説明

液滴吐出装置、および、検出装置のメンテナンス方法

【課題】正確に液体吐出面の検査を行なうことができる液滴吐出装置、および、検出装置のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【解決手段】複数のノズルの開口部が形成される液体吐出面を有するインクジェットヘッド16と、インクジェットヘッド16の液体吐出面の異常を検出する検出装置70と、インクジェットヘッド16と検出装置とを相対的に移動させる移動手段と、を備え、検出装置70は、液体吐出面を撮像する撮像手段154と、撮像手段154と液体吐出面16Aとの間を開閉自在に隔てる開閉部材150と、撮像手段154で撮像した時に所定の受光量が得られる基準プレート152と、を有することを特徴とする液滴吐出装置である。また、この検出装置70のメンテナンス方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、および、検出装置のメンテナンス方法に係り、特に、インクジェットヘッドを検査する撮像手段の汚れを検査する液滴吐出装置、および、検出装置のメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液状のインクを液滴として吐出し、記録媒体上に画像を記録するインクジェット方式の画像形成装置が知られている。このような画像形成装置においては、インク吐出面の吐出口近傍に液状のインクや固化したインクなどの汚れが付着すると、吐出量の減少や吐出されたインクの軌道がずれ、ドットサイズの異常やドットの形成位置の異常の原因となるおそれがある。
【0003】
インクジェットヘッドのインク吐出性能の低下を回避するため、インクジェットヘッドのインク吐出面の定期的な洗浄が実行され、汚れが除去されている。
【0004】
例えば、下記の特許文献1には、吐出面撮像手段であるCCDを備え、吐出面撮像手段で撮像した画像情報に基づいて液滴吐出面に付着した汚れを認識し、吐出面清掃手段を制御し液滴吐出面の清掃を行なう液滴吐出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−12880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されているような、吐出面撮像手段を用いて液滴吐出面を撮像する場合は、液滴吐出面に形成されたノズルからインクが落下し、吐出面撮像手段が汚れることが考えられる。特許文献1においては、CCDのレンズをカバーするカバー部材を設け、レンズが汚れることを防止しているが、レンズに汚れがあると、液滴吐出面に汚れはないが、撮像された画像には汚れがあるため、液滴吐出面が汚れていると判断されることが考えられる。特許文献1においては、CCDのレンズが汚れることを防止しているが、CCDのレンズが汚れた場合については、考慮されていなかった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、より正確に液体吐出面の検査を行なうことができる液滴吐出装置、および、検出装置のメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、複数のノズルの開口部が形成される液体吐出面を有するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドの前記液体吐出面の異常を検出する検出装置と、前記インクジェットヘッドと前記検出装置とを相対的に移動させる移動手段と、を備え、前記検出装置は、前記液体吐出面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段と前記液体吐出面との間を開閉自在に隔てる開閉部材と、前記撮像手段で撮像した時に所定の受光量が得られる基準プレートと、を有することを特徴とする液滴吐出装置を提供する。
【0009】
本発明によれば、インクジェットヘッドの液体吐出面の異常を検出する検出装置を備え、この検出装置に設けられた撮像手段を、開閉自在な開閉部材で隔てている。撮像手段を用いて液体吐出面を撮像しない場合は、開閉部材により検出装置を閉じておき、液体吐出面を撮像する場合に、開閉部材を開けることにより、液体吐出面からインク液滴が撮像手段に落下することを減らすことができる。
【0010】
また、基準プレートを設け、液体吐出面を撮像する前の初期状態の撮像手段で基準プレートから得られる受光量と、一定時間、液体吐出面の検査に使用された後の撮像手段で基準プレートを撮像することで得られる受光量を比較することで、撮像手段の汚れを確認することができる。したがって、汚れの無い撮像手段でより確実に液体吐出面の異常を確認することができる。
【0011】
本発明の他の態様に係る液滴吐出装置は、前記基準プレートは、前記基準プレートから得られる受光量が、前記液体吐出面から得られる受光量と等しい部材で形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、基準プレートから得られる受光量を液体吐出面から得られる受光量と等しくしているので、撮像手段が正常であれば、基準プレートを撮像した時、液体吐出面と同等の受光量とすることができるので、撮像手段の性能の判断を容易に行なうことができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る液滴吐出装置は、前記基準プレートが、前記開閉部材の前記吐出面とは反対側に設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、基準プレートを開閉部材の吐出面と反対側に設けているので、基準プレートが汚れることを防止することができ、基準プレートを撮像することで、撮像部材の異常を確認することができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る液滴吐出装置は、前記開閉部材の前記撮像手段側に清掃部材を設けることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、開閉部材に撮像手段側に清掃部材を設けることにより、開閉部材の開閉時に撮像部材の清掃を行なうことができる。
