説明

混合弁ユニット及び貯湯式給湯機

【課題】部品点数が少なく、組立作業性がよく、小型、低コストでメンテナンス性のよい混合弁ユニットを得ること。
【解決手段】流入管と、前記流入管内を仕切る仕切壁と、前記流入管の一側に一体に形成され一端に第1流出口を有し他端にアクチュエータ取付フランジを有する第1流出管と、前記流入管の他側に一体に形成され一端に第2流出口を有し他端にアクチュエータ取付フランジを有する第2流出管と、を含んで成る弁ハウジングと、前記第1流出管に嵌合され、第1流体と第2流体との混合比率を調整して混合流体を前記第1流出口から流出させる第1混合弁と、前記第2流出管に嵌合され、第1流体と第2流体との混合比率を調整して混合流体を前記第2流出口から流出させる第2混合弁と、前記アクチュエータ取付フランジに装着され、前記第1、第2混合弁を夫々回動させるアクチュエータと、前記第1、第2流入口の内側に夫々設置された逆止弁と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯と水を混合して温水を浴槽や蛇口に供給する混合弁ユニット及び該混合弁ユニットを備えるヒートポンプ式の貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湯水混合弁の一形態として、湯水使用部の給湯栓に到る第一の給湯流路に湯水を供給するための第1の混合弁と、風呂貯湯用の給湯栓に到る第2の給湯流路に湯水を供給するための第2の混合弁とを、一つのバルブボディに一体的に組み込んだ混合弁ユニットにより、貯湯タンクからの湯供給管と水供給管とを合流させ、湯水使用部の給湯栓、風呂貯湯用の給湯栓に供給する貯湯式給湯機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−138888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術によれば、二つの混合弁を一つのバルブボディに一体的に組み込んで混合弁ユニットを構成しているが、これら二つの混合弁に供給する湯及び水の供給路は、バルブボディとは別部品で構成されており、一つの混合弁に対して湯供給路及び水供給路を一つずつ、二つの混合弁に対して合計4つの供給路を設ける必要があった。そのため、混合弁に流入する湯及び水の逆流を阻止する逆止弁についても、夫々の供給路に対して一つずつ設置する必要があり、給湯機の部品点数が多くなり、組立作業性が悪く高コストになる、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、貯湯式給湯機を構成する給湯回路の部品構成を簡素化し、部品点数が少なく、組立作業性がよく、コストを低減した混合弁ユニット及び貯湯式給湯機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、一端に第1流体が供給される第1流入口を有し、他端に第2流体が供給される第2流入口を有する流入管と、前記流入管内を第1、第3流路と第2、第4流路とに仕切る仕切壁と、前記流入管の一側に一体に形成され弁座開口により前記第1、第3流路に連通し、一端に第1流出口を有し他端にアクチュエータ取付フランジを有する第1流出管と、前記流入管の他側に一体に形成され弁座開口により前記第2、第4流路に連通し、一端に第2流出口を有し他端にアクチュエータ取付フランジを有する第2流出管と、を含んで成る弁ハウジングと、弁体に開口を有し前記第1流出管に嵌合され、前記開口の回動により前記弁座開口の開度を調整し、前記第1流路の第1流体と第3流路の第2流体との混合比率を調整して混合流体を前記第1流出口から流出させる第1混合弁と、弁体に開口を有し前記第2流出管に嵌合され、前記開口の回動により前記弁座開口の開度を調整し、前記第2流路の第1流体と第4流路の第2流体との混合比率を調整して混合流体を前記第2流出口から流出させる第2混合弁と、前記第1、第2流出管の夫々のアクチュエータ取付フランジに装着され、前記第1、第2混合弁を夫々回動させるアクチュエータと、前記第1、第2流入口の内側に夫々設置され、該第1、第2流入口から外側への流体の逆流を阻止する逆止弁と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、部品点数が少なく、組立作業性がよく、小型、低コストでメンテナンス性のよい混合弁ユニットが得られる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明にかかる混合弁ユニットの実施の形態1を示す斜視図である。
