説明

液晶装置及び電子機器

【課題】 表示面を見る方向が異なる場合でも、表示画像を同一の着色や色合いで表示できる横電界方式の液晶装置と、当該液晶装置を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】 液晶層を挟持して対向配置された第1基板と第2基板とを備え、複数のドット領域の各々において表示を行う液晶装置100であって、第1基板の液晶層側に、ドット領域内の液晶層に略基板平面方向の電界を印加する第1電極19と第2電極9とが設けられ、第1電極19及び第2電極9には、電極面の一部を被覆する誘電体膜9d,19dと、電極面を露出させる電極露出部9e,19eとが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末等の電子機器の表示手段として、液晶装置が知られている。
このような液晶装置の一形態として、液晶層に基板平面方向の電界を印加して液晶分子の配向制御を行う方式(以下、横電界方式と称する。)が知られており、液晶に電界を印加する電極の形態によりIPS(In-Plane Switching)方式や、FFS(Frige-Field Switching)方式と呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−29028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のIPS方式やFFS方式における液晶装置においては、電圧印加時の液晶分子の回転方向が同一に揃ってしまうことに起因して、表示面を見る方向によって着色や色合いが異なるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、表示面を見る方向が異なる場合でも、表示画像を同一の着色や色合いで表示できる横電界方式の液晶装置と、当該液晶装置を備えた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、液晶層を挟持して対向配置された第1基板と第2基板とを備え、複数のドット領域の各々において表示を行う液晶装置であって、前記第1基板の前記液晶層側に、前記ドット領域内の前記液晶層に略基板平面方向の電界を印加する第1電極と第2電極とが設けられ、前記第1電極及び/又は第2電極には、電極面の一部を被覆する誘電体膜と、電極面を露出させる電極露出部とが設けられていること、を特徴としている。
【0006】
ここで、第1電極と第2電極との間に電圧が印加されると、第1電極と第2電極との間において、誘電体膜の周辺の電界と、電極露出部の周辺の電界とが生じる。そして、誘電体膜の周辺においては、自身の誘電率が寄与する電界が生じるため、誘電体膜の周辺の電界と、電極露出部の周辺の電界とは、異なる強度となる。これによって、第1電極や第2電極が延在する方向に対して、等電位線が歪んで生じることとなり、斜め電界が生じる。当該斜め電界が生じることにより、液晶分子を時計回りや反時計回りに生じさせることができる。従って、液晶装置を見る方向が異なる場合でも、着色や色合いを同一にすることができる。
【0007】
また、本発明の液晶装置においては、前記第1電極と前記第2電極とのうち、一方の電極における前記誘電体膜と、他方の電極における前記電極露出部の中央部とが対向して配置されていること、を特徴としている。
このように誘電体膜と電極露出部の中央部とを対向させることで、誘電体膜から電極露出部の中央部の両側に向けて斜め電界が生じる。そして、当該斜め電界によって、液晶分子を時計回りや反時計回りに生じさせることができる。従って、液晶装置を見る方向が異なる場合でも、着色や色合いを同一にすることができる。
【0008】
また、本発明の液晶装置においては、前記電極露出部の両側には、前記誘電体膜が設けられていること、を特徴としている。
ここで、電極露出部の両側に設けられた誘電体膜においても、斜め電界が生じているので、一方の電極の斜め電界と、他方の電極の斜め電界とを共に生じさせることができ、上記の効果を相乗的に得ることができる。
【0009】
また、本発明の液晶装置においては、前記第1電極及び/又は第2電極には、形成された電極の幅が部分的に細くなる凹部が設けられ、前記誘電体膜は前記凹部に埋設されていること、を特徴としている。
ここで、誘電体膜の表面と電極露出部の表面が連続する平坦面が形成されていることが好ましい。
このようにすれば、第1電極及び/又は第2電極において、電極延在方向に直交する方向に誘電体膜を突起させることなく設けることができる。更に、突起状に誘電体膜が設けられていなくても、上記と同様に誘電体膜の周辺の電界と電極露出部の周辺の電界とは異なる強度になるので、斜め電界を生じさせることができ、同様の効果が得られる。
【0010】
また、本発明の液晶装置においては、一方の電極に形成された前記電極露出部と、他方の電極の形成された前記電極露出部は、当該電極の延在する方向において互い違いとなる位置に配置されていること、を特徴としている。
このようにすれば、電極露出部と誘電体膜との間で生じる斜め電界の分布を第1電極及び第2電極の間において、互い違いに生じさせることができる。従って、互い違いに生じる斜め電界に応じて液晶分子を時計回りに生じさせたり、反時計回りに生じさせたりすることができる。従って、液晶装置を見る方向が異なる場合でも、着色や色合いを同一にすることができる。
【0011】
また、本発明の液晶装置においては、前記第1電極及び第2電極が、IPS方式の電極形態とされていること、を特徴としている。
即ち、前記第1電極及び第2電極が、同層で平面的に対向する構成の横電界方式を採用することができる。例えば、第1電極及び第2電極のいずれも平面視略櫛歯状の電極とし、それらの櫛歯部分を構成する帯状電極が、互いに噛み合うように配置されている電極形態とすることができる。
