説明

液晶表示装置

【課題】液晶パネルの表示側への外力に起因する表示むらの発生を抑制できる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、透過型の液晶パネルを有する。液晶表示装置は、光源ユニットを有する。光源ユニットは、液晶パネルの背面側に位置し、液晶パネルへと面状光を照射する光源部、および、光源部と液晶パネルとの間に位置する光学シートを備える。液晶表示装置は、光源部の背面側の少なくとも一部に対向する対向面部を備え、液晶パネルおよび光源部を内部に収容するリアベゼルを有する。液晶表示装置は、複数の切込部46を備え、光源部の背面側を対向面部に対して弾性的に支持するクッションシート15を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示素子および前記光源部を収容体に収容する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルの普及により、液晶表示装置にタッチパネルを組み合わせたものが多く出回るようになっている。従来、透過型の液晶表示装置は、透過型の液晶表示素子である液晶パネルと、この液晶パネルの背面側に面状光を照射する光源であるバックライトおよびこのバックライトと液晶パネルとの間に位置する光学シートを有する光源部すなわちバックライトユニットとを備え、これら液晶パネルおよびバックライトユニットが収容体としてのリアベゼルにより収容保持されて構成されている。
【0003】
しかしながら、このリアベゼルとバックライトユニットの背面側との間には隙間が生じているため、このような液晶表示装置にタッチパネルを組み合わせた場合、使用者がタッチペン、あるいは指などによりタッチパネルを擦った際に、タッチパネルの変形によってバックライトユニットの光学シートが撓み、液晶パネルの表示領域に波紋状の表示むらが生じるおそれがある。
【0004】
そこで、リアベゼルに弾性シートであるクッションシートを貼着し、このクッションシートにより、リアベゼルとバックライトユニットとの間の隙間を閉塞してバックライトユニットを弾性的に支持する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−134180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1記載の構成では、クッションシートをリアベゼルに貼着する際に、リアベゼルとの間に空気が入りやすく、このような空気が入って膨らんだ部分に波紋状の表示むらが生じるおそれがあるという問題点を有している。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、液晶表示素子の表示側への外力に起因する表示むらの発生を抑制できる液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の液晶表示装置は、透過型の液晶表示素子を有する。また、この液晶表示装置は、液晶表示素子の背面側に位置し、この液晶表示素子へと面状光を照射する光源部、および、この光源部と液晶表示素子との間に位置する光学シートを備えた光源ユニットを有する。さらに、この液晶表示装置は、光源部の背面側の少なくとも一部に対向する対向面部を備え、液晶表示素子および光源部を内部に収容する収容体を有する。そして、この液晶表示装置は、複数の切込部を備え、光源部の背面側を対向面部に対して弾性的に支持する弾性シートを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態の液晶表示装置の弾性シートを示す斜視図である。
【図2】同上液晶表示装置の一部を示す断面図である。
【図3】同上液晶表示装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0011】
図2および図3において、11は液晶表示装置であり、この液晶表示装置11は、収容体であるリアベゼル12に、液晶表示素子である液晶パネル13と、光源ユニットであるバックライトユニット14と、弾性シートであるクッションシート15とが収容保持されて構成されている。
【0012】
リアベゼル12は、液晶パネル13およびバックライトユニット14の周囲を囲む四角形枠状の外壁部18と、この外壁部18の底部を閉塞する対向面部19とを備えた、四角形箱状に形成されている。そして、このリアベゼル12には、図示しないが、四角形枠状のベゼルカバーが取り付けられて、液晶パネル13とバックライトユニット14とを内部に収容して保持するように構成されている。
