説明

液晶表示装置

【課題】簡単な回路構成で表示画面のコントラスト比を高め、高品位な液晶表示装置を実現する。
【解決手段】液晶表示装置は、エッジライト3、6から出射された光の光量を液晶パネル1で制御して画像表示を行う。エッジライト3、6内の光源にはCCFL光源を使用すると共に、そのCCFL光源から出射される光を高分子分散型液晶板4、7を通して入射して液晶パネル1方向へ導光する複合型導光板2の表面の全領域を複数の領域に分割し、その各分割領域にそれぞれ対応する液晶パネル1の複数の表示画素の階調レベルの分布に応じてその分割領域に対応する高分子分散型液晶板4、7の分割エリアの光透過率を制御して照明光を得、その照明光を複合型導光板2で偏向して液晶パネル1に照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置に係り、特にカラーテレビ、パソコンモニタ等に用いられる、表示画面のコントラスト比を高めた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型のディスプレイとして急速に普及が進んでいる。現在の液晶表示装置の多くは、液晶パネル面に照射する光源(バックライト)の光を、液晶パネルにおいて遮断させたり、透過させたりすることによって表示を行う。液晶パネルに映像を表示させるときは、映像信号に応じて、個々の画素毎に液晶の印加電圧を変化させる。すると、加えた電圧に応じて液晶分子の向き(配向)が変化する。この配向変化を利用して、光の透過率を画素毎に変化させて、液晶パネルに映像を表示させる。
【0003】
バックライトの光源には、主として冷陰極管(cold-cathode fluorescent lamp:CCFL)が用いられている。通常のCCFL光源は、点灯/消灯を頻繁に繰り返すと寿命が短くなってしまうため、液晶パネルの表示画像が明るい画面であろうと、暗い画面であろうと、表示内容に関わりなく一定量の光を放出するように、持続的に点灯させて用いる。
【0004】
明表示の輝度を暗表示の輝度で割った値を、コントラスト(またはコントラスト比)といい、表示品位の一つの指標として用いられる。特に暗室で測定を行ったコントラストは、暗所コントラストという。この暗所コントラストに関しては、液晶表示装置は、完全な黒を表示することが難しく限界がある。これは、バックライトの光を液晶パネルが遮蔽しきれないためである。
【0005】
主な原因として挙げられるのは、偏光フィルタの偏光度が完全に100%ではないことと、液晶層やカラーフィルタ等により偏光が若干解消されるため、視野角によっては表示光が漏れてきてそれが見えるためである。このため、液晶表示装置で映画などの暗い画面を映すと、光漏れによる「黒浮き」が起きてしまい、「引き締まった黒」の表現が難しくなり、暗いシーンでは黒の階調表現が低下してしまう課題がある。
【0006】
図7は、従来の液晶表示装置のパネル上面の発光輝度の一例を示す図である。横軸は、階調レベルであり、図には「5」、「55」、「105」、「155」、「205」、「255」を示している。縦軸は、発光輝度レベルである。バックライトはこれまで述べたように、階調レベルが低い「5」の場合であっても、階調レベルが高い「255」の場合であっても、一定量の光を放出して、発光輝度を持続させている。破線Iは、液晶表示装置に本来発光させたい輝度である。この輝度は、横軸の階調レベル「5」〜「255」に比例して、しかも縦軸の発光輝度レベルが最大限の範囲で変化している。一方、棒グラフIIは、液晶表示装置が実際に発光する輝度である。この縦軸の発光輝度レベルは横軸の階調レベル「5」〜「255」に比例こそするが、階調レベルが低い「5」の場合で、最小レベルまで沈みきっていない。これは、階調レベルが低くなるほど、図7に矢印で示すように十分な遮光量が得られなくなるため、光漏れによる「黒浮き」が起きてしまっているからである。
【0007】
この課題に対して、映像信号に合わせてバックライトを制御してダイナミックに明るさを変更することにより、コントラストを増大させると同時に、消費電力を低減させる、様々な解決方法が提案されている。
【0008】
