液晶表示装置
【課題】反射型液晶表示素子としても透過型液晶表示素子としても良好な表示品位を有する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル1は、互いに対向する第1の透明基板3と第2の透明基板2とを有する。第1の透明基板3と第2の透明基板2との間には、液晶層11が設けられている。第1の透明基板3上の、第2の透明基板2と対向する面には、誘電体多層膜(ハーフミラー)170が形成されている。誘電体多層膜170上には、トランジスタアレイ60が、設けられている。第1の透明基板3側には、液晶層11に向けて、光を照射するバックライトが設けられている。
【解決手段】液晶パネル1は、互いに対向する第1の透明基板3と第2の透明基板2とを有する。第1の透明基板3と第2の透明基板2との間には、液晶層11が設けられている。第1の透明基板3上の、第2の透明基板2と対向する面には、誘電体多層膜(ハーフミラー)170が形成されている。誘電体多層膜170上には、トランジスタアレイ60が、設けられている。第1の透明基板3側には、液晶層11に向けて、光を照射するバックライトが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、透過型の液晶表示装置と、反射型の液晶表示装置とが知られている。
透過型の液晶表示装置は、液晶パネルの後方に配置されたバックライトからの照明光を利用して表示を行うものであり、室内等暗い環境では視認性の良い表示が得られる。しかし、屋外等比較的明るい環境ではバックライトの輝度が相対的に不足し、視認性が悪くなる。また、周囲の明るさに負けない高い輝度の光をバックライトから射出すると、消費電力が大きくなる。
【0003】
一方、反射型の液晶表示装置は、液晶パネルの前方から入射され液晶パネルの液晶層を一旦通過した外光を反射させ、再度液晶層を介して液晶パネルの前方から射出させて表示を行うものであり、屋外等明るい環境では視認性の良い表示が得られる。しかし、室内等暗い環境では、輝度が不足する。
【0004】
そこで近年、透過表示と反射表示とを兼用可能にした液晶表示装置が開発されている。例えば、特許文献1では、各表示画素をそれぞれ2つの領域に区分し、一方の領域における画素電極を透明性の材料のみで形成するとともに他方の領域における画素電極を反射性の材料が含まれるように形成することにより、各表示画素で透過表示と反射表示とを可能に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−93715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、各表示画素を透過表示領域と反射表示領域とに明確に区分けした場合には、互いの表示に利用可能な表示面積が半減するため利用可能な光も半減し、互いに暗い表示になり、表示品位が低下してしまうという問題があった。
そこで本発明は、反射型液晶表示素子としても透過型液晶表示素子としても良好な表示品位を有する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明の液晶表示装置の態様のひとつは、第1の基板と、前記第1の基盤と対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、前記液晶層に前記第1の基板側から光を照射する光源部と、前記第1の基板における前記第2の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、前記誘電体多層膜上に設けられたトランジスタアレイと、を備える。
【0008】
この発明の液晶表示装置の他の態様のひとつは、第1の基板と、前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、前記液晶層に前記第2の基板側から光を照射する光源部と、前記第2の基板における前記第1の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、前記誘電体多層膜上に設けられたカラーフィルタアレイと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反射型液晶表示素子としても透過型液晶表示素子としても良好な表示品位を有する液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す分解斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る液晶パネルの構成例を示す拡大断面図。
【図4】トランジスタアレイを説明するための模式的回路図。
【図5】図3に示す領域Pの一例を示す拡大図であり、薄膜トランジスタの説明図。
【図6】カラーフィルタの配置例を示す図。
【図7】導光板によって導かれる発光素子からの光の軌跡の説明図。
【図8】拡散板で生じる後方散乱の説明図。
【図9】プリズム部の一例を示す拡大断面図。
【図10】プリズム部で反射される光の軌跡の説明図。
【図11】各光学軸の方向の説明図。
【図12】誘電体多層膜の説明図。
【図13】アルミニウム系の薄膜に光を入射させた場合の、透過率及び反射率を計測した結果を示す図。
【図14】酸化チタン及び酸化ケイ素からなる誘電体多層膜に光を入射させた場合の、透過率及び反射率を計測した結果を示す図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す側面図。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る液晶パネルの拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態にかかる液晶表示装置は、光源部からの光を用いた透過表示に加え、外光を用いた反射表示をも可能にするものであり、図1及び図2に示すように液晶パネル1と、液晶パネル1の一方の面に向けて照明光を照射する光源部15と、光源部15と液晶パネル1との間に配置された集光部27と、集光部27と液晶パネル1との間に配置された位相差板33と、位相差板33と液晶パネル1との間に配置された反射偏光板32と、反射偏光板32と液晶パネル1との間に配置された第1の拡散板34と、集光部27と光源部15との間に配置された第2の拡散板35と、を備えている。
【0012】
液晶パネル1は、図3に示すように、予め定めた間隙を設けて対向配置された一対の透明基板2,3と、この一対の透明基板2,3間の間隙に封入された液晶層11と、一対の透明基板2,3を挟持するように且つ互いの透過軸が直交するように配置された一対の偏光板12,13と、を備えている。ここで、一対の透明基板2,3は、ガラス基板等の透明な材料により形成されている。また、第2の透明基板2と偏光板12との間には粘着材42として光を拡散させる拡散層42が設けられており、偏光板12は拡散層42を介して透明基板2に貼り付けられている。
【0013】
一対の透明基板2,3のうち第1の透明基板3には、第2の透明基板2との対向面側に、図3に示すように、詳細は後述するハーフミラー70としての誘電体多層膜70が、一面に均一に形成されている。
また、誘電体多層膜70の上層側には、図3及び図4に示すように、トランジスタアレイ60が設けられている。即ち、互いに平行となるように延伸配設された複数の信号線SLと、この複数の信号線SLと交差するように延伸配設された複数の走査線GLと、それぞれが信号線SLと走査線GLとの交点に対応するように配置されたITO等の透明性の導電膜からなる複数の画素電極4と、これらの画素電極4にそれぞれが対応するように配置された複数の薄膜トランジスタ(TFT)5とが形成されている。即ち、各表示画素41にそれぞれ画素電極4が配置されるように複数の画素電極4がマトリックス状に配列されている。そして、画素行毎にTFT5にゲート信号が供給可能なように各画素行に対応させて走査線GLが形成されているとともに、TFT5を介して画素電極4に表示信号電圧が供給可能なように各画素列に対応させて信号線SLが形成されている。また、各画素行に対応させて補助容量線HLが形成され、この補助容量線HLと画素電極4の間に配置された絶縁膜によって表示画素41毎に補助容量Csが形成されている。補助容量線HLは、後述する対向電極6と等しい電位に設定される。
【0014】
なお、各TFT5は、図5に示すように、誘電体多層膜70上に形成されたゲート電極Gと、このゲート電極Gを覆うように成膜された透明性の絶縁物からなるゲート絶縁膜43と、このゲート絶縁膜43を介してゲート電極Gと対向するように当該ゲート絶縁膜43上に形成されたi型半導体膜44と、このi型半導体膜44の両側部の上にそれぞれn型半導体膜45を介して形成された金属層46としてのドレイン電極D及びソース電極Sとを有している。そして、各TFT5は、オーバーコート膜47上に形成された対応する画素電極4にソース電極Sが接続され、対応する走査線GLにゲート電極Gが接続され、対応する信号線SLにドレイン電極Dが接続されている。i型半導体膜44上にはチャネル領域に対応するようにチャネル保護膜48が形成されている。
【0015】
