説明

液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器

【課題】液晶中のイオン性不純物の偏在が抑制され、優れた表示品質が得られる液晶装置、液晶装置の製造方法、この液晶装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置は、一対の基板間に挟持された負の誘電異方性の液晶層と、複数の画素を含む表示領域E1とを有し、表示領域E1における一対の基板の液晶層に面する側のそれぞれに設けられ、第1方位角方向θaに略垂直配向処理が施されてなる第1配向膜と、表示領域E1を囲む周辺領域E2の少なくとも一部における一対の基板の液晶層に面する側のそれぞれに設けられ、第1方位角方向θaと交差する第2方位角方向θdに略垂直配向処理が施されてなる第2配向膜と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、一般的に配向処理が施された一対の基板間に液晶が注入封止された構造となっている。このような液晶装置の製造過程において、イオン性不純物が例えば液晶注入時に混入したり、液晶層を取り囲むシール材から溶出すると、表示領域に拡散・凝集して表示特性の劣化を招くことが知られている。
【0003】
このようなイオン性不純物に起因する表示特性の劣化を抑制することを目的として、例えば特許文献1には、一対の基板のうち、一方の基板は画素領域に形成された画素電極と、画素領域の周辺領域に形成された周辺電極とを含み、他方の基板は、該画素領域に形成された画素電極部と、該周辺領域に形成された周辺電極とを含み、少なくとも一方の周辺電極は隣接する複数の電極により構成され、該周辺電極の隣り合う電極間で印加する駆動電圧の電圧値が異なる液晶表示装置が開示されている。
【0004】
上記特許文献1の液晶表示装置によれば、上記周辺電極の隣接する電極間の電位を変化させることにより、該電極間に横方向の電界が生じ、液晶の微小な揺らぎによる流れに加えて、画素領域内のイオン性不純物を画素領域の外側に移動させることができ、イオン性不純物に起因する焼き付きなどの表示不良を防止できるとしている。
【0005】
また、特許文献2には、マトリクス状に配置された複数の表示画素からなる表示部に画像を表示させるために、液晶層に印加される最低電圧の大きさが1.2v以上である液晶表示装置が開示されている。
特許文献2の液晶表示装置によれば、上記最低電圧を規定することにより、イオン性不純物の流れ(フロー)が存在する部分と存在しない部分との境界近傍において焼き付きが発生することを防止できるとしている。つまり、液晶中のイオン性不純物の滞留を防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−58497号公報
【特許文献2】特開2010−113148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1あるいは特許文献2の液晶表示装置は、用いられる液晶の電気光学特性に応じた専用の駆動用ICなどの電子部品が必要となったり、駆動電圧(駆動波形)の調整が必要となり、製造コストの上昇、生産性の低下を招くおそれがあるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例の液晶装置は、一対の基板間に挟持された負の誘電異方性の液晶層と、複数の画素を含む表示領域とを有する液晶装置であって、前記表示領域における前記一対の基板の前記液晶層に面する側のそれぞれに設けられ、第1方位角方向に略垂直配向処理が施されてなる第1配向膜と、前記表示領域を囲む周辺領域の少なくとも一部における前記一対の基板の前記液晶層に面する側のそれぞれに設けられ、前記第1方位角方向と交差する第2方位角方向に略垂直配向処理が施されてなる第2配向膜と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、液晶中に含まれたイオン性不純物は表示領域において第1方位角方向に沿って移動するも、周辺領域では第1方位角方向と交差する第2方位角方向に移動するので、イオン性不純物が第1方位角方向に偏在することを抑制できる。それゆえに、イオン性不純物の偏在に起因する焼き付きなどの表示不良が低減された液晶装置を提供できる。
【0011】
[適用例2]上記適用例の液晶装置において、前記第1配向膜は、前記第1方位角方向にカラムが傾斜した無機配向膜であり、前記第2配向膜は、前記第2方位角方向にカラムが傾斜した無機配向膜であることを特徴とする。
これによれば、無機配向膜は、有機配向膜に比べてイオン性不純物の偏在による表示不良が発生し易いので、無機配向膜を備えた液晶装置に対して適用することは特に有効である。
【0012】
[適用例3]上記適用例の液晶装置において、前記表示領域は平面視で四角形であり、前記第1方位角方向は、前記表示領域の辺部に対して斜めに交差する方向であるとしてもよい。
これによれば、液晶中のイオン性不純物は表示領域における第1方位角方向の角部に向かって移動するが、その後は上記角部の周辺領域において第1方位角方向と交差する第2方位角方向に移動する。つまり、イオン性不純物が表示領域の第1方位角方向の角部に偏在することを低減できる。
