説明

混合金属酸化物触媒を用いたプロパン及びイソブタンのアンモ酸化方法

不飽和ニトリルを製造するための飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物のアンモ酸化方法であって、飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物を、モリブデン、バナジウム、アンチモン、ニオブ、テルル、必要に応じてチタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、ハフニウムから成る群より選択される少なくとも1種の元素、並びに必要に応じてランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから成る群より選択される少なくとも1種のランタニドを含む触媒組成物の存在下でアンモニア及び酸素含有ガスと接触させる工程を含む方法。該触媒は、組成物中の非常に低いレベルのテルルによって特徴づけられる。該触媒組成物は、プロパンからアクリロニトリル及びイソブタンからメタクリロニトリルへの気相変換(アンモ酸化による)に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、不飽和ニトリル又は不飽和有機酸を製造するための飽和又は不飽和炭化水素のアンモ酸化又は酸化方法に関する。
本発明は、特にプロパンからアクリロニトリル及びイソブタンからメタクリロニトリルへの気相変換(アンモ酸化による)方法又はプロパンからアクリル酸及びイソブタンからメタクリル酸への気相変換(酸化による)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(先行技術の説明)
プロパンからアクリロニトリル及びイソブタンからメタクリロニトリルへの変換(アンモ酸化反応による)及び/又はプロパンからアクリル酸への変換(酸化反応による)のために混合金属酸化物触媒が利用されている。この分野で既知の技術には多くの特許及び特許出願が含まれ、例えば、Ushikuboらに対する米国特許第5,750,760号、Komadaらに対する米国特許第6,036,880号、Komadaらに対する米国特許第6,043,186号、Hinagoらに対する米国特許第6,143,916号、Inoueらに対する米国特許第6,514,902号、Komadaらによる米国特許出願第US2003/0088118A1号、Gaffneyらによる米国特許出願第2004/0063990A1号、及び旭化成株式会社によるPCT特許出願第WO2004/108278A1号が挙げられる。
プロパンからアクリロニトリル及びイソブタンからメタクリロニトリルへの変換(アンモ酸化反応による)及び/又はプロパンからアクリル酸及びイソブタンからメタクリル酸への変換(酸化反応による)に有効なモリブデン、バナジウム、アンチモン及びニオブを含む触媒と共に当技術分野は進歩してきたが、商業的に実用できるようになる前には触媒をさらに改善する必要がある。一般に、該反応用の当技術分野で既知の触媒系は、通常所望生成物の収率が低いことに悩まされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
テルルは、プロパン及びイソブタンのアンモ酸化及び/又はプロパンからアクリル酸及びイソブタンからメタクリル酸への変換(酸化反応による)のために使用する温度で揮発性になりうる。相対的に多量のテルルを含む触媒は、アンモ酸化又は酸化作用中にテルルの損失を示していた。テルルの損失によって触媒性能は負の影響を受けうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
〔発明の概要〕
一局面では、本発明は、不飽和ニトリルを製造するための飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物のアンモ酸化方法であって、飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物を、モリブデン、バナジウム、アンチモン、ニオブ、テルル、必要に応じてチタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、及びハフニウムから成る群より選択される少なくとも1種の元素、並びに必要に応じてランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから成る群より選択される少なくとも1種のランタニドを含む触媒組成物の存在下でアンモニア及び酸素含有ガスと接触させる工程を含む方法に関する。この方法で使用する触媒組成物は、該組成物中の相対的に低レベルのテルルによってさらに特徴づけられる。
一実施形態では、本発明は、プロパン、イソブタン又はそれらの混合物から成る群より選択される炭化水素の、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、又はそれらの混合物への変換方法であって、モリブデン、バナジウム、アンチモン、ニオブ、テルル、必要に応じてチタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、及びハフニウムから成る群より選択される少なくとも1種の元素、並びに必要に応じてランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから成る群より選択される少なくとも1種のランタニドを含む触媒組成物の存在下、蒸気相内で高温にて前記炭化水素を分子酸素含有ガス及びアンモニアと反応させる工程を含む方法である。
別の局面では、本発明は、モリブデン、バナジウム、アンチモン、ニオブ、テルル、必要に応じてチタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、及びハフニウムから成る群より選択される少なくとも1種の元素、並びに必要に応じてランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから成る群より選択される少なくとも1種のランタニドを含むアンモ酸化触媒組成物にも関する。
【0005】
一実施形態では、本触媒組成物は、下記実験式の混合酸化物を含む。
Mo1VaSbbNbcTedXeLfOn
式中、
Xは、Ti、Sn、Ge、Zr、Hf、及びそれらの混合物から成る群より選択され、
Lは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びそれらの混合物から成る群より選択され、
0.1<a<0.8、
0.01<b<0.6、
0.001<c<0.3、
0.001<d<0.06、
0≦e<0.6、
0≦f<0.1;かつ
nは、混合酸化物に存在する全ての他元素のバランス要件を満たすために必要な酸素原子数であり(但し、混合酸化物中の他元素の1個以上がその最高酸化状態より低い酸化状態で存在できるという条件で)、
a、b、c、d、e及びfは、1モルのMoに対する対応元素のモル比を表す。
他の実施形態では、XがTi、Sn又はそれらの混合物である。
他の実施形態では、LがNd、Ce、又はPrである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
〔発明の詳細な説明〕
本発明は、一般的に飽和若しくは不飽和炭化水素の(アンモ)酸化方法、及びこの方法で使用しうる触媒組成物に関する。該方法は、プロパンからアクリロニトリル及びイソブタンからメタクリロニトリルへのアンモ酸化及び/又はプロパンからアクリル酸及びイソブタンからメタクリル酸への変換(酸化反応による)に有効である。
【0007】
(触媒組成物)
一実施形態では、本発明の方法で使用する触媒組成物は、モリブデン、バナジウム、アンチモン、ニオブ、テルル、必要に応じてチタン、スズ、ゲルマニウム、ジルコニウム、及びハフニウムから成る群より選択される少なくとも1種の元素、並びに必要に応じてランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテチウムから成る群より選択される少なくとも1種のランタニドを含む。この方法で使う触媒組成物は、組成物中の相対的に低レベルのテルルによってさらに特徴づけられるので、一実施形態では、モリブデン対テルルのモル比(Mo:Te)が1:0.001〜1:0.06である。別の実施形態では、モリブデン対テルルのモル比(Mo:Te)が1:0.001〜1:0.05である。本明細書で使用する場合、「…から成る群より選択される少なくとも1種の元素」又は「…から成る群より選択される少なくとも1種のランタニド」は、その範囲内で、それぞれ列挙した元素又はランタニドの2種以上の混合物を包含する。
【0008】
一実施形態では、触媒組成物が下記実験式の混合酸化物を含む。
Mo1VaSbbNbcTedXeLfOn
式中、
Xは、Ti、Sn、Ge、Zr、Hf、及びそれらの混合物から成る群より選択され;
Lは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びそれらの混合物から成る群より選択され;
0.1<a<0.8、
0.01<b<0.6、
0.001<c<0.3、
0.001<d<0.06、
0≦e<0.6、
0≦f<0.1;かつ
