説明

液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置

【課題】曲げ方向を逆側に反転させて液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、液滴吐出ヘッドが捩じれても、狙いどおりに液滴吐出ヘッドを曲げて逆側に反転させることができる液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置を得る。
【解決手段】流路部材12には、ノズル16が形成された吐出板56と、吐出板56と対向する対向板58が設けられている。吐出板56と対向板58との間に設けられる空間を区画して複数個の液流路14を形成する区画壁60は、液流路14の長手方向に延び、断面円形状とされている。液滴吐出ヘッド10を曲げる場合に、連結部材40による支持部材20の把持位置がずれて液滴吐出ヘッド10が捩じれてしまったときでも、区画壁60の断面が円形状であるため全方向に渡って同じように曲がり、矩形状の断面である場合と比して、断面円形状の区画壁60は、狙いどおりに曲がり、狙いどおりに液滴吐出ヘッド10を曲げて逆側に反転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、サーマルインクジェットヘッドにおいて、ノズルから液滴を吐出する直前に二液を混合させることで,ヒータ上のインク焦げを抑制し,吐出された液滴の自然混合及び自然乾燥を防止する技術が記載されている。
【0003】
そして、このサーマルインクジェットヘッドの圧力室は、基板、オリフィスプレートとなだらかな曲線を組み合わせた形状の隔壁から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−71887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、液滴吐出ヘッドの捩じれが、液滴吐出ヘッドを曲げて逆側に反転させることへの影響を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出する吐出部が形成された吐出板と前記吐出板に対向する対向板とを有し、前記吐出板と前記対向板との間に液体が供給される複数個の流路が形成された流路部材と、前記流路部材が接合され、又は前記流路部材を含み、前記吐出部が形成された吐出面が凹となるように曲げ変形した後、吐出面が凸となるように曲げ方向を反転することで、前記吐出部より液滴を吐出させる梁部材と、前記吐出板と前記対向板との間に形成された空間を複数個の前記流路に区画すると共に、前記吐出板及び前記対向板に向うにつれて、前記流路を流れる液体の流れ方向に対して直交する方向に切断した断面の幅が小さくなるような曲面で壁面が構成された区画壁と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出する吐出部が形成された吐出板と前記吐出板に対向する対向板とを有し、前記吐出板と前記対向板との間に液体が供給される複数個の流路が形成された流路部材と、前記流路部材が接合され、又は前記流路部材を含み、前記吐出部が形成された吐出面が凹となるように曲げ変形した後、吐出面が凸となるように曲げ方向を反転することで、前記吐出部より液滴を吐出させる梁部材と、前記吐出板と前記対向板との間に形成された空間を区画して前記流路を構成すると共に、前記梁部材の曲げ方向における中立軸が前記対向板側よりも前記吐出板側に寄っている区画壁と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係る液滴吐出ヘッドは、請求項2に記載において、液滴を吐出する吐出部が形成された吐出板と前記吐出板に対向する対向板とを有し、前記吐出板と前記対向板との間に液体が供給される複数個の流路が形成された流路部材と、前記流路部材が接合され、又は前記流路部材を含み、前記吐出部が形成された吐出面が凹となるように曲げ変形した後、吐出面が凸となるように曲げ方向を反転することで、前記吐出部より液滴を吐出させる梁部材と、前記吐出板と前記対向板との間に形成された空間を区画して前記流路を構成すると共に、前記吐出板に向って幅が大きくなるように形成される区画壁と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4に係る液滴吐出ヘッドは、請求項1〜3何れか1項に記載において、前記区画壁は、メッキ法で成形されることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る液滴吐出装置は、請求項1〜4何れか1項に記載された液滴吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドの両端を把持して前記液体吐出ヘッドに曲げ変形を与える変形付与部材と、前記変形付与部材を制御する制御部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の構成によれば、流路を区画する区画壁が、矩形の場合と比して、液滴吐出ヘッドが捩じれても、液滴吐出ヘッドを曲げて逆側に反転させることへの影響を低減できる。
