説明

液滴射出集成体

液滴送出装置が開示される。装置はそこから液滴が射出される複数のノズル開口及び廃液制御装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴の射出に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは基板上に液滴を被着するための装置の一種である。インクジェットプリンタは一般にインク供給源からノズル路へのインク路を備える。ノズル路はインク液滴が射出されるノズル開口で終端する。インク液滴射出は一般に、例えば、圧電偏向器、熱バブルジェット(登録商標)発生器または静電偏向素子とすることができる、アクチュエータでインク路にあるインクに圧力を加えることによって制御される。一般的なプリント集成体は対応するノズル開口及び付帯するアクチュエータをもつインク路のアレイを有する。それぞれのノズル開口からの液滴射出は独立に制御することができる。オンデマンド液滴射出プリント集成体においては、プリント集成体及びプリントする基板が互いに対して移動するとともに画像の特定の画素位置に液滴を選択的に射出するためにそれぞれのアクチュエータが起動される。高性能プリント集成体において、ノズル開口は一般に50μmないしそれより小さい、例えば約25μmの直径を有し、100〜300ノズル/インチ(3.9〜11.8ノズル/mm)のピッチで隔てられ、100〜3000dpi(3.9〜118.1ドット/mm)ないしそれより高い解像度を有し、約1〜120ピコリットル(pL)ないしそれより少ない体積の液滴を供給する。液滴射出頻度は一般に10kHzないしそれより高い。
【0003】
ホイジントン(Hoisington)等の特許文献1は半導体の構体及び圧電型アクチュエータを有するプリント集成体を説明している。構体は、エッチングでインクチャンバが画成された、シリコンでつくられる。ノズル開口はシリコンの構体に取り付けられた個別のノズルプレートによって画成される。圧電アクチュエータは、印加電圧に応答して形状寸法を変える、すなわち曲がる、圧電材料層を有する。圧電層の曲がりがインク路に沿って配置されたポンプチャンバ内のインクに圧力を加える。圧電インクジェットプリント集成体は、フィッシュベック(Fishbeck)等の特許文献2,ハイン(Hine)の特許文献3,モイニハン(Moynihan)等の特許文献4及びホイジングトンの特許文献5にも説明されており、これらの全内容は本明細書に参照として含まれる。
【特許文献1】米国特許第5265315号明細書
【特許文献2】米国特許第4825227号明細書
【特許文献3】米国特許第4937598号明細書
【特許文献4】米国特許第5659346号明細書
【特許文献5】米国特許第5757391号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題はインクジェットプリンタのプリントヘッドにおいて液滴の射出性能を高める手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明の特徴は、ノズル開口から液滴を射出するためにその中で液体に圧力が加えられる流路、液体に圧力を加えるための圧電アクチュエータ及びノズル開口近傍の1つまたはそれより多くの廃液制御アパーチャを備える液滴射出装置である。アパーチャは真空源と通じている。
【0006】
別の態様において、本発明の特徴は、ノズル開口及び少なくとも1つの廃液制御アパーチャを有し、廃液制御アパーチャが真空とつながっており、液滴射出頻度が約10kHzないしそれより高く、約5inwg(1inwg=249Pa)ないしそれより低い動作真空において射出される液体の約5%ないしそれより少ない量の廃液がアパーチャを通して引き込まれる、液滴射出装置による液滴射出である。本明細書において真空圧力の単位はインチ水柱(inwg)である。
【0007】
一態様において、本発明の特徴は、ノズル開口及び少なくとも1つの廃液制御アパーチャを有し、液滴を射出せずに、アパーチャと通じる態様でノズル開口を通して液塊を誘導する、液滴射出装置による液体射出である。
【0008】
一態様において、本発明の特徴は、ノズル開口から液滴を射出するためにその中で液体に圧力が加えられる流路、圧電アクチュエータ及び1つまたはそれより多くの液体制御アパーチャを備える液滴射出装置である。液体制御アパーチャは、ノズル開口幅の約200%ないしそれより短い距離までノズル開口から隔てられ、それぞれのアパーチャはノズル開口幅より約30%ないしそれより小さいアパーチャ幅を有する。
【0009】