nは、混合酸化物に存在する全ての他元素のバランス要件を満たすために必要な酸素原子数であり(但し、混合酸化物中の他元素の1個以上がその最高酸化状態より低い酸化状態で存在できるという条件で)、
a、b、c、d、e及びfは、1モルのMoに対する該対応元素のモル比を表す。
【0009】
一実施形態では、触媒組成物が下記実験式の混合酸化物を含む。
Mo1VaSbbNbcTedXeLfOn
式中、
Xは、Ti、Sn、及びそれらの混合物から成る群より選択され;
Lは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びそれらの混合物から成る群より選択され;
0.1<a<0.8、
0.01<b<0.6、
0.001<c<0.3、
0.001<d<0.06、
0≦e<0.6、
0≦f<0.1;かつ
nは、混合酸化物に存在する全ての他元素のバランス要件を満たすために必要な酸素原子数であり(但し、混合酸化物中の他元素の1個以上がその最高酸化状態より低い酸化状態で存在できるという条件で)、
a、b、c、d、e及びfは、1モルのMoに対する該対応元素のモル比を表す。
【0010】
上記実験式で示した触媒組成物の他の実施形態では、XがTi又はSnの1つである。上記実験式で示した触媒組成物の他の実施形態では、XがTiであり、XがSnであり、XがGeであり、XがZrであり、XがHfである。
上記実験式で示した触媒組成物の他の実施形態では、LがNd、Ce、又はPrの1つである。別の実施形態では、LがNd又はPrの1つである。上記実験式で示した触媒組成物の他の実施形態では、LがLaであり、LがCeであり、LがPrであり、LがNdであり、LがSmであり、LがEuであり、LがGdであり、LがTbであり、LがDyであり、LがHoであり、LがErであり、LがTmであり、LがYbであり、LがLuである。
上記実験式で示した触媒組成物の別の実施形態では、触媒組成物がタンタルを含まない。
上記実験式で示した触媒組成物の他の実施形態では、a、b、c、d、e、及びfがそれぞれ独立に以下の範囲内である:0.1<a、0.2<a、a<0.4、a<0.8、0.01<b、0.1<b、b<0.3、b<0.4、b<0.6、0.001<c、0.01<c、0.02<c、0.03<c、0.04<c、c<0.1、c<0.12 、c<0.15、c<0.2、c<0.3、0.001<d、0.002<d、0.005<d、d<0.025、d≦0.025、d<0.03、d≦0.03、d<0.04、d≦0.04、d<0.05、d≦0.05、d<0.055、d≦0.055、0≦e、0.001<e、0.002<e、e<0.05、e<0.1、e<0.15、e<0.2、e<0.3、e<0.6及び0≦f、0<f、0.001<f、0.002<f、0.003<f、及び0.004<f、f<0.006、f<0.01、f<0.015、f<0.02、f<0.05、f<0.1。
上記実験式で示した触媒組成物の一実施形態では、触媒がさらにリチウムを含み、任意に1種以上の他のアルカリ金属を含んでもよい。この実施形態では、触媒組成物は下記実験式の混合酸化物を含む。
Mo1VaSbbNbcTedXeLfAgLihOn
式中、X、L、a、b、c、d、e、f、及びnは本明細書で前述されており、Aは、Na、K、Cs、Rb及びそれらの混合物の少なくとも1つであり、0≦g<0.1、0≦h<0.1、かつ「g」及び「h」は、1モルのMoに対する対応元素のモル比を表す。上記実験式で示した混合酸化物を含む触媒組成物の他の実施形態では、触媒組成物がNa、K、Cs、Rb又はそれらの混合物を含まない(すなわちgが0に等しい)。上記実験式で示した混合酸化物を含む触媒組成物の他の実施形態では、0<h、0.03<h、h<0.06、h<0.1である。
【0011】
本発明の触媒は担持されていても又は担持されていなくてもよい(すなわち触媒が担体を含んでよく、又はバルク触媒であってもよい)。適切な担体はシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、又はそれらの混合物である。しかし、担体材料としてジルコニア又はチタニアを使用すると、Mo対Zr又はTi比が約1:1〜1:10のように、モリブデン対ジルコニウム又はチタンの比が上式で示した値を超えて高くなる。担体は、典型的に触媒の結合剤として働き、より硬くかつ耐摩耗性が高い触媒をもたらす。しかし、商業利用のためには、活性相(すなわち上記触媒酸化物の複合体)と担体の両方の適切なブレンドが、触媒にとって許容可能な活性と硬度(耐摩耗性)を得るのに役立つ。方向的に、活性相の量のいずれの増加も触媒の硬度を下げる。担体は10〜90質量%の担持触媒を含む。典型的に、担体は40〜60質量%の担持触媒を含む。この発明の一実施形態では、担体が約10質量%程度の少ない担持触媒を含んみうる。この発明の一実施形態では、担体が約30質量%程度の少ない担持触媒を含みうる。この発明の別の実施形態では、担体が約70質量%程度もの担持触媒を含みうる。1種以上のプロモーター元素を含んでよい担体材料、例えばナトリウム(Na)を含むシリカゾルを利用でき、担体材料を介して該プロモーター元素を触媒に組み込むことができる。一実施形態では、担体が低ナトリウムシリカを含む。
【0012】
(触媒の調製)
種々の方法で本発明に有用な触媒を製造することができる。本明細書では、可能な2つの合成法について述べる。第1の合成法はほぼ大気圧下で行われ(以後、非熱水法又は合成と称する)、第2の合成法は高圧下で、典型的にオートクレーブ内で行われる(以後、熱水法又は合成)。非熱水合成法は、その内容を参照によって本明細書に引用したものとするUS6,514,902、US7,087,551、US ,109,144, WO2004/108278及びWO2006/019078に記載されている。
一実施形態では、以下のように非熱水合成で本発明の触媒を調製することができる。七モリブデン酸アンモニウム、メタバナジウム酸アンモニウム及び三酸化二アンチモンを水に添加した後、結果として生じた混合物を少なくとも50℃の温度に加熱することによって、水性混合物(A)を得る。一実施形態では、混合物を撹拌しながら加熱を行う。有利には、水性混合物を70℃より高く、混合物の標準沸点までの範囲の温度まで加熱する。還流冷却管を有する装置を用いて還流させながら加熱を行ってよい。還流させながら加熱する場合、沸点は通常約101℃〜102℃の範囲である。高温を0.5時間以上維持する。加熱温度が低い(例えば、50℃未満)場合、加熱時間を長くする必要がある。加熱温度が80℃〜100℃の範囲の場合、加熱時間は典型的に1〜5時間の範囲である。
有利には、加熱後、シリカゾル及び過酸化水素を水性混合物(A)に加える。過酸化水素を水性混合物(A)に加える場合、過酸化水素の量は、過酸化水素対アンチモン化合物の、アンチモンについてのモル比(H2O2/Sbモル比)が0.01〜20の範囲、0.5〜3の範囲、1〜2.5の範囲となるような量である。過酸化水素の添加後、水性混合物(A)を30℃〜70℃の範囲の温度で30分〜2時間撹拌する。
ニオブ化合物(例えば、ニオブ酸)を水に加えた後、結果として生じた混合物を50℃からほぼ100℃までの範囲の温度に加熱することによって水性液(B)を得る。有利には、水性液(B)は、ニオブ化合物に加えてジカルボン酸(例えば、シュウ酸)を含む。一般的に、ジカルボン酸対ニオブ化合物の、ニオブについてのモル比は1〜4の範囲、有利には2〜4の範囲である。すなわち、この場合、ニオブ酸とシュウ酸を水に加えた後、結果として生じた混合物を加熱及び撹拌することによって水性液(B)を得る。
上記水性液(B)を調製するための有用な方法は以下の工程を含む:(1)水、ジカルボン酸(例えばシュウ酸)及びニオブ化合物(例えばニオブ酸)を混合することによって、予備的ニオブ含有水溶液又は中に前記ニオブ化合物の一部が懸濁しているニオブ含有水性混合物を得る工程;(2)前記予備的ニオブ含有水溶液又はニオブ含有水性混合物を冷却することによって、前記ジカルボン酸の一部を沈殿させる工程;及び(3)沈殿したジカルボン酸を前記予備的ニオブ含有水溶液から除去するか、又は沈殿したジカルボン酸と懸濁しているニオブ化合物をニオブ含有水性混合物から除去することによって、ニオブ含有水性液(B)を得る工程。上記方法で得られた水性液(B)は、ジカルボン酸/ニオブのモル比が通常約2〜4の範囲内である。
【0013】
特に有用なジカルボン酸はシュウ酸であり、この方法の工程(1)で有用なニオブ化合物としてはニオブ酸、シュウ酸水素ニオブ及びシュウ酸ニオブアンモニウムが挙げられる。固体、混合物、又は適切な媒体中の分散系の形態でこれらのニオブ化合物を使用できる。ニオブ化合物としてシュウ酸水素ニオブ又はシュウ酸ニオブアンモニウムのどちらかを使用する場合、ジカルボン酸を使用しなくてもよい。ニオブ化合物としてニオブ酸を使用する場合、ニオブ酸の製造中に混入したかもしれない酸性不純物を除去するため、使用前にニオブ酸をアンモニア水溶液及び/又は水で洗浄してよい。一実施形態では、ニオブ化合物として、調製したてのニオブ化合物を使用できる。しかし、上記方法では、長期貯蔵などの結果としてわずかに変性した(例えば脱水によって)ニオブ化合物を使用することができる。この方法の工程(1)では、小量のアンモニア水の添加又は加熱によってニオブ化合物の溶解を促進することができる。
