説明

混合ガスの変動流を解析するためのシステム

本発明は、任意に可変な周波数を有する混合ガスの変動流を解析するためのシステム(50)および方法に関する。このシステムは、変動流中の少なくとも1つの選択されたガス成分の瞬間的な存在および量を決定するために使用することが可能である。このシステムは、少なくとも1つのガス成分の存在および量の少なくとも一方を示す測定信号を生成するようになされた、少なくとも1つの電子センサを使用する。この少なくとも1つの電子センサ(51)は、変動流の周波数よりも遅い応答速度を有し、測定信号は、少なくとも1つのガス成分の瞬間的な存在および量の少なくとも一方に等しいか、または少なくとも非常に類似する瞬間補正信号を構築するために、補正をかけられる。とりわけ、この補正は、逆フィルタリングおよび移動平均フィルタリングのコンピレーションを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意に可変なまたは不変な周波数を有する混合ガスの変動流を解析するためのシステムに関する。しばしば、変動流中の特定のガス成分の瞬間的な存在および/または量を決定するために、かかるガス流を動的に解析することが必要となる。通常は、かかる決定は、関連するガス成分の存在および/または量を示す測定信号を生成するようになされた1つまたは複数の電子センサを使用して、実施される。
【背景技術】
【0002】
検出または測定すべきある特定のガス成分に応じて、その特定のガス成分の検出または測定に適した電子センサが、変動流の周波数よりも実質的に遅い応答速度を有してよい。逆に、より速いまたはより遅い応答速度を有するセンサという選択肢もあり得るが、変動周波数を上回る、例えば変動周波数の少なくとも2倍の応答速度を有するセンサは、ある特定の用途に対して経済的に実現可能でない場合がある。特に、代謝測定のいくつかの態様は、吸気ガスおよび呼気ガスの流量とガス分率およびガストレースとの正確な決定を要する。第1に、サンプルシステムの影響を排除する必要があり、第2に、流量信号および分率信号を時間的に同期させる必要がある。したがって、混合ガスの変動流の解析において電子センサにより取得される測定値の精度を改善させることが、一般的に必要とされている。
【0003】
公開された特許出願US2008/0119753に開示されるような呼吸をモニタリングするための既知のシステムおよび方法は、取得された信号の成分を補正し、プロトコルにしたがって応答時間を改善する。この既知のシステムおよび方法は、以下のステップを実施することにより、測定分率を加速する。
a)勾配および体積流量に応じた要素を表す「K」を生成する
b)新規=値+勾配×K
c)勾配(=一次導関数)および二次導関数に応じた時間シフト
d)二次補正:新規=値+勾配×(K/2)
e)三次補正:新規=値+勾配×(K/(2N))
f)信号間の相関関係に基づいてO、CO(NO)に関する信号の相にアレンジする
g)(パスル効果に基づいて)流量信号の相にアレンジする
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0119753号明細書
【特許文献2】欧州特許第0369506号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の1つの目的は、先行技術の欠点の少なくとも1つを解消または改善することである。また、本発明の1つの目的は、組立および操作における面倒が軽減され、さらに比較的廉価に作製し得る、代替の構造を提供することである。代替的には、本発明の1つの目的は、公衆に対して有用な選択肢を少なくとも提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明は、任意に可変な周波数を有する混合ガスの変動流を解析するためのシステムおよび方法を提供する。このシステムは、変動流中の少なくとも1つの選択されたガス成分の瞬間的な存在および量を決定するために使用することが可能である。このシステムは、少なくとも1つのガス成分の存在および量の少なくとも一方を示す測定信号を生成するようになされた、少なくとも1つの電子センサを使用する。この少なくとも1つの電子センサは、変動流の周波数よりも遅い応答速度を有し、測定信号は、少なくとも1つのガス成分の瞬間的な存在および量の少なくとも一方に等しいか、または少なくとも非常に類似する瞬間補正信号を構築するために、補正をかけられる。とりわけ、この補正は、ルールのセットにしたがった逆フィルタリングおよび移動平均フィルタリングのコンピレーションを含む。好ましくは、このシステムにおけるコネクションは、初期化ファイルから生成されるコネクションマップにしたがって、フィルタブロックの出力および入力をリンクするように規定される。任意には、このシステムは、比較的高速の逆フィルタリングステージと、ゲインエキスパートフィルタを組み込む平滑化フィルタリングステージとを備えてもよい。既知の代謝測定デバイスにおいては、経験的な応答補正方法が使用されたが、以下に提案されるより高度な方法は、逆フィルタリング技術に基づく。実証研究は、この逆フィルタ技術により、代謝測定に対する要件を満たすことが可能であることを示している。さらに、分率信号の視覚化が、既存の代謝測定デバイスにおいて使用される方法と比較して、はるかに改善され得る。変動ガス流を解析するための本発明のシステムのさらなる利点は、以前には不可能であった精度でガストレースを解析することが可能であることである。
【0007】
さらにとりわけ、および米国特許出願公開第2008/0119753号明細書の先行技術とは対照的に、本発明は、逆フィルタおよび移動平均フィルタによりガス分率を同時変換することによって機能し、次いで、両方の結果が、エキスパートフィルタにより組み合わされて、両方の信号の導関数に基づき実分率を生成する。重要な違いには、以下のものが含まれる。
(i)逆フィルタが、センサの実測定物理特性に基づく。
(ii)フィルタリング結果が、測定される可能性のある流量とは無関係である。
(iii)フィルタリング結果が、測定される可能性のある他のガスとは無関係である。
(iv)測定流における位相差が、別個の遅延測定値により補正される。
【0008】
本発明のシステムの他の有利な特徴は、比較的高速の逆フィルタリングステージと、平滑化フィルタリングステージとを含む。これに関連して、逆フィルタリングステージが平滑化フィルタリングステージに先行する場合には、有利である。かかるレイアウトに関連して、平滑化ステージは、補正フィルタリングのためのブランチと、移動平均フィルタリングのためのブランチとを備えてよい。さらに、平滑化ステージが、ゲインエキスパートフィルタブロックをさらに備え、補正フィルタリングのためのブランチと移動平均フィルタリングのためのブランチとを共通の出力に合流させる場合には、有利である。このようにして、ゲインエキスパートフィルタブロックは、予め規定されたルールにしたがって、補正信号および移動平均信号を混合する。
【0009】
本発明の別の好ましい実施形態は、そのゲインエキスパートフィルタブロックが、補正信号の導関数および移動平均信号の導関数により制御される。かかるシステムでは、ゲインエキスパートフィルタブロックのためのルールが、信号中に見られるようなステップサイズに正規化された振幅を有する信号に適用されるしきい値を使用してよい。好ましくは、ステップサイズは、ステップエキスパートサブルーチンによって計算され得る。さらに、ゲインエキスパートフィルタブロックのためのルールが、ゲイン値の決定において、移動平均信号および補正信号を第1のしきい値と比較することを含んでよい。
【0010】
