説明

混合水栓

【課題】各吐水部ごとの吐止水或いは流量調節の操作が分かり易く、操作性の良好な外ハウジングと内ハウジングとを水栓本体が有する混合水栓を提供する。
【解決手段】混合水栓10において、外ハウジング36と内ハウジング38とにまたがって、それぞれが吐止水及び流量調節の各機能を備えた吐止水バルブユニット80,82が吐水部としてのカラン,シャワーヘッドに対応して設けてあり、内ハウジング38の軸方向の端部には混合バルブユニット56が組み込んであるとともに、内ハウジング38の内部には、混合バルブユニット56からの混合水を吐止水バルブユニット80,82に送る主流路84が設けてあり、吐止水バルブユニット80,82の操作により、対応するカラン,シャワーヘッドと主流路84とを連絡する流路開閉及び開度調節を行って、各吐水部からの吐止水及び流量調節を行うようになす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は混合水栓に関し、詳しくは複数の吐水部を有するとともに水栓本体が筒形の外ハウジングと内ハウジングとを有する構造の混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、混合水栓は水栓本体の本体ボデーをなすハウジングを金属の鋳物にて一体に構成し、その内壁面に水側,湯側の1次側流路や2次側の混合水の流路等を形成する流路壁を一体に設け、そしてその内部に、湯水の混合比率を変化させて混合水の温度調節を行う混合バルブユニットや、流路切替えをなす切替バルブユニット等を収めた構造のものが一般的であった。
【0003】
しかしながらこの混合水栓の場合、金属製のハウジングを製造する際に、複雑な構造の流路壁を内壁面に一体に設けなければならず、製造の工程数が多くなり、また技術的にも多くの困難を伴うといった問題がある。
【0004】
これに対して下記特許文献1には、水栓本体を外ハウジングと内ハウジングとの2重ハウジング構造とし、そして外ハウジングと内ハウジングとの間の空間を1次側の水側流路となしたものが開示されている。
この特許文献1に開示のものでは、水側流路からの水を内ハウジング内に流入させるとともに、外ハウジングと内ハウジングとの間の空間を横切るように設けた湯流入流路を通じて内ハウジング内に湯を流入させ、内ハウジング内に組み込んだ混合バルブユニットにてそれら流入した水と湯とを混合するようにしている。
そして同じく内ハウジング内に組み込んだ切替バルブユニットにより、混合水の流出流路をカラン(吐水管)側とシャワー側とに切り替え、またカラン或いはシャワーからの吐水と止水及び吐水の流量調節も併せて行うようにしている。
ここで切替バルブユニットによる流路の切替え,吐止水及び流量調節は、単一の切替ハンドルの操作にて行われる。
【0005】
この特許文献1に開示の混合水栓では、外ハウジングと内ハウジングとの間に複数の流路を区画形成しなくても良く、従って外ハウジングを構成するに際して、その内壁面に複雑な構造の流路壁を設けなくても良く、かかる外ハウジングを鋳物以外にて容易に構成することが可能である。
【0006】
この特許文献1に開示のもので代表されるように、従来の混合水栓では、一般に切替バルブユニットにて、即ち切替ハンドルの操作ひとつでカラン側とシャワー側とに流出側の流路を切り替え、また同じ切替ハンドルの操作によって吐止水と流量調節を行うようになしており、この場合、流路切替えの際に切替ハンドルをどちらの方に操作し、切り替えたら良いのかが分かり難く、その操作を誤ってしまうといったことが生じる。
【0007】
一方下記特許文献2には、水栓本体にカラン用の押ボタン,シャワー用の押ボタンをそれぞれ別々に設け、それらを押圧操作することで混合水をカラン側から、或いはシャワー側から吐水するようになした点が開示されている。
但しこの特許文献2にはカラン用の押ボタン,シャワー用の押ボタンにて、カラン用の開閉弁,シャワー用の開閉弁がそれぞれ吐水状態と止水状態に切り替えられるとの説明があるのみで、それら開閉弁自体の具体的な構造や取付構造等について一切開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−317911号公報
【特許文献2】特開2006−275088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、各吐水部ごとの吐止水や流量調節の操作が分かり易く、操作性の良好な外ハウジングと内ハウジングとを水栓本体が有する混合水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、複数の吐水部を有するとともに、水栓本体が筒形の外ハウジングと内ハウジングとを有する混合水栓において、前記外ハウジングと内ハウジングとにまたがって、それぞれが吐止水及び流量調節の各機能を備えた吐止水バルブユニットが前記吐水部の数に対応した数で複数設けてあり、前記内ハウジングの軸方向の端部には、該内ハウジングに流入した水と湯とを混合する混合バルブユニットが組み込んであるとともに、該内ハウジングの内部には、該混合バルブユニットからの混合水を前記複数の吐止水バルブユニットのそれぞれに送る主流路が設けてあり、何れかの前記吐止水バルブユニットの操作により、対応する何れかの前記吐水部と前記主流路とを連絡する流路の開閉及び開度調節を行って該吐水部からの吐止水及び流量調節を行うようになしてあることを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記外ハウジング及び内ハウジングとは別体をなす筒部材を、それら外ハウジングと内ハウジングとにまたがって該外ハウジング及び内ハウジングに対しシール状態で取り付けてあり、前記各吐止水バルブユニットが、該筒部材をバルブハウジングとして内部に弁機能部を組み込むことで構成してあることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記混合バルブユニットは、該混合バルブユニットの軸方向を前記内ハウジングの軸方向に向けて組み込んであり、前記複数の各吐止水バルブユニットは、該内ハウジングの軸方向の異なった位置でそれぞれの軸方向を前記外ハウジング及び該内ハウジングの軸直角方向に向けて設けてあることを特徴とする。
【0013】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記内ハウジングには、前記複数の吐止水バルブユニットの各主弁を着座させる主弁座が、各吐止水バルブユニットに対応した位置に一体に形成してあることを特徴とする。
【0014】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記内ハウジングの内部の前記主流路は、前記混合バルブユニットから最も遠く離れた前記吐止水バルブユニットの位置まで直線状に延びていることを特徴とする。
【0015】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、該内ハウジングの内部の前記主流路から分岐し、混合水を前記外ハウジングの流出口部に向けて流出させる分岐流路が前記内ハウジングの筒壁貫通の開口部に到るまで、各吐止水バルブユニットごとに設けてあることを特徴とする。
【0016】
請求項7のものは、請求項6において、前記分岐流路が前記内ハウジング自体に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8のものは、請求項6,7の何れかにおいて、前記内ハウジングと外ハウジングとの間には、何れかの前記吐止水バルブユニットに対応して設けた、該内ハウジングの前記開口部と該開口部に対して異なった軸方向位置の該外ハウジングの前記流出口部とを連絡する流路を該内ハウジングと外ハウジングとの間の空間の他部から区画して形成するシール部材が設けてあることを特徴とする。
【0018】
請求項9のものは、請求項7において、前記内ハウジングには前記主流路とは区画された別の副流路が該内ハウジングの軸方向に形成されていて、該副流路が、何れかの前記吐止水バルブユニットに対応した前記分岐流路の流出側の流路を形成しており、該流出側の流路は、前記内ハウジングの前記開口部まで延びていて、該開口部が前記外ハウジングの前記流出口部に接続部にて接続されていることを特徴とする。
【0019】