【0013】
[適用例4]上記適用例の液晶装置において、前記第1方位角方向は、前記表示領域の辺部に対して略45度の角度で交差し、前記第2方位角方向は、前記表示領域の辺部に対して平行とならない角度で前記第1方位角方向と交差していることが好ましい。
第2方位角方向が表示領域の辺部と平行していると、周辺領域に移動したイオン性不純物が周辺領域の角部に集中し易く、イオン性不純物の量が多いとその影響は表示領域の角部に及ぶおそれがある。これによれば、第2方位角方向は、表示領域の辺部に対して平行とならない角度で第1方位角方向と交差しているので、イオン性不純物が表示領域の第1方位角方向の角部に偏在することをより低減できる。
【0014】
[適用例5]上記適用例の液晶装置において、前記第2配向膜は、前記表示領域の前記第1方位角方向の角部に沿った前記周辺領域の部分に設けられており、前記表示領域の他の角部に沿った前記周辺領域の部分には、前記第1配向膜が設けられていることを特徴とする。
これによれば、表示領域の各角部におけるイオン性不純物の偏在をより低減できる。
【0015】
[適用例6]上記適用例の液晶装置において、前記周辺領域には、駆動可能なダミー画素が設けられていることを特徴とする。
これによれば、画素の電気的な駆動に伴って液晶分子の配向が第1方位角方向において変化することで第1方位角方向の流れが生じ、液晶中のイオン性不純物は当該流れに沿って移動する。したがって、周辺領域にも駆動可能なダミー画素を設けておくことで、周辺領域に運ばれたイオン性不純物を第2方位角方向に積極的に移動させることができる。つまり、イオン性不純物の偏在をより効率的に抑制することができる。
【0016】
[適用例7]本適用例の液晶装置の製造方法は、一対の基板間に挟持された負の誘電異方性の液晶層と、複数の画素を含む表示領域とを有する液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板のそれぞれにおいて、前記表示領域に略垂直配向処理を第1方位角方向に施した第1配向膜を形成する第1配向膜形成工程と、前記表示領域を囲む周辺領域の少なくとも一部に前記略垂直配向処理を前記第1方位角方向と交差する第2方位角方向に施した第2配向膜を形成する第2配向膜形成工程と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
この方法によれば、表示領域の第1配向膜と、周辺領域の第2配向膜とは共に略垂直配向処理が施されているものの、方位角方向が異なるので、液晶中に含まれたイオン性不純物が表示領域において第1方位角方向に沿って移動するも、周辺領域では第1方位角方向と交差する第2方位角方向に移動する。したがって、イオン性不純物が第1方位角方向に偏在することが抑制され、イオン性不純物の偏在に起因する焼き付きなどの表示不良が低減された液晶装置を製造することができる。
【0018】
[適用例8]上記適用例の液晶装置の製造方法において、前記第1配向膜形成工程は、前記第1方位角方向にカラムが傾斜した無機の前記第1配向膜を形成し、前記第2配向膜形成工程は、前記第2方位角方向にカラムが傾斜した無機の前記第2配向膜を形成することを特徴とする。
この方法によれば、無機配向膜は、有機配向膜に比べてイオン性不純物の偏在による表示不良が発生し易いので、無機配向膜の形成工程を備えた液晶装置の製造方法に対して適用することは特に有効である。
【0019】
[適用例9]上記適用例の液晶装置の製造方法において、前記第1配向膜形成工程は、前記第2配向膜形成工程の後に行われることが好ましい。
この方法によれば、表示領域に第1配向膜を形成した後に第2配向膜を形成する場合に比べて、表示領域に後から第2配向膜が回り込んで形成される不具合を防止して、表示領域における安定的な配向状態を確保できる。
【0020】
[適用例10]本適用例の電子機器は、上記適用例の液晶装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、イオン性不純物の偏在による表示不良が低減され、優れた表示品質を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のH−H’線で切った概略断面図。
【図2】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図3】(a)は液晶装置における無機配向膜の形成状態と液晶分子の配向状態とを示す概略断面図、(b)は液晶分子の挙動を示す概略図。
【図4】(a)は表示領域と周辺領域との関係を示す概略平面図、(b)は周辺領域におけるダミー画素の配置の一例を示す要部拡大平面図。
【図5】略垂直配向処理における方位角方向と表示ムラとの関係を示す概略平面図。
【図6】液晶装置の製造方法を示すフローチャート。
【図7】略垂直配向処理における方位角方向を示す概略平面図。
【図8】電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。
【図9】変形例の略垂直配向処理の方法を示す概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
