説明

液晶装置および電子機器

【課題】位相差補償素子によって視角補償を行う場合でも、液晶パネル外に1つの位相差補償素子を、大きなスペースを占めずに設ければよい液晶装置および当該液晶装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置3の液晶パネル11において、対向基板31と素子基板32との間に設けられた液晶層33は、負の誘電率異方性をもち、液晶分子33Bは、基板面に対する法線方向から斜めに傾いている。液晶パネル11外には、光学軸が厚さ方向に沿った負の一軸性の屈折率異方性を有する第1位相差補償素子12が設けられ、液晶パネル11内には、対向基板31および素子基板32のうちの少なくとも一方の基板に、液晶層33の遅相軸と直交する遅相軸を備えた構造複屈折層からなる第2位相差補償素子50が一体に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、正面から観察したときのコントラストに優れているとともに、簡単な視角補償で広い視角が得られるとして、VA(Vertical Alignment)モードの液晶パネルを用いた液晶装置が注目されている。特に、投射型表示装置では、視角が広いということは投射光学系に入射する角度範囲においてコントラストが高くなるということであるから、投射映像のコントラストを高くする効果がある。
【0003】
また、VAモードの液晶装置において視角補償を行うにあたって、液晶テレビ等では、光学軸が厚さ方向に沿った負の一軸性の屈折率異方性を有する位相差補償素子(いわゆるCプレート)により視角補償されている。具体的には、図9に示すように、VAモードの液晶装置では、液晶分子33Bの面内の屈折率が膜厚方向の屈折率よりも小さいのに対して(nx=ny<nz)、Cプレートは、その逆に面内の屈折率が膜厚方向の屈折率よりも大きい(nx′=ny′>nz′)。従って、複屈折量と厚みとの積(リターデーション)が双方で等しければ、斜めから観察したときに互いの複屈折が相殺されるので、広い角度範囲で高いコントラストが得られることになる。
【0004】
一方、投射型表示装置において、ライトバルブに使用されるVAモードの液晶装置は、非常に高精細であるために、液晶テレビで採用されているような配向制御手段(突起や電極開口)を微小な画素内に設けることができない。このため、図10(a)に示すように、液晶分子33Bが基板の法線方向から数度傾くように配向制御しており、かかるVAモードの液晶装置において視角補償を行わない場合、図10(b)に視角特性を示すように、最大コントラストが図の中央(液晶パネルに対する法線方向)から外れてしまう。また、液晶分子33Bにプレチルトを付したVAモードの液晶装置では、図10(c)に示すように、液晶パネルに平行にCプレートを配置しても、視角特性は図10(d)に示す通りであり、最大コントラストが図の中央(液晶パネルに対する法線方向)から外れてしまう。
【0005】
そこで、図11(a)に示すように、Cプレートと、二軸性の屈折率異方性を有する位相差補償素子(いわゆるOプレート)とを用いた視角補償が提案されている(特許文献1参照)。Oプレートは、nx″>ny″>nz″の関係にある二軸性を有しており、その軸が膜面から傾斜してVAモードの液晶パネルの位相差を視角も含めて補償するようになっている。かかる構成によれば、視角特性を図11(b)に示すように、液晶パネルに対する法線方向でのコントラストを高めることができる。
【0006】
また、図11(c)に示すように、Cプレートを液晶パネルに対して傾いた姿勢で配置して視角補償を行うことが提案されている(特許文献2参照)。かかる構成によれば、視角特性を図11(d)に示すように、斜めに配置したCプレートで正面位相差を補償することができるため、高コントラストかつ広視角な特性が得られる。なお、図10(b)、(d)および図11(b)、(d)に示す視角特性において、各領域に付した数値は、コントラストを対数で示した値である。
【0007】
さらに、液晶パネルを構成する一対の基板のいずれか一方に構造複屈折層を一体に設け、かかる構造複屈折層によって、液晶層の位相差を補償することが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−164754号公報
【特許文献2】特開2009−37025号公報
【特許文献3】特許第4289597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図11(a)に示す構成では、高価な位相差補償素子(CプレートおよびOプレート)を2つ用いる必要があるため、コストが嵩むという問題点がある。また、図11(c)に示す構成では、Cプレートを適正に傾けることができるほどのスペースがない場合、採用できないという問題点がある。また、特許文献3に記載の構成のように、液晶パネルを構成する一対の基板に一体に設けた構造複屈折層を位相差補償素子として利用する構成では、構造複屈折層を形成する際のプロセス面の制約等から所望の位相差補償素子を形成することが困難であるため、構造複屈折層からなる位相差補償素子だけで十分な位相差補償を行うことは困難であるという問題点がある。
【0010】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、位相差補償素子によって視角補償を行う場合でも、液晶パネル外に1つの位相差補償素子を、大きなスペースを占めずに設ければよい液晶装置および当該液晶装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、第1基板、該第1基板に対向配置された第2基板、および負の誘電率異方性をもって前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、液晶分子が前記第1基板の基板面および前記第2基板の基板面に対する法線方向から斜めに傾いた液晶層を備えた液晶パネルと、前記液晶パネルに対向配置され、光学軸が厚さ方向に沿った負の一軸性の屈折率異方性を有する第1位相差補償素子と、前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一方の基板に一体に設けられ、前記液晶パネルの平面視において前記液晶層の遅相軸と直交する遅相軸を備えた構造複屈折層からなる第2位相差補償素子と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明では、液晶パネル外には液晶パネルに対向するように第1位相差補償素子が配置されているとともに、第1基板および第2基板のうちの少なくとも一方の基板には、構造複屈折層からなる第2位相差補償素子が一体に設けられ、かかる第2位相差補償素子は、液晶層の遅相軸と直交する遅相軸を備えている。このため、液晶層の正面位相差を第2位相差補償素子で補償することができる。従って、第2位相差補償素子の正面位相差と液晶層の正面位相差とが等しければ、第1位相差補償素子については液晶パネルに平行に配置すればよい。また、第2位相差補償素子の正面位相差と液晶層の正面位相差とが相違している場合には、第1位相差補償素子を液晶パネルに対して傾けて配置することになるが、このような場合でも、第1位相差補償素子の液晶パネルに対する傾きは小さくてよい。それ故、液晶パネル外に1つの位相差補償素子(第1位相差補償素子)を設けて適正な位相差補償を行った場合でも、第1位相差補償素子が大きなスペースを占めることがない。
【0013】
本発明において、前記第2位相差補償素子の正面位相差と前記液晶層の正面位相差とが等しく、前記第1位相差補償素子は、前記液晶パネルに平行に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、第1位相差補償素子が占めるスペースを最小限に抑えることができる。
【0014】
本発明において、前記第2位相差補償素子の正面位相差と前記液晶層の正面位相差とが相違し、前記第1位相差補償素子は、前記液晶パネルに対して斜めに配置されている構成を採用することができる。