本発明によるシステムの好ましい一構成においては、平滑化ステージは、逆フィルタリングによりもたらされるリンギング周波数を減衰させるようになされたフィルタブロックを備える。より好ましくは、リンギング周波数を減衰させるようになされたフィルタブロックは、移動平均フィルタの形態である。とりわけ、移動平均の長さは、ある特定の逆補正フィルタについて典型的なリンギングの周波数に調節され得る。さらに、平滑化ステージは、移動平均フィルタブロックの遅延と等しい遅延を有する遅延フィルタブロックをさらに備えることが可能である。この遅延は、好ましくは、信号移動平均信号経路および補正信号経路において厳密に同一の遅延を得るために導入される。さらに、導関数を決定するための第1のフィルタブロックが、この好ましいシステムに含まれてよい。これに関連して、導関数を決定するための第1のフィルタブロックが、ゲインエキスパートフィルタブロックを制御するために、移動平均フィルタブロックの出力とゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に位置決めされてもよい。したがって、移動平均信号の導関数は、ゲインエキスパートフィルタブロックを制御する入力の1つであることが可能である。さらに、追加の第2のローパスフィルタブロックが、導関数を決定するための第1のフィルタブロックの出力と、ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に含まれてもよい。このローパスフィルタは、この周波数帯における信号ノイズがゲインエキスパートを擾乱させるのを防ぐために、移動平均信号の導関数中の比較的高い周波数を減衰させる。
【0011】
本発明の別の態様によれば、このシステムは、ゲインエキスパートフィルタブロックを制御するための入力として補正信号の導関数を生成するための導関数を決定するための第2のフィルタブロックをさらに備えてよい。この特徴との組合せにおいて、システムは、導関数を決定するための第2のフィルタブロックの出力と、ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に、第3のローパスフィルタブロックをさらに備えてもよい。次いで、このフィルタは、この周波数帯における信号ノイズがゲインエキスパートフィルタブロックを擾乱させるのを防ぐために、補正信号の導関数中の比較的高い周波数を減衰させる。
【0012】
有利には、第2の遅延フィルタブロックが、導関数を決定するための第1のフィルタブロックと、第2のローパスフィルタブロックとの信号遅延を補償するために、移動平均フィルタブロックの出力と、ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に含まれてよい。この遅延は、種々の移動平均信号経路において等しい遅延を得るために導入され得る。また、有利には、第3の遅延フィルタブロックが、導関数を決定するための第2のフィルタブロックと、第3のローパスフィルタブロックとの遅延を補償するために、第1の遅延フィルタブロックの出力と、ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に含まれてよい。この遅延は、種々の補正信号経路において等しい遅延をやはり得るために導入され得る。
【0013】
システムが、入力信号のステップサイズおよび開始時間を決定するために入力信号を解析するための入力ステップエキスパートフィルタをさらに備えることが、さらに好ましい。これらの値は、遅延時間の決定およびゲインエキスパートフィルタブロックにとって望ましい。この特徴との組合せにおいて、システムは、有利には有限インパルス応答フィルタであってよい、逆応答補正フィルタブロックをさらに備えてよい。これは、安定性の保証およびDC精度の獲得に役立つ。
【0014】
一般的には、このシステムが、出力信号の開始時間を決定するために出力信号を解析するための出力ステップエキスパートフィルタブロックを備えることが、さらに好ましい場合がある。これは、フィルタ挙動を適切なものにするために好ましい。さらに、システムコネクションが、初期化ファイルから生成されるコネクションマップにしたがって、フィルタブロックの出力および入力をリンクするように規定されると、さらに好ましい場合がある。
【0015】
以下、添付の図面を参照として、本発明の上述のおよび他の態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】応答補正を伴うシステムを概略的に示すブロック図である。
【図2】比例ガスアナライザの概略図である。
【図3】逆フィルタリングから得られ得るオーバーシュートを概略的に示す図である。
【図4】本発明による平滑化原理の概略図である。
【図5】応答補正ソフトウェアモジュールに関する図である。
【図6a】2つのフィルタブロックを有する単純なフィルタモデルを示す図である。
【図6b】2つのフィルタブロックを有する単純なフィルタモデルを示す図である。
【図7】ステップ検出のための決定ポイントを示す図である。
【図8】既存応答ウィザードのグラフ図である。
【図9】既存応答コネクションマップおよびフィルタモデルを示す図である。
【図10】還元コネクションマップおよびフィルタモデルを示す図である。
【図11】高度コネクションマップおよびフィルタモデルを示す図である。
【図12】計算順序を決定するためのアルゴリズムを説明するためのフィルタモデルおよびコネクションマップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、応答補正を伴うシステム50を概略的に図示するブロック図である。ガス解析システム50は、流量計または流量センサ51と、ガス流解析デバイス53と、コンピュータ55などの処理ユニットとを備える。ガス流解析デバイス53は、例えば代謝測定デバイスであることが可能である。被験者の酸素摂取量(V’O)および二酸化炭素生成量(V’CO)を決定するためには、測定流量信号および測定分率信号を積分しなければならない。代謝測定値の特定化が厳格なものであることにより、流量信号と分率信号との積分は、直接的には行なわれない。分率信号は、ガスを輸送する空気圧系により、およびガスアナライザの応答により、著しく影響される。これらのシステムに関して、影響を補正する必要がある。さらに、流量信号および分率信号を時間的に同期させる必要がある。システム影響の補正と、流量信号および分率信号の同期とは、併せて応答補正と呼ばれる。
【0018】
代謝デバイスなどの混合ガスの変動流を解析するためのシステムにおいては、流量は、デジタル体積変換器(DVT)により測定することが可能である。中でもかかる目的に適する流量計が、欧州特許第0369506号明細書に開示されている。他の流量センサにおいて直面するノイズの影響を低減させるために、ある特定の体積をある一定の時間間隔にわたって測定することが可能である。この体積は、回転ファンの回転数をカウントすることによって測定される。デジタル測定により、変換器は、著しい時間遅延をもたらさず、流量信号の特徴に影響を及ぼさない。好都合には、DVTパルスは、第1のレジスタにおいてカウントされ、DVTパルス時間は、第2のレジスタにおいてカウントされる。
【0019】