【0023】
なお、以下の形態において、「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0024】
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
【0025】
<液晶装置>
まず、本実施形態の液晶装置について、図1および図2を参照して説明する。図1(a)は液晶装置の構成を示す概略平面図、同図(b)は同図(a)のH−H’線で切った概略断面図、図2は液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。
【0026】
図1(a)および(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10および対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10および対向基板20は、透明な例えば石英などのガラス基板が用いられている。
【0027】
素子基板10は対向基板20よりも一回り大きく、両基板は、額縁状に配置されたシール材40を介して接合され、その隙間に液晶が封入されて液晶層50を構成している。シール材40は、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。シール材40には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
【0028】
額縁状に配置されたシール材40の内側には、同じく額縁状に遮光膜21が設けられている。遮光膜21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなり、遮光膜21の内側が複数の画素Pを有する画素領域Eとなっている。なお、図1では図示省略したが、画素領域Eにおいても複数の画素Pを平面的に区分する遮光部が設けられている。
【0029】
素子基板10の1辺部に沿ったシール材40との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、該1辺部に対向する他の1辺部に沿ったシール材40の内側に検査回路103が設けられている。さらに、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿ったシール材40の内側に走査線駆動回路102が設けられている。該1辺部と対向する他の1辺部のシール材40の内側には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、該1辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。
以降、該1辺部に沿った方向をX方向とし、該1辺部と直交し互いに対向する他の2辺部に沿った方向をY方向として説明する。
【0030】
図1(b)に示すように、素子基板10の液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた光透過性を有する画素電極15およびスイッチング素子としての薄膜トランジスター(TFT;Thin Film Transistor)30と、信号配線と、これらを覆う配向膜18とが形成されている。
また、TFT30における半導体層に光が入射して光リーク電流が流れ、不適切なスイッチング動作となることを防ぐ遮光構造が採用されている。
【0031】
対向基板20の液晶層50側の表面には、遮光膜21と、これを覆うように成膜された層間膜層22と、層間膜層22を覆うように設けられた共通電極23と、共通電極23を覆う配向膜24とが設けられている。
【0032】
遮光膜21は、図1(a)に示すように平面的にデータ線駆動回路101や走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置において額縁状に設けられている。これにより対向基板20側から入射する光を遮蔽して、これらの駆動回路を含む周辺回路の光による誤動作を防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が画素領域Eに入射しないように遮蔽して、画素領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
【0033】
層間膜層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して遮光膜21を覆うように設けられている。このような層間膜層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
【0034】
共通電極23は、例えばITOなどの透明導電膜からなり、層間膜層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
【0035】
