説明

液面検出装置

【課題】 液面検出部の回路構成及び液面検出部からの液面検出信号を処理する処理回路の構成を簡素化すると共に、液面検出部の異常検出を行うことができる液面検出装置を提供する。
【解決手段】 本発明の液面検出装置は、フロート17に取り付けられた磁石18を感知して信号を出力するn個のホール素子H1〜Hnと、対応するホール素子からの感知信号によりプリセットされるn個の第1のフリップフロップ、前記第1のフリップフロップ所定個数おきに挿入配置され、データ区切り信号によりプリセットされる1つ以上の第2のフリップフロップが直列に接続されてなるシフトレジスタとを有し、プリセットされた前記第1,第2のフリップフロップの出力を、前記シフトレジスタよりシリアル出力する液面検出部100と、前記シフトレジスタより出力されるシリアル出力より前記液面位置の検出出力を出力するデータ処理部103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面を検出する液面検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種プラントに設置された大型タンクの液位や、ダム、用水池、河川等の水位の測定に用いる液面検出装置として、例えば、図6に示す液面検出装置が提案されている。図6において、液面検出装置は、液面の位置を感知するn個のホール素子H1〜Hnと、ホール素子H1〜Hnに接続されたn個のフリップフロップF1〜Fnが順送りに作動するように接続されて構成されるシフトレジスタとを有する液面検出部700と、液面検出部700を制御して、シフトレジスタからのデータ信号に基づいて、液面の位置を検出する制御部701と、制御部701から出力される液面の位置情報に基づいて、液面の位置を表示する表示部702とを備える。制御部701は、液面検出部700を制御するコントローラ703と、パルス信号を発振するオシレータ704と、パルス信号をカウントするカウンタ705とを備える。
【0003】
以上のように構成される液面検出装置の動作について説明する。なお、図6において、液面検出部700では、ホール素子H1が最下段に位置することとして、以下説明を行う。液面検出部700は、液面に浮くフロートに取り付けられた磁石に、各ホール素子H1〜Hnが反応することで、液面の位置を検出する。
【0004】
その検出の手順としては、まず、制御部701のコントローラ703から各フリップフロップF0〜Fnに対してリセット信号が出力される。これにより、各フリップフロップF0〜Fnはリセットされ非作動状態となる。ただし、フリップフロップFnについてはリセット直後に作動状態となる。
【0005】
次に、オシレータ704からパルス信号が出力され、また、カウンタ705によりパルス信号のカウントが開始される。この際、液面が検出可能範囲になく、すべてのホール素子H1〜Hnが磁石の磁気に反応を示さない場合には、フリップフロップFnが作動状態となっているため、その他のフリップフロップFn-1〜F0が順送りに作動して、コントローラ703にカウント終了信号が出力される。カウンタ705は、コントローラ703を介してカウント終了信号を受信することによってカウントを終了する。このときのカウント値は、ホール素子が接続されていないフリップフロップF0が設けられているため、n+1個となる。
【0006】
一方、液面が検出可能範囲にあり、例えば、ホール素子H3が磁石の磁気に反応して感知信号を出力すると、ホール素子H3からの感知信号を入力したフリップフロップF3から順送りに作動する。すなわち、図7のタイミングチャートに示すように、フリップフロップF3は感知信号の入力によりプリセットされる。このため、液面検知部700のシフトレジスタは、フリップフロップF3を起点として、その後に続くフリップフロップF2からフリップフロップF1、フロップフロップF0へと順送りに作動して、コントローラ703に対し、カウント終了信号を出力する。カウンタ705は、コントローラ703を介してカウント終了信号を受信することによってカウントを終了する。このときのカウント値は3個となる。
【0007】
コントローラ703は、カウンタ705によってカウントされた値に基づいて液面の位置を判定し、判定した位置情報を表示部702に出力する。そして、表示部702によって液面の検出結果が視覚的に表示される。
【特許文献1】特開平2004−257763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1に記載の液面検出装置では、各水位電極の状態を1つずつ走査することにより液面の位置を検出する構造であるため、液面感知部として機能する水位電極のほかに、走査するためのインターフェースとして、トランジスタ等のスイッチング素子が必要であり、配線形態が複雑になる。また、すべての水位電極の状態を1つずつ走査して、その都度制御部にフィードバックする方式であるため、制御部側の処理回路が複雑になる。
【0009】