【0017】
本発明の他の態様に係る液滴吐出装置は、前記インクジェットヘッドから吐出される液体が、紫外線硬化型インクであり、前記開閉部材がUVカット材料からなることが好ましい。
【0018】
本発明によれば、撮像手段に紫外線硬化型インクが付着しても、開閉部材をUVカット材料としているので、画像の定着に用いられる紫外線によりインクが固化することを防止することができる。したがって、付着したインクの清掃を容易に行なうことができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る液滴吐出装置は、前記撮像手段に透過性を有する保護部材を備えることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、撮像手段に透過性を有する保護部材を設けることで、液体吐出面から落下した液体を保護部材で保護することができ、撮像手段が汚れることを防止することができる。また、保護部材が汚れていると、液体吐出面を正確に観察することができないが、保護部材を交換することで、容易に初期状態に戻すことができる。
【0021】
本発明の他の態様に係る液滴吐出装置は、前記保護部材は、UVカット材料からなることが好ましい。
【0022】
本発明によれば、保護部材をUVカット材料としているので、撮像手段とともに用いられる発光素子から紫外線が照射され、液体吐出面のインクが固化することを防止することができる。
【0023】
本発明は前記目的を達成するために、初期状態の撮像手段を用いて基準プレートを撮像し、基準となる受光量を測定する基準受光量測定工程と、インクジェットヘッドの液体吐出面の異常を検出する検出工程と、前記検出工程後の撮像手段を用いて前記基準プレートを撮像し、受光量を測定する受光量測定工程と、前記基準受光量測定工程の受光量と、前記受光量測定工程の受光量を比較し、撮像手段の異常の状態を判断する撮像手段異常状態判断工程と、を有することを特徴とする検出装置のメンテナンス方法を提供する。
【0024】
本発明によれば、使用前の撮像手段を用いて撮像した基準プレートから得られる受光量を基準として、検出工程後の撮像手段を用いて撮像した基準プレートから得られる受光量を比較することで、撮像手段の異常の状態を判断することができる。したがって、汚れのない撮像手段を使用することができ、確実に液体吐出面の異常を確認することができる。
【0025】
本発明の他の態様に係る検出装置のメンテナンス方法は、前記基準プレートから得られる受光量が、前記液滴吐出面から得られる受光量と等しいことが好ましい。
【0026】
本発明によれば、基準プレートをインクジェットヘッドの液滴吐出面と同じ受光量となるように形成しているので、撮像手段が汚れている場合に容易に判断することができる。
【0027】
本発明の他の態様に係る検出装置のメンテナンス方法は、前記基準プレートは、初期状態で一定の受光量が得られる部材から形成されていることが好ましい。
【0028】
本発明によれば、初期状態で一定の受光量を得ることができる部材で基準プレートを形成しているので、初期状態の撮像部材を使用することにより得られる基準プレートの受光量と比較することで、容易に撮像手段の汚れを判断することができる。
【0029】
本発明の他の態様に係る検出装置のメンテナンス方法によれば、前記撮像手段異常状態判断工程の結果に基づいて、前記撮像手段の清掃または交換を行なうことが好ましい。
【0030】
本発明によれば、撮像手段異常状態判断工程により、撮像手段の汚れを確認することができるので、撮像手段異常状態判断の工程の結果により、撮像手段の清掃または交換を行なうことができる。
【0031】
本発明の他の態様に係る検出装置のメンテナンス方法によれば、前記撮像手段を保護する保護部材を設け、前記撮像手段異常状態判断工程の結果により、前記保護部材を交換することが好ましい。
【0032】
本発明によれば、撮像手段を保護する保護部材を設け、異常状態判断工程の結果により、保護部材の交換をしているので、撮像手段自体を交換するより容易に初期状態に戻すことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の液滴吐出装置、および、検出装置のメンテナンス方法によれば、インクジェットヘッドを観察する撮像手段の汚れを確認し、清掃することで、汚れのない撮像手段によりインクジェットヘッドを確実に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す全体構成図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの構造例を示す透視平面図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置のメンテナンス処理部の概略構成図である。
【図4】図3に示す検出装置の概略構成を示す構成図である。
【図5】図1に示すインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態に係る検出装置の概略構成図である。
【図7】インク吐出面を観察する状態を説明する図である。
【図8】第1実施形態に係る検出装置の変形例である。
【図9】第2実施形態に係る検出装置の概略構成図である。
【図10】検出装置のメンテナンス方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0036】