【0015】
この場合、前記第2位相差補償素子の正面位相差は、前記液晶層の正面位相差より小さく、前記第1位相差補償素子は、前記光学軸と前記液晶分子の長軸とが平行となる方向あるいは直交する方向に傾いていることが好ましい。第2位相差補償素子の正面位相差と液晶層の正面位相差との大小関係によっては、第1位相差補償素子を傾ける際の中心軸の方位が90°異なることになるが、第2位相差補償素子の正面位相差を液晶層の正面位相差より小さくしておけば、第1位相差補償素子を傾ける際の中心軸の方位が一義的に定まる。このため、液晶装置の組み立て時の作業効率を向上することができる等の利点がある。
【0016】
本発明において、前記液晶パネルは反射型液晶パネルであり、前記第1位相差補償素子は、前記光学軸と前記液晶分子の長軸とが平行となる方向あるいは直交する方向に傾いている構成を採用することができる。反射型液晶パネルの場合、元々視角が広いので、第1位相差補償素子が、光学軸が液晶分子の長軸と平行となる方向あるいは直交する方向のいずれに傾いている場合でも、十分な視角を得ることができる。
【0017】
本発明において、前記液晶パネルは透過型液晶パネルであり、前記第1位相差補償素子は、前記光学軸と前記液晶分子の長軸とが平行となる方向に傾いている構成を採用することができる。かかる構成によれば、広い視角を得ることができる。
【0018】
本発明に係る液晶装置は、直視型の表示装置や投射型表示装置等の電子機器に用いることができ、電子機器が投射型表示装置の場合、投射型表示装置は、前記液晶装置に供給する光を出射する光源と、前記液晶装置によって変調された光を投射する投射光学系と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を適用した反射型の液晶装置を用いた電子機器としての投射型表示装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る液晶装置の説明図である。
【図3】本発明を適用した液晶装置に構成された構造複屈折層からなる第2位相差補償素子の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る液晶装置等の視角特性を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る液晶装置の説明図である。
【図6】本発明を適用した透過型の液晶装置を用いた電子機器としての投射型表示装置の概略構成図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る液晶装置の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る液晶装置の説明図である。
【図9】VAモードの液晶装置の説明図である。
【図10】液晶分子にプレチルトを付したVAモードの液晶装置の説明図である。
【図11】液晶分子にプレチルトを付したVAモードの液晶装置に対する視角補償の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に参照する図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0021】
[実施の形態1:反射型の液晶装置への適用例1]
(投射型表示装置の構成)
図1は、本発明を適用した反射型の液晶装置を用いた電子機器としての投射型表示装置の概略構成図である。
【0022】
図1に示す投射型表示装置1は、3枚の反射型液晶ライトバルブ(反射型の液晶パネル)を備えたプロジェクターであり、赤色光(R光)、緑色光(G光)、青色光(B光)からなる3色の色光を出射する照明装置2と、各色光による画像を形成する3組の液晶装置3R、3G、3Bと、3色の色光を合成する色合成素子4(色合成光学系)と、合成された光をスクリーン等の被投射面(図示せず)に投射する投射光学系5とを備えている。照明装置2は、光源6と、インテグレーター光学系7と、色分離光学系8とを備えている。液晶装置3R、3G、3Bは、偏光子9と、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10と、反射型の液晶パネル11R、11G、11B(ライトバルブ)と、第1位相差補償素子12と、検光子13とを備えている。
【0023】
かかる投射型表示装置1において、光源6から出射された白色光は、インテグレーター光学系7に入射する。インテグレーター光学系7に入射した白色光は、照度が均一化されるとともに偏光状態が所定の直線偏光に揃えられて出射される。インテグレーター光学系7から出射された白色光は、色分離光学系8によりR、G、Bの各色光に分離され、色光毎に異なる組の液晶装置3R、3G、3Bに入射する。各液晶装置3R、3G、3Bに入射した色光は、表示すべき画像の画像信号に基づいて変調された変調光となる。3組の液晶装置3R、3G、3Bから出射された3色の変調光は、色合成素子4(色合成光学系)により合成されて多色光となり、投射光学系5に入射する。投射光学系5に入射した多色光は、スクリーン等の被投射面に投射される。このようにして、被投射面にフルカラーの画像が表示される。
【0024】
このように構成した投射型表示装置1において、光源6は、光源ランプ15と放物面リフレクター16とを有している。光源ランプ15から放射された光は、放物面リフレクター16によって一方向に反射されて略平行な光束となり、光源光としてインテグレーター光学系7に入射する。光源ランプ15は、例えばメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ等により構成される。放物面リフレクター16に代えて、楕円リフレクター、球面リフレクター等によりリフレクターを構成してもよい。リフレクターの形状に応じて、リフレクターから出射された光を平行化する平行化レンズを用いてもよい。
【0025】
インテグレーター光学系7は、第1レンズアレイ17と、第2レンズアレイ18と、偏光変換素子19と、重畳レンズ20とを有している。第1レンズアレイ17は、光源6の光軸L1に略直交する面に配列された複数のマイクロレンズ21を有している。第2レンズアレイ18は、第1レンズアレイ17と同様、複数のマイクロレンズ22を有している。各マイクロレンズ21、22はマトリクス状に配列されており、光軸L1に直交する平面における平面形状が、液晶パネル11R、11G、11Bの被照明領域と相似形状(略矩形)になっている。被照明領域とは、液晶パネル11R、11G、11Bにおいて複数の画素がマトリクス状に配列されて表示に実質的に寄与する領域のことである。
【0026】
偏光変換素子19は、複数の偏光変換ユニット23を有している。各偏光変換ユニット23は、その詳細な構造を省略するが、偏光分離膜、1/2位相板、および反射ミラーを有している。第1レンズアレイ17の各マイクロレンズ21は、第2レンズアレイ18の各マイクロレンズ22と1対1で対応している。第2レンズアレイ18の各マイクロレンズ22は、偏光変換素子19の各偏光変換ユニット23と1対1で対応している。
【0027】
インテグレーター光学系7に入射した光源光は、第1レンズアレイ17の複数のマイクロレンズ21に空間的に分かれて入射し、マイクロレンズ21に入射した光束毎に集光される。各マイクロレンズ21により集光された光源光は、マイクロレンズ21と対応する第2レンズアレイ18のマイクロレンズ22に結像する。すなわち、第2レンズアレイ18の複数のマイクロレンズ22の各々に二次光源像が形成される。マイクロレンズ22に形成された二次光源像からの光は、このマイクロレンズ22に対応する偏光変換ユニット23に入射する。
【0028】
