液流感受性システム
液流感受性システムは、指定容量Vの液体を輸送するように構成されるポンプシステムと、該ポンプシステム及び流出口システムに接続されるチャンバを含む測定システムとを含み、該チャンバは、前記指定容量Vの液体が該チャンバ内に注入されることを可能とする振幅だけ弾性的に変位されるように構成される弾性膜によって区画される。この測定システムは更に、該指定容量Vの注入後、前記膜変位振幅の減衰特徴の少なくとも一部を測定し、それを、該感受性システム下流の、液体の絶対又は相対粘度、又は流動抵抗の変化の定量のために、又は、液流回路における気泡の存在を決めるために使用することが可能な値に変換するように構成される膜変位センサーを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の流動特性又は条件、例えば、液体供給又は循環システムにおける流動抵抗、又は、気体の存在(例えば、気泡)を感受するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体供給回路の中を流れる液体の抵抗の測定は、多くの応用において、例えば、液体の粘度の定量、液流回路において漏洩があるかどうかの判断、又は、多くの医学的及び非医学的応用では、液体回路が阻止又は閉塞されているかどうかの判断において使用されている。
【0003】
医学分野では、液体粘度測定の応用例として、グルコース濃度に対して感受性を持つ溶液の粘度変化に基づいて血糖濃度を定量することがある。液流感受性システムは更に、他の医学的応用、例えば、液剤投与デバイス、例えば、経皮注入針に接続される液剤供給及びポンプシステムにおいて閉塞又は漏洩があるかどうかの判断においても特に有用である。
【0004】
特に医学応用分野における感受性システムは、安全性要求の観点からきわめて高度の信頼性を持つ必要があり、かつ、医用デバイスの小型化要求、特に患者が持ち運びできる携帯可能な医用デバイスに対する要求の観点から多くの場合きわめてコンパクトである必要がある。
【0005】
多くの応用において更に、コスト有効的で、かつ、廃棄しても環境に対する否定的影響が低いと考えられるディスポーザブルデバイスに対して要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液流抵抗の感受に基づく、信頼性が高く、効率的で、正確な液流感受性システムを提供することが本発明の目的である。コスト有効的、コンパクトで、万能な液流感受性システムを提供することができたならば、それは有利であろうと考えられる。廃棄しても環境に対する否定的影響が低いと考えられる液流感受性システムを提供することができたならば、それは有利であろうと考えられる。
【0007】
特に、医学応用、例えば、血糖濃度監視のための、信頼性が高く、効率的で、正確な液体粘度測定システムを提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【0008】
液体供給回路の閉塞又は漏洩検出、又は、該回路の開放又は閉鎖状態の判断のための、液流抵抗測定システムを提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【0009】
医学的応用、特に、経皮薬剤投与システムのために、前述の液流抵抗測定システムを提供することができたらならば、それは有利であろうと考えられる。
【0010】
特に、携帯可能で、自律性デバイスへの組み込み用として、コンパクト、軽量で、電力をほとんど消費しない液流感受性システムを提供することができたならば、それは有利であろうと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のこれらの目的は、請求項1に記載の液流感受性システムを提供することによって達成された。
【0012】
請求項1に開示されるものは、ある時間範囲tにおいて指定の容量Vの液体を汲みこむように構成されるポンプシステムと、該ポンプシステムと、流出口システムに接続されるチャンバを含む測定システムとを含む、液流感受性システムであって、該チャンバは、指定容量Vの液体がチャンバ内に注入されると、測定可能な振幅だけ変位されるように構成される弾性膜によって区画される。この測定システムは更に、膜の変位、特に、指定容量Vの注入後、膜が応力負荷状態から安静状態へ復帰するにつれて起こる、膜振幅の減衰を測定するように構成される、膜変位センサーを含む。この測定システムは更に、膜の前記振幅減衰を処理して、液体の絶対又は相対粘度定量のために使用することが可能な値に変換するための、又は、感受性システム下流の流動抵抗の変化を感受、又は、液流回路における気泡の有無を決定するための、信号処理回路を含む。
【0013】
この膜の復帰又は緩和特徴は、チャンバ下流の液流に対する抵抗に依存し、次に、その抵抗は、液体の粘度、及び流体回路形態による抵抗、又は、液流回路又はその流出口の圧に影響を及ぼすシステムに依存する。
【0014】
粘度測定応用では、液流感受性システムには、抵抗通路、例えば、チャンバの流出口から直接延びる、又は、チャンバ下流の液流回路セクションに沿う毛細管セクションの形状を取る抵抗通路を設けてもよい。
【0015】
更に本明細書において開示されるものは、液体の粘度を測定する方法であって、弾性膜によって区画され、流出口システムに接続されるチャンバを準備すること、液流に抵抗を印加すること、指定容量Vの液体をチャンバ内に注入すること、膜の変位を測定すること、及び、膜変位の減衰特徴の少なくとも一セクションから、液体の粘度と相関する数値を決定すること、を含む方法である。
【0016】
好ましくは、液体の容量Vは、液体が、流動抵抗を通じてチャンバから流出する平均速度の2倍よりも大きい速度で、より好ましくは、液体が、流動抵抗を通じてチャンバから流出する平均速度の5倍よりも大きい速度で、チャンバ内に注入される(汲みこまれる)。
【0017】
別法として、同じシステムを逆方向に使用することも可能であり、その場合、ポンプは、チャンバから指定容量Vを吸引し、チャンバ内に圧降下を産みだす。従って、この場合、弾性膜は、チャンバ内部の方、内方に変位し、一方、その緩和状態に復帰する、弾性膜の減衰行動は、チャンバを満たすように戻る液体の流動抵抗を定量するように測定される。この別法は、同じ技術的課題に対する等価的解決法と見なされるので、簡便のために、最初に挙げた方向のみを、ただし、それによって逆方向を本発明の範囲から排除することなく、更に詳細に説明する。
【0018】
更に、本明細書において開示されるのは、前述のような液流感受性システムを含む、血糖濃度監視システムであって、その流出口システムが、経皮的に埋め込み可能な部材を含むシステムである。
【0019】
ある実施態様では、経皮埋設可能部材は、その中をグルコース分子が通過することを可能とする半透膜を含み、感受液は、粘度を、グルコース濃度の関数として可逆的に変える特性を持つ。
【0020】
別の実施態様では、経皮埋設可能部材は、多孔質膜を含み、該多孔質膜は、経皮埋設可能部材を取り囲む媒体におけるグルコース濃度の関数として変化し、加圧下において、感受性システムの液体に対し膜の通過を可能とするように構成される孔度を有する。
【0021】
更に本明細書において開示されるのは、液剤供給部に接続される経皮注入部材、及び、前述のものと同様であるが、ただし、閉塞又は漏洩検出に適応される感受性システムを含む、液剤送達システムである。
【0022】
更に本明細書において開示されるのは、弾性膜によって区画され、流動抵抗部分を持つ流出口に接続されるチャンバを含む感受性システムによって、液体の粘度を測定する方法であって、指定容量Vの液体をチャンバ中に注入する工程、膜変位の振幅を測定する工程、及び、少なくとも、膜の変位振幅の減衰特徴の少なくとも一セクションから、液体の粘度と相関する値を決定する工程を含む方法である。
【0023】
更に本明細書において開示されるのは、弾性膜によって区画され、流動抵抗部分を持つ流出口に接続されるチャンバを含む感受性システムによって、液体輸送回路の漏洩又は閉塞を検出する方法であって、指定容量Vの液体をチャンバ中に注入する工程、膜変位の振幅を測定する工程、及び、膜の変位振幅の減衰特徴の、少なくとも一セクションから、液体の流動抵抗と相関する数値を決定する工程を含む方法である。
【0024】
本発明の、更に別の目的、有利な特長、及び局面は、図面を参照しながら、特許請求項及び下記の詳細な説明を読むことによって明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明による液流感受性システムの実施態様の模式断面図を示す。
【図2】図2は本発明による液流感受性システムの部分実施態様の、模式的、分解斜視図を示す。
【図3】図3は本発明による感受性システムの、汲みこみ及び緩和サイクルのグラフを描く。
【図4a】図4aは、第1実施態様による血糖濃度監視システムにおける本発明実施体の断面図を示す。
【図4b】図4bは、図4aのシステムの埋設可能部材の断面図を示す。
【図5a】図5aは、第2実施態様の血糖濃度監視システムにおける本発明実施体の断面図を示す。
【図5b】図5bは、図5aのシステムの一部の斜視図である。
【図6】閉塞又は漏洩検出のための、別の実施態様による液流感受性システムの、反応信号のグラフ表現である。
【図7a】図7aは、ある条件下に汲みこまれる容量の関数で表した、膜の可能な直径を示すグラフを提示する。
【図7b】図7bは、ある条件下に汲みこまれる容量の関数で表した、膜の最大振幅を示すグラフを提示する。
【図7c】図7cは、ある汲みこみ容量における膜直径の関数で表した、膜厚hの可能な選択を示すグラフを提示する。
【図7d】図7dは、膜材料のクリープ抵抗を決定する観点から、汲みこみサイクル数の関数で表した、膜振幅を示すグラフを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これらの図面、特に図1〜図3を参照すると、液流感受性システム1は、ポンプシステム2、該ポンプシステムに接続される液流測定システム4、及び、該測定システムに接続される流出口システム6を含む。この流出口システムは、応用に応じて種々の形態を有していてもよく、例えば、流出口システムは、液体捕捉貯留槽を含むことも可能であるし、又は、液体を、該システムからポンプシステムに戻して再循環させるための再循環回路34中に入力することも可能であるし、又は、薬剤送達のためのカテーテル又は針、又は、その孔度又は流動抵抗を変える多孔質膜を備えた埋設可能部材を含むことも可能である。
【0027】
測定システム4は、ポンプシステム2に接続される測定システム流入口8、流出口システム6に接続される流出口10、開放口において弾性膜14によって区画されるチャンバ12、膜変位センサー16、及び測定信号プロセッサ18を含む。