【図2】図2は、実施の形態1の混合弁ユニットの弁本体を示す斜視図である。
【図3】図3は、実施の形態の混合弁ユニットの弁体を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1のA−A線に沿う断面図である。
【図5】図5は、図1のB−B線に沿う断面図である。
【図6−1】図6−1は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図6−2】図6−2は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図6−3】図6−3は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図7−1】図7−1は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図7−2】図7−2は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図7−3】図7−3は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図7−4】図7−4は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図7−5】図7−5は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図7−6】図7−6は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【図8】図8は、本発明にかかる混合弁ユニットの実施の形態2を示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明の混合弁ユニットを備えた貯湯式給湯機の回路図である。
【図10】図10は、本発明の混合弁ユニットを備えた他の貯湯式給湯機の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる混合弁ユニット及び貯湯式給湯機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる混合弁ユニットの実施の形態1を示す斜視図であり、図2は、実施の形態1の混合弁ユニットの弁本体を示す斜視図であり、図3は、実施の形態の混合弁ユニットの弁体を示す斜視図であり、図4は、図1のA−A線に沿う断面図であり、図5は、図1のB−B線に沿う断面図であり、図6−1〜図7−6は、実施の形態1の混合弁ユニットの動作を説明する断面図である。
【0011】
図1〜図5に示すように、実施の形態1の混合弁ユニット1は、1本の流入管20の一側部に第1流出管6Aを形成し、他側部の軸方向に離間した位置に互いに平行に第2流出管6Bを形成した弁ハウジング2と、第1、第2流出管6A、6Bの夫々に嵌合された第1、第2混合弁7A、7Bと、第1、第2混合弁7A、7Bを夫々回動させるアクチュエータ(ステッピングモータ)9、9と、を備えて成る。
【0012】
弁ハウジング2は、水道水等の第1流体が供給される流入管20の第1流入口21、高温湯等の第2流体が供給される流入管20の第2流入口22、第1流入口21を第1流路31と第2流路32とに分岐する第1分岐部41、第2流入口22を第3流路33と第4流路34とに分岐する第2分岐部42、第1流路31及び第3流路33に連通し、第1流路31と第3流路33とから流入した流体を混合して第1流出管6Aに流出させる第1弁座部51、第2流路32及び第4流路34に連通し、第2流路32と第4流路34とから流入した流体を混合して第2流出管6Bに流出させる第2弁座部52、第1流出管6Aの一端に設けられた第1流出口23、第2流出管6Bの一端に設けられた第2流出口24、第1、第2流出管6A、6Bの他端に設けられたアクチュエータ取付フランジ25、26、等を有している。