【0012】
また、本発明の液晶装置においては、前記第1電極及び第2電極が、FFS方式の電極形態とされていること、を特徴としている。
即ち、前記第1電極及び第2電極の一方の電極を平面ベタ状の電極とするとともに、該ベタ状の電極上に誘電体膜を形成し、該誘電体膜上に、平面視略櫛歯状を成す他方の電極が形成されている構成とすることができる。FFS方式の液晶装置では、第1電極と第2電極の一方はベタ状の電極であるから、FFS方式の電極形態を採用することで、液晶装置の構造を簡素化することができ、製造も容易なものとなる。
【0013】
また、本発明の液晶装置においては、第1電極又は第2電極には、薄膜トランジスタが接続されていること、を特徴としている。
このようにすれば、第1電極及び第2電極の間の液晶層に、薄膜トランジスタのスイッチング駆動に伴わせて電圧を印加することができる。
【0014】
また、本発明の液晶装置においては、第1電極又は第2電極には、薄膜ダイオードが接続されていること、を特徴としている。
このようにすれば、第1電極及び第2電極の間の液晶層に、薄膜ダイオードのスイッチング駆動に伴わせて電圧を印加することができる。
【0015】
また、本発明の電子機器は、先に記載の液晶装置を備えたことを特徴としている。
このようにすれば、液晶装置を見る方向が異なる場合でも、同一の着色や色合いで画像表示可能な電子機器を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態に係る液晶装置について図面を参照して説明する。
なお、各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせて表示している。
【0017】
(第1実施形態)
本実施形態の液晶装置は、液晶に対して基板平面方向の電界を生じさせ、配向を制御することにより画像表示を行う横電界方式のうち、IPS方式と呼ばれる方式を採用した液晶装置である。
また、本実施形態の液晶装置は、基板上にカラーフィルタを具備したカラー液晶装置であり、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を出力する3個のドットで1個の画素を構成するものとなっている。したがって表示を構成する最小単位となる表示領域を「ドット領域」、一組(R,G,B)のドットから構成される表示領域を「画素領域」と称する。
【0018】
図1は、本実施形態の液晶装置を構成するマトリクス状に形成された複数のドット領域の回路構成図である。図2は液晶装置100の任意の1ドット領域における平面構成図である。図3は図2のA−A'線に沿う部分断面構成図であり、図4は、図2のB−B'線に沿う断面構成図である。
【0019】
図1に示すように、液晶装置100の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数のドット領域には、それぞれ画素電極9と画素電極9をスイッチング制御するためのTFT(薄膜トランジスタ)30とが形成されており、データ線駆動回路101から延びるデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線駆動回路101は、画像信号S1、S2、…、Snをデータ線6aを介して各画素に供給する。前記画像信号S1〜Snはこの順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対してグループ毎に供給するようにしてもよいし、全てのデータ線6aに対して同時に供給してもよい。
【0020】
また、TFT30のゲートには、走査線駆動回路102から延びる走査線3aが電気的に接続されており、走査線駆動回路102から所定のタイミングで走査線3aにパルス的に供給される走査信号G1、G2、…、Gmが、この順に線順次でTFT30のゲートに印加されるようになっている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されている。スイッチング素子であるTFT30が走査信号G1、G2、…、Gmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで画素電極9に書き込まれるようになっている。
【0021】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極9と液晶を介して対向する共通電極との間で一定期間保持される。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付与されている。蓄積容量70はTFT30のドレインと容量線3bとの間に設けられている。
【0022】
次に、図2から図4を参照して液晶装置100の詳細な構成について説明する。液晶装置100は、図3に示すようにTFTアレイ基板(第1基板)10と対向基板(第2基板)20との間に液晶層50を挟持した構成を備えており、液晶層50は、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向する領域の縁端に沿って設けられた図示略のシール材によって基板10,20間に封止されている。対向基板20の背面側(図示下面側)には、導光板91と反射板92とを具備したバックライト90が設けられている。
【0023】
図2に示すように、液晶装置100のドット領域には、平面視略熊手状(櫛歯状)を成すY軸方向に長手の画素電極(第2電極)9と、平面視略櫛歯状を成してX軸方向に延在する共通電極(第1電極)19とが設けられている。ドット領域の図示左上の角部には、TFTアレイ基板10と対向基板20とを所定間隔で離間した状態に保持するための柱状スペーサ40が立設されている。
