴D1を吐出させ、Y方向に隣接する第一格子点K1の間に第一凸部A
1を有したカラーフィルタ層CFを形成する。そして、第二液滴吐出装置37Bが、Y方
向に隣接する第一格子点K1の間に規定された複数の第二格子点K2に向けて第二液滴D
2を吐出させ、対向基板15の法線方向から見て、隣接する第一凸部A1の間に第二凸部
A2を有した配向膜OFを形成する。
【0095】
したがって、カラーフィルタ層CFが有する第一凸部A1と、配向膜OFが有する第二
凸部A2とを分散させる分だけ、液晶パネル12の全体から見て、凸部に起因した表示ム
ラを目立たなくさせることができる。この結果、液晶表示装置10の表示ムラを低減させ
ることができる。
【0096】
(2)上記実施形態によれば、Y方向に配列された複数のノズルNを有する第一吐出ヘ
ッドH1に対し、対向基板15をX方向に主走査させ、複数の第一格子点K1の各々に向
けて複数の第一液滴D1を同時に吐出させた。また、Y方向に配列された複数のノズルN
を有する第二吐出ヘッドH2に対し、対向基板15をX方向に主走査させ、複数の第二格
子点K2の各々に向けて複数の第二液滴D2を同時に吐出させた。
【0097】
したがって、第一液滴D1及び第二液滴D2の着弾間隔をノズルNの形成ピッチによっ
て規定させることができ、吐出ピッチPxと吐出ピッチPyとによって規定される複数の
第一格子点K1及び複数の第二格子点K2の各々に対し、より高い精度の下で、第一液滴
D1及び第二液滴D2を着弾させることができる。ひいては、第一格子点K1に応じたカ
ラーフィルタ層CFと、第二格子点K2に応じた配向膜OFとを、より高い精度の下で形
成させることができ、第一凸部A1と第二凸部A2の相対的な位置関係を、より高い精度
の下で再現させることができる。
【0098】
(3)上記実施形態によれば、第一液滴吐出装置34Bと第二液滴吐出装置37Bとが
、それぞれ共通するX方向に沿って対向基板15を主走査させる。したがって、搬送ライ
ン34Lにおける対向基板15の搬送方向と、搬送ライン37Lにおける対向基板15の
搬送方向とを同一方向に構成させることができる。ひいては、液晶表示装置10の製造シ
ステムを、より簡単な構成にすることができる。
【0099】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、Y方向に隣接する第一格子点K1の間に第二格子点K2を設けた
。これに限らず、第一格子点K1と第二格子点K2とを同じ位置に設ける構成であっても
よい。すなわち、第一液滴D1と第二液滴D2とを、対向基板15の法線方向から見て、
同じ位置に着弾させる構成であってもよい。
【0100】
この構成によれば、例えば、配向膜用インクに対し、対向電極P2の表面が撥液性を有
する場合、着弾した第二液滴D2を第二格子点K2の領域に停滞させることができ、対向
基板15の法線方向から見て、第一凸部A1の間に第二凸部A2を形成させることができ
る。
【0101】
すなわち、第一格子点K1と第二格子点K2は、それぞれ対向基板15の法線方向から
見て、隣接する第一凸部A1の間に第二凸部A2を形成させる位置関係であればよい。
・上記実施形態では、走査手段を基板ステージ41に具体化した。これに限らず、例え
ば、走査手段をキャリッジ43、あるいは基板ステージ41とキャリッジ43の双方に具
体化してもよい。
【0102】
・上記実施形態では、吐出ヘッドHが1列だけノズル列を有する構成にした。これに限
らず、例えば吐出ヘッドHが2列以上のノズル列を有する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】液晶表示装置を示す斜視図。
【図2】対向基板を示す斜視図。
【図3】(a)、(b)は、それぞれ対向基板を示す平面図と側断面図。
【図4】液晶表示装置の製造システムを示す図。
【図5】液滴吐出装置を示す斜視図。
【図6】吐出ヘッドを示す斜視図。
【図7】(a)は第一吐出ヘッドを示す要部断面図、(b)は第一液滴の吐出動作を示す対向基板の平面図。
【図8】(a)は第二吐出ヘッドを示す要部断面図、(b)は第二液滴の吐出動作を示す対向基板の平面図。
【図9】液滴吐出装置の電気的構成を示す電気ブロック回路図。
【符号の説明】
【0104】
A1…第一凸部、A2…第二凸部、D1…第一液滴、D2…第二液滴、H…吐出ヘッド、
N…ノズル、CF…カラーフィルタ層、OF…配向膜、10…液晶表示装置、15…対向
基板、30…液晶表示装置の製造システム、34B…第一液滴吐出装置、37B…第二液
滴吐出装置、41…走査手段を構成する基板ステージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と第一ノズルとを一方向に相対移動させ、前記基板上で前記一方向に延びる複数の