また、各TFT5は、ゲート電極Gがクロム、アルミニウムまたはモリブデン等の遮光性金属により形成されたボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、ゲート電極Gが誘電体多層膜70に接触するように形成されている。また、走査線GLと補助容量線HLは、ゲート電極Gと同一の層として同一材料で同時に形成されることにより、ゲート電極Gと同様に誘電体多層膜70に接触している。
【0016】
一方、一対の透明基板2,3のうち第2の透明基板2には、図3に示すように、カラーフィルタアレイ80が設けられている。即ち、第1の透明基板3との対向面側に、画素電極4に大凡対応する領域が開口部49aになっている遮光層49と、カラーフィルタ7と、対向電極6とが下層側から順に形成されている。遮光層49は遮光性の金属膜または樹脂膜により形成することができ、光を透過させる開口部49aの面積が表示画素41毎に等しくなるように形成されている。即ち、当該液晶パネル1は表示画素41毎に開口率が等しくなるように設定されている。カラーフィルタ7は、赤色成分に対応した赤色カラーフィルタ7Rと、緑色成分に対応した緑色カラーフィルタ7Gと、青色成分に対応した青色カラーフィルタ7Bとからなり、例えば図6に示すように、表示画素毎に、対応する色成分のカラーフィルタが配置されている。対向電極6は、ITO等の透明性の導電膜からなり、各表示画素41間で互いに等しい電位に設定可能なように形成されている。例えば、対向電極6は、各表示画素41におけるカラーフィルタ7を覆い尽くすように一枚膜状に形成されている。
【0017】
ここで、各表示画素41において画素電極4上及び対向電極6上には、それぞれ、液晶層11における液晶分子の初期配向状態を制御するための配向膜8、9が塗布されている。そして、配向膜8、9は、例えば画素電極4と対向電極6との間に電圧が印加されていないときに液晶層11の液晶分子がツイスト角90°でねじれ配向するように配向処理が施されている。
【0018】
一対の透明基板2,3は、上述したように複数の画素電極4が配置された画像表示エリアを囲むように配置された枠状のシール材10によって接合され、この枠状のシール材10によって囲まれた領域に上述した液晶層11を構成する液晶が封入されている。
【0019】
ところで、液晶パネル1は、図1及び図2に示すように、第1の透明基板3が第2の透明基板2の一辺から張り出すように対向配置され、この張出部3aにドライバ回路14が搭載されている。ドライバ回路14は、張出部3aに形成された複数の端子に電気的に接続され、これらの端子を介して各走査線GLに走査信号を供給するとともに各信号線SLに表示信号電圧を供給し、更には、各補助容量線HLや対向電極6にコモン電圧を供給する。
【0020】
そしてドライバ回路14は、画素電極4及び対向電極6を介して液晶層11に印加する電圧を制御することによって、一対の偏光板12,13の透過軸に対する液晶分子の傾斜角または方位角を変化させ、表示画素41毎に当該液晶パネル1を透過する光量を制御する。
【0021】
光源部15は、図1及び図2に示すように、所謂サイドライト型のバックライトであり、液晶パネル1に対向するように配置され液晶パネル1における画像表示エリアよりも大きい面積を有した板状の透明部材からなる導光板16と、導光板16に対して対向するように配置された反射板19と、導光板16の何れかの端面に向けて光を照射する複数の発光素子20とを備えている。
【0022】
複数の発光素子20は、当該液晶表示装置が光源部15からの照射光を用いた透過表示を行う際に発光させるものであり、それぞれが、赤色成分の光を発光する赤色LEDと、緑色成分の光を発光する緑色LEDと、青色成分の光を発光する青色LEDとを備えている。なお、複数の発光素子20は、当該液晶表示装置の使用環境での明るさに応じて、適宜、光の発光/非発光が制御可能に構成されていることが好ましい。
【0023】
導光板16は、図7に示すように、発光素子20から当該導光板16の端面17に向けて照射された各色成分の光を導いて液晶パネル1との対向面側の主面18a(以下、「第1の主面18a」と記す)から液晶パネル1に向けて当該光を照射するものである。ここで、例えば第1の主面18aに対向するもう一方の主面18b(以下、「第2の主面18b」と記す)には、例えばライン状の複数の溝GBが、発光素子20により光が照射される端面17に対して平行に沿うように形成されている。この溝GBの断面形状は、例えば頂角を挟む2辺GB1,GB2が当該導光板16の第1の主面18aに対して互いに異なる傾斜角になるように形成されている。具体的には、発光素子20の配置側に位置する一辺GB1の傾斜角が他方の一辺GB2よりも大きな傾斜角になるように形成されている。
【0024】
そして、導光板16は、図7中に破線で示すように、端面17から入射された発光素子20からの光を内面反射させて、当該導光板16の第1の主面18aから液晶パネル1へ向けて射出する。なお、導光板16は、空気よりも大きな屈性率、例えば、1.5程度の屈折率を有するアクリル等の透明材料により形成することができる。
【0025】
反射板19は、発光素子20からの光のうち導光板16の第2の主面18bから漏れ出てきた光を導光板16に向けて反射させるとともに、液晶パネル1や導光板16を通過してきた外光Lを再度導光板16や液晶パネル1に向けて反射させるものである。即ち、反射板19は、当該液晶表示装置が発光素子20から発光される光を利用した透過表示を行う際に当該光の利用効率を向上させる一方で、当該液晶表示装置が外光Lを利用した反射表示を行う際には外光Lを反射させる反射板として機能する。なお、反射板19は、例えば、ガラス基板やプラスチック基板上に銀やアルミニウム等の金属が蒸着されたものを用いることができる。
【0026】
第2の拡散板35は、導光板16の第1の主面18aから射出された光を拡散することにより導光板16からの射出光の面内バラツキを低減させるもので、ヘイズ値が55〜85%になるように光散乱粒子が分散された透明性のシートからなっている。なお、第2の拡散板35は、図8に示すように、液晶パネル1を通過してきた外光Lの一部を後方散乱させるため、この第2の拡散板35は、当該液晶表示装置が外光Lを利用した反射表示を行う際の補助的な反射板としても機能する。
【0027】
集光部27は、導光板16から液晶パネル1に向けて射出され第2の拡散板35により拡散された光が液晶パネル1により効率よく向かうように光を集光させるもので、アクリル樹脂等からなる透明なシート状部材からなる第1のプリズムアレイ28及び第2のプリズムアレイ30により構成されている。第1のプリズムアレイ28は、一方の面に直線状の複数のプリズム部29が互いに平行になるように形成されている。そして、第1のプリズムアレイ28は、複数のプリズム部29の延伸方向が例えば導光板16に形成された複数の溝GBの延伸方向に対して直交する方向になるように配置されている。また、第2のプリズムアレイ30は、一方の面に直線状の複数のプリズム部31が互いに平行になるように形成されている。そして、第2のプリズムアレイ30は、複数のプリズム部31の延伸方向が例えば導光板16に形成された複数の溝GBの延伸方向に対して平行な方向になるように配置されている。なお、各プリズム部29,31は、図9に示すように、それぞれ、液晶パネル1の法線HDに対して左右が対称な二等辺三角形状で、且つ頂角が80°〜100°の範囲、好ましくは90°に設定された断面形状を有している。
【0028】
なお、プリズムアレイ28,30は、図10に示すように、液晶パネル1を通過してきた外光Lの一部を、各プリズム部29,31を構成する各傾斜面で順次反射させるため、このプリズムアレイ28,30は、当該液晶表示装置が外光を利用した反射表示を行う際の補助的な反射板としても機能する。
【0029】
反射偏光板32は、図11に示すように、互いに直交する方向に透過軸32aと反射軸32bとを有し、入射光のうちの透過軸32aと平行な偏光成分の光を透過させ、反射軸32bと平行な偏光成分の光を反射させる。なお、反射偏光板32は、一対の偏光板12,13のうち、当該反射偏光板32側に配置された偏光板13の透過軸13aに対して当該反射偏光板32の透過軸32aが平行になるように配置されている。なお、一対の偏光板12,13のうち、偏光板12の透過軸12aは上述したように偏光板13の透過軸13aに対して直交するように配置されているが、液晶層11における液晶の配向モードに応じて適宜設定することができる。
【0030】
位相差板33は、互いに直交する方向に遅相軸33aと進相軸33bとを有し、反射偏光板32の透過軸32a及び反射軸32bに対して遅相軸33a及び進相軸33bが45°の角度になるように配置されている。そして、位相差板33は、遅相軸33aに対して平行な偏光成分の光と進相軸33bに対して平行な偏光成分の光との間に1/4波長の位相差を与えるように光学定数が設定されている。
【0031】
上述のように反射偏光板32と位相差板33を、さらには反射板を配置することにより、導光板16を介した発光素子20からの光のうち、偏光板13の透過軸13aに対して直交する方向に偏光面を持って液晶パネル1に向かって照射された光を反射偏光板32で一旦反射させ偏光板13の透過軸13aに対して平行な光に変換して再度液晶パネル1に照射することができ、発光素子からの光の利用効率を向上させることができる。
