説明

液晶表示装置用シーラント組成物

【課題】分散安全性が優れた液晶表示装置用シーラント組成物を提供する。
【解決手段】式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物を含む。


式(1)において、A、B、C、およびDは式(2)〜(11)から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用シーラント組成物に関し、特に、硬化性樹脂と無機物の分散安全性を図って硬化時間を短縮し、貯蔵安定性に優れ、液晶に対する汚染性が少なく、硬化後の接着強度に優れた液晶表示装置用シーラント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置(FPD)の一種である液晶表示装置(LCD)は、2つの基板および2つの基板の間に介在する液晶を含む。2つの基板の間に液晶を介在させるためには、2つの基板のうちのいずれか1つの基板エッジにシーラント組成物を塗布して2つの基板を接着した後、シーラント組成物を硬化させなければならない。ところが、硬化工程の途中または完了後にシーラント組成物またはその硬化物が液晶と直接接触するようになるため、硬化工程は迅速に実行されなければならず、これと共にシーラント組成物またはその硬化物が液晶に溶出してはならない。また、外力に対する液晶表示装置の信頼性向上のために、硬化物は強い接着強度を有することが望ましい。
【0003】
液晶セルの大型化および量産化のために光硬化と熱硬化との併用法が用いられており、エポキシ部分にアクリレート樹脂を有する接着剤が用いられている。大型化工程に所要する時間を短縮するために用いられる光硬化と熱硬化とを併用するシーラント組成物を用いた液晶滴下工法は、一方の透明基板にシーラント組成物パターンを形成し、内側に液晶を滴下し、他の一方の透明基板を重ねて密封する液晶セルの製造方法である。しかしながら、最近では、液晶滴下工法では液晶と未硬化状態のシーラント組成物の相互接触が起こってシーラント組成物の成分が液晶に溶出し、液晶汚染を発生させるという問題が生じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、分散安全性が優れた液晶表示装置用シーラント組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、下記に表示される化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物を含む液晶表示装置用シーラント組成物が提供される。
【0006】
【化1】

【0007】
化学式(1)において、RはHまたはCHであり、A、B、C、およびDはそれぞれ下記の化学式(2)〜(11)から選択され、m、n、x、およびyはそれぞれ1〜1000である。
【0008】
【化2】

【0009】
化学式(10)および化学式(11)において、RはH、CH、OH、SH、またはNHであり、化学式(5)におけるqおよび化学式(6)におけるwはそれぞれ1〜20である。
【0010】
本発明の追加的な特徴及び/又は長所は、以下の説明内において特定され、部分的に以下の説明から明らかになり、または本発明の実施によって理解されるであろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、硬化性樹脂と無機物の分散安全性を図って硬化時間を短縮し、貯蔵安定性が優れており、液晶表示装置に対する汚染性が少なく、硬化後の接着強度が優れた液晶表示装置用シーラント組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付された図面に記載された内容を参照しながら本発明に係る実施形態を詳細に説明する。本発明は、実施形態に制限されたり限定されたりして解釈されることはない。各図面に提示された同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置用シーラント組成物について詳しく説明する。
【0014】
液晶表示装置用シーラント組成物は、下記に表示される化学式(1)で表示された(メタ)アクリレート化合物を含む。
【0015】
【化3】

【0016】
化学式(1)において、RはHまたはCHであり、A、B、C、およびDはそれぞれ下記の化学式(2)〜(11)から選択され、m、n、x、およびyはそれぞれ1〜1000である。
【0017】
【化4】