【0013】
また、液晶パネル13は、バックライトユニット14からの面状光を透過させて画像を表示する透過型のアクティブマトリクス型液晶パネルである。すなわち、この液晶パネル13は、四角形状の基板としてのアレイ基板21と、四角形状の基板としての対向基板22とが、この対向基板22を表示側として所定の隙間(セルギャップ)を介して互いに対向配置され、これら基板21,22間に液晶層23、および、基板21,22間の隙間を保持する図示しないスペーサが介在され、かつ、アレイ基板21の背面側(液晶層23と反対側)と対向基板22の表示側(液晶層23と反対側)とに偏光板24と偏光板25とが取り付けられて構成され、複数の画素がマトリクス状に配置された画像を表示するアクティブエリアすなわち表示領域26が四角形状に形成されている。
【0014】
アレイ基板21は、ガラス基板、このガラス基板上の表示領域26に対応する位置に格子状に形成された複数の配線部、ガラス基板上に形成され表示領域26に画素を構成する画素電極、これら画素電極をそれぞれ駆動するスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)などを有している。また、このアレイ基板21には、各薄膜トランジスタを駆動するための駆動回路であるドライバIC27が表示領域26の外方に額縁状(四角形枠状)に形成された非表示領域28に実装されている。なお、このドライバIC27は、例えばガラス基板上に直接実装してもよいし、別体のフレキシブル基板などに実装した状態でこのフレキシブル基板などをガラス基板に対して電気的に接続してもよい。また、このドライバIC27は、非表示領域28においてガラス基板に電気的に接続されたフレキシブル基板29を介して外部回路と電気的に接続されている。さらに、このアレイ基板21には、指、あるいはペンなどの入力手段による外部からの接触入力操作を検出するタッチパネル部30が構成されている。このタッチパネル部30は、任意に構成できるが、例えば液晶パネル13の表示側(図2中の上側)への接触(接近)による静電容量の変化、液晶パネル13の表示側への入力手段の接触(接近)によりこの液晶パネル13上に投影された入力手段の影などを検出する図示しないセンサ回路、および、このセンサ回路からの検出出力に応じて各種動作をさせるためのセンサ制御回路などを有している。
【0015】
また、対向基板22は、ガラス基板、このガラス基板上に形成された共通電極である対向電極を有している。なお、共通電極は、液晶層23のモードによってはアレイ基板21側に形成してもよい。さらに、この対向基板22は、液晶パネル13がカラー表示可能である場合、例えば画素毎に対応して例えば赤(R)、緑(G)、青(B)など混色により少なくとも白色または黒色を構成可能な複数の原色に着色されたカラーフィルタ層などを有している。このカラーフィルタ層は、アレイ基板21側に形成してもよい。
【0016】
液晶層23としては、例えばTNモード、STNモード、VA(MVA)モード、IPSモードなどの各種モードを用いることができる。
【0017】
また、偏光板24,25は、シート状に形成された光学部材であり、液晶層23のモードに応じて、所定の偏光成分を選択的に透過・遮断するように配置されている。
【0018】
また、バックライトユニット14は、例えば白色光を照射する複数のLEDなどの光源33、この光源33からの発光を面状光に変換する導光体である四角形板状の導光板34、および、これら光源33および導光板34の背面側(図2中の下側)に亘って配置された反射シート35を備える光源部36と、導光板34の光の出射側(図2中の上側)に重ねて配置された単数あるいは複数の光学シート37と、これら光源部36および光学シート37を保持するフレーム38とを備えている。そして、このバックライトユニット14は、クッションシート15を介してリアベゼル12の対向面部19に支持されているとともに、液晶パネル13側と光学シート37との接触を防止するためのスペーサ39を介して液晶パネル13と隣接している。
【0019】
光源部36は、光源33が導光板34の一側面に対向し、導光板34が液晶パネル13の背面側の偏光板24に対向するように、フレーム38に支持されている。
【0020】
光源33には、接続基板であるフレキシブル基板41が電気的に接続されており、このフレキシブル基板41を介して、外部の光源制御回路に電気的に接続されている。
【0021】
また、導光板34は、少なくとも液晶パネル13の表示領域26全体に対応する領域に面状光を照射できるように、この表示領域26よりも広い面積を有しているとともに、液晶パネル13よりも狭い面積を有している。