【0032】
第1の拡散板34は、液晶パネル1における表示画素と集光部27における各プリズムアレイ28,30との間のモアレの発生を防止するためのもので、ヘイズ値が20〜50%になるように光散乱粒子が分散された透明性のシートからなっている。なお、第1の拡散板34は、第2の拡散板35と同様に、液晶パネル1を通過してきた外光の一部を後方散乱させるため、この第1の拡散板34は、当該液晶表示装置が外光を利用した反射表示を行う際の補助的な反射板としても機能する。
【0033】
以下、ハーフミラー70としての誘電体多層膜70について詳述する。誘電体多層膜70は、図12に示すように、屈折率が相対的に低い誘電体70aと高い誘電体70bとが組み合わされて、これらが交互に多層に積層されることにより構成されている。例えば、低屈折率の誘電体70aの屈折率は1.3〜1.5程度であり、高屈折率の誘電体70bの屈折率は1.9〜2.5程度である。低屈折率の誘電体70aとしては、酸化ケイ素やフッ化マグネシウム等を用いることができ、高屈折率の誘電体70bとしては、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ネオジウム、酸化タングステン、酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、酸化イットリウム等を用いることができる。
【0034】
そして、例えば、低屈折率の誘電体70aとして酸化ケイ素を用い、高屈折率の誘電体70bとして酸化チタンを用いる場合には、酸化ケイ素層及び酸化チタン層の膜厚はそれぞれ50nm程度が好ましい。このとき、酸化ケイ素層と酸化チタン層との積層数によって反射率を設定することが可能である。例えば、酸化ケイ素層と酸化チタン層を交互に2〜6層程度積層することにより、可視光に対して20%程度の反射率を得ることができる。また、例えば、酸化ケイ素層と酸化チタン層を交互に6〜10層程度積層することにより、可視光に対して40%程度の反射率を得ることができる。
【0035】
即ち、誘電体多層膜70は、液晶層11に入射されてきた外光Lを、液晶層11を通過した直後にその一部を反射させることで、明るい反射表示を実現させるものであり、該液晶表示装置を適用する機器に応じてその反射率が適宜設定される。即ち、液晶パネル1を通過した外光Lは、液晶パネル1より後方(光源部側)に配置された光学部材を往復して再度液晶パネル1に入射されるが、このとき光学部材を往復することにより輝度低下が発生する。そこで、誘電体多層膜70により、予め外光Lの一部を反射させることで、このような輝度低下を抑制している。
【0036】
なお、光源部15からの照明光も誘電体多層膜70で反射されることになるが、このときの反射光は誘電体多層膜70を透過した外光Lと同様に、反射板19で反射されるため、再利用することが可能になっている。
【0037】
ここで、酸化ケイ素及び酸化チタンは、スパッタリング装置等で成膜することができる。また、酸化ケイ素や酸化チタンはガラスに対して密着性が十分にあるため、ガラス等の透明な材料で形成された第1の透明基板3上に直接成膜することができる。一方、ゲート電極の材料になるクロム、アルミニウムまたはモリブデン等の遮光性金属に対しては、酸化チタンよりも酸化ケイ素の方が、親和性が高い。即ち、薄膜とした場合に酸化チタンの方が酸化ケイ素よりも膜応力が大きくなるため、酸化ケイ素層上にゲート電極Gを形成した場合よりも酸化チタン層上にゲート電極Gを形成した場合の方がゲート電極Gの剥離が起こり易くなる。このため、誘電体多層膜70は、酸化ケイ素層が最上層になるように、酸化ケイ素層と酸化チタン層とを交互に積層することが好ましく、そして、酸化ケイ素層に対してゲート電極Gとしての層が接するように、薄膜トランジスタ5を形成することが好ましい。
【0038】
また、ハーフミラー70は、誘電体多層膜70に限定するものではなく、アルミニウム系の金属薄膜で形成してもよい。しかし、この場合、図13に示すように、可視光領域において各波長での光の反射率と透過率との合計値が90%程度であり、よって、光の損失が10%程度発生してしまう。さらに、透過率は短波長側よりも長波長側の方が低く透過光が青味を帯びてしまう。また、反射率は短波長側よりも長波長側の方が高く反射光が赤味を帯びてしまう。
【0039】
一方、ハーフミラー70に上述したような誘電体多層膜70を用いた場合には、図14に示すように、可視光領域において各波長での光の反射率と透過率との合計値が略100%になり、光の損失を抑制することができ好ましい。また、透過光の着色及び反射光の着色も少なくでき好ましい。
【0040】
上述したような液晶表示装置では、液晶パネル1における液晶層11が光を透過可能に印加電圧が制御されているときには、外光は、発光素子20の発光の有無にかかわらず、液晶パネル1を通過して導光板16に向かって入射可能になるが、この導光板16に向かって入射されてきた外光は、導光板16の第1の主面18aと第2の主面18bとを順に通過して反射板19により反射され、その後、導光板16の第2の主面18bと第1の主面18aとを順に通過して、再び液晶パネル1へ戻ることになる。即ち、上述したような液晶表示装置では、各表示画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けすることなく、各発光素子20が発光する光を用いた透過表示に加え、外光を用いた表示、即ち、反射表示を行うことも可能になる。
【0041】
また、上述したような液晶表示装置では、光源部15における反射板19での外光反射に加え、ハーフミラー70や、第1の拡散板34、第2の拡散板35、各プリズムアレイ28,30等により外光の一部が補助的に反射される。このため、液晶パネル1と反射板19との間に複数の反射面が存在することになり、外光によって反射板19に投影される液晶パネル1の画像にボケを生じさせることができる。従って、たとえ液晶パネル1と反射板19との間にある程度の距離があったとしても、液晶パネル1に表示される画像が二重映りとして視認されてしまうことを防止でき、表示品位を向上させることができる。
【0042】
ところで、外光のうちハーフミラー70で反射された光は、偏光板13を通過する前に反射されることになり、他の光に比べ、2倍の位相差が発生する。このため、ハーフミラー70での反射率を高く設定するような場合には、光源部15を点灯状態にした透過表示時と光源部15を消灯状態にした反射表示時との間で、液晶層11に印加する電圧を切り換え可能にドライバ回路14を構成することが好ましい。例えば、階調レベル毎に割り当てられる液晶層11への印加電圧が、透過表示時よりも反射表示時の方が低くなるようにドライバ回路14を構成しておくことが好ましい。
【0043】
また、ハーフミラー70は、反射光を効率的に用いるため、第1の透明基板3をフロスト加工等により粗化し、その上に形成して拡散反射させる様に構成しても良い。また、第1の透明基板3は平らであっても、ハーフミラー70を粗化し、拡散反射させる様に構成しても良い。
【0044】
なお、上述では、液晶層11における液晶分子がツイスト角90°でねじれ配向するTNモードの場合について説明したが、配向モードはTNモードに限定するものではなく、液晶分子の初期配向状態を垂直配向に制御するVA(Vertical Alignment)モードや、液晶分子の初期配向状態をベンド配向に制御するOCB(Optically Compensated Birefringenece)モードであってもよい。さらには、横電界型のIn−Plane Switching方式(IPS方式)を適用してもよい。
【0045】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態にかかる液晶表示装置について説明する。ここで第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点に限定して説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。第1の実施形態に係る液晶表示装置では、第1の透明基板3にハーフミラー70を設け、このハーフミラー70上に、トランジスタアレイ60を設ける場合について説明した。即ち、トランジスタアレイ60が形成された第1の透明基板3を光源部15側に配置する場合について説明した。
【0046】
これに対して、第2の実施形態にかかる液晶表示装置では、図15、図16に示すように、表示パネル101においてカラーフィルタ7が設けられた第2の透明基板2を光源部15側に配置するとともに、ハーフミラー170を第2の透明基板2に設けている。
【0047】
即ち、第2の透明基板2には、図15、図16に示すように、第1の透明基板3との対向面側に、ハーフミラー170としての誘電体多層膜170が、一面に均一に形成されている。そして、誘電体多層膜170の上層側には、カラーフィルタアレイ80が設けられている。具体的には、第1の透明基板3との対向面側に、画素電極4に大凡対応する領域が開口部49aになっている遮光層49と、カラーフィルタ7と、対向電極6とが下層側から順に形成されている。このとき、遮光層49は、誘電体多層膜170に接触するように形成されている。したがって、遮光層49をクロムやモリブデン等の遮光性金属で形成する場合には、上述したように、誘電体多層膜170は、最上層が酸化ケイ素層として形成されていることが好ましい。