その他の態様または実施形態は上記の態様の特徴及び以下の1つまたはそれより多くの特徴の組合せを有することができる。液体制御アパーチャはノズル開口幅の約200%ないしそれより短い距離だけノズル開口から隔てられる。液体制御アパーチャはノズル開口幅の約200%から約1000%ないしそれより短い距離だけノズル開口から隔てられる。制御アパーチャはその中で液体に圧力が加えられる流路と通じる。それぞれの制御アパーチャはノズル開口の流体抵抗の約25倍ないしそれより大きい流体抵抗を有する。アパーチャを通る平均総流量はノズル開口を通る平均流量より約10%ないしそれより小さい。それぞれのアパーチャはノズル開口幅より約30%ないしそれより小さい幅を有する。ノズル開口幅は約200μmないしそれより小さい。それぞれの制御アパーチャは約10μmないしそれより小さい直径を有する。ノズル開口の近傍に非湿潤性被覆が施される。流路、ノズル開口及び制御アパーチャは共通の構体内に画成される、構体はシリコン材料である。制御アパーチャは流路から隔離される。制御アパーチャは吸上材料を有する。制御アパーチャは廃液容器と通じる。液滴射出器は少なくとも3個のアパーチャを有する。方法は、約2inwgないしそれより低い真空において、射出される液体の約2%を引き込む工程を含む。制御アパーチャ及びノズル開口は共通の液体供給源と通じ、液体供給源と真空は液体供給源でつながっている。制御アパーチャの直径はノズル開口の約30%ないしそれより小さい。方法はアパーチャ内に液体を維持するために周期的に液塊を誘導する工程を含む。
【0010】
実施形態は以下の利点の1つまたはそれより多くを有することができる。隣接する射出ノズルをつなぐ廃インク液を制御することによってプリントエラーを低減することができ、ここで、廃インク液はインク射出に干渉するか、あるいは基板上に落ちて画像を不鮮明にすることがあり得る。廃インク液は、真空、毛管作用力、重力及び/または表面張力の効果を用いることにより、制御された場所に廃液を導いてそこに入れることによって制御することができる。廃インク液はインク供給源に戻して再使用することができ、あるいはノズルプレート面から廃インク液容器に導くことができる。廃液制御アパーチャの特徴は、例えばシリコン材料のような半導体材料をエッチングすることによって、ノズルプレートに正確に形成できることである。
【0011】
本発明の1つまたはそれより多くの実施形態の詳細は、添付図面に示され、以下の説明で述べられる。本発明のその他の特徴、目的及び利点は、説明及び図面から、また特許請求の範囲から、明らかであろう。本明細書で参照される全ての刊行文献及び特許文献はそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。
【0012】
さらに別の態様、特徴及び利点は以下に示される。例えば、特定の態様は以下に論じられるようなアパーチャ寸法、特性及び動作条件を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すれば、インクジェット装置10は、供給インク12を入れている液溜め11及び液溜め11から圧力チャンバ14に通じる液路13を備える。アクチュエータ15,例えば圧電変換器が圧力チャンバ14に重なる。アクチュエータは、インクに力を加えて圧力チャンバ14からノズルプレート18のノズル開口17に通じる液路16を通し、ノズル17から基板20に向けてインク液滴19を射出させるために使用できる。動作中、インクジェット装置10及び基板20は互いに対して移動させることができる。例えば、基板はロール22及び23の間を移動させられる連続ウエブとすることができる。ノズルプレート18のノズル17のアレイからの液滴の選択的射出により、所望の画像が基板20上につくられる。
【0014】
インクジェット装置は、システムが液滴を射出していないときのノズル開口近傍のインクメニスカスにおける動作圧力も制御する。図示される実施形態において、圧力制御は、液溜め11内のインク12の上方のヘッドスペース9に真空を与える、メカニカルポンプのような真空源30によって与えられる。真空は、重力によってノズル開口17を通るインクの滴下を防止するために、インクを介してノズル開口17に伝えられる。コントローラ31,例えばコンピュータコントローラが、液溜め11のインク上方の真空を監視し、液溜めを所望の真空に維持するために真空源30を制御する。別の実施形態において、真空源はインク液溜めをノズル開口の下に配置してノズル開口近傍に真空を生じさせることによって与えられる。インクレベルモニタ(図示せず)が、プリント動作中にインクが消費されるとともに低下するインクレベルを検出し、よってノズルにおける真空を高める。コントローラがインクレベルを監視し、インクが所望のレベルより低下したときに真空を所望の動作範囲内に維持するために、大量容器から液溜めにインクを補充する。メニスカスの真空がノズルの毛管作用力に打ち勝つに十分に離してノズルの下方に液溜めが配置されている、別の実施形態においては、インクに圧力を加えてノズル開口近傍のメニスカスを維持することができる。メニスカスの変動は液滴速度の変動を生じさせることができ、空気射出または滴下を生じさせることができる。実施形態において、メニスカスに維持される動作真空は、約0.5〜約10inwg、例えば約2〜約6inwgである。
【0015】
図2及び3を参照すれば、ノズル幅Wを有するノズル17が、アパーチャ幅Wを有する廃インク液制御アパーチャ32で囲まれている。アパーチャは全体的にノズルを囲み、ノズルの周縁から距離Sだけ隔てられている。特に図3を参照すれば、アパーチャはノズル開口の上流で内腔34及び開口36を介してインク液路と通じる。インク噴射中、インクはノズルプレート上に溜り得る。時間の経過とともに、インクはプリントエラーを生じさせる液塊を形成し得る。例えば、ノズル開口の周縁近傍の液塊は、射出される液滴の軌道、速度または体積に影響を与え得る。また、液塊は印刷基板上に滴下して無意味なマークを生じさせるような十分な大きさになることができよう。液塊はノズルプレート面から十分遠くに突き出し、印刷基板に接触して、印刷基板に汚れを生じさせることもできるであろう。アパーチャ32は過大な液塊の形成を避けるために廃インク液を集めることができる領域を提供する。インクは、毛管作用力及び/または圧電アクチュエータ15及び/または真空源30でつくられる真空によってアパーチャ32に引き込むことができる。