【0013】
弁ハウジング2は、金属鋳物、望ましくは樹脂の射出成形品により、一体に形成されている。第1流入口21から第2流入口22までの長さ、或いは、第1分岐部41から第2分岐部42までの長さは、第1流入口21及び第2流入口22の近傍に設置される第1、第2の逆止弁の寸法や、混合弁ユニット1が組み込まれる貯湯式給湯機の部品レイアウトや、第1、第2分岐部41、42の分流特性等により決定する。
【0014】
第1、第2流出管6A、6Bは、流入管20と直交する方向に配置され、流入管20の軸方向に互いに離間して、流入管20の中心軸の一側と他側に、流出管径の1/2程度、流入管20の中心軸から離間して、流入管20に形成されている。
【0015】
第1分岐部41及び第2分岐部42は、流入管20の中心に軸方向に配置され、流入管20内を二つの流路に分ける仕切壁4の一端部及び他端部として形成されている。仕切壁4は、弁ハウジング2と一体に形成するのがよい。
【0016】
図4に示すように、第1、第2流入口21、22の内部の第1、第2分岐部41、42の近傍には、夫々第1、第2逆止弁91A、91Bが設置されている。第1、第2逆止弁91A、91Bは、円板状のゴム弾性体から成るパッキング92、パッキング92を保持し流入管20内を軸方向に変位する樹脂製の弁体シャフト93、弁体シャフト93が挿入される円筒状のガイド部を中心部に有する樹脂製の弁体ガイド94、パッキング92が当接して内部からの流体の逆流を阻止する弁台座95が形成された樹脂製の弁ケース96、弁体シャフト93と弁体ガイド94の間に設置されたバネ97、等を備えている。
【0017】
第1弁座部51は、円筒状に形成され、第1流路31に連通する弁座開口51a(図2参照)と、第3流路33に連通する弁座開口51b(図2参照)と、が設けられ、弁座開口51a、51bから夫々第1流体、第2流体が弁体71(図3参照)内に流入する。第2弁座部52は、第1弁座部51と略対称に形成され、第2流路32に連通する弁座開口52a(図4参照)と、第4流路34に連通する弁座開口52b(図4参照)と、が設けられ、弁座開口52a、52bから夫々第1流体、第2流体が弁体71内に流入する。なお、第1流路31は、弁座開口51aと略同一部分に形成され、第4流路34は、弁座開口52bと略同一部分に形成されている。
【0018】
第1、第2混合弁7A、7Bは、全く同一形状であるので、以下、区別する必要がある場合を除き、単に混合弁7と呼ぶこととする。混合弁7は、弁ハウジング2と同様に、金属鋳物や射出成形樹脂等で形成され、図3に示すように、円筒状の弁体71と、弁体71を回動させるための、上方に突出形成された軸部72と、から成る。
【0019】
弁体71の周壁部の、弁座開口51a、51b、或いは、弁座開口52a、52bと対向する部分には、第1流体及び第2流体を流入させるための開口71aが設けられ、下端部には、開口71aから流入した流体を、第1、第2流出管6A、6Bに流入させるための弁流出口71bが設けられている。
【0020】
開口71aは、周方向の中央部で最大幅となり、周方向両端部に近づくにつれて幅が減少する略楕円形状となっている。混合弁7は、第1、第2弁座部51、52の内部に、外周面が接するか、僅かな間隙を有して回動可能に嵌合される。なお、開口71aの付近では、流路断面積は、第1、第2流入口21、22の流路断面積の略半分となっている。
【0021】
混合弁7の軸部72は、第1、第2流出管6A、6Bの他端に設けられたアクチュエータ取付フランジ25、26から外部に突出し、アクチュエータ9(図1参照)と係合し、アクチュエータ9により回動される。図5に示すように、軸部72は、アクチュエータ取付フランジ25、26とスペーサ81を介してパッキン82、83により水密状態が保たれている。
【0022】
スペーサ81は、ネジ84によってアクチュエータ取付フランジ25、26に取り付けられた蓋体85によって抜け止めされ、アクチュエータ9側へ漏水しないようにしている。弁体71の軸側端面とスペーサ81の内端面との間には、摺動リング86が配置され、弁体71の弁流出口71bの端面と第1、第2の流出管6A、6Bの流出口側段部の内端面との間には、摺動リング87が配置されている。
