液晶表示装置の製造装置
【課題】液晶が紫外線を吸収して高温に発熱するのを抑えて液晶分子の配向の安定化を図ると共に、液晶表示装置の製造効率の向上を図る。
【解決手段】中央に前記液晶表示用基板の一面に接触して冷却する冷却媒体を貯留する凹陥部16を形成し、上面に前記液晶表示用基板の一面の周縁近傍部を吸着して保持するステージ1と、前記凹陥部16の開口部側に張設され、前記ステージ1に保持された前記液晶表示用基板の前記一面を支持する複数のワイヤ45と、前記ステージ1の少なくとも隣接する二つの縁部近傍に配設され、前記ステージ1に保持された液晶表示用基板の前記複数の電極に接続して通電する複数の端子を設けたプローバー2と、前記ステージ1の上方に配設され、前記ステージ1に保持された液晶表示用基板に紫外線を照射する光源装置と、を備えたものである。
【解決手段】中央に前記液晶表示用基板の一面に接触して冷却する冷却媒体を貯留する凹陥部16を形成し、上面に前記液晶表示用基板の一面の周縁近傍部を吸着して保持するステージ1と、前記凹陥部16の開口部側に張設され、前記ステージ1に保持された前記液晶表示用基板の前記一面を支持する複数のワイヤ45と、前記ステージ1の少なくとも隣接する二つの縁部近傍に配設され、前記ステージ1に保持された液晶表示用基板の前記複数の電極に接続して通電する複数の端子を設けたプローバー2と、前記ステージ1の上方に配設され、前記ステージ1に保持された液晶表示用基板に紫外線を照射する光源装置と、を備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を封止した液晶表示用基板に電界を印加した状態で紫外線を照射して液晶分子を所定方向に配向させる液晶表示装置の製造装置に関し、詳しくは、液晶が紫外線を吸収して高温に発熱するのを抑えて液晶分子の配向の安定化を図ると共に、液晶表示装置の製造効率の向上を可能にする液晶表示装置の製造装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の液晶表示装置の製造装置は、液晶にモノマーを混合した液晶材料を一対の基板間に封止した液晶表示パネルを紫外線照射装置内に載置し、電圧印加装置から基板間に電圧を印加して液晶分子を傾斜させた状態で紫外線照射装置の高圧水銀ランプから紫外線を液晶表示パネルに照射し、上記モノマーを重合してポリマー化し、液晶分子の配向方向を規定するものとなっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような液晶表示装置の製造装置は、配向膜をラビング処理することにより液晶分子を所定方向に配向させるものに比べて、非接触で液晶分子を配向させることができるため、欠陥の発生を抑制することができるという特徴を有している。
【特許文献1】特開2003−228050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の液晶表示装置の製造装置においては、液晶が紫外線を吸収して80℃以上に発熱する場合があり、液晶が光の透過及び遮断のスイッチング機能を消失して適切な画像表示ができなくなるという不具合が発生するおそれがあった。
【0005】
液晶の発熱の問題に対しては、紫外線の照射を時分割して一定の時間間隔で行うことにより対処することができるが、この場合、液晶表示装置の製造効率が悪くなるという問題がある。
【0006】
また、液晶の発熱の問題に対しては、液晶表示用基板を複数のピンで支え、例えば冷風を吹付けて基板を冷却するという対処法も考えられるが、この場合、液晶表示用基板をピンで受けるとピン周辺部の液晶が部分的にピン圧により移動してしまい、ピン周辺の配向状態又はポリマーの分布が変わるため、配向ムラが発生してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、液晶が紫外線を吸収して高温に発熱するのを抑えて液晶分子の配向の安定化を図ると共に、液晶表示装置の製造効率の向上を可能にする液晶表示装置の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、一対の基板間に複数の画素をマトリクス状に形成して液晶を封止し、少なくとも隣接する二つの縁部に前記画素を駆動するための複数の電極を形成した液晶表示用基板の前記各電極に通電して前記各画素に電界を印加した状態で、前記液晶表示用基板に紫外線を照射して前記液晶の分子を所定方向に配向させる液晶表示装置の製造装置であって、中央に前記液晶表示用基板の一面に接触して冷却する冷却媒体を貯留する凹陥部を形成し、上面に前記液晶表示用基板の一面の周縁近傍部を吸着して保持するステージと、前記凹陥部の開口部側に張設され、前記ステージに保持された前記液晶表示用基板の前記一面を支持する複数のワイヤと、前記ステージの少なくとも隣接する二つの縁部近傍に配設され、前記ステージに保持された液晶表示用基板の前記複数の電極に接続して通電する複数の端子を設けたプローバーと、前記ステージの上方に配設され、前記ステージに保持された液晶表示用基板に紫外線を照射する光源装置と、を備えたものである。
【0009】
このような構成により、中央に凹陥部を形成したステージの上面に、一対の基板間に複数の画素をマトリクス状に形成し液晶を封止した液晶表示用基板の一面の周縁近傍部を吸着して保持し、凹陥部の開口部側に張設された複数のワイヤでステージに保持された液晶表示用基板の一面を支持し、凹陥部に冷却媒体を貯留してこの冷却媒体を液晶表示用基板の一面に接触させて冷却し、ステージの少なくとも隣接する二つの縁部近傍に配設されたプローバーの複数の端子を液晶表示用基板の少なくとも隣接する二つの縁部に形成された複数の電極に接続して通電し、上記各画素に電界を印加した状態でステージの上方に配設された光源装置により液晶表示用基板に紫外線を照射して、液晶の分子を所定方向に配向させる。
【0010】
前記ステージの凹陥部の底面には、前記冷却媒体を噴出して前記ステージに吸着保持された前記液晶表示用基板の一面に吹き付ける噴出口を備えた。これにより、ステージの凹陥部の底面に備えた噴出口から冷却媒体を噴出してステージに吸着保持された液晶表示用基板の一面に吹き付ける。
【0011】
さらに、前記冷却媒体は、所定温度に冷却された水である。これにより、所定温度に冷却された水で液晶表示用基板の一面を冷却する。
【0012】
そして、前記複数のワイヤに交差して掛け渡され、前記複数のワイヤを下方から支持する少なくとも一つの梁部を備えたものである。これにより、複数のワイヤに交差して掛け渡された少なくとも一つの梁部で複数のワイヤを下方から支持する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る液晶表示装置の製造装置によれば、冷却媒体で液晶表示用基板を冷却することができ、液晶が紫外線を吸収して高温に発熱するのを効率よく抑制することができる。したがって、液晶分子の配向の安定化を図ることができ、表示品質の高い液晶表示装置を安定して製造することができる。また、紫外線の照射を時分割して行う必要が無いため、液晶表示装置の製造効率を向上することができる。さらに、ステージに吸着して保持された液晶表示用基板をワイヤで下方から支持しているので、液晶表示用基板の撓みを抑えることができる。また、液晶表示用基板をピンで受けるようにしたものではないので、ピン周辺部の液晶が部分的にピン圧により移動してしまい、ピン周辺の配向状態又はポリマーの分布が変わってしまうというおそれがない。したがって、液晶分子の配向をより安定化させることができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明によれば、液晶表示用基板と冷却媒体との接触界面に空気層が発生するのを防止して、液晶表示用基板の冷却効率を向上することができる。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明によれば、冷却媒体として所定温度に冷却された水を使用することができ、安全且つ衛生的で冷却媒体の取扱いが容易である。
【0016】
