説明

液滴分離器

【構成】本発明は燃料収容器のブリード管路用の液滴分離器1に関し、該燃料収容器の充填材管部8が囲うスペースに接続され、より好ましくは前記充填材管部8の補給流路に直接取り付けられる液滴分離器筺体部2と、少なくとも2つのブリード管路接続部を有し、前記筺体は少なくとも1つの隔壁6によって少なくとも2つの別個のガス路7a、7bに分割され、第1のガス路7aはガス流入路として形成され、第2のガス路7bはガス放出路として形成され、前記ガス流入路7aは端部でカバー9によって閉じられ、前記液滴分離器筺体部2の外部接続壁11内の開口部を介して前記充填材管部8と連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料収容器のブリード管路用の液滴分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような液滴分離器は、例えば下記の特許文献により知られている。
【0003】
【特許文献1】ドイツ 実用新案 第20 2008 001 586号(U1)
【0004】
この実用新案は、自動車の燃料システムの液体蒸気分離器に関し、該液体蒸気分離器は、燃料タンクの通気システムに接続される吸入口を有し、燃料蒸気フィルターに接続される蒸気出口を有する筺体を有する。該筺体は、燃料液滴の凝縮のための凝縮室を有し、この凝縮室は燃料収容器の充填首部に取り付けられ、或いはそこと連通される。
【0005】
燃料収容器を空気抜きする際の流入ガス体積分の流れは、通常、燃料蒸気フィルターの形式の活性炭フィルターを介して送られる。この燃料蒸気フィルター若しくは活性炭フィルターの機能的な効率を確保するために、燃料ガス体積分の中の液相若しくは液滴の形式の炭化水素を維持する必要がある。燃料ガス体積分の流れに連なるこれらの液滴は、"リキッドキャリーオーバー(liquid carry-over)"とも称される。もし液体の炭化水素が活性炭フィルターに到達すると、これは微小孔の吸着体積分を阻止し、それ故に燃料蒸気フィルターにおける吸着容量を減ずるように導く。
【0006】
このため、燃料収容器のブリード管路に液滴分離器を配することが知られており、前記液滴分離器は、分離された"リキッドキャリーオーバー"若しくは入ってくる液体が燃料収容器に戻れるように充填材管部と連通する。例えば、前記特許文献による液滴分離器の場合に実施されるものでは、充填材頭部の領域で充填材管部に液滴分離器筺体を取り付け、充填材首部によって囲われた補給流路に連通する液滴分離器の凝縮室が配置される。
【0007】
ブリード管路は、充填材頭部の領域で充填材管部の充填材端部に可能な限り近づいて都合良く取り付けられる。この領域では、充填材管部は挿入物と共に提供され、該挿入物はノズルの案内、間違ったタイプの燃料の給油に対する保護、及び充填材管部の接地を確実なものさせる。特に、"案内されないフラップ"は通常現時点では間違ったタイプの燃料の給油に対する保護として配設される。ブリード管路から充填材管部に導入された一般的に熱い気体は、給油時に開いた案内されないフラップに接し、強い揺れを受ける。その熱い気体は冷たい燃料噴射に接するようになる。タンクシステム内の熱い先の充填と冷たい燃料の送りに関して熱い気体と冷たい気体を混ぜることで、高いレベルの凝縮生成物と共にガス膨張が引き起こされる。これは意図しないノズルの閉じ込みにつながるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、液滴分離器を提供することであり、該液滴分離器は、流れについて特に好ましい方法、且つ比較的に簡単に生産される方法でブリーディングガス体積分の流れの充填材管部への導入を確実なものとする。さらに、本発明による液滴分離器は特に簡素な設計となるべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が基礎を置く目的は、燃料収容器のブリード管路用の液滴分離器であって、前記燃料収容器の充填材管部に囲まれた室に取り付けられ、より好ましくは前記充填材管部の補給流路に直接取り付けられる液滴分離器筺体部と、少なくとも2つのブリード管路接続部を有し、前記筺体は少なくとも1つの隔壁によって少なくとも2つの別個のガス路に分割され、第1のガス路はガス流入路として形成され、第2のガス路はガス放出路として形成され、前記ガス流入路は端部でカバーなどによって閉じられ、前記液滴分離器筺体部の外部接続壁内の開口部を介して前記充填材管部と連通することを特徴とする。