画素電極15を覆う配向膜18および共通電極23を覆う配向膜24は、液晶装置100の光学設計に基づいて選定される。本実施形態では、負の誘電異方性を有する液晶分子が配向膜面に対してプレチルト角を有して略垂直配向するように施されたものであって、例えば、SiOx(酸化シリコン)などの無機材料を物理気相成長法を用いて成膜した無機配向膜が用いられている。物理気相成長法としては、無機材料を真空中で気化して被成膜物上に到達させ成膜する、真空蒸着法、真空スパッタ法などが挙げられる。無機配向膜の形成方法や液晶分子の詳しい配向状態については後述する。
【0036】
また、本実施形態では、画素領域Eは実効的な表示がなされる表示領域と表示領域を囲む周辺領域とを含むものである。さらには、表示領域と周辺領域とにおける略垂直配向処理の方位角方向が異なっている。このような配向膜18,24の形成方法については後述する。
【0037】
図2に示すように、液晶装置100は、少なくとも画素領域Eにおいて互いに絶縁されて直交する信号線としての複数の走査線3aおよび複数のデータ線6aと、データ線6a沿って平行するように配置された容量線3bとを有する。
走査線3aが延在する方向がX方向であり、データ線6aが延在する方向がY方向である。
【0038】
走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
【0039】
走査線3aはTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6aはTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極15はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線6aはデータ線駆動回路101(図1参照)に接続されており、データ線駆動回路101から供給される画像信号D1,D2,…,Dnを画素Pに供給する。走査線3aは走査線駆動回路102(図1参照)に接続されており、走査線駆動回路102から供給される走査信号SC1,SC2,…,SCmを各画素Pに供給する。データ線駆動回路101からデータ線6aに供給される画像信号D1〜Dnは、この順に線順次で供給してもよく、互いに隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループごとに供給してもよい。走査線駆動回路102は、走査線3aに対して、走査信号SC1〜SCmを所定のタイミングでパルス的に線順次で供給する。
【0040】
液晶装置100は、スイッチング素子であるTFT30が走査信号SC1〜SCmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号D1〜Dnが所定のタイミングで画素電極15に書き込まれる構成となっている。そして、画素電極15を介して液晶層50に書き込まれた所定レベルの画像信号D1〜Dnは、画素電極15と液晶層50を介して対向配置された共通電極23との間で一定期間保持される。
保持された画像信号D1〜Dnがリークするのを防止するため、画素電極15と共通電極23との間に形成される液晶容量と並列に保持容量16が接続されている。保持容量16は、TFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。容量線3bは、固定電位に接続されている。固定電位としては例えばGNDや共通電極23に与えられる共通電位(LCCOM)である。
【0041】
なお、図1(a)に示した検査回路103には、データ線6aが接続されており、液晶装置100の製造過程において、上記画像信号を検出することで液晶装置100の動作欠陥などを確認できる構成となっているが、図2の等価回路では省略している。また、検査回路103は、上記画像信号をサンプリングしてデータ線6aに供給するサンプリング回路、データ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して供給するプリチャージ回路を含むものとしてもよい。
【0042】
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。
【0043】
次に、液晶装置100における液晶分子の配向状態について、図3を参照して説明する。図3(a)は液晶装置における無機配向膜の形成状態と液晶分子の配向状態とを示す概略断面図、同図(b)は液晶分子の挙動を示す概略図である。
図3(a)に示すように、液晶装置100における画素電極15および共通電極23の表面には、酸化シリコンを物理気相成長法の一例である真空蒸着法により斜め蒸着して得られた配向膜18および配向膜24が形成されている。具体的には、液晶層50に面した基板面に対する蒸着方向の角度θbはおよそ45°である。このような斜め蒸着により基板面には蒸着方向に向って酸化シリコンの結晶体が柱状に成長する。この柱状結晶体をカラム18a,24aと呼ぶ。配向膜18,24はこのようなカラム18a,24aの集合体である。また、基板面に対するカラム18a,24aの成長方向の角度θcは蒸着方向の角度θbと必ずしも一致せず、この場合およそ70°となっている。
【0044】