【0016】
図3〜3Cを参照すれば、液滴射出中のインク制御アパーチャの動作が示されている。特に図3を参照すれば、インクメニスカス24がノズル17に形成されている、無噴射状態のノズル17が示されている。特に図3A及び3Bを参照すれば、作動時に、インクがノズル開口17から外に誘導され、液滴19が形成されて射出される。特に図3Aを参照すれば、インクはアパーチャ32からも延び出すことができるが、アパーチャから射出はされていない。特に3Bを参照すれば、射出プロセス中に廃インク液38がノズルプレート18上に溜り得る。例えば、廃インク液はインクから分かれた液滴または飛行時の跳ね戻りとしてノズルプレート上に付着することができ、あるいはサテライト液滴がノズルプレートに戻ることができる。図3Cを参照すれば、液滴射出後すなわち次の液滴射出のための準備時に、メニスカス24が真空によって引き戻される。真空は真空源30及び/または、液滴を射出するためにチャンバ14にあるインク12にアクチュエータが圧力を加える加圧状態から、次の液滴射出のための準備時のニュートラル圧または負圧状態に移行されているときの、圧電アクチュエータによって生じさせることができる。ノズル17にかかる真空はインク制御開口32にも伝わり、よって廃インク液は開口32から内腔34を通して、矢印35で示される方向に、引き込まれる。この結果、廃インク液がノズルプレート上に過剰に溜ることはない。実施形態において、ノズルプレート、特にノズル開口とアパーチャの間の領域33は、インク液塊がこの領域に安定して形成されることを防止し、廃インク液のアパーチャへの流入を促進するために、非湿潤性被覆、例えばフルオロポリマー(例えばテフロン(登録商標))のようなポリマーを有する。真空はインク液溜め11にかかる真空を制御することによっても生じさせることもできる。ノズルとアパーチャの間に比較的に湿潤性のあるノズルプレート表面を設けることができ、非湿潤性被覆はアパーチャをこえるインク流を抑えるためにアパーチャがつくる円の外側で終端させることができる。
【0017】
アパーチャの寸法、数、間隔及びパターンは過剰な廃インク液の溜りを防止するように選ばれる。例えば、アパーチャの寸法及び数は、アパーチャからのインクの射出は防止するが、液滴射出のために大きな噴射力を余分に必要とせずに所望の量の廃インク液は引き込むように選ぶことができる。実施形態において、アパーチャは液滴射出中のアパーチャからのインク射出を防止するに十分にノズル開口より大きな流体抵抗を有する。実施形態において、それぞれのアパーチャの抵抗はノズルの抵抗より約25倍ないしそれより大きく、例えば100倍または200倍ないしそれより大きい。全アパーチャの総抵抗は、アクチュエータ変位を有意に大きくする必要なしに所望の量の廃インク液を引き戻すように選ばれる。アクチュエータ偏向の増大はアパーチャを通る平均流量をノズル流量と比較することによって推定できる。実施形態において、アパーチャを通る平均流量は、ノズルを通る流量の約10%ないしそれより小さく、例えば5%または2%ないしそれより小さい。実施形態において、アパーチャは噴射されるインクの5%,1%,0.5%,0.1%ないしそれより少ない量を引き込むように配置される。
【0018】
例えば、円形断面チャネルの流体抵抗は、
【数1】

【0019】
で与えられる。
【0020】
ここで、lはチャネル長、rは半径、μは流体粘度、Rは抵抗である。チャネルを通る平均流量は平均圧力をこの抵抗で除すことで得られる。12個の、それぞれがノズル幅の20%に相当する、3μmアパーチャを有するシステムは以下の特徴を有することになろう。流体抵抗は直径の4乗に反比例して変化するから、直径がノズル直径の20%のアパーチャはノズル抵抗の625倍の抵抗を有する。ノズルを囲む12個のアパーチャはノズル抵抗の52倍の総抵抗を有する。アパーチャを通る平均流量はノズルを通る流量の約1/52すなわち2%になるであろう。圧電アクチュエータについては、アクチュエータ変位を生じさせるアクチュエータ電圧が約2%だけ高くなる。30μm長の内腔を有する半径3μmの12個のアパーチャは、インク液溜めにつくられる2inwgの真空によって、10センチポアズ(1センチポアズ=10−11N・秒/m)のインク636pLを引き込むことができる。これは、インクの0.1%が捕捉される、63.6kHzで10pLの液滴の噴射に相当する。アパーチャにおける真空は、液溜めの真空だけでなくアクチュエータによっても真空がつくられる、噴射の充填段階中のアクチュエータ変位により実質的に高くなり得る。
【0021】