【0010】
本発明は概略的には次のように要約される。充填材管部そのものがブリード路の一部をなすように燃料収容器が充填材管部の補給流路の外部に取り付けられ、該燃料収容器のブリーディングシステムのブリード管路に配設される液滴分離器においては、充填材管部に開口するガス流入路の部分、すなわち燃料収容器から充填材管部へのブリード管路の部分が、端部で閉じられ、燃料収容器に給油する際には、充填材管部へのブリーディング体積分の流れは、ノズルから充填材管部に導入される燃料噴射には直接接触することはない。むしろ、このブリーディング体積分の流れは曲げられて、ノズルの口領域での高レベルでの凝縮形成は防止される。
【0011】
このような比較的に簡単な手段が、給油中にノズルが挿入される充填材管部の領域に増大した凝縮生成を防止できることは、驚くべきことに既に見出されている。いかなるノズルの意図しない閉じ込みは効果的にこのように回避できる。均衡孔を伴うノズルを配することは知られており、その均衡孔で真空が引かれ、圧力が上昇したときには、例えば液体燃料が均衡孔に到達するので直接ノズルを閉じ込むように導く。
【0012】
本発明による液滴分離器の特に有益な変形例では、カバーが隔壁の部分から形成される。特に、それは本発明の液滴分離器を比較的に簡素な射出成型機を使用して特に容易に生成することができる。例えば、カバーは一体蝶番を介して前記隔壁と蝶番とされることができ、返されることで、充填材管部内に液滴分離器を組み入れる前にガス流入路の端部を閉める位置にカバーを運ぶことができる。特に、そのようなデザインでは本発明の液滴分離器が比較的に簡単な金型を用いた射出成型法で全体で1つの部品に成形できるという利点を有することになる。
【0013】
カバーはガス流入路を閉じる位置に掛け金(ラッチ)されるように便宜上固定される。この点において例えば1つ若しくはそれ以上のラッチ突起部やラッチ開口部をその周辺に設けることができ、このようなラッチ突起部やラッチ開口部は、液滴分離器筺体の外部接続壁若しくは液滴分離器筺体に配される接続片の対応するラッチ突起部やラッチ開口部に協働することができる。
【0014】
本発明の液滴分離器のより好ましい変形例においては、液滴分離器筺体は燃料収容器の充填材管部に接続するための溶着フランジを有する。
【0015】
前記液滴分離器筺体は、好ましくは少なくとも1つの開口接続片を有し、該開口接続片の外部接続壁は前記ガス流入路と前記ガス放出路に部分的に囲まれている。この開口接続片は、充填材管部又は充填材管部の外壁若しくは充填材管部の上流に配設される回収室の外壁に設けられる対応する開口部を貫通することができる。
【0016】
この液滴分離器が設置されたときには前記開口接続片が燃料収容器の充填材管部に挿入されるように溶着フランジにより決められる液滴分離器筺体の組み立て面を越えて前記開口接続片が便宜的に突出する。
【0017】
本発明は更に自動車用の燃料収容器に関するものであり、該燃料収容器は燃料蒸気フィルターへの少なくとも1つのブリード管路を備えた少なくとも1つのブリーディングシステムを有する少なくとも1つの充填材管部を有し、前記ブリーディングシステムは少なくとも1つの前述の請求項のうちの1つの特徴を備えた液滴分離器を有し、前記液滴分離器は前記充填材管部の補給流路に直接取り付けられている。
【0018】
液滴分離器若しくは液滴分離器筺体は、便宜上、溶着フランジを介して充填材管部の外壁にしっかりと溶着され、開口接続片として形成される管接続片によって、前記充填材管部の外壁の開口部若しくは充填材管部に取り付けられたガス回収室の外壁の開口部を貫通する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は図面に示される実施形態に基礎を置いて下記に説明されるものであり、それら次のものである。