【0028】
図1及び図2に示す実施態様では、膜変位センサーは、容量測定原理に基づき、例えば全体として円板状で、導電層の形状を持つ第1コンデンサ電極26aを含み、該電極は、弾性膜14の中又はその上において導電層の形状を持つ第2コンデンサ電極26bと向き合う。これらのコンデンサ電極層26a、26bは、測定信号プロセッサ18に接続される。対向するコンデンサ電極26a、26bは、この実施態様では、回路ボード20及び弾性膜14の辺縁の間に配置されるスペーサ24によって隔てられる。参照コンデンサ28a、28bは、膜及び信号プロセッサにおいて、各容量層26a、26bを共軸的に取り囲む電極層リングによって形成される。この参照コンデンサ層は、変位の影響を受けない表面部分に配置され、そのため、特に、外部の電場干渉、又は、温度関連性変動だけでなく、長期使用の磨耗による材料特性の変化を補償するための参照値を提供する。スペーサには、弾性膜における電極を回路ボードに相互接続するための導電子(図示せず)が設けられてもよい。
【0029】
弾性膜の変位は、電極26a、26b間の電気容量値を定量することによって測定される。
【0030】
測定システムは、他の距離測定原理に基づくものであってもよく、別法として、例えば、膜からある一定距離隔てて膜の上に搭載が可能な、レーザダイオードエミッタ・レシーバシステム又は他の光学システムであって、エミッタから送出され、膜の上部中心から反射されてレシーバに送り返される光の走行距離を測定するシステムによるものであってもよい。それとは別に、ホール効果センサー、又は渦流センサー、又は、音響学的測定原理(即ち、超音波)、又は圧センサーも、採用しようと思えば採用が可能であろう。
【0031】
ポンプシステム2は、定められた容量Vを、不連続用量として速やかに汲みこむように構成されるポンプを含む。小容量の液体を正確に、速やかに輸送することが可能なポンプは、WO 2007 074363によって公知であり、これは、本発明による液流感受性システムに取り込んでも有利と考えられる。このポンプシステムは更に、入力ライン8において、加圧貯留槽、及びバルブ、即ち、チャンバ12の中に、指定の、制御容量Vの液体の注入を可能とするように開閉されるように構成されるバルブを含むことも可能と考えられる。
【0032】
本発明による感受性システムの基本機能は、下記の通りである:
・ 指定容量Vの液体が、時間スケールTinp内にチャンバ中に汲みこまれ、ここに、時間スケールTinpは、出力時間スケールToutに比べ短い;
Tinp ≪ Tout
・ 膜の変形は、圧差pを生成し、この圧差は、チャンバ下流側の、抵抗カニューレ又は毛細管などの流動抵抗器、又は、外部影響による抵抗を通過する液流を起動する;
・ チャンバから流れ出る液体の流出速度に関連し、更に、流動抵抗を示す、膜の変位振幅aの減衰が測定される。
【0033】
特定の応用に応じて、膜は、ある一定容量V、例えば、図5a、図5bに描かれる応用では、約100 nlを保存しなければならず、かつ、ある一定圧、例えば、図5a、図5bに描かれる応用では、約80 mbarを生成しなければならない。更に、特定応用では、ある変位振幅緩和又は減衰時間Tout = τが必要とされ、ここにTout= τは、ある時間ウィンドウ内に、例えば、図5a、図5bに描かれる応用では、約1秒から3秒内に納まらなければならない。
【0034】
前述の本発明の基本原理は、各種の応用、例えば、液体粘度の測定、又は、液流通回路における漏洩又は閉塞を判定するための流動抵抗の測定、又は、液流通回路における空気又はその他の気体の気泡の有無の検出などの応用において使用されるように適応されてもよい。
【0035】
本感受性システムの部品をプラスチック材料で製造することは、材料及び製造コストを下げるという観点からも、簡単に廃棄が可能である軽量システムの生産という観点からも、多くの応用において有利である。更に、プラスチックは、本発明の応用において、そのヤング率が有利な範囲を持つという観点からも好ましい。多くの医学分野の応用、及びその他の応用では、ポンプ駆動される液体の容量はきわめて小さく、10ナノリットルから10マイクロリットルの範囲にあり、そのため、膜の直径は、典型的には、2から10 mmの範囲に納まると考えられる。
【0036】
膜変位を高い信頼度で、かつ十分に正確に測定するには、膜の弾性は、ある基準を満たさなければならない、特に、ヤング率は、所望の圧に応じてある範囲内に納まらなければならず、かつ、膜は、期待される膜変位の最大値に対し低いクリープ特徴を持たなければならない。10ナノリットルから2マイクロリットルの範囲に納まる、ポンプ駆動不連続容量Vの関数として膜を定義する各種パラメータの大きさの間に見られる相関の一例を下記に記載する。
【0037】
Timoshenkoら(Timoshenko, S.P., WoinowskyーKrieger, S., 1959. Theory of Plates and Shells(「プレート及び被殻の理論」). McGraw−Hill, New York)によれば、線形近似において、関係パラメータの大きさの間に下記の関係式を確立することが可能である:
【0038】
【数1】
【0039】
【表1】
【0040】
反復可能で、正確な測定を確保するには、応力下における膜のクリープが低いことが重要である。これは、最大応力εについて低い値を選ぶことによって実現することが可能である。材料によるが、応力の受容可能な値は:ε < 0.003であり、かつ、a及びpの間の直線的関係のために:ξ < 0.45である。
【0041】
注入容量
最初の工程は、汲みこまれる(注入)容量を選ぶことである。10 nlと2 μlの間の注入容量を持つ応用を仮定しよう。
【0042】
膜直径
若干の計算をすると、式(i)、(ii)、及び(iii)から、直径の下限は、ε及びξによって式(iv)に決定される。
【0043】
【数2】
【0044】
条件ε<0.003及びξ<0.45におけるプロットを図7aに示す。
【0045】
選ばれる直径は応用に依存する。しかしながら、関係式(iv)によって与えられるものよりも大きな値は、通常、都合よくない。なぜなら、ある一定容量では、振幅は、膜の直径の増加と共に減少するからである(式(i)を参照)。
【0046】
膜変位振幅
直径が選ばれると、振幅は、式(i)によって与えられる。ε<0.003及びξ<0.45において容量の関数として表した最大振幅を、図7bにプロットする。
【0047】
膜の厚さ
この時点で、容量、及び膜の直径が選ばれたので、最大振幅aが得られる。
【0048】
膜の厚さhは、二つの条件によって制限される。下限は、ξ=a/h (式(i)から導かれる)によって与えられる。
【0049】
【数3】
【0050】
hについてこれよりも低い値を選ぶと、a(p)の関係式は、非直線的になる。
【0051】
上限は、最大応力εによって決められる(式(i)、(ii)、及び(iv)から導かれる)。
【0052】
【数4】
【0053】
図7cは、hを選択することができる可能な間隔を示す。膜厚hの可能な選択が、100 nl容量(単純陰影区域)、及び500nl容量(陰影及び斜線区域)について、膜直径の関数として示される。
【0054】
ヤング率及びポアッソン比
この時点ではまだ、膜のヤング率を自由に選ぶことが可能である。この選択は、チャンバにおける所望の圧に依存する。ヤング率及び圧pの間の関係は、下式によって与えられる。
【0055】
【数5】
【0056】
これは、比Y/pが、ξ、ε、及びvのみに依存し、汲みこみ容量とは無関係であることを意味する。
従って、ε=0.003、ξ=0.45、及び、典型的値v=0.4においては、単純な式が得られる(即ち、p=50 mbarではY=630 N/mm2であり、p=1 barではY=12600 N/mm2である)。
【0057】
【数6】
【0058】
しかしながら、ε及びξの値は、応用毎に変動することが可能である。
【0059】
クリープ
クリープは十分に低く、膜のヤング率が応用時に変化しない程度(所望の正確度の範囲内で)でなければならない。図7dは、熱可塑性PBT (ポリブチレンテレフタレート)膜(GE Plastics供給、製品名Valox FR1−1001)の、数千ポンプサイクル後における振幅変動を示す。1サイクルは、指定容量の液体を、最大200 mbarの圧で輸送するポンプサイクルによって形成される。このポンプサイクルによる液体の輸送後、圧は、1.5秒の緩和時間をもって指数関数的に減少する(φ=3 mm、h=0.075 mm、v≒0.4、室温)。振幅は所望の正確度において一定であり続けるので、ヤング率は大きく変化しないこと、クリープは無視することが可能であることが結論される。このPBT膜については、このタイプの応用における最大応力は約0.3%、即ち、ε<0.003であることが見出された。
【実施例】
【0060】
下記の実施例は、ある応用のためにパラメータをどのように選択したらよいかを具体的に示す。
I. ある応用のために、容量V=100 nlを汲みこみたいと思っていると仮定しよう。
II. クリープを最小とするために、応力は、0.3% ⇒ε=0.003未満であると仮定しよう。
III. 線形範囲内にあるために、我々はξ<0.45を選ぶ。
IV. 式(iv)を用いて、我々は、直径φ>3.46 mmを計算する。我々は、φ=3.5 mmを選ぶ。
V. 式(i)から、我々は、振幅が31 μmを超えてはならないことを知る。
【0061】
【数7】
【0062】
我々は、h=70 μmを選ぶ。
VII. もしも膜が、v=0.45のポアッソン比を持ち、所望の圧が100 mbarであるならば、膜のヤング率は、Y=1.3 GPaでなければならない。
【0063】
特定の応用について、デバイスが最適性能を発揮するようにパラメータを選ばなければならない。実際の数値例の概要を、下記の表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2は本発明による液流感受性システムにおける各種パラメータの数値範囲の例である。
【0066】
