説明

液晶表示装置,テレビジョン受像機

【課題】状況に応じて白光りや視認性の低下問題の発生を防止し得る範囲で液晶素子の応答性を極力向上させることが可能な液晶表示装置,テレビジョン受像機を提供すること。
【解決手段】液晶素子の表示階調を変化させるとき,バックライト光源の間欠点灯処理が実行されている場合には,該間欠点灯処理が実行されていない場合に比べて液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加する。具体的には,液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い(低い)目標階調に変化させるとき,前記間欠点灯処理が実行されていない場合には,液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせ各々に対応して予め設定された第1の印加電圧を液晶素子に印加し,前記間欠点灯処理が実行されている場合には,第1の印加電圧よりも液晶素子の白色度が高く(低く)なるように予め設定された第2(第3)の印加電圧を液晶素子に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,液晶パネル及びバックライト光源を備える液晶表示装置,テレビジョン受像機に関し,特に,液晶素子の過応答による白光りや視認性の低下の発生防止を図る技術や,液晶パネルの液晶素子の応答性を改善して動画表示の動きぼやけや多重輪郭の防止を図る技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年,液晶パネル及びバックライト光源を備えてなる液晶表示装置は,テレビジョン受像機やディスプレイ装置などの用途で広く普及している。液晶表示装置は,液晶パネルの画素ごとに対応する液晶素子各々に印加する電圧によって該液晶素子各々の表示階調(透過率)を調整する。この液晶表示装置では,バックライト光源を常時点灯させるホールド駆動や液晶素子の応答遅延などに起因して動画表示の際に生じる動きぼやけが問題となる。
そのため,従来から,1フレーム期間(1垂直期間)内でバックライト光源を間欠点灯させて擬似的にインパルス駆動に近づけることにより,動画表示の際に生じる動きぼやけを防止する手法が知られている(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
また,液晶素子の表示階調を変化させるときにオーバーシュート電圧を印加して過応答させ,該液晶素子の応答性を高めることにより,動画表示の際に生じる動きぼやけや多重輪郭を防止する手法も提案されている(例えば,特許文献2参照)。
ここに,図5に示す一点鎖線は,ノーマリーブラック方式の液晶表示装置において,液晶素子の表示階調を「0」階調から白色度の高い「128」階調まで変化させる場合に,その目標階調である「128」階調に応じた印加電圧よりも高いオーバーシュート電圧,例えば「160」階調に応じた印加電圧を液晶素子に印加した場合の階調遷移を示している。この場合には,液晶素子に過応答(オーバーシュート)が生じるため,表示階調を急激に変化させて目標階調に迅速に到達させることが可能であり,動画表示の動きぼやけや多重輪郭を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3994997号公報
【特許文献2】特許第3713208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前述のように液晶素子の表示階調の白色度を高める際に該液晶素子に生じさせる過応答が強すぎると,該液晶素子が瞬時的に光って見えるいわゆる白光りの問題が生じる。そのため,液晶素子の過応答の強さは,液晶素子の応答性改善と白光りの防止とのトレードオフの関係を考慮して設定する必要があり,該液晶素子の応答性を十分に高めることができなかった。例えば,図5に示す実線は,白光りの発生を防止するために液晶素子の過応答を弱めた場合の階調遷移を示しており,この場合には液晶素子の階調変化が緩やかに行われるため,該液晶素子の表示階調を目標階調に迅速に到達させることができない。そして,液晶素子の応答性が低ければ,動画表示の動きぼやけや多重輪郭などの弊害が生じることが問題となる。
また,液晶素子の表示階調の白色度を低くする際にも,該液晶素子に過応答(アンダーシュート)を生じさせて階調変化を迅速に行うことが考えられるが,この場合にもその過応答が強すぎると,該液晶素子が瞬時的に暗くなりすぎて視認性が低下するという問題(以下,「視認性の低下問題」という)が生じる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その第1の目的は,状況に応じて白光りや視認性の低下問題の発生を防止し得る範囲で液晶素子の応答性を極力向上させ,動画表示の動きぼやけや多重輪郭などを防止することが可能な液晶表示装置,テレビジョン受像機を提供することにある。さらに,本発明の第2の目的は,液晶素子の過応答による白光りや視認性の低下問題を改善することのできる液晶表示装置,テレビジョン受像機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の目的を達成するために本発明は,液晶パネルと,バックライト光源と,液晶駆動制御手段と,バックライト制御手段とを備えてなり,前記液晶駆動制御手段が,前記液晶パネルの液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記バックライト光源の間欠点灯処理が実行されている場合には,該間欠点灯処理が実行されていない場合に比べて前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加することを特徴とする液晶表示装置として構成される。
また,前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の過応答の期間の少なくとも一部において前記バックライト光源が消灯するように該バックライト光源を間欠点灯させるものであることが考えられる。具体的には,前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の応答期間の開始から,或いは前記液晶素子の応答期間の開始の少し前から,前記バックライト光源を所定時間消灯させた後所定時間点灯させるものであることが考えられる。
また,上記第2の目的を達成するために本発明は,液晶パネルと,バックライト光源と,液晶駆動制御手段と,バックライト制御手段とを備えてなり,前記液晶駆動制御手段が,前記液晶パネルの液晶素子の表示階調を変化させるとき,該表示階調の変化方向に過応答を生じさせる印加電圧を該液晶素子に印加するものであり,前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の過応答の期間の少なくとも一部において前記バックライト光源が消灯するように該バックライト光源を間欠点灯させるものであることを特徴とする液晶表示装置として構成される。
具体的に,前記バックライト制御手段は,前記液晶素子の応答期間の開始から,或いは前記液晶素子の応答期間の開始の少し前から,前記バックライト光源を所定時間消灯させた後所定時間点灯させるものであることが考えられる。
さらに,前記液晶駆動制御手段は,前記液晶パネルの液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記バックライト光源の間欠点灯処理が実行されている場合には,該間欠点灯処理が実行されていない場合に比べて前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加するものであることが望ましい。
具体的には,前記液晶駆動制御手段が,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い目標階調に変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されていない場合には,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせ各々に対応して予め設定された第1の印加電圧を前記液晶素子に印加し,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されている場合には,前記第1の印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が高くなるように予め設定された第2の印加電圧を前記液晶素子に印加するものであることが考えられる。
また,前記液晶駆動制御手段が,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が低い表示階調に変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されていない場合には,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせ各々に対応して予め設定された第1の印加電圧を前記液晶素子に印加し,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されている場合には,前記第1の印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が低くなるように予め設定された第3の印加電圧を前記液晶素子に印加するものであることも考えられる。
前記間欠点灯処理手段により前記バックライト光源の間欠点灯処理が実行される場合には,1フレーム期間内における前記バックライト光源の点灯時間が短縮されるため,前記液晶素子の過応答による白光りの影響が抑制される。
そこで,本発明では,前記バックライト光源の間欠点灯処理が実行される場合には,該間欠点灯処理が実行されない場合に比べて前記液晶素子の過応答を強めるべく,例えば前記第1の印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が高く又は低くなるように予め設定された前記第2の印加電圧又は前記第3の印加電圧を該液晶素子に印加している。
これにより,前記バックライト光源の間欠点灯処理が実行される場合には,前記液晶素子の白光りや視認性の低下問題の発生を防止しつつ,該液晶素子の応答性を前記間欠点灯処理が実行されない場合に比べて高めることができ,例えば動画表示の動きぼやけや多重輪郭を改善することができる。
【0007】