一般的には、ガス流は、流量計から、サンプルチューブを通り、ガスアナライザの入力まで送られる。その後、ガス組成を示すデータが、電気信号に変換される。アナライザへのガスの輸送は、かなりの時間量を比較的要し、流量信号と比較して大幅な時間遅延をもたらす。さらに、チューブを介したガスの輸送は、ガス流の高速変動をフィルタリング除去する。さらに、アナライザの特徴が、やはりサンプル結果に影響を及ぼす。瞬間測定値の取得の観点から、これらの影響を補正することが重要となる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、このサンプリングシステムの影響は、比例採取法を用いることにより除去されてもよい。低ベンチレーション部においては、平均サンプル流量は、非常に低い。これは、低速応答時間および大きな遅延時間をもたらす。高ベンチレーションでは、最大ポンプ容量が使用されて、高サンプル流量、高速応答時間、および短い遅延時間をもたらす。したがって、比率が一定ではなくベンチレーションにより左右される場合に、利点が存在し得ることが認められた。この状況は、より低いコストにてより良好な性能をもたらし得る。比例採取法においては、ガスサンプルは、比例ポンプにより、比較的小さな混合チャンバを介して抽出される。比例ポンプは、DVTセンサにより測定されたガス流量に比例するようにポンプを介して流量を適合させるために、DVTセンサからの信号によって直接的にまたは間接的に制御される。連続的な平均サンプル流量の取得のために比例ポンプの最大流量を制御することにより、ガスアナライザの応答時間を、流量変動に左右されないようにすることが可能である。比例ガスアナライザ101が、図2に概略的に示され、ここで、103は、DVTセンサなどの流量センサである。混合チャンバ105およびガスアナライザ107が、体積センサと比例ポンプ109との間に位置決めされる。ガスサンプルは、比例ポンプ109により吸引される。このポンプ109は、サンプリングされるガス流量に比例する流量をポンプ109を介して得るように、流量センサ103から得られた信号によって制御される。好ましくは、比例制御範囲は、調節可能である。ポンプ109の容量は、必要とされるサンプルの最大流量に応じて選択される。好ましくは、最大ポンプ流量は、低周波数および高周波数について実質的に同一である平均サンプル流量が得られるように制御される。これにより、比較的小さな混合チャンバ105の応答時間は、流量周波数とは動的に無関係となる。この効果は、流量周波数の速度に応じて変化する体積を有する混合チャンバに匹敵する。したがって、比例ポンプ109および体積センサ103の動作範囲は、互いに匹敵するものとなるように選択される。また、ポンプ109の応答性は、高く、かつ体積センサ103の応答性に匹敵するものである必要がある。比較的小さな混合チャンバ105の適用により、ガス流は、比較的一定である組成を有することとなり、これにより、全てのガス分率およびガストレースが、比較的一定となる。その結果、ガスアナライザ107において使用されるガスセンサの応答性は、重要ではなくなり、遅いことが可能となる。比例採取法は、応答補正フィルタリングが所望の結果をもたらさない場合に用いることが可能である。とりわけ、比例採取法は、ガスアナライザの応答が、0.5秒(500ミリ秒)を超過するなど極端に遅い場合に用いることが可能である。
【0021】
この提案される比例採取法の解決策は、以下の問題を解消する。
1.低ベンチレーションでは、ポンプ流量が、高ピーク流量に倣うのには十分ではない。この場合、サンプリングされる体積が、過度に小さく、濃度が、実値に比例しない。これは、高ベンチレーションでのこの「クリッピング」により引き起こされる誤差を減じるために、サンプリング方法の補償を要する。ある一定の許容範囲を設けることにより、クリッピングの数を低減させることが可能である。
2.解析の際には、ベンチレーション(流量)が変化し、その結果、比率Rを適合化しなければならない。比率Rの変化は、平均濃度において瞬間的差異を生じさせる。
【0022】
誤差の規模を推定すべきであり、この誤差の規模は、比率Rにおける最大変化を限定することによって低減させることが可能である。30秒間の最大ピーク流量と、同一期間の平均ベンチレーションとに基づいて、望ましい比率Rを推定した。ポンプのクリッピングを回避するために必要とされる許容範囲(望ましいポンプ流量が最大ポンプ流量よりも高い場合に)は、低ベンチレーションでは比較的大きなものであるべきであり、高ベンチレーションでは小さいことが可能である。V’eと比率Rとの間の関係は、以下の通りに定義される。
R=Rmax・[(V’e−V’e,min)+M・(V’e,max−V’e)・V’e,min/V’e,max]/(V’e,max−V’e,min)
ここで、
Rmax=最大比率(PF=12l/秒またはV’e=180l/分での)(−)
R=使用される比率(−)
V’e min=最小ベンチレーション(l/分)
V’e max=最大ベンチレーション(l/分)
V’e=測定ベンチレーション(l/分)
M=最小ベンチレーションでの許容範囲(−)
である。
V’e min=24l/分、V’e max=180l/分、およびM=1.5では、これは、
R=Rmax・(V’e+15)/195
となる。
【0023】
計算される比率Rをより安定的なものにするためには、平均化法を用いることが推奨される。さらに、この方法は、比率Rの変動における変化を限定すべきである。なぜならば、比率Rの変動における変化は、平均化された濃度において誤差をもたらし得るためである。30秒を超える平均化が、負荷およびベンチレーションにおける高速変化に適合するのに十分な速さのものであり、大きな誤差を生じさせないことが、明らかになった。V’Oにおける瞬間的誤差は、30秒の平均化期間以内においてゼロに低減される。結論として、30秒の平均化期間を利用して、V’eにおける変化が15〜30%未満である(180resp24l/分のV’eレベル)場合には、V’Oにおける瞬間的誤差は、3%未満となる。限定要素は、比率Rの十分な適合化を可能にするように、V’eが30秒当たり24l/分よりも高速で変化し得ないことである。したがって、予想最大ピーク流量とポンプ容量との間の1.5の許容範囲が、十分なものとなり、無視し得る誤差しか生じさせないことが、推奨される。
【0024】
しかし、本発明の一次態様によれば、流量信号およびガス分率信号は、補正フィルタリングを用いて時間的に同期される。以前には逆フィルタリングが用いられてきたが、推定インパルス応答S’に基づく逆フィルタは、図3に図示されるようなオーバーシュートを含み得る総システム応答をもたらす。概略的な構成において、図3は、入力信号151、信号151を捕捉するための測定システム153、および、測定システム153により再生されるような応答信号155を示す。入力信号151を表す出力信号を再生するためには、逆補正フィルタ157を設けて、出力信号159を生成する。出力信号159は、「オーバーシュート」と呼ばれる歪み159Aを有する。本発明は、オーバーシュートが発生する理由は、かかるフィルタの設計が時間領域解析の代わりに周波数領域解析にのみ基づいている点にあると認識している。例えば、インパルス応答の周波数スペクトルの整合は、周波数依存位相ずれをもたらす。さらに、フィルタをデジタル式に実現することにより、連続スペクトルの代わりに離散周波数スペクトルがもたらされる。これらの態様は、時間領域におけるフィルタ応答の形状に影響を及ぼす。応答補正フィルタについては、これらのサイト効果を最小限に抑えることによる元の入力サンプルの形状の復元が重要となる。オーバーシュートを最小限に抑えるためには、複数の標準的な技術が利用可能である。しかし、オーバーシュートの最小化または除去は、しばしば、信号の立ち上がり時間および/または遅延時間に影響を及ぼす。本適用例については、立ち上がり時間は、影響を被らない場合があり、総遅延時間が、制限されなければならない。したがって、信号の立ち上がり時間および遅延時間を擾乱することなくオーバーシュートを最小限に抑えるための平滑化技術が開発されてきた。この結果として得られた平滑化アルゴリズムを次のセクションで原則的に説明する。