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置10の全体構成図である。図1に示すインクジェット記録装置10は、オンデマンド型インクジェット記録装置であり、記録媒体12を保持して搬送する記録媒体搬送部14と、記録媒体搬送部14に保持された記録媒体12に対して、K(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)に対応するカラーインクを吐出させるインクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yを含む印字部17と、を含んで構成されている。
【0037】
記録媒体搬送部14は、記録媒体12が保持される記録媒体保持領域に多数の吸着穴(不図示)が設けられた無端状の搬送ベルト18と、搬送ベルト18が巻き掛けられる搬送ローラ(駆動ローラ20、従動ローラ22)と、記録媒体保持領域の搬送ベルト18の裏側(記録媒体12が保持される記録媒体保持面と反対側の面)に設けられ、記録媒体保持領域に設けられた不図示の吸着穴にと連通しているチャンバー24と、チャンバー24に負圧を発生させる真空ポンプ26と、を含んでいる。
【0038】
記録媒体12が搬入される搬入部28には、記録媒体12の浮きを防止するための押圧ローラ30が設けられるとともに、記録媒体12が排出される排出部32にもまた、押圧ローラ34が設けられている。
【0039】
搬入部28から搬入された記録媒体12は、記録媒体保持領域に設けられた吸着穴から負圧が付与され、搬送ベルト18の記録媒体保持領域に吸着保持される。
【0040】
記録媒体12の搬送路上には、印字部17の前段側(記録媒体搬送方向上流側)に、記録媒体12の表面温度を所定範囲に調整するための温度調節部36が設けられるとともに、印字部17の後段側(記録媒体搬送方向下流側)に、記録媒体12上に記録された画像を読み取る読取装置(読取センサ)38が設けられている。
【0041】
搬入部28から搬入された記録媒体12は、搬送ベルト18の記録媒体保持領域に吸着保持され、温度調節部36による温度調節処理が施された後に、印字部17において画像記録が行われる。
【0042】
図1に示すように、インクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yは、記録媒体搬送方向の上流側からこの順番で配置されている。記録媒体12がインクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yの直下を通過する際に、記録媒体12に対してKCMYの各色のインクを吐出させて、所望のカラー画像が形成される。
【0043】
なお、印字部17は上述した形態に限定されない。例えば、LC(ライトシアン)やLM(ライトマゼンタ)に対応するインクジェットヘッド16LC,16LMを具備してもよい。また、インクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yの配置順も適宜変更可能である。
【0044】
画像記録がされた記録媒体12は、読取装置38によって記録画像(テストパターン)が読み取られた後に、排出部32から排出される。
【0045】
図1に図示は省略するが、インクジェット記録装置10はインクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yにメンテナンス処理を施すメンテナンス処理部(図3に符号60を付して図示)を備えている。メンテナンス処理部は、印字部17の記録媒体搬送方向と直交する方向について、印字部17から離れた位置に配置される(図3参照)。
【0046】
図1に示すインクジェット記録装置10は、不図示のインク供給部を具備している。インク供給部は、インクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yに供給されるインクを貯蔵するインクタンクを色ごと(ヘッドごと)に備えている。色ごとのインクタンクのそれぞれとインクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yとは、不図示のインク供給路により連通されている。
【0047】
〔印字部の構成〕
図2は、印字部17に具備されるインクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yの構造例を示す透視平面図(インク吐出面の反対側面から見た図)である。図1に図示したインクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yは同一の構造を適用することができるので、ここではインクジェットヘッド16K,16C,16M,16Yに共通の符号16を付して図示するものとする。
【0048】
インクジェットヘッド16は、記録媒体12の主走査方向Mにおける全長を超える長さにわたって、複数のノズル50及び圧力室52が含まれる吐出素子54が配置されたフルライン型のインクジェットヘッドである。
【0049】
フルライン型のインクジェットヘッド16と記録媒体12とを相対的に一回だけ移動させるシングルパス方式により、記録媒体12全域にわたって記録画像を記録することができる。
【0050】
図2に示すインクジェットヘッド16は、主走査方向Mに沿う行方向、及び主走査方向M及び副走査方向Sと直交しない斜めの列方向に沿って複数のノズル50(吐出素子54)がマトリクス配置された構造を有している。
【0051】
図2に示すようにノズル50をマトリクス配置させることで、主走査方向Mの実質的なノズル配置密度が高密度化される。なお、本発明に適用可能なインクジェットヘッドのノズル配置は図2に図示したマトリクス配置に限定されない。
【0052】
例えば、インクジェットヘッド16の長手方向に沿って複数のノズル50を配置したノズル列を一列有する態様や、同方向に複数のノズル50を二列の千鳥配置させる態様などを適用することができる。
【0053】
インクジェットヘッド16の吐出方式は、圧電素子の撓み変形を利用する圧電方式や、インクの膜沸騰現象を利用するサーマル方式などの各種吐出方式が適用可能である。圧電方式が適用されるインクジェットヘッド16は、インクを吐出させるノズル50と、ノズル50と連通する圧力室52と、圧力室52の少なくとも一壁面に設けられる圧電素子と、を備えている。