第一経路の各々に対して前記第一ノズルを走査させるとともに、前記第一ノズルから前記
複数の第一経路の各々に向けてカラーフィルタ材料を含む複数の第一液滴を吐出させ、前
記第一経路に沿って延びる複数の第一凸部を有したカラーフィルタ層を形成する工程と、
前記基板と第二ノズルとを前記一方向に相対移動させ、前記カラーフィルタ層上で前記
一方向に延びる複数の第二経路の各々に対して前記第二ノズルを走査させるとともに、前
記第二ノズルから前記複数の第二経路の各々に向けて配向膜材料を含む第二液滴を吐出さ
せ、前記基板の法線方向から見て、隣接する前記第一凸部の間に前記一方向に延びる第二
凸部を有した配向膜を形成する工程と、を備えたこと、
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
前記第一ノズルから複数の前記第一経路の各々に向けて前記第一液滴を吐出させ、前記
基板の法線方向から見て、隣接する前記各第一経路の間に前記第一凸部を形成し、
前記基板と前記第二ノズルとを前記一方向に相対移動させ、前記基板の法線方向から見
て、隣接する前記各第一経路の間に規定された前記第二経路に対し前記第二ノズルを走査
させるとともに、前記第二ノズルから複数の前記第二経路の各々に向けて前記第二液滴を
吐出させ、前記基板の法線方向から見て、隣接する前記第二経路の間に前記第二凸部を形
成すること、
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の液晶表示装置の製造方法であって、
前記一方向と交差する他方向に配列された複数の前記第一ノズルと、前記基板とを、前
記一方向に相対移動させ、複数の前記第一経路の各々に対して複数の前記第一ノズルの各
々を走査させるとともに、複数の前記第一ノズルの各々から対応する前記第一経路に向け
て前記第一液滴を吐出させ、
前記他方向に配列された複数の前記第二ノズルと、前記基板とを、前記一方向に相対移
動させ、複数の前記第二経路の各々に対して複数の前記第二ノズルの各々を走査させると
ともに、複数の前記第二ノズルの各々から対応する前記第二経路に向けて前記第二液滴を
吐出させること、
を特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項4】
カラーフィルタ材料を含む第一液滴を吐出する第一ノズルと、
前記第一ノズルと基板とを一方向に沿って相対移動させ、前記一方向に延びる前記基板
上の複数の第一経路の各々に対して前記第一ノズルを走査させる第一走査手段と、
前記第一ノズルと前記第一走査手段とを駆動し、前記複数の第一経路の各々に向けて前
記第一液滴を吐出させ、前記第一経路に沿って延びる複数の第一凸部を有したカラーフィ
ルタ層を形成する第一制御部と、を有した第一液滴吐出装置と、
配向膜材料を含む第二液滴を吐出する第二ノズルと、
前記第二ノズルと前記基板とを前記一方向に沿って相対移動させ、前記一方向に延びる
前記基板上の複数の第二経路の各々に対して前記第二ノズルを走査させる第二走査手段と

前記第二ノズルと前記第二走査手段とを駆動し、前記複数の第二経路の各々に向けて前
記第二液滴を吐出させ、前記基板の法線方向から見て、隣接する前記第一凸部の間に前記
一方向に延びる第二凸部を有した配向膜を形成させる第二制御部と、を有した第二液滴吐
出装置と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置の製造システム。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置の製造システムであって、
前記第一制御部は、
複数の前記第一経路の各々に向けて前記第一液滴を吐出させ、前記基板の法線方向から
見て、隣接する前記各第一経路の間に前記第一凸部を形成し、
前記第二走査手段は、
前記基板の法線方向から見て、隣接する前記各第一経路の間に規定された前記第二経路
に対して前記第二ノズルを走査させ、
前記第二制御部は、
複数の前記第二経路の各々に向けて前記第二液滴を吐出させ、前記基板の法線方向から
見て、隣接する前記各第二経路の間に前記第二凸部を形成すること、
を特徴とする液晶表示装置の製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−175855(P2008−175855A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6672(P2007−6672)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】