一方、第1の透明基板3には、ハーフミラーが形成されることなく、トランジスタアレイ60が設けられている。
【0048】
このような第2の実施形態にかかる液晶表示装置によっても、各表示画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けすることなく、各発光素子20が発光する光を用いた透過表示に加え、外光を用いた表示、即ち、反射表示を行うことも可能になる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0050】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 第1の基板と、
前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層に向けて前記第1の基板側から光を照射する光源部と、
前記第1の基板における前記第2の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、
前記誘電体多層膜上に設けられたトランジスタアレイと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記誘電体多層膜は、酸化ケイ素を含む第1の層と酸化チタンを含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする[1]に記載の液晶表示装置。
[3] 前記誘電体多層膜は、屈折率が1.3以上1.5以下の誘電体を含む第1の層と屈折率が1.9以上2.5以下の誘電体を含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする[3]に記載の液晶表示装置。
[4] 前記トランジスタアレイは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを含み、
前記薄膜トランジスタは、ゲート電極を含み、
前記ゲート電極は、前記誘電体多層膜に接触している、
ことを特徴とする[2]又は[3]に記載の液晶表示装置。
[5] 前記第1の層に前記ゲート電極が接触していることを特徴とする[4]に記載の液晶表示装置。
[6] 前記ゲート電極は、クロム、アルミニウム及びモリブデンの何れかを含む遮光性の金属により形成されていることを特徴とする[5]に記載の液晶表示装置。
[7] 第1の基板と、
前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層に向けて前記第2の基板側から光を照射する光源部と、
前記第2の基板における前記第1の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、
前記誘電体多層膜上に設けられたカラーフィルタアレイと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
[8] 前記誘電体多層膜は、酸化ケイ素を含む第1の層と酸化チタンを含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする[7]に記載の液晶表示装置。
[9] 前記誘電体多層膜は、屈折率が1.3以上1.5以下の誘電体を含む第1の層と屈折率が1.9以上2.5以下の誘電体を含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層とは交互に積層されている、
ことを特徴とする[7]に記載の液晶表示装置。
[10] 前記カラーフィルタアレイは遮光膜を含み、
前記遮光膜が前記誘電体多層膜に接触している、
ことを特徴とする[8]又は[9]に記載の液晶表示装置。
[11] 前記第1の層に前記遮光膜が接触していることを特徴とする[10]に記載の液晶表示装置。
[12] 前記遮光膜は、クロム及びモリブデンの何れかを含む遮光性の金属により形成されていることを特徴とする[11]に記載の液晶表示装置。
[13] 前記光源部はサイドライト型のバックライトであり、
前記光源部は、
反射板と、
前記第1の基板と前記反射板との間に配置された導光板と、
を有する、
ことを特徴とする[1]乃至[12]のうち何れか1に記載の液晶表示装置。
【符号の説明】
【0051】
1,101…液晶パネル、2…第2の透明基板、3…第1の透明基板、3a…張出部、4…画素電極、5…薄膜トランジスタ(TFT)、6…対向電極、7…カラーフィルタ、7R…赤色カラーフィルタ、7G…緑色カラーフィルタ、7B…青色カラーフィルタ、8,9…配向膜、10…シール材、11…液晶層、12,13…偏光板、12a,13a…透過軸、14…ドライバ回路、15…光源部、16…導光板、19…反射板、20…発光素子、27…集光部、28…第1のプリズムアレイ、28,30…プリズムアレイ、29,31…プリズム部、30…第2のプリズムアレイ、32…反射偏光板、32a…透過軸、32b…反射軸、33…位相差板、33a…遅相軸、33b…進相軸、34…第1の拡散板、35…第2の拡散板、41…表示画素、42…粘着材(拡散層)、43…ゲート絶縁膜、44…i型半導体膜、45…n型半導体膜、46…金属層、47…オーバーコート膜、48…チャネル保護膜、49a…開口部、49…遮光層、60…トランジスタアレイ、70,170…誘電体多層膜(ハーフミラー)、70a,70b…誘電体、80…カラーフィルタアレイ、SL…信号線、GL…走査線、HL…補助容量線、Cs…補助容量、G…ゲート電極、D…ドレイン電極、S…ソース電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、透過型の液晶表示装置と、反射型の液晶表示装置とが知られている。
透過型の液晶表示装置は、液晶パネルの後方に配置されたバックライトからの照明光を利用して表示を行うものであり、室内等暗い環境では視認性の良い表示が得られる。しかし、屋外等比較的明るい環境ではバックライトの輝度が相対的に不足し、視認性が悪くなる。また、周囲の明るさに負けない高い輝度の光をバックライトから射出すると、消費電力が大きくなる。
【0003】
一方、反射型の液晶表示装置は、液晶パネルの前方から入射され液晶パネルの液晶層を一旦通過した外光を反射させ、再度液晶層を介して液晶パネルの前方から射出させて表示を行うものであり、屋外等明るい環境では視認性の良い表示が得られる。しかし、室内等暗い環境では、輝度が不足する。
【0004】
そこで近年、透過表示と反射表示とを兼用可能にした液晶表示装置が開発されている。例えば、特許文献1では、各表示画素をそれぞれ2つの領域に区分し、一方の領域における画素電極を透明性の材料のみで形成するとともに他方の領域における画素電極を反射性の材料が含まれるように形成することにより、各表示画素で透過表示と反射表示とを可能に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−93715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、各表示画素を透過表示領域と反射表示領域とに明確に区分けした場合には、互いの表示に利用可能な表示面積が半減するため利用可能な光も半減し、互いに暗い表示になり、表示品位が低下してしまうという問題があった。
そこで本発明は、反射型液晶表示素子としても透過型液晶表示素子としても良好な表示品位を有する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明の液晶表示装置の態様のひとつは、第1の基板と、前記第1の基盤と対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、前記液晶層に前記第1の基板側から光を照射する光源部と、前記第1の基板における前記第2の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、前記誘電体多層膜上に設けられたトランジスタアレイと、を備える。
【0008】
この発明の液晶表示装置の他の態様のひとつは、第1の基板と、前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、前記液晶層に前記第2の基板側から光を照射する光源部と、前記第2の基板における前記第1の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、前記誘電体多層膜上に設けられたカラーフィルタアレイと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反射型液晶表示素子としても透過型液晶表示素子としても良好な表示品位を有する液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す分解斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る液晶パネルの構成例を示す拡大断面図。