予備的ニオブ含有水溶液又は水性混合物中のニオブ化合物の濃度(ニオブについて)を、0.2〜0.8mol/1kgの溶液又は混合物の範囲内で維持することができる。一実施形態では、ジカルボン酸対ニオブ化合物の、ニオブについてのモル比が約3〜6になるような量でジカルボン酸を使用することができる。過剰量のジカルボン酸を使用すると、ジカルボン酸の水溶液に多量のニオブ化合物が溶解しうるが、得られた予備的ニオブ含有水溶液又は混合物を冷却することによって沈殿させられるジカルボン酸の量が多くなり過ぎ、ひいてはジカルボン酸の利用を減らすという点で不利益が生じる可能性がある。他方で、不十分な量のジカルボン酸を使用すると、多量のニオブ化合物が溶解しないまま残り、ジカルボン酸の水溶液中で懸濁して混合物を形成し、この懸濁しているニオブ化合物が水性混合物から除去されるので、ニオブ化合物の利用を減らすという点で不利益が生じる可能性がある。
【0014】
工程(2)では、いずれの冷却方法を使用してもよい。例えば、単に氷浴を用いて冷却を達成することができる。
工程(3)では、沈殿したジカルボン酸(又は沈殿したジカルボン酸と分散しているニオブ化合物)の除去を常法で、例えば、デカンテーション又はろ過によって容易に行うことができる。
得られたニオブ含有水溶液のジカルボン酸/ニオブのモル比が約2〜4の範囲外である場合、溶液のジカルボン酸/ニオブのモル比が上記範囲内に入るように、ニオブ化合物又はジカルボン酸を水性液(B)に加えてよい。しかし、一般に、ニオブ化合物の濃度、ジカルボン酸とニオブ化合物の比及び上記予備的ニオブ含有水溶液又は水性混合物の冷却温度を適切に制御することによって、2〜4の範囲内のジカルボン酸/ニオブのモル比を有する水性液(B)を調製できるので、このような操作は必要ない。
さらなる成分を含む水性液(B)を調製してもよい。例えば、ニオブ化合物を含むか又はニオブ化合物とジカルボン酸の混合物を含む水性液(B)の少なくとも一部を過酸化水素と共に使用する。この場合、過酸化水素の量は、過酸化水素対ニオブ化合物の、ニオブについてのモル比(H2O2/Nbモル比)が0.5〜20、1〜20の範囲であるような量が有利である。
【0015】
別の例では、ニオブ化合物を含むか若しくはニオブ化合物とジカルボン酸の混合物を含む水性液(B)の少なくとも一部、又は過酸化水素とのその混合物が、さらにアンチモン化合物(例えば三酸化二アンチモン)、チタン化合物(例えば、ルチル形とアナターゼ形の混合物でよい二酸化チタン)及び/又はセリウム化合物(例えば酢酸セリウム)を含む。この場合、過酸化水素の量は、過酸化水素対ニオブ化合物の、ニオブについてのモル比(H2O2/Nbモル比)が0.5〜20、1〜20の範囲であるような量である。別の例では、水性液(B)の少なくとも一部及び過酸化水素と混合するアンチモン化合物は、アンチモン化合物対ニオブ化合物の、アンチモンについてとニオブについてのモル比(Sb/Nbモル比)が5以下、0.01〜2の範囲であるような量である。
触媒の所望組成に従って適切な比で水性混合物(A)と水性液(B)を一緒に混合することによって、典型的にスラリーの形態で、成分の水性混合物を与える。水性混合物中の成分の含量は、一般に約50質量%より多く、70〜95質量%、75〜90質量%の範囲である。
本発明のシリカ担体に担持された触媒を製造する場合、水性原材料混合物は、シリカ源(すなわち、シリカゾル又はヒュームドシリカ)を含むように調製される。得る予定の触媒中のシリカ担体の量に従ってシリカ源の量を適宜調整することができる。
【0016】
(乾燥工程)
成分の水性混合物を乾燥させることによって、乾燥触媒前駆体を準備する。噴霧乾燥又は蒸発乾燥などの常法によって乾燥を行ってよい。微細な球状の乾燥触媒前駆体が得られるので、噴霧乾燥が特に有用である。遠心分離、二相流ノズル法又は高圧ノズル法によって、噴霧乾燥を行うことができる。一実施形態は、乾燥用熱源として、水蒸気、電熱器などで加熱された空気を使用する。一実施形態は、噴霧乾燥器の入口温度からその乾燥器部分の温度が150℃〜300℃である。
【0017】
(焼成工程)
焼成によって、乾燥触媒前駆体を混合金属酸化物触媒に変換する。回転炉、流動床炉、流動床反応器、固定床反応器などを用いて焼成を行うことができる。生じた触媒の比表面積が約5m2/g〜約35m2/g、約15m2/g〜約20m2/gとなるように、焼成条件を予め選択する。焼成は乾燥触媒前駆体を約600〜680℃の範囲の最終温度まで加熱する工程を含む。
本発明では、焼成プロセスは、乾燥触媒前駆体を連続的又は間欠的に15℃/分より速い速度で加熱して、200℃未満の温度から、約400℃以下、約350℃以下、約300℃以下の予備焼成温度まで上昇させる工程を含む。一実施形態では、予備焼成温度が300℃である。一実施形態では、加熱速度が約20℃/分である。別の実施形態では、加熱速度が約25℃/分である。別の実施形態では、加熱速度が約30℃/分である。さらに別の実施形態では、約300℃又は300℃よりわずかに高い温度で維持した高温焼成炉中に乾燥触媒前駆体を導入して、前駆体の温度を急速に約300℃に上昇させる。
予備焼成温度から最終温度までの加熱速度は約0.5℃/分、1℃/分、2℃/分若しくは5℃/分又は0.5〜5℃/分の範囲のいずれの速度でもよい。一実施形態では、約300℃から中間温度までの温度範囲の加熱速度が約1℃/分であり、中間温度から最終温度までは、加熱速度が15℃/分より速く、又は20℃/分以上、又は25℃/分以上、又は30℃/分以上である。別の実施形態では、中間温度に達した後、固体を冷却してから約15℃/分より速いか、又は20℃/分以上、又は25℃/分以上、又は30℃/分以上の加熱速度で最終温度まで加熱することができる。
本発明の一実施形態では、(1)中間又は予備焼成温度まで及び(2)中間又は予備焼成温度から最終温度までの2焼成段階で焼成を行う。一実施形態では、段階(1)の焼成からの、必要に応じて冷却した固体を、ほぼ最終温度に等しい温度で維持した高温焼成炉中に導入して、前駆体の温度を急速に最終温度まで上昇させる。
一実施形態では、約300℃から約340〜350℃、345℃までの温度範囲の加熱速度が約0.5℃/分若しくは1℃/分若しくは約2℃/分若しくは約5℃/分又は0.5〜5℃/分の範囲のいずれかの温度である。一実施形態では、固体を300〜400℃の範囲、340〜350℃の範囲の温度、345℃で約1〜4時間維持する。一実施形態では、固体を345〜680℃の温度範囲内で2.45℃/分の速度にて加熱する。
最終温度に達したら、固体をその温度で約1時間〜約3時間、約2時間維持してよい。最終温度は600℃、610℃、620℃、630℃、640℃、650℃、660℃、670℃、及び680℃又は600〜680℃の範囲のいずれかの温度であってよい。一実施形態では、固体を0.5℃/分の速度で約600℃〜約680℃に加熱する。一実施形態では、固体を1℃/分の速度で約600℃〜約680℃に加熱する。
【0018】
空中又は空気流下で焼成を行うことができる。しかし、焼成の少なくとも一部は、実質的に酸素がない窒素ガス等のガスの雰囲気内(例えば、ガス流下)で行われる。本発明は、不活性ガスを使用することを想定する。不活性ガスは希ガスを含んでよい。ガスは窒素を含んでよい。ガスは、空気、水蒸気、過熱水蒸気、一酸化炭素、及び二酸化炭素から選択したものを含んでよい。本発明の一実施形態では、(1)約400〜450℃まで及び(2)400〜450℃より高い両温度範囲で、実質的に酸素がない窒素ガス流下で焼成を行うことができる。本発明の別の実施形態では、(1)約400〜450℃までの温度範囲では空気流下で焼成を行い、(2)400〜450℃より高い温度範囲では実質的に酸素がない窒素ガス流下で焼成を行うことができる。特に(1)約400〜450℃までの温度範囲ではガスの流速が重大な意味をもつことがある。ガスの流速は、触媒前駆体1g当たり毎分約0.67〜約2.5sccmの範囲でありうる。
一実施形態では、1フィート(30cm)の垂直管内で窒素下にて2段階で触媒前駆体を焼成する。装填した1フィート(30cm)の垂直管の温度を約1.2℃/分の速度で345℃まで上昇させた後、温度を345℃で4時間維持する。第2工程では、約2.3℃/分の速度で温度をさらに640℃の温度まで上昇させた。640℃で2時間維持した後、焼成が完了する。
【0019】
(テルルの組入れ)
水性混合物(A)、水性混合物(B)、又は水性混合物(A)と水性混合物(B)の混合物のいずれか1つにテルル源化合物を添加することによって触媒にテルルを組み入れてよい。一実施形態では、含浸によってテルルを触媒に添加しうる。一実施形態では、この出願で述べた方法で調製した焼成触媒を、Te(OH)6と水の溶液と接触させることによって、含浸を行う。触媒が初期濡れ状態(point of incipient wetness)に達して、触媒表面上にモリブデン1モル当たり所望レベルのテルルを備えた触媒をもたらすまで、この溶液を撹拌しながら触媒に加える。次いで、典型的に触媒を90℃のオーブン内に一晩置いて空中乾燥させることによって、触媒を乾燥させる。次に、乾燥含浸材料を典型的に窒素下で450℃にて2時間の熱処理に供する。
【0020】
(熱水合成法)