【0025】
図4は、平滑化技術を原則的に示す。図3の出力信号159が、さらなるフィルタリングを受けて、元の入力信号(図3の151)と同等の、または少なくとも類似する補正信号161に達する。補正信号161は、移動平均フィルタリングを単に適用することにより得られる補正(163として示される)を上回る改善を示す。補正システム応答(信号159)は、リンギングとして知られているオーバーシュート(159A)を含む可能性がある。このオーバーシュートは、主に、ガス信号の応答時間を高めるために使用される逆フィルタリング技術によって引き起こされる。リンギング周波数が一貫的なものであることにより、この周波数は、フィルタリングされた応答に対して移動平均フィルタを適用することによって、抑制することが可能である。しかし、移動平均フィルタの適用は、信号の立ち上がり時間を再度低減させることになる。本平滑化技術の原則は、「高速」逆フィルタリング応答と「平滑」移動平均応答との「最善」部分を組み合わせることである(図4)。平滑化アルゴリズムを実装するために我々が用いる技術は、エキスパートシステムに基づく。ゲインエキスパートシステムが、ルールのセットを適用することによって、逆フィルタリング応答および移動平均応答を混合する。図4において完全に示される曲線は、結果的に得られる出力信号を示す。
【0026】
平滑化フィルタリングの設計は、平滑化フィルタの調整と、前置フィルタリングとを含む。補正されたO応答およびCO応答の場合における平均リンギング周波数は、それぞれ7.7Hzおよび11.1Hzであることが可能である。移動平均フィルタの長さは、それぞれ130ミリ秒および90ミリ秒である、O応答およびCO応答のリンギング期間と整合しなければならない。「高速」逆フィルタリング応答と「平滑」移動平均応答との「最善」部分の組合せは、逆フィルタリング応答と移動平均応答との一次導関数の比較によりなされる。ゲインエキスパートのためのルールは、逆フィルタリング応答の一次導関数と、移動平均応答の一次導関数との特性に基づく。これらのしきい値の値は、試行錯誤により決定され、正規化されたステップに対して指定される。これは、これらの値が、実際には、実ステップ値により乗算される必要があることを意味する。前置フィルタリングについては、O前置フィルタおよびCO前置フィルタは、ハミングフィルタである。これは、フィルタの係数が、線形位相特徴を有するFIRフィルタをもたらすハミング窓を用いて決定されることを意味する。−3dB周波数は、19Hzであり、スペクトルの臨界点(5Hz)でのフィルタのゲイン係数は、0.98である。
【0027】
ソフトウェア実装は、O2およびCO2のための別個の応答フィルタを有するフレキシブルフィルタモデルとなるように、応答補正のためのソフトウェアモジュールを設計することによって、達成される。各応答フィルタは、特定の機能性を有するフィルタブロック(例えばFIRまたはIIRフィルタ)の集合体としてモデル化される。特定のコネクションマップにしたがって種々のフィルタブロックを接続することにより、応答フィルタ全体が構築される。
【0028】
応答補正ソフトウェアモジュールのクラス図が、図5に示される。クラスが、連続線で描かれ、クラスインスタンス(=オブジェクト)が、破線で描かれる。太線は、静的クラスを示す。クラスの全体像は、フィルタモデル201、フィルタブロック203、コネクション205、コネクションマップ207、線形フィルタ209、ステップエキスパート211、既存応答ウィザード213、ゲインエキスパート215、フィルタプール217、既存応答コネクションマップ219、還元マップ221、および高度マップ223を含む。
【0029】
フィルタモデル201は、以降においてより詳細に説明されるような複数のフィルタブロックを含んでよい。フィルタブロックは、フィルタモデルの構造から決定される計算優先順位を有する。フィルタモデルの構造は、種々のフィルタブロック間のコネクションによって規定される。コネクションは、2つのフィルタブロックの入力と出力との間のリンクとして定義される。フィルタモデルは、まさに、1つの外部入力および1つの外部出力を有する。外部入力は、フィルタモデルにデータをインポートするために使用され、外部出力は、フィルタモデルからデータをエクスポートするために使用される。代謝測定デバイスは、O2応答補正のための1つのフィルタモデルと、CO2応答補正のための1つのフィルタモデルとを有する。この2つのモデルは、構造上において同一であり、これにより、同一のフィルタブロックを備え、同一の入力/出力コネクションを有し得ることとなる。
【0030】
各フィルタブロック203は、フィルタモデル内に固有の識別子を有する。1つのフィルタブロックが、ある特定の機能性を実装し、これは、代謝測定デバイスについては、以下のタイプ、すなわち線形フィルタ、ステップエキスパート、応答エキスパート、およびゲインエキスパートの中の1つであることが可能である。各フィルタブロックは、固定数の入力および出力を有する。代謝測定デバイスについては、線形フィルタブロックのみをファイルから初期化することが可能である。
【0031】
コネクション205は、まさに2つのフィルタブロック間のリンクとして定義される。さらに、コネクションは、適切なフィルタブロックに外部入力および外部出力をマッピングするために使用することも可能である。外部入力および外部出力についての識別子は、−1として定義される。最適化のために、入力および出力は、0から始めて番号付けされる。図6aおよび図6bは、2つのフィルタブロック251、252からなる単純なフィルタモデルを示す。上方の図6aは、2つのフィルタブロックの開ループコネクションを示し、下方の図6bは、閉ループの均等物を示す。
【0032】
以下の3つのコネクションは、図6aにおいて特定することが可能である。
C1: {1,0,−1,0}//ブロック251の入力0は外部入力である
C2: {2,0,1,0}//ブロック252の入力0はブロック251の出力0を指す
C3: {−1,0,2,0}//ブロック252の出力0は外部出力である
図6bを考慮すると、以下のコネクションを追加することが可能である。
C4: {1,1,2,0}//ブロック251の入力1はブロック252の出力0を指す
【0033】
コネクションマップ207は、種々のフィルタブロック間に複数のリンク(コネクション)を備えてよい。ある特定のフィルタブロックの入力と、別のフィルタブロックの出力とが、リンクを規定する。さらに、コネクションマップは、外部入力を規定する1つのエントリーと、外部出力を規定する1つのエントリーとを含むことも可能である。代謝測定デバイスについては、コネクションマップは、固定され、応答、還元、および高度のタイプからなるものであることが可能である。適切なコネクションマップの選択は、初期化ファイルからのフィルタモデルの構築の際に、自動的になされる。選択規準は、実装チャプタにおいて論じられる。図6bについての可能な1つのコネクションマップは、以下の通りであることが可能である。
例示マップ={//入力,出力
C1: {1,0,−1,0}//ブロック251の入力0は外部入力である
C2: {2,0,1,0}//ブロック252の入力0はブロック251の出力0を指す
C3: {1,1,2,0}//ブロック251の入力1はブロック252の出力0を指す
C4: {−1,0,2,0}//ブロック252の出力0は外部出力である}
【0034】
線形フィルタ209は、古典的なデジタルフィルタを表す。デジタルフィルタのための伝達関数は、2つの多項式、すなわちA=[1,a1,...,a]およびB=[b0,b1,...,b]によって規定されて、フィルタの出力は、
【0035】
【数1】

