説明

混合ビルダー系を有する洗濯洗剤組成物

洗濯洗剤組成物は、約1%〜約80%の界面活性剤系、混合ビルダー系及び残部補助剤成分を含有する。混合ビルダー系は、約0.1%〜約40%のリン酸塩ビルダー及び約0.1%〜約40%の非リン酸塩ビルダーを含有する。使用時、洗浄溶液中の非リン酸塩ビルダーの濃度は、約240ppm〜約3,600ppmであり、洗浄溶液中のリン酸塩ビルダーと非リン酸塩ビルダーの重量比は、約1:10〜10:1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤組成物に関する。具体的には、本発明は、洗濯洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯洗剤は、長時間組み込まれたビルダーを有し、洗濯洗剤の界面活性剤性能を向上及び補足する。ビルダーは、特に「硬水」条件において、洗浄水中のカチオンを隔離ないしは別の方法でカチオンに結合し、使用時、カチオンが洗濯洗剤の界面活性剤及び/又は石鹸泡レベルに悪影響が及ぶのを防止する。当初、前記ビルダーは、ほぼ例外なく、ポリリン酸塩、オルト燐酸塩及びメタリン酸塩というさまざまな水溶性塩等のリン酸塩ビルダーであった。ところが、リン酸塩ビルダーは、特定の場所において法によって規制され、深刻な価格変動と品不足にさらされている。したがって、全体的なリン酸塩ビルダーのレベルを低減させるのが望ましい。
【0003】
現行の非リン酸塩ビルダーとして、典型的にゼオライト及び非晶質ケイ酸塩等のケイ酸塩が挙げられる。ゼオライト及びケイ酸塩がビルダーとして使用される洗剤組成物において、それらは、典型的にリン酸塩ビルダーを完全に置き換えるために使用される。ところが、ゼオライトとケイ酸塩のどちらも、リン酸塩ビルダーほどに、特に白色性に関して、機能しないことが一般にわかっている。また一方、ゼオライト及びケイ酸塩は、大抵は高価で、ほとんど不溶性であり、したがって、製品の溶解度特性に悪影響を及ぼす恐れがある。更に、洗剤の不溶性部分は、布地又は衣類に付着する場合があり、したがって、白い布地の白さ及び色つき衣類の明るさに悪影響を及ぼす。極端な場合、不溶性微粒子のために布地及び/又は洗浄溶液が、砂利が入ったように若しくは砂が混ざったように感じる場合がある。これが、特に手洗いをする地域で、洗濯経験全般にマイナスの影響を及ぼし得る。又、ゼオライトは、他のビルダーより低い動力学で優先的にカルシウムイオンだけを隔離することが知られている。
【0004】
場合によって、ゼオライトは、ダスティング剤として特定の製造プロセスに使用されており、完成粒剤、特に特定の疑集体には、超微粒子状ゼオライトが振りかけられ、それらが互いにくっつくのを防止している。前記ダスティング方法は、リン酸塩ビルダー含有洗剤と非リン酸塩ビルダー有洗剤の両方に使用されている。ダスティング剤として使用される場合、ゼオライトは、典型的に合計洗濯洗剤組成物の3重量%未満、通常約1重量%である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、性能と各種のビルダーの制約のバランスを保つビルダー系に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、約1%〜約80%の界面活性剤系、混合ビルダー系及び残部補助剤成分を有する洗濯洗剤組成物に関する。混合ビルダー系は、約0.1%〜約40%のリン酸塩ビルダー及び約0.1%〜約40の非リン酸塩ビルダーを含有する。使用時、洗浄溶液中の非リン酸塩ビルダーの濃度は、約240ppm〜約3,600ppmであり、洗浄溶液中のリン酸塩ビルダーと非リン酸塩ビルダーの重量比は、約1:10〜約10:1である。
【0007】
前記混合ビルダー系の使用は、驚くほど良好な性能を付与すると同時により大きい処方の柔軟性を可能にすることが今では判明している。又、前記混合ビルダー系は、処方に必要な合計ビルダー量を削減すると同時に起泡性、くすみ除去及び漂白性能、脂肪質及び非脂肪質の染み除去、硬度イオン封鎖並びに/又は界面活性剤溶解度特性等の分野において同等若しくは更に改良された性能を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書における全ての温度は、特記されない限り摂氏(℃)である。特にことわらない限り、全ての百分率及び比率は、最終洗濯洗剤組成物の重量である。本明細書で使用する時、用語「含む」は、最終的な結果に悪影響を及ぼさない他の工程、成分、要素などを追加できることを意味する。この用語は「から成る」及び「から本質的になる」という用語を包含する。
【0009】
