説明

清掃具および網戸用清掃シート

【課題】網戸の片面側から両面を同時に清掃可能な網戸用清掃シートと、網戸の撓みに追従して清掃シートを確実に接触させることができる清掃具を提供する。
【解決手段】ヘッド部3のクッション部5の清掃シート10に対する接触面を円弧状に形成し、その円弧面に沿ってシート自重の500%以上の洗浄液を含浸する清掃シート10を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸用の清掃シートおよび同清掃シートを保持する清掃具に関し、さらに詳しく言えば、網戸の撓みにフィットして、網戸に付着した汚れを両面同時に清掃できる清掃シートおよびその清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
網戸は、網目に汚れが付着しやすいため、まめに掃除を必要とするが、雑巾などで拭き掃除を行った場合、拭く力が強すぎると網戸が破れてしまうおそれがある。逆に拭く力が弱すぎると、汚れが落ちないばかりか、固まりになったゴミが網目に詰まるといった問題がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、手軽に網戸を清掃できるワイパータイプの清掃具が提供されている。この清掃具は、手によって把持されるグリップ部と、網戸に沿って押し当てられるヘッド部とを有し、ヘッド部に洗浄液が含浸された清掃シートを取り付けて、清掃シートを網戸に沿って摺動させることで、網戸の汚れを除去するようにしている。
【0004】
従来、この種の清掃具には、清掃シートを網戸に沿ってフィットさせるため、ヘッド部に矩形プレート状のクッション部が設けられており、クッション部の表面に沿って清掃シートを取り付けていた。
【0005】
【特許文献1】特開2003−477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の清掃具および清掃シートには、次のような問題があった。すなわち、従来より網戸は、四方をフレームによって固定されているため、網戸の中央部では撓みやすく、端に向かうにつれて撓みが小さくなる。
【0007】
したがって、特許文献1のような矩形状クッション部を有する清掃具で網戸の中央部を擦りつけた場合、網戸の撓みによって清掃シートの縁(クッション部の縁)が網戸に当接するため、清掃面を均等に網戸に接触させることができず、汚れ残りなどの原因となっていた。
【0008】
また、この種の清掃シートは、不織布に所定の洗浄液を含浸させたものが用いられているが、洗浄液が不織布自重の200%程度しか含有されていないため、網戸の片面ずつしか清掃することができない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明は上述した課題を解決するため、片面側から網戸の両面を同時に清掃可能な清掃シートと、網戸の撓みに追従して清掃シートを確実に接触させることができる清掃具を提供することにある。
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、手によって把持されるグリップ部と、上記グリップに取り付けられ、被清掃面に向けて押し当てられるヘッド部とを有し、上記ヘッド部には汚れを拭き取るための清掃シートが取り付けられる清掃具において、上記ヘッド部は、上記清掃シートが取り付けられる圧縮性を有するクッション部を有し、上記クッション部の上記清掃シートの取付面が円弧状に形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記クッション部は、幅方向の断面が円弧状で、長手方向の断面が矩形状を呈する、かまぼこ状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記ヘッド部には、上記クッション部が貼り付けられる円弧状の貼着面が設けられており、上記貼着面に追従して上記クッション部の表面が円弧状を呈することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上記請求項1,2または3において、上記クッション部は発泡体からなり、上記クッション部の表面には、上記清掃シートに含浸される洗浄液が上記クッション部内に浸透しないようにするための浸透防止層が設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、上記請求項4において、上記浸透防止層は上記クッション部に沿って貼着されたフィルムシートからなることを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、所定の清掃具に取り付けて用いられる使い捨ての網戸用清掃シートにおいて、不織布からなるシート本体に所定の洗浄液が上記不織布自重の500%以上含浸されていることを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載の発明は、上記請求項6において、上記洗浄液には、乾燥後に被清掃面の表面をコーティングするワックス成分が配合されていることを特徴としている。