【0036】
によって与えられる。ここで、
=入力信号の非フィルタリングサンプル
=フィルタリング出力サンプルのフィードバック
である。
【0037】
両方の多項式AおよびBが、非ゼロである場合には、フィルタは、無限インパルス応答(IIR)を有する。Aが、ゼロである場合には、フィルタは、有限インパルス応答(FIR)を有する。初めにファイルから線形フィルタを初期化するためには、係数の番号が宣言されなければならない。これは、番号符号「#」の後に、後に続く係数の番号が続くことによって、なされる。次いで、各フィルタ係数が、指標と、付随するAn値およびBn値とによって規定される。FIRフィルタを規定するためには、Anエントリーについて“……“宣言を確実に使用することが推奨され、これは、フィルタを初期化する際にメモリをセーブする。全てのゼロ係数は、ファイルから初期化されるが、計算の際にスキップされる。以下に、出力等式、y=−0.0087x+0.2518xk−2+0.5138xk−3+0.2518xk−4−0.0087xk−6を有するローパスFIRフィルタのための規定の一例が提示される。
【0038】
【表1】

【0039】
ステップエキスパート211は、その入力データストリーム上のステップを検出するために使用されるルールのセットを備えてよい。ステップが、特定のデータ特性に関する試験可能コンストリクションのセットとして予め定義される必要がある。各条件が、受容ルーチンおよび廃棄ルーチンを規定することによってルールに変換される。ステップエキスパートは、受信データがステップを含み得るか否かについて結論を下すために、これらのルールを実行する。ステップエキスパートは、1つの入力および1つの出力を有する。代謝測定デバイスについては、ステップエキスパートは、1呼吸ごとのデータの解析により決定されるルールの固定セットを有する。図7は、ステップ検出のための決定ポイントを示す。ステップエキスパートルールの規定においては、ステップエキスパートのためのルールは、1呼吸ごとの測定の際のガス分率のいくつかの重要な特性に基づく。
・ 分率信号は、連続信号である(不連続セクションではない)。
・ 発生し得るアーチファクトは、明確に定義される。
・ アップステップの特性は、ダウンステップの特性と同一である。
・ 種々のステップ間の変動は、限定される。
【0040】
既知の代謝測定デバイスとの比較のために、既存応答エキスパートまたは既存応答ウィザードを確立するフィルタモデルを展開した。既存応答エキスパート213は、既存代謝測定ファミリーのデバイス(応答ウィザード)中のアルゴリズムにしたがって応答を補正するために使用されるルールのセットから構成されてよい。このアルゴリズムは、指定されたデータ特性に関する試験可能コンストリクションにおいて定義される必要がある。各条件が、受容ルーチンおよび廃棄ルーチンを規定することによってルールに変換される。既存応答エキスパートは、受信データを所要の応答に補正するために、これらのルールを実行する。既存応答エキスパートは、1つの入力および1つの出力を有する。代謝測定デバイスについては、既存応答エキスパートは、既存アルゴリズムの解析によって決定されるルールの固定セットを有する。10ミリ秒データについて適合化された既存応答補正ウィザードのグラフ図である図8を参照とする。既存応答エキスパートルールの規定においては、既存応答エキスパートのためのルールは、入力ステップエキスパートのいくつかの特性に基づく。
【0041】
ゲインエキスパート215は、受信データストリームに対する適切なゲインを計算するために使用されるルールのセットを備えてよい。ゲイン計算は、指定されたデータ特性に関する試験可能コンストリクションのセットとして予め定義される必要がある。各条件が、受容ルーチンおよび廃棄ルーチンを規定することによってルールに変換される。ゲインエキスパートは、受信データに対して適切なゲインを計算するために、これらのルールを実行する。ゲインエキスパートは、4つの入力および1つの出力を有する。代謝測定デバイスについては、ゲインエキスパートは、ルールの固定セットを有してよい。ゲインエキスパートルールの規定においては、ゲインエキスパートのためのルールは、逆フィルタリング応答および移動平均応答の一次導関数の特性に基づく。
【0042】
フィルタプール217は、O応答補正およびCO応答補正のために使用されるフィルタブロックを含むことが可能である。代謝測定デバイスについては、各フィルタプールは、以下に挙げられる固定数のフィルタブロックから構成されてよい。フィルタブロックは、通常応答マップ、還元マップ、および高度マップのタイプのものであることが可能な予め規定されたコネクションマップを使用して接続される。
【0043】
【表2A】