そして、請求項4に係る発明によれば、ワイヤの撓みを抑えて、液晶表示用基板の撓みをより一層抑制することができる。したがって、液晶分子の配向をより一層安定化させることができる。この場合、液晶表示用基板を支持しているのはワイヤであるので、液晶表示用基板とワイヤの接触は線接触となり、冷却媒体を基板の一面に略均等に接触させることができる。したがって、液晶表示用基板の一面を略均等に冷却することができ、液晶の配向むらの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による液晶表示装置の製造装置の実施形態を示す正面図であり、図2は図1のO−O線断面図、図3は図1の部分断面平面図、図4は図1の右側面図である。この液晶表示装置の製造装置は、一対の基板間に複数の画素をマトリクス状に形成し、液晶を封止した液晶表示用基板の各画素に電界を印加した状態で液晶表示用基板に紫外線を照射して、液晶の分子を所定方向に配向させるためのもので、ステージ1と、プローバー2と、光源装置3と、搬送手段4と、アライメントカメラ5と、エアナイフ6とを備えて成る。
【0018】
ここで使用する液晶表示用基板7は、カラーフィルタがTFTの上部に連続形成されるCOA(Color filter On Array)構成を有するもので、図5に示すように、中央部に複数の画素8をマトリクス状に備えて表示領域9と成し、図6に示すように、TFT基板10のサイズよりも対向電極基板11のサイズの方が大きくされたものである。そして、対向電極基板11のTFT基板10側の面11aにて互いに隣接する少なくとも二つの縁部11b,11c(図5参照)に上記複数の画素8に駆動信号を供給するための複数の電極12を並べて有する複数の電極群13を備えている。なお、図6において、符号14は液晶層を示し、符号15はシール材を示している。
【0019】
上記ステージ1は、液晶表示用基板7を吸着して保持するものであり、図2及び図7に示すように、中央部に凹陥部16を形成し、液晶表示用基板7の一面に接触して冷却する冷却媒体としての冷却水、例えば生活用水、工業用水又は純水等を貯留可能とし、凹陥部16を囲む側壁17の上面は平滑面に形成され、この上面に複数の吸引噴出口18を形成し、該各吸引噴出口18からエアを吸引して液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aの周縁近傍部を上記側壁17の上面に吸着し、各吸引噴出口18からエアを噴出して液晶表示用基板7を浮上させるようになっている。なお、上記各吸引噴出口18には、夫々図示省略の管が接続されている。さらに、これらの管の末端は、一つにまとめられて2系統の切換弁に接続されており、この切換弁の一方は図示省略の吸引ポンプに接続され、他方は図示省略のエアコンプレッサに接続されている。この場合、液晶表示用基板7をステージ1上に吸着保持するときには、切換弁を吸引ポンプ側に切り換えて吸引噴出口18からエアを吸引する。また、液晶表示用基板7と後述のプローバー2とのアライメント粗調整をする際、及び液晶表示用基板7を搬出する際には、切換弁をエアコンプレッサ側に切り換え、上記吸引噴出口18からエアを噴出して液晶表示用基板7を浮上させる。
【0020】
ここで、上記凹陥部16の底面には、冷却水を噴出してステージ1に吸着保持された液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに吹き付ける複数の噴出口19と、冷却水を排出する図示省略の排出口とを備えている。なお、上記排出口は、図2に示すように縦横に交差して設けられた複数の排水溝20に繋げて設けられている。また、上記各噴出口19は、排水溝20に囲まれた複数の島21の内側に設けられており、図7に示すように給水路43の一方端を各噴出口19としている。そして、この給水路43の他方端には、図示省略の給水管が接続され、この給水管の末端は図示省略の貯水タンクから冷却水を汲み上げる給水ポンプに接続されている。また、排出口には、図示省略の排水管が接続されており、この排水管の末端は貯水タンクに接続されて、冷却水を循環使用することができるようになっている。
【0021】
また、上記凹陥部16の底面にて上記各島21内には、複数のフォトセンサー22が設けられている。このフォトセンサー22は、液晶表示用基板7の点灯状態を検査するもので、液晶表示用基板7の透過光を受光するようになっている。
【0022】
さらに、上記凹陥部16の底面にて上記排水溝20内には、複数のリフトピン23が設けられている。これらのリフトピン23は、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aを支持して一緒に昇降するもので、各リフトピン23の先端位置は、略同じ高さ位置となるように形成されている。また、リフトピン23の周囲は漏水防止処理がなされて、冷却水がリフトピン23を伝って漏水しないようになっている。
【0023】
そして、上記凹陥部16の開口部側には、複数のワイヤ45が張設されている。この複数のワイヤ45は、ステージ1に吸着保持された液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに当接して液晶表示用基板7を下方から支持するものであり、上記各島21を取り囲んで凹陥部16内に突設されたワイヤ保持枠46の上端部に張設された例えば金属製ワイヤ又は金属製網である。
【0024】
上記ステージ1を取り囲んで設けられた枠状のプローバー保持部44の少なくとも隣接する二つの縁部44a,44b(図2参照)には、プローバー2が配設されている。このプローバー2は、液晶表示用基板7の縁部に形成された複数の電極12に接続して通電する複数の端子27を備えた複数のプローバーユニット2aを並べて設けたもので、これら複数の端子27の先端部をステージ1の上記側壁17の上面よりも上方に突出させて(図7参照)、ステージ1に載置された液晶表示用基板7の対向電極基板11に形成された複数の電極12に接触させることができるようになっている。この複数の端子27は、外部から押圧力を加えると縮み、押圧力を取り去ると元の状態に復帰するように伸縮自在に形成されたコンタクトピンであり、ステージ1に載置された液晶表示用基板7の複数の電極12に略一定の圧力で接触するようにされている。そして、プローバー保持部44は、X軸,Y軸方向に移動可能に形成され、その中心を軸に回動可能に形成されており、プローバー2の端子27を液晶表示用基板7の電極12に対してアライメントすることができるようになっている。
【0025】
なお、上記ステージ1及びプローバー保持部44は、それらを取り囲んで設けられた筐体24の内側に収容されており、筐体24の側面に形成された搬入搬出口25を通して、ステージ1に液晶表示用基板7を搬入搬出することができるようになっている。また、この搬入搬出口25には、図4に破線で示す矢印方向に回動して搬入搬出口25を開閉するシャッタ26が取付けられており、紫外線照射中には閉じられて紫外線が外部に漏れないようにされている。
【0026】
上記ステージ1の上方には、光源装置3が配設されている。この光源装置3は、ステージ1に保持された液晶表示用基板7に紫外線を照射するもので、図3に示すように、複数のフラッシュランプ28を備えた複数のランプユニット29をマトリクス状に配設している。このランプユニット29は、例えば4本のフラッシュランプ28と、これらフラッシュランプ28を囲って設けられ、下面側を開口し、フラッシュランプ28から放射された光を多重反射して均一化して上記開口から放出させるリフレクタ30とから成る。そして、このリフレクタ30の後端部は、前端部から切り離して取り外し可能に形成されており、フラッシュランプ28の交換を容易にしている。
【0027】
また、光源装置3は、図示省略の移動手段により、ステージ1に平行な面内をX軸,Y軸方向に移動可能にされ、フラッシュランプ28の点灯中に上記面内を所定の振幅で前後左右(X軸,Y軸方向)に揺動して、隣接するランプユニット29間に対応した液晶表示用基板7面の領域にも紫外線を均一に照射できるようにしている。
【0028】
さらに、上記4本のフラッシュランプ28には、図8に示すような駆動回路が接続されており、同図に示すスイッチングトランジスタ31a〜31dを所定の時間間隔でON・OFF駆動して、4本のフラッシュランプ28を夫々所定の遅れ時間で所定時間だけ順次点灯させるようになっている。
【0029】
ここで、上記4本のフラッシュランプ28の点灯を図9のタイミングチャートを参照して説明する。