前述のように、図5a及び図5bに示す測定システムが、応用のために最適機能を発揮するためには、膜は、ある弾性変位範囲を、即ち、好ましくは10 nlから2 μlの範囲の液体容量で、好ましくは10 mbarから500 mbarの範囲の圧を発生する注入容量によって、無視できるクリープ下に可逆的に膜を拡張することを可能とし、膜の緩和変位を測定可能とする弾性変位範囲を有することが必要である。膜は、ポリマー材料、例えば、ポリエステル、ポリイミド、又は、ポリカーボネートなどの材料で、その内のあるものは、好適に、所望のクリープ及びヤング率特性を有する材料、又は、ポリマー材料の複数層シートから製造されると好適である場合がある。PBTなどのある種のポリエステルは、GE plasticsから市販されるLexanなどのポリカーボネート、又は、DuPontから市販されるKaptonなどのポリイミド同様、優れたクリープ特性を示し、かつ、他の多くの熱可塑性ポリマーに対し簡単に接着又は溶着することが可能である。更に、チャンバの筐体も、ポリマーから、例えば、射出成形によって製造されると好適である場合があり、その場合、流入口及び抵抗性流出開口はそれによって一体的に形成される。膜は、積層材料又は複数層材料のシートから切り出された円板から形成されてもよく、チャンバ筐体に対し、その辺縁においてクランプ、固着、又は溶着されてもよい。膜は更に、射出成形によって、チャンバ筐体材料と一体的に形成されてもよく、或いは、円筒形の開始材料を研削して適切な孔を形成することによって形成されてもよい。
【0067】
測定システムの筐体及び膜をプラスチックから形成することによって、該測定システムは、コンパクト、軽量で、直列生産における製造が経済的となることが可能となる。更に、材料は、簡単にリサイクルされるように、廃棄しても環境に対する影響が最小となるように選んでもよい。プラスチック材料は更に、高度の設計柔軟性を提供する。即ち、測定システムは、ポンプシステム又は薬剤送達システムを、それと一体的に組み込んでもよいし、或いは、別々の成分としてそれに搭載させてもよい。
【0068】
膜は更に、測定システムの操作範囲にとって好適なものとして前述されたクリープ、ヤング率、及びその他の特性を示すものであれば、他の材料から製造することも可能と考えられる。
【0069】
ここで図5a及び図5bを参照すると、本発明による液流感受性システムの、医学分野における応用例が示される。
【0070】
図5a、図5bは、血糖監視システムであって、マイクロポンプ2と、その流出口において、経皮的に挿入されるように適応される針セクション46を持つ透析部材44の形状を持つ流出口システム6’に接続される測定システム4とを有する、本発明による液流感受性システム1に接続される感受液貯留槽42を持つ感受液供給システム40を含む、血糖監視システムを示す。この透析部材は、患者の細胞間液に接触すること(患者の血中グルコース濃度を定量するには、通常、血中グルコース濃度によって影響される、細胞間液中のグルコース濃度が測定される、即ち、ある一定の遅延時間において、細胞間液中のグルコース濃度は、血中グルコース濃度と平衡する)が意図される、半透膜48を持つセクションを含み、その際、半透膜は、その中をグルコースが拡散することを許す。この感受液は、膜及び透析針同様従来技術において公知であり、従って、ここでは詳しく説明しない。
【0071】
患者の血糖濃度に応じて、大小のグルコースが、半透膜を通じて拡散し感受液中に浸入し、感受液の粘度は、このグルコース濃度の関数として変動する。従って、感受液の粘度と、患者の血糖濃度の間には相関がある。従って、感受液の粘度を測定することによって、血糖濃度を定量することが可能である。
【0072】
図示の実施態様では、液流感受性システム1は、半透膜48の上流にあるが、一方、毛細管チャンネルセクション30’の形状を取る流動抵抗セクションは、半透膜の下流に配置される。
【0073】
流出口システムは、使用済み感受液を放出するための廃棄物貯留槽を含む。一方、それとは別に、感受液を再還流することによって、廃棄物チャンバを持たない閉鎖回路を設けることも可能である。結果として、半透膜は、グルコースが両方向に拡散することを可能とし、患者の血中のグルコース濃度と、感受液の間に平衡が実現されることを可能とする。従って、グルコース含量を持つ感受液は、再循環させ、再使用してもよい。
【0074】
このようにして、図5a、図5bの装置では、ある一定容量の感受液を半透膜セクションに汲みこみ、十分な時間それを放置してグルコースを膜を通じて拡散させ、それによって、膜の両側のグルコース濃度の間に平衡濃度が事実上実現されるようにすることによって、血糖濃度が測定される。次いで、ポンプによって、指定容量の感受液が、測定システムのチャンバ12の中に汲みこまれる。この指定容量の液体は、ポンプによって、抵抗性毛細管チャンネルセクション30’を通過する感受液の流速に比べて、急速に注入される。図3の信号Sによって示されるように、膜変位の振幅が測定され、ここに、緩和特徴Rは、液体粘度を表す。従って、振幅減衰特徴は、保存又は計算値と相関させ、そうすることによって、振幅減衰特徴を血糖濃度と相関させることが可能である。
【0075】
気泡含有液体の圧縮性は、空気の存在に従って変動するので、システムにおける空気の量は、膜の最大変位から計算することが可能である。仮令システムが空気によって撹乱されても、測定値に対する気泡の影響を取り込むことによって補正値を計算することが可能である。
【0076】
複数の、粘度の連続測定値が所望される場合には、図3に示すように、指定の緩和時間後ポンプ操作を逆転させて、汲みこまれた残留容量を除去して膜を中性状態に戻し、新規測定サイクルに対し態勢を整えることが可能である。
【0077】
図5a、図5bの実施態様は、透析針を注射針と交換することによって、液剤投与用に適応させてもよい。この場合、本発明による液流感受性システムは、漏洩又は閉塞検出システムとして機能してもよい。前記応用では、システムは、前述と同様の方法、即ち、マイクロポンプによって指定容量の液体を汲みこみ、次いで、膜変位を測定するように動作してもよい。この液流感受性システムには、感受性システムの反応を調整する必要に応じて、経皮注入システムの抵抗を増す、内部液流抵抗を設けてもよい。更に、感受性システムでは抵抗をまったく用いず、経皮注入流出口による液流抵抗のみに依存することも可能である場合がある。もしも注入流出口が、例えば、血栓、又は他の理由で阻止(閉塞)されているならば、反応Rocclは、図6に示すように、長い緩和時間を有するようになり、針が外れた場合のように抵抗が無い場合には(漏洩)、緩和時間は短く、反応Rleakのピーク変位はきわめて低くなる。上限Rup及び下限Rlow、及び、これらの限界の間に存在する期待反応Rを設定し、これらの限界を上回る、又は下回る反応は警告を発するようにすることによって、適正な操作が定められるようにしてもよい。
【0078】
図4a及び図4bは、別の実施態様による血糖監視システムであって、液体貯留槽及びマイクロポンプを含むポンプシステム2と、経皮的に挿入されるように適応される埋設可能部材60の形状を取る流出口システム6''に接続される測定システム4とを有する、本発明による液流感受システム1を含むシステムを示す。このポンプシステム及び測定システムは、患者によって携帯又は装着される筐体の中に収容され、例えば、患者の皮膚へ適用するための接着性ベース54を含む。
【0079】
埋設可能部材60は、筐体のベースから延びる針の形状を取ってもよいし、或いは、筐体とは分離し、該筐体とは、屈曲性カテーテルを介して相互に接続されてもよい。埋設可能部材は、患者の血液と接触することが意図される多孔質膜56、即ち、加圧下に、感受性システムの液体を貫通させる多孔質膜を持つセクションを含む。
【0080】
埋設可能部材を取り巻く媒体におけるグルコースの濃度が変化すると、多孔質膜56の中に含まれる多孔質膜の孔度も変化する。好ましくは、半透膜は、固定されたコンカナバリンA及びデキストラン分子を含み、ヒドロゲルを形成する。前記ヒドロゲルは、存在するグルコース濃度に応じてその構造を可逆的に変えることが可能である。遊離グルコース分子は、固定化コンカナバリンA分子に対し、競合的、特異的に結合する。グルコース濃度の上昇は、グルコース分子によって占拠される、コンカナバリンA結合部位の数を増し、従って、ヒドロゲル中に存在する孔のサイズを拡大する。グルコース濃度が減少すると、コンカナバリンAに結合するグルコースは、デキストラン分子によって置換され、これらデキストラン分子は、互いに連結して網状構造を形成し、従って、ヒドロゲル中に存在する孔のサイズを縮小する。多孔質膜が、周辺液に従ってグルコース濃度の平衡の95パーセントまで達するのに要する反応時間は、通常30秒と測定される。
【0081】
埋設可能部材を取り巻く溶液中のグルコース濃度の変化が0 mmol/lから30 mmol/lとすると(ヒト血液におけるグルコース濃度の正常帯域は、4 mmol/lから8 mmol/lである)、多孔質膜における実効孔(ポア)サイズは、典型的には、直径50 nmから100 nmの範囲を持つと考えられる。前述のように、屈曲性膜の減衰行動は、埋設可能部材中の多孔質膜の孔度に依存する流動抵抗に応じて変動する。多孔質膜を通過するときの流動抵抗が高ければ高いほど、圧発生手段によって輸送される液体によって引き起こされる変位の後、屈曲性膜が、その元の位置に達するのに要する時間は長くなる。測定システムの屈曲性膜は、その安静位置に戻るが、その一方で、液体は、流出口チャンネル10を通じてセンサーチャンバを離脱し、従って、該液体は、埋設可能部材の方に運ばれる。従って、血中グルコース濃度は、前述の液流感受性システムにおいて、多孔質膜を通過する流動抵抗を測定することによって定量することが可能である。これを、液体として生理的食塩水を用いて実行可能とすることが好ましい。
【0082】
それに対するグルコース濃度測定値の比較を可能とする標準値を定めるために、一連の、不連続用量液体を、例えば、50ナノリットルを3秒置きに注入する、即ち、屈曲性膜がその緩和状態に達するや否や、新規不連続容量の液体を送達する。このようにして、各測定の間に長い休止を置くこと無く、一連の流動抵抗測定が実行される。数ユニット、例えば、5ユニットが送達された後、多孔質膜の孔度は、医用デバイス中に含まれる液体のグルコース濃度によって決められる数値、即ち、既知の数値であり、参照値として使用することが可能な値に達する。第1ユニットは、埋設可能部材を取り囲む溶液中のグルコース濃度を測定するのに使用され、第2ユニットは、注射針腔中の平衡液体の、例えば、80%を置換し(この実施例では、ポンプ容量は、針中の活性容量に等しい)、第3ユニット後は、針の反応領域には、平衡液体の僅か約3%しか残っていない。従って、多孔質膜を通じて汲みこまれる、少数のユニット、例えば、5ユニットは、多孔質膜を洗い濯ぎ、較正のための参照値を取得するのに十分である。
【0083】
グルコース測定値を較正するには、単に、前述の一連の測定値の内の第1測定値(埋設可能部材を取り巻く溶液のグルコース濃度を測定する)を、最終測定値(医用デバイス中に存在する液体のグルコース濃度を測定する)と比較するだけでよい。
【0084】