本発明は、約1%〜約80%の界面活性剤系、混合ビルダー系及び残部補助剤成分を有する洗濯洗剤組成物に関する。混合ビルダー系は、約0.1%〜約40%のリン酸塩ビルダー及び約0.1%〜約40%の非リン酸塩ビルダーを含有する。前記混合ビルダー系の使用は、驚くほど良好な性能を付与すると同時により大きい処方の柔軟性を可能にする。又、前記混合ビルダー系は、処方に必要な合計ビルダー量を削減すると同時に起泡性、くすみ除去及び漂白性能、脂肪質及び非脂肪質の染み除去、硬度イオン封鎖並びに/又は界面活性剤溶解度特性等の分野において同等若しくは更に改良された性能を提供できる。
【0010】
起泡性に顕著な影響を与えるため、本発明は、洗濯物の手洗いのために設計された洗濯洗剤への使用が特に好ましい。
【0011】
理論によって限定されることを意図しないが、混合リン酸塩及び非リン酸塩(例えば、ゼオライト)ビルダー系は、洗浄溶液(すなわち、洗浄用の溶液)中のカルシウムイオンの制御と、その上一定量のマグネシウムイオンを保持する最適化されたバランスにより、これらの効果を提供できると考えられる。水中の一定量のマグネシウムイオンが、全体的なクリーニング性能を改良できることが判明している。したがって、洗浄溶液中の非リン酸塩ビルダーの濃度が、約240ppm〜約3,600ppmのレベルであることが重要である。本発明の実施形態において、洗浄溶液中の非リン酸塩ビルダーの濃度は、約280ppm〜約1,800ppm、又は約300ppm〜約750ppmのレベルである。更に、洗浄溶液中のリン酸塩ビルダーと非リン酸塩ビルダーの重量比が、約1:10〜約10:1、約1:5〜約5:1、又は約1:1〜約3:1であることが重要である。本発明の実施形態において、洗浄溶液中のリン酸塩ビルダーの濃度は、約50ppm〜約3,600ppm、約100ppm〜約1,800ppm、又は約220ppm〜約750ppmであってよい。
【0012】
大部分のゼオライトは、溶液中でマグネシウムイオンでなくカルシウムイオンを優先的に結合することが知られている。これらのマグネシウムイオンは、更に対イオンとして利用でき、界面活性剤ミセルに橋かけする。これらのマグネシウム橋かけ界面活性剤は、カルシウム橋かけ界面活性剤を含めた、多くの他の界面活性剤より低いクラフト点を有し、それ故に、より可溶性であることが知られている。この改良された溶解度特性が、洗浄に利用できる界面活性剤をより多くもたらすことになる。この効果は、通常、より界面活性剤に影響されやすい汚れ及び染みの中で、例えば、脂肪質及び油性の染み、並びに酵素の染みで見られる。このメカニズムは、より良好なカルシウムの制御をもたらし、それにより、リン酸塩が遊離し、向上した分散性(dispersancy)の付与等の他の働きを行う。その結果、界面活性剤に影響されやすい汚れ及び染み、並びに改良された分散性から利益を得るような、例えば微粒子/粘土及びくすんだものといった汚れやしみ、の両方においてこれらの効果が見られる。又、混合ビルダー系の別の構成成分及び別の結合動力学による別の硬水イオンの選択的/優先的結合が、目に見える著しい効果をもたらす可能性がある。事実上、本発明は、純粋なリン酸塩ビルダー又は純粋な非リン酸塩ビルダーのいずれかから、合計ビルダーのレベルをほぼ半分に低減させ、その上、同等又は更に改良された性能を提供することが可能である。これは、言い換えると、さまざまな汚れ及び染みに対して、著しい処方の柔軟性、コスト削減及び/又は改良された全体的な洗浄効果をもたらすということである。又、前記処方は、場合によっては環境に利益をもたらすことができる。
【0013】
界面活性剤は、典型的に、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双極性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、ジェミニ界面活性剤及びこれらの混合物、若しくはアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性界面活性剤及びこれらの混合物、又はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択される。界面活性剤は、典型的に、約1%〜80%、約5%〜50%又は約10%〜35%存在する。
【0014】
本明細書で有用なアニオン性界面活性剤は、約6個の炭素原子(C)〜約22個の炭素原子(C22)のアルキル鎖長を有し、洗剤処方の当該技術分野において周知である。本明細書で有用なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、
a)直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、特に、C11〜C18LAS、