【0054】
圧電素子は、上部電極及び下部電極に圧電体がはさまれた構造を有し、上部電極と下部電極との間に駆動電圧を印加することでたわみ変形が生じ、圧電素子のたわみ変形により圧力室52が変形することで、圧力室52の内部に収容されているインクがノズル50から吐出される。
【0055】
また、サーマル方式が適用されるインクジェットヘッドは、圧力室(液室)52の内部に収容されるインクを加熱するヒータを備え、圧力室52の内部のインクを瞬間的に加熱することで気泡を発生させ、ノズル50からインクを吐出させている。
【0056】
〔メンテナンス処理部の説明〕
図3は、図1に示すインクジェット記録装置10のメンテナンス処理部の概略構成図であり、メンテナンス処理部60と印字部17との配置関係が図示されている。
【0057】
図3に示すように、メンテナンス処理部60は、インクジェットヘッド16(16K,16C,16M,16Y)を記録媒体搬送部14上の画像形成位置から、記録媒体12の搬送方向と略直交する方向に水平移動させた位置に対応して配置されている。
【0058】
メンテナンス処理部60は、インクジェットヘッド16のインク吐出面16Aに洗浄液を付与する洗浄装置62と、インクジェットヘッド16に対してパージ処理又は吸引処理(ノズル内のインクの排出処理)を施すキャップ部64と、パージ処理又は吸引処理後のインクジェットヘッド16のインク吐出面16Aに対して払拭処理を施すブレード66を具備する払拭処理部68と、払拭処理後のインクジェットヘッド16のインク吐出面16Aの異常を検出する検出装置70と、を備えて構成されている。
【0059】
図3では、1ヘッド分に対応するメンテナンス処理部60の構成が図示されているが、洗浄装置62、キャップ部64、払拭処理部68及び検出装置70はインクジェットヘッド16ごとに、インクジェットヘッド16の数だけ設けられている。
【0060】
インクジェットヘッド16を記録媒体搬送部14の直上の画像形成位置(画像形成位置に位置するインクジェットヘッド16を破線により図示)からメンテナンス位置へ移動させるには、インクジェットヘッド16を記録媒体搬送部14上の画像形成位置から一旦上方へ退避させ、さらに、記録媒体12の搬送方向と直交する方向へ水平移動させる。
【0061】
インクジェットヘッド16を上下方向及び水平方向へ移動させる移動機構には、周知の水平搬送機構、上下搬送機構を適用することができる。
【0062】
「メンテナンス位置」とは、検出装置70の処理領域、払拭処理部68の処理領域、洗浄装置62の処理領域、及びキャップ部64の処理領域を含む概念である。なお、図3では、キャップ部64の処理領域に位置するインクジェットヘッド16が一点破線によって図示されている。
【0063】
インクジェットヘッド16が洗浄装置62の処理領域に到達すると、洗浄装置62を上方へ移動させて(又は、インクジェットヘッド16を下方へ移動させて)、インク吐出面16Aの洗浄処理が実行される。
【0064】
インク吐出面16Aの洗浄処理が終了すると、インクジェットヘッド16をキャップ部64の処理領域へ移動させ、インク吐出面16Aにキャップ部64を密着させて、吸引処理又はパージ処理が実行される。
【0065】
キャップ部64は、排出流路72を介して廃インクタンク74と連通され、排出流路72には、ポンプ76が設けられる。インク吐出面16Aにキャップ部64を密着させ状態でポンプ76を動作させると、ノズルを介してインクジェットヘッド16内のインクが吸引される。
【0066】
このようにして、インクジェットヘッド16のパージ又は吸引処理が終了すると、インクジェットヘッド16は画像形成位置に移動する。インクジェットヘッド16がキャップ部64の処理位置から画像形成位置へ移動する途中に、払拭処理部68のブレード66によりインク吐出面16Aの払拭処理が施される。
【0067】
払拭処理部68による払拭処理の後に、検出装置70によってインク吐出面16Aの異常検出が実行される。なお、検出装置70によるインク吐出面16Aの異常検出の詳細は後述する。
【0068】
〔検出装置の構成〕
図4は、図3に図示した検出装置70の概略構成を示す構成図であり、本例に示すインク吐出面16Aの異常検出を模式的に説明する図である。図4に示す検出装置70は、複数の検出素子が二次元状に配置されたセンサ80と、照明手段として機能する発光素子(LED)82と、を具備している。
【0069】
センサ80の受光面と発光素子82の発光面は、キャップ部64の処理位置(図3参照)から画像形成位置へ移動させる、インクジェットヘッド16のインク吐出面16Aに対向する位置に配置される。
【0070】
発光素子82からインク吐出面16Aへ照明光が照射されると、センサ80はインク吐出面16Aにより反射した反射光を受光し、センサ80から受光量に比例した電圧が出力される。センサ80によって得られた電圧信号からインク吐出面16Aの検出信号が生成される。
【0071】
正常時の検出信号の波形(波高値、時間幅等)と順次生成された検出信号の波形が比較され、インク吐出面16Aの異常を波形の異常として回路的に検出しうる。
【0072】
〔制御系の説明〕
図5は、インクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、通信インターフェース100、システム制御部102、搬送制御部104、画像処理部106、ヘッド駆動部108を備えるとともに、画像メモリ110、ROM112を備えている。
【0073】
通信インターフェース100は、ホストコンピュータ114から送られてくるラスター画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース100は、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。通信インターフェース100は、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0074】