一呼吸の後、例えば、30秒間の休止の後、多孔質膜の孔度は、再び膜を取り囲むグルコース濃度によって決定される値に達する。約30秒後、多孔質膜のポアサイズが50 nmから100 nmであるならば、針の反応部分の液体も、周辺溶液中に存在するものとほぼ同じグルコース濃度に達する。従って、前述の、一体化較正を備える新規測定サイクルを始めてもよい。
【0085】
通常、新規測定サイクルは、10分置きよりも高い頻度は必要とされない。従って、前述の遅延時間は、連続グルコース監視のための、本発明の応用を不当に制限することはない。
【0086】
埋設可能部材中のヒドロゲルは、スロット又は孔58を含む管状部材62の中に保持されてもよい。膜は、管状部材62によって支持されると有利であり、その際、該部材は、堅固な生体適合性材料であればいずれのものから製造されてもよく、例えば、金属、プラスチック、又はセラミック材料から製造されてもよい。
【0087】
本発明のために適切なヒドロゲルは既に詳細に説明されている。Tangらは、機械的、化学的に安定な、グルコース反応性ヒドロゲル膜の合成を報告する。これらは、いくつかの機械的形状に注型成形することが可能である。グルコース濃度の変化に対する反応は、両方向に、即ち、ゲル相及びゾル相間の移行において、可逆的であることが証明されている。更に、ヒドロゲルは、長期に亘ってコンカナバリンAの漏洩が無視できるほどであることを示した。異なる分子量を持つ、二つのデキストラン分子を使用することによって、ゲル構造に対しより大きな制御が可能となり、そのため、特性変化を、ヒドロゲル内部の多孔性の変化に限局させることが可能となる(Tang et al. 2003: A reversible hydrogel membrane and delivery of macromolecules(「可逆的ヒドロゲル膜及び巨大分子輸送」). Biotechnology and Bioengineering, Vol. 82, No. 1, April 5, 2003)。
【0088】
コンカナバリンAをヒドロゲル中に固定し、それによって、コンカナバリンAが患者の体内へ入れないようにすると有利である。なぜなら、コンカナバリンAは、ヒトに対し有毒作用を及ぼすことが報告されているからである。コンカナバリンAを固定する方法は既に報告されている:Miyataらは、コンカナバリンAと、グルコシルオキシエチルメタクリレート(GEMA)のコポリマーヒドロゲルの合成において、その合成物から、コンカナバリンAは漏洩せず、従って、多孔質膜孔度の可逆的変化を実現することが可能であることを報告している(Miyata et al. 2004: Glucoseーresponsive hydrogels prepared by copolymerization of a monomer with Con A(「あるモノマーとCon Aとのコポリマー形成によって調製されるグルコース反応性ヒドロゲル」). Journal Biomaterial Science Polymer Edition, Vol. 15, No. 9, pp 1085〜1098, 2004)。Kim及びParkは、グルコース含有ポリマーに対する、コンカナバリンAの固定を報告した(Kim J.J. and Park K. 2001: Immobilization of Concanavalin A to glucoseーcontaining polymers(「グルコース含有ポリマーに対するコンカナバリンAの固定」). Macromolecular Symposium, No. 172, pp95 〜 102, 2001)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の流動特性又は条件、例えば、液体供給又は循環システムにおける流動抵抗、又は、気体の存在(例えば、気泡)を感受するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体供給回路の中を流れる液体の抵抗の測定は、多くの応用において、例えば、液体の粘度の定量、液流回路において漏洩があるかどうかの判断、又は、多くの医学的及び非医学的応用では、液体回路が阻止又は閉塞されているかどうかの判断において使用されている。
【0003】
医学分野では、液体粘度測定の応用例として、グルコース濃度に対して感受性を持つ溶液の粘度変化に基づいて血糖濃度を定量することがある。液流感受性システムは更に、他の医学的応用、例えば、液剤投与デバイス、例えば、経皮注入針に接続される液剤供給及びポンプシステムにおいて閉塞又は漏洩があるかどうかの判断においても特に有用である。
【0004】
特に医学応用分野における感受性システムは、安全性要求の観点からきわめて高度の信頼性を持つ必要があり、かつ、医用デバイスの小型化要求、特に患者が持ち運びできる携帯可能な医用デバイスに対する要求の観点から多くの場合きわめてコンパクトである必要がある。
【0005】
多くの応用において更に、コスト有効的で、かつ、廃棄しても環境に対する否定的影響が低いと考えられるディスポーザブルデバイスに対して要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液流抵抗の感受に基づく、信頼性が高く、効率的で、正確な液流感受性システムを提供することが本発明の目的である。コスト有効的、コンパクトで、万能な液流感受性システムを提供することができたならば、それは有利であろうと考えられる。廃棄しても環境に対する否定的影響が低いと考えられる液流感受性システムを提供することができたならば、それは有利であろうと考えられる。
【0007】
特に、医学応用、例えば、血糖濃度監視のための、信頼性が高く、効率的で、正確な液体粘度測定システムを提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【0008】
液体供給回路の閉塞又は漏洩検出、又は、該回路の開放又は閉鎖状態の判断のための、液流抵抗測定システムを提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【0009】
医学的応用、特に、経皮薬剤投与システムのために、前述の液流抵抗測定システムを提供することができたらならば、それは有利であろうと考えられる。
【0010】
特に、携帯可能で、自律性デバイスへの組み込み用として、コンパクト、軽量で、電力をほとんど消費しない液流感受性システムを提供することができたならば、それは有利であろうと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のこれらの目的は、請求項1に記載の液流感受性システムを提供することによって達成された。
【0012】
請求項1に開示されるものは、ある時間範囲tにおいて指定の容量Vの液体を汲みこむように構成されるポンプシステムと、該ポンプシステムと、流出口システムに接続されるチャンバを含む測定システムとを含む、液流感受性システムであって、該チャンバは、指定容量Vの液体がチャンバ内に注入されると、測定可能な振幅だけ変位されるように構成される弾性膜によって区画される。この測定システムは更に、膜の変位、特に、指定容量Vの注入後、膜が応力負荷状態から安静状態へ復帰するにつれて起こる、膜振幅の減衰を測定するように構成される、膜変位センサーを含む。この測定システムは更に、膜の前記振幅減衰を処理して、液体の絶対又は相対粘度定量のために使用することが可能な値に変換するための、又は、感受性システム下流の流動抵抗の変化を感受、又は、液流回路における気泡の有無を決定するための、信号処理回路を含む。
【0013】
この膜の復帰又は緩和特徴は、チャンバ下流の液流に対する抵抗に依存し、次に、その抵抗は、液体の粘度、及び流体回路形態による抵抗、又は、液流回路又はその流出口の圧に影響を及ぼすシステムに依存する。
【0014】
粘度測定応用では、液流感受性システムには、抵抗通路、例えば、チャンバの流出口から直接延びる、又は、チャンバ下流の液流回路セクションに沿う毛細管セクションの形状を取る抵抗通路を設けてもよい。
【0015】
更に本明細書において開示されるものは、液体の粘度を測定する方法であって、弾性膜によって区画され、流出口システムに接続されるチャンバを準備すること、液流に抵抗を印加すること、指定容量Vの液体をチャンバ内に注入すること、膜の変位を測定すること、及び、膜変位の減衰特徴の少なくとも一セクションから、液体の粘度と相関する数値を決定すること、を含む方法である。
【0016】
好ましくは、液体の容量Vは、液体が、流動抵抗を通じてチャンバから流出する平均速度の2倍よりも大きい速度で、より好ましくは、液体が、流動抵抗を通じてチャンバから流出する平均速度の5倍よりも大きい速度で、チャンバ内に注入される(汲みこまれる)。
【0017】
別法として、同じシステムを逆方向に使用することも可能であり、その場合、ポンプは、チャンバから指定容量Vを吸引し、チャンバ内に圧降下を産みだす。従って、この場合、弾性膜は、チャンバ内部の方、内方に変位し、一方、その緩和状態に復帰する、弾性膜の減衰行動は、チャンバを満たすように戻る液体の流動抵抗を定量するように測定される。この別法は、同じ技術的課題に対する等価的解決法と見なされるので、簡便のために、最初に挙げた方向のみを、ただし、それによって逆方向を本発明の範囲から排除することなく、更に詳細に説明する。
【0018】
更に、本明細書において開示されるのは、前述のような液流感受性システムを含む、血糖濃度監視システムであって、その流出口システムが、経皮的に埋め込み可能な部材を含むシステムである。
【0019】
ある実施態様では、経皮埋設可能部材は、その中をグルコース分子が通過することを可能とする半透膜を含み、感受液は、粘度を、グルコース濃度の関数として可逆的に変える特性を持つ。
【0020】
別の実施態様では、経皮埋設可能部材は、多孔質膜を含み、該多孔質膜は、経皮埋設可能部材を取り囲む媒体におけるグルコース濃度の関数として変化し、加圧下において、感受性システムの液体に対し膜の通過を可能とするように構成される孔度を有する。
【0021】
更に本明細書において開示されるのは、液剤供給部に接続される経皮注入部材、及び、前述のものと同様であるが、ただし、閉塞又は漏洩検出に適応される感受性システムを含む、液剤送達システムである。
【0022】
更に本明細書において開示されるのは、弾性膜によって区画され、流動抵抗部分を持つ流出口に接続されるチャンバを含む感受性システムによって、液体の粘度を測定する方法であって、指定容量Vの液体をチャンバ中に注入する工程、膜変位の振幅を測定する工程、及び、少なくとも、膜の変位振幅の減衰特徴の少なくとも一セクションから、液体の粘度と相関する値を決定する工程を含む方法である。
【0023】