b)一級、分枝鎖及びランダムアルキルサルフェート(AS)、特に、C10〜C20AS、
c)式(I)及び(II)を有する二級(2,3)アルキルサルフェート、特に、C10〜C18二級アルキルサルフェート
【化1】

式(I)及び(II)の中のMは、水素又はカチオンで電気的中性である。本発明の目的のために、界面活性剤か補助剤成分のどちらかと結合しているM単位は全て、技術者によって単離される形態又は前記化合物が使用される系の相対pHによって、水素原子又はカチオンのいずれかであり得る。好ましいカチオンの非限定例としては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。(式中、xは、少なくとも約7又は少なくとも約9の整数であり、yは、少なくとも8又は少なくとも約9の整数である)、
d)アルキルアルコキシサルフェート(AES),特に、C10〜C18AES(式中、xは、好ましくは約1〜約30、又は約2〜約10である)、
e)アルキルアルコキシカルボキシレート、特に、C〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート(好ましくは約1〜5のエトキシ単位を含む)、
f)クライプ(Cripe)らに対して2000年2月1日に認可された米国特許第6,020,303号及びクライプ(Cripe)らに対して2000年5月9日に認可された米国特許第6,060,443号に記載されたような中鎖分枝状アルキルサルフェート、
g)クライプ(Cripe)らに対して1999年12月28日に認可された米国特許第6,008,181号及びクライプ(Cripe)らに対して2000年2月1日に認可された米国特許第6,020,303号に記載されたような中鎖分枝状アルキルアルコキシサルフェート、
i)メチルスルホン酸エステル(MES)、
j)α‐オレフィンスルホネート(AOS)、及び
k)一級、分枝鎖及びランダムアルキル又はアルケニルカルボキシレート(特に、約6〜約18個の炭素原子を有するもの)、
が挙げられる。
【0015】
一般に、本発明は、最終組成物の約0.1重量%〜約25重量%、約0.5重量%〜約20重量%又は約1重量%〜約17重量%の非イオン性界面活性剤を含有する。非イオン性界面活性剤の非限定例としては、
a)シェル社(Shell Corp.)からのネオドル(NEODOL)(登録商標)非イオン性界面活性剤等のC12〜C18アルキルエトキシレート、
b)アルコキシレート単位がエチレンオキシ及びプロピレンオキシ単位の混合物である、C〜C12アルキルフェノールアルコキシレート、
c)バスフ社(BASF Aktiengesellschaft)からのプルロニック(Pluronic)(登録商標)等のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーを有するC12〜C18アルコール及びC〜C12アルキルフェノール縮合体、
d)シングルトン(Singleton)らに対して2000年11月21日に認可された米国特許第6,150,322号に記載されたようなC14〜C22中鎖分枝状アルコール(BA)、
e)クライプ(Cripe)らに対して2000年11月28日に認可された米国特許第6,153,557号、クライプ(Cripe)らに対して2000年2月1日に認可された米国特許第6,020,303号、クライプ(Cripe)らに対して2000年7月25日に認可された米国特許第6,093,856号に記載されたようなC14〜C22中鎖分枝状アルキルアルコキシラート(BAE)(式中、xは、約1〜30である)、
f)パン(Pan)及びゴセリンク(Gosselink)に対して1994年7月26日に認可された米国特許第5,332,528号、PCT国際公開特許WO92/06162A1(マーチ(Murch)ら、1992年4月16日公開)、PCT国際公開特許WO93/19146A1(フー(Fu)ら、1993年9月30日公開)、PCT国際公開特許WO93/19038A1(コナー(Conner)ら、1993年9月30日公開)及びPCT国際公開特許WO94/09099A1(ブレイク(Blake)ら、1994年4月28日公開)に記載されたようなポリヒドロキシ脂肪酸アミド、
g)シェパー(Scheper)及びシビック(Sivik)らに対して2002年11月19日に認可された米国特許第6,482,994号及びPCT国際公開特許WO01/42408A2(シビック(Sivik)ら、2001年6月14日公開)に記載されたようなエーテル末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤、