実施形態において、アパーチャはノズル開口を囲むパターンで設けられる。アパーチャは、そこでは液滴射出に影響するであろうノズル開口に接する領域に液体が溜らないような距離Sだけ隔てられる。実施形態において、アパーチャのノズル周縁との間隔は非常に小さい。例えば、実施形態において、間隔は、ノズル幅の約200%ないしそれより小さく、例えば50%ないしそれより小さく、例えば20%ないしそれより小さい。実施形態において、アパーチャはノズル周縁から大きい、例えばノズル直径の200%から1000%ないしさらに大きい、間隔をとって配置される。実施形態において、アパーチャは、密間隔アパーチャ及び大間隔アパーチャを含む、様々な間隔で設けることができる。実施形態において、それぞれのノズルに3個ないしそれより多くのアパーチャが付帯する。
【0022】
特定の実施形態において、アパーチャはノズル幅より約30%ないしそれより小さい、例えば20%ないしそれより小さいかまたは5%ないしそれより小さい、幅を有する。液体引き戻し中にアパーチャにかかる真空は約0.5〜10inwgないしそれより低い。ノズル幅は約200μmないしそれより小さく、例えば10〜50μmである。インクまたはその他の噴射液体は約1〜40センチポアズの粘度を有する。約25ノズル/インチ(約0.98ノズル/mm)より短い、例えば100〜300ノズル/インチ(約3.9〜11.8/mm)のピッチで、複数のノズルがノズルプレートに設けられる。液滴体積は約1〜70pLである。
【0023】
図4〜4Aを参照すれば、制御アパーチャ32におけるインク停滞またはインク乾燥を避けるために、液滴を射出していないときにはインクを制御アパーチャ32に連続的に導き入れるようにシステムを動作させることができる。図4を参照すれば、アクチュエータ15は、インク液塊27をノズル17から延び出させるが、液滴射出に十分なエネルギーは与えないように、制御されている。図4Aを参照すれば、延出点において、液塊27がノズル内に引き戻され、インクのいくらかがノズルプレート18の表面上に広がっている。次いで、ノズル17及び制御アパーチャ32にかかる真空をつくるように、アクチュエータ15が操作される。ノズルプレート上のインクは制御アパーチャ32に引き込まれる。周期的または連続的にインクを循環させることによって、アパーチャ32内のインクをリフレッシュするための流れが誘起される。
【0024】
図5〜5Aを参照すれば、制御アパーチャ40はインク供給源から独立した真空源に通じている。図5を参照すれば、アパーチャ40は、断続的または連続的に真空をつくるメカニカル真空装置(図示せず)のような真空源に通じるチャネル42に連結されている。図5Aを参照すれば、真空が廃インク液をノズルプレートから引き込んでいる(矢印46)。ノズルプレートから引き込まれたインクはインク供給源に戻して再使用するか、または廃液容器に導くことができる。アパーチャは非円形の断面を有することができる。例えば、アパーチャは、楕円の長軸がノズル開口の半径と合せられた、楕円形とすることができる。
【0025】
図6を参照すれば、制御アパーチャ50は吸上または毛管作用によって廃インク液38の流れを促進するための吸収材料52を有する。吸収材料52はインクの大量容器(図示せず)に通じるチャネル54に配置することができる。材料52はノズルプレート18の表面より若干突き出ることができる。適する吸上材料には、ポリマーフォーム、例えばウレタンフォーム、またはその他の多孔質材料がある。ポリウレタン前駆体材料を、アパーチャ内でその場重合して吸上材料を形成する低粘度液体としてアパーチャに送り込むことができる。
【0026】
上に説明した実施形態のいずれかのアパーチャ及び/またはノズル開口は、機械加工、レーザアブレーションあるいは化学エッチングまたはプラズマエッチングで形成することができる。アパーチャは成形、例えば射出成形で形成することもできる。アパーチャ及びノズル開口は、共通の構体に形成することができ、あるいは別々の構体に形成して組み合せることができる。例えば、ノズル開口はインク流路の別のコンポーネント、例えばポンプチャンバを定める構体に形成することができ、アパーチャはノズル開口を定める構体と組み合せられる別の構体に形成することができる。別の実施形態において、アパーチャ、ノズル開口及び圧力チャンバは共通の構体に形成される。構体は金属、炭素、またはシリコン材料、例えばシリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などの、エッチング可能な材料、あるいはその他のエッチング可能な材料とすることができる。エッチング法を用いるプリントヘッドコンポーネントの形成は、2002年7月3日に出願された米国特許出願第10/189947号の明細書、及び2003年10月10日に出願された米国特許出願第60/510459号の明細書に詳細に説明されており、両明細書の全内容は本明細書に参照として含まれる。
【0027】
アパーチャは、2003年12月30日に出願された米国特許出願第10/749816号の明細書に説明される突起、2003年12月30日に出願された米国特許出願第10/749622号の明細書に説明されるウエル及び/または2003年12月30日に出願された米国特許出願第10/749833号の明細書に説明されるチャネルのような、その他の廃液制御態様と組み合わせて用いることができる。上記明細書のそれぞれの全内容は本明細書に参照として含まれる。例えば、一連のチャネルをアパーチャ近傍のノズル面に設けることができる。アパーチャはウエルまたはチャネル内にまたは突起の近傍に設けることができる。クリーニング構造を、クリーニング液がノズルプレートに与えられ、拭い取られる、手動または自動の洗浄及び拭取りシステムと組み合わせることができる。クリーニング構造は噴射後の廃インク液ではなくクリーニング液及び屑を集めることができる。