更に本明細書において開示されるのは、弾性膜によって区画され、流動抵抗部分を持つ流出口に接続されるチャンバを含む感受性システムによって、液体輸送回路の漏洩又は閉塞を検出する方法であって、指定容量Vの液体をチャンバ中に注入する工程、膜変位の振幅を測定する工程、及び、膜の変位振幅の減衰特徴の、少なくとも一セクションから、液体の流動抵抗と相関する数値を決定する工程を含む方法である。
【0024】
本発明の、更に別の目的、有利な特長、及び局面は、図面を参照しながら、特許請求項及び下記の詳細な説明を読むことによって明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明による液流感受性システムの実施態様の模式断面図を示す。
【図2】図2は本発明による液流感受性システムの部分実施態様の、模式的、分解斜視図を示す。
【図3】図3は本発明による感受性システムの、汲みこみ及び緩和サイクルのグラフを描く。
【図4a】図4aは、第1実施態様による血糖濃度監視システムにおける本発明実施体の断面図を示す。
【図4b】図4bは、図4aのシステムの埋設可能部材の断面図を示す。
【図5a】図5aは、第2実施態様の血糖濃度監視システムにおける本発明実施体の断面図を示す。
【図5b】図5bは、図5aのシステムの一部の斜視図である。
【図6】閉塞又は漏洩検出のための、別の実施態様による液流感受性システムの、反応信号のグラフ表現である。
【図7a】図7aは、ある条件下に汲みこまれる容量の関数で表した、膜の可能な直径を示すグラフを提示する。
【図7b】図7bは、ある条件下に汲みこまれる容量の関数で表した、膜の最大振幅を示すグラフを提示する。
【図7c】図7cは、ある汲みこみ容量における膜直径の関数で表した、膜厚hの可能な選択を示すグラフを提示する。
【図7d】図7dは、膜材料のクリープ抵抗を決定する観点から、汲みこみサイクル数の関数で表した、膜振幅を示すグラフを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
これらの図面、特に図1〜図3を参照すると、液流感受性システム1は、ポンプシステム2、該ポンプシステムに接続される液流測定システム4、及び、該測定システムに接続される流出口システム6を含む。この流出口システムは、応用に応じて種々の形態を有していてもよく、例えば、流出口システムは、液体捕捉貯留槽を含むことも可能であるし、又は、液体を、該システムからポンプシステムに戻して再循環させるための再循環回路34中に入力することも可能であるし、又は、薬剤送達のためのカテーテル又は針、又は、その孔度又は流動抵抗を変える多孔質膜を備えた埋設可能部材を含むことも可能である。
【0027】
測定システム4は、ポンプシステム2に接続される測定システム流入口8、流出口システム6に接続される流出口10、開放口において弾性膜14によって区画されるチャンバ12、膜変位センサー16、及び測定信号プロセッサ18を含む。
【0028】
図1及び図2に示す実施態様では、膜変位センサーは、容量測定原理に基づき、例えば全体として円板状で、導電層の形状を持つ第1コンデンサ電極26aを含み、該電極は、弾性膜14の中又はその上において導電層の形状を持つ第2コンデンサ電極26bと向き合う。これらのコンデンサ電極層26a、26bは、測定信号プロセッサ18に接続される。対向するコンデンサ電極26a、26bは、この実施態様では、回路ボード20及び弾性膜14の辺縁の間に配置されるスペーサ24によって隔てられる。参照コンデンサ28a、28bは、膜及び信号プロセッサにおいて、各容量層26a、26bを共軸的に取り囲む電極層リングによって形成される。この参照コンデンサ層は、変位の影響を受けない表面部分に配置され、そのため、特に、外部の電場干渉、又は、温度関連性変動だけでなく、長期使用の磨耗による材料特性の変化を補償するための参照値を提供する。スペーサには、弾性膜における電極を回路ボードに相互接続するための導電子(図示せず)が設けられてもよい。
【0029】
弾性膜の変位は、電極26a、26b間の電気容量値を定量することによって測定される。
【0030】
測定システムは、他の距離測定原理に基づくものであってもよく、別法として、例えば、膜からある一定距離隔てて膜の上に搭載が可能な、レーザダイオードエミッタ・レシーバシステム又は他の光学システムであって、エミッタから送出され、膜の上部中心から反射されてレシーバに送り返される光の走行距離を測定するシステムによるものであってもよい。それとは別に、ホール効果センサー、又は渦流センサー、又は、音響学的測定原理(即ち、超音波)、又は圧センサーも、採用しようと思えば採用が可能であろう。
【0031】
ポンプシステム2は、定められた容量Vを、不連続用量として速やかに汲みこむように構成されるポンプを含む。小容量の液体を正確に、速やかに輸送することが可能なポンプは、WO 2007 074363によって公知であり、これは、本発明による液流感受性システムに取り込んでも有利と考えられる。このポンプシステムは更に、入力ライン8において、加圧貯留槽、及びバルブ、即ち、チャンバ12の中に、指定の、制御容量Vの液体の注入を可能とするように開閉されるように構成されるバルブを含むことも可能と考えられる。
【0032】
本発明による感受性システムの基本機能は、下記の通りである:
・ 指定容量Vの液体が、時間スケールTinp内にチャンバ中に汲みこまれ、ここに、時間スケールTinpは、出力時間スケールToutに比べ短い;
Tinp ≪ Tout
・ 膜の変形は、圧差pを生成し、この圧差は、チャンバ下流側の、抵抗カニューレ又は毛細管などの流動抵抗器、又は、外部影響による抵抗を通過する液流を起動する;
・ チャンバから流れ出る液体の流出速度に関連し、更に、流動抵抗を示す、膜の変位振幅aの減衰が測定される。
【0033】
特定の応用に応じて、膜は、ある一定容量V、例えば、図5a、図5bに描かれる応用では、約100 nlを保存しなければならず、かつ、ある一定圧、例えば、図5a、図5bに描かれる応用では、約80 mbarを生成しなければならない。更に、特定応用では、ある変位振幅緩和又は減衰時間Tout = τが必要とされ、ここにTout= τは、ある時間ウィンドウ内に、例えば、図5a、図5bに描かれる応用では、約1秒から3秒内に納まらなければならない。
【0034】
前述の本発明の基本原理は、各種の応用、例えば、液体粘度の測定、又は、液流通回路における漏洩又は閉塞を判定するための流動抵抗の測定、又は、液流通回路における空気又はその他の気体の気泡の有無の検出などの応用において使用されるように適応されてもよい。
【0035】
本感受性システムの部品をプラスチック材料で製造することは、材料及び製造コストを下げるという観点からも、簡単に廃棄が可能である軽量システムの生産という観点からも、多くの応用において有利である。更に、プラスチックは、本発明の応用において、そのヤング率が有利な範囲を持つという観点からも好ましい。多くの医学分野の応用、及びその他の応用では、ポンプ駆動される液体の容量はきわめて小さく、10ナノリットルから10マイクロリットルの範囲にあり、そのため、膜の直径は、典型的には、2から10 mmの範囲に納まると考えられる。
【0036】
膜変位を高い信頼度で、かつ十分に正確に測定するには、膜の弾性は、ある基準を満たさなければならない、特に、ヤング率は、所望の圧に応じてある範囲内に納まらなければならず、かつ、膜は、期待される膜変位の最大値に対し低いクリープ特徴を持たなければならない。10ナノリットルから2マイクロリットルの範囲に納まる、ポンプ駆動不連続容量Vの関数として膜を定義する各種パラメータの大きさの間に見られる相関の一例を下記に記載する。
【0037】
Timoshenkoら(Timoshenko, S.P., WoinowskyーKrieger, S., 1959. Theory of Plates and Shells(「プレート及び被殻の理論」). McGraw−Hill, New York)によれば、線形近似において、関係パラメータの大きさの間に下記の関係式を確立することが可能である:
【0038】
【数1】
【0039】
【表1】
【0040】
反復可能で、正確な測定を確保するには、応力下における膜のクリープが低いことが重要である。これは、最大応力εについて低い値を選ぶことによって実現することが可能である。材料によるが、応力の受容可能な値は:ε < 0.003であり、かつ、a及びpの間の直線的関係のために:ξ < 0.45である。
【0041】
注入容量
最初の工程は、汲みこまれる(注入)容量を選ぶことである。10 nlと2 μlの間の注入容量を持つ応用を仮定しよう。
【0042】
膜直径
若干の計算をすると、式(i)、(ii)、及び(iii)から、直径の下限は、ε及びξによって式(iv)に決定される。
【0043】
【数2】
【0044】
条件ε<0.003及びξ<0.45におけるプロットを図7aに示す。
【0045】
選ばれる直径は応用に依存する。しかしながら、関係式(iv)によって与えられるものよりも大きな値は、通常、都合よくない。なぜなら、ある一定容量では、振幅は、膜の直径の増加と共に減少するからである(式(i)を参照)。
【0046】
膜変位振幅
直径が選ばれると、振幅は、式(i)によって与えられる。ε<0.003及びξ<0.45において容量の関数として表した最大振幅を、図7bにプロットする。
【0047】
膜の厚さ
この時点で、容量、及び膜の直径が選ばれたので、最大振幅aが得られる。
【0048】
膜の厚さhは、二つの条件によって制限される。下限は、ξ=a/h (式(i)から導かれる)によって与えられる。
【0049】
【数3】
【0050】
hについてこれよりも低い値を選ぶと、a(p)の関係式は、非直線的になる。
【0051】
上限は、最大応力εによって決められる(式(i)、(ii)、及び(iv)から導かれる)。
【0052】
【数4】
【0053】
図7cは、hを選択することができる可能な間隔を示す。膜厚hの可能な選択が、100 nl容量(単純陰影区域)、及び500nl容量(陰影及び斜線区域)について、膜直径の関数として示される。
【0054】
ヤング率及びポアッソン比
この時点ではまだ、膜のヤング率を自由に選ぶことが可能である。この選択は、チャンバにおける所望の圧に依存する。ヤング率及び圧pの間の関係は、下式によって与えられる。
【0055】
【数5】
【0056】
これは、比Y/pが、ξ、ε、及びvのみに依存し、汲みこみ容量とは無関係であることを意味する。
従って、ε=0.003、ξ=0.45、及び、典型的値v=0.4においては、単純な式が得られる(即ち、p=50 mbarではY=630 N/mm2であり、p=1 barではY=12600 N/mm2である)。
【0057】
【数6】
【0058】
しかしながら、ε及びξの値は、応用毎に変動することが可能である。
【0059】
クリープ