一実施形態では、本明細書で述べる触媒組成物を熱水合成法で調製することができる。熱水合成法は、その内容を参照によって本明細書に引用したものとするGaffneyらの米国特許出願第2003/0004379号、Watanabeら、「プロパンアンモ酸化用Mo-V-Nb-Te混合酸化物触媒の新合成経路(New Synthesis Route for Mo-V-Nb-Te mixed oxides catalyst for propane ammoxidation)」、Applied Catalysis A: General、194-195、479〜485ページ(2000)、及びUedaら、「熱水合成したMo-V-M-O(M=Al、Ga、Bi、Sb及びTe)酸化物触媒上の低級アルカンの選択的酸化(Selective Oxidation of Light Alkanes over hydrothermally synthesized Mo-V-M-O (M=Al, Ga, Bi, Sb and Te) oxide catalysts)」、Applied Catalysis A: General、200、135〜145ページに開示されている。
一般に、原料化合物(すなわち、混合金属酸化物触媒組成物の1種以上の金属を含み、及び/又は与える化合物)を水溶液中で混合して反応媒体を形成し、この反応媒体をシール反応容器内で、混合金属酸化物を形成するのに十分な時間、高圧及び高温で反応させる、熱水合成によって、本明細書で述べる触媒組成物を調製することができる。一実施形態では、反応媒体中に存在するいずれの有機化合物、例えば、触媒の調製で使用された溶媒又は触媒組成物の混合金属酸化物成分を供給するいずれかの原料化合物と共に添加されたいずれの有機化合物をも完全に反応させるのに十分な時間、熱水合成を続ける。この実施形態は、混合金属酸化物触媒の取扱い及び処理過程をさらに簡単にする。
シール反応容器内で100℃より高温及び周囲圧力より高圧にて原料化合物を反応させて混合金属酸化物前駆体を形成する。一実施形態では、原料化合物をシール反応容器内で少なくとも約125℃の温度にて、別の実施形態では少なくとも約150℃の温度にて、さらに別の実施形態では少なくとも約175℃の温度にて反応させる。一実施形態では、原料化合物をシール反応容器内で少なくとも約25psig(0.17MPag)の圧力にて、別の実施形態では少なくとも約50psig(0.34MPag)の圧力にて、さらに別の実施形態では少なくとも約100psig(0.69MPag)の圧力にて反応させる。このようなシール反応容器は、容器を過剰加圧するのを避け、及び/又は反応圧を調節するための圧力制御装置を備えうる。
【0021】
1以上の実施形態では、反応工程中、原料化合物を混合する工程を含むプロトコルで原料化合物を反応させる。個々の混合メカニズムは重要でなく、反応中いずれの有効な方法によっても成分を混合する(例えば、撹拌するか又は振り混ぜる)ことを包含しうる。該方法として、例えば、成分含有反応容器を振とうさせ、回転させ、又は振動させることによって、反応容器の中身を振り混ぜる方法が挙げられる。また、該方法として、例えば、反応容器内の少なくとも一部に設置された撹拌部材と、この撹拌部材又は反応容器に連結された駆動力とを用いて、撹拌部材と反応容器との間に相対運動をもたらすことによって撹拌する方法が挙げられる。撹拌部材は軸駆動型及び/又は軸支持型撹拌部材であってよい。駆動力を撹拌部材に直接連結するか又は撹拌部材に間接的に連結することができる。混合工程では一般的に反応媒体の成分間で有効な反応ができるように十分に混合して、未混合反応媒体に比し、より均質な反応媒体を形成する(及び例えば、より均質な混合金属酸化物前駆体をもたらす)。この結果、出発原料をより有効に消費することとなり、より均一な混合金属酸化物生成物をもたらす。また、反応工程中に反応媒体を混合すると、反応容器の側面よりはむしろ溶液中に混合金属酸化物生成物を形成させる。このことが、遠心分離、デカンテーション、又はろ過などの手法による混合金属酸化物生成物のより便利な回収と分離を可能にし、かつ生成物の大半を反応容器の側面から回収する必要を回避する。さらに有利には、溶液中に混合金属酸化物を形成させると、反応壁から粒子の成長が起こる場合の粒子の限定された露出面というよりはむしろ粒子の全面における粒子の成長を可能にする。
反応容器内にいくらかのヘッドスペースを維持することが一般的に望ましい。ヘッドスペースの量は、容器のデザイン及び反応混合物を撹拌する場合に使用する撹拌のタイプによって決まりうる。例えば、オーバーヘッド型撹拌反応容器は50%のヘッドスペースを取りうる。典型的に、ヘッドスペースは、反応にいくらかの量の酸素を供給する周囲空気で満たされる。しかし、技術上周知なように、ヘッドスペースはO2のような反応物質を供給する他のガスで満たされてもよく、或いはAr又はN2などの不活性雰囲気で満たされてもよい。ヘッドスペース及びヘッドスペース内のガスの量は、技術上周知なように所望の反応によって決まる。
【0022】
シール反応容器内で約4以下の初期pHにて原料化合物を反応させることができる。熱水合成の過程にわたって、反応混合物のpHは変化しうるので、反応混合物の最終pHは、初期pHより高い場合も低い場合もある。1以上の実施形態では、シール反応容器内で約3.5以下のpHにて原料化合物を反応させる。いくつかの実施形態では、シール反応容器内で約3.0以下、約2.5以下、約2.0以下、約1.5以下又は約1.0以下、約0.5以下又は約0以下のpHにて成分を反応させることができる。1以上の実施形態では、pHは約0〜約4の範囲であり、他の実施形態では、約0.5〜約3.5の範囲である。いくつかの実施形態では、pHは約0.7〜約3.3、又は約1〜約3の範囲であってよい。反応混合物に酸又は塩基を加えることによってpHを調整することができる。
【0023】
シール反応容器内で前記反応条件(例えば、上述したように、反応温度、反応圧力、pH、撹拌などが挙げられる)にて、混合金属酸化物を形成するのに十分な時間、原料化合物を反応させることができる。1以上の実施形態では、混合金属酸化物は、上述したように必要元素を含むソリッドステート溶液を構成し、ある実施形態では、混合金属酸化物の少なくとも一部が、後述するように、活性かつ選択的なプロパン若しくはイソブタンの酸化及び/又はアンモ酸化触媒に必要な結晶構造を含む。正確な時間は厳密には重要でなく、例えば少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約30時間、少なくとも約36時間、少なくとも約42時間、少なくとも約48時間、少なくとも約54時間、少なくとも約60時間、少なくとも約66時間又は少なくとも約72時間であってよい。反応時間が3日を超えてもよく、例えば少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約2週間又は少なくとも約3週間又は少なくとも約1ヶ月が挙げられる。
【0024】
反応工程の後に、触媒調製法のさらなる工程が仕上げ工程を含んでよく、例えば、混合金属酸化物を含む反応媒体を冷却する工程(例えば、ほぼ周囲温度に)、混合金属酸化物を含む固体粒子を液体から分離する工程(例えば、遠心分離するか及び/又は上澄みをデカントするか、或いはろ過することによって)、分離された固体粒子を洗浄する工程(例えば、蒸留水又は脱イオン水を用いて)、分離工程と洗浄工程を1回以上繰り返す工程、及び最終分離工程を達成する工程が挙げられる。一実施形態では、仕上げ工程は、例えば回転式エバポレーション、噴霧乾燥、凍結乾燥などによって反応媒体を乾燥させる工程を含む。これが金属含有廃棄物ストリームの形成を排除する。
仕上げ工程後、洗浄及び分離された混合金属酸化物を乾燥させてよい。混合金属酸化物を乾燥させる工程は、周囲条件下で(例えば、大気圧で約25℃の温度にて)、及び/又はオーブン内で行ってよい。1以上の実施形態では、約40℃〜約150℃の範囲の温度で、一実施形態では約120℃の温度で、約5〜約15時間の範囲の大体の乾燥時間にわたって、一実施形態では12時間、混合金属酸化物を乾燥させてよい。制御又は無制御雰囲気下で乾燥を行うことができ、乾燥雰囲気は、不活性ガス、酸化力のあるガス、還元性ガス又は空気であってよい。1以上の実施形態では、乾燥雰囲気は空気を含む。
さらなる調製工程として、乾燥混合金属酸化物を処理して混合金属酸化物触媒を形成できる。該処理として、例えば種々の処理雰囲気下で行われる焼成(例えば、酸化又は還元条件下での熱処理を含む)が挙げられる。該処理の前、及び/又は該前処理中に間欠的に、仕上げ混合金属酸化物を破砕又は粉砕することができる。1以上の実施形態では、乾燥混合金属酸化物を必要に応じて破砕してから焼成して混合金属酸化物触媒を形成する。窒素などの不活性雰囲気内で焼成を行ってよい。1以上の実施形態では、約400℃〜約700℃、ある実施形態では、約500℃〜約650℃の範囲の温度が焼成条件に含まれ、いくつかの実施形態では、約600℃で焼成を行うことができる。
【0025】
処理された(例えば、焼成された)混合金属酸化物をさらに機械的に処理して、例えば混合金属酸化物を粉砕、篩い分け及び圧縮することによって、固定床又は流動床反応器内で使うためその最終形態にすることがでる。技術上周知なように、ジャーミリング(jar milling)、ビードビーティング(bead beating)等を含む種々の方法を利用して粉砕工程を達成しうる。サンプルの大きさ及び触媒の組成によって最適の粉砕条件を選択しうる。一実施形態では、約2gの非担持触媒をビードビーター(beater)内で約2〜約15分間粉砕してよい。