具体的には,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせに対応する前記第1の印加電圧の指標値が設定された第1の階調対応情報と,少なくとも前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせの一部に対応する前記第2の印加電圧の指標値及び/又は前記第3の印加電圧の指標値が設定された第2の階調対応情報とを記憶する階調対応情報記憶手段を更に備えてなり,前記液晶駆動制御手段が,前記液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されていない場合には,前記階調対応情報記憶手段に記憶された前記第1の階調対応情報に基づいて前記第1の印加電圧を前記液晶素子に印加し,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されている場合には,前記階調対応情報記憶手段に記憶された前記第2の階調対応情報に基づいて前記第2の印加電圧を前記液晶素子に印加する構成が考えられる。
また,前記バックライト光源が,前記液晶パネルの垂直方向における複数の表示領域に対応して並設された複数の光源を含んでなる構成では,前記バックライト制御手段によって実行される前記間欠点灯処理が,前記複数の光源を1フレーム期間内で順次間欠点灯させるバックライトスキャン処理であることが考えられる。
ここで,前記バックライトスキャン処理は,少なくとも垂直同期信号に同期して前記複数の光源を順次間欠点灯させるものであることが望ましい。これにより,動画表示の動きぼやけの防止効果を高めることができる。なお,前記バックライトスキャン処理は,例えば前記複数の光源を該光源各々に対応する表示領域の画像書き込み開始から所定時間消灯させた後所定時間点灯させるものである。
また,前記光源各々は,例えば前記液晶パネルの水平方向に並設された複数のLED光源を含むものであることが考えられる。
また,前記液晶表示装置を含むテレビジョン受像機も本発明といえる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば,前記バックライト光源の間欠点灯処理が実行される場合には,該間欠点灯処理が実行されない場合に比べて前記液晶素子の過応答を強めるべく,例えば前記第1の印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が高く又は低くなるように予め設定された前記第2の印加電圧又は前記第3の印加電圧が該液晶素子に印加されるため,前記液晶素子の白光りを防止しつつ,該液晶素子の応答性を前記間欠点灯処理が実行されない場合に比べて高めることができ,例えば動画表示の動きぼやけや多重輪郭を改善することができる。また,前記液晶素子の過応答の期間の少なくとも一部において前記バックライト光源が消灯するように該バックライト光源を間欠点灯させることで,前記液晶素子の過応答による白光りや視認性の低下問題の発生を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置に設けられたバックライト光源の一例を示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置におけるバックライトスキャン処理の実行結果の一例を説明するための図。
【図4】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置で用いられる第1及び第2の階調対応情報の一例を示す図。
【図5】液晶素子の階調遷移の一例を説明するための図。
【図6】液晶素子の階調遷移の一例を説明するための図。
【図7】本発明の実施例1に係る液晶表示装置で用いられる第2の階調対応情報の一例を示す図。
【図8】実施例2に係る液晶表示装置におけるバックライトスキャン処理の実行結果の一例を説明するための図。
【図9】液晶素子の階調遷移の一例を説明するための図。
【図10】液晶素子の階調遷移の一例を説明するための図。
【図11】液晶素子の階調遷移の一例を説明するための図。
【図12】階調対応情報の一例を示す図。
【図13】階調対応情報の一例を示す図。
【図14】階調対応情報の一例を示す図。
【図15】消灯期間設定情報の一例を示す図。
【図16】液晶素子の階調遷移及びバックライト光源の間欠点灯処理の一例を説明するための図。
【図17】液晶素子の階調遷移及びバックライト光源の間欠点灯処理の一例を説明するための図。
【図18】液晶素子の階調遷移及びバックライト光源の間欠点灯処理の一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1に示すように,本発明の実施の形態に係る液晶表示装置Xは,表示制御部11,液晶パネル21,液晶駆動部22(液晶駆動制御手段の一例),バックライト光源31,バックライト制御部32(バックライト制御手段の一例)などを有している。
前記液晶表示装置Xは,例えばテレビジョン受像機やパソコンに用いられるディスプレイ装置などである。即ち,本発明は,前記液晶表示装置Xを含んで構成されるテレビジョン受像機の発明として捉えることができる。なお,本実施の形態では,本発明に直接影響しない一般的なテレビジョン受像機やディスプレイ装置が備える他の構成要素の説明を省略する。
【0011】
前記表示制御部11は,不図示のアンテナによって受信されるテレビジョン放送や不図示の外部入力端子から入力される映像コンテンツなどに含まれた映像信号を受信し,該映像信号に基づいて垂直同期信号や水平同期信号などを生成する。前記液晶表示装置Xでは,このテレビジョン放送などの映像信号に基づく映像が前記液晶パネル21に表示される。そのため,前記液晶表示装置X自体がテレビジョン受像機であるともいえる。そして,前記映像信号や前記垂直同期信号,前記水平同期信号は,前記表示制御部11から前記液晶駆動部22に入力される。また,前記表示制御部11は,前記垂直同期信号及び前記水平同期信号を前記バックライト制御部32に入力する。
ここで,前記表示制御部11は,テレビジョン放送の映像信号の周波数である60Hzの倍速の120Hzの駆動周波数の垂直同期信号を生成する。そのため,前記表示制御部11は,前記映像信号における1フレームの画像を前記液晶駆動部22に2回ずつ出力し,或いは前記映像信号における連続する2フレームから補間画像を生成してそのフレーム間に挿入して前記液晶駆動部22に出力する。もちろん,2倍速に限らず1倍速,4倍速,8倍速などであってもよい。
【0012】
前記バックライト光源31は,前記液晶パネル21の背面に配置され,該液晶パネル21を背後から照明するものである。ここに,図2は,前記バックライト光源31の構造の一例を示す模式図である。
図2に示すように,前記バックライト光源31は,前記液晶パネル21の垂直方向における複数の表示領域に対応して並設された複数のLED光源群L1〜L12(複数の光源の一例)を有している。前記LED光源群L1〜L12各々は,前記液晶パネル21の水平方向に並設された複数のLED光源31aを含んでいる。また,前記LED光源群L1〜L12各々に対応する前記表示領域各々は,前記液晶パネル21の複数ラインの表示画素を含む領域である。
前記バックライト光源31は,前記バックライト制御部32からの制御指示に応じて,多数の前記LED光源31aを前記LED光源群L1〜L12の各単位で個別に明滅させる。なお,前記LED光源群L1〜L12の数はこれに限らず,前記液晶パネル21のサイズに応じて適宜設計変更すればよい。また,前記バックライト光源31は,前記LED光源群L1〜L12に代えて前記液晶パネル21の垂直方向に並設された複数の蛍光管(複数の光源の一例)を有するものであってもよい。
【0013】
前記バックライト制御部32は,前記バックライト光源31を常時点灯させるホールド駆動処理と,前記液晶駆動部22による画像信号の書き込み動作に連動して,1フレーム期間内(1垂直期間内)に前記バックライト光源31の前記LED光源31aを前記LED光源群L1〜L12ごとに順次間欠点灯させるバックライトスキャン処理(間欠点灯処理の一例)とのいずれかを選択的に実行する。もちろん,前記バックライト制御部32は,前記バックライトスキャン処理を常に実行するものであってもよい。
前記バックライト制御部32による前記バックライトスキャン処理の実行の有無は,例えば不図示のリモコンや前記液晶表示装置Xの本体に設けられた操作キーのユーザ操作に応じて前記表示制御部11によって切り換えられる。なお,前記表示制御部11が表示映像の内容などに応じて自動的に前記バックライトスキャン処理の実行の有無を切り換えるものであってもよい。
ここで,1フレーム期間とは,前記液晶パネル21に1フレームの画像を表示するための期間,即ち垂直同期信号の間隔である。従って,前記液晶パネル21の画像書き込み速度(駆動周波数)が120Hz(いわゆる倍速液晶)である前記液晶表示装置Xにおいて,1フレーム期間は約8.3msである。もちろん,前記液晶パネル15の駆動周波数は,60Hzや240Hzなどであってもよい。
【0014】
ここに,図3は,前記バックライトスキャン処理の実行結果の一例を説明するための模式図であって,(a)は垂直同期信号,(b)は画像信号,(c)はバックライト光源31の動作をしめしている。
図3に示すように,前記バックライト制御部32によって前記バックライトスキャン処理が実行されると,前記垂直同期信号(図3(a)参照)が受信された後,前記LED光源群L1〜L12各々は,対応する表示領域の1フレームの画像信号(図3(b)参照)の画像書き込み開始から約4.1ms(1フレームの50%)消灯した後,約4.1ms(1フレームの50%)点灯する。これにより,擬似的にインパルス駆動が実現されるため,動画表示の動きぼやけを防止することができる。なお,前記LED光源群L1〜L12が消灯し又は点灯する時間(割合)はこれに限らない。
ここで,前記バックライト制御部32は,前記バックライトスキャン処理において,前記液晶パネル21に表示する画像信号の垂直同期信号及び水平同期信号に同期して前記LED光源群L1〜L12各々を順次明滅させる。なお,前記バックライトスキャン処理は,少なくとも前記垂直同期信号に同期させて前記液晶駆動部22による画像信号の書き込みに連動して行われるものであればよい。
【0015】
具体的に,前記バックライト制御部32は,垂直同期信号の受信後,一列目の水平同期信号が入力されることにより,一列目のLED光源群L1を約4.1ms消灯させ,その後,約4.1ms点灯させる。
また,前記バックライト制御部32は,前記垂直同期信号の受信後,前記LED光源群L1に対応する前記液晶パネル21の表示領域に存在するライン数分の水平同期信号の受信に応じて,前記LED光源群L2を約4.1ms消灯させ,その後,約4.1ms点灯させる。