クリープは十分に低く、膜のヤング率が応用時に変化しない程度(所望の正確度の範囲内で)でなければならない。図7dは、熱可塑性PBT (ポリブチレンテレフタレート)膜(GE Plastics供給、製品名Valox FR1−1001)の、数千ポンプサイクル後における振幅変動を示す。1サイクルは、指定容量の液体を、最大200 mbarの圧で輸送するポンプサイクルによって形成される。このポンプサイクルによる液体の輸送後、圧は、1.5秒の緩和時間をもって指数関数的に減少する(φ=3 mm、h=0.075 mm、v≒0.4、室温)。振幅は所望の正確度において一定であり続けるので、ヤング率は大きく変化しないこと、クリープは無視することが可能であることが結論される。このPBT膜については、このタイプの応用における最大応力は約0.3%、即ち、ε<0.003であることが見出された。
【実施例】
【0060】
下記の実施例は、ある応用のためにパラメータをどのように選択したらよいかを具体的に示す。
I. ある応用のために、容量V=100 nlを汲みこみたいと思っていると仮定しよう。
II. クリープを最小とするために、応力は、0.3% ⇒ε=0.003未満であると仮定しよう。
III. 線形範囲内にあるために、我々はξ<0.45を選ぶ。
IV. 式(iv)を用いて、我々は、直径φ>3.46 mmを計算する。我々は、φ=3.5 mmを選ぶ。
V. 式(i)から、我々は、振幅が31 μmを超えてはならないことを知る。
【0061】
【数7】
【0062】
我々は、h=70 μmを選ぶ。
VII. もしも膜が、v=0.45のポアッソン比を持ち、所望の圧が100 mbarであるならば、膜のヤング率は、Y=1.3 GPaでなければならない。
【0063】
特定の応用について、デバイスが最適性能を発揮するようにパラメータを選ばなければならない。実際の数値例の概要を、下記の表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
表2は本発明による液流感受性システムにおける各種パラメータの数値範囲の例である。
【0066】
前述のように、図5a及び図5bに示す測定システムが、応用のために最適機能を発揮するためには、膜は、ある弾性変位範囲を、即ち、好ましくは10 nlから2 μlの範囲の液体容量で、好ましくは10 mbarから500 mbarの範囲の圧を発生する注入容量によって、無視できるクリープ下に可逆的に膜を拡張することを可能とし、膜の緩和変位を測定可能とする弾性変位範囲を有することが必要である。膜は、ポリマー材料、例えば、ポリエステル、ポリイミド、又は、ポリカーボネートなどの材料で、その内のあるものは、好適に、所望のクリープ及びヤング率特性を有する材料、又は、ポリマー材料の複数層シートから製造されると好適である場合がある。PBTなどのある種のポリエステルは、GE plasticsから市販されるLexanなどのポリカーボネート、又は、DuPontから市販されるKaptonなどのポリイミド同様、優れたクリープ特性を示し、かつ、他の多くの熱可塑性ポリマーに対し簡単に接着又は溶着することが可能である。更に、チャンバの筐体も、ポリマーから、例えば、射出成形によって製造されると好適である場合があり、その場合、流入口及び抵抗性流出開口はそれによって一体的に形成される。膜は、積層材料又は複数層材料のシートから切り出された円板から形成されてもよく、チャンバ筐体に対し、その辺縁においてクランプ、固着、又は溶着されてもよい。膜は更に、射出成形によって、チャンバ筐体材料と一体的に形成されてもよく、或いは、円筒形の開始材料を研削して適切な孔を形成することによって形成されてもよい。
【0067】
測定システムの筐体及び膜をプラスチックから形成することによって、該測定システムは、コンパクト、軽量で、直列生産における製造が経済的となることが可能となる。更に、材料は、簡単にリサイクルされるように、廃棄しても環境に対する影響が最小となるように選んでもよい。プラスチック材料は更に、高度の設計柔軟性を提供する。即ち、測定システムは、ポンプシステム又は薬剤送達システムを、それと一体的に組み込んでもよいし、或いは、別々の成分としてそれに搭載させてもよい。
【0068】
膜は更に、測定システムの操作範囲にとって好適なものとして前述されたクリープ、ヤング率、及びその他の特性を示すものであれば、他の材料から製造することも可能と考えられる。
【0069】
ここで図5a及び図5bを参照すると、本発明による液流感受性システムの、医学分野における応用例が示される。
【0070】
図5a、図5bは、血糖監視システムであって、マイクロポンプ2と、その流出口において、経皮的に挿入されるように適応される針セクション46を持つ透析部材44の形状を持つ流出口システム6’に接続される測定システム4とを有する、本発明による液流感受性システム1に接続される感受液貯留槽42を持つ感受液供給システム40を含む、血糖監視システムを示す。この透析部材は、患者の細胞間液に接触すること(患者の血中グルコース濃度を定量するには、通常、血中グルコース濃度によって影響される、細胞間液中のグルコース濃度が測定される、即ち、ある一定の遅延時間において、細胞間液中のグルコース濃度は、血中グルコース濃度と平衡する)が意図される、半透膜48を持つセクションを含み、その際、半透膜は、その中をグルコースが拡散することを許す。この感受液は、膜及び透析針同様従来技術において公知であり、従って、ここでは詳しく説明しない。
【0071】
患者の血糖濃度に応じて、大小のグルコースが、半透膜を通じて拡散し感受液中に浸入し、感受液の粘度は、このグルコース濃度の関数として変動する。従って、感受液の粘度と、患者の血糖濃度の間には相関がある。従って、感受液の粘度を測定することによって、血糖濃度を定量することが可能である。
【0072】
図示の実施態様では、液流感受性システム1は、半透膜48の上流にあるが、一方、毛細管チャンネルセクション30’の形状を取る流動抵抗セクションは、半透膜の下流に配置される。
【0073】
流出口システムは、使用済み感受液を放出するための廃棄物貯留槽を含む。一方、それとは別に、感受液を再還流することによって、廃棄物チャンバを持たない閉鎖回路を設けることも可能である。結果として、半透膜は、グルコースが両方向に拡散することを可能とし、患者の血中のグルコース濃度と、感受液の間に平衡が実現されることを可能とする。従って、グルコース含量を持つ感受液は、再循環させ、再使用してもよい。
【0074】
このようにして、図5a、図5bの装置では、ある一定容量の感受液を半透膜セクションに汲みこみ、十分な時間それを放置してグルコースを膜を通じて拡散させ、それによって、膜の両側のグルコース濃度の間に平衡濃度が事実上実現されるようにすることによって、血糖濃度が測定される。次いで、ポンプによって、指定容量の感受液が、測定システムのチャンバ12の中に汲みこまれる。この指定容量の液体は、ポンプによって、抵抗性毛細管チャンネルセクション30’を通過する感受液の流速に比べて、急速に注入される。図3の信号Sによって示されるように、膜変位の振幅が測定され、ここに、緩和特徴Rは、液体粘度を表す。従って、振幅減衰特徴は、保存又は計算値と相関させ、そうすることによって、振幅減衰特徴を血糖濃度と相関させることが可能である。
【0075】
気泡含有液体の圧縮性は、空気の存在に従って変動するので、システムにおける空気の量は、膜の最大変位から計算することが可能である。仮令システムが空気によって撹乱されても、測定値に対する気泡の影響を取り込むことによって補正値を計算することが可能である。
【0076】
複数の、粘度の連続測定値が所望される場合には、図3に示すように、指定の緩和時間後ポンプ操作を逆転させて、汲みこまれた残留容量を除去して膜を中性状態に戻し、新規測定サイクルに対し態勢を整えることが可能である。
【0077】
図5a、図5bの実施態様は、透析針を注射針と交換することによって、液剤投与用に適応させてもよい。この場合、本発明による液流感受性システムは、漏洩又は閉塞検出システムとして機能してもよい。前記応用では、システムは、前述と同様の方法、即ち、マイクロポンプによって指定容量の液体を汲みこみ、次いで、膜変位を測定するように動作してもよい。この液流感受性システムには、感受性システムの反応を調整する必要に応じて、経皮注入システムの抵抗を増す、内部液流抵抗を設けてもよい。更に、感受性システムでは抵抗をまったく用いず、経皮注入流出口による液流抵抗のみに依存することも可能である場合がある。もしも注入流出口が、例えば、血栓、又は他の理由で阻止(閉塞)されているならば、反応Rocclは、図6に示すように、長い緩和時間を有するようになり、針が外れた場合のように抵抗が無い場合には(漏洩)、緩和時間は短く、反応Rleakのピーク変位はきわめて低くなる。上限Rup及び下限Rlow、及び、これらの限界の間に存在する期待反応Rを設定し、これらの限界を上回る、又は下回る反応は警告を発するようにすることによって、適正な操作が定められるようにしてもよい。
【0078】
図4a及び図4bは、別の実施態様による血糖監視システムであって、液体貯留槽及びマイクロポンプを含むポンプシステム2と、経皮的に挿入されるように適応される埋設可能部材60の形状を取る流出口システム6''に接続される測定システム4とを有する、本発明による液流感受システム1を含むシステムを示す。このポンプシステム及び測定システムは、患者によって携帯又は装着される筐体の中に収容され、例えば、患者の皮膚へ適用するための接着性ベース54を含む。
【0079】
埋設可能部材60は、筐体のベースから延びる針の形状を取ってもよいし、或いは、筐体とは分離し、該筐体とは、屈曲性カテーテルを介して相互に接続されてもよい。埋設可能部材は、患者の血液と接触することが意図される多孔質膜56、即ち、加圧下に、感受性システムの液体を貫通させる多孔質膜を持つセクションを含む。
【0080】
埋設可能部材を取り巻く媒体におけるグルコースの濃度が変化すると、多孔質膜56の中に含まれる多孔質膜の孔度も変化する。好ましくは、半透膜は、固定されたコンカナバリンA及びデキストラン分子を含み、ヒドロゲルを形成する。前記ヒドロゲルは、存在するグルコース濃度に応じてその構造を可逆的に変えることが可能である。遊離グルコース分子は、固定化コンカナバリンA分子に対し、競合的、特異的に結合する。グルコース濃度の上昇は、グルコース分子によって占拠される、コンカナバリンA結合部位の数を増し、従って、ヒドロゲル中に存在する孔のサイズを拡大する。グルコース濃度が減少すると、コンカナバリンAに結合するグルコースは、デキストラン分子によって置換され、これらデキストラン分子は、互いに連結して網状構造を形成し、従って、ヒドロゲル中に存在する孔のサイズを縮小する。多孔質膜が、周辺液に従ってグルコース濃度の平衡の95パーセントまで達するのに要する反応時間は、通常30秒と測定される。