偏光変換ユニット23に入射した光は、偏光分離膜に対するP偏光とS偏光とに分離される。分離された一方の偏光(例えばS偏光)は、反射ミラーで反射した後に1/2位相板を通ることで偏光状態が変換され、他方の偏光(例えばP偏光)に揃えられる。ここでは、偏光変換ユニット23を通った光の偏光状態が、後述する偏光子9を透過する偏光状態に揃えられるようになっている。複数の偏光変換ユニット23から出射された光は、重畳レンズ20によって液晶パネル11R、11G、11Bの被照明領域上に重畳される。第1レンズアレイ17により空間的に分割された各光束が被照明領域の略全域を照明することにより照度分布が平均化され、被照明領域上の照度が均一化される。
【0029】
色分離光学系8は、波長選択面を有する第1ダイクロイックミラー25、第2ダイクロイックミラー26、第3ダイクロイックミラー27、および第1反射ミラー28、第2反射ミラー29を有している。第1ダイクロイックミラー25は、赤色光LRを反射させるとともに、緑色光LGおよび青色光LBを透過させる分光特性を有している。第2ダイクロイックミラー26は、赤色光LRを透過させるとともに、緑色光LGおよび青色光LBを反射させる分光特性を有している。第3ダイクロイックミラー27は、緑色光LGを反射させるとともに、青色光LBを透過させる分光特性を有している。第1ダイクロイックミラー25と第2ダイクロイックミラー26とは、各々の波長選択面が互いに略直交するように、かつ各々の波長選択面がインテグレーター光学系7の光軸L2と略45°の角度をなすように配置されている。
【0030】
色分離光学系8に入射した光源光に含まれる赤色光LR、緑色光LG、青色光LBは、以下のようにして分離され、分離された色光毎に対応する液晶装置3R、3G、3Bに入射する。すなわち、赤色光LRは、第2ダイクロイックミラー26を透過するとともに第1ダイクロイックミラー25で反射した後、第1反射ミラー28で反射し、赤色光用の液晶装置3Rに入射する。緑色光LGは、第1ダイクロイックミラー25を透過するとともに第2ダイクロイックミラー26で反射した後、第2反射ミラー29で反射し、第3ダイクロイックミラー27で反射して、緑色光用の液晶装置3Gに入射する。青色光LBは、第1ダイクロイックミラー25を透過するとともに第2ダイクロイックミラー26で反射した後、第2反射ミラー29で反射し、第3ダイクロイックミラー27を透過して、青色光用の液晶装置3Bに入射する。各液晶装置3R、3G、3Bで変調された各色光は色合成素子4に入射する。
【0031】
色合成素子4は、ダイクロイックプリズムにより構成されている。ダイクロイックプリズムは、4つの三角柱プリズムが互いに貼り合わされた構造になっている。三角柱プリズムにおいて貼り合わされる面は、ダイクロイックプリズムの内面になる。ダイクロイックプリズムの内面に、赤色光LRが反射して緑色光LGが透過するミラー面と、青色光LBが反射して緑色光LGが透過するミラー面とが互いに直交して形成されている。ダイクロイックプリズムに入射した緑色光LGは、ミラー面をそのまま直進して出射される。ダイクロイックプリズムに入射した赤色光LR、青色光LBは、ミラー面で選択的に反射あるいは透過して、緑色光LGの出射方向と同じ方向に出射される。このようにして3つの色光(画像)が重ね合わされて合成され、合成された色光が投射光学系5によってスクリーン等に拡大投写される。投射光学系5は、第1レンズ群44および第2レンズ群45を有している。
【0032】
(液晶装置3の構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置3の説明図であり、図2(a)、(b)は、液晶装置3を構成する各部材の位置関係を示す説明図、および液晶分子のチルト方向に沿って液晶装置3を切断した様子を模式的に示す説明図である。従って、図2(b)は、図2(a)の一点鎖線で示す位置で液晶装置3を切断した断面図に相当する。なお、図2(a)では、偏光子9、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10、および検光子13等の図示を省略してあり、図2(b)では、ゲート線321やソース線322等の図示を省略してある。
【0033】
図1および図2において、液晶装置3R、3G、3Bはいずれもユニット化されており、同様の構成になっている。また、ユニット化された3つの液晶装置3R、3G、3Bは、例えば、色合成素子4の3つの光入射面に接合されている。ここで、液晶装置3R、3G、3Bの構成は略同一であるため、以下、液晶装置3Gおよび液晶パネル11Gの構成について説明し、他の液晶装置3R、3Bおよび液晶パネル11R、11Bの構成についての説明は省略する。その際、液晶装置3R、3G、3Bおよび液晶パネル11R、11G、11Bについては、対応する色を示すR、G、Bを付さずに、液晶装置3および液晶パネル11として説明する。
【0034】
図2に示すように、液晶装置3は、偏光子9(入射側偏光板)と、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10と、液晶パネル11と、第1位相差補償素子12と、検光子13(出射側偏光板)とを備えている。かかる液晶装置3において、光源光から分離された光Liは偏光子9に入射する。偏光子9は所定の方向に振動する直線偏光を透過するものであり、例えば、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10の偏光分離面10cに対するP偏光を透過するように透過軸が設定されている。以下、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10の偏光分離面10cに対するP偏光を単にP偏光と称し、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10の偏光分離面10cに対するS偏光を単にS偏光と称する。上述したように、インテグレーター光学系7を通った光源光は、偏光状態がP偏光に揃えられているため、光Liの略全てが偏光子9を透過してワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10に入射する。
【0035】
ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10は、例えば、ガラス基板10aとその上に形成された複数の金属線等からなるワイヤーグリッド10bとにより構成されている。複数のワイヤーグリッド10bは、全てが一方向に延在しており、互いに略平行に離間してガラス基板10a上に形成されている。複数のワイヤーグリッド10bが形成されたガラス基板10aの主面が偏光分離面10cとなり、複数のワイヤーグリッド10bの延在方向が反射軸方向であり、複数のワイヤーグリッド10bの配列方向が透過軸方向である。
【0036】
偏光分離面10cは、偏光分離面10cに入射する光Liの中心軸に対して略45°の角度をなしている。偏光分離面10cに入射した光Liのうち、偏光方向が反射軸方向と一致するS偏光は偏光分離面10cで反射し、偏光方向が透過軸方向と一致するP偏光は偏光分離面を透過する。インテグレーター光学系7の偏光変換素子19および偏光子9の作用によって光Liは、概ねP偏光になっているため、光Liの略全てがワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10の偏光分離面10cを透過して液晶パネル11に入射する。なお、偏光子9および検光子13も、耐熱性等を考慮してワイヤーグリッド型偏光板で構成されていることが望ましい。
【0037】
(液晶パネル11の構成)
図2において、液晶パネル11は反射型の液晶パネルであり、液晶モードは、垂直配向(Vertical Alien)モードである。液晶パネル11は、対向基板31(第1基板)と、対向基板31に対向配置された素子基板32(第2基板)と、これら2枚の基板間に挟持された液晶層33とを有している。液晶層33は誘電率異方性が負の液晶材料で構成されている。
【0038】