同じく,前記バックライト制御部32は,前記垂直同期信号の受信後,前記LED光源群L1,L2に対応する前記液晶パネル21の表示領域に存在するライン数分の水平同期信号の受信に応じて,更に次のLED光源群L3が約4.1ms消灯させ,その後,約4.1ms点灯させる。
その後も同様の処理が繰り返されることにより,前記LED光源群L1〜L12は,各々が対応する前記液晶パネル21の複数ラインの液晶素子の走査に同期して順次明滅される。
【0016】
一方,前記液晶パネル21は,液晶層と該液晶層に走査信号及びデータ信号を印加するための走査電極及びデータ電極とによって形成され,印加電圧により透過率が変化する複数の液晶素子を有する従来周知のアクティブマトリクス型の液晶パネルである。
前記液晶駆動部22は,前記表示制御部11から入力される画像信号と垂直同期信号及び水平同期信号とに基づいて,前記液晶パネル21の走査電極(ゲート電極)及びデータ電極(ソース電極)を駆動させる。具体的に,前記液晶駆動部22は,垂直同期信号の受信後,1ライン目に対応する水平同期信号に応じて走査電極にゲート信号を出力すると共に,1ライン目に対応する画像信号をデータ電極に順次出力する。これにより,1ライン目の画像表示が行われる。その後,前記液晶駆動部22は,2ライン目に対応する水平同期信号が入力されると,2ライン目の走査電極にゲート信号を出力し,2ライン目に対応する画像信号をデータ電極に順次出力する。その後も同様の処理が繰り返されることにより前記液晶パネル21の全画面の画像表示が行われる。
このとき,前記液晶駆動部22は,前記表示制御部11から入力される前記画像信号に基づいて前記液晶パネル21の各画素に対応する液晶素子各々への印加電圧を制御することにより,該液晶素子各々の前記バックライト光源31からの照明の透過率を変化させ,該液晶素子各々の表示階調を制御する。
なお,前記バックライトスキャン処理が実行されると,前記バックライト光源31の輝度が下がるため,前記表示制御部11は,前記バックライトスキャン処理の実行の有無によって,前記液晶パネル21の液晶素子に書き込む映像信号のレベルを補正することにより表示輝度を一定に維持する。また,前記液晶駆動部22が,前記映像信号のレベルの補正に伴って,画像信号と印加電圧との関係が定められるガンマ特性を適宜変更することも考えられる。
【0017】
以下,前記液晶駆動部22による前記液晶素子各々の表示階調の制御処理について説明する。
前記液晶駆動部22は,二つのルックアップテーブルT1,T2(図4(a),(b)参照,以下「テーブルT1,T2」と略称する)が記憶された不揮発性の記憶メモリ23(階調情報記憶手段の一例)を有しており,該記憶メモリ23に記憶された前記テーブルT1,T2のいずれかに基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御する。具体的に,前記液晶駆動部22は,前記テーブルT1,T2に基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御することで,前記液晶パネル21の液晶素子の表示階調を変化させるときに,該表示階調の変化方向に過応答を生じさせる印加電圧を該液晶素子に印加する。
ここに,前記テーブルT1,T2は,図4(a),(b)に示すように,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせに対応する印加電圧の指標値となる指標階調が予め設定されたものである。なお,前記テーブルT1,T2における前記指標階調各々は,予め行った実験やシミュレーションの結果に応じて設定しておけばよい。もちろん,前記指標階調に代えて印加電圧の値が設定されていてもよい。本実施の形態に係る前記液晶表示装置Xは,0階調が黒,255階調が白のノーマリーブラック方式であるとする。即ち,前記液晶素子への印加電圧が高いほど該液晶素子の表示階調の白色度が高まる。
【0018】
ここで,前記テーブルT1では,図4(a)に示すように,前記液晶パネル21の液晶素子の表示階調を白色度が高まる方向に変化させる場合の組み合わせに対応する前記指標階調が,そのときの目標階調よりも高い階調に設定されている。
例えば,現在階調が「0」階調で,目標階調が「128」階調である場合には,該目標階調である「128」階調よりも高い「145」階調が前記指標階調として設定されている。但し,当該テーブルT1は,前記液晶素子の過応答が強すぎることに起因する白光りを防止することを考慮して前記指標階調が低めに設定されたものである。前記テーブルT1は,第1の階調対応情報の一例である。
一方,前記テーブルT2では,図4(b)に示すように,前記テーブルT1と同様に,前記液晶パネル21の液晶素子の表示階調を白色度が高まる方向に変化させる場合の組み合わせに対応する指標階調が,そのときの目標階調よりも高い階調に設定されているが,その指標階調は,前記テーブルT1における同じ組み合わせに対応する指標階調よりも前記液晶素子の白色度が高くなるように予め設定された値である。即ち,前記テーブルT2を用いた場合には,前記液晶パネル21の液晶素子の表示階調を白色度が高まる方向に変化させるときに該液晶素子に供給される印加電圧が,前記テーブルT1よりも高くなる。
例えば,現在階調が「0」階調で,目標階調が「128」階調である場合には,該目標階調である「128」階調よりも高い「160」階調が指標階調として設定されている。前記テーブルT2は,第2の階調対応情報の一例である。
【0019】
そして,前記液晶駆動部22は,前記バックライト制御部32による前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理の実行の有無に応じて前記テーブルT1,T2を切り換えて参照し,前記液晶素子への印加電圧を制御する。このとき,前記液晶駆動部22は,前記バックライト制御部32による前記バックライトスキャン処理の実行の有無を,例えば前記表示制御部11や前記バックライト制御部32から送信される制御信号に基づいて判断することが可能である。
具体的に,前記液晶駆動部22は,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い表示階調に変化させるとき,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理が実行されていない場合には,前記記憶メモリ23に記憶された前記テーブルT1に基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御し,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理が実行されている場合には,前記記憶メモリ23に記憶された前記テーブルT2に基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御する。なお,前記バックライト制御部32が常にバックライトスキャン処理を実行するものである場合には,前記テーブルT2のみを前記記憶メモリ23に予め記憶させておき,前記液晶駆動部22が常に前記テーブルT2に基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御することも考えられる。
【0020】
ここに,図5は,前記バックライト制御部32により前記バックライトスキャン処理が実行されていない状態で,前記液晶駆動部22が前記テーブルT1に基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御する場合における該液晶素子の階調遷移の一例を示している。ここでは,前記液晶素子の表示階調を「0」階調から「128」階調まで遷移させる場合を例に挙げている。
前記液晶駆動部22は,現在入力されている1フレームの画像信号と一つ前に入力されていた1フレームの画像信号とを比較することにより前記液晶素子各々の現在階調と目標階調との組み合わせ(変化前後の組み合わせ)を検出し,その組み合わせに対応する印加電圧を前記テーブルT1から抽出して前記液晶素子に供給する。そのため,前記液晶駆動部22は,少なくとも一つ前の1フレームの画像信号を保持している。
ここでは,現在階調が「0」,目標階調が「128」であるため,前記液晶駆動部22は,これらの組み合わせに対応する指標階調である「145」を前記テーブルT1から抽出する。そして,前記液晶駆動部22は,前記液晶素子に指標階調「145」に応じた印加電圧(第1の印加電圧に相当)を供給し,該液晶素子の表示階調を変化させる(図5の実線)。そして,次のフレームでは,前記液晶駆動部22は,前記目標階調である「128」に応じた印加電圧を前記液晶素子に供給する。
この場合,目標階調の「128」階調に応じた印加電圧を供給する場合に比べれば,前記液晶素子の応答性を高めることができる。しかし,前記テーブルT1では,前記液晶素子の過応答に起因する白光りの発生を防止することを考慮して前記指標階調が低めに設定されているため,該液晶素子の応答性を十分に高めることができるとは言い難い。
なお,図5に示す一点鎖線は,前記バックライト制御部32により前記バックライトスキャン処理が実行されていない状態で,前記テーブルT2に基づいて前記液晶素子への印加電圧が制御される場合,即ち「160」階調に応じた印加電圧が印加される場合の階調遷移を示している。この場合には,前記液晶素子の過応答により階調遷移が急激に行われるため,前記液晶素子の階調遷移を迅速に行うことはできるが,該液晶素子の過応答に起因する白光りの問題を伴う。
【0021】
これに対し,図6は,前記バックライト制御部32により前記バックライトスキャン処理が実行されている状態で,前記液晶駆動部22が前記テーブルT2に基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御する場合における該液晶素子の階調遷移の一例を示している。
ここでは,現在階調が「0」,目標階調が「128」であるため,前記液晶駆動部22は,これらの組み合わせに対応する指標階調である「160」を前記テーブルT2から抽出する。そして,前記液晶駆動部22は,前記液晶素子に指標階調「160」に応じた印加電圧(第2の印加電圧に相当)を供給し,該液晶素子の表示階調を変化させる。このとき前記液晶素子に印加される印加電圧は,前記テーブルT1を用いた場合よりも高い値である。そして,次のフレームでは,前記液晶駆動部22は,前記目標階調である「128」に応じた印加電圧を前記液晶素子に供給する。