また、上記特許文献1に記載の液面検出装置では、液面検出部の異常検出、例えば、液面検出部を構成するホール素子やフリップフロップが故障したことや、ホール素子の感度が下がったことを検出することができないので、液面検出部による検出結果が正確であるか否かを判断することができない。このため、液面検出部の異常によって、液面の位置を誤認識する可能性がある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、液面検出部の回路構成及び液面検出部を制御する制御部の処理回路の構成を簡素化すると共に、液面検出部の異常検出を行うことができる液面検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る液面検出装置は、液面の位置を検出する液面検出装置において、一直線上に配置され、それぞれ液面の位置変動に伴い移動する移動体を感知して感知信号を出力する複数の液面感知部と、前記複数の液面感知部のそれぞれに対応して一直線上に配置され、対応する前記液面感知部からの感知信号によりプリセットされる複数の第1のフリップフロップ、及び前記第1のフリップフロップ所定個数おきに挿入配置され、データ区切り信号によりプリセットされる1つ以上の第2のフリップフロップが直列に接続されてなるシフトレジスタとを有し、プリセットされた前記第1,第2のフリップフロップの出力を、前記シフトレジスタよりシリアル出力する液面検出部と、前記シフトレジスタより出力されるシリアル出力より前記液面位置の検出出力を出力するデータ処理部とを備えた、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る液面検出装置は、前記第1のフリップフロップ列の一端に配置される第1のフリップフロップに接続された液面感知部は、前記第1のフリップフロップ列の一方向から移動してきた前記移動体の通過を検知して検知信号を出力し続け、前記方向とは逆方向から移動してきた前記移動体の通過を検出したとき、前記検知信号をオフする、
ことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る液面検出装置は、前記移動体は磁石であり、前記液面感知部は、液面の位置変動に伴い移動する磁石に反応して感知信号を出力する磁電変換素子である、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る液面検出装置は、前記磁石の磁力および前記各磁電変換素子の感度が、前記磁石と前記複数の各磁電変換素子との距離、および前記複数のうちの隣接する磁電変換素子間の間隔に基づいて、該磁石が前記磁電変換素子の列の両端の素子間に位置するとき、常に1つ以上の前記磁電変換素子が前記磁石の作用を受けて感知信号を出力するように選定される、ことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る液面検出装置は、前記磁電変換素子がホール素子である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る液面検出装置によれば、液面の位置を検出する液面検出装置において、一直線上に配置され、それぞれ液面の位置変動に伴い移動する移動体を感知して感知信号を出力する複数の液面感知部と、前記複数の液面感知部のそれぞれに対応して一直線上に配置され、対応する前記液面感知部からの感知信号によりプリセットされる複数の第1のフリップフロップ、及び前記第1のフリップフロップ所定個数おきに挿入配置され、データ区切り信号によりプリセットされる1つ以上の第2のフリップフロップが直列に接続されてなるシフトレジスタとを有し、プリセットされた前記第1,第2のフリップフロップの出力を、前記シフトレジスタよりシリアル出力する液面検出部と、前記シフトレジスタより出力されるシリアル出力より前記液面位置の検出出力を出力するデータ処理部とを備えた。これにより、液面感知部の状態を1つずつ走査する従来の方式に比べて、液面検出部からのデータ信号を処理するデータ処理部の回路構成を簡素化できる。また、液面感知部の状態を1つずつ走査しないので、そのためのスイッチング素子が不要になり、液面検出部の回路構成も簡素化できる。さらに、液面検出部から読み出されるデータ信号には、データ区切り信号が一定間隔おきに所定数挿入されているため、データ処理部は、読み出したデータ信号から液面検出部の異常検出を行うことができる。
【0017】
また、本発明に係る液面検出装置によれば、前記第1のフリップフロップ列の一端に配置される第1のフリップフロップに接続された液面感知部は、前記第1のフリップフロップ列の一方向から移動してきた前記移動体の通過を検知して検知信号を出力し続け、前記方向とは逆方向から移動してきた前記移動体の通過を検出したとき、前記検知信号をオフする。これにより、前記移動体が、前記液面検出部が前記移動体を検知できる検出範囲外に移動したことを検出できる。
【0018】