例えば、少なくとも二つの分割領域を有する液晶表示パネルと、前記液晶パネルの分割領域で光を照射する、少なくとも一つの発光ダイオードを含めた光発生部と、前記液晶表示パネルの分割領域各々のピーク階調値によって、前記発光ダイオードによって発生される光の輝度を制御する駆動部とを備えることにより、局部的な輝度制御及び色特性制御ができる液晶表示装置の駆動装置及びその方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また別の方法として、複数の走査電極と、バックライトとを有する受動型の液晶表示装置に於いて、前記走査電極の内所望の少なくとも1つの走査電極を選択し、該走査電極が走査されるタイミングに同期した同期信号を作成する同期信号作成手段と、複数フレームにわたって前記バックライトを常時点灯させる手段と、複数フレームにわたって前記バックライトを前記同期信号に同期して点灯あるいは消灯させる手段とを備えることにより、強調部分の液晶の光学的コントラスト比を通常表示の時よりも向上させて、所望の領域を強調表示する液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
さらに別の方法として、液晶パネルに照射する照明光を発する光源となるLED(発光ダイオード)を、液晶パネルの複数の分割領域に対して少なくとも1つずつ配置すると共に、LED制御回路は、映像信号に応じて、少なくとも照明光が必要とされる画素領域にのみ照明光が照射されるよう、バックライトパネルにおけるLEDを分割領域単位で駆動制御し、照明する必要のない画素領域に対しては基本的に照明光を照射せず、照明に必要とされる消費電力を低減させる手段とを備えることにより、照明に必要とされる消費電力を低減させる映像表示装置及び映像表示装置における照明制御方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2005−338857号公報
【特許文献2】特開2004−309937号公報
【特許文献3】特開2001−142409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかるに、特許文献1記載の従来の液晶表示装置は、局部的に輝度が制御できるだけでなく、局所的な色温度・色座標を制御することができるが、表示装置の画質を改善するため、エリアを細かく分割して分割領域を増やせば増やすほど、LED駆動回路を増やさなければならず、回路構成が複雑になりコストがかかってしまうため、その改善が望まれる。
【0013】
また、特許文献2記載の従来の液晶表示装置は、バックライトの点灯あるいは消灯を制御することによって、通常表示の時よりも高いコントラスト比で所望の領域を強調表示することができるが、この液晶表示装置は、走査電極の内所望の少なくとも1つの走査電極を選択し、該走査電極が走査されるタイミングに同期した同期信号を作成する同期信号作成手段と、複数フレームにわたって前記バックライトを常時点灯させる手段と、複数フレームにわたって前記バックライトを前記同期信号に同期して点灯あるいは消灯させる手段とを有することが必要である。
【0014】
更に、特許文献3記載の従来の液晶表示装置は、発光手段を分割領域単位で駆動制御するので、照明する必要のない画素領域に対しては照明光を照射せず、照明に必要とされる消費電力を低減することができるが、特許文献1と同様に、表示装置の画質を改善するため、エリアを細かく分割して分割領域を増やせば増やすほど、LED駆動回路を増やさなければならず、回路構成が複雑になりコストがかかってしまうため、その改善が望まれる。
【0015】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、簡単な回路構成で表示画面のコントラスト比を高めることを可能にした、高品位な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明は、規則的に配置されたN個(Nは3以上の自然数)の表示画素に入力映像信号に応じた電圧が印加されることによって画像を表示する液晶パネルと、液晶パネルの背面に照明光を照射するための光源とを備えた液晶表示装置において、
表面の所定領域をM個(MはNより小なる2以上の自然数)に分割してなるM個の分割領域を備え、そのM個の分割領域のそれぞれから、入射光を画面均一かつそれぞれ独立に液晶パネルの背面に向けて照明光として出射する構造とした複合型導光板と、光源と複合型導光板の入光部の間に配置されており、複合型導光板のM個の分割領域のうち、それぞれ対応する分割領域に光源からの光を入射するM個の分割エリアを備えた高分子分散型液晶板と、高分子分散型液晶板の分割エリア毎に、その分割エリアに対応した複合型導光板の分割領域に離間対向する液晶パネルの該分割領域内のL個(LはNより小なる1以上の自然数)の表示画素で表示される入力映像信号の画像の階調レベル分布に応じて、分割エリアの光透過率を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0017】