この場合,図6に実線で示すように,前記液晶素子の階調遷移は,前記テーブルT1を用いた場合(図6の一点鎖線)に比べて急激に行われることとなり,該液晶素子の応答性を十分に高めることができ,例えば動画表示の動きぼやけや多重輪郭を防止することができる。
さらに,この場合には,図6に示すように,前記バックライト制御部32により前記バックライトスキャン処理が実行され,前記バックライト光源31が間欠点灯されているため,1フレーム期間内に前記バックライト光源31の消灯時間が存在し,前記液晶素子の過応答に起因する白光りの発生も低減される。特に,前記バックライトスキャン処理では,前記バックライト光源31のLED光源群L1〜L12が,対応する表示領域の画像書き込み開始から約4.1ms消灯された後で約4.1ms点灯される。即ち,前記バックライト制御部32は,前記液晶パネル21の液晶素子の応答期間の開始から前記LED光源群L1〜L12各々を所定時間消灯させた後,所定時間点灯させることにより,該液晶素子の過応答の期間の少なくとも一部において前記LED光源群L1〜L12各々が消灯するように該LED光源群L1〜L12各々のバックライトスキャン処理(間欠点灯)を実行する。そのため,前記液晶素子の過応答のピーク部分の白光りへの影響を効果的に抑制することができる。
【0022】
以上,説明したように,前記液晶表示装置Xでは,前記液晶駆動部22が,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い表示階調に変化させるとき,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理(間欠点灯処理)が実行されていない場合には,前記テーブルT1に基づいて前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせ各々に対応する印加電圧(第1の印加電圧)を前記液晶素子に印加し,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理(間欠点灯処理)が実行されている場合には,前記テーブルT1における印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が高くなるように予め設定された印加電圧(第2の印加電圧)を前記液晶素子に印加する。即ち,前記液晶駆動部22は,前記液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31の間欠点灯処理が実行されている場合には,該間欠点灯処理が実行されていない場合に比べて前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加している。
従って,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理が実行されている場合には,前記液晶素子の白光りを防止しつつ,該液晶素子の応答性を前記バックライトスキャン処理が実行されない場合に比べて高めることができ,例えば動画表示の動きぼやけや多重輪郭を改善することができる。
【0023】
なお,前記液晶駆動部22による前記液晶素子への印加電圧の制御手法は,前記テーブルT1,T2を用いるものに限らず,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせに対して所定の演算を行うことにより前記液晶素子への印加電圧を制御することも考えられる。また,前記テーブルT2は,少なくとも前記テーブルT1と異なる部分のみを設定したものであってもよい。
さらに,前記テーブルT1,T2の切り換えをユーザが任意に設定することができる構成では,前記表示制御部11が,前記テーブルT2が選択されたことを条件に前記バックライト制御部32による前記バックライトスキャン処理の実行が有効となるように自動的に切り換えることも他の実施例として考えられる。
【0024】
ところで,本実施の形態では,前記バックライト光源31のLED光源31a各々を前記LED光源群L1〜L12ごとに明滅させる構成を例に挙げて説明したが,全ての前記LED光源31aを同時に明滅させる構成についても本発明を適用することが可能である。
また,本実施の形態では,前記液晶表示装置Xがノーマリーブラック方式である場合を例に挙げて説明したが,ノーマリーホワイト方式である場合にも本発明を適用し得る。この場合には,前記バックライトスキャン処理が実行されるときは,通常の印加電圧(第1の印加電圧)よりも前記液晶素子の白色度が高くなるように低い値に設定された印加電圧(第2の印加電圧)がオーバーシュート電圧として前記液晶素子に供給されることになる。
【0025】
さらに,前記液晶パネル21における液晶素子の応答性(応答速度)は温度に依存する。そこで,前記液晶パネル21の温度を検出する温度センサを設けておくと共に,温度に応じたテーブルを複数用意しておき,前記テーブルT1,T2を,その温度センサによる検出温度に応じたテーブルに変更することも考えられる。
具体的には,前記テーブルT1,T2各々について,所定範囲の温度ごとに対応する複数のテーブルが予め設定されて前記記憶メモリ23に記憶されており,前記液晶駆動部22が,前記温度センサによる検出温度が属する範囲に対応するテーブルを前記記憶メモリ23から抽出し,該テーブルに基づいて前記液晶素子の印加電圧を制御することが考えられる。これにより,温度変化に起因する前記液晶素子の応答性の変化に応じて前記液晶素子の過応答の程度を適切に制御することが可能となる。
なお,前記液晶駆動部22が,前記温度センサによる検出温度を所定の閾値と比較することで複数のテーブルのいずれを用いるかを切り換える場合には,その検出温度がその所定の閾値近傍で微妙に高低変化したときに,用いられるテーブルが頻繁に切り換えられることになる。そのため,前記液晶駆動部22は,前記所定の閾値に基づく前記テーブルの選択制御処理をヒステリシスをもって行うことが望ましい。これにより,検出温度が微妙に高低変化した場合でも利用するテーブルの頻繁な切り換えを防止することができる。
また,本実施の形態に係る液晶表示装置Xでは,映像が平面映像(2D)として表示されるものとして説明した。一方,本発明は,左目用映像と右目用映像とを時分割で表示することにより,視聴者に立体映像を視聴させる立体(3D)映像表示が可能な液晶表示装置にも適用することができる。具体的には,立体映像表示が可能な液晶表示装置においても同様に,バックライトスキャン動作をさせる場合に,前記液晶素子の過応答の程度(OSパラメータ)を変更させればよい。これにより,立体映像表示が可能な液晶表示装置においても,液晶の応答性能を向上させることができる。また,右目用映像が左目で見え,左目用映像が右目で見えることにより画像が二重に見える所謂3Dクロストークの低減が可能となる。さらに,このように左目用映像と右目用映像とを交互に表示する立体(3D)表示可能な液晶表示装置において,左右の映像出力の間にパネルに黒を挿入する,いわゆる黒挿入が採用されている場合でも,前記予測パラメータや前記OSパラメータの最適化を行うことで前記3Dクロストークの低減が可能になる。なお,黒挿入は,前記液晶素子に黒に対応する画像信号を書き込むことによって実現される。
【実施例1】
【0026】
前記実施の形態では,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い表示階調に変化させる場合に,該液晶素子を表示階調が高くなる方向に過応答(オーバーシュート)させる場合を例に挙げて説明した。
一方,前記液晶表示装置Xにおいて,前記液晶駆動部22が,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い表示階調に変化させる場合に該液晶素子を表示階調が高くなる方向に過応答(オーバーシュート)させると共に,或いはこれに代えて,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が低い表示階調に変化させる場合に,前記液晶素子を表示階調が低くなる方向に過応答(アンダーシュート)させることが考えられる。
具体的には,図7に示すように,前記テーブルT1,T2(図4参照)と同様のルックアップテーブルT3(第2の階調対応情報の一例,以下,「テーブルT3」と略称する)が前記記憶メモリ23に記憶されており,前記液晶駆動部22は,前記記憶メモリ23に記憶された前記テーブルT1〜T3,又はT1とT3に基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御する。もちろん,前記テーブルT2及びT3はこれらを結合したテーブル(第2の階調対応情報の一例)を用いてもよい。
【0027】
ここに,前記テーブルT3は,図7に示すように,前記液晶パネル21の液晶素子の表示階調を白色度が低くなる方向に変化させる場合の組み合わせに対応する指標階調が,そのときの目標階調よりも低い階調に設定されているが,その指標階調は,前記テーブルT1における同じ組み合わせに対応する指標階調よりも前記液晶素子の白色度が低くなるように予め設定された値である。即ち,前記テーブルT3を用いた場合には,前記液晶パネル21の液晶素子の表示階調を白色度が低くなる方向に変化させるときに該液晶素子に供給される印加電圧が,前記テーブルT1よりも低くなる。
例えば,現在階調が「255」階調で,目標階調が「128」階調である場合には,該目標階調である「128」階調よりも低い「80」階調が指標階調として設定されている。
一方,図4(a)に示したように,前記テーブルT1では,現在階調が「255」階調で,目標階調が「128」階調である場合には,該目標階調である「128」階調が前記指標階調として設定されている。但し,当該テーブルT1は,前記液晶素子の過応答が強すぎることに起因する視認性の低下問題を防止することを考慮して設定されたものである。前記テーブルT1は,第1の階調対応情報の一例である。もちろん,前記テーブルT1において,視認性の低下問題が生じない程度前記目標階調よりも低い階調が前記指標階調として設定されていてもよい。
【0028】
そして,前記液晶駆動部22は,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が低い表示階調に変化させるとき,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理(間欠点灯処理)が実行されていない場合には,前記テーブルT1に基づいて前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせ各々に対応する印加電圧(第1の印加電圧)を前記液晶素子に印加し,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理(間欠点灯処理)が実行されている場合には,前記テーブルT1における印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が低くなるように予め設定された印加電圧(第3の印加電圧)を前記液晶素子に印加する。