本発明に係る液面検出装置によれば、前記移動体は磁石であり、前記液面感知部は、液面の位置変動に伴い移動する磁石に反応して感知信号を出力する磁電変換素子であり、前記磁石の磁力および前記各磁電変換素子の感度が、前記磁石と前記複数の各磁電変換素子との距離、および前記複数のうちの隣接する磁電変換素子間の間隔に基づいて、該磁石が前記磁電変換素子の列の両端の素子間に位置するとき、常に1つ以上の前記磁電変換素子が前記磁石の作用を受けて感知信号を出力するように選定されている。これにより、移動体である磁石を所定数の磁電変換素子で感知することができる。その結果、所定数の磁電変換素子が磁石を感知したか否かにより、各磁電変換素子の感度を検出できる。
【0019】
本発明に係る液面検出装置によれば、前記磁電変換素子が、機械的応力・衝撃・振動に強く、また、安価であるホール素子であることから、液面検出部の製造コストを低減できる。さらに、前記磁電変換素子として、ホール素子を用いることで、各素子の間隔を小さくして、磁石の1つの磁極からの磁束によってホール素子が作動するように構成できるので、液面の位置を高い精度で検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1に係る液面検出装置の一構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る液面検出装置は、液面の位置を検出する液面検出部100と、液面検出部100を制御する制御部101と、液面の位置を表示する表示部102とを備える。制御部101は、液面検出部100からデータを読み出すためのパルス信号およびリセット信号を出力する機能と、読み出したデータ信号を処理して液面の位置の判定や液面検出部100の異常検出を行う機能と、液面の位置情報を表示部102に出力して液面の位置を表示させる機能とを有するデータ処理部103を備える。
【0021】
図2は、本実施の形態1に係る液面検出装置が適用される液面検出器の一構成例を示す図である。本実施の形態1に係る液面検出装置は液面検出器10内に収容されるプリント基板12上に組み込まれる。液面検出器10では、プリント基板12に組み込まれた液面検出部100が、プリント基板12に接続される入出力線L1〜L3を介して制御部101に接続される。
【0022】
ここで、本実施の形態1に係る液面検出装置が適用される液面検出器10は、両端がフランジ13で閉塞され、タンク内に接続されるフランジ14が設けられたスタンドパイプ11に、取り付けバンド16を介して取り付けられる。スタンドパイプ11の両端のフランジ13はフロート17の脱着を行う。フランジ14はスタンドパイプ11のタンク接続口に設けられる。また、スタンドパイプ11内には、スタンドパイプ内を移動可能なフロート17が設けられる。フロート17には、液面検出部100内の液面感知部20によって検出される被感知部材である磁石18が取り付けられている。フロート17は、フランジ13間を液面の位置変動に伴いスタンドパイプ11に沿って移動する。
【0023】
以上のように構成される液面検出器10は、液面の位置変動に伴いフロート17がスタンドパイプ11に沿って移動することによって、フロート17に設けられた被感知部材18も移動するため、液面検知部100によって被感知部材18の位置を検出することにより、液面の位置を検出できる。
【0024】
液面検出部100は、液面の位置を感知するn個の液面感知部と、複数のフリップフロップが順送り作動するように接続されて構成されるシフトレジストとを備える。このシフトレジスタは、液面感知部と接続するn個のフリップフロップと、データ区切り信号を入力する複数のフリップフロップとの合計m+1個のフリップフロップとが順送りに作動するように接続されている。
【0025】
以下、まず、液面検出部100の各液面感知部について説明する。液面感知部としては、液面の位置を感知できるものであれば良く、光、磁気、超音波などを利用した公知のものを採用することができるが、デジタル処理に適した位置情報を得ることが容易で、液面検出器10にも適用可能な磁電変換素子を用いることが好ましい。
【0026】
磁電変換素子は磁気に反応して感知信号を出力することから、液面検知部として磁電変換素子を用いる場合、被感知部材として磁石18をフロート17に取り付ける。
【0027】
ここで、磁石18の磁力および各磁電変換素子の感度は、磁石18と各磁電変換素子との距離、及び各磁電変換素子間の間隔に基づいて、常に1つ以上の磁電変換素子が磁石18の作用を受けて感知信号を出力するように選定されることとする。これにより、磁石18を所定数の磁電変換素子によって感知することができる。
【0028】
磁電変換素子としては、例えば、リードスイッチや磁気抵抗素子が挙げられる。図3は、液面感知部としてリードスイッチRSを使用する場合の液面検出部100の回路構成を示す図である。この場合、リードスイッチRSはフリップフロップFのプリセット入力端子(PRバー)に接続され、磁気を感知したとき、すなわち、液面の位置を感知したときに、プリセット入力端子(PRバー)に感知信号を出力する。本発明の液面感知部としては、液面の位置を感知したときに、入力端子(PRバー)に感知信号を出力するようなものであればどのようなものであっても良いが、磁電変換素子の一つであるホール素子が、特に好ましい。
【0029】