【0023】
摺動リング86、87は、ポリアセタール、フッ素系樹脂等の摺動性に優れた材料で形成され、弁体71の回動をスムーズにさせている。また、第1、第2流入口21、22、第1、第2流出口23、24の外周部は、図示していない配管と接続するためにフランジ状に形成されている。
【0024】
次に、図6−1〜図7−6を参照し、上記のように構成された実施の形態1の混合弁ユニット1の動作について説明する。なお、混合弁ユニット1は、湯水混合弁として用いられ、第1流入口21には第1流体としての水道水が供給され、第2流入口22には第2流体として高温湯が供給され、第1流出口23は、浴槽への給湯配管に、第2流出口24は、台所や洗面所の蛇口への給湯配管に接続されているものとする。
【0025】
先ず、図6−1に示す状態では、第1、第2混合弁7A、7Bは、第2流体が供給される第2流入口22側に対して何れも閉成状態にあり、第1流体が供給される第1流入口21側に対して何れも開成状態となっている。第2流入口22内に設置されている第2逆止弁91Bは閉成状態にあり、第1流入口21内に設置されている第1逆止弁91Aは開成状態にあるので、第1流出口23及び第2流出口24からは第1流体(水道水)のみが流出する。
【0026】
図6−2に示す状態は、図6−1に示す状態から、第1混合弁7Aのみが時計まわりに約45°回動し、分岐された第1流路31の弁座開口51aと第1混合弁7Aの開口71aとにより形成される第1流体流入路と、分岐された第3流路33の弁座開口51bと第1混合弁7Aの開口71aとにより形成される第2流体流入路の面積が略等しい状態を示したものである。図6−2に示す状態では、第1流出口23から、第1流体と第2流体とが略等しい流量で混合された中間温度の混合流体が流出する。一方、第2混合弁7Bは、図6−1に示す状態と同一状態のままであるので、第2流出口24からは、第1流体(水道水)のみが流出する。
【0027】
図6−3に示す状態は、図6−2に示す状態から、第1混合弁7Aのみが、さらに時計まわりに約45°回動し、第1流路31の流入口(弁座開口51a)と第1混合弁7Aの開口71aにより形成される第1流体流路が閉ざされ、第3流路33の流入口(弁座開口51b)と第1混合弁7Aの開口71aとにより形成される第2流体流路が略全開の状態を示したものである。
【0028】
図6−3に示す状態では、第1流出口23からは、第2流体のみが流出することになるので高温湯が浴槽に給湯される。例えば、実際の運転モードにおける高温差し湯に相当する。一方、第2混合弁7Bについては、図6−1の状態のままであるので、第2流出口24からは第1流体(水道水)のみが流出する。
【0029】
このように、第1混合弁7Aの回動によって、第1流出口23から流出する混合流体の流量に占める第1流体と第2流体の流量比を調整することができる。なお、上記では、第1混合弁7Aの代表的な回動位置における動作を示したが、混合弁7は、ステッピングモータを用いたアクチュエータ9と、図示を省略した制御回路によって所望の角度に回動し得るものであり、回動角度に応じて、第1流体と第2流体の流入流量比を連続的に変化させることができるので、第1流出口23から流出する混合流体の温度は、第1流体の温度から第2流体の温度まで連続的に調整することができる。
【0030】
図7−1に示す状態は、図6−1に示す状態から、第2混合弁7Bのみが図の反時計まわりに約45°回動し、分岐された第2流路32の弁座開口52aと第2混合弁7Bの開口71aとにより形成される第1流体流入路と、分岐された第4流路34の弁座開口部52bと第2混合弁7Bの開口71aとにより形成される第2流体流入路の面積が略等しい状態を示したものである。図7−1に示す状態では、第2流出口24から、第1流体と第2流体が略等しい流量で混合された中間温度の混合流体が流出する。一方、第1混合弁7Aは、図6−1に示す状態のままであるので、第1流出口23からは、第1流体のみが流出する。
【0031】