1以上の実施形態では、いずれもの焼成又は他の熱処理前に触媒をその最終形態に成形することができる。例えば、固定床触媒の調製では、典型的に焼成前に触媒前駆体スラリーを高温で加熱することによって乾燥させてから、所望の固定床触媒の大きさと構造に成形(例えば、押出し、ペレット化など)する。同様に、流動床触媒の調製では、触媒前駆体スラリーを噴霧乾燥させて、粒径が10〜200μmの範囲の微小扁球形(microspheroidal)触媒粒子を得てから焼成してよい。
本明細書で述べる触媒調製法では、種々の合成法で使用する金属成分を含有及び供給する原料化合物(本明細書では「源」と称することもある)を金属塩の水溶液として反応容器に供給することができる。金属成分の原料化合物を固体として又は非水性溶媒に固体粒子が分散しているスラリーとして反応容器に供給できる場合もある。金属成分の原料化合物を固体として又は非水性溶媒若しくは他の非水性媒体に固体粒子が分散しているスラリーとして反応容器に供給できる場合もある。
本明細書で述べる触媒の合成に適した原料化合物として以下のものが挙げられる。好適なモリブデン源としては酸化モリブデン(VI)(MoO3)、七モリブデン酸アンモニウム又はモリブデン酸が挙げられる。好適なバナジウム源としては硫酸バナジル、メタバナジウム酸アンモニウム又は酸化バナジウム(V)が挙げられる。好適なアンチモン源としては酸化アンチモン(III)、酢酸アンチモン(III)、シュウ酸アンチモン(III)、酸化アンチモン(V)、硫酸アンチモン(III)、又は酒石酸アンチモン(III)が挙げられる。好適なニオブ源としてはシュウ酸ニオブ、シュウ酸ニオブアンモニウム、酸化ニオブ、ニオブエトキシド又はニオブ酸が挙げられる。
好適なテルル源としてはテルル酸、二酸化テルル、三酸化テルル、又は有機テルル化合物、例えばメチルテルロール及びジメチルテルロールが挙げられる。
好適なチタン源としてはルチル型及び/又はアナターゼ型二酸化チタン(TiO2)、例えばDegussa P-25、チタンイソプロポキシド、TiO(オキサラート)、TiO(アセチルアセトナート)2、又はチタンアルコキシド錯体、例えばTyzor 131が挙げられる。好適なスズ源としては酢酸スズ(II)が挙げられる。好適なゲルマニウム源としては酸化ゲルマニウム(IV)が挙げられる。好適なジルコニウム源としては硝酸ジルコニル又は酸化ジルコニウム(IV)が挙げられる。好適なハフニウム源としては塩化ハフニウム(IV)又は酸化ハフニウム(IV)が挙げられる。
【0026】
好適なランタン源としては塩化ランタン(III)又は酸化ランタン(III)、及び酢酸ランタン(III)水和物が挙げられる。好適なセリウム源としては酢酸セリウム(III)水和物が挙げられる。好適なプラセオジム源としては塩化プラセオジム(III)、酸化プラセオジム(III、IV)又はプラセオジム(III)イソプロポキシド、及び酢酸プラセオジム(III)水和物が挙げられる。好適なネオジム源としては塩化ネオジム(III)、酸化ネオジム(III)又はネオジム(III)イソプロポキシド、及び酢酸ネオジム(III)水和物が挙げられる。好適なサマリウム源としては塩化サマリウム(III)、酸化サマリウム(III)又はサマリウム(III)イソプロポキシド、及び酢酸サマリウム(III)水和物が挙げられる。好適なユウロピウム源としては塩化ユウロピウム(II)、塩化ユウロピウム(III)又は酸化ユウロピウム(III)、及び酢酸ユウロピウム(III)水和物が挙げられる。好適なガドリニウム源としては塩化ガドリニウム(III)又は酸化ガドリニウム(III)、及び酢酸ガドリニウム(III)水和物が挙げられる。好適なテルビウム源としては塩化テルビウム(III)又は酸化テルビウム(III)、及び酢酸テルビウム(III)水和物が挙げられる。好適なジスプロシウム源としては塩化ジスプロシウム(III)、酸化ジスプロシウム(III)又はジスプロシウム(III)イソプロポキシド、及び酢酸ジスプロシウム(III)水和物が挙げられる。好適なホルミウム源としては塩化ホルミウム(III)、酸化ホルミウム(III)又は酢酸ホルミウム(III)水和物が挙げられる。好適なエルビウム源としては塩化エルビウム(III)、酸化エルビウム(III)又はエルビウム(III)イソプロポキシド、及び酢酸エルビウム(III)水和物が挙げられる。好適なツリウム源としては塩化ツリウム(III)又は酸化ツリウム(III)、及び酢酸ツリウム(III)水和物が挙げられる。好適なイッテルビウム源としては塩化イッテルビウム(III)、酸化イッテルビウム(III)又はイッテルビウム(III)イソプロポキシド、及び酢酸イッテルビウム(III)水和物が挙げられる。好適なルテチウム源としては塩化ルテチウム(III)又は酸化ルテチウム(III)、及び酢酸ルテチウム(III)水和物が挙げられる。上記金属の硝酸塩も原料化合物として利用することができる。
【0027】
本発明の混合金属酸化物を調製するために使用しうる溶媒としては、限定するものではないが、水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ジオール(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等)、有機酸、例えば酢酸、並びに技術上周知の他の極性溶媒が挙げられる。1以上の実施形態では、金属源化合物は少なくとも反応温度及び圧力で、少なくとも部分的に溶媒に可溶性であり、ある実施形態では、金属源化合物は溶媒にわずかに溶ける。1以上の実施形態では、水が溶媒である。化学合成で使うのに適したいずれの水も使用できる。必要なわけではないが、水を蒸留及び/又は脱イオン化してよい。
反応媒体中の水性溶媒の量は、組み合わせて特定の混合金属酸化物を形成する原料化合物の溶解度によって変化しうる。水性溶媒の量は、少なくとも反応物質のスラリー(撹拌することができる固体と液体の混合物)を得るのに十分な量でなければならない。混合金属酸化物の熱水合成では反応容器内に一定量のヘッドスペースを残すのが一般的である。
【0028】
当業者は上記方法についての変形を認識するであろう。例えば下記実験式
MoV0.1-0.3Sb0.1-0.3Nb0.03-0.15Te0.01-0.03Ti0.05-0.25LeOn
(式中、LはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びそれらの混合物であり、「e」は0より大きく、約0.02未満であり、「n」は、他元素の酸化状態によって決まる)を有する本明細書で述べる触媒を調製する方法は、触媒の原料化合物の溶液又はスラリーを調製する工程を含む。あるスラリー又は第1のスラリーでは、三酸化モリブデン(MoO3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、テルル酸(Te(OH)6)、二酸化チタン(TiO2)、及び少なくとも1種の「L」源化合物を所望比で水に溶解/スラリー化する(全ての比はモリブデン金属に対してである)。別の又は第2の溶液若しくはスラリーでは、オキシ硫酸バナジウム(VOSO4)を水に溶解/スラリー化する。これとは別の実施形態では、オキシ硫酸バナジウムを固体として加えてよい。別の又は第3の溶液若しくはスラリーでは、ニオブ酸(Nb2O5・nH2O)をシュウ酸(HO2CCO2H)と混合する。一連のシュウ酸:ニオブのモル比を利用しうる。一実施形態では、シュウ酸:ニオブのモル比が約3:1である。これら3つの溶液/スラリーを相互に混ぜ合わせ、混合しながら175℃に加熱し、この温度で67時間維持してから、典型的には自然の放熱によって室温に冷ます。冷めたスラリーをろ過して母液を除去し、残留固体を洗浄してから乾燥させ、次に窒素下で600℃にて焼成して触媒を活性化する。焼成触媒を粉砕してからペレット化し、寸法を合わせ、或いは試験及び/又は最終利用のために噴霧乾燥させる。
【0029】
(アンモ酸化及び酸化反応によるプロパン及びイソブタンの変換)
1以上の実施形態では、気相流反応器内で1種以上の上記触媒を準備し、酸素(例えば、酸素含有ガス、典型的には例えば空気を含む供給ストリーム内の反応ゾーンに与えられる)及びアンモニアの存在下、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルを形成するのに有効な反応条件下で前記触媒をプロパン又はイソブタンと接触させることによって、プロパンをアクリロニトリルに変換し、及び/又はイソブタンをメタクリロニトリルに変換する。特定の実施形態では、供給ストリームがプロパン又はイソブタン、酸素含有ガス、例えば空気、及びアンモニアを以下のモル比で含む。1以上の実施形態では、プロパン又はイソブタン対酸素のモル比が約0.125〜約5であり、他の実施形態では約0.25〜約4であり、さらに他の実施形態では、約0.5〜約3.5である。1以上の実施形態では、プロパン又はイソブタン対アンモニアのモル比が約0.3〜約2.5であり、他の実施形態では約0.5〜約2.0である。供給ストリームは、1種以上のさらなる供給成分、例えばアクリロニトリル又はメタクリロニトリル生成物(例えば、再循環ストリーム又は多段階反応器の早期段階からの)、及び/又は水蒸気を含んでもよい。例えば、供給ストリームは、該供給ストリームの総量に対して質量で、又は該供給ストリーム中のプロパン若しくはイソブタンの量に対してモルで、約5%〜約30%の1種以上のさらなる供給成分を含むことができる。一実施形態では、ワンススルー法で、すなわち、回収したが未反応の供給原料を再循環せずに、プロパンからアクリロニトリルへのアンモ酸化で本明細書で述べる触媒組成物を利用する。