【0017】
請求項8に記載の発明は、上記請求項6または7において、上記洗浄液には、防虫成分が配合されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1および2に記載の発明によれば、クッション部の上記清掃シートに対する接触面が円弧状(幅方向の断面が円弧状で長手方向の断面が矩形状を呈するかまぼこ状)に形成されていることにより、網戸の撓みに沿って清掃面を確実に接触させることができ、清掃面を効率的に使用して、網戸の汚れを確実に落とすことができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、ヘッド部のクッション部を貼り付ける貼着面を円弧状に形成することにより、クッション部を複雑に加工することなく、簡単に円弧状に形成することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、クッション部は連続気泡体で、クッション部の表面に清掃シートの洗浄液が浸透しないようにするための浸透防止手段が設けられていることにより、洗浄液を確実に網戸に供給することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、柔軟で変形しやすいウレタン製素材を用いることにより、より網戸に対する追従性がよく、清掃能を向上させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、シート本体に不織布自重の500%以上の洗浄液を含浸させたことにより、洗浄液が網戸の裏面に回り込んで網戸を包み込むことにより、1枚の清掃シートで両面同時に清掃することができる。
【0023】
請求項7および請求項8に記載の発明によれば、洗浄液にワックス成分や防虫成分を含有することにより、洗浄液の乾燥後にワックス成分が網戸をコーティングして、汚れが付きにくくなる。さらには、網戸に防虫効果が加わることで、室内に虫などが入りにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこの限りではない。図1は、本発明の一実施形態に係る清掃具および清掃シートの斜視図であり、図2および図3は、清掃具の正面図および側面図である。
【0025】
図1〜図3に示すように、この清掃具1は、手によって把持されるグリップ部2と、グリップ部2の一部に取り付けられ、図示しない被清掃部に押し当てられるヘッド部3とを備えている。ヘッド部3には、被清掃部の汚れを落とす清掃シート10が取り付けられている。
【0026】
この実施例において、グリップ部2は、ヘッド部3に対して回動可能に連結される主グリップ21と、主グリップ21に着脱自在に取り付けられる延長グリップ22とを備えている。主グリップ21および延長グリップ22はともに合成樹脂の成型品からなる。
【0027】
主グリップ21は、全体が弓状に形成されており、一端には後述する軸受部4を介してヘッド部3に回動自在に取り付けられている。主グリップ21の他端側は、延長グリップ22を差し込み可能なパイプ状に形成されており、延長グリップ22に設けられた後述する係止部24(図4参照)が挿入できるように開口されている。
【0028】
主グリップ21には、延長グリップ22を差し込んだ際に係止部24に設けられた係止凸部25が係止される係止孔23が設けられている。係止孔23は、主グリップ21の中央上面に設けられた貫通孔であり、係止凸部25の一部が露出している。係止孔23は、係止凸部25のロックを解錠するための、操作窓としても用いられる。
【0029】
延長グリップ22は、例えば高所や窓の裏など手の届きにくい場所にヘッド部3を届けるための延長用部材であり、主グリップ21に対して着脱可能に設けられている。
【0030】
図4に示すように、延長グリップ22の先端には、主グリップ21内に向けて差し込まれる係止部24が設けられている。係止部24は、主グリップ21の開口径とほぼ同じ外径を有する円筒状を呈し、その一部には、係止孔23に係止される係止凸部25が設けられている。
【0031】
この例において、係止凸部25は、係止部24の軸線方向に沿って形成された2本のスリ割り溝24aによって形成される弾性片の先端に一体的に取り付けられており、係止部24の外径よりも外側に突設されている。