【図1】本発明の燃料収容器の充填材管部の外観図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】非組み立て位置の本発明の液滴分離器の断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の液滴分離器1は、液滴分離器筺体部2と2つのブリード管路接続部3を有しており、図示の実施形態では樅の木分布を有する管継手として形成される。液滴分離器筺体部2は樹脂製の燃料収容器の充填材管部8に溶着される周辺溶着カラー5を有する円筒状の管接続片4を基礎的に有している。簡単のため充填材管部8のみ図示する燃料収容器は、少なくとも炭化水素へのバリア層を有するHDPE(高密度ポリエチレン)系の多層の熱可塑性樹脂により既知の方法により構成される。
【0021】
本発明の液滴分離器1は、同様に熱可塑性樹脂により形成され、好ましくは溶着性において充填材管部8と互換性のある樹脂により形成される。例えば、液滴分離器は射出成形部品として形成される。
【0022】
液滴分離器筺体部2上に配されるブリード管路接続部3は、当該液滴分離器1が設置される際に燃料収容部のブリードシステムの図示しないブリード管路にそれぞれ取り付けられる。例えば、給油バルブと作動ブリーディングバルブは収容器側に配され、回収ブリード管部を介して液滴分離器1に取り付けられる。
【0023】
本発明の液滴分離器1は、前記回収ブリード管部から充填材管部8への第1のガス路7aと、充填材管部8から(図示しない)燃料蒸気フィルターへの第2のガス路7bを決める。
【0024】
特に図2に示されるように、液滴分離器筺体部2は、その上に配される円筒状の管接続片4が充填材管部8内の開口部を貫通して充填材管部8に入り込むように燃料収容器の充填材管部8に取り付けられる。液滴分離器筺体部2は周辺溶着カラー5の領域で充填材管部8にしっかりと溶着される。第1と第2のガス路は液滴分離器筺体部2内で当該液滴分離器筺体部2内で延長される隔壁6によって分離される。第1のガス路7aはガス流入路を形成し、それは燃料収容器の回収ブリード管部に取り付けられ、一方、第2のガス路7bはガス放出路を形成し、それは燃料収容器の燃料蒸気フィルターに取り付けられる。例えば、この燃料蒸気フィルターは、言うまでもないが活性炭フィルターで形成することができる。
【0025】
液滴分離器1の管接続片4は充填材管部8の開口部に挿入される。それは例えば放出のために形成することができ、該管接続片4は充填材管部8に囲まれた給油タンクに突出したり、差し込むようにすることができる。
【0026】
隔壁6がカバー9によって閉じられ、該カバー9は隔壁6の延長部として形成され、一体蝶番10を介して隔壁と蝶番とされる。
【0027】
図2に示すように、カバー9は設置時に第1のガス路7aの開口端部を閉じるものとされる。それを介してブリーディングガス体積分の流れが室に到達し、充填材管部8によって囲まれる窓部12、すなわち補給流路は、管接続片4の外部接続壁11の開口部として配設される。ガス体積分の流れはカバー9により90度効果的に曲げられてブリーディングガス体積分の流れがその領域に配された充填材管部8内の閉じ込みフラップに接することを防止される。
【0028】
図3及び図4は充填材管部8の上に組み立てられていない位置における本発明の液滴分離器1を示し、カバー9はガス流入路7aを閉じない位置にあるところを示している。
【0029】
本発明の文脈において、"ガス流入路"や"ガス放出路"の表現は、充填材管部8についてのガスの流れを言うものである。第1のガス路7aはよって充填材管部8への入れる給油や作動ブリーディング体積分の流れを導入するのに使用され、一方、第2のガス路7bは給油や作動ブリーディング体積分の流れを充填材管部から外へ案内し、充填材管部に囲まれた補給流路から外へ燃料蒸気フィルターに向かって案内する。特に、自動車の給油時に、液滴分離器1の領域で充填材管部8に囲まれている体積は、給油のブリーディング時に運ばれた液体炭化水素粒子のための回収室として使用される。
【0030】