【0030】
気相流反応器内で1種以上の上記触媒を準備し、酸素の存在下(例えば、酸素含有ガス、典型的には例えば空気を含む供給ストリーム内の反応ゾーンに与えられる)、アクリル酸を形成するのに有効な反応条件下で前記触媒をプロパン又はイソブタンと接触させることによって、プロパンをアクリル酸に変換し、イソブタンをメタクリル酸に変換することもできる。この反応用の供給ストリームは、好ましくはプロパン又はイソブタンと酸素含有ガス、例えば空気を、プロパン又はイソブタン対酸素のモル比が約0.15〜約5、好ましくは約2.5〜約2の範囲で含む。供給ストリームが1種以上のさらなる供給成分、例えばアクリル酸又はメタクリル酸生成物(例えば、再循環ストリーム又は多段階反応器の早期段階からの)、及び/又は水蒸気を含んでもよい。例えば、供給ストリームは該供給ストリームの総量に対して質量で、又は該供給ストリーム中のプロパン若しくはイソブタンの量に対してモルで、約5%〜約30%の1種以上のさらなる供給成分を含むことができる。
気相流反応器の特有のデザインは厳密には重要でない。従って、気相流反応器は固定床反応器、流動床反応器、又は別の型の反応器であってよい。反応器は単一反応器であってよく、又は多段階反応器システム中の1つの反応器であってもよい。1以上の実施形態では、反応器は、反応器の反応ゾーンに反応物質供給ストリームを供給するための1つ以上の供給入口と、混合金属酸化物触媒を含む反応ゾーンと、反応生成物及び未反応反応物質を排出するための出口とを含む。
【0031】
反応条件を制御して、プロパンをアクリロニトリル又はアクリル酸に変換するため、又はイソブタンをメタクリロニトリル又はメタクリル酸に変換するために有効にする。通常、反応条件には約300℃〜約550℃の範囲の温度が含まれ、1以上の実施形態では約325℃〜約500℃、いくつかの実施形態では約350℃〜約450℃、他の実施形態では約430℃〜約520℃の範囲の温度が含まれる。反応ゾーンの圧力を約0psig(0MPag)〜約200psig(1.38MPag)、1以上の実施形態では約0psig(0MPag)〜約100psig(0.69MPag)、いくつかの実施形態では約0psig(0MPag)〜約50psig(0.34MPag)の範囲に制御できる。
通常、気相流反応器の反応ゾーンを通るプロパン又はイソブタン含有供給ストリームの流速を制御して、約0.02〜約5、いくつかの実施形態では約0.05〜約1、他の実施形態では約0.1〜約0.5の範囲の重量毎時空間速度(WHSV)(各場合、例えば、プロパン又はイソブタンのグラム数対触媒のグラム数で)を与えることができる。1以上の実施形態では、WHSVが少なくとも約0.1、他の実施形態では少なくとも約0.15、さらに他の実施形態では少なくとも約0.2の場合に有利な触媒性能が見られる。
【0032】
結果として生じたアクリロニトリル及び/又はアクリル酸及び/又はメタクリロニトリル及び/又はメタクリル酸生成物を、所望により、技術上周知の方法に従って他の副生成物及び/又は未反応反応物質から単離することができる。
本発明の1以上の実施形態は、プロパンの単一流路(すなわち再循環せず)アンモ酸化で利用する場合、少なくとも約75%のアクリロニトリルという収率をもたらすことができる。本発明の特定の実施形態は、プロパンの単一流路(すなわち再循環せず)アンモ酸化で利用する場合、少なくとも約59%のアクリロニトリルという収率をもたらすことができる。本発明の他の実施形態は、プロパンの単一流路(すなわち再循環せず)アンモ酸化で利用する場合、少なくとも約61%のアクリロニトリルという収率をもたらすことができる。反応器の流出物は、COx(二酸化炭素+一酸化炭素)、シアン化水素(HCN)、アセトニトリル又はシアン化メチル(CH3CN)、未反応酸素(O2)、アンモニア(NH3)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、及び同伴触媒微粉をも含みうる。
有利には、本発明の触媒組成物は、上述した条件下で調製及び試験する場合に活性相からのテルルの観察できる如何なる損失をも示さないという点で文献に記載されているテルル含有触媒と異なる。例えば、1以上の実施形態では、本発明の触媒組成物を窒素下で約600℃の温度にて約2時間焼成する場合、焼成容器又は焼成炉内で何ら観察できるテルル沈着物が形成されない。本発明の触媒組成物は、他のテルル含有触媒に比べて向上した安定性を示す。この向上した安定性のため、操業中の時間(time on-stream)とともに触媒性能が劣化することが少なく、触媒がより高い空間速度で良い性能を維持することもできる。
【0033】
(特有の実施形態)
本発明を実証するため、混合金属酸化物触媒を調製してから種々の反応条件下で評価した。以下に示す組成は、触媒調製で添加された全金属に基づく公称組成である。金属が損失することもあり、或いは触媒調製中に完全には反応しないこともあるので、完成触媒の実際の組成は、以下に示す公称組成からわずかに変化しうる。
【0034】
実施例#1−Mo1V0.3Sb0.175Nb0.06Te0.02Ti0.1Nd0.005On
125mLのテフロン(登録商標)反応器ライナーにMoO3(8.0g)、Sb2O3(1.418g)、TiO2(0.444g)、Te(OH)6(0.255g)、及びNd(OAc)3(2.78mLの0.1M溶液)及び水(10mL)を装填した。この実施例及びいくつかの続く実施例で使用する場合、「(OAc)3」は、ランタニドと称する金属のアセタート水和物を示す。混合物を約5分間混合した後、VOSO4(16.67mLの1M溶液)及びシュウ酸ニオブ(オキサラート対ニオブのモル比が約3/1である0.451M溶液7.39mL)を導入した。水を加えて反応器ライナー内で約80%の充填体積を得た。次に反応器を金属ハウジング内でテフロン(登録商標)キャップにてシールし、175℃に予備加熱したオーブン内に置き、連続的に回転させて液体及び固体試薬の混合を達成した。67時間後、反応器を冷却してテフロン(登録商標)ライナーをハウジングから取り外した。生成物スラリーを2分間撹拌してから、ガラスフリットを用いて真空ろ過し、3回に分けて200mLの水を添加して洗浄した。湿った固体を次に空中で120℃にて12時間乾燥させた。結果として生じた固体材料を破砕し、N2下で600℃にて2時間焼成した。次に固体を粉砕し、圧縮し、145〜355μmの粒径範囲に篩い分けし、触媒性能について試験した。この材料は公称組成Mo1V0.3Sb0.175Nb0.06Te0.02Ti0.1Nd0.005Onを有する。
この材料をプロパンからアクリロニトリルへの不均一アンモ酸化用の触媒として試験した。420℃、WHSV=0.2及び供給比C3H8/NH3/O2/He=1/1.2/3/12で、アクリロニトリルの収率61%を得た(プロパンの転化率89%、アクリロニトリルの選択性68%)。
【0035】
実施例#2−Mo1V0.3Sb0.18Nb0.08Te0.02Ti0.1Li0.016Nd0.005On
第1の材料を以下のように調製した。23mLのテフロン(登録商標)反応器ライナーにMoO3(1.152g)、VOSO4(2.30mLの1.04M溶液)、シュウ酸ニオブ(オキサラート対ニオブのモル比が約3/1である0.40M溶液1.60mL)、Sb2O3(2.93mLの0.49Mスラリー)、TiO2(2.85mLの0.28Mスラリー)、Li(OAc)(1.00mLの0.40M溶液)、Te(OH)6(0.80mLの0.20M溶液)、及びNd(OAc)3(1.00mLの0.04M溶液)を装填した。水を加えて反応器ライナー内で約60%の充填体積を得た。次に反応器を金属ハウジング内でテフロン(登録商標)キャップにてシールし、175℃に予備加熱したオーブン内に置き、連続的に回転させて液体及び固体試薬の混合を達成した。48時間後、反応器を冷却し、テフロン(登録商標)ライナーをハウジングから取り外した。生成物スラリーを2分間撹拌してから、ガラスフリットを用いて真空ろ過し、3回に分けて150mLの水を添加して3回洗浄した。湿った固体を次に空中で90℃にて12時間乾燥させた。結果として生じた固体材料を破砕し、N2下で600℃にて2時間焼成した。この材料は公称組成Mo1V0.3Sb0.18Nb0.08Te0.02Ti0.1Li0.05Nd0.005Onを有する。
酢酸リチウムを省いたことを除き、第1の材料について上述したように第2の材料を調製した。この第2の材料は公称組成Mo1V0.3Sb0.18Nb0.08Te0.02Ti0.1Nd0.005Onを有する。
第1の材料の0.45g分と第2の材料の0.94g分を混ぜ合わせて公称組成がMo1V0.3Sb0.18Nb0.08Te0.02Ti0.1Li0.016Nd0.005Onのサンプルを形成した。次に固体を粉砕し、圧縮し、145〜355μmの粒径範囲に篩い分けし、触媒性能について試験した。
この材料をプロパンからアクリロニトリルへの不均一アンモ酸化用の触媒として試験した。433℃、WHSV=0.2及び供給比C3H8/NH3/O2/N2=1/2.0/3/12で、アクリロニトリルの収率60%を得た(プロパンの転化率91%、アクリロニトリルの選択性65%)。
【0036】
比較例#3−Mo1V0.3Sb0.2Nb0.06Ti0.1Nd0.005On