図7−2に示す状態は、図7−1に示す状態から、第1混合弁7Aのみが時計まわりに約45°回動し、第1流路31の弁座開口51aと第1混合弁7Aの開口71aとにより形成される第1流体流入路と、第3流路33の弁座開口51bと第1混合弁7Aの開口71aとにより形成される第2流体流入路の面積が略等しい状態を示したものである。図7−2に示す状態では、第1流出口23から、第1流体と第2流体が略等しい流量で混合された中間温度の混合流体が流出する。一方、第2混合弁7Bは、図7−1に示す状態のままであり、第2流出口24からは、第1流体と第2流体が略等しい流量で混合された中間温度の混合流体が流出する。即ち、何れの流出口からも第1流体と第2流体の中間温度の湯が給湯される状態である。
【0032】
図7−3に示す状態は、図7−2に示す状態から、第1混合弁7Aのみが、さらに時計まわりに約45°回動し、第1流路31が閉成され、第3流路33が略全開の状態を示したものである。図7−3に示す状態では、第1流出口23からは、第2流体のみが流出することになるので、高温湯が浴槽に給湯される。一方、第2混合弁7Bは、図7−2に示す状態のままであるので、第2流出口24からは、第1流体と第2流体が略等しい流量で混合された中間温度の混合流体が流出する。
【0033】
図7−4に示す状態は、図7−1に示す状態から、第2混合弁7Bのみが、反時計まわりに約45°回動し、第2流路32が閉成され、第4流路34が略全開の状態を示したものである。図7−4に示す状態では、第2流出口24からは、第2流体のみが流出する。一方、第1混合弁7Aには、図7−1に示す状態のままであるので、第1流出口23からは、第1流体のみが流出する。
【0034】
図7−5に示す状態は、図7−4に示す状態から、第1混合弁7Aのみが時計まわりに約45°回動し、第1流路31と第3流路33の面積が略等しい状態を示したものである。図7−5に示す状態では、第1流出口23からは、第1流体と第2流体が略等しい流量で混合された中間温度の混合流体が流出する。一方、第2混合弁7Bは、図7−4に示す状態のままであるので、第2流出口24からは、第2流体のみが流出する。
【0035】
図7−6に示す状態は、図7−5に示す状態から、第1混合弁7Aのみが、さらに時計まわりに約45°回動し、第1流路31が閉成され、第3流路33が略全開の状態を示したものである。図7−6に示す状態では、第1流出口23からは、第2流体のみが流出することになるので高温湯が浴槽に給湯される。一方、第2混合弁7Bは、図7−5に示す状態のままであるので、第2流出口24からは、第2流体のみが流出する。
【0036】
なお、上述の図6−1〜図7−6に示す状態は、第1混合弁7Aと第2混合弁7Bの代表的な回動位置における混合弁の動作を説明するもので、これらの回動位置の他、例えば、第1混合弁7Aの開口71aが、図4において右方を向くように回動されたときは、第1流路31及び第3流路33の双方が閉成され、第1流体及び第2流体の双方を止めることができる。
【0037】
以上のように、実施の形態1の混合弁ユニット1は、第1混合弁7Aと第2混合弁7Bの2個の混合弁を、夫々の給湯回路及び給水回路を含めて一体化し、配管径や曲がり数を全ての経路で共通化して、混合弁7への通水回路を対称的に形成して同一にしたものである。
【0038】
そのため、第1流出口23、第2流出口24の何れについても、夫々第1混合弁7A、第2混合弁7Bの回動に応じて、第1流体(水道水)と第2流体(高温湯)とが任意の割合で混合された混合湯を、独立して流出させることができる。それ故、例えば、貯湯タンクを備え、沸きあげた湯を、浴槽とキッチンの蛇口等、複数箇所に同時給湯する貯湯式給湯機において、温度制御の不安定性が解消され、リモートコントローラ等により外部で設定された所望温度の湯を安定して給湯することができる。
【0039】
また、簡素な配管構成で給湯部品類が一体化されているので、部品配置の設計自由度が向上するとともに、別途追加部品を用意する必要もなく、組立性も向上し、コストの上昇を抑えることができる。また、混合弁7は、開口71aの形状が、周方向の端部に近づくにつれて幅(開口面積)が略線形的に減少するので、弁体71の回動角度に応じて、第1流体と第2流体の流入流量比を直線的に任意に調整することができ、温度制御性に優れている。
【0040】
実施の形態2.