【0081】
埋設可能部材を取り巻く溶液中のグルコース濃度の変化が0 mmol/lから30 mmol/lとすると(ヒト血液におけるグルコース濃度の正常帯域は、4 mmol/lから8 mmol/lである)、多孔質膜における実効孔(ポア)サイズは、典型的には、直径50 nmから100 nmの範囲を持つと考えられる。前述のように、屈曲性膜の減衰行動は、埋設可能部材中の多孔質膜の孔度に依存する流動抵抗に応じて変動する。多孔質膜を通過するときの流動抵抗が高ければ高いほど、圧発生手段によって輸送される液体によって引き起こされる変位の後、屈曲性膜が、その元の位置に達するのに要する時間は長くなる。測定システムの屈曲性膜は、その安静位置に戻るが、その一方で、液体は、流出口チャンネル10を通じてセンサーチャンバを離脱し、従って、該液体は、埋設可能部材の方に運ばれる。従って、血中グルコース濃度は、前述の液流感受性システムにおいて、多孔質膜を通過する流動抵抗を測定することによって定量することが可能である。これを、液体として生理的食塩水を用いて実行可能とすることが好ましい。
【0082】
それに対するグルコース濃度測定値の比較を可能とする標準値を定めるために、一連の、不連続用量液体を、例えば、50ナノリットルを3秒置きに注入する、即ち、屈曲性膜がその緩和状態に達するや否や、新規不連続容量の液体を送達する。このようにして、各測定の間に長い休止を置くこと無く、一連の流動抵抗測定が実行される。数ユニット、例えば、5ユニットが送達された後、多孔質膜の孔度は、医用デバイス中に含まれる液体のグルコース濃度によって決められる数値、即ち、既知の数値であり、参照値として使用することが可能な値に達する。第1ユニットは、埋設可能部材を取り囲む溶液中のグルコース濃度を測定するのに使用され、第2ユニットは、注射針腔中の平衡液体の、例えば、80%を置換し(この実施例では、ポンプ容量は、針中の活性容量に等しい)、第3ユニット後は、針の反応領域には、平衡液体の僅か約3%しか残っていない。従って、多孔質膜を通じて汲みこまれる、少数のユニット、例えば、5ユニットは、多孔質膜を洗い濯ぎ、較正のための参照値を取得するのに十分である。
【0083】
グルコース測定値を較正するには、単に、前述の一連の測定値の内の第1測定値(埋設可能部材を取り巻く溶液のグルコース濃度を測定する)を、最終測定値(医用デバイス中に存在する液体のグルコース濃度を測定する)と比較するだけでよい。
【0084】
一呼吸の後、例えば、30秒間の休止の後、多孔質膜の孔度は、再び膜を取り囲むグルコース濃度によって決定される値に達する。約30秒後、多孔質膜のポアサイズが50 nmから100 nmであるならば、針の反応部分の液体も、周辺溶液中に存在するものとほぼ同じグルコース濃度に達する。従って、前述の、一体化較正を備える新規測定サイクルを始めてもよい。
【0085】
通常、新規測定サイクルは、10分置きよりも高い頻度は必要とされない。従って、前述の遅延時間は、連続グルコース監視のための、本発明の応用を不当に制限することはない。
【0086】
埋設可能部材中のヒドロゲルは、スロット又は孔58を含む管状部材62の中に保持されてもよい。膜は、管状部材62によって支持されると有利であり、その際、該部材は、堅固な生体適合性材料であればいずれのものから製造されてもよく、例えば、金属、プラスチック、又はセラミック材料から製造されてもよい。
【0087】
本発明のために適切なヒドロゲルは既に詳細に説明されている。Tangらは、機械的、化学的に安定な、グルコース反応性ヒドロゲル膜の合成を報告する。これらは、いくつかの機械的形状に注型成形することが可能である。グルコース濃度の変化に対する反応は、両方向に、即ち、ゲル相及びゾル相間の移行において、可逆的であることが証明されている。更に、ヒドロゲルは、長期に亘ってコンカナバリンAの漏洩が無視できるほどであることを示した。異なる分子量を持つ、二つのデキストラン分子を使用することによって、ゲル構造に対しより大きな制御が可能となり、そのため、特性変化を、ヒドロゲル内部の多孔性の変化に限局させることが可能となる(Tang et al. 2003: A reversible hydrogel membrane and delivery of macromolecules(「可逆的ヒドロゲル膜及び巨大分子輸送」). Biotechnology and Bioengineering, Vol. 82, No. 1, April 5, 2003)。
【0088】
コンカナバリンAをヒドロゲル中に固定し、それによって、コンカナバリンAが患者の体内へ入れないようにすると有利である。なぜなら、コンカナバリンAは、ヒトに対し有毒作用を及ぼすことが報告されているからである。コンカナバリンAを固定する方法は既に報告されている:Miyataらは、コンカナバリンAと、グルコシルオキシエチルメタクリレート(GEMA)のコポリマーヒドロゲルの合成において、その合成物から、コンカナバリンAは漏洩せず、従って、多孔質膜孔度の可逆的変化を実現することが可能であることを報告している(Miyata et al. 2004: Glucoseーresponsive hydrogels prepared by copolymerization of a monomer with Con A(「あるモノマーとCon Aとのコポリマー形成によって調製されるグルコース反応性ヒドロゲル」). Journal Biomaterial Science Polymer Edition, Vol. 15, No. 9, pp 1085〜1098, 2004)。Kim及びParkは、グルコース含有ポリマーに対する、コンカナバリンAの固定を報告した(Kim J.J. and Park K. 2001: Immobilization of Concanavalin A to glucoseーcontaining polymers(「グルコース含有ポリマーに対するコンカナバリンAの固定」). Macromolecular Symposium, No. 172, pp95 〜 102, 2001)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定の容量Vの液体を輸送するように構成されるポンプシステム(2)と、該ポンプシステムと流出口システム(6)に接続されるチャンバ(12)を含む測定システム(4)とを含む、液流感受性システムであって、該チャンバは、前記指定容量Vの液体がチャンバ内に注入されることを可能とする振幅だけ弾性的に変位されるように構成される弾性膜(14)によって区画され、該測定システムは更に膜変位センサーを含み、該センサーは、指定容量Vの注入後、前記膜変位振幅の減衰特徴の少なくとも一部を測定して、その測定値を、該感受性システム下流の、液体の絶対又は相対粘度、又は流動抵抗の変化の定量のために、又は、液流回路における気泡の存在を決めるために使用することが可能な値に変換するように構成される、前記液流感受性システム。
【請求項2】
前記弾性膜がポリマーから製造される、請求項1記載の感受性システム。
【請求項3】
前記ポリマーが、ポリエステル、ポリイミド、又はポリカーボネートである、請求項2記載の感受性システム。
【請求項4】
前記膜が、前記チャンバの筐体に溶着又は接着されるシートである、請求項1ないし3いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項5】
前記チャンバが、熱可塑性材料の筐体の中に形成される、請求項1ないし4いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項6】
前記弾性膜の材料が、0.1 GPaから10 GPaの範囲のヤング率を有する、請求項1ないし5いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項7】
前記弾性膜に印加される最大応力εが0.01よりも低い、請求項1ないし6いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項8】
液体粘度の測定に使用するように構成され、前記測定のためのシステムが、前記チャンバと、該チャンバからの液流に対して抵抗を印加するための流出口システムとの間に毛細管セクション(30)を含む、請求項1ないし7いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか1項に記載の感受性システムを含む、血糖濃度監視システムであって、前記流出口システムが、経皮的に埋設が可能な部材を含むシステム。
【請求項10】
前記経皮埋設可能部材が、グルコース分子の貫通を許す半透膜を含み、かつ、前記液体が、グルコース濃度の関数として粘度を可逆的に変える性質を有する、請求項9記載の血糖濃度監視システム。
【請求項11】
前記経皮埋設可能部材が、該埋設可能部材を取り巻く媒体におけるグルコース濃度の関数として変化する孔度を有し、かつ、加圧下に、前記感受性システムの液体の貫通を可能とするように構成される、多孔質膜を含む、請求項9記載の血糖濃度監視システム。
【請求項12】
閉塞又は漏出検出のために構成される、請求項1ないし7いずれか1項に記載の感受性システムと、経皮注入部材を含む流出口システムとを含む、液剤送達システム。
【請求項13】
弾性膜(14)によって区画され、流動抵抗部分を持つ流出口(6)に接続されるチャンバ(12)を含む感受性システムを用いて液体の粘度を測定する方法であって、指定容量Vの液体をチャンバ内に注入する工程と、該弾性膜の変位の振幅を測定する工程と、該膜変位振幅の減衰特徴の少なくとも一セクションから、該液体の粘度と相関する値を決定する工程とを含む方法。
【請求項14】
前記指定容量Vの液体が、前記チャンバ(12)の流入チャンネル(8)に接続されるポンプ(2)によって該チャンバ内に注入される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記液体容量Vが、流動抵抗部分を通じて前記チャンバから流出する液体の平均速度の2倍よりも大きい速度で該チャンバに注入される、請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