先ず、例えばAC200Vの交流電圧が供給されると、この交流電圧は、図8に示すAC/DC変換器32により直流に変換される。これにより、キャパシタ33には、図9(a)に示すように所定の電荷が蓄積される。また、各フラッシュランプ28a〜28dには、同図(b)に示すように微弱な電流が供給され、各フラッシュランプ28a〜28dがシマー放電(予備点灯)する。このシマー放電状態においては、フラッシュランプ28は白色光を放出するため、フラッシュランプ28を液晶表示用基板7の点灯検査用バックライトとして使用することができる。続いて、スイッチングトランジスタ31aに同図(c)に示すようなAフラッシュパルスが供給されると、スイッチングトランジスタ31aがON駆動してDC電圧がフラッシュランプ28aに供給され、フラッシュランプ28aが例えばTw=200μsだけ点灯する。その後、同図(d)〜(f)に示すようにスイッチングトランジスタ31b〜31dにB〜Dフラッシュパルスが夫々時間Tdだけ遅れて順次供給される。これにより、スイッチングトランジスタ31b〜31dが順番にON・OFF駆動し、上述と同様にしてフラッシュランプ28b〜28dがそれぞれ例えばTw=200μsだけ順次点灯する。そして、所定時間だけA〜Dフラッシュパルスを繰り返し供給して各フラッシュランプ8a〜8dを順次点灯し、所定の照射光量を得る。
【0030】
上記ステージ1の側方には、搬送手段4が設けられている。この搬送手段4は、ステージ1に対して液晶表示用基板7を搬入及び搬出するもので、液晶表示用基板7のステージ1側とは反対側の面、即ち対向電極基板11の上面11d(図6参照)を吸着して保持する複数のアーム34を備えたロボットである。この搬送手段4は、図4に示すレール35上をY軸方向に前進後退すると共に、ヘッド部36が回転軸37を中心にして360°回転するようになっている。また、各アーム34の下面には、複数の吸盤及び該各吸盤の中心部に吸引口38が形成されている。さらに、図2に示すように、各吸引口38は、アーム34の内部に形成された溝39に繋がり、例えば各アーム34の根元部に形成された穴40(図3参照)に接続された図示省略のチューブを介して別の吸引ポンプで吸引できるようになっている。
【0031】
上記ステージ1の上方には、アライメントカメラ5が設けられている。このアライメントカメラ5は、液晶表示用基板7に設けられたアライメントマークを検出して液晶表示用基板7の電極12とプローバー2の端子27とのアライメントをとるためのものであり、プローバー保持部44に固定されて該プローバー保持部44と共にX軸,Y軸方向に移動し、プローバー保持部44の中心を軸として回動するようになっている。
【0032】
上記ステージ1の液晶表示用基板7の搬入及び搬出側には、エアナイフ6が設けられている。このエアナイフ6は、液晶表示用基板7の一面、即ちTFT基板10の裏面10a(図6参照)に圧縮空気を噴射して付着した冷却水を吹き飛ばして急速乾燥させるもので、配管により図示省略のエアコンプレッサに接続されている。なお、噴射する気体は、空気に限られず、窒素やアルゴン等の不活性ガスであってもよい。
【0033】
次に、このように構成された液晶表示装置の製造装置の動作、及び液晶表示装置の製造について図10のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS1においては、搬送手段4により液晶表示用基板7をその対向電極基板11の上面11dを搬送手段4のアーム34の下面に吸着してY軸方向に搬送し、ステージ1上に位置付ける。
【0034】
ステップS2においては、リフトピン23を上昇してその先端を液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに突き当てる。リフトピン23の先端が液晶表示用基板7に当接すると、それを図示省略のセンサーで検出し、搬送手段4のアーム34への液晶表示用基板7の吸着を解除する。これにより、液晶表示用基板7が搬送手段4からリフトピン23に受け渡される。なお、搬送手段4は、液晶表示用基板7の受け渡しが終了するとY軸方向に移動して元の位置まで退避する。
【0035】
ステップS3においては、図7に示すように、リフトピン23をZ軸方向に下降させて液晶表示用基板7をステージ1上に載置する。このとき、リフトピン23は、さらに下降して、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aから離れる。液晶表示用基板7がステージ1上に載置されると、これを図示省略のセンサーにより検出し、制御手段により制御して図示省略のエアコンプレッサを駆動すると共に切換弁をエアコンプレッサ側に切り換え、凹陥部16の側壁17の上面の吸引噴出口18からエアを噴出して液晶表示用基板7を浮上させる。この状態で、図示省略の押圧ピンにより液晶表示用基板7をその対角線方向に押して、該対角線方向にてステージ1の隣接する二つの縁部に設けられた図示省略の位置決め用突部に押し当てる。これにより、液晶表示用基板7がステージ1上の所定位置に配置され、液晶表示用基板7の電極12とプローバー2の端子27とのアライメント粗調整がなされることになる。その後、上記切換弁を吸引ポンプ側に切り換えて吸引噴出口18から吸引して液晶表示用基板7を凹陥部16の側壁17の上面に吸着保持する。このとき、プローバー保持部44上に設けられたプローバー2の複数の端子27が液晶表示用基板7によって押し下げられ、液晶表示用基板7の対向電極基板11の縁部に設けられた複数の電極12に圧接する。また、液晶表示用基板7は、凹陥部16の開口部側にてワイヤ保持枠46の上端部に張設された複数のワイヤ45によってTFT基板10の裏面10aが下方から支持される。これにより、液晶表示用基板7の撓みが抑えられる。
【0036】
ステップS4においては、アライメントカメラ5をON駆動し、液晶表示用基板7の四つの隅部に設けられたアライメントマーク41を撮像する。この場合、図11(a)に示すように、アライメントマーク41がアライメントカメラ5の視野42の中心からずれているときには、アライメントマーク41の撮像画像に基づいて図示省略の制御手段でアライメントカメラ5の視野42の中心からのアライメントマーク41のずれ量、即ちX軸,Y軸方向のずれ量及び回転角度を算出し、これらずれ量及び回転角度に応じてプローバー保持部44をX軸,Y軸方向に移動すると共に回転して、同図(b)に示すようにアライメントマーク41をアライメントカメラ5の視野42の中心に位置付ける。これにより、液晶表示用基板7の電極12に対してプローバー2の端子27が正確にアライメントされることになる。
【0037】
ステップS5においては、光源装置3を駆動する。この場合、先ず、微弱な電流を複数のランプユニット29の各フラッシュランプ28a〜28dに供給し、各フラッシュランプ28a〜28dをシマー放電する。したがって、各フラッシュランプ28a〜28dは、白色光を放出することになる。同時に、図示省略の信号源からプローバー2を介して液晶表示用基板7の複数の電極12に通電し、複数の画素8に所定量の電界を印加して各画素8をON駆動する。これにより、白色光は、液晶表示用基板7を透過可能となり、この透過光をステージ1の凹陥部16の底面に設けた複数のフォトセンサー22により検出して液晶表示用基板7の点灯状態を確認する。
【0038】
ステップS6においては、液晶表示用基板7の全面点灯が確認されると、給水ポンプを駆動して貯水タンクから冷却水を汲み上げ、この冷却水をステージ1の凹陥部16の底面に設けた噴出口19から噴出し、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに吹付ける。このとき、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aと複数のワイヤ45とは、線接触しているので、TFT基板10の裏面10aに吹付けられた冷却水は、TFT基板10の凹陥部16に面した部分の略全面に均等に当たり、液晶表示用基板7を効率よく冷却することができる。冷却水は、その後、排水溝20を通って排出口から排出されて貯水タンクに戻され、別に設けたチラーにより所定温度に冷却されて循環使用される。
【0039】
ステップS7においては、各画素8に所定量の電界を印加した状態で図8に示す各スイッチングトランジスタ31a〜31dに図9(c)〜(f)に示すA〜Dフラッシュパルスを遅れ時間Tdで順次供給し、各フラッシュランプ28a〜28dを順番に時間Twだけ点灯する。この場合、A〜Dフラッシュパルスは、所定の照射光量が得られるまで所定時間だけ繰り返し供給される。したがって、フラッシュランプ28a〜28dを同時に点灯させた場合のように、大量の照射エネルギーが集中して供給されることがなく、照射エネルギーを分散させることができ、液晶の発熱をより抑制することができる。なお、ステップS7実行中は、光源装置3は、X軸,Y軸方向に所定の振幅で揺動されて、隣接するランプユニット29間に対応した液晶表示用基板7の領域にも紫外線が均一に照射される。これにより、液晶表示用基板7の表示領域9内の液晶分子を所定方向に均一に配向させることができる。