図8は、本発明にかかる混合弁ユニットの実施の形態2を示す斜視図である。図8に示すように、実施の形態2の混合弁ユニット1aは、流入管20に一体に形成した第2混合弁7Bの向きを、第1混合弁7Aに対して逆向きにしている。混合弁ユニット1aは、第2混合弁7Bの向き以外は、実施の形態1の混合弁ユニット1と変わるところはない。
【0041】
実施の形態1の混合弁ユニット1は、第1、第2混合弁7A、7Bが同一の方向を向いており、第1、第2混合弁7A、7Bの何れもが、図4の下側に第1流体の第1流入口21を有し、上側に第2流体の第2流入口22を有している。従って、例えば、第1流体の流量を減少させるために、第1混合弁7Aでは弁体71を、図4において時計回りに回動させるのに対し、第2混合弁7Bでは、逆方向の反時計回りに回動させる必要がある。すなわち、同じ構造の湯水混合弁であっても、第1流体と第2流体の混合比率を調整する弁体71の回動方向が逆になる。
【0042】
一方、実施の形態2の混合弁ユニット1aでは、第1混合弁7Aと第2混合弁7Bの向きを逆にしたので、第1流体と第2流体の混合比率を調整する弁体71の回動方向を同一方向にすることができ、同じ流量制御特性を有する2つの湯水混合弁として取扱うことができ、制御が簡易になる、という効果を有する。
【0043】
なお、実施の形態1及び2では、第1流路31と第2流路32が同一の中心軸上に形成され、第1、第2流出管6A、6Bが、該中心軸に直交し、かつ、中心軸方向に位置をずらして配置しているが、本発明の混合弁ユニットは、必ずしもこのような形状に限定されるものではなく、例えば、第1流路31と第2流路32を結ぶ流路をS字状に形成し、第1流入口21及び第2流入口22から第1弁座部51及び第2弁座部52の入口までの距離を全て等しくすることもできる。
【0044】
また、仕切壁4を例えば円筒状にし、その外周部に第1〜第4流路を設け、第1流入口21と第2流入口22に対して、第1混合弁7Aと第2混合弁7Bを完全に対称位置に設けるようにしてもよい。その他、アクチュエータ9のステッピングモータを他のアクチュエータに変更し、あるいは流入路を3つに分流して混合弁を3つ設ける等、この発明の範囲内で各種の変形や変更が可能であることはいうまでもない。さらに、この発明を給湯機の湯水混合弁として用いた場合について説明したが、この発明の混合弁ユニットの用途は、湯水混合弁に限定されるものではない。
【0045】
実施の形態3.
図9は、本発明の混合弁ユニットを備えた貯湯式給湯機の回路図であり、図10は、本発明の混合弁ユニットを備えた他の貯湯式給湯機の回路図である。図9に示すように、水源からの水は、減圧弁100により、所定の圧力に減圧されて貯湯タンク102の下部へ供給される。
【0046】
貯湯タンク102内の水は、ポンプ105により、図示しないヒートポンプによる加熱手段を備えた室外熱源機で加熱された冷媒と熱交換する熱交換器104に循環され、高温に加熱されて貯湯タンク102に貯えられる。図示しないリモートコントローラから、浴槽への所定の湯温での所定湯量のお湯張りが指令されると、図示しない制御部により浴槽給湯電磁弁101が開かれ、混合弁ユニット1、1aの第1混合弁7Aに、減圧弁100を通して水が供給され、タンク出湯配管103を通して貯湯タンク102の高温湯が供給される。第1混合弁7Aは、流出湯温が指令された湯温となるように、高温湯と水の混合比率を調整し、浴槽へのお湯張りを行なう。図示しない浴槽給湯流量センサが所定湯量のお湯張りを検出すると、検出信号が制御部に送られ、制御部は、浴槽給湯電磁弁101を閉じ、お湯張りを停止する。
【0047】
図示しないフロースイッチが、台所、洗面所、浴室のカラン兼シャワー等の蛇口が開かれたことを検出すると、混合弁ユニット1の第2混合弁7Bは、流出湯温が指令された湯温となるように、高温湯と水の混合比率を調整し、蛇口やシャワーへ混合湯を供給する。
【0048】
以上説明した貯湯式給湯機は、実施の形態1又は実施の形態2の混合弁ユニット1、1aを備え、給湯温度調整を行なうので、沸きあげた高温湯を、浴槽と台所の蛇口等、複数箇所に同時給湯する場合でも、温度制御の不安定性が解消され、リモートコントローラ等により外部で設定された所望温度の混合湯を安定して給湯することができる。簡素な配管構成で給湯部品類が一体化されているので、部品配置の設計自由度が向上するとともに、別途追加部品を用意する必要もなく、組立性も向上し、コストの上昇を抑えることができる。
【0049】