【図4】トランジスタアレイを説明するための模式的回路図。
【図5】図3に示す領域Pの一例を示す拡大図であり、薄膜トランジスタの説明図。
【図6】カラーフィルタの配置例を示す図。
【図7】導光板によって導かれる発光素子からの光の軌跡の説明図。
【図8】拡散板で生じる後方散乱の説明図。
【図9】プリズム部の一例を示す拡大断面図。
【図10】プリズム部で反射される光の軌跡の説明図。
【図11】各光学軸の方向の説明図。
【図12】誘電体多層膜の説明図。
【図13】アルミニウム系の薄膜に光を入射させた場合の、透過率及び反射率を計測した結果を示す図。
【図14】酸化チタン及び酸化ケイ素からなる誘電体多層膜に光を入射させた場合の、透過率及び反射率を計測した結果を示す図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す側面図。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る液晶パネルの拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態にかかる液晶表示装置は、光源部からの光を用いた透過表示に加え、外光を用いた反射表示をも可能にするものであり、図1及び図2に示すように液晶パネル1と、液晶パネル1の一方の面に向けて照明光を照射する光源部15と、光源部15と液晶パネル1との間に配置された集光部27と、集光部27と液晶パネル1との間に配置された位相差板33と、位相差板33と液晶パネル1との間に配置された反射偏光板32と、反射偏光板32と液晶パネル1との間に配置された第1の拡散板34と、集光部27と光源部15との間に配置された第2の拡散板35と、を備えている。
【0012】
液晶パネル1は、図3に示すように、予め定めた間隙を設けて対向配置された一対の透明基板2,3と、この一対の透明基板2,3間の間隙に封入された液晶層11と、一対の透明基板2,3を挟持するように且つ互いの透過軸が直交するように配置された一対の偏光板12,13と、を備えている。ここで、一対の透明基板2,3は、ガラス基板等の透明な材料により形成されている。また、第2の透明基板2と偏光板12との間には粘着材42として光を拡散させる拡散層42が設けられており、偏光板12は拡散層42を介して透明基板2に貼り付けられている。
【0013】
一対の透明基板2,3のうち第1の透明基板3には、第2の透明基板2との対向面側に、図3に示すように、詳細は後述するハーフミラー70としての誘電体多層膜70が、一面に均一に形成されている。
また、誘電体多層膜70の上層側には、図3及び図4に示すように、トランジスタアレイ60が設けられている。即ち、互いに平行となるように延伸配設された複数の信号線SLと、この複数の信号線SLと交差するように延伸配設された複数の走査線GLと、それぞれが信号線SLと走査線GLとの交点に対応するように配置されたITO等の透明性の導電膜からなる複数の画素電極4と、これらの画素電極4にそれぞれが対応するように配置された複数の薄膜トランジスタ(TFT)5とが形成されている。即ち、各表示画素41にそれぞれ画素電極4が配置されるように複数の画素電極4がマトリックス状に配列されている。そして、画素行毎にTFT5にゲート信号が供給可能なように各画素行に対応させて走査線GLが形成されているとともに、TFT5を介して画素電極4に表示信号電圧が供給可能なように各画素列に対応させて信号線SLが形成されている。また、各画素行に対応させて補助容量線HLが形成され、この補助容量線HLと画素電極4の間に配置された絶縁膜によって表示画素41毎に補助容量Csが形成されている。補助容量線HLは、後述する対向電極6と等しい電位に設定される。
【0014】
なお、各TFT5は、図5に示すように、誘電体多層膜70上に形成されたゲート電極Gと、このゲート電極Gを覆うように成膜された透明性の絶縁物からなるゲート絶縁膜43と、このゲート絶縁膜43を介してゲート電極Gと対向するように当該ゲート絶縁膜43上に形成されたi型半導体膜44と、このi型半導体膜44の両側部の上にそれぞれn型半導体膜45を介して形成された金属層46としてのドレイン電極D及びソース電極Sとを有している。そして、各TFT5は、オーバーコート膜47上に形成された対応する画素電極4にソース電極Sが接続され、対応する走査線GLにゲート電極Gが接続され、対応する信号線SLにドレイン電極Dが接続されている。i型半導体膜44上にはチャネル領域に対応するようにチャネル保護膜48が形成されている。
【0015】
また、各TFT5は、ゲート電極Gがクロム、アルミニウムまたはモリブデン等の遮光性金属により形成されたボトムゲート型の薄膜トランジスタであり、ゲート電極Gが誘電体多層膜70に接触するように形成されている。また、走査線GLと補助容量線HLは、ゲート電極Gと同一の層として同一材料で同時に形成されることにより、ゲート電極Gと同様に誘電体多層膜70に接触している。
【0016】
一方、一対の透明基板2,3のうち第2の透明基板2には、図3に示すように、カラーフィルタアレイ80が設けられている。即ち、第1の透明基板3との対向面側に、画素電極4に大凡対応する領域が開口部49aになっている遮光層49と、カラーフィルタ7と、対向電極6とが下層側から順に形成されている。遮光層49は遮光性の金属膜または樹脂膜により形成することができ、光を透過させる開口部49aの面積が表示画素41毎に等しくなるように形成されている。即ち、当該液晶パネル1は表示画素41毎に開口率が等しくなるように設定されている。カラーフィルタ7は、赤色成分に対応した赤色カラーフィルタ7Rと、緑色成分に対応した緑色カラーフィルタ7Gと、青色成分に対応した青色カラーフィルタ7Bとからなり、例えば図6に示すように、表示画素毎に、対応する色成分のカラーフィルタが配置されている。対向電極6は、ITO等の透明性の導電膜からなり、各表示画素41間で互いに等しい電位に設定可能なように形成されている。例えば、対向電極6は、各表示画素41におけるカラーフィルタ7を覆い尽くすように一枚膜状に形成されている。
【0017】
ここで、各表示画素41において画素電極4上及び対向電極6上には、それぞれ、液晶層11における液晶分子の初期配向状態を制御するための配向膜8、9が塗布されている。そして、配向膜8、9は、例えば画素電極4と対向電極6との間に電圧が印加されていないときに液晶層11の液晶分子がツイスト角90°でねじれ配向するように配向処理が施されている。
【0018】
一対の透明基板2,3は、上述したように複数の画素電極4が配置された画像表示エリアを囲むように配置された枠状のシール材10によって接合され、この枠状のシール材10によって囲まれた領域に上述した液晶層11を構成する液晶が封入されている。
【0019】
ところで、液晶パネル1は、図1及び図2に示すように、第1の透明基板3が第2の透明基板2の一辺から張り出すように対向配置され、この張出部3aにドライバ回路14が搭載されている。ドライバ回路14は、張出部3aに形成された複数の端子に電気的に接続され、これらの端子を介して各走査線GLに走査信号を供給するとともに各信号線SLに表示信号電圧を供給し、更には、各補助容量線HLや対向電極6にコモン電圧を供給する。
【0020】
そしてドライバ回路14は、画素電極4及び対向電極6を介して液晶層11に印加する電圧を制御することによって、一対の偏光板12,13の透過軸に対する液晶分子の傾斜角または方位角を変化させ、表示画素41毎に当該液晶パネル1を透過する光量を制御する。
【0021】
光源部15は、図1及び図2に示すように、所謂サイドライト型のバックライトであり、液晶パネル1に対向するように配置され液晶パネル1における画像表示エリアよりも大きい面積を有した板状の透明部材からなる導光板16と、導光板16に対して対向するように配置された反射板19と、導光板16の何れかの端面に向けて光を照射する複数の発光素子20とを備えている。
【0022】
複数の発光素子20は、当該液晶表示装置が光源部15からの照射光を用いた透過表示を行う際に発光させるものであり、それぞれが、赤色成分の光を発光する赤色LEDと、緑色成分の光を発光する緑色LEDと、青色成分の光を発光する青色LEDとを備えている。なお、複数の発光素子20は、当該液晶表示装置の使用環境での明るさに応じて、適宜、光の発光/非発光が制御可能に構成されていることが好ましい。
【0023】
導光板16は、図7に示すように、発光素子20から当該導光板16の端面17に向けて照射された各色成分の光を導いて液晶パネル1との対向面側の主面18a(以下、「第1の主面18a」と記す)から液晶パネル1に向けて当該光を照射するものである。ここで、例えば第1の主面18aに対向するもう一方の主面18b(以下、「第2の主面18b」と記す)には、例えばライン状の複数の溝GBが、発光素子20により光が照射される端面17に対して平行に沿うように形成されている。この溝GBの断面形状は、例えば頂角を挟む2辺GB1,GB2が当該導光板16の第1の主面18aに対して互いに異なる傾斜角になるように形成されている。具体的には、発光素子20の配置側に位置する一辺GB1の傾斜角が他方の一辺GB2よりも大きな傾斜角になるように形成されている。