【0018】
化学式(10)および化学式(11)において、RはH、CH、OH、SH、またはNHであり、化学式(5)におけるqおよび化学式(6)におけるwはそれぞれ1〜20である。
【0019】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置用シーラント組成物は、化学式(1)の(メタ)アクリレート化合物を含む部分的に(メタ)アクリレート基を含む変性エポキシ樹脂(以下、部分(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂とする)、熱硬化剤、光重合開始剤、無機充填剤、揺変性調節剤、およびシランカップリング剤を含む。
【0020】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置用シーラント組成物は、(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂100重量部に対して、化学式(1)の(メタ)アクリレート化合物1重量部以上50重量部以下、熱硬化剤1重量部以上10重量部以下、光重合開始剤1重量部以上5重量部以下、および無機充填剤、揺変性調節剤、およびシランカップリング剤などを含む添加剤10重量部以上40重量部以下を含む。
【0021】
変性エポキシ樹脂は、熱硬化および光硬化によって硬化してもよい。
【0022】
部分(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂などを用いてもよい。エポキシ樹脂は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
部分(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂として、粘度が約1000cps以上15000cps以下である樹脂を用いてもよく、好ましくは、約5000cps以上約10000cps以下である樹脂を用いてもよい。合成前にエポキシ樹脂の粘度を調節することにより、部分(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂の粘度調節が可能となる。
【0024】
熱硬化剤としては、低温では硬化が起こらず高温で硬化が起こる潜在性熱硬化剤を用いることが好ましい。潜在性熱硬化剤としては、イミダゾール型、ジヒドラジド型、アミン型の熱硬化剤を用いてもよい。特に、製造される液晶表示装置の液晶汚染を防止し基板との接着力の向上のために、ジヒドラジド型硬化剤を用いることが好ましい。
【0025】
イミダゾール型硬化剤の具体的な例として、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、P−0505(四国コーポレーション製)などがある。ジヒドラジド系硬化剤の具体的な例として、アミキュアVDH、アミキュアUDH(味の素社製)、ADH、SDH、DDH、IDH(大塚化学社製)、NDH(日本ヒドラジン工業社製)などがある。アミン型硬化剤の具体的な例として、アミキュアPN−23、アミキュアPN−H、アミキュアPN−31、アミキュアPN−40、アミキュアPN−23J、アミキュアPN−31J、アミキュアPN−40J、アミキュアMY−24、アミキュアMY−H、アミキュアMY−HK−1、アミキュアAH−203、アミキュアAH−300、アミキュアAH−154及びアミキュアAH−163(味の素社製)などがある。熱硬化剤の含量は、部分的に(メタ)アクリレート基を含む変性エポキシ樹脂100重量部に対して1重量部以上10重量部以下である。
【0026】
光重合開始剤としては、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アントラキノン類、α−アシルオキシムエステル類、フェニルグリオキシラート類、ベンジル類、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、アシルフォスフィンオキシ系化合物、有機色素系化合物、鉄フタロシアニン系化合物などを用いてもよい。具体的には、ベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイルイソプロピルエテール、ベンジルジメチルケタル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントンなどがある。光重合開始剤の含量は、部分的に(メタ)アクリレート基を含む変性エポキシ樹脂100重量部に対して1重量部以上5重量部以下である。光重合開始剤として用いることができる上記化合物は、単独でまたは2つ以上の組み合わせて用いてもよい。
【0027】
無機充填剤として、シリカ及びタルクなどの充填剤を用いてもよい。また、充填剤として、粒子の大きさは、5μm以下のものが用いられる。粒子の大きさが5μmを超過すれば、液晶表示装置の上板ガラスと下板ガラスとの接着時にセルギャップが維持されず、不良の原因となる。好ましくは、2μm以下の平均粒径を有して粒子分布が均一な無機充填剤を用いる。
【0028】
無機充填剤の種類は限定されないが、無機充填剤は、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、石膏、ケイ酸カルシウム、タルク、ガラスビーズ(glass beads)、絹雲母、白土、ベントナイト、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、ゼオライト、カルシア、マグネシア、フェライトなどがある。無機充填剤は、単独でまたは2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
無機充填剤の含量は、部分(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂100重量部に対して10重量部以上40重量部以下である。無機充填剤の含量が50重量部を超過すれば、シーラント組成物の粘度が過度に上昇するという問題点がある。
【0030】
無機充填剤と共に有機充填剤を用いてもよい。無機充填剤と併用して用いる有機充填剤としては、メタクリル酸メチル、ポリスチレン、およびこの共重合を含んでもよい。
【0031】
添加剤としては、揺変性調節剤(Thixotropic Agent)およびシランカップリング剤の他にも、光開始促進剤、レベリング剤、粘度調節剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤などを用いてもよい。
【0032】
揺変性調節剤としては、メチルセルロース、メチルエチルケトン、パーオキサイド、酸化ポリエチレンワックス、変性ポリプロピレンエマルジョン、ポリアミドワックス、有機クレー(Organoclay)、アルキル硫酸塩(alkyl sulfate)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ酸エステル類、ポリビニルアルコール、ポリジメチルシロキサン、不飽和カルボン酸モノマー類、水酸化カルボン酸アミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、アルカリ土類金属水酸化物類、アルカリ土類金属炭酸塩類などを用いてもよい。
【0033】
また、上述した添加剤の他に、平均粒子の大きさが100nm以下である無機粒子を添加剤として用いてもよい。例えば、無機充填剤として用いることができる微細シリカ、ゼオライト、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、水酸化アルミナ、雲母、ベントナイトなどを少量用いてもよい。
【0034】
添加剤の総含量は、部分(メタ)アクリレート変性エポキシ樹脂100重量部に対して10重量部以上40重量部以下である。
【0035】
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例によって本発明の技術思想が限定されるものではない。
【実施例1】
【0036】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物1gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成(Osaka kasai社製)10gとAerosil 200(デグサ(Degu)社製)10g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練(milled)した後、自転公転脱泡機(rotating−revolving deforming device)で真空脱泡処理(vaccum−deformed)してシーラント組成物を取得した。
【実施例2】
【0037】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物3gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)10gとAerosil 200(デグサ社製)10g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【実施例3】
【0038】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物10gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)10gとAerosil 200(デグサ社製)10g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【実施例4】
【0039】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物30gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)10gとAerosil 200(デグサ社製)10g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【実施例5】
【0040】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物1gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)12gとAerosil 200(デグサ社製)8g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【実施例6】
【0041】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物3gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)12gとAerosil 200(デグサ社製)8g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【実施例7】
【0042】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物10gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)12gとAerosil 200(デグサ社製)8g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【実施例8】
【0043】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物30gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)12gとAerosil 200(デグサ社製)8g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【実施例9】
【0044】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物3gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)10gとAerosil 200(デグサ社製)10g、シランカップリング剤4g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【実施例10】
【0045】
化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物10gを含む変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)10gとAerosil 200(デグサ社製)10g、シランカップリング剤2g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【0046】
[比較例1]
変性エポキシ樹脂71g、光重合開始剤2g、無機充填剤としてSP−15(大阪化成社製)10gとAerosil 200(デグサ社製)10g、シランカップリング剤3g、熱硬化剤としてマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)2gとAmicure UR(エアープロダクツ社製)2gとをそれぞれ混合し、3−ロールミルで十分に混練した後、自転公転脱泡機で真空脱泡処理してシーラント組成物を取得した。
【0047】
実施例1〜10および比較例1でシーラント組成物を取得するために配合した組成を下記の表1に示した。
【0048】
【表1】