【0028】
実施形態において、液滴射出システムはインク以外の液体を射出するために利用することができる。例えば、被着される液滴はUV硬化性またはその他の輻射線硬化性の材料、あるいは液滴として送出され得るその他の材料、例えば化学的または生物学的液体とすることができる。例えば、説明される装置は、精密計量分配システムの一部とすることができよう。アクチュエータは電気機械アクチュエータまたは熱アクチュエータとすることができる。例えば、アクチュエータは静電型とすることができる。
【0029】
その他の実施形態は添付される特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】液滴射出集成体の略図である
【図2】ノズルプレートの一部の上面図である
【図3−1】図3は液滴射出を示すノズルの断面図である
【図3−2】図3Aは液滴射出を示すノズルの断面図である
【図3−3】図3Bは液滴射出を示すノズルの断面図である
【図3−4】図3Cは液滴射出を示すノズルの断面図である
【図4−1】図4はノズルの断面図である
【図4−2】図4Aはノズルの断面図である
【図5−1】図5はノズルの断面図である
【図5−2】図5Aはノズルの断面図である
【図6】ノズルの断面図である
【符号の説明】
【0031】
9 ヘッドスペース
10 インクジェット装置
11 液溜め
12 インク
13,16 液路
14 圧力チャンバ
15 アクチュエータ
17 ノズル
18 ノズルプレート
19 インク液滴
20 基板
22,23 ロール
30 真空源
31 コントローラ
32 廃インク液制御アパーチャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴射出装置において、
ノズル開口から液滴を射出するためにその中で液体に圧力が加えられる流路、
前記液体に圧力を加えるための圧電アクチュエータ、及び
前記ノズル開口近傍の1つまたはそれより多くの廃液制御アパーチャ、
を有し、
前記アパーチャが真空源とつながっている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ノズル開口の幅の約200%ないしそれより短い距離だけ前記ノズル開口から隔てられている液体制御アパーチャを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ノズル開口の幅の約200%から約1000%ないしそれより短い距離だけ前記ノズル開口から隔てられている液体制御アパーチャを有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御アパーチャがその中で液体に圧力が加えられる前記流路と通じていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記制御アパーチャのそれぞれが前記ノズル開口の流体抵抗の約25倍ないしそれより大きい流体抵抗を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記アパーチャを通る平均総流量が前記ノズル開口を通る平均流量より約10%ないしそれより少ないことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記制御アパーチャのそれぞれが前記ノズル開口の幅より約30%ないしそれより小さい幅を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ノズル開口の幅が約200μmないしそれより小さいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記制御アパーチャのそれぞれが約10μmないしそれより小さい直径を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ノズル開口の近傍に非湿潤性被覆を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記流路、前記ノズル開口及び前記制御アパーチャが共通の構体内に画成されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記構体がシリコン材料であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記制御アパーチャが前記流路から隔離されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記制御アパーチャが吸上材料を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記制御アパーチャが廃液容器と通じていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
液滴射出装置において、
ノズル開口から液滴を射出するためにその中で液体に圧力が加えられる流路、