【0040】
ステップS8においては、各画素8への電界の印加を取り去った状態でステップS7と同様にして液晶表示用基板7に所定光量の紫外線を照射する。これにより、各画素8の液晶分子の配向が定着され、各画素8に印加された電界を取り去った後に液晶分子が初期状態に戻るのを防止して、液晶分子の配向を安定化することができる。
【0041】
ステップS9においては、光源装置3をOFF駆動すると共に、給水ポンプを停止し、ステージ1の凹陥部16内の冷却水を排水する。
【0042】
ステップS10においては、搬送手段4をY軸方向に移動してアーム34をステージ1の上方に位置付ける。次に、ステージ1の吸引ポンプを停止して、凹陥部16の側壁17上面への液晶表示用基板7の吸着を解除する。
【0043】
ステップS11においては、切換弁を切り換えると共にエアコンプレッサを駆動し、吸引噴出口18からエアを噴出して液晶表示用基板7を浮上させる。その後、リフトピン23を上昇して、液晶表示用基板7を対向電極基板11の上面11dがアーム34の下面に当接するまで持ち上げる。液晶表示用基板7がアーム34に当接したことをセンサーで検出すると、搬送手段4の吸引ポンプを駆動して液晶表示用基板7をアーム34の下面に吸着し、液晶表示用基板7をリフトピン23から搬送手段4へ受け渡す。なお、液晶表示用基板7の受け渡しが終了すると、リフトピン23は、所定位置まで下降する。
【0044】
ステップS12においては、搬送手段4は、Y軸方向に移動して液晶表示用基板7を搬出する。このとき、ステージ1の搬入及び搬出側に設けたエアナイフ6から圧縮空気を噴射し、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに付着した冷却水を吹き飛ばして基板を乾燥する。
【0045】
なお、上記実施形態においては、ステップS8で各画素8への電界の印加を取り去った状態で液晶表示用基板7に所定光量の紫外線を照射する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、ステップS7において、液晶分子の配向が十分に安定して得られるときには、ステップS8は省略してもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、ステージ1を囲んで移動可能に設けられた枠状のプローバー保持部44にプローバー2を設ける場合について説明したが、本発明はこれに限られず、プローバー2は、ステージ1の少なくとも隣接する二つの縁部にX軸、Y軸方向に移動可能に、またプローバー2の中心を軸として回転可能に設けてもよい。この場合、アライメントカメラ5は、液晶表示用基板7の電極12とプローバー2の端子27の先端部の両方を観察できるように設けるとよい。又は、上記ステップS3において、液晶表示用基板7の電極12とプローバー2の端子27とを所定の許容範囲内でアライメントすることができるならば、プローバー2は、ステージ1の縁部に固定して設けられてもよい。この場合、上記ステップS4は省略することができ、アライメントカメラ5は無くてもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態においては、液晶表示用基板7の複数の電極12を対向電極基板11側に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限られず、TFT基板10側に設けてもよい。この場合、プローバー2は、液晶表示用基板7がステージ1に載置されるときには、ステージ1の側方の待機位置に退避させておき、液晶表示用基板7がステージ1に載置されると基板の複数の電極の上方まで移動して各電極にプローバー2の各端子27を上方から接触させるようにするとよい。
【0048】
そして、上記実施形態においては、TFT基板10の裏面10aを冷却水に接触させる場合について説明したが、本発明はこれに限られず、対向電極基板11の上面11dを冷却水に接触させてもよい。この場合、光源装置3は、ステージ1の凹陥部16の底面に配設されることになり、フラッシュランプ28としては、防水型のものが使用される。
【0049】
また、上記実施形態においては、冷却媒体として冷却水を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、基板の一面に接触して冷却することができるものであれば、例えば不凍液等如何なるものであってもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態においては、凹陥部16の開口部側に複数のワイヤ45を張設した場合について説明したが、本発明はこれに限られず、図12に示すように、複数のワイヤ45に交差してワイヤ保持枠46の対辺間に掛け渡され、複数のワイヤ45を下方から支持する少なくとも一つの梁部47を備えてもよい。これにより、ワイヤ45の撓みが抑えられ、液晶表示用基板7の撓みをより抑制することができる。なお、この場合、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aと接触するのは、複数のワイヤ45であるため、TFT基板10の裏面10aと複数のワイヤ45との線接触が維持され、冷却水による液晶表示用基板7の冷却効率は、ワイヤ45のみで液晶表示用基板7を支持したときと略同じ効率が維持される。
【0051】
そして、以上の説明においては、TFT基板10がCOA構成を有するものである場合について述べたが、本発明はこれに限られず、紫外線の照射により液晶分子の配向制御を行うものであれば如何なるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による液晶表示装置の製造装置の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のO−O線断面矢視図である。
【図3】図1の部分断面平面図である。
【図4】図1の側面図である。
【図5】上記製造装置に使用する液晶表示用基板の一構成例を示す平面図である。
【図6】上記液晶表示用基板の中心線断面図である。
【図7】図2のP−P線断面矢視図である。
【図8】上記製造装置に使用する光源装置の駆動回路の一構成例を示す説明図である。
【図9】上記光源装置を駆動するタイミングチャートである。
【図10】本発明による液晶表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図11】アライメントカメラを使用して行う液晶表示用基板とプローバーとのアライメントについて示す説明図である。
【図12】上記製造装置のステージに載置された液晶表示用基板を複数のワイヤ及び梁部で支持した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1…ステージ
2…プローバー
3…光源装置
4…搬送手段
6…エアナイフ
7…液晶表示用基板
12…電極
16…凹陥部
17…側壁
19…噴出口
22…フォトセンサー
27…端子
28,28a〜28d…フラッシュランプ
29…ランプユニット
45…ワイヤ
47…梁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を封止した液晶表示用基板に電界を印加した状態で紫外線を照射して液晶分子を所定方向に配向させる液晶表示装置の製造装置に関し、詳しくは、液晶が紫外線を吸収して高温に発熱するのを抑えて液晶分子の配向の安定化を図ると共に、液晶表示装置の製造効率の向上を可能にする液晶表示装置の製造装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の液晶表示装置の製造装置は、液晶にモノマーを混合した液晶材料を一対の基板間に封止した液晶表示パネルを紫外線照射装置内に載置し、電圧印加装置から基板間に電圧を印加して液晶分子を傾斜させた状態で紫外線照射装置の高圧水銀ランプから紫外線を液晶表示パネルに照射し、上記モノマーを重合してポリマー化し、液晶分子の配向方向を規定するものとなっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような液晶表示装置の製造装置は、配向膜をラビング処理することにより液晶分子を所定方向に配向させるものに比べて、非接触で液晶分子を配向させることができるため、欠陥の発生を抑制することができるという特徴を有している。