【0049】
表1において、すべての単位はgである。レジン(resin、樹脂)としてはRおよびRを混合して用いた。RはビスフェノールA−ジグリシジル(diglycidyl)化合物であって、(メタ)アクリレート基とエポキシ基のモル比が1:1である(メタ)アクリレート化合物であり、Rは化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物である。フィラー(filler、無機充填剤)としてはFおよびFを混合して用いた。FはSP−15(大阪化成社製)であり、FはAerosil 200(デグサ社製)である。PI(photo initiator、光重合開始剤)としてはTPO(Iracure TPO、Ciba社製)を用いた。カップリング剤として用いるシラン化合物は、Z−6040(ダウコーニング社製)である。熱硬化剤としてはCおよびCを混合して用いた。Cはマロン酸ジヒトラジト(MDH:Malonic acid dihydrazide、アルドリッチ社製)であり、CはAmicure UR(エアープロダクツ社製)である。
【0050】
〔シーラント組成物の特性評価〕
<接着力評価>
実施例1〜10および比較例1で取得したシーラント組成物をそれぞれ洗浄したITOガラス基板(三星コーニング精密ガラス社製)の中央部に塗布し、同じガラス基板をその上に重ねた。2000mJ/cmでUV硬化した後に120℃、30minで熱硬化して接着強度測定用試料を製作した。それぞれの試料に対して極限強度計を用いて接着力を評価し、その結果を下記の表2に示した。
【0051】
<Pressure Cooker Test(PCT)>
接着力の評価のために製作した接着強度測定用試料を121℃、100%R.H.,2atmの条件で6時間保管した後、それぞれの試料に対して極限強度計を用いて接着力を評価し、その結果を下記の表2に示した。
【0052】
<液晶汚染性(TN−1)>
実施例1〜10および比較例1で取得したシーラント組成物を各1gずつ取ってアンプル瓶に入れ、続いて液晶1gをアンプル瓶に入れた後に1時間放置した。2000mJ/cmでUV硬化した後に120℃、30minで熱硬化し、DSC測定装置を用いて昇温速度5℃/minでそれぞれのサンプルに対するTN−1値およびブランク液晶のTN−1値を測定した。各サンプルのTN−1値がブランク液晶のTN−1値に近いほど液晶に対する汚染が少ないため、0.5℃以上の値の変化がある場合には不良として評価し、その結果を下記の表2に示した。
【0053】
<貯蔵安定性>
実施形態1〜10および比較例1で取得したシーラント組成物を室温で2週間保管した後、スピンドル粘度計で粘度を測定した。2週間後の粘度を初期粘度と比較したとき、変化率が100%以内である場合は良好、100%を超過する場合は不良として評価し、その結果を下記の表2に示した。
【0054】
【表2】