システム制御部102は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能し、さらに、画像メモリ110及びROM112のメモリコントローラとして機能する。
【0075】
すなわち、システム制御部102は、通信インターフェース100、搬送制御部104等の各部を制御し、ホストコンピュータ114との間の通信制御、画像メモリ110及びROM112の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
【0076】
ホストコンピュータ114から送出された画像データは通信インターフェース100を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、画像処理部106によって所定の画像処理が施される。
【0077】
画像処理部106は、画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号(画像)処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッド駆動部108に供給する制御部である。
【0078】
画像処理部106において所要の信号処理が施されると、該印字データ(ハーフトーン画像データ)に基づいて、ヘッド駆動部108を介してインクジェットヘッド16の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。
【0079】
これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、図5に示すヘッド駆動部108には、インクジェットヘッド16の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0080】
搬送制御部104は、画像処理部106により生成された印字データに基づいて記録媒体12(図1参照)の搬送タイミング及び搬送速度を制御する。図5における搬送駆動部116は、記録媒体12を搬送する記録媒体搬送部14の駆動ローラ20(22)を駆動するモータが含まれており、搬送制御部104は該モータのドライバーとして機能している。
【0081】
画像メモリ(一時記憶メモリ)110は、通信インターフェース100を介して入力された画像データを一旦格納する一時記憶手段としての機能や、ROM112に記憶されている各種プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域(例えば、画像処理部106の作業領域)としての機能を有している。画像メモリ110には、逐次読み書きが可能な揮発性メモリ(RAM)が用いられる。
【0082】
ROM112は、システム制御部102のCPUが実行するプログラムや、装置各部の制御に必要な各種データ、制御パラメータなどが格納されており、システム制御部102を通じてデータの読み書きが行われる。ROM112は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。また、外部インターフェースを備え、着脱可能な記憶媒体を用いてもよい。
【0083】
パラメータ記憶部118は、インクジェット記録装置10の動作に必要な各種制御パラメータが記憶されている。システム制御部102は、制御に必要なパラメータを適宜読み出すとともに、必要に応じて各種パラメータの更新(書換)を実行する。
【0084】
プログラム格納部120は、インクジェット記録装置10を動作させるための制御プログラムが格納されている記憶手段である。システム制御部102(又は装置各部)は、装置各部の制御を実行する際にプログラム格納部120から必要な制御プログラムが読み出され、該制御プログラムは適宜実行される。
【0085】
表示部122は、システム制御部102から送出される各種情報を表示する手段であり、LCDモニタなどの汎用ディスプレイ装置が適用される。なお、表示部122の表示形態には、ランプの点灯(点滅、消灯)を適用してもよい。また、スピーカーなどの音(音声)出力手段を備えてもよい。
【0086】
入力インターフェース(I/F)124は、キーボード、マウス、ジョイスティックなどの情報入力手段が適用される。入力インターフェース124を介して入力された情報は、システム制御部102へ送出される。
【0087】
メンテナンス制御部126は、システム制御部102から送出された指令信号に基づいて、図3に図示したメンテナンス処理部60の各部の動作を制御する。例えば、インクジェットヘッド16の上下移動、水平移動、洗浄装置62によるインク吐出面16Aへの洗浄液付与、キャップ部64による予備吐出、吸引、ブレード66のインク吐出面16Aへの当接及び離間などを制御する。
【0088】
異常検出部128は、検出装置70から得られた検出信号に基づいてインクジェットヘッド16のインク吐出面16Aの異常の有無を判断する。インクジェットヘッド16のインク吐出面16Aの異常とは、インク吐出面16Aへの汚れの付着、傷の発見等が挙げられる。インク吐出面16Aの異常情報(異常の有無、異常の位置)はシステム制御部102へ送られる。
【0089】
システム制御部102がインク吐出面16Aの異常情報を取得すると、該異常情報は所定のメモリへ記憶されるとともに、メンテナンス制御部126へインクジェットヘッド16のメンテナンス処理を実行する旨の指令信号が送出され、メンテナンス処理部60において、インクジェットヘッド16のメンテナンス処理が実行される。
【0090】
また、異常検出部128は、検出装置70の異常の有無の判断も行なう。後述するように、基準プレートを用いて検出装置70の使用前の受光量を測定したときの受光量を保存する保存部を備える。また、この保存部は、吐出面16Aの異常を検出する検出工程後の検出装置70で基準プレートを用いて受光量を測定したときの受光量を保存する。これらデータは判定部に送られ、受光量の差分により、この差が所定の数値以上ある場合は、検査装置に異常があると判断される。