素子基板32を構成する基板本体320上には、複数のゲート線321と複数のソース線322とが直交するように配置され、ゲート線321とソース線322との交差に対応する複数の位置の各々に画素スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)323および画素電極36を備えた画素が設けられている。なお、図2(b)においては、ゲート線321、ソース線322、TFT323等、画素電極36よりも下層側の構成要素の図示は省略してある。画素電極36は、例えばアルミニウム、銀、これらの合金等の光反射率の高い金属から構成され、反射電極(反射層)として機能する。一方、対向基板31を構成する基板本体310上には、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下、ITOと略記する)等の透明導電材料からなる共通電極39が設けられている。
【0039】
素子基板32の画素電極36上には配向膜37が形成されている。同様に、対向基板31の共通電極39上には配向膜38が形成されている。これらの配向膜37、38は、シリコン酸化物(SiO2)を真空蒸着することにより形成されている。例えば真空蒸着時の真空度は5×10-3Pa、基板温度は100℃とする。配向膜37、38に異方性を付与するため、基板面から45度傾いた方向から蒸着を行う。このようにすると、蒸着方位と等しい方位において基板面から70度傾いた方向にシリコン酸化物のカラム(柱状構造体)が成長する。素子基板32上の配向膜37と対向基板31上の配向膜38とは、各々の配向方向が反平行となるように配置されている。以上の配向膜37、38により、液晶層33の液晶分子33Bは、素子基板32の基板面および対向基板31の基板面に対する法線方向から斜めに傾いて所定のプレチルト角をなすように配向する。
【0040】
本形態の液晶装置3において、対向基板31および素子基板32は、例えば2.0μmのギャップに保持されて貼り合わされ、その間に誘電率異方性が負の液晶(△n=0.12)が注入されて液晶セルが形成されている。液晶分子33Bは、配向膜37、38間において、これら配向膜37、38のカラムの傾き方向(チルト方向)と同じ方向で基板面と85°の角度(プレチルト角θp)を成すように配向している。このようにプレチルト角θpが付与されることにより、液晶分子33Bは光学的な異方性を有し、液晶分子33Bからなる液晶層33は遅相軸を有するものとなる。本形態において、液晶層33の正面位相差は3.2nmである。
【0041】
液晶層33の遅相軸は、液晶分子33Bを対向基板31および素子基板32の法線方向から見て、対向基板31上あるいは素子基板32上に投影された楕円形状の液晶分子33Bの長軸の長さ方向に一致する。また、液晶分子33Bは、付与されたプレチルト角により、長軸の一端側に対し他端側が傾いている。本形態では、素子基板32側から対向基板31側に向かうに連れて素子基板32の法線から傾いており、素子基板32からみて傾いている方向がチルト方向(配向軸の方向)である。
【0042】
(第1位相差補償素子12の構成)
ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10と液晶パネル11との間の光路上には第1位相差補償素子12が配置されている。すなわち、液晶パネル11の対向基板31の素子基板32とは反対側にワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10が配置され、対向基板31とワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10との間に第1位相差補償素子12が配置されている。かかる液晶装置3において、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10を透過した光Liは、第1位相差補償素子12、液晶パネル11の対向基板31を順次透過し、液晶層33に入射した後に素子基板32上で反射して折り返される。その際、光Liは、液晶層33を透過する間に変調されて変調光Loとなり、対向基板31および第1位相差補償素子12を再度透過する。また、第1位相差補償素子12を再度透過した変調光Loのうち、S偏光は偏光分離面10cで検光子13に向けて反射される。
【0043】
ここで、液晶装置3はノーマリブラックとなるように構成されており、検光子13と偏光子9とは、互いの透過軸を液晶パネル11に光学的に投影したときに直交するように配置されている。このため、第1位相差補償素子12を再度透過した変調光Loのうち、S偏光は偏光分離面10cで反射された後、検光子13を透過することになる。
【0044】
第1位相差補償素子12は、図9〜図11を参照して説明したように、光学軸が厚さ方向に沿った負の一軸性の屈折率異方性を有するCプレートである。第1位相差補償素子12は、スパッタ法等によって基板上に高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層された多層膜からなり、光学軸が厚さ方向に沿う一軸性の負の屈折率異方性を有する複屈折率体である。第1位相差補償素子12は、表面に対して垂直な光学軸を有し、液晶パネル11から出射された斜め方向の光の位相差を補償する。高屈折率層は相対的に高屈折率の誘電体であるTiOやZrO等からなり、低屈折率層は低屈折率の誘電体であるSiOやMgF等からなる。このような構成の第1位相差補償素子12は、これを透過する光が各層間で反射して干渉するのを防ぐため、各屈折率層の厚さは薄いことが好ましい。
【0045】
かかる第1位相差補償素子12は、図9〜図11に屈折率楕円体で示すように、各方向の屈折率の関係は、nx′=ny′>nz′であり、光学軸に平行に入射する光に対しては等方的であることから、位相差を補償することができない。一方、第1位相差補償素子12は、液晶パネル11から出射された光のうち、斜め成分の光、つまりVAモードの液晶の斜め成分については、その位相差を光学補償する。なお、第1位相差補償素子12は、nx=nyを完全に満たす必要はなく、僅かに位相差を有していても良く、具体的には正面位相差値が0nmから3nm程度であってもよい。
【0046】
この種の第1位相差補償素子12としては、厚み方向の位相差Rthが100nm以上300nm以下であるのが好ましく、本形態において、第1位相差補償素子12の厚み方向の位相差Rthは190nmである。
【0047】
ここで、厚み方向の位相差Rthは、以下の式
Rth={(nx′+ny′)/2−nz′}×d
によって定義される。ここで、nx′、ny′は、面方向の主屈折率を示し、nz′は、厚さ方向の主屈折率を示している。また、dは第1位相差補償素子12の厚さを示している。
【0048】
(第2位相差補償素子:構造複屈折層の構成)
図3は、本発明を適用した液晶装置3に構成された構造複屈折層からなる第2位相差補償素子の説明図であり、図3(a)、(b)は、第2位相差補償素子(構造複屈折層)の構成を示す説明図、および第2位相差補償素子の遅相軸の方位等の説明図である。
【0049】
図2(b)に示すように、本形態の液晶装置3において、対向基板31(第1基板)および素子基板32(第2基板)のうちの少なくとも一方の基板には、構造複屈折層からなる第2位相差補償素子50が一体に形成されている。本形態において、第2位相差補償素子50は、対向基板31の内面側(素子基板32と対向する面側)に面内方向に光学軸を有するAプレートとして構成されている。より具体的には、対向基板31の基板本体310と共通電極39との層間に第2位相差補償素子50が形成されている。
【0050】
かかる第2位相差補償素子50は、図3(a)に示すように、異なる屈折率n1、n2を有する媒質を一定の周期で交互に配置した構造を有している。このため、周期を有する方向と、周期をもたない方向で異なる有効屈折率nTE、nTMを有しており、TE偏光(TE波(Transverse Electric Wave):電界成分が入射面に対し横向き)とTM偏光(TM波(Transverse Magnetic Wave):磁界成分が入射面に対し横向き)との間で伝播速度に差が生じることによって位相差δが発現する。