即ち,前記液晶駆動部22は,前記液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31の間欠点灯処理が実行されている場合には,該間欠点灯処理が実行されていない場合に比べて前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加している。
【0029】
従って,前記バックライト制御部32により前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理が実行されている場合には,前記液晶素子の階調遷移が前記テーブルT1を用いた場合に比べて急激に行われることとなり,該液晶素子の応答性を十分に高めることができる。さらに,この場合には,前記バックライトスキャン処理によって前記バックライト光源31が間欠点灯されているため,1フレーム期間内に前記バックライト光源31の消灯時間が存在し,前記液晶素子の過応答によって暗くなりすぎて視認性が低下するという問題も低減される。
なお,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い表示階調に変化させる場合にも該液晶素子を表示階調が低くなる方向に過応答(オーバーシュート)させることにより,該液晶素子の表示階調を白色度を高く変更する場合と低く変更する場合との両方において,白光りや視認性の低下問題の発生を防止しつつ液晶素子の応答性を十分に高めることができる。
【実施例2】
【0030】
本実施例2では,前記LED光源群L1〜L12を,該LED光源群L1〜L12に対応する前記液晶素子の過応答の期間においてできるだけ長く消灯させるための構成について説明する。
具体的には,前記バックライト制御部32が,前記LED光源群L1〜L12各々を,該LED光源群L1〜L12各々が対応する前記液晶パネル21の表示領域の液晶素子への画像書き込み開始の少し前,即ち液晶素子の応答開始よりも少し前から所定時間消灯させ,その後,所定時間点灯させるバックライトスキャン処理を実行することが考えられる。
なお,本実施例2では,図8に示すように,前記バックライト制御部32が,前記バックライト光源31のLED光源群L1〜L12を,4つに分割したLED光源群L21〜L24ごとに順に明滅させるバックライトスキャン処理(間欠点灯)を実行するものとする。
【0031】
ここに,図9は,前記LED光源群L21における消灯期間と該LED光源群L21に対応する表示領域の液晶素子の応答期間との関係を示している。なお,図9(a)は垂直同期信号,図9(b)は画像信号,図9(c)〜(e)は液晶素子の駆動状態を示している。また,図9(c)〜図9(e)は,液晶素子の表示階調を「0」から「128」に変化させる場合を示している。
既に説明したが,図9(c)に示すように,液晶素子に目標階調に対応する電圧を印加すると,該液晶素子の応答速度は遅くなってしまう。一方,図9(d)に示すように,液晶素子に目標階調に対応する電圧よりも高い電圧を印加すれば,液晶素子の応答速度を速くすることができる。
特に,前記液晶表示装置Xにおいて動画表示の際に生じる動きぼやけや多重輪郭を防止するためには,液晶素子の応答速度ができるだけ速いことが望ましいため,図9(e)に示すように電圧を更に高くして液晶素子に過応答を生じさせることが考えられる。但し,この場合には,その過応答により白光りなどの問題が生じる。
そのため,前記液晶素子の過応答の期間における前記LED光源群L21の消灯期間をできるだけ長くして,該液晶素子の過応答を見せないようにすることが望ましい。
【0032】
ここに,図10は,前記実施の形態で説明したように,前記LED光源群L21に対応する表示領域の前記液晶素子への画像書き込み開始(液晶素子の応答開始)から所定時間,該LED光源群L21を消灯させた後,該LED光源群L21を所定時間点灯させた場合を示している。
このとき,本実施例2に係る構成では,前記バックライト光源31のLED光源群L1〜L12を,4つに分割したLED光源群L21〜L24ごとに順に明滅させるため,該LED光源群L21〜L24に対応する表示領域が広くなる。そのため,図10(c),(d),(e)に示すように,前記LED光源群L21に対応する表示領域の先頭部,中間部,最後部それぞれの液晶素子の駆動のタイミングのズレ量も大きくなる。
具体的に,図10(c)に示すように,前記LED光源群L21に対応する表示領域の先頭部の液晶素子の過応答の期間は,その後半の一部のみにおいて,前記LED光源群L21が消灯した状態となっている。
一方,前記先頭部の液晶素子よりも遅れて応答が開始する中間部や最後部の液晶素子の過応答の期間における前記LED光源群L21の消灯期間は,図10(d),(e)に示すように,前記先頭部の液晶素子に比べて長くなっている。そのため,前記LED光源群L21に対応する表示領域の中間部や最後部の液晶素子については白光りなどの問題の改善効果が大きい。
【0033】
そこで,図11に示すように,前記バックライト制御部32が,前記LED光源群L21に対応する表示領域の前記液晶素子への画像書き込み開始の少し前,即ち前記液晶素子の応答開始の少し前から,前記LED光源群L21を所定時間(4.1ms)消灯させ,その後,所定時間(4.1ms)点灯させるようにバックライトスキャン処理を実行することが考えられる。
これにより,図11(c)に示すように,前記先頭部の液晶素子についても,該液晶素子の過応答の期間における前記LED光源群L21の消灯期間を長くすることができ,白光りなどの問題について大きな改善効果を得ることができる。もちろん,この場合でも,図11(d),(e)に示すように,前記中間部や最後部の液晶素子の過応答の期間における前記LED光源群L21の消灯期間も長く,白光りなどの問題について大きな改善効果が得られる。
但し,図11(e)に示すように,前記LED光源群L21の消灯開始から前記液晶素子の応答開始までの時間が長くなると,該液晶素子の応答開始から前記LED光源群L21が点灯するまでに時間が短くなり,該液晶素子の階調変化の開始部分に近い状態が見えることとなるため,動画ブレが目立ちやすくなるおそれがある。そのため,前記LED光源群L21の消灯期間の開始位置は,白光り等の防止効果と動画ブレの防止効果とのトレードオフの関係を考慮して,例えばバックライトスキャン処理で同時点灯する光源の数(分割数)やフレーム周期(画像の書き込み速度)などに応じて,予め適切に設定しておくことが望ましい。
【実施例3】
【0034】
ところで,例えば特開2007−86709号公報に係る発明では,バックライト光源の消灯期間に液晶素子の立ち上がり又は立ち下がりを完了させることが提案されている。
但し,液晶素子の応答性は,例えば環境温度などによって変化するため,前述のように液晶素子の表示階調の遷移時に生じさせる過応答(オーバーシュート,アンダーシュート)の程度は,例えば環境温度などによって変化させることが望ましい。このとき,液晶素子が目標階調に安定するまでの応答時間は,該液晶素子の表示階調の変化時における過応答の程度によって異なることとなる。
また,映像のフレーム間の表示階調の変化量によっても液晶素子の応答時間は異なる。例えば,表示階調の変化量が大きいほど液晶素子の応答時間は長くなり,表示階調の変化量が小さいほど液晶素子の応答時間は短くなる。
そのため,ある条件でバックライト光源の消灯期間に液晶素子の立ち上がりや立ち下がりを完了させることができるようにバックライト光源の消灯期間を設定しただけでは,液晶素子の過応答の程度や表示階調の変化量の違いによって液晶素子の応答時間が変動した場合に,バックライト光源の消灯期間に液晶素子の立ち上がりや立ち下がりを完了させることができず,擬似輪郭(動画ブレ)の抑制効果が小さいという問題がある。
以下,このような問題を解決するための構成について説明する。
【0035】
具体的には,印加電圧により透過率が変化する複数の液晶素子を有する液晶パネルと,前記液晶パネルを背後から照明するバックライト光源と,前記液晶素子への印加電圧を制御することにより該液晶素子の表示階調を制御する液晶駆動制御手段と,前記バックライト光源を間欠点灯させる間欠点灯処理を実行するバックライト制御手段とを備えてなり,前記バックライト制御手段が,前記バックライト光源の消灯期間内に前記液晶パネルにおける一部又は全部の前記液晶素子の立ち上がり及び/又は立ち下がりが終了するように,前記液晶駆動制御手段によって表示階調が制御されるときの前記液晶素子の応答時間に応じて前記間欠点灯処理における前記バックライト光源の消灯期間を制御してなることを特徴とする液晶表示装置として構成することが考えられる。
これにより,例えば前記液晶素子の過応答の程度や前記表示階調の変化量などによって変化する前記液晶素子の応答時間に追従して,前記バックライト光源の消灯期間内に前記液晶パネルにおける一部又は全部の前記液晶素子の立ち上がりや立ち下がりを終了させることができ,擬似輪郭(動画ブレ)を防止することができる。
【0036】
ここに,前記液晶駆動制御手段は,前記液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加するものである場合には,前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の応答時間が変化することになる前記液晶駆動制御手段によって制御される前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答の程度に応じて前記間欠点灯処理における前記バックライト光源の消灯期間を制御するものであることが考えられる。
また,前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の応答時間が変化することになる前記液晶駆動制御手段によって制御される前記液晶素子の表示階調の前記表示階調の変化量に応じて前記間欠点灯処理における前記バックライト光源の消灯期間を制御するものであることも考えられる。
もちろん,前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の応答時間が変化することになる前記液晶駆動制御手段によって制御される前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答の程度及び前記表示階調の変化量に応じて前記間欠点灯処理における前記バックライト光源の消灯期間を制御するものであることも考えられる。