【0091】
〔検出装置の構成〕
[第1実施形態]
図6は、ノズルプレートの検出装置70を示す図である。図6に示すように、検出装置70は、インクジェットヘッド16のインク吐出面16Aをモニターするセンサ80と、照明手段として機能する発光素子(LEDなど)82と、からなるセンサユニット154を具備している。また、これらのセンサ80および発光素子82の非使用時にこれらを保護するシャッター150を具備している。シャッター150を備えることにより、検出装置70の非使用時に、インク吐出面16Aに付着したインクがセンサ80および発光素子82に付着することを防止することができる。シャッター150の代わりに防塵ドアを用いることも可能である。
【0092】
また、図6に示すように、センサユニット154内のシャッター150の裏側に基準プレート152を備えている。この基準プレート152は、センサ80の汚れを検査するために用いられる。基準プレート152を、センサ80を用いてモニターした際に、インク吐出面16Aをモニターしたときの同等の受光量が得られるようなプレートを用いる。センサ80を用いて、この基準プレート152をモニターすることで、初期と同等の受光量が確認できれば、センサ80は汚れておらず、受光量が低下していれば、センサ80が汚れていることを確認することができる。
【0093】
基準プレート152の位置は、図6においては、シャッター150のインク吐出面16Aとの反対側である、センサユニット154側に設けられている。シャッター150のセンサユニット154側に設けることにより、インク吐出面からインクが落ちても基準プレート152が汚れることを防止することができる。基準プレート152を汚れから防止することにより、基準プレートをモニターし、初期の受光量と比較することで、センサ80の汚れを確認することができる。また、基準プレート152の代わりに、シャッター150のセンサユニット154側に基準プレートを設けた場合と同様の効果を有するように、処理を施すこともできる。このような処理としては、光沢処理,鏡面処理,樹脂コーティング処理などを挙げることができる。
【0094】
基準プレート152としては、インク吐出面16Aの汚れのない初期状態での受光量と同等になる材料で構成されていることが好ましい。また、基準プレート152の色は、インクで使用されない色とすることが好ましく、より好ましくは、白色である。インクで使用される色を用いた場合、撮像手段に汚れが付着していても確認することができないため、好ましくない。また、色を白色とすることで発光素子による発光で撮像し易くすることができる。
【0095】
また、図6に示すように、シャッター150のセンサユニット154側に清掃部材156を設けることが好ましい。清掃部材156としては、ゴム製のワイパー、刷毛を使用することができる。シャッター150のセンサユニット154側に清掃部材156を設けることにより、シャッター150の開閉時にセンサ80の清掃を行なうことができる。
【0096】
図7は、シャッター150を開放し、インク吐出面16Aを観察する時の図である。図7に示すように、インク吐出面16Aを観察する場合は、シャッター150が開放され、センサ80と発光素子82によりモニターされ、インク吐出面16Aの汚れが観察される。シャッター150が開放される際、上述したように、シャッター150のセンサユニット154側に設けられた清掃部材156により、センサユニット154の清掃を行なうことができる。
【0097】
本実施形態において、使用されるインクは特に限定されないが、例えば、UV硬化型インクを用いることができる。UV硬化型インクは、インク中にUV硬化性モノマーを含有させることで、UV照射ランプを備えた定着部で、画像にUVを照射することで、UV硬化性モノマーを硬化重合させ、画像強度を向上させることができる。
【0098】
このようなUV硬化型インクを使用すると、センサユニット154の周囲にインクが付着した後、紫外線が照射されると、センサユニット154の周囲でインクが固化することが考えられる。インクが固化すると、除去することが困難であるため、検出装置70を交換する必要が生じる。これを防止する為には、構成するセンサユニット154の周囲を囲む部材、及びシャッター150は、UVカット材料で形成されていることが好ましい。このようにすれば、万が一センサユニット154にインクが付着しても、インクをふき取ることでセンサの交換が必要なくなる。UVカット材料としては、UV光を含む光を透過しない部材であれば良く、金属や着色された樹脂などが利用できる。透明部材を用いて内部をスケルトンに構成したい場合は、市販のカメラ用の紫外線吸収フィルタやSCフィルタ、例えば、TAC支持体を用いた富士フイルム製SCフィルタを用いることで安価に構成ができる。さらに、例えば特開平11−248932に開示されるようなフィルタを用いることもできる。また、検出装置70が、洗浄装置62、払拭処理部68などと一体になって形成されている場合は、検出装置70の側面からUVが入ることがないため、シャッター150のみをUVカット材料とすることで、他の装置からUV成分を含む光が照射され、センサ80に付着したインクが固化することを防止することができる。
【0099】
また、基準プレート152の代わりにセンサ80の初期状態で一定の光量が得られる別のプレートを使用し、このプレートを測定し、その受光レベルを記録しておく。そして、定期的にこのプレートを測定することで、光量の変化によりセンサ80の汚れを確認することができる。上記で記載した基準プレート152は、インク吐出面16Aと同等の受光量となるようにしたが、別のプレートにおいては、特に限定されず、初期の受光量との比較によりセンサ80の汚れを確認することができる。このような別のプレートとしては、ヘッドノズル面と同等のコーティング処理を施した樹脂材を使用することができる。