【0051】
なお、有効屈折率nTE、nTM、および位相差δは、下式
TE={f・n1・exp2+(1−f)・n2・exp2}・exp(1/2)
TM={f・n1・exp(-2)+(1−f)・n2・exp(-2)}・exp(-1/2)
δ=(nTE−nTM)・H
上式において
P=周期
L=幅
f=充填度合(f=L/P)
H=高さ
で求められる。
【0052】
ここで、第2位相差補償素子50の遅相軸は、図3(a)に示す構造複屈折層において周期をもたない方向であり、図3(b)に示すように、第2位相差補償素子50の遅相軸は、液晶層33の遅相軸に対して直交する方向である。図3(b)に示す構成例では、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10(WG−PBS)においてワイヤーグリッド10bの延在方向を液晶パネル11に対して光学的に投影したときの方向を基準としたとき、検光子13の透過軸の方位φ1は0°であり、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10の透過軸の方位φ2、および偏光子9の透過軸の方位φ3は、反時計回りで90°であり、液晶層33の遅相軸の方位φ0は反時計回りで45°であり、第2位相差補償素子50の遅相軸の方位φ50は反時計回りで135°である。
【0053】
図3(a)に示す構造複屈折層(第2位相差補償素子50)は、例えば、対向基板31の製造工程において、屈折率n2を有する第1媒質層51を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して、第1媒質層51に対して、対向基板31の基板面に垂直な複数の溝53を周期的に形成し、しかる後に、溝53を埋めるように、屈折率n1を有する第2媒質層52を形成することにより実現することができる。より具体的には、TiOやZrO等の高屈折率材料からなる第1媒質層51を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して、第1媒質層51に複数の溝53を周期的に形成し、しかる後に、溝53を埋めるように、SiOやMgF等の低屈折率材料からなる第2媒質層52を形成することにより実現することができる。その際、微細なフォトリソグラフィ技術として、例えば、二光束干渉露光を用い、微細なエッチング技術として、例えば、異方性ドライエッチングを用いる。
【0054】
(液晶装置3の視角特性)
図4は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置等の視角特性を示すグラフであり、図4(a)、(b)は、本発明の実施の形態1に係る液晶装置の視角特性を示すグラフ、および本発明の実施の形態1に対する比較例に係る液晶装置の視角特性を示すグラフである。なお、図4に示す視角特性において、各領域に付した数値は、コントラストを対数で示した値である。
【0055】
本形態の液晶装置3において、液晶パネル11では、対向基板31および素子基板32は、例えば2.0μmのギャップに保持されて貼り合わされ、その間に誘電率異方性が負の液晶(△n=0.12)が注入されているため、液晶層33の正面位相差は3.2nmである。これに対して、第2位相差補償素子50(構造複屈折層)の正面位相差は、液晶層33の正面位相差と同様、3.2nmであり、液晶層33の正面位相差と第2位相差補償素子50の正面位相差とが等しい。従って、本形態では、液晶パネル11の正面位相差を第2位相差補償素子50の正面位相差で相殺できるので、第1位相差補償素子12は、液晶パネル11に対して平行に配置されている。
【0056】
かかる構成の液晶装置3における視角特性は、図4(a)に示す通りであり、最大コントラストが図の中央(液晶パネル11に対する法線方向)に位置している。また、液晶装置3を投射型表示装置1に用いた際のコントラストは15000であった。これに対して、図4(b)には、液晶パネル11に第2位相差補償素子50を設けずに、液晶パネル11に対して平行に第1位相差補償素子12を配置した場合の視角特性を示してあり、かかる比較例に係る液晶装置3を投射型表示装置1に用いた際のコントラストは3200であった。このように、本形態によれば、液晶装置3の視角特性およびコントラストが大幅に改善されていることがわかる。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の液晶装置3および投射型表示装置1において、液晶パネル11外には液晶パネル11に対向するように第1位相差補償素子12が配置されているとともに、対向基板31および素子基板32のうち、対向基板31には、構造複屈折層からなる第2位相差補償素子50が一体に設けられ、かかる第2位相差補償素子50は、液晶層33の遅相軸と直交する遅相軸を備えている。このため、液晶層33の正面位相差を第2位相差補償素子50で補償することができる。また、本形態において、第2位相差補償素子50の正面位相差と液晶層33の正面位相差とが等しいので、第1位相差補償素子12については液晶パネル11に平行に配置すればよい。それ故、液晶パネル外に1つの位相差補償素子(第1位相差補償素子)を設けて適正な視角補償を行った場合でも、第1位相差補償素子12が大きなスペースを占めることがない。また、第1位相差補償素子12を液晶パネル11に平行に配置するのであれば、手間のかかる傾き調整を必要としないので、液晶装置3および投射型表示装置1を組み立てる際の効率を向上することができる。
【0058】
[実施の形態2:反射型の液晶装置への適用例2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る液晶装置3の説明図であり、図5(a)、(b)は、液晶分子33Bのチルト方向に沿って液晶装置3を切断した様子を模式的に示す説明図、および液晶装置3の視角特性を示すグラフである。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0059】
実施の形態1では、液晶層33の正面位相差および第2位相差補償素子50の正面位相差はいずれも、3.2nmであり、液晶層33の正面位相差と第2位相差補償素子50の正面位相差とが等しかったが、本形態では、液晶層33の正面位相差と第2位相差補償素子50の正面位相差とが相違している。このため、本形態では、図5(a)に実線で示すように、第1位相差補償素子12は、液晶パネル11に対して斜めに傾いて配置されている。
【0060】
より具体的には、本形態の液晶装置3では、液晶層33の正面位相差が3.2nmであるのに対して、第2位相差補償素子50の正面位相差は、液晶層33の正面位相差より小さく、2.4nmである。このため、第1位相差補償素子12は、光学軸が液晶分子33Bと平行となる方向に向かって傾いている。本形態において、第1位相差補償素子12は、点線で示す平行な姿勢からみて、液晶分子33Bのチルト方向に対して直交する軸線回りに1.5°斜めに傾いている。
【0061】
このような構成の液晶装置3の視角特性は、図5(b)に示す通りであり、最大コントラストが図の中央(液晶パネル11に対する法線方向)に位置している。また、本形態の液晶装置3を投射型表示装置1に用いた際のコントラストは15000であった。
【0062】
なお、本形態において、第1位相差補償素子12は、点線で示す平行な姿勢からみて、液晶分子33Bのチルト方向に対して直交する軸線回りに、光学軸が液晶分子33Bと平行となる方向に向けて1.5°斜めに傾いていたが、図5(a)に一点鎖線で示すように、光学軸が液晶分子33Bと直交する方向に向けて1.5°斜めに傾いている構成を採用してもよい。かかる構成を採用した場合でも、反射型の液晶装置3であれば元々視角が広いので、視角の低下等が問題とならない。
【0063】