この発明では、複合型導光板の各分割領域毎に、その分割領域に離間対向して設けられている液晶パネルの上記分割領域内の表示画素の階調レベルの分布を調べ、所定のアルゴリズムに従いその分布が全体的に暗いか明るいかという判定結果を得て、その判定結果が得られた複合型導光板の分割領域に対応した高分子分散型液晶板の分割エリアの光透過率を判定結果に応じて制御することで、液晶パネルの実際の発光輝度を本来の発光輝度に近付ける。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、上記の複合型導光板は、表面が液晶パネルの背面に対向し、かつ、側面が高分子分散型液晶板の光出射側面に対向する大略平板形状であり、その側面に入射する高分子分散型液晶板のM個の分割エリアからそれぞれ出射した光の進行方向を偏向させて、M個の分割領域のうち、各分割エリアに対応する各分割領域から液晶パネルの背面に向けて照明光としてそれぞれ出射する構造であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光源を低コストに抑えて、なおかつ駆動回路も簡単な回路構成で、表示画面のコントラスト比を高めることができ、高品位な液晶表示装置を実現することができる。また、本発明によれば、高分子分散型液晶板のパネルサイズは複合型導光板の側面の小さな面積で十分であり、表示画面の全サイズといった大きな面積を必要としないため、高分子分散型液晶板の製作コストを抑えて安価に構成することができる。更に、本発明によれば、直下方式のような大きな奥行き距離を照明光源の内部構造に必要とせず、薄型化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明になる液晶表示装置の一実施の形態の動作説明図を示す。この液晶表示装置は、液晶パネル1と、液晶パネル1の下部に設けられた複合型導光板2と、複合型導光板2の側部に設けられたエッジライト3、6とからなり、エッジライト3、6から出射された光の光量を液晶パネル1で制御して画像表示を行う仕組みの従来の液晶表示装置とほぼ同様の構成に加えて、複合型導光板2とエッジライト3の中にある光源5との間に、高分子分散型液晶板4を挟み込む構造として、光透過率を2段階で制御する構成である(図1では図示の便宜上、エッジライト3の内部構造だけしか示していないが、エッジライト6も同様の内部構造になっている)。
【0022】
複合型導光板2は、表面の全領域が縦方向及び横方向の2次元的に複数の領域に分割されており(図1では図示の便宜上、縦方向に3つ、横方向に4つの計12の領域に分割されている)、それぞれの領域が面内均一、かつ、それぞれ独立に液晶パネル1の背面を照射する構造とした大略平板形状の複合型の導光板となっている。また、高分子分散型液晶板4は、その表面の全領域が縦方向及び横方向の2次元的に複数のエリアに分割されている(図1では図示の便宜上、縦方向に2つ、横方向に3つの計6つのエリアに分割されている)。
【0023】
図1に示された白い矢印は、矢印方向が光の進行方向を、矢印の長さが光量を示している。光源5から出た白い矢印は全て同じ長さ、すなわちすべて同一光量である。高分子分散型液晶板4では、光透過率を分割エリア毎に制御しているため、白い矢印の長さはこの光透過率に応じてそれぞれ異なっている。図1では高分子分散型液晶板4の光透過率が高い分割エリアを白色で示し、光透過率が低くなるにつれて分割エリアを濃い色で示している。図1の例では、高分子分散型液晶板4の分割エリアの光透過率は3種類としている。
【0024】
この高分子分散型液晶板4は、高分子材料中に液晶粒子を均一に分散させて作成した材料で構成されており、光散乱と透明の二つの状態を利用するので偏光板を必要としない平板部材である。この高分子分散型液晶板4は、電場をかけない場合には、分散した液晶の配向ベクトルが異なった方向を向いているため、界面で光が散乱することで不透明な白色状態を作り出す。一方、高分子分散型液晶板4に電場を加えると、液晶の配向ベクトルが一致して光に対する高分子材料と液晶の屈折率がほぼ等しくなり、光が非散乱状態となり光を透過させる透明状態になる。
【0025】
従来の液晶パネルでは、偏光板と配向板という仕組みを用いるために、構造上、入射する光の量が減少するという問題点があったが、本実施の形態では高分子分散型液晶板4は、偏光板や配向板を用いていないために、少ない電力でより光利用効率の良い、光シャッターを実現することができる。
【0026】