【0012】
本発明の請求項2の構成によれば、流路を区画する区画壁が、矩形の場合と比して、液滴吐出ヘッドが捩じれても、液滴吐出ヘッドを曲げて逆側に反転させ易くできる。
【0013】
本発明の請求項3の構成によれば、流路を区画する区画壁が、矩形の場合と比して、液滴吐出ヘッドが捩じれても、滑らかに液滴吐出ヘッドを曲げて逆側に反転させることができる。
【0014】
本発明の請求項4の構成によれば、流路を区画する区画壁が、エッチング法で成形する場合と比して、成形するための工程数を少なくすることができる。
【0015】
本発明の請求項5の構成によれば、請求項1〜4何れか1項に記載された液滴吐出ヘッドが設けられない場合と比して、液滴吐出ヘッドが捩じれても、液滴吐出ヘッドを曲げて逆側に反転させることへの影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)(B)(C)本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドを示した側面図、断面図、斜視図である。
【図2】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る流路部材を示した断面図、斜視図である。
【図3】(A)(B)(C)本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの液滴吐出工程を示した工程図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの区画壁を成形する工程を示した工程図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を示した斜視図である。
【図6】(A)(B)(C)本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッドの液滴吐出工程を示した工程図である。
【図7】(A)(B)(C)本発明の第2実施形態に係る液滴吐出ヘッドを示した側面図、断面図、斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る液滴吐出ヘッドの区画壁を成形する工程を示した工程図である。
【図9】(A)(B)(C)本発明の第3実施形態に係る液滴吐出ヘッドを示した側面図、断面図、斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る液滴吐出ヘッドの区画壁を成形する工程を示した工程図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る液滴吐出ヘッドの区画壁を成形する工程を示した工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1実施形態に係る液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置の一例について図1〜図6に従って説明する。
【0018】
(全体構成)
図5に示されるように、液滴吐出装置100には、高粘度(例えば80〜120mPa・s)の液体を被吐出物Pに連続吐出する液滴吐出ヘッド10と、液体吐出ヘッド10の両端を把持して液体吐出ヘッド10に曲げ変形を与える変形付与部材11と、変形付与部材11の駆動を制御する制御部102と、被吐出物Pを搬送する複数個の搬送ロール104とが設けられている。
【0019】
図1(A)(B)(C)に示されるように、液滴吐出ヘッド10には、内部に液体が流れる液流路14を備え、長手方向中央部に液流路14を流れる液体を液滴として吐出するための吐出部としてのノズル16が形成された中空チューブ状の流路部材12が設けられている。なお、流路部材12の構造については、詳細を後述する。
【0020】
さらに、流路部材12においてノズル16が形成されない一方の面には、流路部材12を支持する梁部材18が接合され、流路部材12及び梁部材18の両端には、流路部材12及び梁部材18を支持する支持部材20が設けられている。
【0021】
また、流路部材12の両端を支持する支持部材20は、変形付与部材11を構成する連結部材40に把持され、この連結部材40を介してエンコーダ付の回転部材42に接続されている。つまり、流路部材12から液滴が吐出される方向にオフセットされた位置に回転中心を備える回転部材42によって支持部材20が支持されるようになっている。
【0022】
この構成により、回転部材42が一方又は他方に回転することで、支持部材20を介して梁部材18は両側から押され、あるいは曲げ方向に力が加えられ、流路部材12は、液滴吐出方向(図1で示す上方向)及びその反対方向(図1で示す下方向)に撓むようになっている。
【0023】