【0037】
例えば,前記過応答の程度及び/又は前記表示階調の変化量と前記間欠点灯処理における前記バックライト光源の消灯期間との関係を定めた消灯期間設定情報が予め記憶された消灯期間設定情報記憶手段を更に備えてなり,前記バックライト制御手段が,前記消灯期間設定情報記憶手段に記憶された前記消灯期間設定情報と前記過応答の程度及び/又は前記表示階調の変化量とに基づいて前記間欠点灯処理における前記バックライト光源の消灯期間を制御するものであることが考えられる。
ところで,前記バックライト光源が,前記液晶パネルの垂直方向における複数の表示領域に対応して並設された複数の光源を含んでなる場合には,前記バックライト制御手段によって実行される前記間欠点灯処理が,前記複数の光源を順次間欠点灯させるバックライトスキャン処理であり,前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の応答時間に応じて前記バックライトスキャン処理における前記バックライト光源の消灯期間を制御するものであることが考えられる。
【0038】
以下,このような構成を前記液晶表示装置Xに適用した場合について説明する。なお,前記液晶表示装置Xについてここで説明しない構成については前述の実施の形態と同様である。
本実施例3に係る構成において,前記表示制御部11は,前記映像信号の1フレーム毎の前記液晶パネル21全体の表示階調の変化量の平均(以下,「平均階調変化量」と称する)を算出する平均階調変化量算出機能を有している。例えば,前記表示制御部11によって具現される前記平均階調変化量算出機能は,少なくとも連続する2フレームにおける液晶素子各々の表示階調を所定の記憶メモリに記憶しており,その液晶素子各々の表示階調の変化量から前記液晶パネル21全体の平均階調変化量を算出するものである。なお,連続する3フレーム以上の平均階調変化量を算出することも他の実施例として考えられる。また,前記映像信号の1フレーム毎の前記液晶パネル21の予め設定された一部の領域の平均階調変化量を算出するものであってもよい。
【0039】
前記液晶駆動部22は,図12〜図14に示す階調対応情報T21〜T23が記憶された不揮発性の記憶メモリ23(図1参照)を有している。前記液晶駆動部22は,前記記憶メモリ23に記憶された前記階調対応情報T21〜T23のいずれかに基づいて前記液晶素子への印加電圧を制御する。
ここに,前記階調対応情報T21〜T23は,図12〜図14に示すように,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせに対応する印加電圧の指標値となる指標階調が予め設定されたものである。もちろん,前記指標階調に代えて印加電圧の値が設定されていてもよい。なお,本実施例3に係る前記液晶表示装置Xは,0階調が黒,255階調が白のノーマリーブラック方式であるとする。即ち,前記液晶素子への印加電圧が高いほど該液晶素子の表示階調の白色度が高まる。
【0040】
ここで,前記階調対応情報T21〜T23では,図12〜図14に示すように,前記液晶パネル21の液晶素子の表示階調を白色度が高まる方向に変化させる場合の組み合わせに対応する前記指標階調が,そのときの目標階調よりも高い階調に設定されている。また,前記液晶パネル21の液晶素子の表示階調を白色度が低くなる方向に変化させる場合の組み合わせに対応する前記指標階調も,そのときの目標階調よりも低い階調に設定されている。
従って,前記液晶駆動部22が前記階調対応情報T21〜T23のいずれかを用いて前記液晶素子への印加電圧を制御すると,前記液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加することとなり,該液晶素子には過応答(オーバーシュート又はアンダーシュート)が生じることとなる。なお,前記階調対応情報T21〜T23における前記指標階調各々は,予め行った実験やシミュレーションの結果に応じて設定しておけばよい。
但し,前記階調対応情報T21〜T23は,前記液晶素子への印加電圧の設定値が異なり,即ち前記液晶素子の過応答の程度が異なる。具体的に,前記階調対応情報T21,T23に比べて前記階調対応情報T22の方が前記液晶素子の過応答が大きく,前記階調対応情報T21,T22に比べて前記階調対応情報T23の方が前記液晶素子の過応答が小さい。即ち,前記液晶素子の過応答の程度は,階調対応情報T23<階調対応情報T21<階調対応情報T22である。そして,前記液晶素子が現在階調から目標階調に遷移して安定するまでに要する応答時間は,前記液晶素子の過応答の程度が大きいほど長くなるため,該液晶素子の応答時間も同様に,階調対応情報T23<階調対応情報T21<階調対応情報T22となる。
【0041】
例えば,前記階調対応情報T21では,現在階調が「0」階調で,目標階調が「128」階調である場合には,該目標階調である「128」階調よりも高い「130」階調が前記指標階調として設定されている。また,現在階調が「128」階調で,目標階調が「64」階調である場合には,該目標階調である「64」階調よりも低い「60」階調が前記指標階調として設定されている。
一方,前記階調対応情報T22では,現在階調が「0」階調で,目標階調が「128」階調である場合には,該目標階調である「128」階調よりも高い「135」階調が前記指標階調として設定されている。また,現在階調が「128」階調で,目標階調が「64」階調である場合には,該目標階調である「64」階調よりも低い「53」階調が前記指標階調として設定されている。
さらに,前記階調対応情報T23では,現在階調が「0」階調で,目標階調が「128」階調である場合には,該目標階調である「128」階調よりも高い「129」階調が前記指標階調として設定されている。また,現在階調が「128」階調で,目標階調が「64」階調である場合には,該目標階調である「64」階調よりも低い「63」階調が前記指標階調として設定されている。
【0042】
そして,前記液晶駆動部22は,例えば前記液晶表示装置Xの環境温度に応じて前記階調対応情報T21〜T23を切り換えて参照し,前記液晶素子への印加電圧を制御する。このとき,前記液晶表示装置Xの環境温度は,該液晶表示装置Xに設けられた不図示の温度センサによって検出され,前記表示制御部11や前記液晶駆動部22に入力される。
なお,前記階調対応情報T21〜T23の切り換えは,前記液晶表示装置Xの環境温度に応じて行うものに限らない。例えば,ユーザによる任意の設定によって切り換えられることや,前記液晶表示装置Xの使用年数(液晶素子の劣化)に応じて切り換えることなどが考えられる。
また,前記液晶駆動部22は,前記階調対応情報T21〜T23のいずれを用いるかを前記表示制御部11を介して前記バックライト制御部32に伝達する。これにより,前記バックライト制御部32では,前記液晶パネル21の液晶素子の過応答の程度を知得することができる。
【0043】
そして,本実施例3に係る前記液晶表示装置Xは,前記バックライトスキャン処理における前記バックライト光源31の消灯期間を前記液晶素子の応答時間に応じて制御する点に特徴を有している。
具体的に,前記バックライト制御部32は,図15に示す消灯期間設定情報T11が予め記憶された記憶メモリ(消灯期間設定情報記憶手段の一例)を有している。
前記消灯期間設定情報T11では,前記液晶素子の過応答の程度及び前記平均階調変化量と前記バックライトスキャン処理(間欠点灯処理)における前記バックライト光源31の消灯期間との関係が定められている。
ここで,前記消灯期間設定情報で定められた前記消灯期間は,前記液晶素子の過応答の程度及び前記平均階調変化量の内容ごとに対応して,前記液晶素子の立ち上がりや立ち下がりまでの応答時間が前記バックライト光源31の消灯期間内に終了する時間として定められたものである。ここに,前記液晶素子の応答時間は,前記液晶素子の過応答の程度や前記平均階調変化量によって変化する。そこで,前記消灯期間設定情報T11では,前記消灯期間が,前記液晶素子の過応答の程度が大きく該液晶素子の応答時間が長いほど長く,前記平均階調変化量が大きく前記液晶素子の応答時間が長いほど長くなるように定められている。
そして,前記バックライト制御部32は,前記記憶メモリに記憶された消灯期間設定情報T11を参照し,前記液晶駆動部22によって表示階調が制御されるときの前記液晶素子の過応答の程度や前記平均階調変化量によって変化する前記液晶素子の応答時間に応じて,前記バックライト光源31の消灯期間内に前記液晶素子の立ち上がりや立ち上がりが終了するように,前記バックライト処理における前記バックライト光源31の消灯期間を制御する。例えば,前記バックライト制御部32は,前記液晶表示装置Xに設けられた不図示のクロック発生器によって生成される高周波のクロック信号に従って前記バックライト光源31の間欠点灯を制御するものである。この場合,前記バックライト制御部32は,前記間欠点灯における消灯タイミング及び点灯タイミングを計るための前記クロック信号のカウント数を変更することなどによって前記消灯期間の長短を調整することができる。これにより,例えば映像信号の垂直同期信号の整数倍の周期で前記バックライト光源31の明滅を制御するような場合に比べて緻密な制御を行うことが可能である。
なお,前記液晶素子の過応答の程度及び前記平均階調変化量のいずれか一方による前記液晶素子の応答時間の変化に応じて前記バックライト処理における前記バックライト光源31の消灯期間を制御することも他の実施例として考えられる。
【0044】
以下,図16〜図18を用いて,前記液晶表示装置Xで行われる前記液晶素子の階調遷移及び前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理の一例について説明する。なお,図16〜図18において(a)は前記液晶パネル21に設けられたある液晶素子に対応する階調信号(印加電圧を定める指標値),(b)は前記液晶素子の実際の表示階調の遷移,(c)は前記バックライト光源31のON/OFF(点灯及び消灯)を示している。また,ここでは前記液晶駆動部22の駆動周波数が240Hzであり,約4.1msごとに前記液晶素子への印加電圧を変更可能であるものとする。
ここでは,図16(b),図17(b),図18(b)各々に示すように,ある液晶素子の表示階調を,1フレーム目で「0」階調から「128」階調まで遷移させ,その後,2フレーム目で「128」階調から「64」階調に遷移させる場合であって,1フレーム目に対応する前記液晶パネル21全体の平均階調変化量が「128」,2フレーム目に対応する前記液晶パネル21全体の平均階調変化量が「64」である場合を例に挙げて説明する。