請求項10のものは、請求項1〜9の何れかにおいて、前記吐止水バルブユニットとして、カランから混合水を吐止水させるカラン側の吐止水バルブユニットと、シャワーヘッドから混合水を吐止水させるシャワー側の吐止水バルブユニットとが設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0020】
以上のように本発明は、複数の吐水部を有するとともに、水栓本体が筒形の外ハウジングと内ハウジングとを有する混合水栓において、外ハウジングと内ハウジングとにまたがって、それぞれが吐止水及び流量調節の各機能を備えた吐止水バルブユニットを、吐水部の数に対応した数で複数設け、吐止水バルブユニットの操作により、対応する吐水部と上記内ハウジング内の主流路とを連絡する流路の開閉及び開度調節を行って、吐水部からの吐止水及び流量調節を行うようになしたものである。
【0021】
かかる本発明の混合水栓では、例えばカラン,シャワーヘッド等の目的とする吐水部に対応した吐止水バルブユニットを操作するだけで(請求項10)、各吐水部ごとに吐止水及び流量調節の必要な操作を行うことができるため、どの吐止水バルブユニットを操作すれば良いかが分かり易く、従って目的とする吐止水バルブユニットとは異なった別の吐止水バルブユニットを誤って操作してしまうといったことを防ぐことができ、操作が容易で混合水栓が使い易くなる。
【0022】
この場合において、外ハウジング及び内ハウジングとは別体をなす筒部材を、それら外ハウジングと内ハウジングとにまたがって且つそれらに対しシール状態で取り付け、各吐止水バルブユニットを、その筒部材をバルブハウジングとして内部に弁機能部を組み込むことで構成しておくことができる(請求項2)。
このようにすることで、複数の吐止水バルブユニットのそれぞれを簡単に構成することができるとともに、それらを容易に水栓本体に組み付けることができる。
【0023】
本発明では、混合バルブユニットを、その軸方向が内ハウジングの軸方向を向くようにして内ハウジングに組み込むとともに、各吐止水バルブユニットを、その軸方向が内ハウジングの軸直角方向を向くようにして内ハウジングの軸方向の異なった位置に設けておくことができる(請求項3)。
【0024】
従来の混合水栓において、流路切替え,吐止水及び流量調節のための切替ハンドルは、その軸線を水栓本体の軸方向、即ち外ハウジング及び内ハウジングの軸方向に向けて組み付けられており、この場合、切替ハンドルが使用者から見て水栓本体の軸方向の端部に横向きの状態となり、操作が行いづらい。
【0025】
しかるにこの請求項3では、各吐止水バルブユニットが外ハウジング及び内ハウジングに対し軸直角方向に向けて設けてあるため、それら吐止水バルブユニットの操作部を設けるに当って、操作部の軸線方向が外ハウジング及び内ハウジングの軸直角方向に向くように設けることができ、この場合各操作部の正面を使用者に向けて配置することができ、使用者は各操作部を正面から操作し得て操作が分かり易く容易となり、操作性を良好となすことができる。
【0026】
本発明ではまた、上記の内ハウジングに、各吐止水バルブユニットの主弁を着座させる主弁座を、各吐止水バルブユニットに対応した位置に一体に形成しておくことができる(請求項4)。
このようにすれば、別途に弁座構成のための部品を必要とせず、所要部品点数が少なくなって、混合水栓のコストを低減することができる。
【0027】
請求項5は、内ハウジングの内部の上記主流路を、混合バルブユニットから最も遠く離れた吐止水バルブユニットの位置まで直線状に延びる形態で形成したものである。
内ハウジングを樹脂製とする場合において、この主流路が複雑に屈曲した形状をなしていると、成形後において成形品(内ハウジング)を脱型することができず、従って内ハウジングを樹脂製とすることが実際上できないが、主流路を上記のように直線状に延びる形状で設けておいた場合、成形後の脱型に際して主流路の形状が脱型を阻害する要因とならず、従って内ハウジングを樹脂製とすることが可能となり、このことによって混合水栓のコストを安価とし、また混合水栓を軽量化することができる。
【0028】
本発明では、内ハウジングの内部の混合水の主流路から分岐し、混合水を外ハウジングの流出口部に向けて流出させる分岐流路を内ハウジングの筒壁貫通の開口部に到るまで、各吐止水バルブユニットごとに設けておくことができる(請求項6)。
このような分岐流路を設けておけば、各吐止水バルブユニットにて対応する各分岐流路を開閉及び開度調節を行うことで、各吐水部ごとに吐止水及び吐水の流量調節を行うことができる。
【0029】
この場合において、その分岐流路は内ハウジング自体に形成しておくことができる(請求項7)。
このようにすれば、分岐流路を形成するための部品を別途に必要とせず、必要部品点数を少なくし得て、水栓の内部構造を簡素化でき、またコストを低減することができる。
【0030】
次に請求項8は、内ハウジングと外ハウジングとの間の空間内を区画するシール部材を設け、そのシール部材により、何れかの吐止水バルブユニットに対応して設けた上記分岐流路の末端の内ハウジングの開口部と、対応する外ハウジングの流出口部とを連絡する流路を設けたものである。
【0031】
この請求項8によれば、上記何れかの吐止水バルブユニットの取付位置の如何に拘らず、即ちその吐止水バルブユニットの取付位置による制限を受けることなく、これに対応した外ハウジングの流出口部を任意の位置に設け、吐止水バルブユニットからの混合水を、その任意の位置の流出口部から水栓本体の外部に流出させることができる。
【0032】
従って、例えば吐止水バルブユニットがシャワー側の吐止水バルブユニットである場合において、その取付位置の如何に拘らず流出口部を水栓本体の長手方向の中央側に配置することが可能となる。即ち水栓本体に対するシャワーホースの接続部を水栓本体の中央側に配置しておくことができる。
【0033】
例えば流出口部即ちシャワーヘッドの接続部が、水栓本体の左右方向(長手方向)の端部側、例えば右端側に位置していると、混合水栓の設置現場においてシャワーヘッドが水栓本体に対し左側に位置していた場合、水栓本体に対するシャワーホースの接続部と、シャワーヘッドとが左右逆の位置関係となってしまう。
この場合には、水栓本体の左端側にシャワーホースの接続部を有する混合水栓を用いて対応することが必要となる。
【0034】
しかるに請求項8によれば、流出口部即ちシャワーホースの接続部を、水栓本体の中央側に配置しておくことができるため、混合水栓の設置現場においてシャワーヘッドの位置が水栓本体に対して右側に位置している場合であっても、また左側に位置している場合であっても、同じ混合水栓を用いて対応することができ、シャワーヘッドの位置が右側であるか左側であるかによって、それに対応した混合水栓を用意しておかなくても良く、混合水栓の共通化を図ることができる。
【0035】
次に請求項9は、請求項8においてシール部材により内ハウジングと外ハウジングとの間の空間の他部から区画して形成される流路、即ち内ハウジングの開口部と外ハウジングの流出口部とを連絡する流路を別の手段にて構成するようになしたものである。
【0036】
具体的には、内ハウジングに形成した軸方向の副流路即ち分岐流路における流出側の流路、及び内ハウジングの開口部と外ハウジングの流出口部とを接続する接続部にて構成するようになしたもので、この請求項9によれば、請求項8のように内ハウジングと外ハウジングとの間の空間内をシール部材にて区画するといったことを行わなくても、何れかの吐止水バルブユニット、例えばシャワー側の吐止水バルブユニットからの混合水を外ハウジングから流出させる流出口部を、そのシャワー側の吐止水バルブユニットの位置の如何に拘らず、これとは軸方向の位置が異なった任意の位置に配置することが可能となる。
そしてそのことによって請求項8の効果と同様の効果を奏することができる。
【0037】
本発明では、吐止水バルブユニットとしてカランから混合水を吐止水させるカラン側の吐止水バルブユニットと、シャワーヘッドから混合水を吐止水させるシャワー側の吐止水バルブユニットとを設けておくことができる(請求項10)。
【0038】
尚本発明では、各吐止水バルブユニットの操作部として、押ボタン式の吐止水操作部と回転操作式の流調ハンドルとを設けておき、吐止水操作部を押込操作するごとに吐水と止水とを切り替え、また流調ハンドルを回転操作することで流量調節を行うようになしておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態の混合水栓の斜視図である。
【図2】図1の混合水栓の内部構造を示した部分断面図である。
【図3】図1の混合水栓の一部を水平方向の断面で示した図である。