が挙げられる。
【0016】
カチオン性界面活性剤の非限定例としては、26個までの炭素原子を有してよい四級アンモニウム界面活性剤である、
a)米国特許第6,136,769号に記載されたようなアルコキシラート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤、
b)米国特許第6,004,922号に記載されたようなジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム(K1)、
c)WO98/35002、WO98/35003、WO98/35004、WO98/35005及びWO98/35006に記載されたようなポリアミンカチオン性界面活性剤、
d)米国特許第4,228,042号、同4,239,660号、同4,260,529号及び同6,022,844号に記載されたようなカチオン性エステル界面活性剤、及び
e)米国特許第6,221、825号及びWO00/47708に記載されたようなアミノ界面活性剤、特にアミドプロピルジメチルアミン、
が挙げられる。
【0017】
双極性界面活性剤の非限定例としては、二級及び三級アミン誘導体、複素環式二級及び三級アミン誘導体、又は四級アンモニウム、四級ホスホニウム若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)、19段38行〜22段48行を参照、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C〜C18(好ましくはC12〜C18)アミンオキシド並びにスルホ及びヒドロキシベタインを含めたベタイン、例えば、アルキル基がC〜C18、好ましくはC10〜C14であることができるN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
【0018】
両性界面活性剤の非限定的な例としては、二級又は三級アミン類の脂肪族誘導体、あるいは複素環式二級及び三級アミン類の脂肪族誘導体が挙げられ、ここで、脂肪族基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。通常、脂肪族置換基の1つは、少なくとも約8個の炭素原子、典型的には約8〜約18個の炭素原子を含有し、少なくとも1つが、アニオン水溶性基、例えば、カルボキシ基、スルホネート基、サルフェート基等を含有する。例えば、両性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)の19段、18〜35行を参照のこと。
【0019】
半極性非イオン性界面活性剤の非限定例としては、約10〜約18個の炭素原子のアルキル部分1個と、約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル基及びヒドロキシアルキル基から成る群から選択される部分2個とを含有する水溶性アミンオキシド、約10〜約18個の炭素原子のアルキル部分1個と、約1〜約3個の炭素原子を含有するアルキル基及びヒドロキシアルキル基から成る群から選択される部分2個とを含有する水溶性ホスフィンオキシド、並びに、約10〜約18個の炭素原子のアルキル部分1個と、約1〜約3個の炭素原子のアルキル及びヒドロキシアルキル部分から成る群から選択される部分1個とを含有する水溶性スルホキシドが挙げられる。WO01/32816、米国特許第4,681,704号、及び米国特許第4,133,779号を参照のこと。
【0020】
ジェミニ界面活性剤は、分子当たり、少なくとも2個の疎水性基と少なくとも2個の親水性基が導入された化合物である。これらは、文献、例えば、ケミテク(Chemtech)1993年3月号30〜33頁、ジャーナル・アメリカン・ケミカル・ソサイヤテイ(J. Am. Chem. Soc.)115号、10083〜90頁(1993)及びそこに記載された参照において「ジェミニ界面活性剤」として知られるようになった。
【0021】
これらの界面活性剤は、通常、所望する任意の量及び品質を世界のさまざまな供給元から容易に入手できる商品である。
【0022】
本明細書において混合ビルダー系としては、約0.1%〜約40%、約1%〜約20%、約3%〜約15%、又は約5%〜約12%のリン酸塩ビルダー及び約0.1%〜約40%、約1%〜約20%、約3%〜約15%、又は約5%〜約12%の非リン酸塩ビルダーが挙げられる。洗浄溶液中のリン酸塩ビルダーと非リン酸塩ビルダーの重量比に関して前述の条件に従うと、洗剤処方中のリン酸塩ビルダーと非リン酸塩ビルダーの重量比は、典型的に、約1:10〜約10:1、約1:10〜約5:1、又は>約1:2〜約2:1である。