ホール素子は、リードスイッチとは異なり、機械的応力・衝撃・振動に弱いという欠点がなく、また、安価であるため、ホール素子を液面感知部として用いることで製造コストを低減できる。また、ホール素子を用いることで、各素子の間隔を小さくして、1つの磁石の磁極からの磁束によってホール素子が作動するように液面検出部100を構成できるので、液面の位置を高い精度で検出できる。
【0030】
本実施の形態1では、上記の理由から液面感知部として、ホール素子を用いることとする。以下、液面感知部として、ホール素子を用いる場合の液面検出部100の構成について、説明する。液面感知部20であるホール素子H1〜Hnは、磁石18に応答するように、液面検出器10のプリント基板12上に、その長手方向に沿って列をなすように線状に配置される。各ホール素子は後述するn個のフリップフロップと1対1で接続する。ホール素子は、プリセット入力端子(PRバー)を介して、それぞれ対応するフリップフロップと接続する。そして、磁石18を感知したときに、対応するフリップフロップに感知信号を出力する。ホール素子は感知信号として、「0」又は「1」のいずれかを示す信号を出力する。
【0031】
なお、本実施の形態1では、図1、3に示したように、各ホール素子H1〜Hnにプルアップ抵抗Rが設けられている。これは、何らかの原因でホール素子H1〜Hnのいずれかが故障した場合、それに接続されたフリップフロップのプリセット入力端子が不定状態になり、フリップフロップが順送りに作動しなくなるおそれがあるので、このような不具合を解消するために設けられる。すなわち、プルアップ抵抗Rを設けることによって、ホール素子H1〜Hnのいずれかが故障した場合でも、それに接続されたフリップフロップを作動状態にして、順送りに作動させることができる。
【0032】
また、液面感知部として、ホール素子H1〜Hnに代えてプルアップ抵抗を内蔵したものやFET出力型(電圧出力型)のものを用いることで、プルアップ抵抗Rを外付けしなくても同様の機能を果たすように構成できる。本発明のホール素子としては、単に液面を検出するための磁気センサとして機能するものだけでなく、プルアップ抵抗内蔵型のものも含まれる。
【0033】
次に、液面検出部100内のフリップフロップについて説明する。ここでは、フリップフロップF0を最下段とし、フリップフロップFmを最上段として、以下説明を行う。本実施の形態1では、図1に示すように、シフトレジスタを構成するフリップフロップとして、対応するホール素子(H1〜Hn)と1対1で接続され、ホール素子の列に沿って配置されるn個の第1のフリップフロップ(F1〜F5、F9〜F13、Fm-2)と、第1のフリップフロップの所定個数おきに挿入配置され、データ区切り信号を入力する1つ以上の第2のフリップフロップ(F6〜F8、F14〜F16、Fm-1、Fm)と、フリップフロップの列の一端に配置され、データ区切り信号を入力する第3のフリップフロップ(F0)とを備える。
【0034】
第1のフリップフロップの構成例について、フリップフロップF1〜F5を例に挙げ、図4を用いて説明する。フリッププロップはそれぞれ順送りに作動できるように接続されている。例えば、フリップフロップF3の入力端子Dが入出力線L9を介して前段のフリップフロップF4の出力端子Qと接続し、フリップフロップF3の出力端子Qが入出力線L8を介して後段のフリップフロップF2の入力端子Dに接続され、さらに、フリップフロップF2はその出力端子Qが入出力線L7を介して後段のフリップフロップF1の入力端子Dに接続される。さらに、各フリップフロップは、クロック入力端子CKが入出力線L6を介してパルス信号出力端子T3に接続され、クリア端子(CLRバー)が入出力線L5を介してリセット信号出力端子T2に接続されている。
【0035】
第2のフリップフロップF6〜F8、F14〜F16は、そのプリセット入力端子(PRバー)が接地又は電源と接続し、接地と接続するフリップフロップはデータ区切り信号「0」を入力し、電源と接続するフリップフロップはデータ区切り信号「1」を入力する。さらに、クロック入力端子CKが入出力線L6を介してパルス信号出力端子T3に接続され、クリア端子(CLRバー)が入出力線L5を介してリセット信号出力端子T2に接続されている。
【0036】
また、第2のフリップフロップFm-1は、そのプリセット入力端子(PRバー)が電源と接続して、データ区切り信号「1」を入力する。さらに、クロック入力端子CKが入出力線L6を介してパルス信号出力端子T3に接続され、クリア端子(CLRバー)が入出力線L5を介してリセット信号出力端子T2に接続されている。
【0037】
また、第2のフリップフロップFmは、そのプリセット入力端子(PRバー)と入力端子Dとが接地又は電源と接続して、データ区切り信号を入力する。図1においては、プリセット入力端子(PRバー)が接地と接続してデータ区切り信号「0」を入力し、入力端子Dが入出力線L10を介して電源と接続して、データ区切り信号「1」を入力する。さらに、第2のフリップフロップFmは、その出力端子Qが入出力線L11を介してフリップフロップFm-1の入力端子Dに接続され、クロック入力端子CKが入出力線L6を介してパルス信号出力端子T3に接続され、クリア端子(CLRバー)が入出力線L5を介してリセット信号出力端子T2に接続されている。