【図4】図2の混合バルブユニットを周辺部とともに拡大して示した図である。
【図5】図4の混合バルブユニットの一部を分解して示した図である。
【図6】図2の吐止水バルブユニットを周辺部とともに拡大して示した図である。
【図7】図6の吐止水バルブユニットを周辺部とともに図6とは異なる断面で示した図である。
【図8】同実施形態における筒部材と外ハウジングを示した斜視図である。
【図9】同実施形態における内ハウジングの外観図である。
【図10】(C):図9(A)のC−C断面図である。(D):図9(A)のD−D断面図である。(E):図9(A)のE−E断面図である。(F):図9(A)のF−F断面図である。
【図11】同実施形態における吐止水バルブユニットを止水状態で示した図である。
【図12】同実施形態における吐止水バルブユニットを吐水状態で示した図である。
【図13】図11の要部拡大図である。
【図14】図12の要部拡大図である。
【図15】同実施形態における流量調節の際の作用説明図である。
【図16】図15に続く作用説明図である。
【図17】同実施形態の流調操作部と吐止水操作部に設けられたロック機構の説明図である。
【図18】本発明の他の実施形態の要部の図である。
【図19】本発明の更に他の実施形態の図である。
【図20】図19の吐止水バルブユニットを周辺部とともに拡大して示した図である。
【図21】本発明の更に他の実施形態の要部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の壁付きの混合水栓(ここでは浴室用)で、図中左右方向に長手形状をなす水栓本体12を有している。
水栓本体12の下面からは、先端に吐水口を備えた略L字状をなすカラン(吐水管)14が延び出しており、また背面からはシャワー側の流出口部16が後方に突出して、そこにシャワーエルボ18が接続されている。
このシャワーエルボ18には、図示を省略するシャワーヘッドが可撓性のシャワーホースを介して接続される。
ここでカラン14は、水栓本体12の長手方向の略中央部(具体的には中央よりもやや図中左寄りの位置)から延び出しており、またシャワー側の流出口部16も、カラン14の延び出した位置と同じ左右方向位置に設けられている。
【0041】
水栓本体12の長手方向の一端側(図中左端側)には、後述の混合バルブユニット56(図2及び図4参照)の操作部としての温調ハンドル(温度調節ハンドル)20が設けられている。
一方水栓本体12の背面側には、給水管を兼ねた水側のクランク脚22、及び給水管を兼ねた湯側のクランク脚24がそれぞれ接続されている。
本実施形態の混合水栓10は、これら一対のクランク脚22,24によって後方の壁に取り付けられている。
【0042】
水栓本体12の前面にはカバー26が取り付けられており、このカバー26から露出し突き出す状態で、後述のカラン側の吐止水バルブユニット80の操作部28と、シャワー側の吐止水バルブユニット82の操作部30とが長手方向、即ち水栓本体12の軸方向に位置を隔てて設けられている。
詳しくは、操作部28は水栓本体12の略中央部(詳しくは中央よりやや左寄りの位置)に、また操作部30は水栓本体12の、上記温調ハンドル20とは反対側の長手方向の端部側(図中右端側)に設けられている。
【0043】
これら操作部28,30は、それぞれ押ボタン式の吐止水操作部32と回転ハンドル式の流調操作部34とを有している。
尚、操作部28における吐止水操作部32と、操作部30における吐止水操作部32とは同一の構成であり、また同様に操作部28における流調操作部34と、操作部30における流調操作部34も同様の構成のものである。
【0044】
この実施形態では、押ボタン式の吐止水操作部32を押込操作するごとに吐水と止水とが行われる。
このとき、吐止水操作部32は吐水状態で突出した位置に保持され、また止水状態で押込位置に位置して、そこに位置保持される。
而してこの実施形態では、操作部28側の吐止水操作部32を押込操作することでカラン14からの吐水と止水とが行われ、また操作部28側の流調操作部34を回転操作することでカラン14からの吐水の流量が調節される。
一方操作部30側の吐止水操作部32を押込操作することでシャワーヘッド(以下シャワー側とすることがある)からの吐水と止水とが行われ、また操作部30側の流調操作部34を回転操作することでシャワー側からの吐水の流量が調節される。
【0045】
尚、操作部28の吐止水操作部32及び流調操作部34,操作部30の吐止水操作部32及び流調操作部34は、図7に示しているようにその軸線を傾斜させた状態で取り付けられており、それぞれの前面(頂面)が前方斜め上向きをなしている。
また各操作部28,30は、それぞれその正面(前面)が、混合水栓10の前方の使用者を向くようにして、水栓本体12に設けられている。
【0046】
図2に示しているように、水栓本体12は横断面の内面形状が円形をなす略円筒状の金属製の外ハウジング36を本体ボデーとして有しており、またその内側において、同じく横断面の内面形状が円形をなす樹脂製の略円筒状の内ハウジング38を有している。
即ちこの実施形態の混合水栓10は、水栓本体12が2重ハウジング構造をなしている。
ここで外ハウジング36及び内ハウジング38は、それぞれ図中右端が開口部60,62とされていて、それら開口部60,62が蓋体64,66にて水密シール状態に閉鎖されている。
【0047】
内ハウジング38は、長手方向即ち軸方向に分割された第1部材38-1と第2部材38-2とから成っている。
一方の第1部材38-1には、図中左端部に大径の雌嵌合部40が設けられ、そこに第2部材38-2の右端部から成る雄嵌合部42がシール材による水密シール状態で嵌合され、以て第1部材38-1と第2部材38-2とが軸方向に結合されている。
【0048】
この内ハウジング38の軸方向端部、詳しくは第2部材38-2の内部には混合バルブユニット56が組み付けられ、保持されている。
ここで混合バルブユニット56は、その軸方向が内ハウジング38の軸方向を向くようにして、内ハウジング38の第2部材38-2に組み込まれている。
【0049】
外ハウジング36の内面は、基本的に凹凸を有しない平滑な面とされていて、そこには複数の流路を区画形成するための流路壁は突出形成されていない。
この外ハウジング36と内ハウジング38との間に形成される空間は、基本的に軸方向の一端から他端にかけて単一の空間を形成している。
この実施形態では、これら外ハウジング36と内ハウジング38との間に形成される空間は、その全体が単一の流路、ここでは1次側の水側流路44を形成している。
【0050】
図3に示しているように、外ハウジング36には図中右端側の位置に開口部46が設けられており、そこに筒部材がねじ結合されることで、外ハウジング36に水の流入口部48が設けられている。
そしてその流入口部48に対して、上記の水側のクランク脚22が締結ナット50にて結合されている。
【0051】
クランク脚22を通じて供給された水は、この流入口部48を通じて外ハウジング36内に流入する。
そして流入した水は、水側流路44を通じて図3中左向きに流れ、そして内ハウジング38に設けられた水流入開口52を通じて内ハウジング38の内部、具体的にはその第2部材38-2の内部に流入する。
【0052】
外ハウジング36にはまた、図中左端側の位置に開口部54が設けられており、そこに筒部材がねじ結合されることで、外ハウジング36に湯の流入口部57が設けられている。
そしてその湯の流入口部57に対して、湯側のクランク脚24が締結ナット50にて結合されている。
【0053】
この湯の流入口部57は、外ハウジング36の開口部54と内ハウジング38、具体的には第2部材38-2の湯流入開口58とを接続する接続部を兼ねており、クランク脚24から供給された湯は、湯流入口部57を通じ、外ハウジング36と内ハウジング38との間の空間を軸直角方向に横切り、内ハウジング38の湯流入開口58から内ハウジング38内部に流入する。
内ハウジング38の内部に流入した水と湯とは、上記の混合バルブユニット56により、温調ハンドル20の操作により設定された比率で混合されて設定温度の混合水とされ、上記のカラン14に向けて、或いはシャワーヘッドに向けて供給される。
【0054】
図2における上記の混合バルブユニット56が、周辺部とともに図4に拡大して詳しく示してある。
本実施形態の混合バルブユニット56はサーモスタット式(自動温度調節機能付)のもので、弁ケース112を有しており、その弁ケース112ごと、上記の内ハウジング38の内部に軸方向に挿入されて組み付けられている。