このような配向膜18,24の表面において略垂直配向する液晶分子LCのプレチルト角θpはおよそ85°である。また、基板面の法線方向から見た液晶分子LCのプレチルトの方向すなわち方位角方向は、配向膜18,24における斜め蒸着の平面的な蒸着方向と同じである。略垂直配向処理の上記方位角方向は、液晶装置100の光学設計条件に基づいて適宜設定される。
【0045】
対向配置された素子基板10および対向基板20ならびにこれら一対の基板間に挟持された液晶層50を含めたものを液晶パネル110と呼ぶ。液晶装置100は、液晶パネル110の光の入射側と射出側とにそれぞれ配置された偏光素子41,42を有して用いられる。また、偏光素子41,42は、偏光素子41,42のうちの一方の透過軸または吸収軸がX方向またはY方向に対して平行となるように、且つ互いの透過軸または吸収軸が直交するように液晶パネル110に対してそれぞれ配置されている。
【0046】
本実施形態では、表示領域において偏光素子41,42の透過軸または吸収軸に対して液晶分子LCのプレチルトの方位角が45°で交差するように略垂直配向処理が施されている。したがって、図3(b)に示すように画素電極15と共通電極23との間に駆動電圧を印加して液晶層50を駆動すると、液晶分子LCがプレチルトの方位角方向に倒れることにより、高い透過率が得られる光学的な配置となっている。液晶層50の駆動(ON/OFF)を繰り返すと、液晶分子LCはプレチルトの方位角方向に倒れたり、初期の配向状態に戻ったりする挙動を繰り返す。このような液晶分子LCの挙動が起る略垂直配向処理を1軸の略垂直配向処理という。
【0047】
なお、液晶パネル110に対する光の入射方向は、図3(a)に示すように素子基板10側から入射することに限定されない。また、光の入射側または射出側に位相差板などの光学補償素子を備える構成としてもよい。
【0048】
図4(a)は表示領域と周辺領域との関係を示す概略平面図、同図(b)は周辺領域におけるダミー画素の配置の一例を示す要部拡大平面図である。
【0049】
図4(a)に示すように、液晶装置100における画素領域Eは、実効的な表示がなされる表示領域E1とこれを取り囲む周辺領域E2とにより構成されている。
【0050】
図4(b)に示すように、表示領域E1には画素P1がマトリクス状に配置されている。周辺領域E2には、表示領域E1を取り囲むようにX方向に複数のダミー画素P2からなる列が3列配置され、Y方向に複数のダミー画素P2からなる行が3行配置されている。画素P1およびダミー画素P2は、共に前述した画素Pの電気的な構成を備えるものであって、それぞれに与えられた信号によって駆動することができる。なお、周辺領域E2におけるダミー画素P2の配置数は、これに限定されるものではない。
【0051】
図5は略垂直配向処理における方位角方向と表示ムラとの関係を示す概略平面図である。図5に示すように、表示領域E1において1軸の略垂直配向処理の方位角方向をY方向となす方位角θaが45°となるように設定する。具体的には、破線で示した矢印方向が素子基板10に対する斜め蒸着の方向であり、右上から左下に向かう方向である。一方、実線で示した矢印方向が素子基板10に対向配置される対向基板20に対する斜め蒸着の方向であり、左下から右上に向かう方向である(図3参照)。このような表示領域E1における方位角方向を方位角θaをそのまま利用して第1方位角方向θaと呼ぶこともある。
【0052】
このような第1方位角方向θaによれば、液晶層50つまり前述した画素P1(図4(b)参照)を駆動することにより、基板面に対して略垂直配向した液晶分子LCが第1方位角方向θaに振られる挙動を示す。これにより、第1方位角方向θaに向かう液晶分子LCの挙動すなわち流れ(フロー)が生じて、液晶中に含まれたイオン性不純物はこの流れ(フロー)に沿って液晶中を移動し、やがて第1方位角方向θaに位置する表示領域E1の角部に運ばれてイオン性不純物の偏在が生ずる。そうすると、図5に示すように表示領域E1の角部においてイオン性不純物の偏在に起因する例えば焼き付きや輝度ムラなどの表示ムラが発生する。
なお、第1方位角方向θaが45°とは、図5に示すように右上がり45°だけでなく、右下がり45°でもよく、その場合には図5において表示領域E1の左上と右下の角部に表示ムラが発生する。
【0053】
本実施形態では、表示領域E1と周辺領域E2とにおいて略垂直配向処理の方位角方向を異ならせることにより、表示領域E1の角部に運ばれるイオン性不純物を周辺領域E2において第1方位角方向θaとは異なる方向に移動させる。これにより、このような表示領域E1の角部におけるイオン性不純物の偏在を抑制し、表示ムラを低減している。より具体的な略垂直配向処理の方法については、以降の液晶装置の製造方法において説明する。
【0054】
<液晶装置の製造方法>
次に、本実施形態の液晶装置100の製造方法について、図6および図7を参照して説明する。図6は液晶装置の製造方法を示すフローチャート、図7は略垂直配向処理における方位角方向を示す概略平面図である。
【0055】