圧電アクチュエータ、及び
前記ノズル開口の幅の約200%ないしそれより短い距離だけ前記ノズル開口から隔てられている液体制御アパーチャ、
を有し、
前記アパーチャのそれぞれが前記ノズル開口幅より約30%ないしそれより小さいアパーチャ幅を有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項17】
前記液体制御アパーチャを少なくとも3つ有することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ノズル開口近傍に非湿潤性被覆を有することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記制御アパーチャが前記流路から隔離されていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記流路、前記ノズル開口及び前記制御アパーチャが共通の構体内に画成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項21】
液滴射出装置において、
ノズル開口から液滴を射出するためにその中で液体に圧力が加えられる流路、
及び
1つまたはそれより多くの液体制御アパーチャを有し、
前記流体制御アパーチャが吸上材料を有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項22】
前記吸上材料が前記制御アパーチャから突き出ていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
液体を射出する方法において、
ノズル開口及び少なくとも1つの廃液制御アパーチャを有し、前記廃液制御アパーチャが真空につながっている、液滴射出装置を提供する工程、
約10kHzないしそれより高い頻度で液体を射出する工程、及び
約5インチ水柱(1インチ水柱=249Pa)ないしそれより低い動作真空において、射出される液体の約5%ないしそれより少ない量の廃液を、前記制御アパーチャを通して引き込む工程、
を有してなることを特徴とする方法。
【請求項24】
前記廃液制御アパーチャを少なくとも3つ有することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
約2インチ水柱ないしそれより低い動作真空において、射出される液体の約2%を引き込む工程を含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記制御アパーチャ及び前記ノズル開口が共通の液体供給源に通じ、前記液体供給源と前記真空が前記液体供給源でつながっていることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記制御アパーチャの直径が前記ノズル開口の直径の約30%ないしそれより小さいことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記ノズル開口の直径が約200μmないしそれより小さいことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項29】
液体を射出する方法において、
ノズル開口及び少なくとも1つの廃液制御アパーチャを有する液滴射出装置を提供する工程、及び
液滴を射出せずに、前記アパーチャと通じるような態様で前記ノズル開口を通して前記液体の液塊を誘導する工程、
を有してなることを特徴とする方法。
【請求項30】
前記アパーチャ内に液体を維持するために液塊を周期的に誘導する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記液塊への液体の前記誘導を一時中止する工程、及び
前記ノズル開口から液滴を射出する工程、
を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記液体制御アパーチャが真空につながっていることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記制御アパーチャ及び前記ノズル開口が共通の液体供給源に通じ、前記液体供給源と前記真空が前記液体供給源でつながっていることを特徴とする請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図5A】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−516879(P2007−516879A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547572(P2006−547572)
【出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/043946
【国際公開番号】WO2005/065378
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505456458)フジフィルム ディマティックス,インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】