【0055】
図4において、110は段付きの円筒形状をなす固定ナットで、内ハウジング38内部に挿入された混合バルブユニット56は、この固定ナット110を内ハウジング38の端部にねじ結合することで、内ハウジング38から抜止めされ、内ハウジング38内部に固定される。
【0056】
弁ケース112には、軸方向に互いに離隔した位置に水流入口116,湯流入口118が形成されており、これら水流入口116,湯流入口118を通じて水,湯が弁ケース112内部に流入する。
流入した水と湯とは混合室120で混合された後、その混合水が流出口122から図中右向きに流出する。
【0057】
124,126はそれぞれ水流入口116,湯流入口118から流入する水,湯の流入量を調節する水側弁部,湯側弁部で、水流入口116,湯流入口118からの水と湯の流入量は、それぞれ水側弁部124,湯側弁部126の弁開度に応じて大小変化する。即ち混合室120での水と湯との混合比率が変化し、混合水温度が高低変化する。
【0058】
弁ケース112の内部には、弁体ユニット128が図中左右方向(軸方向)に移動可能に設けられている。
この弁体ユニット128は、軸方向に離隔して設けられた水側弁体130と湯側弁体132、及びそれらを軸方向に連繋する連繋部134を有している。
【0059】
ここで水側弁体130及び湯側弁体132はそれぞれ円筒形状(環状)をなしており、それぞれの外周面の軸方向中間位置に断面U字形状をなすシール部材136,138が保持されていて、それらシール部材136,138により水側弁体130及び湯側弁体132と弁ケース112との間が水密にシールされている。
【0060】
連繋部134は湯側弁体132と一体に構成されている。
この連繋部134は、図5にも示しているように湯側弁体132の内側位置において十字状をなすように中心部から放射状に延びる複数(ここでは4つ)の補強板140と、この補強板140から軸方向且つ図中右方向に突き出した円筒部142とを一体に有している。
ここで補強板140は湯側弁体132を内側から補強する働きをなすもので、板面が軸方向に延びており、そして外周端が湯側弁体132に一体化されている。
この実施形態では、水流入口116,湯流入口118から流入した水と湯とが図中右向きに流れて混合室120に到り、そこで水と湯とが混合される。
【0061】
混合室120には、形状記憶合金製のコイル形状の感温ばね(付勢部材)144が収容されており、その付勢力を軸方向の押圧力として弁体ユニット128に対し図中左向きに、即ち湯側弁体132を閉弁させ、水側弁体130を開弁させる方向に及ぼしている。
この形状記憶合金製の感温ばね144は混合室120内部の混合水温度に応じて伸縮し、混合水温度が設定温度となるように図中左向きの付勢力を変化させて、弁体ユニット128の位置を自動的に微調節する。
【0062】
146は混合室120を形成するとともに感温ばね144の一端を当接させるばね受で、図中左端に外向きの係合爪148を有し、その係合爪148を弁ケース112の係合孔150に係合させることで、弁ケース112に組み付けられている。
【0063】
上記水側弁体130は、湯側弁体132及び連繋部134とは別体に構成されている。
この水側弁体130には、図5にも明らかに示しているように内側が段付形状をなす円筒形状の嵌合部152が形成されており、その嵌合部152が、段付部154を円筒部142の先端面に当接させる状態に、円筒部142に外嵌状態に嵌合され組み付けられている。
詳しくは、円筒部142の内側には雌ねじ部156が形成されていて、そこに後述の弁軸206の先端部に形成された雄ねじ部158がねじ込まれている。
【0064】
この弁軸206には押え部材としての止め輪160が装着されており、弁軸206の雄ねじ部158が円筒部142の内側の雌ねじ部156にねじ込まれることで、水側弁体130が止め輪160にて円筒部142に図中右向きに押し付けられ、連繋部134に組付固定されている。
【0065】
図4に示しているように弁ケース112には、水側弁体130,湯側弁体132のそれぞれの軸方向の内側位置に、水側弁部124における水側弁座164,湯側弁部126における湯側弁座166が設けられており、それらに対し水側弁体130,湯側弁体132が軸方向に当接するようになっている。
詳しくは水側弁座164,湯側弁座166におけるそれぞれの弁座面168,170に対して水側弁体130,湯側弁体132が当接するようになっている。
【0066】
この実施形態において、弁体ユニット128は通常の金属製のコイルばねから成るバイアスばね(付勢部材)172にて図中右向き、即ち湯側弁体132を開弁させ、水側弁体130を閉弁させる方向に付勢(押圧)されており、また混合室120内に設けられた感温ばね144にてこれとは逆方向の図中左向き、即ち湯側弁体132を閉弁させ、水側弁体130を開弁させる方向に付勢されている。
弁体ユニット128は、感温ばね144による図中左向きの付勢力と、バイアスばね172による図中右向きの付勢力とが釣合う位置に保持される。
【0067】
図4に示しているように、弁ケース112には回転操作軸174が組み付けられている。
この回転操作軸174は、弁体ユニット128を弁ケース112の内部で軸方向、即ち図中左右方向に移動させて混合水温度を設定操作するためのもので、嵌合軸部176と、ハンドル連結部178とを有しており、その嵌合軸部176が弁ケース112の嵌合孔180に回転可能に内嵌されている。
ここで嵌合軸部176と弁ケース112の嵌合孔180との間はOリング182にて水密にシールされている。
また弁ケース112から軸方向の左方に突き出したハンドル連結部178には、セレーション部184において温調ハンドル20が一体回転状態に連結されるようになっている。
【0068】
回転操作軸174は、弁ケース112の内部において大径の円筒部185を有しており、その円筒部185の図中左端の肩部と、回転操作軸174に装着された径方向に弾性を有する止め輪186にて、弁ケース112に軸方向に固定されている。
この円筒部185の内周面には雌ねじ部188が形成され、そこに円筒形状をなす駆動部材190が、外周面の雄ねじ部192において螺合されている。
この駆動部材190は、回転操作軸174の回転操作によってねじ送りで軸方向即ち図中左右方向に進退移動させられる。
【0069】
この駆動部材190と弁体ユニット128との間には、ストッパリング194,ばね受196を介して通常の金属製のコイルばねからなる上記のバイアスばね172が介在させられており、バイアスばね172の図中右向きの付勢力が弁体ユニット128に対し図中右向きに及ぼされている。
尚、ばね受196には図中右端と左端とに内向きのフランジ部198,200が設けられている。
【0070】
一方、駆動部材190の図中右端には外向きのフランジ部202が設けられ、この外向きのフランジ部202が、一対のフランジ部198,200の間においてばね受196内部を図中左右方向に相対移動可能とされている。
また駆動部材190には、内向きに突出した段付部204が図中左端に設けられていて、そこにストッパリング194が図中右向きに当接させられている。
【0071】
上記のように弁体ユニット128からは図中左向きに弁軸206が延び出している。
弁軸206の左端側はストッパリング194を貫通して図中左向きに突出しており、その突出した端部に、ストッパリング194の内径よりも大径の頭部208が設けられている。
この頭部208には、弁軸206における上記の雄ねじ部158を連繋部134の雌ねじ部156にねじ込む際に工具掛け部となる係合溝が形成されている。
【0072】
この実施形態では、回転操作軸174を正方向に回転操作すると、駆動部材190がねじ送り作用で図中右向きに前進させられ、これによりストッパリング194を介してバイアスばね172が圧縮せしめられ、弁体ユニット128に対する図中右向きの付勢力を増大させる。
また回転操作軸174を逆方向に回転操作すると、駆動部材190が図中左向きに後退移動させられて、バイアスばね172が延びる方向に変位し、弁体ユニット128に対する図中右向きの付勢力を弱くする。
【0073】
この例の混合バルブユニット56では、このようにして回転操作軸174を正方向又は逆方向に回転操作することで、弁体ユニット128に対するバイアスばね172の図中右向きの付勢力と、感温ばね144の図中左向きの付勢力との釣合位置が図中左右方向に変化し、これに伴って弁体ユニット128が図中左右方向にシフトせしめられる。即ち混合バルブユニット56における混合水の温度が設定ないし設定変更される。