【0044】
【表2B】

【0045】
既存応答コネクションマップ219は、既存代謝測定デバイスの応答補正を模倣するフィルタモデルを構築するようなコネクションから構成されてよい。既存応答コネクションマップにしたがったフィルタブロックの接続により、図9に示されるようないわゆる「既存応答フィルタモデル」が得られる。図9は、対応するフィルタモデル303および計算順序305を有する既存応答コネクションマップ301を示す。コネクションマップは、
{0,0,−1,0}
{1,0,3,0}
{2,0,0,0}
{3,0,2,0}
{−1,0,1,0}
によって表される。フィルタモデルは、入力315と出力317との間に配置される、入力ステップエキスパート(0)307、補正フィルタ(2)309、既存応答エキスパート(3)311、および出力ステップエキスパート(1)313を含む。計算順序305は、{0,2,3,1}である。
【0046】
還元マップ221は、既存応答補正を線形フィルタの均等物で置換するフィルタモデルを構築するようなコネクションを備えてよい。還元マップにしたがったフィルタブロックのコネクションにより、図10に示されるようないわゆる「還元フィルタモデル」が得られる。図10は、対応するフィルタモデル403および計算順序405を有する還元コネクションマップ401を示す。還元フィルタモデルは、
{0,0,−1,0}
{1,0,3,0}
{2,0,0,0}
{4,0,2,0}
{−1,0,1,0}
として表される還元コネクションマップ401を含む。フィルタモデル403は、入力415と出力417との間に、入力ステップエキスパート(0)407、補正フィルタ(2)409、ローパスフィルタ(4)411、および出力ステップエキスパート(1)413を含む。計算順序405は、{0,2,4,1}である。
【0047】
高度マップ223は、既存応答補正を非線形均等物で置換するフィルタモデルを構築するようなコネクションを備えてよい。
【0048】
列挙されたコネクションにしたがってフィルタブロックを接続することにより、図11に示されるような高度フィルタモデル501が得られる。さらに、図11は、計算順序503を示す。図11の高度フィルタモデル501は、
{0,0,−1,0}
{1,0,14,0}
{15,0,0,0}
{2,0,15,0}
{4,0,2,0}
{5,0,4,0}
{6,0,4,0}
{7,0,5,0}
{8,0,7,0}
{9,0,6,0}
{10,0,9,0}
{11,0,5,0}
{12,0,6,0}
{13,0,11,0}
{13,1,8,0}
{13,2,10,0}
{13,3,12,0}
{14,0,13,0}
{−1,0,1,0}
として表される高度コネクションマップを含む。高度フィルタモデル501は、入力505から始まり、入力ステップエキスパート(0)507、ローパス前置フィルタ(15)511、補正フィルタ(2)513、および第1のローパスフィルタ(4)515を含む、高速フィルタのアレイを有する。この高速フィルタのアレイの後には、平滑化フィルタのセクションが続き、このセクションは、補正フィルタリングのためのブランチ517と、移動平均フィルタリングのためのブランチ519とを形成し、ゲインエキスパート(13)521で終端する。補正フィルタリングブランチ517は、第1の遅延3フィルタ(6)523が先頭に位置し、第1の遅延3フィルタ(6)523は、導関数6フィルタ(9)525および第3の遅延9フィルタ(12)527に分岐する。第2の導関数6フィルタ(9)525の後には、第3のローパス7フィルタ(10)529が続き、この第3のローパス7フィルタ(10)529は、ゲインエキスパート(13)521に至る。第3の遅延9フィルタ(12)527は、ゲインエキスパート(13)521に直接的に接続される。移動平均フィルタリングブランチ519は、移動平均フィルタ(5)531で始まり、この移動平均フィルタ(5)531は、第2の遅延8フィルタ(11)533および導関数4フィルタ(7)535に分岐する。導関数4フィルタ(7)535の後には、第2のローパス5フィルタ(8)537が続き、次いで、ゲインエキスパート(13)521に接続する。遅延8フィルタ(11)533は、ゲインエキスパート(13)521に直接的に至る。ゲインエキスパート(13)521は、第4のローパス10フィルタ(14)541および出力ステップエキスパート(1)509を介して出力539に至る。計算順序は、{0,15,2,4,5,7,11,8,6,12,9,10,13,14,1}によって表される。
これらのフィルタブロックは、以下の通りに説明することが可能である。
507: 入力ステップエキスパート(0)
入力ステップエキスパートは、入力信号のステップサイズおよび開始時間を決定するために、入力信号を解析する。これらの値は、遅延時間決定およびゲインエキスパートのために必要となる。
511: ローパス前置フィルタ(15)
このフィルタは、入力信号の比較的高い周波数を減衰させて、これらの高周波数に対する補正フィルタの予期し得ない挙動を回避する。
513: 補正フィルタ(2)
これは、実応答補正フィルタ(逆フィルタ1/S)である。これは、安定性を保証し、DC精度を得るために、FIRフィルタとして実装される。
515: ローパスフィルタ(4)
このフィルタは、補正フィルタによりもたらされるおよび/または増幅される比較的高い周波数を減衰させる。
531: 移動平均フィルタ(5)
このフィルタは、補正フィルタによりもたらされるリンギング周波数を減衰させる。移動平均の長さは、ある特定の補正フィルタについて非常に典型的なリンギングの周波数に調節される。
523: 遅延3フィルタ(6)
これは、移動平均(MA)フィルタの遅延に等しい遅延である。この遅延は、信号MA信号経路および補正(CORR)信号経路において厳密に同一の遅延を得るために導入される。
535: 導関数4フィルタ(7)
MA信号の導関数は、ゲインエキスパートを制御する入力の中の1つである。
537: ローパス5フィルタ(8)
このフィルタは、MA信号の導関数における比較的高い周波数を減衰させて、この周波数帯における信号ノイズがゲインエキスパートを擾乱させるのを防ぐ。
525: 導関数6フィルタ(9)
CORR信号の導関数は、ゲインエキスパートを制御する入力の中の1つである。
529: ローパス7フィルタ(10)
このフィルタは、CORR信号の導関数における比較的高い周波数を減衰させて、この周波数帯における信号ノイズがゲインエキスパートを擾乱させるのを防ぐ。
533: 遅延8フィルタ(11)
これは、導関数4フィルタおよびローパス5フィルタの遅延を補償する遅延である。この遅延は、MA信号経路およびMA’信号経路において等しい遅延を得るために導入される。
527: 遅延9フィルタ(12)
これは、導関数6フィルタおよびローパス7フィルタの遅延を補償する遅延である。この遅延は、CORR信号経路およびCORR’信号経路において等しい遅延を得るために導入される。
521: ゲインエキスパート(13)
このブロックは、CORR信号とMA信号とを混合する。ゲインエキスパートは、CORR信号(CORR’)の導関数と、MA信号(MA’)の導関数とによって制御される。ゲインエキスパートのためのルールにおいて使用されるしきい値は、この信号において見受けられるようなステップサイズに正規化された振幅を有する信号に適用されなければならない。ステップサイズは、ステップエキスパートによって計算される。
541: ローパス10フィルタ(14)
このフィルタは、ゲインエキスパートにおける信号の混合によりもたらされる比較的高い周波数を減衰させる。
509: 出力ステップエキスパート(1)
出力ステップエキスパートは、フィルタ挙動を適切なものにするために必要な出力信号の開始時間を決定するために、出力信号を解析する。
この実施形態においては、フィルタブロック5は、移動平均フィルタとして実装されるが、補正フィルタリングによりもたらされるリンギング周波数を減衰させるのに適した任意のフィルタタイプであることが可能である。
ゲインエキスパート(15)は、以下のルールに支配される。
【0049】
If(Abs(ma’)>G1Threshold) AND (Abs(corr’)>G1Threshold) AND
(sign(ma’) != sign(corr’)) Then
Gain=Abs(ma’)/G1Factor
Else
If Abs(ma’)>G2Thesholdhigh Then
Gain = 1
Else
If Abs(ma’)<G2ThresholdLow Then
Gain = 0
Else
Gain = (Abs(ma’) − G2ThresholdLow)/(G2ThresholdHigh−
G2ThresholdLow)