【特許文献1】特開2003−228050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の液晶表示装置の製造装置においては、液晶が紫外線を吸収して80℃以上に発熱する場合があり、液晶が光の透過及び遮断のスイッチング機能を消失して適切な画像表示ができなくなるという不具合が発生するおそれがあった。
【0005】
液晶の発熱の問題に対しては、紫外線の照射を時分割して一定の時間間隔で行うことにより対処することができるが、この場合、液晶表示装置の製造効率が悪くなるという問題がある。
【0006】
また、液晶の発熱の問題に対しては、液晶表示用基板を複数のピンで支え、例えば冷風を吹付けて基板を冷却するという対処法も考えられるが、この場合、液晶表示用基板をピンで受けるとピン周辺部の液晶が部分的にピン圧により移動してしまい、ピン周辺の配向状態又はポリマーの分布が変わるため、配向ムラが発生してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、液晶が紫外線を吸収して高温に発熱するのを抑えて液晶分子の配向の安定化を図ると共に、液晶表示装置の製造効率の向上を可能にする液晶表示装置の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、一対の基板間に複数の画素をマトリクス状に形成して液晶を封止し、少なくとも隣接する二つの縁部に前記画素を駆動するための複数の電極を形成した液晶表示用基板の前記各電極に通電して前記各画素に電界を印加した状態で、前記液晶表示用基板に紫外線を照射して前記液晶の分子を所定方向に配向させる液晶表示装置の製造装置であって、中央に前記液晶表示用基板の一面に接触して冷却する冷却媒体を貯留する凹陥部を形成し、上面に前記液晶表示用基板の一面の周縁近傍部を吸着して保持するステージと、前記凹陥部の開口部側に張設され、前記ステージに保持された前記液晶表示用基板の前記一面を支持する複数のワイヤと、前記ステージの少なくとも隣接する二つの縁部近傍に配設され、前記ステージに保持された液晶表示用基板の前記複数の電極に接続して通電する複数の端子を設けたプローバーと、前記ステージの上方に配設され、前記ステージに保持された液晶表示用基板に紫外線を照射する光源装置と、を備えたものである。
【0009】
このような構成により、中央に凹陥部を形成したステージの上面に、一対の基板間に複数の画素をマトリクス状に形成し液晶を封止した液晶表示用基板の一面の周縁近傍部を吸着して保持し、凹陥部の開口部側に張設された複数のワイヤでステージに保持された液晶表示用基板の一面を支持し、凹陥部に冷却媒体を貯留してこの冷却媒体を液晶表示用基板の一面に接触させて冷却し、ステージの少なくとも隣接する二つの縁部近傍に配設されたプローバーの複数の端子を液晶表示用基板の少なくとも隣接する二つの縁部に形成された複数の電極に接続して通電し、上記各画素に電界を印加した状態でステージの上方に配設された光源装置により液晶表示用基板に紫外線を照射して、液晶の分子を所定方向に配向させる。
【0010】
前記ステージの凹陥部の底面には、前記冷却媒体を噴出して前記ステージに吸着保持された前記液晶表示用基板の一面に吹き付ける噴出口を備えた。これにより、ステージの凹陥部の底面に備えた噴出口から冷却媒体を噴出してステージに吸着保持された液晶表示用基板の一面に吹き付ける。
【0011】
さらに、前記冷却媒体は、所定温度に冷却された水である。これにより、所定温度に冷却された水で液晶表示用基板の一面を冷却する。
【0012】
そして、前記複数のワイヤに交差して掛け渡され、前記複数のワイヤを下方から支持する少なくとも一つの梁部を備えたものである。これにより、複数のワイヤに交差して掛け渡された少なくとも一つの梁部で複数のワイヤを下方から支持する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る液晶表示装置の製造装置によれば、冷却媒体で液晶表示用基板を冷却することができ、液晶が紫外線を吸収して高温に発熱するのを効率よく抑制することができる。したがって、液晶分子の配向の安定化を図ることができ、表示品質の高い液晶表示装置を安定して製造することができる。また、紫外線の照射を時分割して行う必要が無いため、液晶表示装置の製造効率を向上することができる。さらに、ステージに吸着して保持された液晶表示用基板をワイヤで下方から支持しているので、液晶表示用基板の撓みを抑えることができる。また、液晶表示用基板をピンで受けるようにしたものではないので、ピン周辺部の液晶が部分的にピン圧により移動してしまい、ピン周辺の配向状態又はポリマーの分布が変わってしまうというおそれがない。したがって、液晶分子の配向をより安定化させることができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明によれば、液晶表示用基板と冷却媒体との接触界面に空気層が発生するのを防止して、液晶表示用基板の冷却効率を向上することができる。
【0015】
さらに、請求項3に係る発明によれば、冷却媒体として所定温度に冷却された水を使用することができ、安全且つ衛生的で冷却媒体の取扱いが容易である。
【0016】
そして、請求項4に係る発明によれば、ワイヤの撓みを抑えて、液晶表示用基板の撓みをより一層抑制することができる。したがって、液晶分子の配向をより一層安定化させることができる。この場合、液晶表示用基板を支持しているのはワイヤであるので、液晶表示用基板とワイヤの接触は線接触となり、冷却媒体を基板の一面に略均等に接触させることができる。したがって、液晶表示用基板の一面を略均等に冷却することができ、液晶の配向むらの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による液晶表示装置の製造装置の実施形態を示す正面図であり、図2は図1のO−O線断面図、図3は図1の部分断面平面図、図4は図1の右側面図である。この液晶表示装置の製造装置は、一対の基板間に複数の画素をマトリクス状に形成し、液晶を封止した液晶表示用基板の各画素に電界を印加した状態で液晶表示用基板に紫外線を照射して、液晶の分子を所定方向に配向させるためのもので、ステージ1と、プローバー2と、光源装置3と、搬送手段4と、アライメントカメラ5と、エアナイフ6とを備えて成る。
【0018】
ここで使用する液晶表示用基板7は、カラーフィルタがTFTの上部に連続形成されるCOA(Color filter On Array)構成を有するもので、図5に示すように、中央部に複数の画素8をマトリクス状に備えて表示領域9と成し、図6に示すように、TFT基板10のサイズよりも対向電極基板11のサイズの方が大きくされたものである。そして、対向電極基板11のTFT基板10側の面11aにて互いに隣接する少なくとも二つの縁部11b,11c(図5参照)に上記複数の画素8に駆動信号を供給するための複数の電極12を並べて有する複数の電極群13を備えている。なお、図6において、符号14は液晶層を示し、符号15はシール材を示している。
【0019】
上記ステージ1は、液晶表示用基板7を吸着して保持するものであり、図2及び図7に示すように、中央部に凹陥部16を形成し、液晶表示用基板7の一面に接触して冷却する冷却媒体としての冷却水、例えば生活用水、工業用水又は純水等を貯留可能とし、凹陥部16を囲む側壁17の上面は平滑面に形成され、この上面に複数の吸引噴出口18を形成し、該各吸引噴出口18からエアを吸引して液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aの周縁近傍部を上記側壁17の上面に吸着し、各吸引噴出口18からエアを噴出して液晶表示用基板7を浮上させるようになっている。なお、上記各吸引噴出口18には、夫々図示省略の管が接続されている。さらに、これらの管の末端は、一つにまとめられて2系統の切換弁に接続されており、この切換弁の一方は図示省略の吸引ポンプに接続され、他方は図示省略のエアコンプレッサに接続されている。この場合、液晶表示用基板7をステージ1上に吸着保持するときには、切換弁を吸引ポンプ側に切り換えて吸引噴出口18からエアを吸引する。また、液晶表示用基板7と後述のプローバー2とのアライメント粗調整をする際、及び液晶表示用基板7を搬出する際には、切換弁をエアコンプレッサ側に切り換え、上記吸引噴出口18からエアを噴出して液晶表示用基板7を浮上させる。
【0020】