【0100】
図8は、第1実施形態にかかる検出装置の変形例を示す図である。図8に示す検出装置70’は、センサユニット154のセンサ80および発光素子82に保護部材158を設けている点が、図6に示す検出装置と異なっている。
【0101】
保護部材158を設けることにより、インク液滴が、インク吐出面16Aから落下しても、保護部材158でセンサ80を保護することができる。したがって、センサ80が汚れることを防止することができる。また、保護部材158が汚れて、吐出面の観察を充分に行なうことができない場合は、保護部材158を交換することで、初期の状態に戻すことができるので、センサ80および発光素子82を交換するよりも容易に行なうことができる。なお、保護部材158を有する場合は、清掃部材156により保護部材158の清掃を行なう。
【0102】
保護部材158としては、保護部材158を介して、インク吐出面16Aを撮像するため、透過性を有することが好ましい。また、保護部材158としては、UVカット材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、市販のカメラ用の紫外線吸収フィルタやSCフィルタ、例えば、TAC支持体を用いた富士フイルム製SCフィルタを用いることで安価に構成ができる。さらに、例えば特開平11−248932に開示されるようなフィルタを用いることもできる。また、保護部材158上に、UVカット材料を部分的に設け、または、UVカット材料に対してセンサユニットとは反対側に蛍光染料などが付着した部分を設けることができる。この構成によれば、UVカット材料の有る場所と無い場所の比較、UVカット材料上での蛍光材料の有る場所と無い場所との比較、を行うことで、センサユニットを外部からのUV光成分の有無および強度を測定するセンサとすることができるから、保護部材交換の際にセンサユニットに付着したインクが硬化することがないように、保護部材交換の環境が適切かどうかを知ることができる。ここで、保護部材上でUVカット材料を設けない部分は、まったく設けないか、ノズル面を撮像するエリアの外のごく一部に設ければよく、UVカット材料上でUV光をUVカットフィルタを透過できる光に変えることができる蛍光材料も、ノズル面を撮像するエリアの外のごく一部に設ければ良い。さらに、不要なUV光成分をカットするフィルタをかけた光源を用いノズル面の撮像を行なうことが好ましい。ノズル面を撮像する際に、UV成分を含む光をノズル面に照射すると、UV硬化インクを用いている場合、ノズル面でインクが固化してしまうため、UV成分を含まない光源を用いて撮像することが好ましい。
【0103】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係るノズルプレートの撮像手段を示す図である。図9(a)は、検出装置270のセンサ280の非使用時の構成図、図9(b)は、検出装置270によりインク吐出面16Aをモニターしている時の構成図である。図9に示すように、第2実施形態においては、センサユニット354が回転可能となっている点が第1実施形態と異なっている。
【0104】
第2実施形態に示す検出装置270は、図9に示すように、インクジェットヘッドが移動していない間、たとえば、描画中、メンテナンス中、および、待機中は、センサユニット354が180°回転し、インクジェットヘッド16が通過する面と反対側を向いている。これにより、確実にセンサに汚れが付着することを防止することができる。
【0105】
また、基準プレート352は、センサユニット354が回転した位置に設けられていることが好ましく、図9においては、検出装置270内のセンサユニット354を挟んで、シャッター350と反対側、すなわち、非使用時に回転している位置に基準プレート352が設けられている。基準プレート352を、センサユニット354が回転した位置に設けることにより、インクジェットヘッドが移動していない間に、この基準プレート352をモニターすることで、初期の受光レベルと同等の光量を得ることができれば、センサ80に汚れが付着しておらず、光量の低下が見られると、センサ80が汚れていることを確認することができる。
【0106】
インク吐出面16Aをモニターする場合は、図9(b)に示すように、センサユニット354を180°回転させる。そして、シャッター350を開放することにより、インク吐出面16Aをモニターすることができる。
【0107】
センサユニット354を回転させる方法としては、従来行われている公知の方法により行なうことができる。
【0108】
第2実施形態においては、清掃部材356は、図9に示すように、センサユニット354の回転途中に設けることが好ましい。センサユニット354の回転途中に設けることで、回転を利用して清掃することができ、効率良く清掃を行なうことができる。
【0109】
なお、図9においては、センサユニット354が180°回転する場合について説明したが、本実施形態においては、これに限定されず、他の角度とすることができる。また、標準プレートの位置についても、いずれの角度でも用いることができるが、センサユニットの停止している位置に、標準プレートが設けられていることが好ましい。センサユニットが停止している位置に標準プレートを設けることにより、インクジェットヘッドが移動していない間に、センサの汚れを確認することができる。
【0110】
また、図示しないが、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、センサユニット354のセンサ80および発光素子82を保護する保護部材を設ける構成とすることができる。基準プレート352についても第1実施形態と同様に、別のプレートを用いてセンサ80の汚れを確認することも可能である。
【0111】
〔検出装置のメンテナンス方法〕
図10は、検出装置のメンテナンス方法を示すフローチャート図である。
【0112】