図6に示すように、本実施形態の液晶装置100の製造方法は、素子基板10側における製造工程を示す、画素形成工程(ステップS1)と、第2配向膜形成工程(ステップS2)と、第1配向膜形成工程(ステップS3)とを備えている。また、対向基板20側における製造工程を示す、対向電極形成工程(ステップS4)と、第2配向膜形成工程(ステップS5)と、第1配向膜形成工程(ステップS6)とを備えている。そして、それぞれに配向膜が形成された素子基板10と対向基板20との間に液晶を注入・封止する液晶注入・封止工程(ステップS7)を備えている。
【0056】
まず、ステップS1の画素形成工程では、素子基板10に走査線3aとデータ線6aならびに容量線3bと、これらの信号線類により区分された領域に、画素電極15と、TFT30と、保持容量16とを形成する。このような画素回路を形成する方法としては、公知の方法を採用することができる。また、このような画素回路は、表示領域E1においては画素P1として機能し、周辺領域E2ではダミー画素P2として機能するように形成される。つまり、画素形成工程は、ダミー画素P2を形成する工程を含むものである。そして、ステップS2へ進む。
【0057】
ステップS2の第2配向膜形成工程では、図7に示すように、素子基板10の周辺領域E2に対して第2方位角方向θdの略垂直配向処理を施す。具体的には、素子基板10の表示領域E1を例えばマスクなどで遮蔽した状態で、周辺領域E2に第1方位角方向θaに対して交差する第2方位角方向θdから酸化シリコンを斜め蒸着する。より具体的には、素子基板10における略垂直配向処理面を上にしたときに、図面上で右下から左上に向かう45°の方向または左上から右下に向かう45°の方向から斜め蒸着する。つまり、第1方位角方向θaと第2方位角方向θdとは直交することになる。これにより、素子基板10の周辺領域E2には第2方位角方向θdの略垂直配向処理が施された第2配向膜(無機配向膜)が形成される。そして、ステップS3へ進む。
【0058】
ステップS3の第1配向膜形成工程では、同じく図7に示すように、素子基板10の表示領域E1に対して第1方位角方向θaの略垂直配向処理を施す。具体的には、素子基板10の周辺領域E2を例えばマスクなどで遮蔽した状態で、表示領域E1に第1方位角方向θaから酸化シリコンを斜め蒸着する。より具体的には、素子基板10における略垂直配向処理面を上にしたときに、図面上で右上から左下に向かう45°の方向から斜め蒸着する。これにより、素子基板10の表示領域E1には第1方位角方向θaの略垂直配向処理が施された第1配向膜(無機配向膜)つまり配向膜18(図3(a)参照)が形成される。そして、ステップS4へ進む。
【0059】
ステップS4の対向電極形成工程では、対向基板20の液晶層50に面する側に共通電極23を形成する。具体的には、ITOなどの透明導電膜を例えばスパッタ法により成膜してパターニングすることにより共通電極23を形成する。なお、遮光膜21と、これを覆う層間膜層22の形成方法は公知の方法を用いることができる。そして、ステップS5へ進む。
【0060】
ステップS5の第2配向膜形成工程では、素子基板10と同様にして、図7に示すように、対向基板20の周辺領域E2に対して第2方位角方向θdの略垂直配向処理を施す。具体的には、対向基板20の表示領域E1を例えばマスクなどで遮蔽した状態で、周辺領域E2に第1方位角方向θaに対して交差する第2方位角方向θdから酸化シリコンを斜め蒸着する。より具体的には、対向基板20における略垂直配向処理面を下にしたときに、図面上で右下から左上に向かう45°の方向または左上から右下に向かう45°の方向から斜め蒸着する。つまり、第1方位角方向θaと第2方位角方向θdとは直交することになる。これにより、対向基板20の周辺領域E2には第2方位角方向θdの略垂直配向処理が施された第2配向膜(無機配向膜)が形成される。そして、ステップS6へ進む。
【0061】
ステップS6の第1配向膜形成工程では、素子基板10と同様にして、図7に示すように、対向基板20の表示領域E1に対して第1方位角方向θaの略垂直配向処理を施す。具体的には、対向基板20の周辺領域E2を例えばマスクなどで遮蔽した状態で、表示領域E1に第1方位角方向θaから酸化シリコンを斜め蒸着する。より具体的には、対向基板20における略垂直配向処理面を下にしたときに、図面上で左下から右上に向かう45°の方向から斜め蒸着する。これにより、対向基板20の表示領域E1には第1方位角方向θaの略垂直配向処理が施された第1配向膜(無機配向膜)つまり配向膜24(図3(a)参照)が形成される。そして、ステップS7へ進む。
【0062】
ステップS7の液晶注入・封止工程では、略垂直配向処理がそれぞれ施された素子基板10と対向基板20のうちいずれか一方にシール材40を例えば印刷法や吐出法を用いて所定の位置に配置する。素子基板10と対向基板20とを所定の間隔をおいて対向配置してシール材40を硬化させる。そして、素子基板10と対向基板20との隙間に負の誘電異方性を有する液晶を注入する。液晶の注入方法としては、例えば素子基板10と対向基板20との隙間を減圧してシール材40に設けられた注入口から液晶を該隙間に注入する真空注入法が挙げられる。シール材40に設けられた注入口は液晶注入後に例えば紫外線硬化型の接着剤を用いて封止される。なお、液晶の注入・封止方法としてはこれに限定されず、シール材40を額縁状に配置してこれを土手とし、シール材40で囲まれた内側に減圧下で液晶を滴下した後に素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる、所謂ODF(One Drop Fill)法を用いてもよい。