【0024】
そして、導光板16は、図7中に破線で示すように、端面17から入射された発光素子20からの光を内面反射させて、当該導光板16の第1の主面18aから液晶パネル1へ向けて射出する。なお、導光板16は、空気よりも大きな屈性率、例えば、1.5程度の屈折率を有するアクリル等の透明材料により形成することができる。
【0025】
反射板19は、発光素子20からの光のうち導光板16の第2の主面18bから漏れ出てきた光を導光板16に向けて反射させるとともに、液晶パネル1や導光板16を通過してきた外光Lを再度導光板16や液晶パネル1に向けて反射させるものである。即ち、反射板19は、当該液晶表示装置が発光素子20から発光される光を利用した透過表示を行う際に当該光の利用効率を向上させる一方で、当該液晶表示装置が外光Lを利用した反射表示を行う際には外光Lを反射させる反射板として機能する。なお、反射板19は、例えば、ガラス基板やプラスチック基板上に銀やアルミニウム等の金属が蒸着されたものを用いることができる。
【0026】
第2の拡散板35は、導光板16の第1の主面18aから射出された光を拡散することにより導光板16からの射出光の面内バラツキを低減させるもので、ヘイズ値が55〜85%になるように光散乱粒子が分散された透明性のシートからなっている。なお、第2の拡散板35は、図8に示すように、液晶パネル1を通過してきた外光Lの一部を後方散乱させるため、この第2の拡散板35は、当該液晶表示装置が外光Lを利用した反射表示を行う際の補助的な反射板としても機能する。
【0027】
集光部27は、導光板16から液晶パネル1に向けて射出され第2の拡散板35により拡散された光が液晶パネル1により効率よく向かうように光を集光させるもので、アクリル樹脂等からなる透明なシート状部材からなる第1のプリズムアレイ28及び第2のプリズムアレイ30により構成されている。第1のプリズムアレイ28は、一方の面に直線状の複数のプリズム部29が互いに平行になるように形成されている。そして、第1のプリズムアレイ28は、複数のプリズム部29の延伸方向が例えば導光板16に形成された複数の溝GBの延伸方向に対して直交する方向になるように配置されている。また、第2のプリズムアレイ30は、一方の面に直線状の複数のプリズム部31が互いに平行になるように形成されている。そして、第2のプリズムアレイ30は、複数のプリズム部31の延伸方向が例えば導光板16に形成された複数の溝GBの延伸方向に対して平行な方向になるように配置されている。なお、各プリズム部29,31は、図9に示すように、それぞれ、液晶パネル1の法線HDに対して左右が対称な二等辺三角形状で、且つ頂角が80°〜100°の範囲、好ましくは90°に設定された断面形状を有している。
【0028】
なお、プリズムアレイ28,30は、図10に示すように、液晶パネル1を通過してきた外光Lの一部を、各プリズム部29,31を構成する各傾斜面で順次反射させるため、このプリズムアレイ28,30は、当該液晶表示装置が外光を利用した反射表示を行う際の補助的な反射板としても機能する。
【0029】
反射偏光板32は、図11に示すように、互いに直交する方向に透過軸32aと反射軸32bとを有し、入射光のうちの透過軸32aと平行な偏光成分の光を透過させ、反射軸32bと平行な偏光成分の光を反射させる。なお、反射偏光板32は、一対の偏光板12,13のうち、当該反射偏光板32側に配置された偏光板13の透過軸13aに対して当該反射偏光板32の透過軸32aが平行になるように配置されている。なお、一対の偏光板12,13のうち、偏光板12の透過軸12aは上述したように偏光板13の透過軸13aに対して直交するように配置されているが、液晶層11における液晶の配向モードに応じて適宜設定することができる。
【0030】
位相差板33は、互いに直交する方向に遅相軸33aと進相軸33bとを有し、反射偏光板32の透過軸32a及び反射軸32bに対して遅相軸33a及び進相軸33bが45°の角度になるように配置されている。そして、位相差板33は、遅相軸33aに対して平行な偏光成分の光と進相軸33bに対して平行な偏光成分の光との間に1/4波長の位相差を与えるように光学定数が設定されている。
【0031】
上述のように反射偏光板32と位相差板33を、さらには反射板を配置することにより、導光板16を介した発光素子20からの光のうち、偏光板13の透過軸13aに対して直交する方向に偏光面を持って液晶パネル1に向かって照射された光を反射偏光板32で一旦反射させ偏光板13の透過軸13aに対して平行な光に変換して再度液晶パネル1に照射することができ、発光素子からの光の利用効率を向上させることができる。
【0032】
第1の拡散板34は、液晶パネル1における表示画素と集光部27における各プリズムアレイ28,30との間のモアレの発生を防止するためのもので、ヘイズ値が20〜50%になるように光散乱粒子が分散された透明性のシートからなっている。なお、第1の拡散板34は、第2の拡散板35と同様に、液晶パネル1を通過してきた外光の一部を後方散乱させるため、この第1の拡散板34は、当該液晶表示装置が外光を利用した反射表示を行う際の補助的な反射板としても機能する。
【0033】
以下、ハーフミラー70としての誘電体多層膜70について詳述する。誘電体多層膜70は、図12に示すように、屈折率が相対的に低い誘電体70aと高い誘電体70bとが組み合わされて、これらが交互に多層に積層されることにより構成されている。例えば、低屈折率の誘電体70aの屈折率は1.3〜1.5程度であり、高屈折率の誘電体70bの屈折率は1.9〜2.5程度である。低屈折率の誘電体70aとしては、酸化ケイ素やフッ化マグネシウム等を用いることができ、高屈折率の誘電体70bとしては、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化ネオジウム、酸化タングステン、酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、酸化イットリウム等を用いることができる。
【0034】
そして、例えば、低屈折率の誘電体70aとして酸化ケイ素を用い、高屈折率の誘電体70bとして酸化チタンを用いる場合には、酸化ケイ素層及び酸化チタン層の膜厚はそれぞれ50nm程度が好ましい。このとき、酸化ケイ素層と酸化チタン層との積層数によって反射率を設定することが可能である。例えば、酸化ケイ素層と酸化チタン層を交互に2〜6層程度積層することにより、可視光に対して20%程度の反射率を得ることができる。また、例えば、酸化ケイ素層と酸化チタン層を交互に6〜10層程度積層することにより、可視光に対して40%程度の反射率を得ることができる。
【0035】
即ち、誘電体多層膜70は、液晶層11に入射されてきた外光Lを、液晶層11を通過した直後にその一部を反射させることで、明るい反射表示を実現させるものであり、該液晶表示装置を適用する機器に応じてその反射率が適宜設定される。即ち、液晶パネル1を通過した外光Lは、液晶パネル1より後方(光源部側)に配置された光学部材を往復して再度液晶パネル1に入射されるが、このとき光学部材を往復することにより輝度低下が発生する。そこで、誘電体多層膜70により、予め外光Lの一部を反射させることで、このような輝度低下を抑制している。
【0036】
なお、光源部15からの照明光も誘電体多層膜70で反射されることになるが、このときの反射光は誘電体多層膜70を透過した外光Lと同様に、反射板19で反射されるため、再利用することが可能になっている。
【0037】
ここで、酸化ケイ素及び酸化チタンは、スパッタリング装置等で成膜することができる。また、酸化ケイ素や酸化チタンはガラスに対して密着性が十分にあるため、ガラス等の透明な材料で形成された第1の透明基板3上に直接成膜することができる。一方、ゲート電極の材料になるクロム、アルミニウムまたはモリブデン等の遮光性金属に対しては、酸化チタンよりも酸化ケイ素の方が、親和性が高い。即ち、薄膜とした場合に酸化チタンの方が酸化ケイ素よりも膜応力が大きくなるため、酸化ケイ素層上にゲート電極Gを形成した場合よりも酸化チタン層上にゲート電極Gを形成した場合の方がゲート電極Gの剥離が起こり易くなる。このため、誘電体多層膜70は、酸化ケイ素層が最上層になるように、酸化ケイ素層と酸化チタン層とを交互に積層することが好ましく、そして、酸化ケイ素層に対してゲート電極Gとしての層が接するように、薄膜トランジスタ5を形成することが好ましい。
【0038】
また、ハーフミラー70は、誘電体多層膜70に限定するものではなく、アルミニウム系の金属薄膜で形成してもよい。しかし、この場合、図13に示すように、可視光領域において各波長での光の反射率と透過率との合計値が90%程度であり、よって、光の損失が10%程度発生してしまう。さらに、透過率は短波長側よりも長波長側の方が低く透過光が青味を帯びてしまう。また、反射率は短波長側よりも長波長側の方が高く反射光が赤味を帯びてしまう。
【0039】
一方、ハーフミラー70に上述したような誘電体多層膜70を用いた場合には、図14に示すように、可視光領域において各波長での光の反射率と透過率との合計値が略100%になり、光の損失を抑制することができ好ましい。また、透過光の着色及び反射光の着色も少なくでき好ましい。