【0038】
このように、本実施の形態1では、第1のフリップフロップの列内に所定個数(ここでは5個)おきに3個の第2のフリップフロップ(F6〜F8、F14〜F16)が配置され、最上段側に2個の第2のフリップフロップ(Fm-1、Fm)が配置される場合について示したが、1つ以上の第2のフリップフロップが、第1のフリップフロップの所定個数おきに挿入配置されれば良い。図1においては、5つのホール素子ごとにデータ区切り信号「1」「0」「1」が挿入される。よって、液面検出部100では、ホール素子から出力される感知信号がどのような状態であっても、シフトレジスタから出力されるデータ信号のデータ列は「0」が連続するホール素子の数、「1」が連続するホール素子の数+2、以上続かないことから、シフトレジスタから出力されるデータ信号は、0が6以上、1が8以上連続することはない。このように、データ区切り信号を入力する第2のフリップフロップを備えることで、同じ値が連続するデータ数の上限が決まる。このため、この上限より多い同じ値が連続するデータ信号が読み出された場合、ホール素子が接続されていない部分のデータの読み出しが行われているか、又は、液面検出部100が正常な状態でないことがデータ処理部103で検出できる。
【0039】
第3のフリップフロップF0は、そのプリセット入力端子(PRバー)が接地又は電源と接続し、データ区切り信号を入力する。図1においては、プリセット入力端子(PRバー)が電源と接続して、データ区切り信号「1」を入力する場合について示しているが、プリセット入力端子(PRバー)が接地と接続して、データ区切り信号「0」を入力することでも良い。また、最下段のフリップフロップF0は、出力端子Qが入出力線L4を介してデータ信号入力端子T1に接続され、クロック入力端子CKが入出力線L6を介してパルス信号出力端子T3に接続され、クリア端子(CLRバー)が入出力線L5を介してリセット信号出力端子T2に接続されている。
【0040】
なお、図1に示すように、フリップフロップの列の最下段に、データ区切り信号を入力する第3のフリップフロップ(F0)を配置するようにしても良いが、本発明の液面検出部100において、フリップフロップF0は必ずしも必要ない。フリップフロップF0を設けない場合には、最下段のデータ区切り信号が無いため、正常データの読み出し範囲の連続同一データ数が最下段のみ1つ少なくなる。
【0041】
ここで、フリップフロップの列の一端に配置されるフリップフロップ、すなわち、最下段又は最上段のいずれかに配置されるフリップフロップは、リセット直後に作動状態となるように設定されていることが好ましい。
【0042】
例えば、最上段のフリップフロップFmが、リセットした直後に作動状態になるように設定される場合、全てのホール素子H1〜Hnが液面の位置を感知してない状態でも、フリップフロップFmが作動状態となるため、フリップフロップFmの出力端子QからフリップフロップFm-1の入力端子Dにデータ信号が出力され、フリップフロップFm-1が作動状態になる。そして、フリップフロップF0〜Fmが順送りに作動した後も、データを読み出すと入出力線L10から入力された値が読み出され続けることになる。
【0043】
以上のように構成される液面検出部100は、データ処理部103から入出力線L5を介して出力されるパルス信号に従って、シフトレジスタからデータ信号を出力する。このデータ信号のデータ列は、データ区切り信号をDx(Xは1又は0)、ホール素子が出力するデータ信号をHnとすると、図1の場合、最下段のフリップフロップF0から順に、D1、H1、H2、H3、H4、H5、D1、D0、D1、H6、H7、H8、H9、H10、D1、D0、D1、・・・Hn、D1、D0、D1となる。このように、液面検出部100は、パルス信号に従って、ホール素子からの信号とデータ区切り信号とを1つのデータ列のデータ信号として、出力する。
【0044】
次に、以上のようにして、液面検出部100から出力されるデータ信号を処理するデータ処理部103について詳細に説明する。データ処理部103は、データ信号に挿入されるデータ区切り信号の位置と間隔を予め記憶している。このため、入力したデータ信号からデータ区切り信号を取り除き、データ列を再配列できると共に、液面検出部100の異常検出を行うことができる。そして、再配列したデータ列から、感知信号を出力したホール素子の位置を判定し、位置情報を表示部103に出力する。これにより、表示部103で、ホール素子によって感知された液面の位置を表示できる。また、データ処理部103は、液面の表示だけでなく、その液面の位置から液体の残量を求めて、表示部103に表示させることもできる。
【0045】
ここで、磁石18の磁力および前記各ホール素子の感度が、磁石18と各ホール素子との距離、及び各ホール素子間の間隔に基づいて、常に複数のホール素子が磁石18の作用を受けて感知信号を出力するように選定される場合、データ処理部103は、磁石18を感知した複数のホール素子の位置の平均値を求めて、該平均値を位置情報として、表示部103に出力する。