【0032】
延長グリップ22の他端には、清掃具1を立て掛けて保管しておく際に、フックなどを引っ掛けるための、フック孔26が設けられている。フック孔26の形状や位置は、本発明において任意である。
【0033】
この例において、主グリップ21には、グリップ長さを延長するための延長グリップ22が取り付けられているが、通常に手が届く高さであれば、主グリップ21のみを手で把持して使用すればよ。この場合、図5に示すように、主グリップ21の端部には、エンドキャップ27が取り付けられる。
【0034】
図6を参照して、主グリップ21の先端には、ヘッド部3を回転可能に保持する軸受部4が一体的に設けられている。軸受部4は、中央にヘッド部3から突設された回転軸31を軸支する軸受孔41が設けられている。
【0035】
ヘッド部3には、上記軸受孔41に向けて同軸的に差し込まれる回転軸31が突設されており、回転軸31の頂部には、ネジ45を介して押しボタン44が固定されている。押しボタン44は、軸受孔41の内径とほぼ同じ外径を有する円筒体からなり、その下端には、軸受孔41と回転軸31との間の空間に向けて挿入されるスカート44aを備えている。
【0036】
軸受孔41には、回転軸31を実質的に支持する支持リング41aが一体に設けられており、この支持リング41aとスカート44aとの間に圧縮バネ43が保持されている。この圧縮バネ43を介して、ヘッド部3は常に軸受部4側に押し付ける方向にバネ付勢されている。
【0037】
軸受部4のヘッド部3と対向する底面(図6では下面)には、ヘッド部3側に設けられた丸穴32内に差し込まれるボス42が設けられている。図7を併せて参照して、ボス42は、回転軸31の軸線を中心とする同一円周上に90°間隔で4箇所(図7のハッチング箇所)設けられている。
【0038】
この例において、ボス42は90°間隔で4箇所設けられているが、これ以外に、全ての丸穴32に対応して設けられていてもよく、少なくとも1つのボス42を備えていればよい。
【0039】
これによれば、図8に示すように、手でグリップ部2を把持した状態で押しボタン44を下に押すことにより、ヘッド部3が下側に押し下げられ、凸部43と各丸穴32とのロックが解除される。この状態でグリップ部2またはヘッド部3を所望の位置に回転させて、押しボタン44から手を離すことにより、図9に示すような45°ピッチでヘッド部3の位置を変えることができる。
【0040】
次に、再び図1〜図3を参照して、ヘッド部3について説明する。ヘッド部3は、合成樹脂の成型品からなり、扁平な立体台形状に形成されている。ヘッド部3の上部中央には、上述した軸受部4によって軸支される回転軸31が突設されている。
【0041】
図6および図10を参照して、ヘッド部3の上面には、清掃シート10をヘッド部3に巻き付けた状態で固定するための固定プレート33,33が一体的に埋め込まれている。固定プレート33,33は、ヘッド部3よりも柔軟な合成樹脂製の板体からなり、ヘッド部3の長手方向の両端に左右対称に2箇所配置されている。この例において、長手方向とは、図6の紙面に対して垂直方向をいう。
【0042】
固定プレート33の一部には、清掃シート10を固定するための固定爪34,34が設けられている。固定爪34は、固定プレート33の一部を切り欠いた切欠溝からなり、ヘッド部3の幅方向の両端側に上下対称に2箇所設けられている。この例において、固定爪34は、×状に切り欠かれている。
【0043】
この固定爪34,34に、清掃シート10の幅方向の両端側をヘッド部3の幅方向の縁に沿って上面側に折り曲げ、その一部を噛み込ませることにより、清掃シート10がヘッド部3に巻き付いた状態で固定できるようになっている。この例において、幅方向とは図6の左右方向をいう。
【0044】
ヘッド部2の内部は中空であり、図示しない複数の補強用リブが長手方向に沿って所定間隔で設けられている。ヘッド部3の底面(図6では下面)には、クッション部5が貼り付けられる貼着板35が設けられている。
【0045】
図6に示すように、貼着板35は、中央からヘッド部3の幅方向の両端に向かって円弧状に形成されている。この貼着板35に沿ってクッション部5が貼り付けられている。なお、クッション部5の貼付手段は、接着剤や両面粘着テープなど仕様に応じて任意に選択できる。
【0046】
クッション部5は、ウレタンフォームなどの柔軟な発泡体からなり、扁平な矩形プレート状に形成されている。クッション部5の表面(図6では下面)には、清掃シート10に含浸された清掃液がクッション部5内に浸透しないようにするための浸透防止膜51が設けられている。