【0040】
上述したような液晶表示装置では、液晶パネル1における液晶層11が光を透過可能に印加電圧が制御されているときには、外光は、発光素子20の発光の有無にかかわらず、液晶パネル1を通過して導光板16に向かって入射可能になるが、この導光板16に向かって入射されてきた外光は、導光板16の第1の主面18aと第2の主面18bとを順に通過して反射板19により反射され、その後、導光板16の第2の主面18bと第1の主面18aとを順に通過して、再び液晶パネル1へ戻ることになる。即ち、上述したような液晶表示装置では、各表示画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けすることなく、各発光素子20が発光する光を用いた透過表示に加え、外光を用いた表示、即ち、反射表示を行うことも可能になる。
【0041】
また、上述したような液晶表示装置では、光源部15における反射板19での外光反射に加え、ハーフミラー70や、第1の拡散板34、第2の拡散板35、各プリズムアレイ28,30等により外光の一部が補助的に反射される。このため、液晶パネル1と反射板19との間に複数の反射面が存在することになり、外光によって反射板19に投影される液晶パネル1の画像にボケを生じさせることができる。従って、たとえ液晶パネル1と反射板19との間にある程度の距離があったとしても、液晶パネル1に表示される画像が二重映りとして視認されてしまうことを防止でき、表示品位を向上させることができる。
【0042】
ところで、外光のうちハーフミラー70で反射された光は、偏光板13を通過する前に反射されることになり、他の光に比べ、2倍の位相差が発生する。このため、ハーフミラー70での反射率を高く設定するような場合には、光源部15を点灯状態にした透過表示時と光源部15を消灯状態にした反射表示時との間で、液晶層11に印加する電圧を切り換え可能にドライバ回路14を構成することが好ましい。例えば、階調レベル毎に割り当てられる液晶層11への印加電圧が、透過表示時よりも反射表示時の方が低くなるようにドライバ回路14を構成しておくことが好ましい。
【0043】
また、ハーフミラー70は、反射光を効率的に用いるため、第1の透明基板3をフロスト加工等により粗化し、その上に形成して拡散反射させる様に構成しても良い。また、第1の透明基板3は平らであっても、ハーフミラー70を粗化し、拡散反射させる様に構成しても良い。
【0044】
なお、上述では、液晶層11における液晶分子がツイスト角90°でねじれ配向するTNモードの場合について説明したが、配向モードはTNモードに限定するものではなく、液晶分子の初期配向状態を垂直配向に制御するVA(Vertical Alignment)モードや、液晶分子の初期配向状態をベンド配向に制御するOCB(Optically Compensated Birefringenece)モードであってもよい。さらには、横電界型のIn−Plane Switching方式(IPS方式)を適用してもよい。
【0045】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態にかかる液晶表示装置について説明する。ここで第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点に限定して説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。第1の実施形態に係る液晶表示装置では、第1の透明基板3にハーフミラー70を設け、このハーフミラー70上に、トランジスタアレイ60を設ける場合について説明した。即ち、トランジスタアレイ60が形成された第1の透明基板3を光源部15側に配置する場合について説明した。
【0046】
これに対して、第2の実施形態にかかる液晶表示装置では、図15、図16に示すように、表示パネル101においてカラーフィルタ7が設けられた第2の透明基板2を光源部15側に配置するとともに、ハーフミラー170を第2の透明基板2に設けている。
【0047】
即ち、第2の透明基板2には、図15、図16に示すように、第1の透明基板3との対向面側に、ハーフミラー170としての誘電体多層膜170が、一面に均一に形成されている。そして、誘電体多層膜170の上層側には、カラーフィルタアレイ80が設けられている。具体的には、第1の透明基板3との対向面側に、画素電極4に大凡対応する領域が開口部49aになっている遮光層49と、カラーフィルタ7と、対向電極6とが下層側から順に形成されている。このとき、遮光層49は、誘電体多層膜170に接触するように形成されている。したがって、遮光層49をクロムやモリブデン等の遮光性金属で形成する場合には、上述したように、誘電体多層膜170は、最上層が酸化ケイ素層として形成されていることが好ましい。
一方、第1の透明基板3には、ハーフミラーが形成されることなく、トランジスタアレイ60が設けられている。
【0048】
このような第2の実施形態にかかる液晶表示装置によっても、各表示画素を透過表示領域と反射表示領域とに区分けすることなく、各発光素子20が発光する光を用いた透過表示に加え、外光を用いた表示、即ち、反射表示を行うことも可能になる。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0050】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 第1の基板と、
前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層に向けて前記第1の基板側から光を照射する光源部と、
前記第1の基板における前記第2の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、
前記誘電体多層膜上に設けられたトランジスタアレイと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記誘電体多層膜は、酸化ケイ素を含む第1の層と酸化チタンを含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする[1]に記載の液晶表示装置。
[3] 前記誘電体多層膜は、屈折率が1.3以上1.5以下の誘電体を含む第1の層と屈折率が1.9以上2.5以下の誘電体を含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする[3]に記載の液晶表示装置。
[4] 前記トランジスタアレイは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを含み、
前記薄膜トランジスタは、ゲート電極を含み、
前記ゲート電極は、前記誘電体多層膜に接触している、
ことを特徴とする[2]又は[3]に記載の液晶表示装置。
[5] 前記第1の層に前記ゲート電極が接触していることを特徴とする[4]に記載の液晶表示装置。
[6] 前記ゲート電極は、クロム、アルミニウム及びモリブデンの何れかを含む遮光性の金属により形成されていることを特徴とする[5]に記載の液晶表示装置。
[7] 第1の基板と、
前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層に向けて前記第2の基板側から光を照射する光源部と、
前記第2の基板における前記第1の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、
前記誘電体多層膜上に設けられたカラーフィルタアレイと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
[8] 前記誘電体多層膜は、酸化ケイ素を含む第1の層と酸化チタンを含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする[7]に記載の液晶表示装置。
[9] 前記誘電体多層膜は、屈折率が1.3以上1.5以下の誘電体を含む第1の層と屈折率が1.9以上2.5以下の誘電体を含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層とは交互に積層されている、
ことを特徴とする[7]に記載の液晶表示装置。
[10] 前記カラーフィルタアレイは遮光膜を含み、
前記遮光膜が前記誘電体多層膜に接触している、
ことを特徴とする[8]又は[9]に記載の液晶表示装置。
[11] 前記第1の層に前記遮光膜が接触していることを特徴とする[10]に記載の液晶表示装置。
[12] 前記遮光膜は、クロム及びモリブデンの何れかを含む遮光性の金属により形成されていることを特徴とする[11]に記載の液晶表示装置。
[13] 前記光源部はサイドライト型のバックライトであり、
前記光源部は、
反射板と、
前記第1の基板と前記反射板との間に配置された導光板と、
を有する、
ことを特徴とする[1]乃至[12]のうち何れか1に記載の液晶表示装置。
【符号の説明】
【0051】