図2は、本発明になる液晶表示装置の一実施の形態の回路構成を示すブロック図である。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付してある。図2において、図1に示したように液晶パネル1の上下長辺端部には、高分子分散型液晶板4、7が配置され、高分子分散型液晶板4、7の側面には光源5、8が配置される。高分子分散型液晶板4と光源5は、図1のエッジライト3を構成し、高分子分散型液晶板7と光源8は、図1のエッジライト6を構成する。光源5、8は光源駆動回路22で駆動する。
【0027】
液晶パネル1の水平方向の画素を駆動するために、ソースドライバ15が備えられる。ソースドライバ15からは、画像表示データを示した信号S1、S2、S3、・・・が液晶パネル1へ送られる。また、液晶パネル1の垂直方向の画素を駆動するために、ゲートドライバ16が備えられる。ゲートドライバ16からは、ライン走査位置を示した信号G1、G2、G3、・・・が液晶パネル1へ送られる。また、本実施の形態は、映像信号処理回路11、メモリ12、制御信号発生回路13、液晶パネル制御回路14、高分子分散型液晶板制御回路17を備えている。
【0028】
映像信号処理回路11は、ビデオ入力からの映像信号をパネル表示用のデータに変換するための信号処理を行うための回路である。映像信号処理回路11から出力された信号は、メモリ12に送られる。メモリ12は、画像1フレーム分を順次保存する。メモリ12から読み出されたデータは、液晶パネル制御回路14を介して、ソースドライバ15へ送られると共に、制御信号発生回路13にも送られる。制御信号発生回路13は、液晶パネル制御回路14、高分子分散型液晶板制御回路17、光源駆動回路22をそれぞれ制御する。液晶パネル制御回路14は、ソースドライバ15とゲートドライバ16とを制御する。
【0029】
また、メモリ12から送られた画像1フレーム分のデータを基に、高分子分散型液晶板4、7の分割エリア毎の光透過率を制御信号発生回路13で決めて、高分子分散型液晶板制御回路17を介して、カラムドライバ18、20へ信号を送っている。
【0030】
高分子分散型液晶板4、7の水平方向の複数の分割エリアを駆動するために、カラムドライバ18、20が備えられる。カラムドライバ18、20からは、光透過率を示した信号C1、C2、C3が高分子分散型液晶板4、7へ送られる。高分子分散型液晶板4、7の垂直方向の複数の分割エリアを駆動するために、ロウドライバ19、21が備えられる。ロウドライバ19、21からは、ライン走査位置を示した信号R1、R2が高分子分散型液晶板4、7へ送られる。高分子分散型液晶板制御回路17は、カラムドライバ18、20とロウドライバ19、21とを制御する。
【0031】
ここで、高分子分散型液晶板4、7は図2の例では、その全領域が2行3列のマトリクス状に配列された全部で6個のエリアにそれぞれ分割されており、それら6個の分割エリアの各々はカラムドライバ18、20からの3本の縦方向電極とロウドライバ19、21からの2本の横方向電極との交点でそれぞれ別々に結線されている。また、ロウドライバ19、21からR1、R2、R1、・・・の順で、時分割的に、かつ、巡回的に順番に信号が2本の横方向電極に出力されると共に、1本の横方向電極に信号R1又はR2が入力されている状態では、その行に対応した分割エリアの光透過率を制御するための信号C1、C2,C3がカラムドライバ18、20から3本の縦方向電極に同時に印加される。このようにして、上記の6個ずつ合計12個の分割エリアは各行の3個、合計6個の分割エリアずつその光透過率が時分割的に、かつ、巡回的に1フレーム周期で互いに独立に、液晶パネル1で表示される映像信号に同期してパッシブマトリクス駆動方式で制御される。
【0032】
ここで、高分子分散型液晶板4、7の各6個の分割エリアの各々は、複合型導光板2の12個の分割領域(エリア)のうち各分割領域に対応して設けられている。すなわち、高分子分散型液晶板4及び7の全体の分割エリアの数(ここでは、12)と、複合型導光板2の分割領域の数(ここでは、12)とは同じであり、1対1に対応している。また、高分子分散型液晶板4、7の各分割エリアの光透過率は、複合型導光板2の各分割領域に離間対向する位置にある液晶パネル1の各分割領域毎の複数個の表示画素により表示される階調レベル分布に対応した光透過率になるように、信号C1、C2、C3により互いに独立して制御される。
【0033】
すなわち、制御信号発生回路13は、メモリ12からの画像1フレーム分のデータに基づき、複合型導光板2の各分割領域(エリア)毎に、その分割領域に離間対向して設けられている液晶パネル1の複数個の表示画素すべての階調レベルをヒストグラムにとり、その分割領域内の表示画素の階調レベルの分布を調べ、所定のアルゴリズムに従いその分布が全体的に暗いという判定結果を得たときは、その判定結果が得られた複合型導光板2の分割領域に対応した高分子分散型液晶板4、7の分割エリアの光透過率を下げ、全体的に明るいという判定結果を得たときは、その判定結果が得られた複合型導光板2の分割領域に対応した高分子分散型液晶板4、7の分割エリアの光透過率を上げるような制御信号を生成する。