ここで、上記凹陥部16の底面には、冷却水を噴出してステージ1に吸着保持された液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに吹き付ける複数の噴出口19と、冷却水を排出する図示省略の排出口とを備えている。なお、上記排出口は、図2に示すように縦横に交差して設けられた複数の排水溝20に繋げて設けられている。また、上記各噴出口19は、排水溝20に囲まれた複数の島21の内側に設けられており、図7に示すように給水路43の一方端を各噴出口19としている。そして、この給水路43の他方端には、図示省略の給水管が接続され、この給水管の末端は図示省略の貯水タンクから冷却水を汲み上げる給水ポンプに接続されている。また、排出口には、図示省略の排水管が接続されており、この排水管の末端は貯水タンクに接続されて、冷却水を循環使用することができるようになっている。
【0021】
また、上記凹陥部16の底面にて上記各島21内には、複数のフォトセンサー22が設けられている。このフォトセンサー22は、液晶表示用基板7の点灯状態を検査するもので、液晶表示用基板7の透過光を受光するようになっている。
【0022】
さらに、上記凹陥部16の底面にて上記排水溝20内には、複数のリフトピン23が設けられている。これらのリフトピン23は、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aを支持して一緒に昇降するもので、各リフトピン23の先端位置は、略同じ高さ位置となるように形成されている。また、リフトピン23の周囲は漏水防止処理がなされて、冷却水がリフトピン23を伝って漏水しないようになっている。
【0023】
そして、上記凹陥部16の開口部側には、複数のワイヤ45が張設されている。この複数のワイヤ45は、ステージ1に吸着保持された液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに当接して液晶表示用基板7を下方から支持するものであり、上記各島21を取り囲んで凹陥部16内に突設されたワイヤ保持枠46の上端部に張設された例えば金属製ワイヤ又は金属製網である。
【0024】
上記ステージ1を取り囲んで設けられた枠状のプローバー保持部44の少なくとも隣接する二つの縁部44a,44b(図2参照)には、プローバー2が配設されている。このプローバー2は、液晶表示用基板7の縁部に形成された複数の電極12に接続して通電する複数の端子27を備えた複数のプローバーユニット2aを並べて設けたもので、これら複数の端子27の先端部をステージ1の上記側壁17の上面よりも上方に突出させて(図7参照)、ステージ1に載置された液晶表示用基板7の対向電極基板11に形成された複数の電極12に接触させることができるようになっている。この複数の端子27は、外部から押圧力を加えると縮み、押圧力を取り去ると元の状態に復帰するように伸縮自在に形成されたコンタクトピンであり、ステージ1に載置された液晶表示用基板7の複数の電極12に略一定の圧力で接触するようにされている。そして、プローバー保持部44は、X軸,Y軸方向に移動可能に形成され、その中心を軸に回動可能に形成されており、プローバー2の端子27を液晶表示用基板7の電極12に対してアライメントすることができるようになっている。
【0025】
なお、上記ステージ1及びプローバー保持部44は、それらを取り囲んで設けられた筐体24の内側に収容されており、筐体24の側面に形成された搬入搬出口25を通して、ステージ1に液晶表示用基板7を搬入搬出することができるようになっている。また、この搬入搬出口25には、図4に破線で示す矢印方向に回動して搬入搬出口25を開閉するシャッタ26が取付けられており、紫外線照射中には閉じられて紫外線が外部に漏れないようにされている。
【0026】
上記ステージ1の上方には、光源装置3が配設されている。この光源装置3は、ステージ1に保持された液晶表示用基板7に紫外線を照射するもので、図3に示すように、複数のフラッシュランプ28を備えた複数のランプユニット29をマトリクス状に配設している。このランプユニット29は、例えば4本のフラッシュランプ28と、これらフラッシュランプ28を囲って設けられ、下面側を開口し、フラッシュランプ28から放射された光を多重反射して均一化して上記開口から放出させるリフレクタ30とから成る。そして、このリフレクタ30の後端部は、前端部から切り離して取り外し可能に形成されており、フラッシュランプ28の交換を容易にしている。
【0027】
また、光源装置3は、図示省略の移動手段により、ステージ1に平行な面内をX軸,Y軸方向に移動可能にされ、フラッシュランプ28の点灯中に上記面内を所定の振幅で前後左右(X軸,Y軸方向)に揺動して、隣接するランプユニット29間に対応した液晶表示用基板7面の領域にも紫外線を均一に照射できるようにしている。
【0028】
さらに、上記4本のフラッシュランプ28には、図8に示すような駆動回路が接続されており、同図に示すスイッチングトランジスタ31a〜31dを所定の時間間隔でON・OFF駆動して、4本のフラッシュランプ28を夫々所定の遅れ時間で所定時間だけ順次点灯させるようになっている。
【0029】
ここで、上記4本のフラッシュランプ28の点灯を図9のタイミングチャートを参照して説明する。
先ず、例えばAC200Vの交流電圧が供給されると、この交流電圧は、図8に示すAC/DC変換器32により直流に変換される。これにより、キャパシタ33には、図9(a)に示すように所定の電荷が蓄積される。また、各フラッシュランプ28a〜28dには、同図(b)に示すように微弱な電流が供給され、各フラッシュランプ28a〜28dがシマー放電(予備点灯)する。このシマー放電状態においては、フラッシュランプ28は白色光を放出するため、フラッシュランプ28を液晶表示用基板7の点灯検査用バックライトとして使用することができる。続いて、スイッチングトランジスタ31aに同図(c)に示すようなAフラッシュパルスが供給されると、スイッチングトランジスタ31aがON駆動してDC電圧がフラッシュランプ28aに供給され、フラッシュランプ28aが例えばTw=200μsだけ点灯する。その後、同図(d)〜(f)に示すようにスイッチングトランジスタ31b〜31dにB〜Dフラッシュパルスが夫々時間Tdだけ遅れて順次供給される。これにより、スイッチングトランジスタ31b〜31dが順番にON・OFF駆動し、上述と同様にしてフラッシュランプ28b〜28dがそれぞれ例えばTw=200μsだけ順次点灯する。そして、所定時間だけA〜Dフラッシュパルスを繰り返し供給して各フラッシュランプ8a〜8dを順次点灯し、所定の照射光量を得る。
【0030】
上記ステージ1の側方には、搬送手段4が設けられている。この搬送手段4は、ステージ1に対して液晶表示用基板7を搬入及び搬出するもので、液晶表示用基板7のステージ1側とは反対側の面、即ち対向電極基板11の上面11d(図6参照)を吸着して保持する複数のアーム34を備えたロボットである。この搬送手段4は、図4に示すレール35上をY軸方向に前進後退すると共に、ヘッド部36が回転軸37を中心にして360°回転するようになっている。また、各アーム34の下面には、複数の吸盤及び該各吸盤の中心部に吸引口38が形成されている。さらに、図2に示すように、各吸引口38は、アーム34の内部に形成された溝39に繋がり、例えば各アーム34の根元部に形成された穴40(図3参照)に接続された図示省略のチューブを介して別の吸引ポンプで吸引できるようになっている。
【0031】
上記ステージ1の上方には、アライメントカメラ5が設けられている。このアライメントカメラ5は、液晶表示用基板7に設けられたアライメントマークを検出して液晶表示用基板7の電極12とプローバー2の端子27とのアライメントをとるためのものであり、プローバー保持部44に固定されて該プローバー保持部44と共にX軸,Y軸方向に移動し、プローバー保持部44の中心を軸として回動するようになっている。
【0032】
上記ステージ1の液晶表示用基板7の搬入及び搬出側には、エアナイフ6が設けられている。このエアナイフ6は、液晶表示用基板7の一面、即ちTFT基板10の裏面10a(図6参照)に圧縮空気を噴射して付着した冷却水を吹き飛ばして急速乾燥させるもので、配管により図示省略のエアコンプレッサに接続されている。なお、噴射する気体は、空気に限られず、窒素やアルゴン等の不活性ガスであってもよい。
【0033】