そして、流路部材12に形成された液流路14の一端(図1(B)に示す右端)に繋がるように、ノズル16から吐出される液体が貯留される液溜38が設けられており、さらに、液溜38に貯留された液体に背圧を印加する印加部材(図示省略)が設けられている。また、印加部材によって背圧が印加されて液溜38から液流路14へ供給され、ノズル16まで達した液体は、流路部材12の撓みによって生じる慣性力でノズル16から液滴吐出方向に吐出されるようになっている。
【0024】
また、図1(B)に示されるように、ノズル16に対して反対方向の流路部材12及び梁部材18には、開口44が設けられ、液流路14が大気中に開放される構成となっている。そして、液流路14を流れる液体は、開口44の近傍に形成された液溜48に一時的に滞留するようになっている。
【0025】
さらに、流路部材12に形成された液流路14の他端(図1(B)に示す左端)には、液流路14と繋がる液吸引プール50が設けられており、液吸引プール50には、図示せぬ吸引手段によって負圧が印加されている。この構成により、液溜38から液流路14を通って液溜48に滞留する液体は、ノズル16を挟んで液溜38の逆側に設けられた液流路14を通って液吸引プール50に逐次吸引されるようになっている。
【0026】
(要部構成)
次ぎに、流路部材12に設けられる液流路14の構造について説明する。
【0027】
図1(C)に示されるように、流路部材12には、ノズル16が形成された吐出板56と、吐出板56と対向する対向板58が設けられている。さらに、吐出板56と対向板58との間に設けられる空間を区画して複数個の液流路14を形成する区画壁60が設けられている。
【0028】
区画壁60は、液流路14の長手方向に延び、断面円形状とされている。従って、液滴吐出ヘッド10を曲げる場合に、連結部材40による支持部材20の把持位置がずれて、液滴吐出ヘッド10が捩じれてしまったときでも、区画壁60の断面が円形状であるため区画壁60は全方向に渡って同じように曲がり、区画壁が矩形状の断面である場合と比して、液滴吐出ヘッド10は、捩じれの影響を受け難くなっている。
【0029】
ここで、区画壁60の成形方法の一例について説明する。
【0030】
図4に示されるように、吐出板56又は対向板58となる基板62上にパターニングされたシード膜64を形成し、電解メッキにてシード膜64上に区画壁60を形成させる。これにより、断面円形状の区画壁60を得る。
【0031】
(作用)
次ぎに、ノズル16から液滴を吐出させる動作について説明する。
【0032】
図2(A)(B)に示されるように、流路部材12によって形成された液流路14内へ、背圧が印加された液体が供給され、開口44の近傍で形成される液溜48には、液体が常に供給される。
【0033】
このとき、液溜48では、供給不足とならないように吐出で失われる液量よりも多量の液体が一時的に保持され、余剰分の液体は負圧が印加された液吸引プール50(図1(B)参照)によって吸引されて排出される。
【0034】
これにより、液溜48の液体は自由表面を形成し、ノズル16から吐出される液滴の慣性吐出を阻害する液体の剪断抵抗などは抑制され、ノズル16の反対方向が密閉された構造と比較して、液体が高粘度であっても吐出を阻害しにくいようになっている。
【0035】
そして、ノズル16から液滴を吐出させる場合には、先ず、図3(A)に示されるように、ノズル16が形成された吐出面28が液滴吐出方向(図3に示す上方向)に凹となるように、回転体42を回転させて梁部材18を撓ませる。
【0036】
さらに、図3(B)に示されるように、回転部材42を図中矢印方向に正転させ、ノズル16が形成された液体吐出面28を回転部材42に近い側、すなわち長手方向両端側から次第に液滴吐出方向(図中上)に凸へなるように撓み方向を変化させる。
【0037】
この変化が両端から中央に近付くと、流路部材12(あるいは梁部材18)はある点で曲げ方向が逆側(図中上側)に反転し、図3(C)に示されるように、流路部材12が液滴吐出方向(図中上方向)へ急激に変形する。
【0038】
流路部材12の長手方向中央にはノズル16(図1(B)参照)が設けられているため、液流路14内に供給されてノズル16まで達している液体は、この曲げ方向が逆側に反転(座屈反転)することによる流路部材12の液滴吐出方向への変形に伴い、慣性力を受けてノズル16から液滴として吐出される。
【0039】
さらに、流路部材12の撓み量が最大となり回転部材42を停止させたのち、図3(A)に示されるように、回転部材42を逆転させて流路部材12を液滴吐出方向に凹となるように撓ませて初期位置へ復帰させる。
【0040】
ここで、前述したように、組み付け誤差等で、支持部材20に対する連結部材40の把持位置がずれて液滴吐出ヘッド10が捩じれてしまうことがある。しかし、前述したように、液流路14を構成する区画壁60の断面が円形状であるため、区画壁60は全方向に渡って同じように曲がり、液滴吐出ヘッド10を曲げて逆側に反転させる動作への捩じれの影響が小さくなる。
【0041】
また、捩じれの影響が低減された液滴吐出ヘッド10が逆側に反転することで、ノズル16からノズル位置によるバラツキが低減された液滴が吐出され、記録媒体Pに所望の厚さの膜が形成される。