【0074】
この混合バルブユニット56では、弁体ユニット128が図中右向きに一杯まで移動して水側弁体130が水側弁座164の弁座面168に当接することで水流入口116が全閉、湯流入口118が全開となり、弁体ユニット128が逆方向に一杯まで移動して湯側弁体132が湯側弁座166の弁座面170に当接することで湯流入口118が全閉、水流入口116が全開状態となる。
またそれらの中間位置において水流入口116及び湯流入口118を開き、且つその開度を感温ばね144の温度感知に基づいて自動的に変化させ、水,湯の流入量を変化させて混合水温度を自動的に設定温度に調節する。
【0075】
図4に示しているように温調ハンドル20には、内周面に雌セレーション部を有するセレーション部材212が一体回転状態に装着されており、このセレーション部材212が、混合バルブユニット56における上記のセレーション部184、詳しくは雄セレーション部にセレーション結合されることで、温調ハンドル20が混合バルブユニット56における回転操作軸174に一体回転状態に連結されている。
【0076】
214は、温調ハンドル20に備えられた安全ボタンで、ばね216により図中上向きの外向きに突出する側に付勢されている。
この安全ボタン214は、当接部218をストッパ部材220に当接させることによって、温調ハンドル20を回転規制する働きを有する。
【0077】
上記内ハウジング38には、図9(B)に示しているように混合水をカラン14側に流出させるための開口部68と、シャワー側に流出させるための開口部70とが、軸方向の同じ位置に内ハウジング38の筒壁を貫通して設けられている。
ここでカラン14側の開口部68とシャワー側の開口部70とは水栓本体12の略中央部、詳しくは中央よりも僅かに図中左寄りの位置に設けられている。
【0078】
図7に示しているように、外ハウジング36には内ハウジング38の開口部68に対応する位置に開口部72が設けられており、そこに筒部材がねじ結合されている。
そしてその筒部材によって、外ハウジング36にカラン14側の流出口部74が設けられている。
そしてこの流出口部74に対して、カラン14が締結ナット76にて回転可能にねじ結合されている。
ここで流出口部74は、内ハウジング38の開口部68と外ハウジング36の開口部72との接続部も兼ねており、内ハウジング38の開口部68からの混合水をカラン14へと流出させる。
【0079】
外ハウジング36にはまた、内ハウジング38の開口部70に対応した位置に開口部78が設けられており、開口部78に筒部材がねじ結合されている。
そしてその筒部材によって、前記したシャワー側の流出口部16が外ハウジング36に設けられている。
上記のシャワーエルボ18は、このシャワー側の流出口部16に対して回転可能にねじ結合されている。
従って図9(B)に示す内ハウジング38のシャワー側の開口部70からの混合水は、この流出口部16を通じてシャワーエルボ18内部、即ちシャワーヘッド側に流出する。
【0080】
この実施形態では、図2及び図4に示すように上記の混合バルブユニット56からの混合水をカラン14側に流路切替えするカラン側の吐止水バルブユニット80と、混合水をシャワー側に流路切替えするシャワー側の吐止水バルブユニット82とが、外ハウジング36と内ハウジング38とにまたがって水栓本体12に設けられている。
ここでカラン14側の吐止水バルブユニット80は、カラン14からの吐止水及び吐水の流量調節の機能を備えている。
同様にシャワー側の吐止水バルブユニット82も、シャワーヘッドからの吐止水及び吐水の流量調節の機能を備えている。
【0081】
本実施形態において、これらカラン14側の吐止水バルブユニット80及びシャワー側の吐止水バルブユニット82は、何れもその軸方向を外ハウジング36及び内ハウジング38の軸直角方向に向けて水栓本体12に組み付けられている。
ここでカラン14側の吐止水バルブユニット80は、図7に示す内ハウジング38の開口部68及び外ハウジング36の流出口部74と同じ軸方向位置に、即ち水栓本体12の略中央部、詳しくは中央よりも僅かに図中左寄りの位置に設けられている。
一方シャワー側の吐止水バルブユニット82は、水栓本体12の、温調ハンドル20とは反対側の軸方向の端部に寄った位置に設けられている。
即ち、カラン14側の吐止水バルブユニット80と、シャワー側の吐止水バルブユニット82とは軸方向に距離を隔てて配置されている。
【0082】
一方内ハウジング38には、図2及び図6に示しているように混合バルブユニット56からの混合水をカラン14側の吐止水バルブユニット80,シャワー側の吐止水バルブユニット82に送る主流路84が軸方向に直線状に延びる形状で設けてある。
図10に示しているように、主流路84は横断面形状が3角形状をなしており、内ハウジング38の外周側に寄った位置に一対設けられている。
【0083】
内ハウジング38にはまた、軸方向の先端で折り返して内ハウジング38の、図7に示す上記の開口部70に到る副流路86が軸方向に直線状に延びる形状で、即ち主流路84と平行方向に延びる形状で設けられている。
この副流路86は、図10(E),(F)に示しているように一対の主流路84と84との間の位置に設けられており、その横断面形状は概略円形状に近い形状をなしている。
【0084】
図6に示しているように、内ハウジング38にはカラン14側の吐止水バルブユニット80に対応する位置に、軸直角方向に立ち上がる円筒形状の外筒部88と内筒部90とが一体に設けられており、その内筒部90の先端部にて主弁座92が構成されている。
図11,図12にも示しているようにこの内筒部90の外周側、即ち内筒部90と外筒部88との間には、上記の主流路84に開口し、主流路84からの混合水を後述の主弁106側に流入させる流入側の流路94が形成されている。
【0085】
また内筒部90の内側に、主弁座92を乗り越えた混合水を図7,図9(B)及び図10(D)の、内ハウジング38のカラン側の開口部68に流出させる流出側の流路96が形成され、そしてそれら流路94,96によって、主流路84から分岐し内ハウジング38のカラン側の開口部68に到る分岐流路98(図11,図12参照)が形成されている。
主流路84を流れる混合水は、カラン14側の吐止水バルブユニット80の開弁によりこの分岐流路98へと流れ、図7,図9(B)及び図10(D)の内ハウジング38の開口部68を通じてカラン14側へと流れ込み、その先端の吐水口から外部に吐水される。
【0086】
内ハウジング38には、また、シャワー側の吐止水バルブユニット82に対応した位置においても、図6,図10(F)に示しているように同様の外筒部88,内筒部90が軸直角方向に起立する形態で一体に設けられている。
そして内筒部90の外周側、即ち内筒部90と外筒部88との間に、主流路84に開口し、主流路84からの混合水を主弁106側に流入させる流入側の流路94が形成されている。
【0087】
一方、内筒部90の内周側の流路は上記の副流路86に繋がっており、内筒部90の内周側の流路と、この副流路86とによって、内ハウジング38の上記のシャワー側の開口部70、即ちカラン側の開口部68と軸方向の同じ位置のシャワー側の開口部70に到る分岐流路102が形成されている。
【0088】
即ち内ハウジング38のカラン側の開口部68は、カラン側の吐止水バルブユニット80の直下の位置に位置しているのに対し、シャワー側の開口部70は、対応するシャワー側の吐止水バルブユニット82に対して軸方向に大きく離れた位置、具体的にはカラン側の開口部68と同じ軸方向位置に位置しており、そして上記の副流路86が、シャワー側の吐止水バルブユニット82から軸方向に大きく隔たった位置の、内ハウジング38のシャワー側の開口部70と内筒部90の内周側の流路とを連絡している。
即ちシャワー側の吐止水バルブユニット82の側の分岐流路102が軸方向に大きく延び出して、開口部70に到っている。
【0089】
図6,図11及び図12において、カラン14側の吐止水バルブユニット80は円筒形状をなす筒部材104を外周部に有しており、その筒部材104が、外ハウジング36の貫通の組付穴105を通じて軸直角方向に外ハウジング36内部に挿入され、組み付けられている。
そしてこの筒部材104をバルブハウジングとして、その内部に後述のダイヤフラム弁から成る主弁106、及び操作部28の操作に基づいて主弁106を駆動する駆動部108を含む弁機能部が組み込まれている。
【0090】