前記液体容量Vが、流動抵抗部分を通じて前記チャンバから流出する液体の平均速度の5倍よりも大きい速度で該チャンバに注入される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記流出口の流動抵抗部分が、抵抗カニューレ又は毛細管チャンネル(30)によって形成される、請求項13ないし16いずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバ内に指定容量Vの液体を注入し指定の減衰時間後、残留過剰容量の液体が該チャンバから抽出されて前記膜をその中性状態に戻し、新規測定サイクルに対し態勢を整える、請求項13ないし17いずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
指定容量Vの液体を前記チャンバ内に注入する工程と前記膜変位振幅の減衰特徴を測定する工程とをそれぞれ含む複数の測定サイクルが連続的に行われて、該液体の粘度に相関する値を決定する、請求項13ないし18いずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記指定容量Vの液体が、10ナノリットルから10マイクロリットルの範囲にある、請求項13ないし19いずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
弾性膜によって区画され、流動抵抗部分を持つ流出口に接続されるチャンバを含む感受性システムによって、液体輸送回路の漏洩又は閉塞を検出する方法であって、指定容量Vの液体を該チャンバ中に注入する工程と、該膜の変位の振幅を測定する工程と、該膜の変位振幅の減衰特徴の、少なくとも一セクションから、該液体の流動抵抗と相関する値を決定する工程とを含む方法。
【請求項22】
請求項9記載のシステムによって血糖濃度を定量する方法であって、グルコース濃度に対して感受性を持つ液体の指定容量Vを前記チャンバ中に注入する工程と、前記膜の変位の振幅を測定する工程と、該膜の変位振幅の減衰特徴の少なくとも一セクションから該液体の粘度と相関する値を決定し、それによってグルコース濃度を定量する工程とを含む方法。
【請求項23】
弾性膜によって区画され、かつ、グルコース濃度の関数として孔度を変動させる、埋設可能多孔質膜を持つ流出口システムに接続されるチャンバ含む感受性システムによって血糖濃度を定量する方法であって、指定容量Vの液体を該チャンバ中に注入する工程と、該膜の変位の振幅を測定する工程と、該膜の変位振幅の減衰特徴の少なくとも一セクションから該多孔質膜を通過する該液体の流動抵抗と相関する値を決定し、それによってグルコース濃度を定量する工程とを含む方法。
【請求項24】
前記多孔質膜を通じて前記液体を汲みこむことによって該多孔質膜を濯ぎ、次いで、該多孔質膜を貫通する該液体の流動抵抗を測定する工程を更に含む、請求項22又は23記載の方法。
【請求項1】
指定の容量Vの液体を輸送するように構成されるポンプシステム(2)と、該ポンプシステムと流出口システム(6)に接続されるチャンバ(12)を含む測定システム(4)とを含む、液流感受性システムであって、該チャンバは、前記指定容量Vの液体がチャンバ内に注入されることを可能とする振幅だけ弾性的に変位されるように構成される弾性膜(14)によって区画され、該測定システムは更に膜変位センサーを含み、該センサーは、指定容量Vの注入後、前記膜変位振幅の減衰特徴の少なくとも一部を測定して、その測定値を、該感受性システム下流の、液体の絶対又は相対粘度、又は流動抵抗の変化の定量のために、又は、液流回路における気泡の存在を決めるために使用することが可能な値に変換するように構成される、前記液流感受性システム。
【請求項2】
前記弾性膜がポリマーから製造される、請求項1記載の感受性システム。
【請求項3】
前記ポリマーが、ポリエステル、ポリイミド、又はポリカーボネートである、請求項2記載の感受性システム。
【請求項4】
前記膜が、前記チャンバの筐体に溶着又は接着されるシートである、請求項1ないし3いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項5】
前記チャンバが、熱可塑性材料の筐体の中に形成される、請求項1ないし4いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項6】
前記弾性膜の材料が、0.1 GPaから10 GPaの範囲のヤング率を有する、請求項1ないし5いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項7】
前記弾性膜に印加される最大応力εが0.01よりも低い、請求項1ないし6いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項8】
液体粘度の測定に使用するように構成され、前記測定のためのシステムが、前記チャンバと、該チャンバからの液流に対して抵抗を印加するための流出口システムとの間に毛細管セクション(30)を含む、請求項1ないし7いずれか1項に記載の感受性システム。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれか1項に記載の感受性システムを含む、血糖濃度監視システムであって、前記流出口システムが、経皮的に埋設が可能な部材を含むシステム。
【請求項10】
前記経皮埋設可能部材が、グルコース分子の貫通を許す半透膜を含み、かつ、前記液体が、グルコース濃度の関数として粘度を可逆的に変える性質を有する、請求項9記載の血糖濃度監視システム。
【請求項11】
前記経皮埋設可能部材が、該埋設可能部材を取り巻く媒体におけるグルコース濃度の関数として変化する孔度を有し、かつ、加圧下に、前記感受性システムの液体の貫通を可能とするように構成される、多孔質膜を含む、請求項9記載の血糖濃度監視システム。
【請求項12】
閉塞又は漏出検出のために構成される、請求項1ないし7いずれか1項に記載の感受性システムと、経皮注入部材を含む流出口システムとを含む、液剤送達システム。
【請求項13】
弾性膜(14)によって区画され、流動抵抗部分を持つ流出口(6)に接続されるチャンバ(12)を含む感受性システムを用いて液体の粘度を測定する方法であって、指定容量Vの液体をチャンバ内に注入する工程と、該弾性膜の変位の振幅を測定する工程と、該膜変位振幅の減衰特徴の少なくとも一セクションから、該液体の粘度と相関する値を決定する工程とを含む方法。
【請求項14】
前記指定容量Vの液体が、前記チャンバ(12)の流入チャンネル(8)に接続されるポンプ(2)によって該チャンバ内に注入される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記液体容量Vが、流動抵抗部分を通じて前記チャンバから流出する液体の平均速度の2倍よりも大きい速度で該チャンバに注入される、請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
前記液体容量Vが、流動抵抗部分を通じて前記チャンバから流出する液体の平均速度の5倍よりも大きい速度で該チャンバに注入される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記流出口の流動抵抗部分が、抵抗カニューレ又は毛細管チャンネル(30)によって形成される、請求項13ないし16いずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバ内に指定容量Vの液体を注入し指定の減衰時間後、残留過剰容量の液体が該チャンバから抽出されて前記膜をその中性状態に戻し、新規測定サイクルに対し態勢を整える、請求項13ないし17いずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
指定容量Vの液体を前記チャンバ内に注入する工程と前記膜変位振幅の減衰特徴を測定する工程とをそれぞれ含む複数の測定サイクルが連続的に行われて、該液体の粘度に相関する値を決定する、請求項13ないし18いずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記指定容量Vの液体が、10ナノリットルから10マイクロリットルの範囲にある、請求項13ないし19いずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
弾性膜によって区画され、流動抵抗部分を持つ流出口に接続されるチャンバを含む感受性システムによって、液体輸送回路の漏洩又は閉塞を検出する方法であって、指定容量Vの液体を該チャンバ中に注入する工程と、該膜の変位の振幅を測定する工程と、該膜の変位振幅の減衰特徴の、少なくとも一セクションから、該液体の流動抵抗と相関する値を決定する工程とを含む方法。
【請求項22】
請求項9記載のシステムによって血糖濃度を定量する方法であって、グルコース濃度に対して感受性を持つ液体の指定容量Vを前記チャンバ中に注入する工程と、前記膜の変位の振幅を測定する工程と、該膜の変位振幅の減衰特徴の少なくとも一セクションから該液体の粘度と相関する値を決定し、それによってグルコース濃度を定量する工程とを含む方法。
【請求項23】
弾性膜によって区画され、かつ、グルコース濃度の関数として孔度を変動させる、埋設可能多孔質膜を持つ流出口システムに接続されるチャンバ含む感受性システムによって血糖濃度を定量する方法であって、指定容量Vの液体を該チャンバ中に注入する工程と、該膜の変位の振幅を測定する工程と、該膜の変位振幅の減衰特徴の少なくとも一セクションから該多孔質膜を通過する該液体の流動抵抗と相関する値を決定し、それによってグルコース濃度を定量する工程とを含む方法。
【請求項24】
前記多孔質膜を通じて前記液体を汲みこむことによって該多孔質膜を濯ぎ、次いで、該多孔質膜を貫通する該液体の流動抵抗を測定する工程を更に含む、請求項22又は23記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【公表番号】特表2011−501182(P2011−501182A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530610(P2010−530610)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054359
【国際公開番号】WO2009/053915
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510028512)ゼンズィーレ パット アーゲー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054359
【国際公開番号】WO2009/053915
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510028512)ゼンズィーレ パット アーゲー (3)
【Fターム(参考)】
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