次に、このように構成された液晶表示装置の製造装置の動作、及び液晶表示装置の製造について図10のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS1においては、搬送手段4により液晶表示用基板7をその対向電極基板11の上面11dを搬送手段4のアーム34の下面に吸着してY軸方向に搬送し、ステージ1上に位置付ける。
【0034】
ステップS2においては、リフトピン23を上昇してその先端を液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに突き当てる。リフトピン23の先端が液晶表示用基板7に当接すると、それを図示省略のセンサーで検出し、搬送手段4のアーム34への液晶表示用基板7の吸着を解除する。これにより、液晶表示用基板7が搬送手段4からリフトピン23に受け渡される。なお、搬送手段4は、液晶表示用基板7の受け渡しが終了するとY軸方向に移動して元の位置まで退避する。
【0035】
ステップS3においては、図7に示すように、リフトピン23をZ軸方向に下降させて液晶表示用基板7をステージ1上に載置する。このとき、リフトピン23は、さらに下降して、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aから離れる。液晶表示用基板7がステージ1上に載置されると、これを図示省略のセンサーにより検出し、制御手段により制御して図示省略のエアコンプレッサを駆動すると共に切換弁をエアコンプレッサ側に切り換え、凹陥部16の側壁17の上面の吸引噴出口18からエアを噴出して液晶表示用基板7を浮上させる。この状態で、図示省略の押圧ピンにより液晶表示用基板7をその対角線方向に押して、該対角線方向にてステージ1の隣接する二つの縁部に設けられた図示省略の位置決め用突部に押し当てる。これにより、液晶表示用基板7がステージ1上の所定位置に配置され、液晶表示用基板7の電極12とプローバー2の端子27とのアライメント粗調整がなされることになる。その後、上記切換弁を吸引ポンプ側に切り換えて吸引噴出口18から吸引して液晶表示用基板7を凹陥部16の側壁17の上面に吸着保持する。このとき、プローバー保持部44上に設けられたプローバー2の複数の端子27が液晶表示用基板7によって押し下げられ、液晶表示用基板7の対向電極基板11の縁部に設けられた複数の電極12に圧接する。また、液晶表示用基板7は、凹陥部16の開口部側にてワイヤ保持枠46の上端部に張設された複数のワイヤ45によってTFT基板10の裏面10aが下方から支持される。これにより、液晶表示用基板7の撓みが抑えられる。
【0036】
ステップS4においては、アライメントカメラ5をON駆動し、液晶表示用基板7の四つの隅部に設けられたアライメントマーク41を撮像する。この場合、図11(a)に示すように、アライメントマーク41がアライメントカメラ5の視野42の中心からずれているときには、アライメントマーク41の撮像画像に基づいて図示省略の制御手段でアライメントカメラ5の視野42の中心からのアライメントマーク41のずれ量、即ちX軸,Y軸方向のずれ量及び回転角度を算出し、これらずれ量及び回転角度に応じてプローバー保持部44をX軸,Y軸方向に移動すると共に回転して、同図(b)に示すようにアライメントマーク41をアライメントカメラ5の視野42の中心に位置付ける。これにより、液晶表示用基板7の電極12に対してプローバー2の端子27が正確にアライメントされることになる。
【0037】
ステップS5においては、光源装置3を駆動する。この場合、先ず、微弱な電流を複数のランプユニット29の各フラッシュランプ28a〜28dに供給し、各フラッシュランプ28a〜28dをシマー放電する。したがって、各フラッシュランプ28a〜28dは、白色光を放出することになる。同時に、図示省略の信号源からプローバー2を介して液晶表示用基板7の複数の電極12に通電し、複数の画素8に所定量の電界を印加して各画素8をON駆動する。これにより、白色光は、液晶表示用基板7を透過可能となり、この透過光をステージ1の凹陥部16の底面に設けた複数のフォトセンサー22により検出して液晶表示用基板7の点灯状態を確認する。
【0038】
ステップS6においては、液晶表示用基板7の全面点灯が確認されると、給水ポンプを駆動して貯水タンクから冷却水を汲み上げ、この冷却水をステージ1の凹陥部16の底面に設けた噴出口19から噴出し、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに吹付ける。このとき、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aと複数のワイヤ45とは、線接触しているので、TFT基板10の裏面10aに吹付けられた冷却水は、TFT基板10の凹陥部16に面した部分の略全面に均等に当たり、液晶表示用基板7を効率よく冷却することができる。冷却水は、その後、排水溝20を通って排出口から排出されて貯水タンクに戻され、別に設けたチラーにより所定温度に冷却されて循環使用される。
【0039】
ステップS7においては、各画素8に所定量の電界を印加した状態で図8に示す各スイッチングトランジスタ31a〜31dに図9(c)〜(f)に示すA〜Dフラッシュパルスを遅れ時間Tdで順次供給し、各フラッシュランプ28a〜28dを順番に時間Twだけ点灯する。この場合、A〜Dフラッシュパルスは、所定の照射光量が得られるまで所定時間だけ繰り返し供給される。したがって、フラッシュランプ28a〜28dを同時に点灯させた場合のように、大量の照射エネルギーが集中して供給されることがなく、照射エネルギーを分散させることができ、液晶の発熱をより抑制することができる。なお、ステップS7実行中は、光源装置3は、X軸,Y軸方向に所定の振幅で揺動されて、隣接するランプユニット29間に対応した液晶表示用基板7の領域にも紫外線が均一に照射される。これにより、液晶表示用基板7の表示領域9内の液晶分子を所定方向に均一に配向させることができる。
【0040】
ステップS8においては、各画素8への電界の印加を取り去った状態でステップS7と同様にして液晶表示用基板7に所定光量の紫外線を照射する。これにより、各画素8の液晶分子の配向が定着され、各画素8に印加された電界を取り去った後に液晶分子が初期状態に戻るのを防止して、液晶分子の配向を安定化することができる。
【0041】
ステップS9においては、光源装置3をOFF駆動すると共に、給水ポンプを停止し、ステージ1の凹陥部16内の冷却水を排水する。
【0042】
ステップS10においては、搬送手段4をY軸方向に移動してアーム34をステージ1の上方に位置付ける。次に、ステージ1の吸引ポンプを停止して、凹陥部16の側壁17上面への液晶表示用基板7の吸着を解除する。
【0043】
ステップS11においては、切換弁を切り換えると共にエアコンプレッサを駆動し、吸引噴出口18からエアを噴出して液晶表示用基板7を浮上させる。その後、リフトピン23を上昇して、液晶表示用基板7を対向電極基板11の上面11dがアーム34の下面に当接するまで持ち上げる。液晶表示用基板7がアーム34に当接したことをセンサーで検出すると、搬送手段4の吸引ポンプを駆動して液晶表示用基板7をアーム34の下面に吸着し、液晶表示用基板7をリフトピン23から搬送手段4へ受け渡す。なお、液晶表示用基板7の受け渡しが終了すると、リフトピン23は、所定位置まで下降する。
【0044】
ステップS12においては、搬送手段4は、Y軸方向に移動して液晶表示用基板7を搬出する。このとき、ステージ1の搬入及び搬出側に設けたエアナイフ6から圧縮空気を噴射し、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aに付着した冷却水を吹き飛ばして基板を乾燥する。
【0045】
なお、上記実施形態においては、ステップS8で各画素8への電界の印加を取り去った状態で液晶表示用基板7に所定光量の紫外線を照射する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、ステップS7において、液晶分子の配向が十分に安定して得られるときには、ステップS8は省略してもよい。
【0046】
また、上記実施形態においては、ステージ1を囲んで移動可能に設けられた枠状のプローバー保持部44にプローバー2を設ける場合について説明したが、本発明はこれに限られず、プローバー2は、ステージ1の少なくとも隣接する二つの縁部にX軸、Y軸方向に移動可能に、またプローバー2の中心を軸として回転可能に設けてもよい。この場合、アライメントカメラ5は、液晶表示用基板7の電極12とプローバー2の端子27の先端部の両方を観察できるように設けるとよい。又は、上記ステップS3において、液晶表示用基板7の電極12とプローバー2の端子27とを所定の許容範囲内でアライメントすることができるならば、プローバー2は、ステージ1の縁部に固定して設けられてもよい。この場合、上記ステップS4は省略することができ、アライメントカメラ5は無くてもよい。