【0024】
画素電極9は、Y軸方向に延びる複数本(図示では2本)の帯状電極9cと、これら複数の帯状電極9cの図示下側(−Y側)の各端部に接続されてX軸方向に延在する基端部9aと、基端部9aのX軸方向中央部から−Y側に延出されたコンタクト部9bとからなる。また、帯状電極9cの各々には、当該帯状電極9cの一部を被覆する誘電体膜9dが複数設けられている。また、誘電体膜9dを除く部分は、帯状電極9cの表面が露出している電極露出部9eとなる。これにより、電極露出部9eの両側に誘電体膜9dが設けられた構成となる。
【0025】
共通電極19は、前記画素電極9の帯状電極9cと交互に配置されて帯状電極9cと平行(Y軸方向)に延びる複数(図示では3本)の帯状電極19cと、これら帯状電極19cの+Y側の端部に接続されてX軸方向に延びる本線部19aとを有している。共通電極19は、X軸方向に配列された複数のドット領域に跨って延在する平面視略櫛歯状の電極部材である。また、帯状電極19cの各々には、当該帯状電極19cの一部を被覆する誘電体膜19dが複数設けられている。また、誘電体膜19dを除く部分は、帯状電極19cの表面が露出している電極露出部19eとなる。これにより、電極露出部19eの両側に誘電体膜19dが設けられた構成となる。
【0026】
ここで、帯状電極9c,19cにおける誘電体膜9d,19d及び電極露出部9e,19eの相対的な位置関係について詳述する。
帯状電極9cにおいて複数の誘電体膜9dが設けられている間隔と、帯状電極19cにおいて誘電体膜19dが設けられている間隔とは、同じになっている。更に、帯状電極9cにおける電極露出部9eの中央部と、帯状電極19cの誘電体膜19dとは、互いに対向して配置されている。また、帯状電極19cにおける電極露出部19eの中央部と、帯状電極9cの誘電体膜9dとは、互いに対向して配置されている。即ち、一方の帯状電極9cに形成された電極露出部9eと、他方の帯状電極19cの形成された電極露出部19eは、帯状電極9c,19cの延在する方向において互い違いとなる位置に配置されたものとなっている。
これにより、帯状電極9c,19cの間において、誘電体膜9d,19dは等間隔で配置されたものとなる。
【0027】
図2に示すドット領域では、Y軸方向に延びる2本の帯状電極9cと、これらの帯状電極9cの間に配置された3本の帯状電極19cとの間に電圧を印加することで、当該ドット領域の液晶にXY面方向(基板平面方向)の電界を印加して駆動するようになっている。また、帯状部9c,19cは櫛歯状に噛み合うように配置していると共に、帯状部9cが帯状部19cによって囲まれて配置されている。画素電極9は、TFT30がオフの時、ハイインピーダンスとなり、隣接するデータ線等の影響を受けやすいという特性を有している。そこで、本実施形態のように、共通電極の帯状部19cによって画素電極9の帯状部9cを囲むことにより、画素電極9の安定化を図ることが可能となる。
【0028】
また、図2に示すドット領域には、X軸方向に延びるデータ線6aと、Y軸方向に延びる走査線3aと、走査線3aと反対側のドット領域の辺縁部で走査線3aと平行に延びる容量線3bとが形成されている。データ線6aと走査線3aとの交差部の近傍にTFT30が設けられている。TFT30は走査線3aの平面領域内に部分的に形成されたアモルファスシリコンからなる半導体層35と、半導体層35と一部平面的に重なって形成されたソース電極6b及びドレイン電極32と、を備えている。走査線3aは半導体層35と平面的に重なる位置でTFT30のゲート電極として機能する。
【0029】
TFT30のソース電極6bは、データ線6aから分岐されて半導体層35に延びる平面視略L形に形成されており、ドレイン電極32は、その−Y側の端部において接続配線31aと電気的に接続されている。接続配線31aは、ドット領域の−X側の辺端に沿って延び、画素電極9を挟んで走査線3aと反対側に設けられた容量電極31と電気的に接続されている。容量電極31は、容量線3bと平面的に重なって形成された平面視略矩形状の導電部材であり、容量電極31上には、画素電極9のコンタクト部9bが平面的に重なって配置されており、両者が重畳された位置に、容量電極31と画素電極9とを電気的に接続する画素コンタクトホール45が設けられている。また容量電極31と容量線3bとが平面的に重なる領域に、厚さ方向で対向する容量電極31と容量線3bとを電極とする蓄積容量70が形成されている。
【0030】
ドット領域には、当該ドット領域とほぼ同一の平面形状を有するカラーフィルタ22が設けられている。そして、液晶装置100における全てのドット領域においては、バックライト90の照明光を透過するようになっており、これによって透過型液晶装置100が構成されている。
【0031】
次に、図3に示す断面構造をみると、互いに対向して配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が挟持されている。TFTアレイ基板10及び対向基板20の外面側(液晶層50と反対側)には、それぞれ偏光板14,24が配設されている。
TFTアレイ基板10は、ガラスや石英、プラスチック等の透光性の基板本体10Aを基体としてなり、基板本体10Aの内面側(液晶層50側)には、走査線3a及び容量線3bが形成され、走査線3a及び容量線3bを覆って、酸化シリコン等の透明絶縁膜からなるゲート絶縁膜11が形成されている。
【0032】