この筒部材104は、挿入側の先端部が内ハウジング38に一体に設けられた上記の外筒部88に対して、シール部材によるシール状態の下で外嵌状態に水密に嵌合されており、また組付穴105への挿入部分において、同じくシール部材によるシール状態で組付穴105に対し内嵌状態に水密に嵌合せしめられている。
【0091】
即ち筒部材104は、外ハウジング36及び内ハウジング38の何れに対してもシール部材により水密にシールされている。
ここで筒部材104は、図8に示しているように外ハウジング36の外部において、平面形状が4角形状をなす鍔部222を有しており、その鍔部222の固定孔224において、外ハウジング36に対しねじ締結具(図示省略)にて締結固定されている。
【0092】
この筒部材104の、外ハウジング36から上向きに突き出した部分の内周面には雌ねじ部が設けられており、そこに外周面に雄ねじ部を有する固定具226が下向きにねじ込まれている。
そしてその固定具226のねじ込みにより、上記の弁機能部が押圧部材228を介して下向きに押圧され、抜止状態に固定されている。
【0093】
以下に、このカラン14側の吐止水バルブユニット80の詳細を説明する。
尚、シャワー側の吐止水バルブユニット82の取付構造及びその詳細についても、基本的にカラン14側の吐止水バルブユニット80と同様であり、以下ではカラン14側の吐止水バルブユニット80についてのみ図11〜図16に基づいて詳細説明を行う。
【0094】
図11は、カラン側の吐止水バルブユニット80を、ダイヤフラム弁から成る主弁106が閉弁した状態で表しており、また図12は主弁106が開弁した状態で表している。
これらの図において、ダイヤフラム弁から成る主弁106は、シール部材を兼ねたゴム製のダイヤフラム膜229と硬質の主弁本体231とから成っている。
【0095】
主弁106は、ダイヤフラム膜229の外周端部が、背圧室形成部材を兼ねた固定部材230と、内ハウジング38の上記の外筒部88とにより挟まれて固定され、それらによって保持されている。
そして中心部が軸心方向(図11及び図12中上下方向)に変位して主弁座92との距離を変化させ、流路の開度を変化させる。
詳しくは、主弁106は主弁座92への着座によって流路を遮断し、また主弁座92から図中上向きに離間することによって流路を開放する。
また主弁座92からの離間量に応じて流路の開度を大小変化させ、流路を流れる水の流量、即ち給水流量を調節する。
【0096】
この主弁106の図中上側の背後には、圧力室234が形成されている。
圧力室234は、内部の圧力を主弁106に対して図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁106には、これを貫通して流路94と圧力室234とを連通させる導入小孔238が設けられている。
この導入小孔238は、流路94からの水を圧力室234に導いて圧力室234の圧力を増大させる。
【0097】
主弁106にはまた、これを貫通して圧力室234と流路96とを連通させる水抜水路としてのパイロット水路242が設けられている。
このパイロット水路242は、圧力室234内の水を流路96に抜いて圧力室234の圧力を減少させる。
【0098】
図13及び図14に示しているように主弁106にはまた、その中心部においてこれを軸心方向に貫通する貫通孔244が設けられており、そこに吐止水パイロット弁及び流調パイロット弁を兼ねた共通のパイロット弁246が挿通され、このパイロット弁246の外周面と貫通孔244の内周面との間に、通路幅が狭小な環状をなす上記パイロット水路242が形成されている。
この主弁106には、貫通孔244の内周面に沿って主弁106の軸心周りに環状をなすパイロット弁座248が一体に設けられている。
250はこのパイロット弁座248におけるシール部で、環状溝内部に環状をなす弾性シールリングとしてのOリング252を保持ししている。
【0099】
上記パイロット弁246はこのパイロット弁座248に対し、主弁106の軸心に沿って図中上下方向に進退移動可能に嵌合するようになっている。
詳しくはこのパイロット弁246は、断面円形をなし且つ図中上下方向即ち進退方向において外径が同径のシール部254(図13,図14参照)と、その下側(図中下側)の環状の凹所256とを有している。
環状の凹所256の軸方向の各端部は、凹所256の最小径部に向かって漸次小径となるテーパ面とされており、そのテーパ面の大径側の各端部に段付部260,262が形成されている。
【0100】
尚、図11及び図13はパイロット弁246の止水時の状態を表しており、このときパイロット弁246はシール部254をOリング252を介してパイロット弁座248に対し全周に亘って径方向に弾性接触させ、パイロット弁246とパイロット弁座248との間を水密にシールした状態にある。
またこのとき、主弁106は主弁座92に着座した状態にあって、流路は閉鎖された状態にある。
【0101】
一方図12及び図14はパイロット弁246の吐水時の状態を表しており、このときパイロット弁246はシール部254がパイロット弁座248から離間した状態にあって、それらの間に微小な隙間を形成している。
またこのとき主弁106は主弁座92から図中上向きに離間した状態にあって、流路を開いた状態にある。
【0102】
図15,図16はパイロット弁246の移動による流調(流量調節)時の作用を表している。
この実施形態では、流調の際にパイロット弁246はパイロット水路242を閉鎖することはなく、その移動によってパイロット水路242の開度だけを変化させる。
流調操作部34の回転操作量がそのように規制されている。
【0103】
この実施形態では、図15(I)に示しているようにパイロット弁246が図中上向きに後退移動すると、パイロット弁246とパイロット弁座248との間の隙間が大となり、圧力室234内の水がパイロット水路242を通じて流路96側に多く抜け出して圧力室234の圧力が減少する。
そこで主弁としての主弁106が流路94との圧力差により図中上向きに後退移動し、そして図15(II)に示しているように、流路94の圧力と圧力室234の圧力とがバランスする位置で主弁106の後退移動が停止する。
この主弁106の後退移動によって、主弁106と主弁座92との間の隙間が大となり、流路94から流路96への水の流出量が増大する。
【0104】
この状態からパイロット弁246が更に図中上向きに後退移動させられると、圧力室234の圧力と流路94との圧力をバランスさせるようにして、主弁106がパイロット弁246の後退移動に追従して後退移動し、流路の開度を更に広くして流路を流れる水の流量を増大させる(図15(III)参照)。
【0105】
一方パイロット弁246が、図16(I)に示しているように図中下向きに前進移動すると、パイロット弁246とパイロット弁座248との間、詳しくはパイロット弁246におけるシール部254とパイロット弁座248に保持されたOリング252との間の隙間が小さくなって、即ちパイロット水路242の開度が小さくなって、圧力室234から流路96に抜ける水の量が少なくなり、圧力室234の圧力が増大する。
【0106】
このため、その増大した圧力により主弁106が今度は図中下向きに前進移動して、圧力室234の圧力と流路94との圧力をバランスさせる位置で停止する(図16(II)参照)。
このとき主弁106と主弁座92との間の隙間は小さくなって、即ち流路の開度が小さくなって、流路を流れる水の流量が減少する。
【0107】
そしてこの状態から更にパイロット弁246が図中下向きに前進移動すると流路の開度が更に小さくなり、流路を流れる水の流量が更に減少する(図16(III)参照)。
【0108】
図11及び図12において、264は駆動軸で、この駆動軸264は一様な円形断面且つ一様な外径で軸方向に延びており、図中下部に上記のパイロット弁246が一体に構成されている。
【0109】
この駆動軸264と上記の回転ハンドル式の流調操作部34との間には、流調操作部34の回転操作により、その操作量に応じて駆動軸264をねじ送りで進退させて、パイロット弁246を図中上下方向に一体に進退移動させ、その位置を変化させる流調機構(図示省略)が設けられている。
【0110】
また駆動軸264と押ボタン式の上記の吐止水操作部32との間には、吐止水操作部32を押込操作するごとに一定のストロークで駆動軸264、即ちその先端部のパイロット弁246を上昇位置である吐水位置と下降位置である止水位置との間で移動させ、且つそれぞれの位置に位置保持する吐止水切替機構(図示省略)とが組み込まれている。
【0111】