//注:導関数ではなく実際の信号が混合される
Output = Gain*corr + (1−Gain)*ma

G1Threshold = 0.001
G1Factor = 0.05
G2Thesholdhigh = 0.03
G2ThresholdLow = 0.01
【0050】
したがって、ゲインエキスパート(15)は、MA信号の一次導関数の(絶対)値と、CORR信号の一次導関数の(絶対)値とに基づいて、MA信号およびCORR信号の相対ゲインを組み合わせる。この例における相対ゲインは、これらがMA信号およびCORR信号について相補的なものとなるような、すなわち、MA信号に対するゲインとCORR信号に対するゲインとの合計が100%になるようなものである。
【0051】
より具体的には、ゲインエキスパート(15)は、MA信号の導関数およびCORR信号の導関数を、本明細書において予め定められた第1のしきい値(G1Threshold)と比較することにより、MA信号の一次導関数の(絶対)値と、CORR信号の一次導関数の(絶対)値とに基づいて、MA信号およびCORR信号の相対ゲインを組み合わせる。
【0052】
この例においては、ゲインエキスパート(15)は、組合せにおいて、MA信号の一次導関数の絶対値が第1のしきい値を超過するか否か、CORR信号の一次導関数の絶対値が第1のしきい値を超過するか否か、および、CORR信号の導関数の符号がMA信号の導関数の符号と同等でないか否かを決定するように構成される。肯定の場合には、ゲインエキスパートは、MA信号の一次導関数の絶対値に基づいて相対ゲインを計算する。否定の場合には、ゲインエキスパートは、MA信号の一次導関数の絶対値が第2の高いしきい値(G2Thresholdhigh)を超過するか否かを決定する。肯定の場合には、ゲインエキスパートは、CORR信号のみにその出力信号の根拠を置く。否定の場合には、ゲインエキスパートは、MA信号の一次導関数の絶対値が第3の低いしきい値(G2Thresholdlow)よりも低いか否かを決定するように進む。肯定の場合には、ゲインエキスパートは、MA信号のみにその出力信号の根拠を置く。否定の場合には、ゲインエキスパートは、第2のしきい値と第3のしきい値との間のMA信号の一次導関数の絶対値の相対位置に相対ゲインの根拠を置く。
【0053】
クラス応答およびフィルタは、COフィルタプールおよびOフィルタプールと、COフィルタモデルおよびOフィルタモデルとを含むことが可能である。これらのフィルタモデルは、アクティブなコネクションマップに対応するプールからのフィルタを接続することによって、構築される。
【0054】
オペレーションは、計算順序の決定を含む。対処すべき1つの重要な課題は、種々のフィルタブロックをどのような順序で計算する必要があるかということである。一例として、図6aおよび図6bに示されるような、2つのフィルタブロックから構成され得るフィルタモデルを再度参照する。図6aにおいては、フィルタブロック2の出力を計算することが可能となる前に、フィルタブロック1の出力を計算する必要があることが明らかである。しかし、図6bを見ると、フィルタブロック1はフィルタブロック2の出力を要するが、フィルタブロック2はフィルタブロック1の出力を要することが分かる。いずれを先に実施するかを見極めるためには、フィードバックループの目的を考慮に入れることが必要である。制御工学においては、図6bにおけるようなフィードバックループは、図6aに示されるような2つのフィルタブロックの開ループコネクション中において生じる誤差を補正するために主に使用される。この観点から、フィードバックループは、両方のフィルタブロックにより処理されるデータを含み得る場合にのみ有用となる。したがって、図6bにおいても、計算順序は、図6aにおけるものと同一となる。フィードバックループを見出すことは、自明なことと思われるであろうが、これは、フィードバックループが、視覚的に示されるからにすぎない。実際には、フィルタモデルは、複数のフィルタブロックと、複数のコネクションとを有するにすぎない。したがって、フィルタモデルは、このモデル中を何らかの形で「ウォークスルー」することにより、フィードバックループを検出しなければならない。フィードバックループが検出されると、計算順序も判明することとなる。
【0055】
かかるアルゴリズムは、外部入力を受領するフィルタブロックの検出で始まる。このいわゆるルートフィルタは、計算すべき第1のフィルタブロックとなる。このアルゴリズムは、引き続き、ルートフィルタの入力に接続されるフィルタブロックを検出するために逆方向検索を開始する。あるフィルタブロックが、検出され、以前には検出されなかった場合には、アルゴリズムは、この新しいフィルタブロックについて新たな検索を開始する。このフィルタブロックが、既に検出されたものであるが、フィルタ順序にはまだ含まれていなかった場合には、この検出されたフィルタブロックは、計算順序に関して次のフィルタブロックとなる。この再帰的逆方向検索は、未検出のフィルタブロックが見つけられなくなるまで、継続される。次いで、アルゴリズムは、ルートフィルタの出力に接続されるフィルタブロックを検出するために、順方向検索を開始する。やはり、あるフィルタブロックが、検出され、以前には検出されなかった場合には、アルゴリズムは、この検出されたフィルタブロックについて最初からやり直す。このフィルタブロックが、既に検出されたものである場合には、順方向検索が開始されたこのフィルタブロックは、計算順序に追加される。図12は、計算順序決定アルゴリズムを例示するための、フィルタモデルおよび対応するコネクションマップの一例を示す。コネクションが、C={入力フィルタID、入力番号、出力フィルタID、出力番号}として定義されることに留意されたい。フィルタブロック6は、フィードバックループ中に存在し、したがってブロック2およびブロック3が計算された後に、計算されることが必要となる。さらに、ブロック5は、ブロック4の前に計算される必要がある。フィルタブロック1〜6は、図12に示されるように、外部入力と外部出力との間に配置される。このコネクションマップは、以下の通りとなる。
c1={1,0,−1,0}
c2={2,1,1,0}
c3={3,0,2,0}
c4={4,0,3,0}
c5={5,0,1,0}
c6={4,1,5,0}
c7={6,0,3,0}
c8={2,0,6,0}
c9={−1,0,4,0}
初めに、このアルゴリズムは、−1について第3の列を走査することにより、外部入力を検出する。この結果、コネクションc1が得られる。対応するルートフィルタは、フィルタブロック1であり、計算順序において第1のブロックとなる。アルゴリズムは、フィルタブロック1について逆方向検索を開始する(1について第1の列を走査し、0について第2の列を走査する)。新たなブロックは検出されない。順方向検索が開始される(1について第3の列を走査し、0について第4の列を走査する)。この結果、コネクションc2が得られる。対応するフィルタブロックは、2である。ブロック2は、以前には検出されなかったため、アルゴリズムは、ブロック2に関して再帰的に開始し、等々となる。以下のセクションにおいては、アルゴリズムフローは、フィルタブロックが検出されたものとして印されるポイントと、フィルタブロックが計算順序に追加されるポイントと共に、列挙される。この計算順序の結果が、一番右の列である。
【0056】
オペレーションの一部は、次に説明する高度フィルタモデルおよび方法についての、ファイルからの初期化である。さらなる検出に対して応答補正を容易に適合化させることを可能にするためには、ドライバコードの再コンパイルの必要を伴うことなく、記述ファイルから対応するフィルタモデルを初期化することが可能でなければならない。したがって、各フィルタブロックは、それを実行時に構築し得るテキスト記述を有さなければならない。高度フィルタ方法について、初期化ファイルは、「高度」フィルタモデルに関して初期化ファイル中に示される。
【0057】
【表3】