【0055】
表2を参照すれば、本発明の実施例によって製造されたシーラント組成物が比較例によって製造されたシーラント組成物に比べて全般的に接着力が優れ、PCT条件後の接着力も優れ、液晶との反応性も少なく、貯蔵安定性が良好であることを確認することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施例が、示され、記載されているが、本発明は、記載された実施例に限定されない。当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の原則と趣旨から逸脱しない範囲内で、実施例を多様に修正及び変更することができることを理解することができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする液晶表示装置用シーラント組成物。
【化1】


(前記化学式(1)において、RはHまたはCHであり、A、B、C、およびDはそれぞれ下記の化学式(2)から(11)から選択されたいずれかであり、m、n、x、およびyはそれぞれ1〜1000であり、
【化2】


前記化学式(10)および前記化学式(11)において、RはH、CH、OH、SH、またはNHであり、前記化学式(5)におけるqおよび前記化学式(6)におけるwはそれぞれ1〜20である。)
【請求項2】
前記化学式(1)の(メタ)アクリレート化合物の分子量は、10000〜100000であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用シーラント組成物。
【請求項3】
部分的に(メタ)アクリレート基を含む変性エポキシ樹脂100重量部と、
熱硬化剤1重量部以上10重量部以下と、
光重合開始剤1重量部以上5重量部以下と、
下記の化学式(1)で表示される(メタ)アクリレート化合物1重量部以上50重量部以下と、
を含むことを特徴とする液晶表示装置用シーラント組成物。
【化3】


(前記化学式(1)において、RはHまたはCHであり、A、B、C、およびDはそれぞれ下記の化学式(2)から(11)から選択されたいずれかであり、m、n、x、およびyはそれぞれ1〜1000であり、
【化4】


前記化学式(10)および前記化学式(11)において、RはH、CH、OH、SH、またはNHであり、前記化学式(5)におけるqおよび前記化学式(6)におけるwはそれぞれ1〜20である。)
【請求項4】
無機充填剤、揺変性調節剤、およびシランカップリング剤のうちの少なくとも1つの添加剤10重量部以上40重量部以下をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置用シーラント組成物。
【請求項5】
前記変性エポキシ樹脂の粘度が1000cps以上15000cps以下であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置用シーラント組成物。
【請求項6】
前記変性エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、およびビスフェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択された少なくとも1つの樹脂を含むことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置用シーラント組成物。
【請求項7】
前記熱硬化剤は、イミダゾール系列、ジヒドラジド系列、およびアミン系列からなる群から選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置用シーラント組成物。
【請求項8】
前記光重合開始剤は、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アントラキノン類、α−アシルオキシムエステル類、フェニルグリオキシラート類、ベンジル類、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、アシルフォスフィンオキシ系化合物、有機色素系化合物、および鉄フタロシアニン系化合物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置用シーラント組成物。
【請求項9】
前記揺変性調節剤は、メチルセルロース、メチルエチルケトンパーオキサイド、酸化ポリエチレンワックス、変性ポリプロピレンエマルジョン、ポリアミドワックス、有機クレー(organoclay)、アルキル硫酸塩、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシル酸エステル類、ポリビニルアルコール、ポリジメチルシロキサン、不飽和カルボン酸モノマー類、水酸化カルボン酸アミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、アルカリ土類金属水酸化物類、およびアルカリ土類金属炭酸塩類からなる群から選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置用シーラント組成物。

【公開番号】特開2011−81345(P2011−81345A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160304(P2010−160304)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(502323737)コリア クンホ ペトロケミカル カンパニー リミテッド (16)
【Fターム(参考)】