このように本形態の液晶装置3および投射型表示装置1においても、実施の形態1と同様、液晶パネル11外には液晶パネル11に対向するように第1位相差補償素子12が配置されているとともに、対向基板31および素子基板32のうち、対向基板31には、構造複屈折層からなる第2位相差補償素子50が一体に設けられ、かかる第2位相差補償素子50は、液晶層33の遅相軸と直交する遅相軸を備えている。このため、液晶層33の正面位相差を第2位相差補償素子50で補償することができる。
【0064】
また、本形態において、第2位相差補償素子50の正面位相差と液晶層33の正面位相差とが相違するため、第1位相差補償素子12については液晶パネル11を斜めに傾けているが、このような場合でも、第1位相差補償素子12の液晶パネル11に対する傾きは小さくてよい。すなわち、第2位相差補償素子50を設けない場合、Cプレートを液晶パネル11に対して5°傾ける必要があるが、本形態によれば、第1位相差補償素子12を液晶パネル11に対して1.5°傾ければよい。それ故、第1位相差補償素子12が占めるスペースが狭くてよい。
【0065】
また、第2位相差補償素子50の正面位相差と液晶層33の正面位相差とを同一にしようとすると、第2位相差補償素子50の正面位相差が液晶層33の正面位相差より大きい場合と小さい場合とが発生するおそれがあり、この場合、第1位相差補償素子12を傾ける方向が90°異なることになる。しかるに本形態では、第2位相差補償素子50の正面位相差の狙い値を液晶層33の正面位相差より小さく設定してあるので、第1位相差補償素子12を傾ける方向が一義的に定まる。それ故、液晶装置3の組み立て時の作業効率を向上することができる等の利点がある。
【0066】
[実施の形態3:透過型の液晶装置への適用例1]
図6は、本発明を適用した透過型の液晶装置3を用いた電子機器としての投射型表示装置の概略構成図である。なお、図6に示す投射型表示装置100に用いた部材のうち、図1に示す投射型表示装置1に用いた部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付して説明する。
【0067】
図6に示す投射型表示装置100も、実施の形態1と同様、観察者側に設けられたスクリーン等に光を照射し、このスクリーンで反射した光を観察する、いわゆる投影型の投射型表示装置である。投射型表示装置100は、光源6を備えた光源部130と、ダイクロイックミラー113、114と、透過型の液晶装置3(液晶装置3R、3G、3B)と、投射光学系5と、色合成素子4(色合成光学系)と、リレー系120とを備えている。
【0068】
光源6は、赤色光R、緑色光G、および青色光Bを含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー113は、光源6からの赤色光Rを透過させるとともに、緑色光G、および青色光Bを反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー114は、ダイクロイックミラー113で反射された緑色光Gおよび青色光Bのうち青色光Bを透過させるとともに緑色光Gを反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー113、114は、光源6から出射した光を赤色光Rと緑色光Gと青色光Bとに分離する色分離光学系を構成する。
【0069】
ここで、ダイクロイックミラー113と光源6との間には、インテグレーター121および偏光変換素子122が光源6から順に配置されている。インテグレーター121は、光源6から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子122は、光源6からの光を、例えばS偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
【0070】
液晶装置3Rは、ダイクロイックミラー113を透過して反射ミラー123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。液晶装置3Rは、λ/2位相差板151、偏光子9、第1位相差補償素子12、赤色用の液晶パネル11R、および検光子13を備えている。ここで、液晶装置3Rに入射する赤色光Rは、ダイクロイックミラー113を透過しても光の偏光は変化しないことから、S偏光のままであり、λ/2位相差板151は、液晶装置3Rに入射したS偏光をP偏光に変換する光学素子である。また、偏光子9は、S偏光を遮断してP偏光を透過させる偏光板である。そして、赤色用液晶パネル11Rは、P偏光を画像信号に応じた変調によってS偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、検光子13は、P偏光を遮断してS偏光を透過させる偏光板である。従って、液晶装置3Rは、画像信号に応じて赤色光Rを変調し、変調した赤色光Rを色合成素子4に向けて出射する構成となっている。
【0071】
液晶装置3Gは、ダイクロイックミラー113で反射した後にダイクロイックミラー114で反射した緑色光Gを画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。かかる液晶装置3Gは、偏光子9、第1位相差補償素子12、緑色用の液晶パネル11G、および検光子13を備えている。ここで、液晶装置3Gに入射する緑色光Gは、ダイクロイックミラー114で反射しても光の偏光は変化しないことから、S偏光のままである。また、偏光子9は、P偏光を遮断してS偏光を透過させる偏光板である。そして、緑色用液晶パネル11Gは、S偏光を画像信号に応じた変調によってP偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、検光子13は、S偏光を遮断してP偏光を透過させる偏光板である。従って、液晶装置3Gは、画像信号に応じて緑色光Gを変調し、変調した緑色光Gを色合成素子4に向けて出射する構成となっている。
【0072】
液晶装置3Bは、ダイクロイックミラー113で反射し、ダイクロイックミラー114を透過した後でリレー系120を経た青色光Bを画像信号に応じて変調する透過型の液晶装置である。かかる液晶装置3Bは、λ/2位相差板151、偏光子9、第1位相差補償素子12、青色用の液晶パネル11Bおよび検光子13を備えている。ここで、液晶装置3Bに入射する青色光Bは、ダイクロイックミラー113で反射してダイクロイックミラー114を透過した後にリレー系120の後述する2つの反射ミラー125a、125bで反射することから、S偏光のままであり、λ/2位相差板151は、液晶装置3Bに入射したS偏光をP偏光に変換する光学素子である。また、偏光子9は、S偏光を遮断してP偏光を透過させる偏光板である。そして、青色用液晶パネル11Bは、P偏光を画像信号に応じた変調によってS偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、検光子13は、P偏光を遮断してS偏光を透過させる偏光板である。従って、液晶装置3Bは、画像信号に応じて青色光Bを変調し、変調した青色光Bを色合成素子4に向けて出射する構成となっている。そして、色合成素子4では、3つの色光(画像)が重ね合わされて合成され、合成された色光が投射光学系5によってスクリーン等に拡大投写される。
【0073】
なお、リレー系120は、リレーレンズ124a、124bと反射ミラー125a、125bとを備えている。リレーレンズ124a、124bは、青色光Bの光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ124aは、ダイクロイックミラー114と反射ミラー125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ124bは、反射ミラー125a、125bの間に配置されている。反射ミラー125aは、ダイクロイックミラー114を透過してリレーレンズ124aから出射した青色光Bをリレーレンズ124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー125bは、リレーレンズ124bから出射した青色光Bを液晶装置3Bに向けて反射するように配置されている。