ゲート絶縁膜11上に、アモルファスシリコンの半導体層35が形成されており、半導体層35に一部乗り上げるようにしてソース電極6bと、ドレイン電極32とが設けられている。ドレイン電極32は、接続配線31a及び容量電極31と一体に形成されている。半導体層35は、ゲート絶縁膜11を介して走査線3aと対向配置されており、当該対向領域で走査線3aがTFT30のゲート電極を構成するようになっている。容量電極31は、ゲート絶縁膜11を介して容量線3bと対向する位置に形成されており、容量電極31と容量線3bとを電極とし、両者に挟持されたゲート絶縁膜11を誘電体膜とする蓄積容量70を形成している。
【0033】
半導体層35、ソース電極6b(データ線6a)、ドレイン電極32、及び容量電極31を覆って、酸化シリコン等からなる層間絶縁膜12が形成されており、層間絶縁膜12上に、ITO等の透明導電材料からなる画素電極9及び共通電極19が形成されている。層間絶縁膜12上にITO等の透明導電材料からなる画素電極9が形成されている。第1層間絶縁膜12を貫通して容量電極31に達する画素コンタクトホール45が形成されており、この画素コンタクトホール45内に画素電極9のコンタクト部9bが一部埋設されることで、画素電極9と容量電極31とが電気的に接続されている。画素電極9の帯状電極9cの一部表面には、誘電体膜9dが設けられ、当該誘電体膜9dが非形成の部分は電極露出部9eとなる。更に、画素電極9、誘電体膜9d、電極露出部9e及び共通電極19を覆ってポリイミド等からなる配向膜18が形成されている。
【0034】
また、図4に示すB−B’断面構造をみると、層間絶縁膜12上の同層に画素電極9の帯状電極9cと、共通電極19の帯状電極19cとが交互に配列されている。また、共通電極19の帯状電極19cの表面には、誘電体膜19dが設けられ、当該誘電体膜19dが非形成の部分は電極露出部19eとなる(図2参照)。
【0035】
次に、誘電体膜9d,19dの材料及び形成方法について説明する。
誘電体膜9d,19dの材料としては、無機物や有機物の透明性材料が採用される。このように誘電体膜9d,19dが透明性を有することにより、誘電体膜9d,19dを透過する表示光が利用可能となるので、開口率低下を招くことがなくなる。
ここで、誘電体膜9d,19dが無機物である場合には、SiO等の透明性材料が好適に採用される。SiO膜からなる誘電体膜9d,19dを形成する方法としては、公知のフォトリソグラフィ技術が用いられる。具体的には、画素電極9及び共通電極19の全面にSiO膜を成膜し、フォトマスクを介したエッチング処理を行うことで、画素電極9及び共通電極19上の一部に誘電体膜9d,19dがパターニング形成される。
一方、誘電体膜9d,19dが有機物である場合には、アクリル樹脂等の透明性材料が好適に採用される。アクリル樹脂からなる誘電体膜9d,19dを形成する方法としては、液滴吐出法(インクジェット法)等の湿式成膜法が用いられる。具体的には、アクリル樹脂の液体材料を液滴吐出ヘッドから吐出することで、画素電極9及び共通電極19上の一部に誘電体膜9d,19dがパターニング形成される。
【0036】
次に、図5を参照し、画素電極9の帯状電極9cと、共通電極19の帯状電極19cとの間に生じる電界について説明する。
図5は、図2の要部を拡大した拡大図であって、誘電体膜9d,19d及び電極露出部9e,19eの周辺の電界方向と液晶分子の回転方向を説明するための図である。
【0037】
上記構成の液晶装置100において、TFT30を介して画素電極9に電圧が書き込まれると、帯状電極9c,19cの各々の周辺に電界が生じる。具体的には、誘電体膜9d,19dの周辺に、自身の誘電率が寄与する電界が生じる。そして、誘電体膜9d,19dの周辺の電界と、電極露出部9e,19eの周辺の電界とは、異なる強度となる。
また、誘電体膜9dと電極露出部19eとが対向し、かつ、誘電体膜19dと電極露出部9eとが対向しているので、帯状電極9c,19cの延在方向に向けて等電位線Vが歪んで生じ、帯状電極9c,19c間に電界(電気力線)E1,E2が生じる。当該電界E1,E2は、Y方向成分とX方向成分とを有する斜め電界であり、各々は非平行に生じる。即ち、電界E1は、誘電体膜19dから図5の上側の誘電体膜9dに向かう方向に生じ、電界E2は、誘電体膜19dから図5の下側の誘電体膜9dに向かう方向に生じる。そして、電界E1,E2の方向に応じて、液晶分子LC1,LC2は各々が異なる回転方向で回転する。電界E1は、液晶分子LC1を反時計回りに回転させ、電界E2は、液晶分子LC2を時計回りに回転させる。
また、電界E1,E2は、図2における誘電体膜9d,19d及び電極露出部9e,19eの周辺に生じるため、ドット領域内の液晶50は、液晶分子LC1の回転方向と、液晶分子LC2の回転方向とによって、回転することとなる。
【0038】
上述したように、本実施形態の液晶装置100においては、誘電体膜9d,19dと電極露出部9e,19eとの間に生じる斜め電界E1,E2を生じさせ、異なる回転方向で液晶分子を回転させるので、液晶装置100を見る方向が異なる場合でも、着色や色合いを同一にすることができる。
また、一方の帯状電極9cに形成された電極露出部9eと、他方の帯状電極19cの形成された電極露出部19eは、帯状電極9c,19cの延在する方向において互い違いとなる位置に配置された構成となっているので、電極露出部9e,19eと誘電体膜膜9d,19dとの間で生じる斜め電界E1,E2の分布を帯状電極9c,19cの間において、互い違いに生じさせることができる。従って、互い違いに生じる斜め電界E1,E2に応じて液晶分子を時計回りに生じさせたり、反時計回りに生じさせたりすることができる。従って、上記の効果を相乗的に得ることができる。従って、着色や色合いを同一にすることができる。
【0039】