【0046】
また、データ処理部103は、液面を測定する液体の比重を予め記憶しておき、液体の比重によるフロートの位置ずれを補正し、補正した値を位置情報として表示部103に出力することでも良い。
【0047】
次に、以上のように構成される本実施の形態1に係る液面検出装置の動作について説明する。例えば、給液、排液設備を備えたタンク内に、液面感知部としてのホール素子H1が最下段に位置するように液面検出器10を設置する。そのタンクに液体が供給され、液位が上昇すると、それに伴って、液面に浮くフロート17がスタンドパイプ11に沿って上昇する。一方、タンクから液体が排出され、液位が下降すると、それに伴いフロート17がスタンドパイプ11に沿って下降する。液面検出部100は、こうした液面の上下動に伴いスタンドパイプ11内を移動するフロート17に設けられた磁石18の磁気に各ホール素子のH1〜Hn-1が反応することで、液面の位置を検出できる。
【0048】
検出手順としては、まず、データ処理部103から各フリップフロップF0〜Fnに対してリセット信号が出力される。これにより、各フリップフロップF0〜Fnはリセットされ非作動状態になる。ただし、フリップフロップFmについては、リセット直後に作動状態になる。
【0049】
次に、データ処理部103からパルス信号が出力され、そのパルス信号によってシフトレジスタからデータ信号が出力され、データ処理部103がそれを読み取る。
【0050】
この際、パルス信号に従って、シフトレジスタからデータ信号が、最下段のフリップフロップF0側から順番に出力される。データ区切り信号をDx(Xは1又は0)、ホール素子が出力するデータ信号をHnとすると、図1の場合、データ列は、フリップフロップF0側から順に、D1、H1、H2、H3、H4、H5、D1、D0、D1、H6、H7、H8、H9、H10、D1、D0、D1、・・・Hn、D1、D0、D1となる。例えば、図1において、ホール素子H2〜H4が磁石18に反応して、液面を感知し、感知信号「0」を出力する場合、データ信号のデータ列は、フリップフロップF0側から順に、1、1、0、0、0、1、1、0、1、1、1、1、1、1、1、0、1・・・1、1、0、1となる。
【0051】
ここで、データ処理部103は、データ列においてデータ区切り信号が挿入される位置と間隔を予め記憶していることから、読み出したデータ信号内のデータ区切り信号の位置が予め記憶した位置と同じか、また、同じ値が連続したデータ数が正常範囲個数を超えているか、すなわち、0が6以上、1が8以上連続しているかを判定することで、異常検出を行う。さらに、磁石を所定数(ここでは3つ)のホール素子が感知したかによって、ホール素子の感度を検出する。
【0052】
次に、データ処理部103は、データ区切り信号が挿入される位置が予め決まっているため、読み取ったデータ信号からデータ区切り信号の値を取り除くことで、フリップフロップF1側から順に、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10・・・Hnというデータ列のデータ信号を得る。例えば、ホール素子H2〜H4が磁石18に反応して液面を感知し、感知信号として「0」を出力する場合、得られるデータ列は、フリップフロップF1側から順に、1、0、0、0、1、1、1、1、1、1・・・1となる。データ信号はシフトレジスタからパルス信号に従って、フリップフロップF1側から順番に出力されるため、そのデータ列によって、磁石18の磁気を感知したホール素子の位置を検出して、フロート17の位置を判定できる。ここでは、ホール素子H2〜H4が液面を感知していることから、データ処理部103は、それらのホール素子の位置の平均値を求めて、該平均値を位置情報として、表示部103に出力する。
【0053】
次に、表示部103は、前記位置情報に基づいて液面の検出結果を視覚的に表示する。
本実施の形態1に係る液面検出装置は、上記の動作を繰り返し行うことにより、連続的に液面の位置変動を高い精度で検出できる。
【0054】
以上のように本実施の形態1に係る液面検出装置は、液面の位置を感知して感知信号を出力する複数のホール素子H1〜Hnと、対応するホール素子と1対1で接続する複数の第1のフリップフロップ、第1のフリップフロップの列内に、一定間隔おきに配置され、データ区切り信号を入力する1つ以上の第2のフリップフロップ、及び第1のフリップフロップの列の一端に配置され、データ区切り信号を入力する第3のフリップフロップが順送りに作動するように接続されて構成されるシフトレジスタとを有する液面検出部100と、液面検出部100から出力されるデータ信号を処理する制御部101とを備えるようにした。これにより、制御部101は、液面検出部100にパルス信号を出力することによって、液面の位置を感知する全ての液面感知部の情報を1つのデータ列として、読み出すことができる。従って、本実施の形態1に係る液面検出装置は、液面感知部100の状態を1つずつ走査する従来の方式に比べて、制御部101のデータ信号の処理回路の構成を簡素化できる。また、液面感知部100の状態を1つずつ走査しないので、そのためのスイッチング素子が不要になり、液面検出部100の回路構成も簡素化できる。さらに、液面検出部100から読み出されるデータ信号には、データ区切り信号が予め決められた位置に所定数挿入されているため、制御部101は、読み出したデータ信号から液面検出部100の異常検出を行うことができる。