ここで吐止水切替機構は、パイロット弁346を吐水位置と止水位置とに切り替え、且つそれぞれの位置に位置保持するスラストロック機構を備えている。
即ちこの実施形態では、流調操作部34を回転操作すると回転量に応じてパイロット弁246が図中上下に進退移動して、主弁106をこれに追従して変位させる。それにより流量調節が行われる。
【0112】
一方吐止水操作部32を押込操作するごとにパイロット弁246が所定ストローク上下方向に進退移動して、主弁106を開弁及び閉弁させる。
即ちその主弁106の開閉によって分岐流路98の開閉、即ち混合水の流路切替えを行う。
尚、駆動軸264と圧力室234との間はOリング252にて水密にシールされている。
【0113】
本実施形態では、以上のようにしてカラン14側の吐止水バルブユニット80の主弁106が閉弁状態から開弁することで、内ハウジング38の上記の主流路84の混合水がカラン14側に流路切替えされてカラン14から吐水される。また主弁106の開度に応じてカラン14の吐水口からの吐水の流量が調節される。
また主弁106の閉弁によってカラン14からの吐水の停止即ち止水が行われる。
【0114】
同様にシャワー側の吐止水バルブユニット82の主弁106が閉弁状態から開弁することで、内ハウジング38の主流路84内の混合水がシャワー側へと流路切替えされ、シャワーヘッドから混合水が吐水される。
また主弁106の開度が変化することによって、シャワーヘッドからの吐水の流量が調節される。
そして主弁106が閉弁することで、シャワーヘッドからの吐水の停止即ち止水が行われる。
尚、図11〜図16に示した吐止水バルブユニットと基本的に同様の内容のものが特開2007−467705号公報に詳しく開示されている。
【0115】
この実施形態において、回転ハンドル式の流調操作部34には、図17に示すように内面側に径方向内方に突出するアーム272が設けられていて、そのアーム274の端部に立上り部274が設けられている。
そしてこの立上り部274の内面に、上記の流調機構を働かせるための係合溝276が設けられている。
更にこの流調操作部34と押ボタン式の吐止水操作部32とにまがたって、吐止水操作部32を押込位置即ち止水位置にロックするロック機構が設けられている。
【0116】
詳しくは、吐止水操作部32の内面にはロック溝278が設けられており、また流調操作部34の上記の立上り部274には対応するロック用の突部280が設けられており、流調操作部34を最小流量位置まで回転操作し、そして吐止水操作部32を押し込んで止水位置にこれを持ち来した上で、流調操作部34を更に回転させると、流調操作部34側のロック用の突部280が、吐止水操作部32側のロック溝278に嵌り込み、ここにおいて吐止水操作部32が押込位置、即ち止水位置にロックされる。
【0117】
以上のような本実施形態においては、カラン14側の吐止水バルブユニット80の操作部28を操作するだけで、カラン14からの吐水と止水及び吐水の流量調節を行うことができ、またシャワー側の吐止水バルブユニット82の操作部30を操作するだけで、シャワー側からの吐水と止水及び吐水の流量調節を行うことができる。
【0118】
従ってこの実施形態によれば、目的とする吐水部からの吐水と止水及び流量調節を行うに際し、吐止水バルブユニット80,82の何れの側を操作すれば良いかが分かり易く、従って目的とする吐止水バルブユニットとは異なった別の吐止水バルブユニットを誤って操作してしまうといったことが少なく、操作が容易で混合水栓10が使い易くなる。
【0119】
またこの実施形態では、筒部材104を外ハウジング36と内ハウジング38とにまたがって取り付け、その筒部材104をバルブハウジングとして、内部に弁機能部を組み込むことで吐止水バルブユニット80,82を構成するようになしているため、それら吐止水バルブユニット80,82のそれぞれを簡単に構成することができるとともに、それらを容易に水栓本体12に組み付けることができる。
【0120】
またこの実施形態では吐止水バルブユニット80,82を、その軸方向が内ハウジング38及び外ハウジング36の軸直角方向を向くようにして、外ハウジング36及び内ハウジング38に取り付けてあるため、各吐止水バルブユニット80,82の操作部28,30、具体的には吐止水操作部32,流調操作部34の軸線方向が、外ハウジング36及び内ハウジング38の軸直角方向に向くように設けることができ、これにより吐止水操作部32及び流調操作部34の正面を使用者に向けて配置することができ、使用者はそれら操作部を正面から操作し得て操作が分かり易く容易となり、操作性を良好となすことができる。
【0121】
特にこの実施形態では、吐止水バルブユニット80,82の取付面となる水栓本体12の上面が、図8に示しているように前方斜め上向きに傾斜した傾斜面302とされていて、その傾斜面302に対して吐止水バルブユニット80,82が取り付けられ、またそれぞれの操作部28,30が設けられているため、使用者はそれら操作部28,30を視認し易く、それらの操作性をより一層良好となすことができる。
【0122】
本実施形態ではまた、内ハウジング38に、各吐止水バルブユニット80,82の主弁106を着座させる主弁座92を、各吐止水バルブユニット80,82に対応した位置に一体に形成していることから、別途に主弁座92構成のための部品を必要とせず、所要部品点数が少なくなって、混合水栓10のコストを低減することができる。
【0123】
更に本実施形態では、内ハウジング38の内部の上記主流路84及び副流路86を、直線状に延びる形態で設けているため、内ハウジング38を樹脂製とする場合において、成形後の脱型に際して主流路84,86の形状が脱型を阻害する要因とならず、内ハウジング38を容易に樹脂の成形品とすることができ、これにより混合水栓10のコストを安価とし、また混合水栓10を軽量化することができる。
【0124】
本実施形態では、また、内ハウジング38の内部の混合水の主流路84から分岐し、混合水をカラン14,シャワーヘッドに向けて流出させる分岐流路98,102が設けてあるため、具体的には内ハウジング38の開口部68,70まで到る分岐流路98,102が設けてあるため、各吐止水バルブユニット80,82にて対応する分岐流路98,102を開閉及び開度調節を行うことで、カラン14,シャワーヘッドのそれぞれからの吐止水及び吐水の流量調節を行うことができる。
またその分岐流路98,102が内ハウジング38自体にて形成してあるため、分岐流路98,102を形成するための部品を別途に必要とせず、必要部品点数を少なくし得て、混合水栓10の内部構造を簡素化でき、またコストを低減することができる。
【0125】
更に本実施形態では、シャワー側の吐止水バルブユニット82を、水栓本体12の軸方向の端部側に設けているにも拘らず、シャワー側の分岐流路102における内筒部90の内周側の流路を、軸方向に長く延びる副流路86にて内ハウジング38のシャワー側の開口部70と連絡し、その開口部70を外ハウジング36の流出口部16に接続しているため、流出口部16の位置をシャワー側の吐止水バルブユニット82の軸方向位置とは異なった任意の位置に、具体的にはここでは水栓本体12の略中央部に配置しておくことができる。
そしてそのことによって、混合水栓10の設置現場においてシャワーヘッドの位置が水栓本体12に対して右側に位置している場合であっても、また左側に位置している場合であっても、同じ混合水栓10を用いて対応することができ、シャワーヘッドの位置が右側であるか左側であるかによって、それに対応した混合水栓10を用意しておかなくても良く、混合水栓10の共通化を図ることができる。
【0126】
図18は、本発明の他の実施形態を示している。
この例では、シャワー側の吐止水バルブユニット82と同じ軸方向位置において、内ハウジング38に、混合水をシャワー側に流出させるための開口部279を設け、そして内ハウジング38に一体に設けたリブ281にてその内側に溝282を形成し、そこにシール部材284を嵌め込んで、これを内ハウジング38と外ハウジング36とで挟み込み、そのシール部材284によって、内ハウジング38の開口部279と外ハウジング36の上記のシャワー側の流出口部16とを連絡する流路286を、内ハウジング38と外ハウジング36との間の空間の他部と区画して形成している。
【0127】
この実施形態では、上記実施形態のように内ハウジング38に分岐流路102の一部をなす副流路86を設けておかなくても、シャワー側の吐止水バルブユニット82とは軸方向の異なった位置のシャワー側の流出口部16に混合水を送り、そこからシャワーヘッドに向けて混合水を流出させることができる。