図9(実施の形態3)に示す貯湯式給湯機は、沸き上げ用の熱源としてCOをはじめとする自然冷媒の熱を熱交換器104を介して熱交換するいわゆるヒートポンプ式の貯湯式給湯機であるが、図10に示すように、貯湯タンク102内に設置したヒータ106に通電し、ヒータ106の発熱により貯湯タンク102の水を沸き上げるヒータ式給湯機に実施の形態1又は実施の形態2の混合弁ユニット1、1aを組み込んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる混合弁ユニットは、貯湯式給湯機の混合弁として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1、1a 混合弁ユニット
2 弁ハウジング
20 流入管
21 第1流入口
22 第2流入口
23 第1流出口
24 第2流出口
25、26 アクチュエータ取付フランジ
31 第1流路
32 第2流路
33 第3流路
34 第4流路
4 仕切壁
41 第1分岐部
42 第2分岐部
51 第1弁座部
51a、51b 弁座開口
52 第2弁座部
52a、52b 弁座開口
6A 第1流出管
6B 第2流出管
7 混合弁
7A 第1混合弁
7B 第2混合弁
71 弁体
71a 開口
71b 弁流出口
72 軸部
81 スペーサ
86、87 摺動リング
9 アクチュエータ(ステッピングモータ)
91A、91B 逆止弁
100 減圧弁
101 浴槽給湯電磁弁
102 貯湯タンク
103 タンク出湯配管
104 熱交換器
105 ポンプ
106 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に第1流体が供給される第1流入口を有し、他端に第2流体が供給される第2流入口を有する流入管と、
前記流入管内を第1、第3流路と第2、第4流路とに仕切る仕切壁と、
前記流入管の一側に一体に形成され弁座開口により前記第1、第3流路に連通し、一端に第1流出口を有し他端にアクチュエータ取付フランジを有する第1流出管と、
前記流入管の他側に一体に形成され弁座開口により前記第2、第4流路に連通し、一端に第2流出口を有し他端にアクチュエータ取付フランジを有する第2流出管と、
を含んで成る弁ハウジングと、
弁体に開口を有し前記第1流出管に嵌合され、前記開口の回動により前記弁座開口の開度を調整し、前記第1流路の第1流体と第3流路の第2流体との混合比率を調整して混合流体を前記第1流出口から流出させる第1混合弁と、
弁体に開口を有し前記第2流出管に嵌合され、前記開口の回動により前記弁座開口の開度を調整し、前記第2流路の第1流体と第4流路の第2流体との混合比率を調整して混合流体を前記第2流出口から流出させる第2混合弁と、
前記第1、第2流出管の夫々のアクチュエータ取付フランジに装着され、前記第1、第2混合弁を夫々回動させるアクチュエータと、
前記第1、第2流入口の内側に夫々設置され、該第1、第2流入口から外側への流体の逆流を阻止する逆止弁と、
を備えることを特徴とする混合弁ユニット。
【請求項2】
前記第1流体が前記第1、第2流路に等分に分配され、前記第2流体が前記第3、第4流路に等分に分配されるように、前記仕切壁を前記流入管の中心に配置したことを特徴とする請求項1に記載の混合弁ユニット。
【請求項3】
前記第1、第2混合弁は、前記第1、第2流入口のいずれもが、前記第1、第2流出口と連通しない回動位置を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の混合弁ユニット。
【請求項4】
前記アクチュエータは、ステッピングモータであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の混合弁ユニット。
【請求項5】
前記弁ハウジング、第1、第2混合弁及び逆止弁を構成する材料として、樹脂を用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の混合弁ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の混合弁ユニットを組み込んだことを特徴とする貯湯式給湯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図7−4】
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【図7−5】
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【図7−6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−175200(P2010−175200A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20472(P2009−20472)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】