なお、本実施形態の液晶装置100においては、帯状電極9c,19cの各々に誘電体膜9d,19dを複数設けた構成を示したが、必ずしも複数設ける必要はない。帯状電極9c,19cのうち、一方の帯状電極に誘電体膜が1つ形成されている場合でも、誘電体膜と電極露出部との位置関係が上記実施形態と同様であれば、斜め電界E1,E2を生じさせることができ、上記と同様の効果が得られる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る液晶装置について、図6を参照して説明する。
本実施形態においては、既述の第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
図6は、図2の要部を拡大した拡大図であり、帯状電極9c,19cの構成と、誘電体膜9d,19d及び電極露出部9e,19eの周辺の電界方向と液晶分子の回転方向を説明するための図である。
図6に示すように、本実施形態においては、帯状電極9c,19cの各々に凹部9f,19fを設け、当該凹部9f,19fを埋設するよう誘電体膜9d,19dが設けられている。また、帯状電極9c,19cの各々において、誘電体膜9d,19dの表面と電極露出部9e,19eとの面は連続する平坦面が形成されたものとなる。
従って、本実施形態と第1実施形態と比較すると、第1実施形態においては、帯状電極9c,19cに誘電体膜9d,19dの突起部が形成されていたのに対し、本実施形態においては、帯状電極9c,19cに誘電体膜9d,19dが埋設され、突起部が設けられていない構成となっている。
【0042】
このような構成において、TFT30を介して画素電極9に電圧が書き込まれると、帯状電極9c,19cに埋設された誘電体膜9d,19dの周辺に、自身の誘電率が寄与する電界が生じる。また、誘電体膜9d,19dの周辺の電界と、電極露出部9e,19eの周辺の電界とは、異なる強度となる。
従って、既述の第1実施形態と同様に、等電位線Vが歪んで生じ、電界E1,E2の方向に応じて、液晶分子LC1,LC2は各々が異なる回転方向で回転する。電界E1は、液晶分子LC1を反時計回りに回転させ、電界E2は、液晶分子LC2を時計回りに回転させる。
また、電界E1,E2は、図2における誘電体膜9d,19d及び電極露出部9e,19eの周辺に生じるため、ドット領域内の液晶50は、液晶分子LC1の回転方向と、液晶分子LC2の回転方向とによって、回転することとなる。
【0043】
上述したように、本実施形態の液晶装置においては、誘電体膜9d,19dを帯状電極9c,19cの凹部9f,19fに埋設させた構成としているが、既述の第1実施形態と同様の効果が得られる。従って、液晶装置100を見る方向が異なる場合でも、着色や色合いを同一にすることができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、帯状電極9c,19cの各々に対して凹部9f,19fを設け、誘電体膜9d,19dを埋設した構成を示したが、帯状電極9c,19cのうち一方の帯状電極のみに凹部を設けて誘電体膜を埋設し、他方の帯状電極には突起凹部を設けずに、誘電体膜を突起状に設けた構成であってもよい。このような場合でも、電界E1,E2を生じさせることができ、異なる回転方向で液晶分子LC1,LC2を回転させることができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る液晶装置について、図7及び図8を参照して説明する。
図7は、本実施形態の液晶装置300における任意の1ドット領域を示す平面構成図である。図8は、図7のD−D’線に沿う断面構成図である。
【0046】
本実施形態の液晶装置は、液晶に対して基板平面方向の電界を印加して、配向を制御することにより画像表示を行う横電界方式のうち、FFS方式と呼ばれる方式を採用した液晶装置である。なお、本実施形態の液晶装置300の回路構成、及び全体構成は先の第1実施形態の液晶装置100と同様であり、本実施形態で参照する各図において、図1から図5に示した第1実施形態の液晶装置100と共通の構成要素には同一の符号を付すこととし、以下ではそれら共通構成要素の説明は省略する。
【0047】
図7に示すように、液晶装置300のドット領域には、平面視略熊手状(櫛歯状)を成すY軸方向に長手の画素電極(第2電極)9と、画素電極9と平面的に重なって配置された平面略ベタ状の共通電極(第1電極)119とが設けられている。ドット領域の図示左上の角部には、TFTアレイ基板10と対向基板20とを所定間隔で離間した状態に保持するための柱状スペーサ40が立設されている。
【0048】
共通電極119は、画像表示領域全体では、X軸方向に延びて配列されている。
本実施形態の場合、共通電極119はITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0049】
ドット領域には、X軸方向に延びるデータ線6aと、Y軸方向に延びる走査線3aと、走査線3aに隣接して走査線3aと平行に延びる容量線3bとが形成されている。データ線6aと走査線3aとの交差部の近傍にTFT30が設けられている。TFT30は走査線3aの平面領域内に部分的に形成されたアモルファスシリコンからなる半導体層35と、半導体層35と一部平面的に重なって形成されたソース電極6b、及びドレイン電極132とを備えている。走査線3aは半導体層35と平面的に重なる位置でTFT30のゲート電極として機能する。
【0050】