【0022】
さらに、反射シート35は、光源33からの発光および導光板34での内部反射光などの一部を反射させることで光源部36からの不要光の漏れを防止し、光源33からの発光を効率よく導光板34から面状光として出射させるものである。
【0023】
また、光学シート37は、例えば集光シート、あるいは拡散シートなどであり、光源部36の導光板34により変換されて出射された面状光に対して所定の光学特性を付与して液晶パネル13に入射させるものである。
【0024】
また、フレーム38は、例えば合成樹脂などの剛性を有する部材により四角形枠状(額縁状)に形成されており、リアベゼル12の内部に位置して対向面部19により支持されている。
【0025】
また、スペーサ39は、液晶パネル13の非表示領域28に対応する位置に配置されている。したがって、このスペーサ39は、例えば四角形枠状に形成されており、少なくとも液晶パネル13の表示領域26において、液晶パネル13側(偏光板25)と光学シート37との間に間隙43を形成している。
【0026】
また、クッションシート15は、バックライトユニット14の少なくとも導光板34の背面側とリアベゼル12の対向面部19との隙間を閉塞する。そして、このクッションシート15は、図1に示すように、四角形状のシート本体45に対して、複数の切込部46が厚さ方向に貫通して形成されて構成されている。これら切込部46は、例えばシート本体45の1辺、本実施形態では長辺に沿って、換言すれば長手方向に沿ってそれぞれ直線スリット状に形成された切れ目であり、複数の切込部46が、シート本体45において、長手方向に同一直線上で、かつ、互いに略等間隔に離間されてミシン目状の行をなし、これら行が短手方向に複数、互いに離間されて配置されている。すなわち、これら切込部46は、シート本体45に間欠的に(一の切込部46の一端部と他の切込部46の他端部とを所定間隔ずつ離間して)、換言すればミシン目状に配列されて複数箇所に形成されている。
【0027】
次に、上記一実施形態の作用を説明する。
【0028】
液晶表示装置11を組み立てる際には、まず、バックライトユニット14および液晶パネル13を予め組み立てる。
【0029】
バックライトユニット14は、フレキシブル基板41を電気的に接続した光源33と導光板34とをフレーム38に順次組み込むとともに、反射シート35と光学シート37とをそれぞれ貼着する。
【0030】
また、液晶パネル13は、例えば複数のアレイ基板21を形成した大判ガラス基板と複数の対向基板22を形成した大判ガラス基板とを、液晶層23を介在させて互いに貼り合わせた後、個々の液晶パネル13に分割し、偏光板24,25を貼着する。
【0031】
そして、バックライトユニット14と液晶パネル13とは、互いに位置合わせした状態でスペーサ39により貼り合わせる。
【0032】
次いで、リアベゼル12の対向面部19にクッションシート15を貼着する。このとき、各切込部46を介して、クッションシート15と対向面部19との間に入り込んだ空気を排気しながら貼着することで、クッションシート15を対向面部19に対して、空気に起因する凹凸(膨らみ)を生じることなく確実に沿わせる。また、空気に起因する凹凸が仮に残った場合でも、この凹凸を切込部46に向けてしごくようにシート本体45を押圧することで、空気が徐々に切込部46へと移動してこの切込部46から排気されるので、このような凹凸も容易に解消される。
【0033】
そして、上記一体(ユニット)化したバックライトユニット14および液晶パネル13を、リアベゼル12に挿入し、反射シート35をクッションシート15に貼着させて固定する。なお、リアベゼル12に対して、バックライトユニット14を先に貼着し、次いで、スペーサ39を介して液晶パネル13を貼着してもよい。
【0034】
また、アレイ基板21のフレキシブル基板29および光源33のフレキシブル基板41は、それぞれ外部と電気的に接続する。
【0035】
完成した液晶表示装置11においては、表示される画像に基づきドライバIC27から配線部を介して供給された信号により、各薄膜トランジスタが各画素電極を駆動させ、所望の画像が表示領域26に表示される。
【0036】
また、タッチパネル部30では、使用者の指、あるいはペンなどの入力手段が接触した位置座標を検出することで、使用者の外部入力操作を検出する。
【0037】