【0042】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、対向板58と梁部材18を別部材として説明したが、対向板を厚くして梁剛性を持たせ、対向板と梁部材を一つの部材としてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、回転部材42を流路部材12の両端に設けたが、図6に示されるように、回転部材70を一側の支持部材20に設けて、回転部材70の回転軸を一側の支持部材20に固定し、他側の支持部材20を図示せぬフレーム部材に固定してもよい。
【0044】
この場合には、図6(A)に示されるように、梁部材18の回転部材70側半分を吐出側(図6に示す上側)に凹、他側半分を吐出側に凸とした状態を初期状態とし、梁部材18(流路部材12)の端部より液体を液流路14内を通して、ノズル16へ供給する。
【0045】
次ぎに、図6(B)に示されるように、回転部材70を吐出方向(図6で示す反時計方向)に回転させ、支持部材20によって保持されている梁部材18の一端(回転部材70側の端部)より、吐出方向に凸となるように変形させる。
【0046】
次ぎに、図6(C)に示されるように、ノズル16近傍(長手方向中央付近)の曲げ方向を吐出方向に反転させる。これにより、液流路14に供給された液体がノズル16より液滴として吐出される。
【0047】
次ぎに、本発明の第2実施形態に係る液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置の一例について図7〜図8に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図7(A)(B)(C)に示されるように、本第2実施形態では、液流路14を区画する区画壁74の断面は、吐出板56の板面に対して直交する方向に長い楕円形状とされている。
【0049】
ここで、区画壁74の成形方法の一例について説明する。
【0050】
図8に示されるように、吐出板56又は対向板58となる基板76上にシード膜78を一様に形成し、さらに、液流路14(図7(C)参照)となる部位にレジスト80を塗布する。そして、電流を調整しながら電解メッキにてレジスト80から露出したシード膜78上に断面が楕円形状の区画壁74を形成させる。
【0051】
なお、区画壁74の断面形状として楕円形状を例にとって説明したがこの断面形状は一例である。つまり、液滴吐出ヘッド10を曲げる場合に、液滴吐出ヘッド10が捩じれてしまったときでも曲げる荷重が急激に変化しない断面形状を有する区画壁であればよい。具体的には、吐出板56及び対向板58に向うにつれて幅が小さくなるように曲面で壁面が構成される区画壁であればよく、例えば、オーバル形状等であってもよい。
【0052】
次ぎに、本発明の第3実施形態に係る液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置の一例について図9〜図11に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図9(A)(B)(C)に示されるように、本第3実施形態では、第1実施形態と違い、ノズル16が形成される吐出板86と吐出板86と対向する対向板88との間に形成された区画壁84は、吐出板86に向って幅(液流路14を流れる液体の流れ方向に対して直交する方向に切断した断面の断面幅)が大きくなっている。
【0054】
ここで、区画壁84の成形方法の一例について説明する。
【0055】
図10に示されるように、対向板88上に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより台形上のレジスト90を形成させ、メッキにてレジスト80が設けられていない対向板88上に対向板88側の幅が小さい逆台形状の区画壁84を形成させる。区画壁84が形成された後、レジスト90を除去して吐出板86を被せる。
【0056】
このように、区画壁84の幅を吐出板86に向って大きくすることで、区画壁84の曲げ方向における中立軸が対向板88側よりも吐出板86側に寄るため、中立軸が吐出板86側よりも対向板88側に寄っている場合に比して、吐出板86方向に変形し易くなり、液滴吐出ヘッド10の吐出面28が曲がり逆側に反転する動作への液滴吐出ヘッド10の捩じれの影響は小さくなる。
【0057】
また、区画壁84を幅を吐出板86に向かって大きくすることで、滑らかな液滴吐出ヘッド10の逆側反転する動作となる。
【0058】
なお、区画壁84の断面形状として吐出板86に向って幅(断面幅)が大きくなっている形状を例にとって説明したがこの断面形状は一例である。つまり、液滴吐出ヘッド10を曲げる場合に、液滴吐出ヘッド10が捩じれてしまったときでもノズル16が形成される吐出面28を液滴を吐出させる方向に狙いどおりに曲げる区画壁であればよく、このためには、曲げ方向における中立軸が対向板88側より吐出板86側に寄っていればよい。具体的には、区画壁の吐出板86側を硬度の高い材料で成形し、対向板88側を硬度の低い材料で形成させて、曲げ方向における中立軸を吐出板86側に寄せてもよい。