TFT30のソース電極6bは、データ線6aから分岐されて半導体層35に延びる平面視略L形に形成されており、ドレイン電極132は、−Y側に延びて平面視略矩形状の容量電極131と電気的に接続されている。容量電極131上には、画素電極9のコンタクト部9bが−Y側から進出して配置されており、両者が平面的に重なる位置に設けられた画素コンタクトホール45を介して容量電極131と画素電極9とが電気的に接続されている。また容量電極131は、容量線3bの平面領域内に配置されており、当該位置に、厚さ方向で対向する容量電極131と容量線3bとを電極とする蓄積容量70が形成されている。
【0051】
また、画素電極9は、コンタクト部9bに接続されていると共にX軸方向に延在する基端部9aと、当該基端部9aから−Y側に延びる3本の帯状電極9cとを有している。また、帯状電極9cの各々には、当該帯状電極9cの一部を被覆する誘電体膜9dが複数設けられている。また、誘電体膜9dを除く部分は、帯状電極9cの表面が露出している電極露出部9eとなる。これにより、電極露出部9eの両側に誘電体膜9dが設けられた構成となる。
【0052】
ここで、帯状電極9cにおける誘電体膜9d及び電極露出部9eの相対的な位置関係について詳述する。
図7に示すように、3本の帯状電極9cのうち、左側及び右側の帯状電極9cに設けられている誘電体膜9dの間隔は同じになっている。更に、中央の帯状電極9cの誘電体膜9dは、左側及び右側の帯状電極9cにおける電極露出部9eの中央部とは、互いに対向して配置されている。即ち、一方の帯状電極9cに形成された電極露出部9eと、他方の帯状電極19cの形成された電極露出部19eは、帯状電極9cの延在する方向において互い違いとなる位置に配置されたものとなっている。これにより、帯状電極9cの間において、誘電体膜9dは等間隔で配置されたものとなる。
【0053】
また、誘電体膜9dの材料としては、第1実施形態に示した無機物や有機物の透明性材料が採用される。このように誘電体膜9d,19dが透明性を有することにより、誘電体膜9dを透過する表示光が利用可能となり、開口率低下を招くことがなくなる。また、誘電体膜9dの形成方法も、第1実施形態と同様である。
【0054】
図8に示す断面構造をみると、互いに対向して配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が挟持されている。TFTアレイ基板10は、基板本体10Aを基体としてなり、基板本体10Aの内面側(液晶層50側)には、走査線3a及び容量線3bが形成されており、走査線3a及び容量線3bを覆ってゲート絶縁膜11が形成されている。
【0055】
ゲート絶縁膜11上に、アモルファスシリコンの半導体層35が形成されており、半導体層35に一部乗り上げるようにしてソース電極6bと、ドレイン電極132とが設けられている。ドレイン電極132の図示右側には容量電極131が一体に形成されている。半導体層35は、ゲート絶縁膜11を介して走査線3aと対向配置されており、当該対向領域で走査線3aがTFT30のゲート電極を構成するようになっている。
容量電極131は、ゲート絶縁膜11を介して容量線3bと対向配置されており、容量電極131と容量線3bとが対向する領域に、ゲート絶縁膜11を誘電体膜とする蓄積容量70が形成されている。
【0056】
半導体層35、ソース電極6b、ドレイン電極132、及び容量電極131を覆って、第1層間絶縁膜12が形成されており、第1層間絶縁膜12上に、ITO等の透明導電材料からなる共通電極119が形成されている。したがって、本実施形態の液晶装置300は、図7に示す1ドット領域内のうち、共通電極119の平面領域と、画素電極9を内包する平面領域とが重なる領域が、バックライト90から入射して液晶層50を透過する光を変調して表示を行うようになっている。
【0057】
また、共通電極119上には、当該共通電極119を覆って酸化シリコンや窒化シリコン等からなる第2層間絶縁膜13が形成されている。
本実施形態においては、共通電極を形成した後、プラズマCVD法等によって窒化シリコンを400nm程堆積させて第2層間絶縁膜13を形成している。また、第2層間絶縁膜13上にITO等の透明導電材料からなる画素電極9が形成されている。更に、第1層間絶縁膜12及び第2層間絶縁膜13を貫通して容量電極31に達する画素コンタクトホール45が形成されており、この画素コンタクトホール45内に画素電極9のコンタクト部9bが一部埋設されることで、画素電極9と容量電極31とが電気的に接続されている。なお、上記画素コンタクトホール45の形成領域に対応して共通電極119にも開口部が設けられており、共通電極119と画素電極9とが接触しないようになっている。画素電極9上には、当該画素電極9を覆う第2層間絶縁膜13上の領域に配向膜18が形成されている。
【0058】
本実施形態のFFS方式の液晶装置300においては、第1実施形態のIPS方式と比較して、電界が生じる方向が若干異なっている。IPS方式では、基板平面方向において画素電極9及び共通電極19の帯状電極9c,19cが対向配置し、略基板平面方向の電界を生じさせるものとなっている。これに対して、FFS方式では、基板垂直方向において画素電極9の帯状電極9cと共通電極119が対向配置しているため、帯状電極9cから略基板平面方向の電界を生じると共に、帯状電極9cの側方から生じる電気力線が帯状電極9cから遠ざかる程に共通電極119に向けて生じるものとなる。
また、帯状電極9cと共通電極119の一部とが対向配置していることから、当該第2層間絶縁膜13を誘電体とする保持容量が形成される。従って、本実施形態においては、蓄積容量70による容量と、帯状電極9cと共通電極119とによる保持容量とを利用する構成となる。
【0059】