【0058】
【表4】

【0059】
【表5A】

【0060】
【表5B】

【0061】
【表5C】

【0062】
【表6A】

【0063】
【表6B】

【0064】
【表6C】

【0065】
【表7】

【0066】
【表8A】

【0067】
【表8B】

【0068】
【表9】

【0069】
【表10A】

【0070】
【表10B】

【0071】
【表11】

【0072】
【表12】

【0073】
【表13】

【0074】
【表14】

【0075】
【表15】

【0076】
さらに、オペレーションは、フィルタブロックの接続を含む。上記において指摘したように、フィルタモデルは、コネクションの特定のセットを有する複数のフィルタブロックとして定義される。結果的に得られるモデルの出力の計算は、複数の方式で実施し得る。
【0077】
1つは、計算順序により決定された通りに第1のフィルタブロックの出力を計算し、それを計算順序の次のフィルタブロックに回し、これを計算し、等々を、全てのフィルタブロックが計算されるまで行なうことである。しかし、この計算方式は、フィルタブロックからフィルタモデルに、および逆方向にデータを転送する際に、多大なオーバーヘッドを要する。モデルが構築されると、コネクションは、モデルの存続時間にわたってほぼ固定される。したがって、フィルタモデルの出力のよりいっそう効率的な計算方式は、モデルの介入を伴わずに、各フィルタブロックが各々の入力を得るようにすることである。これを可能にするためには、各フィルタブロックの入力が、別のフィルタブロックの出力に接続されなければならない。
【0078】
したがって、本発明の実施および実装は、前述の記載から明らかになると考えられる。本発明は、本明細書に記載されるいずれの実施形態にも限定されず、当業者の認識し得る範囲内において修正が可能であり、それらの修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれると見なされるべきである。同様に、あらゆる運動学的反転が、本来的に開示され、本発明の範囲内に含まれると見なされる。「備える(comprising)」という用語は、この説明または添付の特許請求の範囲内において用いられる場合に、排他的または完全な意味において解釈されるべきではなく、包括的な意味において解釈すべきである。「・・・のための手段(means for)」などの表現は、「・・・のために構成された構成要素(component configured for)」または「・・・のために構築された部材(member constructed to)」として読解されるべきであり、開示される構造の均等物を含むように解釈されるべきである。「不可欠な(critical)」、「好ましい(preferred)」、「特に好ましい(especially preferred)」、等々の表現の使用は、本発明を限定するようには意図されない。具体的にまたは明示的に説明または特許請求されない特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明による構造に追加的に含まれ得る。
【符号の説明】
【0079】
50 ガス解析システム
51 流量センサ
53 ガス流解析デバイス
55 コンピュータ
101 比例ガスアナライザ
103 流量センサ
105 混合チャンバ
107 ガスアナライザ
109 比例ポンプ
151 入力信号
153 測定システム
155 応答信号
157 逆補正フィルタ
159 出力信号
159A 歪み
161 補正信号
163 補正
201 フィルタモデル
203 フィルタブロック
205 コネクション
207 コネクションマップ
209 線形フィルタ
211 ステップエキスパート
213 既存応答エキスパート
215 ゲインエキスパート
217 フィルタプール
219 既存応答コネクションマップ
221 還元マップ
223 高度マップ
251 フィルタブロック
252 フィルタブロック
301 既存応答コネクションマップ
303 フィルタモデル
305 計算順序
307 入力ステップエキスパート(0)
309 補正フィルタ(2)
311 既存応答エキスパート(3)
313 出力ステップエキスパート(1)
315 入力
317 出力
401 還元コネクションマップ
403 フィルタモデル
405 計算順序
407 入力ステップエキスパート(0)
409 補正フィルタ(2)
411 ローパスフィルタ(4)
413 出力ステップエキスパート(1)
415 入力
417 出力
501 高度フィルタモデル
503 計算順序
505 入力
507 入力ステップエキスパート(0)
509 出力ステップエキスパート(1)
511 ローパス前置フィルタ(15)
513 補正フィルタ(2)
515 第1のローパスフィルタ(4)
517 ブランチ
519 ブランチ
521 ゲインエキスパート(13)
523 第1の遅延3フィルタ(6)
525 導関数6フィルタ(9)
527 第3の遅延9フィルタ(12)
529 第3のローパス7フィルタ(10)
531 移動平均フィルタ(5)
533 第2の遅延8フィルタ(11)
535 導関数4フィルタ(7)
537 第2のローパス5フィルタ(8)
539 出力
541 第4のローパス10フィルタ(14)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動流中の少なくとも1つの選択されたガス成分の瞬間的な存在および/または量を決定するために、任意に可変の周波数を有する混合ガスの前記変動流を解析するためのシステムであって、前記少なくとも1つのガス成分の前記存在および量の少なくとも一方を示す測定信号を生成するようになされ、前記変動流の周波数よりも遅い応答速度を有する、少なくとも1つの電子センサを備え、処理ユニットが、前記少なくとも1つのガス成分の瞬間的な存在および量の少なくとも一方に等しいか、または少なくとも非常に類似する瞬間補正信号を構築するために、前記測定信号に補正をかけるように構成され、前記補正は、逆フィルタリングおよび移動平均フィルタリングを含み、前記処理ユニットは、ルールのセットを適用することにより逆フィルタリング補正応答信号および移動平均応答信号を混合するアルゴリズムを使用するゲインエキスパートフィルタを含む、システム。
【請求項2】
前記ゲインエキスパートフィルタは、前記移動平均信号の導関数および前記補正信号の導関数に基づいて、前記移動平均信号および前記補正信号の相対ゲインを組み合わせるようになされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ゲインエキスパートフィルタは、前記移動平均信号の前記導関数および前記補正信号の前記導関数を、予め定められた第1のしきい値と比較することにより、前記移動平均信号の一次導関数の絶対値および前記補正信号の一次導関数の絶対値に基づいて、前記移動平均信号および前記補正信号の相対ゲインを組み合わせる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
比較的高速の逆フィルタリングステージと、前記ゲインエキスパートフィルタを組み込む平滑化フィルタリングステージとを備える、請求項1、2、または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記逆フィルタリングステージは、前記平滑化フィルタリングステージに先行する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記平滑化ステージは、補正フィルタリングのためのブランチと、移動平均フィルタリングのためのブランチとを備える、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記平滑化ステージは、ゲインエキスパートフィルタブロックをさらに備え、補正フィルタリングのためのブランチと移動平均フィルタリングのためのブランチとを共通の出力に合流させる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ゲインエキスパートフィルタブロックは、前記補正信号の導関数および前記移動平均信号の導関数により制御される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ゲインエキスパートフィルタブロックのためのルールが、信号中に見られるようなステップサイズに正規化された振幅を有する前記信号に適用されるしきい値を使用する、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ステップサイズは、ステップエキスパートサブルーチンによって計算される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ゲインエキスパートフィルタブロックは、ゲイン値を決定するために、前記移動平均信号および前記補正信号を予め定められたしきい値と比較することを含むルールを使用するようになされる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記平滑化ステージは、前記逆フィルタリングによりもたらされるリンギング周波数を減衰させるようになされたフィルタブロックを備える、請求項4から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記リンギング周波数を減衰させるようになされた前記フィルタブロックは、移動平均フィルタである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記移動平均の長さが、ある特定の逆補正フィルタについて典型的なリンギングの周波数に調節される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記平滑化ステージは、前記移動平均フィルタブロックの遅延と等しい遅延を有する遅延フィルタブロックをさらに備える、請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
導関数を決定するための第1のフィルタブロックをさらに備える、請求項13、14、または15に記載のシステム。
【請求項17】
導関数を決定するための前記第1のフィルタブロックは、前記ゲインエキスパートフィルタブロックを制御するために、前記移動平均フィルタブロックの出力と前記ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に位置決めされる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
第2のローパスフィルタブロックが、導関数を決定するための前記第1のフィルタブロックの出力と、前記ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間にさらに含まれる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ゲインエキスパートフィルタブロックを制御するための入力として前記補正信号の導関数を生成するための導関数を決定するための第2のフィルタブロックをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
導関数を決定するための前記第2のフィルタブロックの出力と、前記ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に、第3のローパスフィルタブロックをさらに備える、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
導関数を決定するための前記第1のフィルタブロックと、前記第2のローパスフィルタブロックとの信号遅延を補償するために、前記移動平均フィルタブロックの出力と、前記ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に、第2の遅延フィルタブロックをさらに備える、請求項13から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
導関数を決定するための前記第2のフィルタブロックと、前記第3のローパスフィルタブロックとの遅延を補償するために、前記第1の遅延フィルタブロックの出力と、前記ゲインエキスパートフィルタブロックの入力との間に、第3の遅延フィルタブロックをさらに備える、請求項15、19、または20に記載のシステム。
【請求項23】
前記入力信号のステップサイズおよび開始時間を決定するために前記入力信号を解析するための入力ステップエキスパートフィルタをさらに備える、請求項1から22のいずれかに記載のシステム。
【請求項24】
逆応答補正フィルタブロックをさらに備える、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記逆応答補正フィルタブロックは、有限インパルス応答フィルタである、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
出力信号の開始時間を決定するために前記出力信号を解析するための出力ステップエキスパートフィルタブロックをさらに備える、請求項1から25のいずれかに記載のシステム。
【請求項27】
コネクションが、初期化ファイルから生成されるコネクションマップにしたがって、フィルタブロックの出力および入力をリンクするように規定される、請求項1から26のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
流量計、ガス流解析デバイス、および処理ユニットを含む、請求項1から27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
少なくとも1つのガス成分の存在および量の少なくとも一方を示す測定信号を生成するようになされ、変動流の周波数よりも遅い応答速度を有する、少なくとも1つの電子センサを使用して、前記変動流中の前記少なくとも1つの選択されたガス成分の前記存在および量の少なくとも一方を決定するために、任意に可変の周波数を有する混合ガスの前記変動流を解析する方法であって、前記測定信号は、前記少なくとも1つのガス成分の前記瞬間的な存在および量の少なくとも一方に等しいか、または少なくとも非常に類似する瞬間補正信号を構築するために、補正をかけられ、前記補正は、逆フィルタリングおよび移動平均フィルタリングと、ルールのセットを適用することにより逆フィルタリング補正応答信号および移動平均応答信号を混合するアルゴリズムとを含む、方法。
【請求項30】
前記アルゴリズムは、ゲインエキスパートフィルタにより使用され、前記ゲインエキスパートフィルタは、前記移動平均信号の導関数および前記補正信号の導関数に基づいて、前記移動平均応答信号および前記補正応答信号の相対ゲインを組み合わせる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記相対ゲインは、前記移動平均信号および前記補正信号について相補的なものであり、合計が100%になる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ゲインエキスパートフィルタは、移動信号の導関数および前記補正信号の前記導関数を、予め定められた第1のしきい値と比較することにより、前記移動平均信号の一次導関数の絶対値および前記補正信号の一次導関数の絶対値に基づいて、前記移動平均信号および前記補正信号の相対ゲインを組み合わせる、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記変動流は、比例採取される、請求項29から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
変動流中の少なくとも1つの選択されたガス成分の存在および/または量を決定するために、任意に可変の周波数を有する混合ガスの前記変動流を解析するためのシステムであって、前記少なくとも1つのガス成分の前記存在および量の少なくとも一方を示す測定信号を生成するようになされ、前記変動流の周波数よりも実質的に遅い応答速度を有する、少なくとも1つの電子センサを備え、ガスサンプルが、比例ポンプにより、比較的小さな混合チャンバを介して抽出され、前記比例ポンプは、流量センサにより測定されたガス流量に比例するように前記ポンプを介して流量を適合させるために、前記流量センサからの信号によって制御される、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−522665(P2011−522665A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513439(P2011−513439)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050323
【国際公開番号】WO2009/151323
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510325639)
【Fターム(参考)】