【0059】
また、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、区画壁84の断面を変えて曲げ方向における中立軸を吐出板86側に寄せたが、さらに、吐出板86の剛性を高くし、対向板88の剛性を低くして、曲げ方向における中立軸を吐出板86側に寄せてもよい。この場合の一例として、吐出板86にNi、SUSの板材等、対向板88にPIフィルム等が採用される。
【0060】
また、図11に示されるように、吐出板94上に区画壁96を成形される場合には、吐出板94上に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより吐出板94側の幅が小さくなる逆台形状のレジスト98を形成させ、メッキにてレジスト98が設けられていない吐出板94上に台形状の区画壁96を形成させる。区画壁96が形成された後、レジスト98を除去して対向板を被せるようにしてもよい。この場合には、レジストの形状が台形である場合に比して、簡単にレジスト98は除去される。
【符号の説明】
【0061】
10 液滴吐出ヘッド
11 変形付与部材
12 流路部材
14 液流路(流路)
16 ノズル(吐出部)
18 梁部材
22 印加部材(印加手段)
28 吐出面
40 回転部材(変形付与部材)
42 連結部材(変形付与部材)
56 吐出板
58 対向板
60 区画壁
74 区画壁
84 区画壁
86 吐出板
88 対向板
96 区画壁
100 液滴吐出装置
102 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する吐出部が形成された吐出板と前記吐出板に対向する対向板とを有し、前記吐出板と前記対向板との間に液体が供給される複数個の流路が形成された流路部材と、
前記流路部材が接合され、又は前記流路部材を含み、前記吐出部が形成された吐出面が凹となるように曲げ変形した後、吐出面が凸となるように曲げ方向を反転することで、前記吐出部より液滴を吐出させる梁部材と、
前記吐出板と前記対向板との間に形成された空間を複数個の前記流路に区画すると共に、前記吐出板及び前記対向板に向うにつれて、前記流路を流れる液体の流れ方向に対して直交する方向に切断した断面の幅が小さくなるような曲面で壁面が構成された区画壁と、
を備える液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
液滴を吐出する吐出部が形成された吐出板と前記吐出板に対向する対向板とを有し、前記吐出板と前記対向板との間に液体が供給される複数個の流路が形成された流路部材と、
前記流路部材が接合され、又は前記流路部材を含み、前記吐出部が形成された吐出面が凹となるように曲げ変形した後、吐出面が凸となるように曲げ方向を反転することで、前記吐出部より液滴を吐出させる梁部材と、
前記吐出板と前記対向板との間に形成された空間を区画して前記流路を構成すると共に、前記梁部材の曲げ方向における中立軸が前記対向板側よりも前記吐出板側に寄っている区画壁と、
を備える液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
液滴を吐出する吐出部が形成された吐出板と前記吐出板に対向する対向板とを有し、前記吐出板と前記対向板との間に液体が供給される複数個の流路が形成された流路部材と、
前記流路部材が接合され、又は前記流路部材を含み、前記吐出部が形成された吐出面が凹となるように曲げ変形した後、吐出面が凸となるように曲げ方向を反転することで、前記吐出部より液滴を吐出させる梁部材と、
前記吐出板と前記対向板との間に形成された空間を区画して前記流路を構成すると共に、前記吐出板に向って幅が大きくなるように形成される区画壁と、
を備える請求項2に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記区画壁は、メッキ法で成形される請求項1〜3何れか1項に記載された液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4何れか1項に記載された液滴吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドの両端を把持して前記液体吐出ヘッドに曲げ変形を与える変形付与部材と、
前記変形付与部材を制御する制御部材と、
を備える液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−20361(P2011−20361A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167613(P2009−167613)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】