上記構成を具備した液晶装置300においては、TFT30を介して画素電極9に電圧が書き込まれると、誘電体膜9dの周辺に自身の誘電率が寄与する電界が生じる。また、誘電体膜9dの周辺の電界と、電極露出部9eの周辺の電界とは、異なる強度となる。また、これらの電界は、帯状電極9cの側方に向けて生じると共に、帯状電極9cから遠ざかる程に共通電極119に向けて生じる。
これにより、誘電体膜9d及び電極露出部9eの周辺には、等電位線が歪んで生じて、斜め電界が生じ、当該斜め電界の方向に応じて液晶分子は回転する。また、斜め電界は、図7の誘電体膜9dと電極露出部9eとが設けられている部分の周辺に生じるため、ドット領域内の液晶50は、反時計回りに液晶分子を回転させたり、時計回りに液晶分子を回転させたりする。
【0060】
上述したように、本実施形態の液晶装置においては、既述の第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。従って、液晶装置100を見る方向が異なる場合でも、着色や色合いを同一にすることができる。
また、本実施形態においては、FFS方式による画像表示を行っていることから、帯状電極9cから略基板平面方向の電界を生じると共に、帯状電極9cの側方から生じる電気力線が帯状電極9cから遠ざかる程に共通電極119に向けて生じるものとなる。従って、帯状電極9cにおける誘電体膜9d及び電極露出部9eの周辺の等電位線を歪ませて液晶分子を回転させるだけでなく、共通電極119に向けた電界を利用して、液晶分子を回転させることができる。
【0061】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る液晶装置について、図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態の液晶装置400における任意の1ドット領域を示す平面構成図である。
【0062】
本実施形態の液晶装置は、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)を備え、かつ、IPS方式の液晶装置である。
なお、本実施形態で参照する各図において、図1から図5に示した第1実施形態の液晶装置100と共通の構成要素には同一の符号を付すこととし、以下ではそれら共通構成要素の説明は省略する。
【0063】
図9に示すように、液晶装置400のドット領域には、図中縦方向に共通電極線41が延在し、図中横方向に信号線47が延在し、当該共通電極線41及び信号線47は、相互に交差するように設けられている。
また、共通電極線41においては、その途中から分岐して共通電極(第1電極)19が形成されている。これら共通電極線41及び共通電極19は、例えばタンタル(Ta)等の金属から構成されている。更に、共通電極19は、共通電極線41から分岐して横方向に延びる本線部19aと、当該本線部19aからさらに分岐して縦方向に延びる2本の帯状電極19cとを有している。この中で帯状電極19cが主に共通電極として機能する。
【0064】
また、図9に示すように、1つのドットにおける共通電極線41と信号線47の交差部の近傍にはTFD素子(薄膜ダイオード)43が形成されている。
TFD素子43の概略構成としては、下部電極と上部電極との間に絶縁膜が挟持されたものとなっている。TFD素子43を具体的に説明すると、下部電極44と、下部電極44の上面を覆う素子絶縁膜46と、素子絶縁膜46を介して下部電極44と対向するように設けられた信号線47及び画素電極(第2電極)9とによってTFD素子43は構成されている。
即ち、本実施形態では、信号線47や画素電極9がそのままTFD素子43の上部電極として機能させている。なお、信号線47や画素電極9と電気的に接続された上部電極を別途設けてもよい。このようなTFD素子43は、2つのダイオードが背中合わせに接続された、いわゆるバック・トゥー・バック(Back-to-Back)構造のTFD素子となっている。
【0065】
また、TFD素子43を構成する下部電極44の一端側には、下部電極44と交差するように信号線47が形成されている。一方、下部電極44の他端側には、下部電極44と交差するように画素電極9が形成されている。画素電極9は、図中下部電極44と交差する側で横方向に延びる基端部9aと、当該基端部9aから分岐して縦方向に延びる2本の帯状電極9cと、下部電極44と交差する側と反対側で横方向に延びる延出部9gとを有している。この中で帯状電極9cが主に画素電極として機能する。信号線47および画素電極9は、例えばクロム(Cr)等の金属から構成されている。
【0066】
図9に示すように、共通電極19の本線部19aと、画素電極9の延出部9gとの一部は、平面的に重なるように配置されている。この部分では、本線部19aと延出部9gとが、例えばタンタル酸化膜等からなる厚い上層絶縁膜49を介して対向しており、蓄積容量70を構成している。また、この部分に比べると面積は小さいが、共通電極19の帯状電極19cの先端と、画素電極9の基端部9aも平面的に一部重なっており、前述の箇所と同様に蓄積容量70を構成している。
また、共通電極19の帯状電極19c、及び画素電極9の帯状電極9cは、図中縦方向に延在し、両者は等間隔で対向して配設されている。
【0067】
更に、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、帯状電極9c,19cに誘電体膜9d,19d及び電極露出部9e,19eが設けられている。また、誘電体膜9d,19d及び電極露出部9e,19eの相対的な位置関係も第1実施形態と同様となっている。また、本実施形態においては、誘電体膜19dが帯状電極19cに1つ設けられ、誘電体膜9dが帯状電極19cに2つ設けられている。
【0068】