【0034】
生成された制御信号は、高分子分散型液晶板制御回路17を介してカラムドライバ18、20に供給されて信号C1、C2、C3を出力させると共に、高分子分散型液晶板制御回路17を介してロウドライバ19、21に供給されて1フレーム周期で高分子分散型液晶板4、7の各分割エリアをライン毎に選択する信号を出力させる。
【0035】
図3は、本発明になる液晶表示装置の一実施の形態における液晶パネルの構造図を示す。同図中、図1及び図2と同一構成部分には同一符号を付してある。図3において、液晶パネル1は、画像表示側である図面上部から、偏光板30、ガラス基板31、カラーフィルタ32、共通電極33、配向膜34、液晶層35、配向膜36、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)アレイ37、ガラス基板38、及び偏光板39が順次設けられた構造を有する。
【0036】
液晶層35は、配向膜34と配向膜36の間に充填されて、共通電極33とTFTアレイ37により、印加される電圧の値に応じて光透過率が制御される。さらに偏光板39の下には、複合型導光板2を備えており、エッジライト3、6から入射された光が複合型導光板2を通って、その進行方向が上方へ偏向されて液晶パネル1に入光する。
【0037】
図4は、本発明になる液晶表示装置の一実施の形態のパネル上面の発光輝度を示す。横軸は、階調レベルであり、同図には「5」、「55」、「105」、「155」、「205」、「255」が示されている。縦軸は、発光輝度レベルである。図4に点線IIIで示したバックライトは、本実施の形態の発光輝度レベル対階調レベル特性を示す。
【0038】
この特性IIIから分かるように、高分子分散型液晶板4、7と光源5、8とを組み合わせたエッジライト3、6により、表示する階調レベル(ここでは、前述したように、複合型導光板2の複数の分割領域のうち各分割領域に離間対向した液晶パネル1の複数個の表示画素の各階調レベルの分布が示す階調レベル)が低い「5」等の場合は、上記の複合型導光板2の分割領域に対応した高分子分散型液晶板4、7の分割エリアの光透過率を低くして、バックライトの光量(発光輝度レベル)を落とし、表示する階調レベルが高い「255」等の場合は、上記の複合型導光板2の分割領域に対応した高分子分散型液晶板4、7の分割エリアの光透過率を高くしてバックライトからの光量(発光輝度レベル)の低減を抑えて、発光輝度を変化させている。
【0039】
また、図4中の破線IVは、液晶表示装置に本来発光させたい輝度である。この液晶表示装置に本来発光させたい輝度は、横軸の階調レベル「5」〜「255」に比例して、しかも縦軸の発光輝度レベルが最大限の範囲で変化している。一方、棒グラフVは、本実施の形態の液晶表示装置が実際に発光する輝度である。横軸に示す階調レベル「5」〜「255」に比例して、縦軸に示す発光輝度レベルは最大限の範囲で変化しており、階調レベルが低い「5」の場合でも、最小レベルまで正確に発光しているのが分かる。
【0040】
これは、本実施の形態では、図4に点線で示す特性IIIで示したように、階調レベルが低いときは、高分子分散型液晶板4、7の光透過率を低くして、バックライトの光量(発光輝度レベル)を落とすようにしているため、図4に矢印で示すように遮光量が正確にでき、光漏れによる「黒浮き」を防止しているからである。
【0041】
図5は、本発明になる液晶表示装置の一実施の形態の液晶パネルの駆動説明図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付してある。図5において、液晶パネル1には複数個の表示画素52がm行n列の2次元マトリクス状に配列されている。ソースドライバ15のn個の出力端子の各々は同じ列に並ぶm個の表示画素52に、ソース線54、TFT53のドレイン・ソースを介して接続されている。また、ゲートドライバ16のm個の出力端子の各々は同じ行(ライン)に並ぶn個の表示画素52に対応して設けられたTFT53のゲートにゲート線51を介して接続されている。
【0042】