【0128】
図19及び図20は本発明の更に他の実施形態を示している。
この例では、シャワー側の吐止水バルブユニット82の直下の位置、即ち同じ軸方向位置において、内ハウジング38と外ハウジング36とに、それぞれシャワー側の開口部70,78を設けて、それらを外ハウジング36に設けた流出口部16にて接続し、内ハウジング38の主流路84からの混合水を、その流出口部16を通じてシャワー側へと送り出すようになしている。
【0129】
この例ではまた、上記の実施形態のように内ハウジング38に外筒部88,内筒部90及びそれらによる主弁座92,分岐流路102を内ハウジング38に一体に形成せず、これに代えて内筒部90,上部の外筒部88,更に下部の嵌合部287を有する流路形成部材288をシャワー側の吐止水バルブユニット82に組み込んでおき、そしてこの流路形成部材288を、上部の外筒部88において筒部材104に嵌合させ、また下部の嵌合部287を内ハウジングの上記の開口部70に嵌合させる状態に組み付けることで、かかる流路形成部材288にて主弁座92及びシャワー側の分岐流路98を形成している。
尚これらの構成についてはカラン側においても基本的に同様である。
この例では、内ハウジング38に直線状をなす主流路84のみが設けられており、上記実施形態のような副流路86は設けられていない。
【0130】
この実施形態では、カラン側の吐止水バルブユニット80の操作部28を操作すると、直下の位置の流出口部74から混合水がカラン14に向けて流出する。
またシャワー側の吐止水バルブユニット82の操作部30を操作すると、主流路84からの混合水がシャワー側の吐止水バルブユニット82の直下の位置の流出口部16からシャワーヘッドに向けて流出する。
【0131】
図21は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、直進移動する棒状のスライド部材にて流調操作部290を構成して、その流調操作部290に摘み292を設け、この流調操作部290の直進移動により、上記実施形態の流調操作部に相当するリング294を回転させることで、流量調節を行うようになした例である。
【0132】
この棒状の流調操作部290にはラックギヤ296が設けられており、このラックギヤ296とリング294のホイールギヤ298との噛合いにより、流調操作部290の直進移動によりリング294を回転させて流量調節を行う。
尚図中300は操作部28,30のケースである。
この例の場合、摘み292の位置によって現在の流量がどれくらいであるかということが分かり易い利点がある。
【0133】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では内ハウジング38が第1部材38-1と第2部材38-2との2分割構成とされていて、それらが結合されて1つの内ハウジング38を構成しているが、本発明では内ハウジング38全体を一体に構成しておくことも可能である。
また本発明では3つ若しくはそれ以上の吐水部を設けるとともに、これに対応した数で吐止水バルブユニットを設け、各吐水部からの吐水と止水及び吐水の流量調節を、対応する吐止水バルブユニットにて行うようになすといったことも可能である。
また吐水部を2つ設ける場合において、一方の吐水部からは水を、他方の吐水部からは混合水を吐水させるようになすことも場合により可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0134】
10 混合水栓
12 水栓本体
14 カラン
16 流出口部
36 外ハウジング
38 内ハウジング
46,54,60,62,68,70,72,78 開口部
56 混合バルブユニット
74 流出口部
80,82 吐止水バルブユニット
84 主流路
86 副流路
92 主弁座
94,96 流路
98,102 分岐流路
104 筒部材
106 主弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐水部を有するとともに、水栓本体が筒形の外ハウジングと内ハウジングとを有する混合水栓において、
前記外ハウジングと内ハウジングとにまたがって、それぞれが吐止水及び流量調節の各機能を備えた吐止水バルブユニットが前記吐水部の数に対応した数で複数設けてあり、
前記内ハウジングの軸方向の端部には、該内ハウジングに流入した水と湯とを混合する混合バルブユニットが組み込んであるとともに、該内ハウジングの内部には、該混合バルブユニットからの混合水を前記複数の吐止水バルブユニットのそれぞれに送る主流路が設けてあり、
何れかの前記吐止水バルブユニットの操作により、対応する何れかの前記吐水部と前記主流路とを連絡する流路の開閉及び開度調節を行って該吐水部からの吐止水及び流量調節を行うようになしてあることを特徴とする混合水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記外ハウジング及び内ハウジングとは別体をなす筒部材を、それら外ハウジングと内ハウジングとにまたがって該外ハウジング及び内ハウジングに対しシール状態で取り付けてあり、前記各吐止水バルブユニットが、該筒部材をバルブハウジングとして内部に弁機能部を組み込むことで構成してあることを特徴とする混合水栓。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記混合バルブユニットは、該混合バルブユニットの軸方向を前記内ハウジングの軸方向に向けて組み込んであり、前記複数の各吐止水バルブユニットは、該内ハウジングの軸方向の異なった位置でそれぞれの軸方向を前記外ハウジング及び該内ハウジングの軸直角方向に向けて設けてあることを特徴とする混合水栓。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記内ハウジングには、前記複数の吐止水バルブユニットの各主弁を着座させる主弁座が、各吐止水バルブユニットに対応した位置に一体に形成してあることを特徴とする混合水栓。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記内ハウジングの内部の前記主流路は、前記混合バルブユニットから最も遠く離れた前記吐止水バルブユニットの位置まで直線状に延びていることを特徴とする混合水栓。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、該内ハウジングの内部の前記主流路から分岐し、混合水を前記外ハウジングの流出口部に向けて流出させる分岐流路が前記内ハウジングの筒壁貫通の開口部に到るまで、各吐止水バルブユニットごとに設けてあることを特徴とする混合水栓。
【請求項7】
請求項6において、前記分岐流路が前記内ハウジング自体に形成されていることを特徴とする混合水栓。
【請求項8】
請求項6,7の何れかにおいて、前記内ハウジングと外ハウジングとの間には、何れかの前記吐止水バルブユニットに対応して設けた、該内ハウジングの前記開口部と該開口部に対して異なった軸方向位置の該外ハウジングの前記流出口部とを連絡する流路を該内ハウジングと外ハウジングとの間の空間の他部から区画して形成するシール部材が設けてあることを特徴とする混合水栓。
【請求項9】
請求項7において、前記内ハウジングには前記主流路とは区画された別の副流路が該内ハウジングの軸方向に形成されていて、該副流路が、何れかの前記吐止水バルブユニットに対応した前記分岐流路の流出側の流路を形成しており、
該流出側の流路は、前記内ハウジングの前記開口部まで延びていて、該開口部が前記外ハウジングの前記流出口部に接続部にて接続されていることを特徴とする混合水栓。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかにおいて、前記吐止水バルブユニットとして、カランから混合水を吐止水させるカラン側の吐止水バルブユニットと、シャワーヘッドから混合水を吐止水させるシャワー側の吐止水バルブユニットとが設けてあることを特徴とする混合水栓。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2013−7248(P2013−7248A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142381(P2011−142381)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】