125mLのテフロン(登録商標)反応器ライナーにMoO3(8.0g)、Sb2O3(1.620g)、TiO2(0.444g)、及びNd(OAc)3(0.0893g)及び水(10mL)を装填した。混合物を約5分間撹拌後、VOSO4(16.67mLの1M溶液)及びシュウ酸ニオブ(オキサラート対ニオブのモル比が約3/1である0.438M溶液7.612mL)を導入した。水を加えて反応器ライナー内で約80%の充填体積を得た。次に反応器を金属ハクジング内でテフロン(登録商標)キャップにてシールし、175℃に予備加熱したオーブン内に置き、連続的に回転させて液体及び固体試薬の混合を達成した。48時間後、反応器を冷却し、テフロン(登録商標)ライナーをハウジングから取り外した。生成物スラリーを2分間撹拌してから、ガラスフリットを用いて真空ろ過し、3回に分けて200mLの水を添加して洗浄した。湿った固体を次に空中で120℃にて12時間乾燥させた。結果として生じた固体材料を破砕し、N2下で600℃にて2時間焼成した。次に固体を粉砕し、圧縮し、145〜355μmの粒径範囲に篩い分けし、触媒性能について試験した。この材料は公称組成Mo1V0.3Sb0.2Nb0.06Ti0.1Nd0.005Onを有する。
この材料をプロパンからアクリロニトリルへの不均一アンモ酸化用の触媒として試験した。430℃、WHSV=0.15及び供給比C3H8/NH3/O2/He=1/1.2/3/12で、アクリロニトリルの収率56%を得た(プロパンの転化率87%、アクリロニトリルの選択性64%)。
【0037】
比較例#4−Mo1V0.38Sb0.25Nb0.075Ti0.125Nd0.0062On
200mLのテフロン(登録商標)反応器ライナーにMoO3(6.334g)、Sb2O3(1.283g)、TiO2(0.351g)、Nd(OAc)3(0.088g)及び水(10mL)を装填した。混合物を約5分間撹拌した後、VOSO4(13.2mLの1.0M溶液)及びシュウ酸ニオブ(6.083mLの0.434M溶液)を導入した。水を加えて反応器ライナーの約80%の充填体積を得た。次に反応器を金属ハクジング内でテフロン(登録商標)キャップにてシールし、175℃に予備加熱したオーブン内に置き、連続的に回転させて液体及び固体試薬の混合を達成した。48時間後、反応器を冷却し、テフロン(登録商標)ライナーをハウジングから取り外した。生成物スラリーを遠心分離して、液体から固形反応生成物を分離した。液体をデカントし、固体に蒸留水(25mL)を添加した。固体を破砕し、振り混ぜて可溶性塩を溶かした。混合物を遠心分離し、液体をデカントした。この洗浄工程を2回行った。湿った固体を空中で120℃にて12時間乾燥させた。結果として生じた固体材料を破砕し、N2下で600℃にて2時間焼成した。次に固体を粉砕し、圧縮し、145〜355μmの粒径範囲に篩い分けし、触媒性能について試験した。この材料は公称組成Mo1V0.38Sb0.25Nb0.075Ti0.125Nd0.0062Onを有する。
この材料をプロパンからアクリロニトリルへの不均一アンモ酸化用の触媒として試験した。420℃、WHSV=0.15及び供給比C3H8/NH3/O2/He=1/1.2/3/12で、プロパン転化率84%及びアクリロニトリル選択性69%にてアクリロニトリル収率58%が達成された。
【0038】
比較例#5−Mo1V0.3Sb0.2Nb0.06Ti0.1Ge0.05Nd0.005On
23mLのテフロン(登録商標)反応器ライナーにMoO3(1.20g)、Sb2O3(0.243g)、GeO2(0.0436g)及び水(2.0mL)を装填した。混合物を約5分間撹拌した後、VOSO4(2.50mLの1.0M溶液)、TiO2(0.08g/mLのスラリー0.833mL)、Nd(OAc)3(0.417mLの0.1M溶液)、シュウ酸ニオブ(1.142mLの0.438M溶液)を導入した。水を加えて反応器ライナーの約80%の充填体積を得た。次に反応器を金属ハクジング内でテフロン(登録商標)キャップにてシールし、175℃に予備加熱したオーブン内に置き、連続的に回転させて液体及び固体試薬の混合を達成した。48時間後、反応器を冷却し、テフロン(登録商標)ライナーをハウジングから取り外した。生成物スラリーを遠心分離して、液体から固体反応生成物を分離した。液体をデカントし、固体に蒸留水(5mL)を添加した。固体を破砕し、振り混ぜて可溶性塩を溶かした。混合物を遠心分離し、液体をデカントした。この洗浄工程を2回行った。湿った固体を空中で120℃にて12時間乾燥させた。結果として生じた固体材料を次に破砕し、N2下で600℃にて2時間焼成した。次に固体を粉砕し、圧縮し、145〜355μmの粒径範囲に篩い分けし、触媒性能について試験した。この材料は公称組成Mo1V0.3Sb0.2Nb0.06Ti0.1Ge0.05Nd0.005Onを有する。
この材料をプロパンからアクリロニトリルへの不均一アンモ酸化用の触媒として試験した。420℃、WHSV=0.15、及び供給比C3H8/NH3/O2/He=1/1.2/3/12で、プロパンの転化率84%及びアクリロニトリルの選択性69%にてアクリロニトリル58%が達成された。
【0039】
比較例#6及び実施例#7
比較例6では、式MoV0.21Sb0.24Nb0.09Ox/45%SiO2(以後「4成分塩基」と称する)の塩基触媒を本明細書で述べた非熱水法及び焼成法で調製した。同様に、実施例#7では、本明細書で述べた含浸法を用いて「4成分塩基」触媒にさらにテルルを添加することによって、式MoV0.21Sb0.24Te0.04Nb0.09Ox/45%SiO2の触媒を調製した。
比較例#8及び#9並びに実施例#10〜#12
比較例#8では、式MoV0.3Sb0.2Nb0.08Ti0.1Ce0.005Ox/45%SiO2(以後「6成分塩基」と称する)の塩基触媒を本明細書で述べた非熱水法及び焼成法で調製した。同様に、比較例#9及び実施例#10〜#12では、本明細書で述べた含浸法を用いて「6成分塩基」触媒にさらにテルルを添加することによって、テルル含量が変化する以下に示す触媒組成物を調製した。
比較例#9:MoV0.3Sb0.2Te0.06Nb0.08Ti0.1Ce0.005Ox/45%SiO2
実施例#10:MoV0.3Sb0.2Te0.04Nb0.08Ti0.1Ce0.005Ox/45%SiO2
実施例#11:MoV0.3Sb0.2Te0.03Nb0.08Ti0.1Ce0.005Ox/45%SiO2
及び実施例#12:MoV0.3Sb0.2Te0.02Nb0.08Ti0.1Ce0.005Ox/45%SiO2
直径が1インチ(2.54cm)の40ccの研究室流体床反応器内で比較例#6及び#8並びに実施例7及び#9〜#12の触媒を試験した。反応器を粒状触媒又は触媒混合物約20〜約45gで充填した。反応器に約0.04〜約0.15WHSVの速度でプロパンを供給した。反応器内部の圧力を約2〜約15psig(1.4×104〜1.0×105Pag)で維持した。反応温度は約420〜約460℃の範囲だった。一般に、アンモニア対プロパンの比が約1〜約1.5になるような流速でアンモニアを反応器に供給した。酸素対プロパンの比が約3.4になるような流速で反応器に酸素を供給した。窒素対プロパンの比が約12.6になるような流速で反応器に窒素を供給した。比較例#6及び#8並びに実施例7及び#9〜#12の触媒の試験結果を下表1にまとめる。
【0040】
表1

【0041】
比較例#13並びに実施例#14及び#15
比較例#13では、式MoV0.25Sb0.167Nb0.08Nd0.002Ce0.003Li0.013Ox/45% SiO2の塩基触媒を本明細書で述べた非熱水法及び焼成法で調製した。同様に、実施例#14〜#15では、本明細書で述べた含浸法を用いて該触媒にさらにテルルを添加することによって、テルル含量が変化する以下に示す触媒組成物を調製した。
実施例#14:MoV0.25Sb0.167Te0.02Nb0.08Nd0.002Ce0.003Li0.013Ox/45%SiO2
実施例#15:MoV0.25Sb0.167Te0.04Nb0.08 Nd0.002Ce0.003Li0.013Ox/45%SiO2
比較例#13並びに実施例#14及び#15の触媒では、触媒にSb2O3を振り掛けることによって、触媒にさらにアンチモン(0.08モルのSb/1モルのMo)を添加した。次に比較例#6及び#8並びに実施例#7及び#9〜#12について上述したのと同じ条件下、40ccの研究室流体床反応器内で触媒を試験した。比較例#13並びに実施例#14及び#15の触媒についての試験結果を下表2にまとめる。
【0042】
表2

【0043】
この出願並びに上表1及び2で使用する場合、「温度」は反応器の摂氏温度である。「TIS」は「操業中の時間(time on stream)」(時間で)である。「C3転化率」はプロパンの転化率を意味し、1パス毎の、プロパンから全ての生成物と副生物への変換のモル%である。「AN選択性」はアクリロニトリルの選択性を意味し、%で表された、変換したプロパンのモルに対する生成したアクリロニトリルのモルの比である。「AN収率」はアクリロニトリルの収率を意味し、1パス毎の、プロパンからアクリロニトリルへの変換のモル%である。「WHSV」は、反応器に供給されたプロパンの重量毎時空間速度を意味し、プロパンの重量/触媒の重量/時間として表され、「wwh」としても知られる。