【0063】
上記実施形態の液晶装置100およびその製造方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)複数の画素P1が設けられた表示領域E1の略垂直配向処理が施された第1配向膜は、Y方向に対する方位角θaが45°となるように酸化シリコンを斜め蒸着することによって形成される。これに対して、複数のダミー画素P2が設けられた周辺領域E2の略垂直配向処理が施された第2配向膜は、第1方位角方向θaに対して直交する第2方位角方向θdから同じく酸化シリコンを斜め蒸着することにより形成される。したがって、液晶中のイオン性不純物は、第1方位角方向θaに沿って移動し、表示領域E1の第1方位角方向θaの角部に向かって運ばれるも、周辺領域E2では第1方位角方向θaと交差する第2方位角方向θdに移動する。ゆえに、表示領域E1の第1方位角方向θaの角部にイオン性不純物が偏在することが抑制され、イオン性不純物の偏在に起因する表示ムラが低減される。
【0064】
(2)また、偏光素子41,42の透過軸または吸収軸に対して略垂直配向処理における第1方位角方向θaが45°となるように設定され、第1方位角方向θaと第2方位角方向θdとが直交しているので、表示領域E1と周辺領域E2とにおいて光学特性上での差が生じない。つまり、表示領域E1における第1方位角方向θaと周辺領域E2における第2方位角方向θdとを異ならせても周辺領域E2から光漏れが発生しない。
【0065】
(3)表示領域E1に第1方位角方向θaの略垂直配向処理が施された第1配向膜を形成する第1配向膜形成工程は、周辺領域E2に第2方位角方向θdの略垂直配向処理が施された第2配向膜を形成する第2配向膜形成工程の後に行われる。したがって、表示領域E1における第1方位角方向θaの略垂直配向処理に対して第2方位角方向θdの略垂直配向処理の影響が及ばないので、表示領域E1において安定した液晶分子LCの配向状態が得られる。
【0066】
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について図8を参照して説明する。図8は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。
【0067】
図8に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
【0068】
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
【0069】
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
【0070】
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
【0071】
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0072】
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
【0073】
このような投射型表示装置1000によれば、液晶中のイオン性不純物の偏在が抑制された液晶装置100を備え、高い表示品位が実現されている。
【0074】
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
【0075】
(変形例1)液晶装置100における周辺領域E2の略垂直配向処理の方法は、これに限定されない。図9は変形例の略垂直配向処理の方法を示す概略平面図である。例えば、図9に示すように、第1方位角方向θaにおける角部に沿った周辺領域E3,E4では、第1方位角方向θaに直交する第2方位角方向θdの略垂直配向処理が施された第2配向膜を設ける。他の角部に沿った周辺領域E5,E6では、第1方位角方向θaに略垂直配向処理が施された第1配向膜を設ける。これによれば、表示領域E1のすべての角部にイオン性不純物が移動してきたとしてもそれぞれの角部に対応する周辺領域E3,E4,E5,E6において該角部に偏在しないようにイオン性不純物を移動させることができる。つまり、周辺領域E2における略垂直配向処理は一様な方位角方向に施さなくてもよく、表示領域E1における1軸の略垂直配向処理の方位角方向を鑑みてイオン性不純物が偏在し難くなるように設定すればよい。
【0076】
(変形例2)液晶装置100における対向基板20の遮光膜21は、表示領域E1と周辺領域E2とを含む画素領域Eを取り囲むように配置されていたが、これに限定されない。例えば、平面的に周辺領域E2と重なり表示領域E1を取り囲むように設けてもよい。そうすると、周辺領域E2が遮光されるので、周辺領域E2において光漏れが生じても問題とならない。つまり、周辺領域E2における略垂直配向処理の第2方位角方向θdは、第1方位角方向θaと直交する必要はない。それゆえに、第2方位角方向θdはY方向に対する交差角度が45°である必要はなく、角部へのイオン性不純物の偏在を抑制する観点では、表示領域E1の辺部に対して平行とならない角度で第1方位角方向θaと交差するように設定すればよい。言い換えれば、第2方位角方向θdの設定における自由度が向上する。これにより、例えば斜め蒸着装置において、略垂直配向処理が施される基板の配置などの設計自由度が向上し、よりコンパクトな蒸着装置設計が可能となる。