【0045】
まず,図16を参照しつつ,前記階調対応情報T21を用いる場合について説明する。
前記液晶駆動部22は,現在入力されている1フレームの画像信号と一つ前に入力されていた1フレームの画像信号とを比較することにより前記液晶素子各々の現在階調と目標階調との組み合わせ(変化前後の組み合わせ)を検出し,その組み合わせに対応する印加電圧を前記階調対応情報T21から抽出して前記液晶素子に供給する。そのため,前記液晶駆動部22は,少なくとも一つ前の1フレームの画像信号を保持している。
ここでは,現在階調が「0」,目標階調が「128」であるため,前記液晶駆動部22は,これらの組み合わせに対応する指標階調である「130」を前記階調対応情報T21から抽出する。そして,前記液晶駆動部22は,前記液晶素子に指標階調「130」に応じた印加電圧を供給し(図16(a)参照),該液晶素子の表示階調を変化させる(図16(b)参照)。そして,前記液晶駆動部22は,前記目標階調である「128」に応じた印加電圧を前記液晶素子に供給する(図16(a)参照)。
このとき,前記液晶素子の表示階調は,図16(b)に示すように,過応答(オーバーシュート)により「128」階調を超えた後,「128」階調まで下がって安定することとなる。そのため,前記液晶素子の過応答の程度が大きいほど該液晶素子が目標階調に安定するまでの応答時間が長くなり,前記液晶素子の過応答の程度が小さいほど応答時間が短くなる。
【0046】
そして,前記液晶素子の表示階調の遷移時に前記バックライト光源31が点灯していると,前記液晶パネル21に表示される映像に擬似輪郭(動画ズレ)などが生じるおそれがある。
そこで,前記バックライト制御部32は,図16(c)に示すように,前記液晶素子の表示階調の遷移が終了するまでの間,即ち前記液晶素子の立ち上がりや立ち下がりまでの応答時間が経過するまでの間は,前記バックライト光源31を消灯させている。
具体的に,前記バックライト制御部32は,1フレーム目については,前記液晶駆動部22が前記階調対応情報T21を用いていること及び前記平均階調変化量が「128」であることと,前記消灯期間設定情報T11(図15参照)とに基づいて,即ち前記液晶素子の応答時間が変化することになる前記液晶素子の過応答の程度及び前記平均階調変化量に応じて,前記バックライト光源31の消灯期間を「4.7ms」に設定する。これにより,前記液晶パネル21に設けられた液晶素子のうち表示階調の変化量が前記平均階調変化量以下である一部の液晶素子については,立ち上がりや立ち下がりが前記バックライト光源31の消灯期間内に行われることとなる。なお,前記バックライト制御部32は,前記消灯期間が延長された分だけ,前記バックライト光源31の点灯期間を短縮する。
【0047】
次に,2フレーム目については,現在階調が「128」,目標階調が「64」であるため,前記液晶駆動部22は,これらの組み合わせに対応する指標階調である「60」を前記階調対応情報T21から抽出する。そして,前記液晶駆動部22は,前記液晶素子に指標階調「60」に応じた印加電圧を供給し(図16(a)参照),該液晶素子の表示階調を変化させる(図16(b)参照)。そして,前記液晶駆動部22は,前記目標階調である「64」に応じた印加電圧を前記液晶素子に供給する(図16(a)参照)。
このとき,前記液晶素子の表示階調は,図16(b)に示すように,過応答(アンダーシュート)により「64」階調を超えた後,「64」階調まで上がって安定することとなる。そのため,前記液晶素子の過応答の程度が大きいほど該液晶素子が目標階調に安定するまでの応答時間が長くなり,前記液晶素子の過応答の程度が小さいほど応答時間が短くなる。
そこで,前記バックライト制御部32は,2フレーム目についても,前記液晶駆動部22が前記階調対応情報T21を用いていること及び前記平均階調変化量が「64」であることと,前記消灯期間設定情報T11(図15参照)とに基づいて,前記バックライト光源31の消灯期間を「4.5ms」に設定する。これにより,前記液晶パネル21に設けられた液晶素子のうち表示階調の変化量が前記平均階調変化量以下である一部の液晶素子については,立ち上がりや立ち下がりが前記バックライト光源31の消灯期間内に行われることとなる。
【0048】
一方,図17に示すように,前記階調対応情報T22を用いる場合には,前記液晶素子の過応答の程度が前記階調対応情報T21を用いる場合に比べて大きくなるため,該液晶素子の応答時間も長くなる。
そのため,前記階調対応情報T22を用いる場合には,前記バックライト制御部32は,1フレーム目については,前記液晶駆動部22が前記階調対応情報T22を用いていること及び前記平均階調変化量が「128」であることと,前記消灯期間設定情報T11(図15参照)とに基づいて,前記バックライト光源31の消灯期間を「4.9ms」に設定する。また,2フレーム目については,前記バックライト制御部32は,前記液晶駆動部22が前記階調対応情報T22を用いていること及び前記平均階調変化量が「64」であることと,前記消灯期間設定情報T11(図15参照)とに基づいて,前記バックライト光源31の消灯期間を「4.7ms」に設定する。
【0049】
また,図18に示すように,前記階調対応情報T23を用いる場合には,前記液晶素子の過応答の程度が前記階調対応情報T21を用いる場合に比べて小さくなるため,該液晶素子の応答時間も短くなる。
そのため,前記階調対応情報T23を用いる場合には,前記バックライト制御部32は,1フレーム目については,前記液晶駆動部22が前記階調対応情報T23を用いていること及び前記平均階調変化量が「128」であることと,前記消灯期間設定情報T11(図15参照)とに基づいて,前記バックライト光源31の消灯期間を「4.5ms」に設定する。また,2フレーム目については,前記バックライト制御部32は,前記液晶駆動部22が前記階調対応情報T22を用いていること及び前記平均階調変化量が「64」であることと,前記消灯期間設定情報T11(図15参照)とに基づいて,前記バックライト光源31の消灯期間を「4.3ms」に設定する。
【0050】
このように,前記液晶表示装置Xでは,前記液晶駆動部22が前記階調対応情報T21〜T23のいずれを用いて前記液晶パネル21の表示階調を制御する場合であっても,前記液晶パネル21に設けられた液晶素子のうち表示階調の変化量が前記平均階調変化量以下である一部の液晶素子については,立ち上がりや立ち下がりが前記バックライト光源31の消灯期間内に行われることとなり,表示階調の遷移が表示されないこととなる。従って,前記液晶素子の白光りを抑制しつつ,暗くなりすぎて視認性が低下するという問題を改善することができると共に,前記液晶パネル21の表示映像の動画ブレを抑制することができる。
【0051】
また,前記平均階調変化量に代えて,前記液晶パネル21の映像全体において前後のフレーム間の輝度差(階調変化量)が最も大きい液晶素子のその階調変化量を基準に,前記消灯期間設定情報T11を用いて前記バックライト光源31の消灯期間を定めれば,前記液晶パネル21における全部の液晶素子の立ち上がりや立ち下がりを前記バックライト光源31の消灯期間内に行うことができる。
さらに,前記バックライト制御部32が,前記バックライト光源31のバックライトスキャン処理における消灯時間を,前記液晶パネル21の表示領域を垂直方向に複数に分割した所定の映像領域ごとに変更することも考えられる。この場合には,前記所定の映像領域ごとに該所定の映像領域における前後のフレーム間の階調変化量に応じて前記バックライトスキャン処理における消灯時間を変更することが考えられる。これにより,前記所定の映像領域ごとに適した消灯時間を設定することができ,映像のブレを改善することができる。
例えば,前記液晶パネル21の表示領域を垂直方向に6つの映像領域に分割した場合,その6つの映像領域ごとに,該映像領域において前後のフレーム間の階調階調変化量が最も大きい画素に注目し,その画素の階調変化量が大きいほど前記バックライトスキャン処理における消灯時間を長くし,該階調変化量が小さいほど前記バックライトスキャン処理における消灯時間を短くする前記バックライトスキャン処理における消灯時間を変更することが考えられる。もちろん,その6つの映像領域ごとに平均階調変化量を算出し,該映像領域ごとにその平均階調変化量に応じて前記消灯時間を変更してもよい。
【0052】
なお,前記液晶駆動部22による前記液晶素子への印加電圧の制御手法は,前記階調対応情報T21〜T23を用いるものに限らず,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせに対して所定の演算を行うことにより前記液晶素子への印加電圧を制御することも考えられる。
また,同様に前記液晶素子の過応答の程度や前記液晶素子の表示階調の変化量に対して所定の演算を行うことにより,前記バックライトスキャン処理における前記液晶素子の消灯期間を算出することも考えられる。
さらに,本実施例3では,前記バックライト光源31のLED光源31a各々を前記LED光源群L1〜L12ごとに明滅させる構成を例に挙げて説明したが,全ての前記LED光源31aを同時に明滅させる間欠点灯処理についても本発明を適用することが可能である。
また,本発明は,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い表示階調に変化させる場合,又は前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が低い表示階調に変化させる場合のいずれか一方だけで,前記液晶素子を過応答(オーバーシュート又はアンダーシュート)させる構成についても適用可能である。
なお,本実施例3では,前記液晶表示装置Xがノーマリーブラック方式である場合を例に挙げて説明したが,ノーマリーホワイト方式である場合にも本発明を適用し得る。この場合には,前記バックライトスキャン処理が実行されるときは,通常の印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が高くなるように低い値に設定された印加電圧がオーバーシュート電圧として前記液晶素子に供給すればよい。
【実施例4】
【0053】
ここまで,前記液晶素子に生じさせる過応答(オーバーシュート,アンダーシュート)の程度を定めた前記テーブルT1〜T3,T21〜T23のようなパラメータ(以下,「OSパラメータ」と称する)を変更して最適化する場合について説明した。
一方,前記液晶駆動部22が,2フレームOS駆動を行う場合に用いられる後述の予測パラメータを変更して最適化することも考えられる。ここに,2フレームOS駆動とは,次フレーム及び次々フレームの映像階調に応じて液晶素子のOS駆動(オーバーシュート駆動)を行うものである。この2フレームOS駆動は,1フレームのみの突出した映像変動によりOS駆動が過剰に行われることを防ぐために行われる。