【0055】
なお、本実施の形態1では、液面感知部として磁電変換素子(ホール素子)を用いることとして、説明を行ったが、本発明はこれに限るものではない。例えば、液面感知部は、光又は超音波を感知して感知信号を出力する素子であっても良い。この場合、被感知部材として、光又は超音波を発生する部材をフロート17に取り付ける。
【0056】
(実施の形態2)
次に、本実施の形態2に係る液面検出装置について図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態2に係る液面検出装置の一構成例を示す図である。
【0057】
本実施の形態2に係る液面検出装置は、第1のフリップフロップの列の一端に配置されるフリップフロップに、ホール素子に代えて接続され、磁石18の通過を検知して検知信号を出力する検知センサを備える点で、前記実施の形態1に係る液面検出装置と異なる。
【0058】
液面検出部100は、例えば、前記検知センサとして、ホール素子H1に代えてフリップフロップF1に接続する記憶スイッチM1を備える。
【0059】
記憶スイッチM1は、ホール素子の列に沿って移動する磁石18の通過を検知して、検知信号をフリップフロップに出力する。記憶スイッチM1は、図2に示すように、液面検出器10のプリント基板12に配置される(記憶スイッチ15)。
【0060】
記憶スイッチM1は、例えば、下段側から上段側に移動する磁石18の通過を検知したとき、検知信号「0」を出力する場合、上段側から下段側に移動する磁石18の通過を検知するまで、検知信号「0」を出力し続ける。一方、上段側から下段側に移動する磁石が通過すると、検知信号「1」を出力する。これにより、記憶スイッチM1によって、フロート17に取り付けられた磁石18が、ホール素子H1〜Hnが磁気検出できる下限範囲外に移動したか否かを検出できる。
【0061】
なお、記憶スイッチM1は下段側から上段側に移動する磁石の通過を検知して、検知信号「1」を出力し、上段側から下段側に移動する磁石の通過を検知して、検知信号「0」を出力することでも良い。
【0062】
以上のような動作をする記憶スイッチM1としては、例えば、リードスイッチが挙げられる(株式会社エヌエーのウェブサイト、http://www.na-web.co.jp/products/rs/pr-01-16-htmlを参照,2006年3月検索)。このリードスイッチは磁気に反応して開閉するものであり、開状態のときに「0」の信号を、閉状態のときに「1」の信号を出力する。
【0063】
以上のように、本実施の形態2に係る液面検出装置によれば、フロート17に取り付けられた磁石18が、ホール素子が磁気検出できる下限範囲外に移動したことを検出できるように、ホール素子H1に代えてフリップフロップF1に接続される記憶スイッチM1を備えるようにした。これにより、スタンドパイプ11に磁石18が磁気検出の下限範囲外に移動しないようする手段を設ける必要がなくなる。
【0064】
なお、本実施の形態2に係る液面検出装置の液面検出部100は、フロート17に取り付けられた磁石18が、ホール素子が磁気検出できる上限範囲外に移動したことを検出できるように、ホール素子Hnに代えてフリップフロップFm-1に接続される記憶スイッチM2を備えることでも良い。記憶スイッチM2は、例えば、下段側から上段側に移動する磁石18の通過を検知したとき、検知信号「0」を出力する場合、上段側から下段側に移動する磁石18の通過を検知するまで、検知信号「0」を出力し続ける。そして、上段側から下段側に移動する磁石18が通過すると、検知信号「1」を出力する。これにより、記憶スイッチM2によって、フロート17に取り付けられた磁石18が、ホール素子H1〜Hnが磁気検出できる上限範囲外に移動したことを検出できる。よって、スタンドパイプ11に磁石18が磁気検出の上限範囲外に移動しないようする手段を設ける必要がなくなる。
【0065】
また、フロート17に取り付けられた磁石18が、ホール素子が磁気検出できる上限及び下限範囲外に移動したことを検出できるように、ホール素子H1に代えてフリップフロップF1に記憶スイッチM1を、ホール素子Hnに代えてフリップフロップFm-1に記憶スイッチM2を接続することでも良い。
【0066】