これにより、第1ラインを走査する場合、ゲートドライバ16から第1ラインに印加される走査信号G1の電圧をハイレベルとし、かつ、ゲートドライバ16から第2、第3、第4、・・・、第mラインに印加される走査信号G2、G3、G4、・・・、Gmの電圧をローレベルとする。このときソースドライバ15から第1ラインの映像信号に対応するデータ信号S1、S2、S3、S4、S5、S6、・・・、Snの電圧を出力する。
【0043】
ゲート線51は、ゲートドライバの走査信号G1、G2、GS、G4、・・・、Gmを配線し、ソース線54は、ソースドライバのデータ信号S1、S2、S3、S4、S5、S6、・・・、Snを配線し、それぞれTFT53を介して、表示画素52のうち第1ラインだけにデータ電圧が加えられる。白抜きの画素は表示がオンであることを示し、黒色の画素は表示がオフであることを示す。同様に、第2ライン、第3ライン、・・・とゲートドライバ16が図5中、上から下方向に順番に走査し、ソースドライバ15から走査ラインに対応した映像信号を出力すれば、液晶パネル1内のすべての画素をアクティブマトリクス駆動方式で走査できる。
【0044】
図6は、本発明になる液晶表示装置の一実施の形態における導光板・エッジライトの構造図を示す。複合型導光板2は、導光板部材A61及び反射膜A62からなる小型の導光板と、導光板部材B63及び反射膜B64からなる中型の導光板とを、複数個組み合わせた構造である。上記の導光板部材B63は段差が設けられており、下側の位置63aの大きさと段差の高さは上記の小型の導光板を配置できる値に設定されており、また、位置63bの高さは、小型の導光板の面位置と一致するような値に設定されている。
【0045】
ここで、上記の小型の導光板は、複合型導光板2の3行4列の分割領域のうち、4列目の3個の分割領域の構造であり、上記の中型の導光板は、3列目の3個の分割領域の構造である。反射膜A62、B64は、小型及び中型の各導光板における下側、左側、手前側、及び奥側の各面を遮光し、エッジライト3からの入射光を反射して上方向(液晶パネル1)に向かって出射させる構造である。
【0046】
また、図示しないが、複合型導光板2の左側2列の6個の分割領域のうち、1列目の3個の分割領域は上記の小型の導光板と同様の構造であり、2列目の3個の分割領域は上記の中型の導光板と同様の構造である。ただし、それらの導光板は下側、右側、手前側、及び奥側の各面が遮光され、エッジライト6からの入射光を反射して上方向(液晶パネル1)に向かってに出射させる構造である。なお、いずれも導光板の下部には、光を面内で均一に出射するためのシボがつけてある(図6には図示しない)。
【0047】
また、エッジライト3は、光源となるCCFL65と、それを包み込むような断面コ字状の金属製のリフレクタ66と、高分子分散型液晶板4とで構成されている。リフレクタ66は、CCFL65から出た光を反射して、コ字状の出口に光を集めて、その出口位置に配設した高分子分散型液晶板4を透過させて複合型導光板2に光を入射する。
【0048】
この構造により、高分子分散型液晶板4の2行3列の分割エリアのうち、上側の1行の3つの分割エリアを透過した光は、複合型導光板2の12個の分割領域のうち、高分子分散型液晶板4に最も近い4列目の3個の小型の導光板により上方向に光路が偏向され、下側の1行の3つの分割エリアを透過した光は、複合型導光板2の12個の分割領域のうち、高分子分散型液晶板4の3列目の3個の中型の導光板により上方向に光路が偏向されて液晶パネル1の背面に入射する。エッジライト6を構成する、高分子分散型液晶板(図2の7)も同様に、その出射光は、複合型導光板2の12個の分割領域のうち、1列目と2列目の各3個の分割領域を構成する小型の導光板と中型の導光板とにより上方向に光路が偏向されて液晶パネル1の背面に入射する。
【0049】
このように、本実施の形態によれば、LEDのような高コストの次世代光源を使用することなく、現在殆どの液晶テレビに搭載されて一般的に普及しているCCFL光源を使用すると共に、そのCCFL光源から出射される光を高分子分散型液晶板4、7を通して入射して液晶パネル方向へ導光する複合型導光板2の表面の全領域を複数の領域に分割し、その各分割領域にそれぞれ対応する液晶パネル1の複数の表示画素の階調レベルの分布に応じてその分割領域に対応する高分子分散型液晶板4、7の分割エリアの光透過率を制御して照明光を得、その照明光を複合型導光板2を通して液晶パネル1に照射するようにしたため、光源を低コストに抑えて、なおかつ駆動回路も簡単な回路構成で、表示画面のコントラスト比を高めることができ、高品位な液晶表示装置を実現することができる。
【0050】