【0047】
さらに、上記実施形態においては、液晶表示用基板7の複数の電極12を対向電極基板11側に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限られず、TFT基板10側に設けてもよい。この場合、プローバー2は、液晶表示用基板7がステージ1に載置されるときには、ステージ1の側方の待機位置に退避させておき、液晶表示用基板7がステージ1に載置されると基板の複数の電極の上方まで移動して各電極にプローバー2の各端子27を上方から接触させるようにするとよい。
【0048】
そして、上記実施形態においては、TFT基板10の裏面10aを冷却水に接触させる場合について説明したが、本発明はこれに限られず、対向電極基板11の上面11dを冷却水に接触させてもよい。この場合、光源装置3は、ステージ1の凹陥部16の底面に配設されることになり、フラッシュランプ28としては、防水型のものが使用される。
【0049】
また、上記実施形態においては、冷却媒体として冷却水を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限られず、基板の一面に接触して冷却することができるものであれば、例えば不凍液等如何なるものであってもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態においては、凹陥部16の開口部側に複数のワイヤ45を張設した場合について説明したが、本発明はこれに限られず、図12に示すように、複数のワイヤ45に交差してワイヤ保持枠46の対辺間に掛け渡され、複数のワイヤ45を下方から支持する少なくとも一つの梁部47を備えてもよい。これにより、ワイヤ45の撓みが抑えられ、液晶表示用基板7の撓みをより抑制することができる。なお、この場合、液晶表示用基板7のTFT基板10の裏面10aと接触するのは、複数のワイヤ45であるため、TFT基板10の裏面10aと複数のワイヤ45との線接触が維持され、冷却水による液晶表示用基板7の冷却効率は、ワイヤ45のみで液晶表示用基板7を支持したときと略同じ効率が維持される。
【0051】
そして、以上の説明においては、TFT基板10がCOA構成を有するものである場合について述べたが、本発明はこれに限られず、紫外線の照射により液晶分子の配向制御を行うものであれば如何なるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による液晶表示装置の製造装置の実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のO−O線断面矢視図である。
【図3】図1の部分断面平面図である。
【図4】図1の側面図である。
【図5】上記製造装置に使用する液晶表示用基板の一構成例を示す平面図である。
【図6】上記液晶表示用基板の中心線断面図である。
【図7】図2のP−P線断面矢視図である。
【図8】上記製造装置に使用する光源装置の駆動回路の一構成例を示す説明図である。
【図9】上記光源装置を駆動するタイミングチャートである。
【図10】本発明による液晶表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図11】アライメントカメラを使用して行う液晶表示用基板とプローバーとのアライメントについて示す説明図である。
【図12】上記製造装置のステージに載置された液晶表示用基板を複数のワイヤ及び梁部で支持した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1…ステージ
2…プローバー
3…光源装置
4…搬送手段
6…エアナイフ
7…液晶表示用基板
12…電極
16…凹陥部
17…側壁
19…噴出口
22…フォトセンサー
27…端子
28,28a〜28d…フラッシュランプ
29…ランプユニット
45…ワイヤ
47…梁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に複数の画素をマトリクス状に形成して液晶を封止し、少なくとも隣接する二つの縁部に前記画素を駆動するための複数の電極を形成した液晶表示用基板の前記各電極に通電して前記各画素に電界を印加した状態で、前記液晶表示用基板に紫外線を照射して前記液晶の分子を所定方向に配向させる液晶表示装置の製造装置であって、
中央に前記液晶表示用基板の一面に接触して冷却する冷却媒体を貯留する凹陥部を形成し、上面に前記液晶表示用基板の一面の周縁近傍部を吸着して保持するステージと、
前記凹陥部の開口部側に張設され、前記ステージに保持された前記液晶表示用基板の前記一面を支持する複数のワイヤと、
前記ステージの少なくとも隣接する二つの縁部近傍に配設され、前記ステージに保持された液晶表示用基板の前記複数の電極に接続して通電する複数の端子を設けたプローバーと、
前記ステージの上方に配設され、前記ステージに保持された液晶表示用基板に紫外線を照射する光源装置と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置の製造装置。
【請求項2】
前記ステージの凹陥部の底面には、前記冷却媒体を噴出して前記ステージに吸着保持された前記液晶表示用基板の一面に吹き付ける噴出口を備えたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造装置。
【請求項3】
前記冷却媒体は、所定温度に冷却された水であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置の製造装置。
【請求項4】
前記複数のワイヤに交差して掛け渡され、前記複数のワイヤを下方から支持する少なくとも一つの梁部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造装置。
【請求項1】
一対の基板間に複数の画素をマトリクス状に形成して液晶を封止し、少なくとも隣接する二つの縁部に前記画素を駆動するための複数の電極を形成した液晶表示用基板の前記各電極に通電して前記各画素に電界を印加した状態で、前記液晶表示用基板に紫外線を照射して前記液晶の分子を所定方向に配向させる液晶表示装置の製造装置であって、
中央に前記液晶表示用基板の一面に接触して冷却する冷却媒体を貯留する凹陥部を形成し、上面に前記液晶表示用基板の一面の周縁近傍部を吸着して保持するステージと、
前記凹陥部の開口部側に張設され、前記ステージに保持された前記液晶表示用基板の前記一面を支持する複数のワイヤと、
前記ステージの少なくとも隣接する二つの縁部近傍に配設され、前記ステージに保持された液晶表示用基板の前記複数の電極に接続して通電する複数の端子を設けたプローバーと、
前記ステージの上方に配設され、前記ステージに保持された液晶表示用基板に紫外線を照射する光源装置と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置の製造装置。
【請求項2】
前記ステージの凹陥部の底面には、前記冷却媒体を噴出して前記ステージに吸着保持された前記液晶表示用基板の一面に吹き付ける噴出口を備えたことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の製造装置。
【請求項3】
前記冷却媒体は、所定温度に冷却された水であることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置の製造装置。
【請求項4】
前記複数のワイヤに交差して掛け渡され、前記複数のワイヤを下方から支持する少なくとも一つの梁部を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−79144(P2010−79144A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249682(P2008−249682)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】
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