1,101…液晶パネル、2…第2の透明基板、3…第1の透明基板、3a…張出部、4…画素電極、5…薄膜トランジスタ(TFT)、6…対向電極、7…カラーフィルタ、7R…赤色カラーフィルタ、7G…緑色カラーフィルタ、7B…青色カラーフィルタ、8,9…配向膜、10…シール材、11…液晶層、12,13…偏光板、12a,13a…透過軸、14…ドライバ回路、15…光源部、16…導光板、19…反射板、20…発光素子、27…集光部、28…第1のプリズムアレイ、28,30…プリズムアレイ、29,31…プリズム部、30…第2のプリズムアレイ、32…反射偏光板、32a…透過軸、32b…反射軸、33…位相差板、33a…遅相軸、33b…進相軸、34…第1の拡散板、35…第2の拡散板、41…表示画素、42…粘着材(拡散層)、43…ゲート絶縁膜、44…i型半導体膜、45…n型半導体膜、46…金属層、47…オーバーコート膜、48…チャネル保護膜、49a…開口部、49…遮光層、60…トランジスタアレイ、70,170…誘電体多層膜(ハーフミラー)、70a,70b…誘電体、80…カラーフィルタアレイ、SL…信号線、GL…走査線、HL…補助容量線、Cs…補助容量、G…ゲート電極、D…ドレイン電極、S…ソース電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層に向けて前記第1の基板側から光を照射する光源部と、
前記第1の基板における前記第2の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、
前記誘電体多層膜上に設けられたトランジスタアレイと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記誘電体多層膜は、酸化ケイ素を含む第1の層と酸化チタンを含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記誘電体多層膜は、屈折率が1.3以上1.5以下の誘電体を含む第1の層と屈折率が1.9以上2.5以下の誘電体を含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記トランジスタアレイは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを含み、
前記薄膜トランジスタは、ゲート電極を含み、
前記ゲート電極は、前記誘電体多層膜に接触している、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1の層に前記ゲート電極が接触していることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記ゲート電極は、クロム、アルミニウム及びモリブデンの何れかを含む遮光性の金属により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
第1の基板と、
前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層に向けて前記第2の基板側から光を照射する光源部と、
前記第2の基板における前記第1の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、
前記誘電体多層膜上に設けられたカラーフィルタアレイと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
前記誘電体多層膜は、酸化ケイ素を含む第1の層と酸化チタンを含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記誘電体多層膜は、屈折率が1.3以上1.5以下の誘電体を含む第1の層と屈折率が1.9以上2.5以下の誘電体を含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層とは交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記カラーフィルタアレイは遮光膜を含み、
前記遮光膜が前記誘電体多層膜に接触している、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第1の層に前記遮光膜が接触していることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記遮光膜は、クロム及びモリブデンの何れかを含む遮光性の金属により形成されていることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記光源部はサイドライト型のバックライトであり、
前記光源部は、
反射板と、
前記第1の基板と前記反射板との間に配置された導光板と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至12のうち何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層に向けて前記第1の基板側から光を照射する光源部と、
前記第1の基板における前記第2の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、
前記誘電体多層膜上に設けられたトランジスタアレイと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記誘電体多層膜は、酸化ケイ素を含む第1の層と酸化チタンを含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記誘電体多層膜は、屈折率が1.3以上1.5以下の誘電体を含む第1の層と屈折率が1.9以上2.5以下の誘電体を含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記トランジスタアレイは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを含み、
前記薄膜トランジスタは、ゲート電極を含み、
前記ゲート電極は、前記誘電体多層膜に接触している、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1の層に前記ゲート電極が接触していることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記ゲート電極は、クロム、アルミニウム及びモリブデンの何れかを含む遮光性の金属により形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
第1の基板と、
前記第1の基板と対向するように配置された第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層に向けて前記第2の基板側から光を照射する光源部と、
前記第2の基板における前記第1の基板に対向する面に設けられた誘電体多層膜と、
前記誘電体多層膜上に設けられたカラーフィルタアレイと、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
前記誘電体多層膜は、酸化ケイ素を含む第1の層と酸化チタンを含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層は交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記誘電体多層膜は、屈折率が1.3以上1.5以下の誘電体を含む第1の層と屈折率が1.9以上2.5以下の誘電体を含む第2の層とを備え、
前記第1の層と前記第2の層とは交互に積層されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記カラーフィルタアレイは遮光膜を含み、
前記遮光膜が前記誘電体多層膜に接触している、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第1の層に前記遮光膜が接触していることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記遮光膜は、クロム及びモリブデンの何れかを含む遮光性の金属により形成されていることを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記光源部はサイドライト型のバックライトであり、
前記光源部は、
反射板と、
前記第1の基板と前記反射板との間に配置された導光板と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至12のうち何れか1項に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−209690(P2011−209690A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3122(P2011−3122)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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