また、本実施の形態の高分子分散型液晶板4、7は、光源と複合型導光板2の入光部との間に配置される。そのため、高分子分散型液晶板4、7のパネルサイズは複合型導光板2の側面に対応した小さな面積で十分であり、表示画面の全サイズといった大きな面積を必要としないため、高分子分散型液晶板4、7の製作コストを抑えて安価に構成することができる。さらに、複合型導光板2を用いたエッジライト方式のバックライト構造であるため、直下方式のような大きな奥行き距離をバックライト内部構造に必要とせず、薄型化を実現することができる。
【0051】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、上記の実施の形態ではエッジライトを2つ設けたが、複合型導光板2の複数の分割領域から光を出射させることができる構造であれば、エッジライトは1つでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の液晶表示装置の一実施の形態の動作説明図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の一実施の形態の回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の一実施の形態における液晶パネルの構造図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の一実施の形態のパネル上面の発光輝度を示す図である。
【図5】本発明の液晶表示装置の一実施の形態の液晶パネルの駆動説明図である。
【図6】本発明の液晶表示装置の一実施の形態における導光板・エッジライトの構造図である。
【図7】従来の液晶表示装置の一例のパネル上面の発光輝度を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 液晶パネル
2 複合型導光板
4、7 高分子分散型液晶板
5、8 光源
11 映像信号処理回路
12 メモリ
13 制御信号発生回路
14 液晶パネル制御回路
15 ソースドライバ
16 ゲートドライバ
17 高分子分散型液晶板制御回路
18、20 カラムドライバ
19、21 ロウドライバ
22 光源駆動回路
30、39 偏光板
33 共通電極
34、36 配向膜
35 液晶層
37 TFTアレイ
51 ゲート線
52 表示画素
53 TFT
54 ソース線
61 導光板部材A
62 反射膜A
63 導光板部材B
64 反射膜B
65 CCFL
66 リフレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
規則的に配置されたN個(Nは3以上の自然数)の表示画素に入力映像信号に応じた電圧が印加されることによって画像を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルの背面に照明光を照射するための光源とを備えた液晶表示装置において、
表面の所定領域をM個(MはNより小なる2以上の自然数)に分割してなるM個の分割領域を備え、そのM個の分割領域のそれぞれから、入射光を画面均一かつそれぞれ独立に前記液晶パネルの背面に向けて前記照明光として出射する構造とした複合型導光板と、
前記光源と前記複合型導光板の入光部の間に配置されており、前記複合型導光板の前記M個の分割領域のうち、それぞれ対応する分割領域に前記光源からの光を入射するM個の分割エリアを備えた高分子分散型液晶板と、
前記高分子分散型液晶板の前記分割エリア毎に、その分割エリアに対応した前記複合型導光板の分割領域に離間対向する前記液晶パネルの該分割領域内のL個(LはNより小なる1以上の自然数)の表示画素で表示される前記入力映像信号の画像の階調レベル分布に応じて、前記分割エリアの光透過率を制御する制御手段と
を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記複合型導光板は、表面が前記液晶パネルの背面に対向し、かつ、側面が前記高分子分散型液晶板の光出射側面に対向する大略平板形状であり、その側面に入射する前記高分子分散型液晶板の前記M個の分割エリアからそれぞれ出射した光の進行方向を偏向させて、前記M個の分割領域のうち、前記各分割エリアに対応する各分割領域から前記液晶パネルの背面に向けて前記照明光としてそれぞれ出射する構造であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−134204(P2009−134204A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311925(P2007−311925)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】