また、本実施の形態2では、液面感知部として磁電変換素子(ホール素子)を用い、記憶スイッチとして磁石に反応して信号を出力する素子を用いることとして、説明を行ったが、本発明はこれに限るものではない。例えば、液面感知部は、光又は超音波を感知して感知信号を出力する素子であっても良い。この場合、被感知部材として、光又は超音波を発生する部材をフロート17に取り付け、記憶スイッチとして、光又は超音波を発生する部材の通過を検知する素子を用いる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば、タンク内の液位や水位、ダム、用水池、河川等の水位の検出して、液位又は水位を表示する装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液面検出装置の一構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る液面検出装置を適用した液面検出器の一構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る液面検出装置の一構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る液面検出装置のフリップフロップの一構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る液面検出装置の一構成例を示す図である。
【図6】従来の液面検出装置の構成図である。
【図7】従来の液面検出装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0069】
10 液面検出器
11 スタンドパイプ
12 プリント基板
13 フランジ
14 フランジ
15 記憶スイッチ
16 取付バンド
17 フロート
18 磁石
100、700 液面検出部
101、701 制御部
102、702 表示部
103 データ処理部
703 コントローラ
704 オシレータ
705 カウンタ
1〜Hn ホール素子
0〜Fm フリップフロップ
1〜L11 入出力線
1 データ信号入力端子
2 リセット信号出力端子
3 パルス信号出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面の位置を検出する液面検出装置において、
一直線上に配置され、それぞれ液面の位置変動に伴い移動する移動体を感知して感知信号を出力する複数の液面感知部と、
前記複数の液面感知部のそれぞれに対応して一直線上に配置され、対応する前記液面感知部からの感知信号によりプリセットされる複数の第1のフリップフロップ、及び前記第1のフリップフロップ所定個数おきに挿入配置され、データ区切り信号によりプリセットされる1つ以上の第2のフリップフロップが直列に接続されてなるシフトレジスタとを有し、プリセットされた前記第1,第2のフリップフロップの出力を、前記シフトレジスタよりシリアル出力する液面検出部と、
前記シフトレジスタより出力されるシリアル出力より前記液面位置の検出出力を出力するデータ処理部とを備えた、
ことを特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液面検出装置において、
前記第1のフリップフロップ列の一端に配置される第1のフリップフロップに接続された液面感知部は、前記第1のフリップフロップ列の一方向から移動してきた前記移動体の通過を検知して検知信号を出力し続け、前記方向とは逆方向から移動してきた前記移動体の通過を検出したとき、前記検知信号をオフする、
ことを特徴とする液面検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液面検出装置において、
前記移動体は磁石であり、
前記液面感知部は、液面の位置変動に伴い移動する磁石に反応して感知信号を出力する磁電変換素子である、
ことを特徴とする液面検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液面検出装置において、
前記磁石の磁力および前記各磁電変換素子の感度は、前記磁石と前記複数の各磁電変換素子との距離、および前記複数のうちの隣接する磁電変換素子間の間隔に基づいて、該磁石が前記磁電変換素子の列の両端の素子間に位置するとき、常に1つ以上の前記磁電変換素子が前記磁石の作用を受けて感知信号を出力するように選定される、
ことを特徴とする液面検出装置。
【請求項5】
請求項3に記載の液面検出装置において、
前記磁電変換素子は、ホール素子である、
ことを特徴とする液面検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−271364(P2007−271364A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95224(P2006−95224)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【特許番号】特許第3813166号(P3813166)
【特許公報発行日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(501314662)株式会社 サワダ製作所 (4)
【出願人】(506108619)マルチ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】