そして、液晶表示装置11は、タッチパネル部30で検出した入力手段の位置座標と表示領域26に表示している画像との対応関係に基づき、各種処理を行う。具体的に、液晶表示装置11は、例えば液晶パネル13に各種処理を記載した複数のボタンなどを表示し、これらボタンなどの位置とタッチパネル部30により検出した入力手段の接触位置との位置関係から、使用者がどのボタンを操作したかを検出することにより、そのボタンに表示された処理を行う。
【0038】
このように、上記一実施形態によれば、光源部36の背面側をリアベゼル12の対向面部19に対して弾性的に支持するクッションシート15に対して切込部46を形成することにより、対向面部19にクッションシート15を貼着する際に、対向面部19とクッションシート15のシート本体45との間に入り込んだ空気を、切込部46を介して排気できる。したがって、この空気に起因する凹凸を生じることなくクッションシート15を対向面部19に沿わせて平坦状に貼着できるため、液晶パネル13の表示側に外力が加わった場合でも、この外力を、スペーサ39およびバックライトユニット14を介してクッションシート15の弾性変形により吸収して、光学シート37の変形を抑制できる。この結果、液晶パネル13の表示側への外力による光学シート37の変形に起因して波紋状の表示むらが液晶パネル13の表示領域26に形成されることを抑制できる。
【0039】
特に、タッチパネル部30を備える液晶表示装置11の場合、使用者が指、あるいはペンなどの入力手段を用いて入力操作する際に液晶パネル13の表示側を押圧するため、上記のクッションシート15を用いることで、このような押圧に対して、表示領域26内に波紋状のむらが生じることを確実に抑制できる。
【0040】
また、クッションシート15の複数箇所に切込部46を間欠的に形成することにより、リアベゼル12の対向面部19にクッションシート15を貼着する際に、対向面部19とクッションシート15のシート本体45との間のどの位置に空気が入り込んでも、各切込部46からより容易に空気を排気できる。
【0041】
なお、上記一実施形態において、切込部46は、例えばシート本体45の短手方向に沿って直線状に形成したり、円弧状や任意曲線状に形成したりするなど、シート本体45の任意の位置に任意の形状で形成できる。
【0042】
また、タッチパネル部30は、液晶パネル13に組み込むものだけでなく、液晶パネル13と別体とし、液晶パネル13の表示側の偏光板25に対してシール性を有する接続部材などを介して隙間なく貼着するように構成しても、同様の作用効果を奏することができる。この場合、タッチパネル部としては、例えば静電容量式、抵抗式、あるいは抵抗膜式など、各種のものを用いることができる。
【0043】
さらに、液晶表示装置11は、タッチパネル部30を備えていないものでも同様の作用効果を奏することができる。
【0044】
そして、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
11 液晶表示装置
12 収容体であるリアベゼル
13 液晶表示素子である液晶パネル
14 光源ユニットであるバックライトユニット
15 弾性シートであるクッションシート
19 対向面部
30 タッチパネル部
36 光源部
37 光学シート
46 切込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過型の液晶表示素子と、
この液晶表示素子の背面側に位置し、この液晶表示素子へと面状光を照射する光源部、および、この光源部と前記液晶表示素子との間に位置する光学シートを備えた光源ユニットと、
前記光源部の背面側の少なくとも一部に対向する対向面部を備え、前記液晶表示素子および前記光源部を内部に収容する収容体と、
複数の切込部を備え、前記光源部の背面側を前記対向面部に対して弾性的に支持する弾性シートと
を具備したことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記切込部は、前記弾性シートの複数箇所に間欠的に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
外部からの接触入力操作を検出するタッチパネル部を有している
ことを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−177798(P2012−177798A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40732(P2011−40732)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(302020207)株式会社ジャパンディスプレイセントラル (2,170)
【Fターム(参考)】