【0023】
本明細書においてリン酸塩ビルダーとしては、ポリリン酸塩のアルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、オルト燐酸塩、並びに/若しくはメタリン酸塩;ポリリン酸塩のアルカリ金属塩、オルト燐酸塩及び/若しくはメタリン酸塩;ポリリン酸塩のナトリウム及びカリウム塩、オルト燐酸塩、並びに/若しくはメタリン酸塩;ポリリン酸塩のナトリウム塩、オルト燐酸塩及び/若しくはメタリン酸塩;又はトリポリリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
非リン酸塩ビルダーとしては、ケイ酸アルカリ金属、炭酸アルカリ土類金属及びアルカリ金属、アルミノケイ酸塩ビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、エチレン又はビニルメチルエーテルを有する無水マレイン酸コポリマー、1,3,5‐トリヒドロキシベンゼン‐2,4,6‐トリスルホン酸(trisulphonic acid)及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸等のポリ酢酸の各種アルカリ金属、アンモニウム及び置換されたアンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5‐トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸及びそれらの可溶性塩等のポリカルボキシレートが挙げられる。本明細書の実施形態において、非リン酸塩ビルダーとしては、ゼオライト、特にゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトP、ゼオライトMAP及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書の実施形態において、非リン酸塩ビルダーとしては、ケイ酸アルカリ金属、ゼオライト及びそれらの混合物が挙げられる。本明細書の実施形態において、非リン酸塩ビルダーとしては、約1.4R〜約2.0R、又は約1.6Rの値を有するケイ酸ナトリウムが挙げられる。
【0025】
洗濯洗剤の残部は、光沢剤、酵素類、青味剤、酵素、香料、石鹸泡抑制剤等の補助剤成分で構成される。
【0026】
本明細書で有用な光沢剤は、典型的に紫外線及びその他の非可視光線を可視光線に変換し、それにより布地及び衣類は、より輝き、より白く及び/又はそれらの色がより鮮やかに見える。本明細書で有用な光沢剤の非限定例としては、ブライトナー(Brightner)15、ブライトナー(Brightner)49、チバ・ガイギー(Ciba Geigy)、パラマウント(Paramount)、シャンハイユロング(Shanghai Yulong)及びその他で製造される光沢剤等が挙げられる。
【0027】
本明細書で有用な青味剤は、典型的にわずかに青みがかった染料及び/又は顔料であり、布地に付着し、それにより布地がより白く見えるよう布地の黄ばんだ色合い及び色を隠すのに役立つ。本明細書に用いるのに好適な青味剤としては、スイス、バーゼル(Basel)のチバ・ガイギー社(Ciba-Geigy S.A.)により販売されるポーラーブリリアントブルー(Polar Brilliant Blue)GAW180%(C.I.[「色指数」]61135‐アシッドブルー127に類似);食品、医薬品及び化粧品用ブルーNo.1(C.I.42090)、ローダミンBM(C.I.45170);ポントアシルライトイエロー(Pontacyl Light Yellow)36(C.I.18820に類似);アシッドイエロー(Acid yellow)23;ピグマゾルブルー(Pigmasol blue);アシッドブルー3;ポーラーブリリアントブルー(Polar Brilliant Blue)RAW(C.I.61585‐アシッドブルー80);フタロシアニンブルー(C.I.74160);フタロシアニングリーン(C.I.74260);及びウルトラマリンブルー(C.I.77077‐ピグメントブルー29)が挙げられる。好適な青味剤の更なる例が、米国特許第3,931,037号(ホール(Hall)、1976年1月6日発行)及び米国特許第5,605,883号(リフ(Iliff)ら、1997年2月25日発行)に記載されている。本明細書の実施形態において、青味剤はウルトラマリンブルーで、世界的にさまざまな供給元から入手できる。
【0028】