センサ80の使用開示など、検出装置70のセンサ80の初期状態における受光量を測定するため、基準プレートを撮像し、基準となる受光量を測定する(基準受光量測定工程、ステップS10)。インクジェットヘッド16のインク吐出面16Aのメンテナンス終了時に、インク吐出面16Aの異常を検出する検出工程が行われる(ステップS12)。検出工程終了後に、センサ80の汚れを確認するため、基準受光量測定工程で用いた基準プレート152を用いて検出工程後のセンサ80を用いて受光量を測定する(受光量測定工程、ステップS14)。検出工程においては、インク吐出面16Aの下方からセンサ80により撮像するため、センサ80にインクが滴下し、センサ80が汚れる場合がある。
【0113】
基準受光量測定工程で得られた受光量と、受光量測定工程で得られた受光量を比較する(撮像手段異常状態判断工程、ステップS16)。基準受光量測定工程で得られた受光量と、受光量測定工程で得られた受光量を比較し、問題ない差であれば、異常なし(N判定)と判定され、センサ80に汚れが付着しておらず、検出装置のメンテナンスが終了する。受光量に差がある場合は、異常あり(Y判定)と判定され(ステップS18)、センサ80の洗浄、または、交換が行なわれた後(ステップS20)、メンテナンスが終了する。なお、図10においては、インク吐出面の異常を検出する検出工程の後に、受光量測定工程を行っているが、最後の使用時に検出装置のメンテナンスを行なっていない場合は、インクジェットヘッドにより描画を行う前に、受光量測定工程を行い、センサの異常を判断することも可能である。
【符号の説明】
【0114】
10…インクジェット記録装置、16、16K、16C、16M、16Y…インクジェットヘッド、16A…インク吐出面、60…メンテナンス処理部、62…洗浄装置、64…キャップ部、66…ブレード、68…払拭処理部、70、270…検出装置、80、280…センサ、82…発光素子(LED)、126…メンテナンス制御部、128…異常検出部、150…シャッター、152、352…基準プレート、154、354…センサユニット、156、356…清掃部材、158…保護部材、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルの開口部が形成される液体吐出面を有するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドの前記液体吐出面の異常を検出する検出装置と、
前記インクジェットヘッドと前記検出装置とを相対的に移動させる移動手段と、を備え、
前記検出装置は、前記液体吐出面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段と前記液体吐出面との間を開閉自在に隔てる開閉部材と、前記撮像手段で撮像した時に所定の受光量が得られる基準プレートと、を有することを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記基準プレートは、前記基準プレートから得られる受光量が、前記液体吐出面から得られる受光量と等しい部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記基準プレートが、前記開閉部材の前記吐出面とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記開閉部材の前記撮像手段側に清掃部材を設けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記インクジェットヘッドから吐出される液体が、紫外線硬化型インクであり、
前記開閉部材がUVカット材料からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記撮像手段に透過性を有する保護部材を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記保護部材は、UVカット材料からなることを特徴とする請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
初期状態の撮像手段を用いて基準プレートを撮像し、基準となる受光量を測定する基準受光量測定工程と、
インクジェットヘッドの液体吐出面の異常を検出する検出工程と、
前記検出工程後の撮像手段を用いて前記基準プレートを撮像し、受光量を測定する受光量測定工程と、
前記基準受光量測定工程の受光量と、前記受光量測定工程の受光量を比較し、撮像手段の異常の状態を判断する撮像手段異常状態判断工程と、を有することを特徴とする検出装置のメンテナンス方法。
【請求項9】
前記基準プレートから得られる受光量が、前記液滴吐出面から得られる受光量と等しいことを特徴とする請求項8に記載の検出装置のメンテナンス方法。
【請求項10】
前記基準プレートは、初期状態で一定の受光量が得られる部材から形成されていることを特徴とする請求項8に記載の検出装置のメンテナンス方法。
【請求項11】
前記撮像手段異常状態判断工程の結果に基づいて、前記撮像手段の清掃または交換を行なうことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の検出装置のメンテナンス方法。
【請求項12】
前記撮像手段を保護する保護部材を設け、前記撮像手段異常状態判断工程の結果により、前記保護部材を交換することを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の検出装置のメンテナンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−71292(P2013−71292A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210878(P2011−210878)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】