図3、図4は非使用の位置、例えば射出成型機から取り出されたところの位置における本発明の液滴分離器1を示す。カバー9は動かされ、或いはカバー9は充填材管部8内に組み込まれる前に一体蝶番10によって決められる線に沿って図2に示す位置に折り曲げられる。これによって、カバー9はラッチ突起13と共に配設され、該ラッチ突起13は終端部で管接続片4の外部接続壁11のラッチ凹部14と嵌合若しくは係合する。
【符号の説明】
【0031】
1 液滴分離器
2 液滴分離器筺体部
3 ブリード管部接続部
4 管接続片
5 溶着カラー
6 隔壁
7a、7b 第1、第2のガス路
8 充填材管部
9 カバー
10 一体蝶番
11 外部接続壁
12 窓部
13 ラッチ突起
14 ラッチ凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料収容器のブリード管路用の液滴分離器であって、前記燃料収容器の充填材管部に囲まれた室に取り付けられ、より好ましくは前記充填材管部の補給流路に直接取り付けられる液滴分離器筺体部と、少なくとも2つのブリード管路接続部を有し、前記筺体は少なくとも1つの隔壁によって少なくとも2つの別個のガス路に分割され、第1のガス路はガス流入路として形成され、第2のガス路はガス放出路として形成され、前記ガス流入路は端部でカバーなどによって閉じられ、前記液滴分離器筺体部の外部接続壁内の開口部を介して前記充填材管部と連通することを特徴とする液滴分離器。
【請求項2】
請求項1記載の液滴分離器であって、前記カバーは前記隔壁の部分からなることを特徴とする液滴分離器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の液滴分離器であって、前記カバーは前記隔壁の延長部として形成され、該延長部は一体蝶番を介して前記隔壁と蝶番とされることを特徴とする液滴分離器。
【請求項4】
請求項3記載の液滴分離器であって、前記カバーは前記ガス流入路を閉じる位置で、掛け金の方法で固定されることを特徴とする液滴分離器。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちの1つに記載の液滴分離器であって、前記液滴分離器筺体部は、前記燃料収容器の前記充填材管部に接続するための溶着フランジを有することを特徴とする液滴分離器。
【請求項6】
請求項1乃至4のうちの1つに記載の液滴分離器であって、前記液滴分離器筺体部は、少なくとも1つの開口接続片を有し、開口接続片の外部接続壁は前記ガス流入路と前記ガス放出路に部分的に囲まれていることを特徴とする液滴分離器。
【請求項7】
請求項6記載の液滴分離器であって、当該液滴分離器が設置されたときには前記開口接続片が前記充填材管部に挿入されるように溶着フランジにより決められる面を越えて前記開口接続片が突出することを特徴とする液滴分離器。
【請求項8】
自動車用の燃料収容器であって、燃料蒸気フィルターへの少なくとも1つのブリード管路を備えた少なくとも1つのブリーディングシステムを有する少なくとも1つの充填材管部を有し、前記ブリーディングシステムは少なくとも1つの前述の請求項のうちの1つの特徴を備えた液滴分離器を有し、前記液滴分離器は前記充填材管部の補給流路に直接取り付けられていることを特徴とする燃料収容器。
【請求項9】
請求項8記載の燃料収容器であって、前記液滴分離器筺体部は、溶着フランジを介して前記充填材管部の外壁に固く溶着され、開口接続片として形成される管接続片によって、前記充填材管部の外壁の開口部を貫通することを特徴とする燃料収容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515907(P2013−515907A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546378(P2012−546378)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007820
【国際公開番号】WO2011/082808
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(510169365)コーテックス テクストロン ジーエムビーエイチ アンド シーオー ケージー (12)
【Fターム(参考)】