また、本実施形態と第1実施形態との相違点について説明すると、第1実施形態においては、誘電体膜9d,19dが同一工程によって形成されているのに対し、本実施形態においては、誘電体膜19dと上層絶縁膜49とを、同一工程の陽極酸化処理によって形成した後に、帯状電極19cの陽極酸化膜を部分的に除去することで、電極露出部19eを形成し、誘電体膜19dをパターニング形成している。
【0069】
上述したように、本実施形態においては、第1実施形態と同様の効果が得られる。具体的には、帯状電極9c,19cにおける誘電体膜9d,19d及び電極露出部9e,19eの周辺に、方向が異なる斜め電界E1,E2を生じさせることができ、当該斜め電界E1,E2によって反時計回りと時計回りに液晶分子を回転させるので、液晶装置400を見る方向が異なる場合でも、着色や色合いを同一にすることができる。
【0070】
(電子機器)
図10は、本発明に係る液晶装置を表示部に備えた電子機器の一例である携帯電話の斜視構成図であり、この携帯電話1300は、本発明の液晶装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
【0071】
上記実施の形態の液晶装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、表示部1301を見る方向が異なっていても、着色や色合いを同一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶装置の回路構成を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る液晶装置の1ドット領域の平面構成図。
【図3】図2のA−A’線に沿う断面構成図。
【図4】図2のB−B’線に沿う断面構成図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る液晶装置の1ドット領域の要部の拡大図。
【図6】本発明の第2実施形態に係る液晶装置の1ドット領域の要部の拡大図。
【図7】本発明の第3実施形態に係る液晶装置の1ドット領域の平面構成図。
【図8】図7のD−D’線に沿う断面構成図。
【図9】本発明の第4実施形態に係る液晶装置の1ドット領域の平面構成図。
【図10】電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
【0073】
9 画素電極(第2電極)、 9d,19d 誘電体膜、 9f,19f 凹部、 10 TFTアレイ基板(第1基板)、 19,119 共通電極(第1電極)、 20 対向基板(第2基板)、 30 TFT(薄膜トランジスタ)、 43 TFD素子(薄膜ダイオード)、 50 液晶層、 100,300,400 液晶装置、 1300 携帯電話(電子機器)。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層を挟持して対向配置された第1基板と第2基板とを備え、複数のドット領域の各々において表示を行う液晶装置であって、
前記第1基板の前記液晶層側に、前記ドット領域内の前記液晶層に略基板平面方向の電界を印加する第1電極と第2電極とが設けられ、
前記第1電極及び/又は第2電極には、電極面の一部を被覆する誘電体膜と、電極面を露出させる電極露出部とが設けられていること、
を特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記第1電極と前記第2電極とのうち、
一方の電極における前記誘電体膜と、他方の電極における前記電極露出部の中央部とが対向して配置されていること、
を特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記電極露出部の両側には、前記誘電体膜が設けられていること、
を特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記第1電極及び/又は第2電極には、形成された電極の幅が部分的に細くなる凹部が設けられ、前記誘電体膜は前記凹部に埋設されていること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項5】
一方の電極に形成された前記電極露出部と、他方の電極の形成された前記電極露出部は、当該電極の延在する方向において互い違いとなる位置に配置されていること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記第1電極及び第2電極が、IPS方式の電極形態とされていること、
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記第1電極及び第2電極が、FFS方式の電極形態とされていること、
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記第1電極又は第2電極には、薄膜トランジスタが接続されていること、
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項9】
前記第1電極又は第2電極には、薄膜ダイオードが接続されていること、
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−276581(P2006−276581A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97192(P2005−97192)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(304053854)三洋エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】