本明細書で有用な酵素類としては、バチルスからのサブチリシン類のようなプロテアーゼ類[例えば、サブチリス、レンタス、リケニフォルミス、アミロリケファシエンス(BPN、BPN’)、アルカロフィラス(alcalophilus)]例えばエスペラーゼ(Esperase)(登録商標)アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、エバーラーゼ(Everlase)(登録商標)及びサビナーゼ(Savinase)(登録商標)(ノボザイムズ(Novozymes))、BLAP並びにヘンケル(Henkel)からのそれらの変異型が挙げられる。更なるプロテアーゼ類が、EP130756、WO91/06637、WO95/10591及びWO99/20726に記載されている。アミラーゼ類(α及び/又はβ)は、WO94/02597及びWO96/23873に記載されている。商品例としては、プラフェクト(Purafect)OxAm(登録商標)[ジェネンコアから入手可能]及びターマミル(登録商標)、ナタラーゼ(Natalase)登録商標)、バン(Ban)(登録商標)ファンガミル(Fungamyl)(登録商標)及びデュラミル(Duramyl)(登録商標)[全て、例えばノボザイムズ(Novozymes)]が挙げられる。セルラーゼ類には、バクテリア又はカビセルラーゼ類、例えばフミコーラ(Humicola)により製造されるインソレン類(Humicola)、特にDSM1800、例えば、8.3E‐20g(50Kda)及び7.1E(”43kD)[ケアザイム(Carezyme)登録商標)]が挙げられる。同じく好適なセルラーゼ類は、トリコデルマ・ロンギプラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)からのEGIIIセルラーゼである。好適なリパーゼには、シュードモナス(Pseudomonas)及びクロモバクター(Chromobacter)群によって産生されるものが挙げられる。好ましいのは、例えば、ノボザイムズ社(Novozymes)からのリポラーゼ(登録商標)、リポラーゼウルトラ(登録商標)、リポプライム(登録商標)及びリペックス(登録商標)である。クチナーゼ類[EC3.1.1.50]及びエステラーゼ類も好適である。カルボヒドラーゼ類は、例えばマンナナーゼ(米国特許第6,060,299号)、ペクテートリアーゼ(pectate lyase)(WO99/27083)、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(WO96/33267)、キシログルカナーゼ(WO99/02663)である。漂白剤酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、オキシゲナーゼ類等が挙げられる。
【0029】
洗剤組成物における性能を最適化するためにタンパク質/遺伝工学技術を介して野生型酵素を変性させることは、一般的な方法である。一般に、洗剤中の酵素類のレベルは、組成物の0.0001重量%〜2重量%、好ましくは0.001重量%〜0.2重量%、より好ましくは0.005重量%〜0.1重量%の純粋な酵素である。
【0030】
酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、ホウ素化合物及び置換されたホウ酸、芳香族ホウ酸エステル、ペプチド及びペプチド誘導体、ポリオール、低分子量カルボン酸塩、比較的疎水性の有機化合物[例えば、特定のエステル、ジアルキルグリコールエーテル、アルコール、又はアルコールアルコキシラート]、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボキシレート、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低脂肪族アルコール及びカルボン酸、N,N‐ビス(カルボキシメチル)セリン塩;(メタ)アクリル酸‐(メタ)アクリル酸エステルコポリマー及びポリエチレングリコール(PEG);リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸、又はその塩;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N‐ビス‐3‐アミノ‐プロピル‐ドデシルアミン又は塩;及びその混合物、のような任意の周知の安定剤系を使用することにより安定化できる。
【0031】
本明細書で有用な香料が加えられ、洗濯時又は洗濯後布地に審美的な影響を与える。前記香料類、ジボダン(Givaudan)、インターナショナル・フレーバ・アンド・フラグランス(International Flavors & Fragrances)、タカサゴ(Takasago)等のさまざまな供給元から入手できる。
【0032】