【0074】
(液晶装置3の構成)
図7は、本発明の実施の形態3に係る液晶装置3の説明図であり、図7(a)、(b)は、液晶分子33Bのチルト方向に沿って液晶装置3を切断した様子を模式的に示す説明図、およびその視角特性を示すグラフである。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。また、図7(a)では、ゲート線321やソース線322等の図示を省略してある。
【0075】
図6および図7(a)において、液晶装置3R、3G、3Bはいずれもユニット化されており、同様の構成になっている。また、ユニット化された3つの液晶装置3R、3G、3Bは、例えば、色合成素子4の3つの光入射面に接合されている。ここで、液晶装置3R、3G、3Bの構成は略同一であるため、以下、液晶装置3Gおよび液晶パネル11Gの構成について説明する。その際、液晶装置3R、3G、3Bおよび液晶パネル11R、11G、11Bについては、対応する色を示すR、G、Bを付さずに、液晶装置3および液晶パネル11として説明する。
【0076】
図7(a)において、液晶装置3は、偏光子9(入射側偏光板)と、第1位相差補償素子12と、液晶パネル11と、検光子13(出射側偏光板)とがこの順に配置された構造を有している。かかる液晶装置3において、偏光子9を透過したS偏光は、第1位相差補償素子12を介して液晶パネル11に入射する。本形態の液晶パネル11において、対向基板31(第1基板)の基板本体310、共通電極39、素子基板32(第2基板)の基板本体320、画素電極36等はいずれも、透光性を有しており、液晶パネル11は、透過型の液晶パネルである。また、液晶装置3はノーマリブラックとなるように構成されており、検光子13と偏光子9とは、互いの透過軸を液晶パネル11に光学的に投影したときに直交するように配置されている。このため、液晶パネル11を透過した変調光Loのうち、P偏光は検光子13を透過する。
【0077】
本形態でも、実施の形態1と同様、液晶モードは、垂直配向(Vertical Alien)モードであり、液晶層33は誘電率異方性が負の液晶材料で構成されている。また、配向膜37、38は、実施の形態1と同様、シリコン酸化物等の斜方蒸着膜であり、液晶層33の液晶分子33Bは、素子基板32の基板面および対向基板31の基板面に対する法線方向から斜めに傾いて、85°のプレチルト角θpをなすように配向している。このようにプレチルト角θpが付与されることにより、液晶分子33Bは光学的な異方性を有し、液晶分子33Bからなる液晶層33は遅相軸を有するものとなる。
【0078】
本形態の液晶装置3において、対向基板31および素子基板32は、例えば2.5μmのギャップに保持されて貼り合わされ、その間に誘電率異方性が負の液晶(△n=0.14)が注入されて液晶セルが形成されている。本形態において、液晶層33の正面位相差は2.4nmである。
【0079】
第1位相差補償素子12は、実施の形態1と同様、光学軸が厚さ方向に沿った負の一軸性の屈折率異方性を有するCプレートであり、第1位相差補償素子12の厚み方向の位相差Rthは190nmである。
【0080】
このように構成した液晶装置3において、対向基板31(第1基板)および素子基板32(第2基板)のうちの少なくとも一方の基板には、図3(a)を参照して説明した構造複屈折層からなる第2位相差補償素子50が一体に形成されている。本形態において、第2位相差補償素子50は、対向基板31の基板本体310と共通電極39との層間に面内方向に光学軸を有するAプレートとして構成されている。かかる第2位相差補償素子50は、異なる屈折率n1、n2を有する媒質を一定の周期で交互に配置した構造を有しており、周期をもたない方向が遅相軸である。また、本形態において、図3(b)を参照して説明したように、第2位相差補償素子50の遅相軸は、液晶層33の遅相軸に対して直交する方向であり、検光子13の透過軸の方位φ1は0°であり、ワイヤーグリッド偏光ビームスプリッター10の透過軸の方位φ2、および偏光子9の透過軸の方位φ3は、反時計回りで90°であり、液晶層33の遅相軸の方位φ0は反時計回りで45°であり、第2位相差補償素子50の遅相軸の方位φ50は反時計回りで135°である。
【0081】
ここで、第2位相差補償素子50(構造複屈折層)の正面位相差は、液晶層33の正面位相差と同様、2.4nmであり、液晶層33の正面位相差と第2位相差補償素子50の正面位相差とが等しい。従って、本形態では、液晶パネル11の正面位相差を第2位相差補償素子50の正面位相差で相殺できるので、第1位相差補償素子12は、液晶パネル11に対して平行に配置されている。
【0082】
かかる構成の液晶装置3における視角特性は、図7(b)に示す通りであり、最大コントラストが図の中央(液晶パネル11に対する法線方向)に位置している。また、液晶装置3を投射型表示装置100に用いた際のコントラストは5000であった。これに対して、液晶パネル11に第2位相差補償素子50を設けずに、液晶パネル11に対して平行に第1位相差補償素子12を配置した場合の視角特性は、図10(d)を参照して説明した通りであり、かかる比較例に係る液晶装置3を投射型表示装置100に用いた際のコントラストは2800であった。このように、本形態によれば、液晶装置3の視角特性およびコントラストが大幅に改善されていることがわかる。
【0083】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の液晶装置3および投射型表示装置100においては、実施の形態1と同様、液晶パネル11外には液晶パネル11に対向するように第1位相差補償素子12が配置されているとともに、対向基板31および素子基板32のうち、対向基板31には、構造複屈折層からなる第2位相差補償素子50が一体に設けられ、かかる第2位相差補償素子50は、液晶層33の遅相軸と直交する遅相軸を備えている。このため、液晶層33の正面位相差を第2位相差補償素子50で補償することができる。また、本形態において、第2位相差補償素子50の正面位相差と液晶層33の正面位相差とが等しいので、第1位相差補償素子12については液晶パネル11に平行に配置すればよい。それ故、液晶パネル外に1つの位相差補償素子(第1位相差補償素子)を設けて適正な視角補償を行った場合でも、第1位相差補償素子12が大きなスペースを占めることがない。また、第1位相差補償素子12を液晶パネル11に平行に配置するのであれば、手間のかかる傾き調整を必要としないので、液晶装置3および投射型表示装置100を組み立てる際の効率を向上することができる。
【0084】
[実施の形態4:透過型の液晶装置への適用例2]
図8は、本発明の実施の形態4に係る液晶装置3の説明図であり、図8(a)、(b)、(c)は、液晶分子33Bのチルト方向に沿って液晶装置3を切断した様子を模式的に示す説明図、その視角特性を示すグラフ、および別の形態における視角特性を示すグラフである。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1、3と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。また、図8(a)では、ゲート線321やソース線322等の図示を省略してある。
【0085】
実施の形態3では、液晶層33の正面位相差および第2位相差補償素子50の正面位相差はいずれも、2.4nmであり、液晶層33の正面位相差と第2位相差補償素子50の正面位相差とが等しかったが、本形態では、液晶層33の正面位相差と第2位相差補償素子50の正面位相差とが相違しているため、図8(a)に実線で示すように、第1位相差補償素子12は、液晶パネル11に対して斜めに傾いて配置されている。