前記説明及び上記実施形態は本発明の実施のために典型的であるが、この明細書に照らして、当業者には多くの代替案、修正、及び変更が明白であることが明らかである。従って、全てのこのような代替案、修正、及び変更は、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲に包含され、その範囲内にあるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和ニトリルを製造するための飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物のアンモ酸化方法であって、下記実験式の混合酸化物を含む触媒組成物の存在下で前記飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物をアンモニア及び酸素含有ガスと接触させる工程を含む方法。
Mo1VaSbbNbcTedXeLfOn
(式中、
Xは、Ti、Sn、Ge、Zr、Hf、及びそれらの混合物から成る群より選択され、
Lは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びそれらの混合物から成る群より選択され、
0.1<a<0.8、
0.01<b<0.6、
0.001<c<0.3、
0.001<d<0.06、
0≦e<0.6、
0≦f<0.1;かつ
nは、前記混合酸化物に存在する全ての他元素のバランス要件を満たすために必要な酸素原子数であり(但し、前記混合酸化物中の他元素の1個以上がその最高酸化状態より低い酸化状態で存在できるという条件で)、
a、b、c、d、e及びfは、1モルのMoに対する対応元素のモル比を表す。)
【請求項2】
前記触媒組成物において、0.2<a<0.4、0.1<b<0.4、0.01<c<0.2、0.002<d≦0.05、0.001<e<0.3、及び0.001<f<0.05である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Xが、元素Ti、Sn及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Lが、元素Nd、Ce、Pr及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒組成物が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、又はそれらの混合物から成る群より選択される担体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記担体が約10〜約70質量%の触媒を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素がプロパン、イソブタン、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物、アンモニア、及び酸素含有ガスを含む供給ストリームを準備する工程を含み、炭化水素の、酸素に対するモル比が約0.125〜約5である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物、アンモニア、及び酸素含有ガスを含む供給ストリームを準備する工程を含み、炭化水素の、アンモニアに対するモル比が約0.3〜約2.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物を含む供給ストリームを、重量毎時空間速度が1gの触媒に対して少なくとも約0.1gの炭化水素となるように制御された流速で準備する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物を含む供給ストリームを、重量毎時空間速度が1gの触媒に対して少なくとも約0.15gの炭化水素となるように制御された流速で準備する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物を含む供給ストリームを、重量毎時空間速度が1gの触媒に対して少なくとも約0.2gの炭化水素となるように制御された流速で準備する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
不飽和ニトリルを製造するための飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物のアンモ酸化方法であって、下記実験式の混合酸化物を含む触媒組成物の存在下で前記飽和若しくは不飽和炭化水素又は飽和及び不飽和炭化水素の混合物をアンモニア及び酸素含有ガスと接触させる工程を含む方法。
Mo1VaSbbNbcTedXeLfAgLihOn
(式中、
Xは、Ti、Sn、Ge、Zr、Hf、及びそれらの混合物から成る群より選択され、
Lは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びそれらの混合物から成る群より選択され、
Aは、Na、K、Cs、Rb及びそれらの混合物の少なくとも1つであり、
0.1<a<0.8、
0.01<b<0.6、
0.001<c<0.3、
0.001<d<0.06、
0≦e<0.6、
0≦f<0.1、
0≦g<0.1、
0≦h<0.1、かつ
nは、前記混合酸化物に存在する全ての他元素のバランス要件を満たすために必要な酸素原子数であり(但し、前記混合酸化物中の他元素の1個以上がその最高酸化状態より低い酸化状態で存在できるという条件で)、
a、b、c、d、e、f、g、及びhは、1モルのMoに対する対応元素のモル比を表す。)
【請求項14】
前記触媒組成物において、0.2<a<0.4、0.1<b<0.4、0.01<c<0.2、0.002<d≦0.05、0.001<e<0.3、及び0.001<f<0.05である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記触媒組成物において、0.03<h<0.06である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
Xが、元素Ti、Sn及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
Lが、元素Nd、Ce、Pr及びそれらの混合物から成る群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記触媒組成物が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、又はそれらの混合物から成る群より選択される担体を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記担体が約10〜約70質量%の触媒を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記触媒組成物において、0.2<a<0.4、0.1<b<0.4、0.01<c<0.2、0.002<d<0.06、0≦e<0.3、及び0≦f<0.05である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記触媒組成物において、0.2<a<0.4、0.1<b<0.4、0.01<c<0.2、0.002<d≦0.05、0≦e<0.3、及び0.001<f<0.05である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記触媒組成物において、0.2<a<0.4、0.1<b<0.4、0.01<c<0.2、0.002<d≦0.05、0.001<e<0.3、及び0≦f<0.05である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記触媒組成物において、0.2<a<0.4、0.1<b<0.4、0.01<c<0.2、0.002<d<0.06、0≦e<0.3、及び0≦f<0.05である、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記触媒組成物において、0.2<a<0.4、0.1<b<0.4、0.01<c<0.2、0.002<d≦0.05、0≦e<0.3、及び0.001<f<0.05である、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記触媒組成物において、0.2<a<0.4、0.1<b<0.4、0.01<c<0.2、0.002<d≦0.05、0.001<e<0.3、及び0≦f<0.05である、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2010−519202(P2010−519202A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549609(P2009−549609)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/001842
【国際公開番号】WO2008/103255
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(509230757)イネオス ユーエスエイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (13)
【Fターム(参考)】