洗濯洗剤組成物は、典型的に粒状の洗濯洗剤組成物で、スプレー乾燥、アグロメレーション及び/又はそれらの組み合わせにより形成される。前記粒状の洗濯洗剤組成物は、通常、約50μ〜約3mm、又は約100μ〜約1mmの重量平均粒子サイズ(直径)を有する粒子から構成される。前記洗剤組成物を形成する方法は、当該技術分野において周知である。
【0033】
本明細書の洗濯洗剤組成物は、手洗いの環境及び硬水条件における使用に特に適しており、ここで、水の硬度は、約17ppm〜約600ppm、若しくは約34ppm〜約340ppm、又は約51ppm〜約300ppmのCa2+、Mg2+等の又はCa2+及びMg2+等の硬水イオンである。
【0034】
実施例1
以下の処方が作製される。
【表1】

処方A〜Cは、高起泡性の手洗い用組成物であり、処方A〜Cは、合計ビルダー系の量が著しく少ないにもかかわらず、比較例に匹敵する又は比較例よりも優れた性能をもたらす。処方Dは、比較例である。
【0035】
実施例2
以下の処方が作製される。
【表2】

処方A〜Dは、高起泡性の手洗い用組成物であり、処方A〜Dは、合計ビルダー系の量が著しく少ないにもかかわらず、比較例に匹敵する、又は比較例よりも優れた性能をもたらす。
【0036】
実施例3
【表3】

【0037】
実施例4
実施例1の処方A〜Cが調製され、更に0.1%のリパーゼ酵素(リペックス(Lipex)(登録商標))を含有する。又、実施例1の処方A〜Cが調製され、更に0.2%のリパーゼ酵素(リペックス(Lipex)(登録商標))を含有する。
【0038】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲内においては、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。 本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.約1%〜約80%の界面活性剤、
B.混合ビルダー系であって、
i.約0.1%〜約40%のリン酸塩ビルダー、及び
ii.約0.1%〜約40%の非リン酸塩ビルダー
を含む混合ビルダー系、並びに
C.残部補助剤洗剤成分、
を含む洗濯洗剤組成物であって、
使用時、洗浄溶液中の前記非リン酸塩ビルダー濃度が、約240ppm〜約3,600ppmであり、及び前記洗浄溶液中の前記リン酸塩ビルダーと前記非リン酸塩ビルダーの重量比が、約1:10〜約10:1である洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記洗濯洗剤組成物が、粒状の洗濯洗剤組成物である、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記洗浄溶液中の前記リン酸塩ビルダーと前記非リン酸塩ビルダーの比率が、約1:5〜約5:1である、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記非リン酸塩ビルダーが、ゼオライトを含む、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記補助剤成分が、光沢剤を含む、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記補助剤成分が、青味剤を含む、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
リン酸塩が、約1%〜約20%存在する、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、アニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
前記補助剤成分が、酵素を含む、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項10】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルベンゼンスルホン酸塩を含む、請求項8に記載の洗濯洗剤組成物。

【公表番号】特表2008−519149(P2008−519149A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540435(P2007−540435)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/044645
【国際公開番号】WO2006/063244
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】