【0077】
(変形例3)液晶装置100における表示領域E1は四角形に限定されない。例えば、角部を有する三角形や五角形などの多角形であっても、本発明を適用できる。
【0078】
(変形例4)液晶装置100における配向膜18,24は無機配向膜に限定されない。例えば、光反応性の有機膜に紫外線などの光を配向方向に基づいて照射して略垂直配向処理が施された有機配向膜を用いても、本発明を適用することができる。
【0079】
(変形例5)液晶装置100は透過型に限定されない。画素電極15が光反射性を有する反射型の液晶装置100であっても、本発明を適用することができる。
【0080】
(変形例6)上記液晶装置100が適用される電子機器は、投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0081】
10…素子基板、18,24…配向膜、20…対向基板、50…液晶層、100…液晶装置、1000…電子機器としての投射型表示装置、E1…表示領域、E2…周辺領域、P,P1…画素、P2…ダミー画素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に挟持された負の誘電異方性の液晶層と、複数の画素を含む表示領域とを有する液晶装置であって、
前記表示領域における前記一対の基板の前記液晶層に面する側のそれぞれに設けられ、第1方位角方向に略垂直配向処理が施されてなる第1配向膜と、
前記表示領域を囲む周辺領域の少なくとも一部における前記一対の基板の前記液晶層に面する側のそれぞれに設けられ、前記第1方位角方向と交差する第2方位角方向に略垂直配向処理が施されてなる第2配向膜と、
を備えることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記第1配向膜は、前記第1方位角方向にカラムが傾斜した無機配向膜であり、
前記第2配向膜は、前記第2方位角方向にカラムが傾斜した無機配向膜であることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記表示領域は平面視で四角形であり、
前記第1方位角方向は、前記表示領域の辺部に対して斜めに交差する方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記第1方位角方向は、前記表示領域の辺部に対して略45度の角度で交差し、
前記第2方位角方向は、前記表示領域の辺部に対して平行とならない角度で前記第1方位角方向と交差していることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記第2配向膜は、前記表示領域の前記第1方位角方向の角部に沿った前記周辺領域の部分に設けられており、
前記表示領域の他の角部に沿った前記周辺領域の部分には、前記第1配向膜が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記周辺領域には、駆動可能なダミー画素が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項7】
一対の基板間に挟持された負の誘電異方性の液晶層と、複数の画素を含む表示領域とを有する液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板のそれぞれにおいて、
前記表示領域に略垂直配向処理を第1方位角方向に施した第1配向膜を形成する第1配向膜形成工程と、
前記表示領域を囲む周辺領域の少なくとも一部に前記略垂直配向処理を前記第1方位角方向と交差する第2方位角方向に施した第2配向膜を形成する第2配向膜形成工程と、を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1配向膜形成工程は、前記第1方位角方向にカラムが傾斜した無機の前記第1配向膜を形成し、
前記第2配向膜形成工程は、前記第2方位角方向にカラムが傾斜した無機の前記第2配向膜を形成することを特徴とする請求項7に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1配向膜形成工程は、前記第2配向膜形成工程の後に行われることを特徴とする請求項7または8に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−123144(P2012−123144A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273262(P2010−273262)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】