具体的に,前記OSパラメータとして図12に示された前記テーブルT21を用いる場合であり,現フレームの表示階調が「255」,次フレームの表示階調が「0」,次々フレームの表示階調が「128」である場合における2フレームOS駆動の内容について説明する。
この場合,次フレームから次々フレームの間で表示階調が「0」から「128」に変化するとき,その変更の際にオーバーシュートが生じるように指標階調が「130」となる(図12参照)。ところが,前記液晶素子としては,現フレームの「255」から次フレームの「0」に移行する際,十分に応答できずに「0」まで変化せず,例えば少し高い「16」に相当する状態となる。この状態で,指標階調を「130」として液晶素子が駆動されると,前記液晶素子の応答が予想よりも大きくなってしまう。そこで,現在の前記液晶素子の表示階調を予測する予測パラメータ(予測テーブル)を予め設定しておくことが考えられる。例えば,前記予測パラメータは,一つ前のフレームの表示階調及び現フレームの表示階調の組み合わせ毎に対応する現在の前記液晶素子の表示階調の予測値を定めたテーブルある。そして,前記液晶駆動部22が,前記予測パラメータに基づいてOS駆動の内容,即ち過応答の程度を調整する。なお,前記予測パラメータは,予め行われる実験やシミュレーション等の結果に応じて設定しておけばよい。
本例では,現フレームの「255」から次フレームの「0」に変化されるときの液晶素子の状態の予測値を「16」として設定しておき,次フレームから次々フレームへの移行時のOS駆動を,「0」から「128」への移行ではなく,「16」から「128」への移行であるものとして行うことが考えられる。即ち,前記液晶駆動部22は,次フレームから次々フレームへの階調変更時に対応する前記指標階調の値を,例えば「130」よりも低い「129」程度としてOS駆動を行う。これにより,フレーム単位の急激な変動の影響が軽減される。
そして,前記液晶駆動部22が,このような2フレームOS駆動においても,前記バックライトスキャン処理の実行の有無や,環境温度などに応じて,前記予測パラメータ及び前記OSパラメータのいずれか一方又は両方を変更することが考えられる。このとき,前記予測パラメータや前記OSパラメータの変更方法としては,例えばそれらのパラメータのテーブルの値を個別に変更することや,テーブルの全部又は一部を他のテーブルに変更することが考えられる。
これにより,前記OSパラメータのみを変更する場合であれば,すべての映像階調について動画ボヤケが同等に改善される。一方,前記予測パラメータのみを変更する場合であれば,フレーム毎に表示階調が急激に変化しているような比較的動きが激しい動画に重点を置いた改善がなされる。さらに,前記予測パラメータ及び前記OSパラメータの両方を変更する場合であれば,上記の中間的な改善となる。また,前記予測パラメータや前記OSパラメータのテーブルの一部の変更であれば,所定の階調に重点をおいた改善が可能である。
もちろん,表示階調を上げるときのオーバーシュート駆動に限らず,表示階調を下げるときのアンダーシュート駆動についても同様の処理を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は,テレビジョン受像機やディスプレイ装置などの液晶表示装置への利用が可能である。
【符号の説明】
【0055】
11…表示制御部
21…液晶パネル
22…液晶駆動部
23…記憶メモリ
31…バックライト光源
32…バックライト制御部
L1〜L12…LED光源群
X…液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと,バックライト光源と,液晶駆動制御手段と,バックライト制御手段とを備えてなり,
前記液晶駆動制御手段が,前記液晶パネルの液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記バックライト光源の間欠点灯処理が実行されている場合には,該間欠点灯処理が実行されていない場合に比べて前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の過応答の期間の少なくとも一部において前記バックライト光源が消灯するように該バックライト光源を間欠点灯させるものである請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の応答期間の開始から,或いは前記液晶素子の応答期間の開始の少し前から,前記バックライト光源を所定時間消灯させた後所定時間点灯させるものである請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
液晶パネルと,バックライト光源と,液晶駆動制御手段と,バックライト制御手段とを備えてなり,
前記液晶駆動制御手段が,前記液晶パネルの液晶素子の表示階調を変化させるとき,該表示階調の変化方向に過応答を生じさせる印加電圧を該液晶素子に印加するものであり,
前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の過応答の期間の少なくとも一部において前記バックライト光源が消灯するように該バックライト光源を間欠点灯させるものであることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
前記バックライト制御手段が,前記液晶素子の応答期間の開始から,或いは前記液晶素子の応答期間の開始の少し前から,前記バックライト光源を所定時間消灯させた後所定時間点灯させるものである請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶駆動制御手段が,前記液晶パネルの液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記バックライト光源の間欠点灯処理が実行されている場合には,該間欠点灯処理が実行されていない場合に比べて前記液晶素子の表示階調の変化方向の過応答が強くなる印加電圧を該液晶素子に印加するものである請求項4又は5のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせに対応する前記第1の印加電圧の指標値が設定された第1の階調対応情報と,少なくとも前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせの一部に対応する前記第2の印加電圧の指標値及び/又は前記第3の印加電圧の指標値が設定された第2の階調対応情報とを記憶する階調対応情報記憶手段を更に備えてなり,
前記液晶駆動制御手段が,前記液晶素子の表示階調を変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されていない場合には,前記階調対応情報記憶手段に記憶された前記第1の階調対応情報に基づいて前記第1の印加電圧を前記液晶素子に印加し,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されている場合には,前記階調対応情報記憶手段に記憶された前記第2の階調対応情報に基づいて前記第2の印加電圧を前記液晶素子に印加するものである請求項1〜3,6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶駆動制御手段が,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が高い表示階調に変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されていない場合には,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせ各々に対応して予め設定された第1の印加電圧を前記液晶素子に印加し,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されている場合には,前記第1の印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が高くなるように予め設定された第2の印加電圧を前記液晶素子に印加するものである請求項1〜3,6,7のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶駆動制御手段が,前記液晶素子の表示階調を現状よりも白色度が低い表示階調に変化させるとき,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されていない場合には,前記液晶素子の表示階調の変化前後の組み合わせ各々に対応して予め設定された第1の印加電圧を前記液晶素子に印加し,前記バックライト制御手段により前記間欠点灯処理が実行されている場合には,前記第1の印加電圧よりも前記液晶素子の白色度が低くなるように予め設定された第3の印加電圧を前記液晶素子に印加するものである請求項1〜3,6〜8のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記バックライト光源が,前記液晶パネルの垂直方向における複数の表示領域に対応して並設された複数の光源を含んでなり,
前記バックライト制御手段によって実行される前記間欠点灯処理が,前記複数の光源を1フレーム期間内で順次間欠点灯させるバックライトスキャン処理である請求項1〜9のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記バックライトスキャン処理が,少なくとも垂直同期信号に同期して前記複数の光源を順次間欠点灯させるものである請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記光源各々が,前記液晶パネルの水平方向に並設された複数のLED光源を含んでなる請求項10又は11のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の液晶表示装置を含むテレビジョン受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−65151(P2011−65151A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184192(P2010−184192)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】