【0086】
より具体的には、本形態の液晶装置3では、液晶層33の正面位相差が2.4nmであるのに対して、第2位相差補償素子50の正面位相差は、液晶層33の正面位相差より小さく、1.8nmである。このため、第1位相差補償素子12は、光学軸が液晶分子33Bと平行となる方向に向かって傾いている。本形態において、第1位相差補償素子12は、点線で示す平行な姿勢からみて、液晶分子33Bのチルト方向に対して直交する軸線回りに2.5°斜めに傾いている。
【0087】
このような構成の液晶装置3の視角特性は、図8(b)に示す通りであり、最大コントラストが図の中央(液晶パネル11に対する法線方向)に位置している。また、本形態の液晶装置3を投射型表示装置100に用いた際のコントラストは5000であった。
【0088】
なお、図8(a)に一点鎖線で示すように、光学軸が液晶分子33Bと直交する方向に向けて2.5°斜めに傾いている構成を採用してもよい。かかる構成を採用した場合、液晶装置3の視角特性は、図8(c)に示す通りであり、最大コントラストが図の中央(液晶パネル11に対する法線方向)に位置している。但し、光学軸が液晶分子33Bと直交する方向に向けて2.5°斜めに傾いていると、液晶装置3を投射型表示装置100に用いた際のコントラストは3500まで低下する。それ故、透過型の液晶装置3の場合、第1位相差補償素子12を、光学軸が液晶分子33Bと平行となる方向に傾かせることが好ましい。
【0089】
このように本形態の液晶装置3および投射型表示装置100においては、実施の形態1、2、3と同様、液晶パネル11外には液晶パネル11に対向するように第1位相差補償素子12が配置されているとともに、対向基板31および素子基板32のうち、対向基板31には、構造複屈折層からなる第2位相差補償素子50が一体に設けられ、かかる第2位相差補償素子50は、液晶層33の遅相軸と直交する遅相軸を備えている。このため、液晶層33の正面位相差を第2位相差補償素子50で補償することができる。
【0090】
また、本形態においては、実施の形態2と同様、第2位相差補償素子50の正面位相差と液晶層33の正面位相差とが相違するため、第1位相差補償素子12については液晶パネル11を斜めに傾けているが、このような場合でも、第1位相差補償素子12の液晶パネル11に対する傾きは小さくてよい。すなわち、第2位相差補償素子50を設けない場合、Cプレートを液晶パネル11に対して5°傾ける必要があるが、本形態によれば、第1位相差補償素子12を液晶パネル11に対して2.5°傾ければよい。それ故、第1位相差補償素子12が占めるスペースが狭くてよい。
【0091】
また、第2位相差補償素子50の正面位相差と液晶層33の正面位相差とを同一にしようとすると、第2位相差補償素子50の正面位相差が液晶層33の正面位相差より大きい場合と小さい場合とが発生するおそれがあり、この場合、第1位相差補償素子12を傾ける方向が90°異なることになるが、第2位相差補償素子50の正面位相差の狙い値を予め、液晶層33の正面位相差より小さく設定しておけば、第1位相差補償素子12を傾ける方向が一義的に定まる。それ故、液晶装置3の組み立て時の作業効率を向上することができる等の利点がある。
【0092】
[他の実施の形態]
上記実施の形態1〜4のいずれにおいても、対向基板31(第1基板)および素子基板32(第2基板)のうちの少なくとも一方の基板に、構造複屈折層からなる第2位相差補償素子50を一体に形成するにあたって、対向基板31の内面側(素子基板32と対向する面側)に第2位相差補償素子50を形成したが、対向基板31の外面側(素子基板32と対向する面とは反対の面側)に第2位相差補償素子50を形成してもよい。
【0093】
また、透過型の液晶装置3の場合、素子基板32の内面側(対向基板31と対向する面側)、あるいは素子基板32の外面側(対向基板31と対向する面とは反対の面側)に第2位相差補償素子50を形成してもよい。
【0094】
(他の電子機器)
上記実施の形態では、本発明に係る液晶装置3を使用した電子機器として、投射型表示装置1、100を例示したが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ビューファインダー(EVF)等の電子機器や、携帯情報端末等の電子機器において表示部を構成する直視型のディスプレイに本発明を適用してもよい。この場合、液晶パネル11に対してカラーフィルター層を設けることもある。
【符号の説明】
【0095】
1、100・・投射型表示装置、3、3R、3G、3B・・液晶装置、4・・色合成素子(色合成光学系)、5・・投射光学系、6・・光源、11、11R、11G、11B・・液晶パネル、12・・第1位相差補償素子、31・・対向基板(第1基板)、32・・素子基板(第2基板)、33・・液晶層、33B・・液晶分子、50・・第2位相差補償素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板、該第1基板に対向配置された第2基板、および負の誘電率異方性をもって前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、液晶分子が前記第1基板の基板面および前記第2基板の基板面に対する法線方向から斜めに傾いた液晶層を備えた液晶パネルと、
前記液晶パネルに対向配置され、光学軸が厚さ方向に沿った負の一軸性の屈折率異方性を有する第1位相差補償素子と、
前記第1基板および前記第2基板のうちの少なくとも一方の基板に一体に設けられ、前記液晶パネルの平面視において前記液晶層の遅相軸と直交する遅相軸を備えた構造複屈折層からなる第2位相差補償素子と、
を有することを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記第2位相差補償素子の正面位相差と前記液晶層の正面位相差とが等しく、
前記第1位相差補償素子は、前記液晶パネルに平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記第2位相差補償素子の正面位相差と前記液晶層の正面位相差とが相違し、
前記第1位相差補償素子は、前記液晶パネルに対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記第2位相差補償素子の正面位相差は、前記液晶層の正面位相差より小さく、
前記第1位相差補償素子は、前記光学軸と前記液晶分子の長軸とが平行となる方向あるいは直交する方向に向けて傾いていることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記液晶パネルは反射型液晶パネルであり、
前記第1位相差補償素子は、前記光学軸と前記液晶分子の長軸とが平行となる方向あるいは直交する方向に向けて傾いていることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記液晶パネルは透過型液晶パネルであり、
前記第1位相差補償素子は、前記光学軸と前記液晶分子の長軸とが平行となる方向に向けて傾いていることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の液晶装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記液晶装置に供給する光を出射する光源と、前記液晶装置によって変調された光を投射する投射光学系と、を有していることを特徴とする請求項7に記載の投射型表示装置。

【図1】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−97025(P2013−97025A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236932(P2011−236932)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】