【0047】
浸透防止膜51は、柔軟な非透水性のウレタン製シートからなり、クッション部5の表面に沿って一体的に貼り合わせられている。クッション部5は、上述した貼着板35に沿って貼り合わせられることにより、その表面が貼着板35に追従して円弧状に湾曲している。
【0048】
これによれば、図11に示すように、クッション部5に沿って清掃シート10を取り付けることにより、清掃シート10の表面は、張力によってクッション部5の円弧面に沿って緩やかに湾曲し、幅方向の断面が円弧状であり、長手方向の断面が矩形状を呈するかまぼこ状になる。
【0049】
次に、清掃シート10の構成について説明する。清掃シート10は、例えば不織布などのシート状基材からなり、被清掃面への接触面積を増やすとともに、洗浄液の含浸量を増すため、全体にエンボス加工が施されている。
【0050】
この例において、不織布は、レーヨンとポリエステルの混合繊維を目付量55g/mで水流編みしたものからり、1枚当たりの重量が2.2gである。なお、不織布の素材や成型方法、エンボスの加工方法は、仕様に応じて任意に選択される。
【0051】
清掃シート10には、網戸に付着した汚れを洗浄するための洗浄液が不織布自重の500%以上となるように含浸されている。この例において、洗浄液は、不織布重量(2.2g)の550%(12.1g)が含浸されている。
【0052】
洗浄液は、精製水を主成分とし、そこに洗浄成分としての界面活性剤が配合されている。洗浄液には、精製水が乾燥したのち、網戸をコーティングするワックス成分が配合されていることが好ましい。
【0053】
この例において、ワックス成分はポリグリセリン縮合リノレイン酸エステルが用いられているが、これ以外にコーティング効果が得られるものであれば、仕様に応じて任意に選択される。これによれば、ワックス成分を配合したことにより、洗浄液が乾燥すると、網戸の表面がワックス成分によってコーティングされ、ゴミや埃が網戸に付きにくくなる。
【0054】
洗浄液にはさらに、網戸に虫が寄ってこないようにするための、防虫成分が配合されていることが好ましい。この例において、防虫成分は、ユーカリエキスが配合されているが、これ以外に防虫加工を奏するものであれば、仕様に応じて任意に選択される。
【0055】
洗浄液には、これら以外にも、例えば除菌剤や撥水剤などが配合されていてもよく、これら添加剤は、清掃シート10の使用環境や適応場所に応じて任意に選択して添加される。
【0056】
この例において、清掃シート10は、網戸清掃用に適したものを例にとって説明したが、清掃シート10の適用範囲は、網戸に限らず、窓用シートや床用シートなど、仕様に応じて任意に選択できる。さらには、清掃シート10は、湿式タイプに限らず、乾式タイプのものを取り付けてもよい。
【0057】
次に、本発明の清掃具1の使用手順の一例について説明する。まず、図10に示すように、図示しない収納パック内に収納された清掃シート10を1枚取り出し、その上に清掃具1のヘッド部3を置いたのち、清掃シート10の幅方向の両端をヘッド部3の上面側に巻き付けるように持ってゆき、その一部を固定爪34,34に差し込む。
【0058】
これにより、図11に示すように、清掃シート10がクッション部5に沿って円弧状に取り付けられる。この清掃具1を手で把持して、網戸に擦りつければよいが、図12に示すように、網戸Mは、フレームFによって四隅を保持されている構造のため、中央部が撓みやすい。
【0059】
そこで、中央部付近を清掃する際は、ヘッド部3を横向きにした状態で上下方向に摺動させることが好ましい。これによれば、図13(a)に示すように、清掃シート10の円弧面が網戸Mの撓みに追従して当接することにより、網戸Mに付着した汚れを確実に除去することができる。
【0060】
また、図12に示すように、網戸MのフレームF寄りは撓みにくいため、ヘッド部3の向きを縦にして押し当て、上下に摺動させることで、図13(b)に示すように、フレームFの縁に沿って清掃シート10を確実に接触させることができる。
【0061】
次に、本発明の清掃シート10による清掃メカニズムを模式的に説明する。図14(a)に示すように、汚れDが付着した網戸Mに沿って清掃シート10を接触させながら、軽く摺動させると、図14(b)に示すように、清掃シート10内に含浸された洗浄液が網戸Mに染み出す。
【0062】
さらに擦りつけることにより、清掃シート10と網戸Mの摩擦によって洗浄液が泡立ち、その泡Bが網戸Mの両面を包み込むように形成される。この泡Bによって、汚れDは浮かび出され、図14(c)に示すように、清掃シート10内に吸着されることで、網戸Mの汚れDが除去される。
【0063】
清掃後は、そのまま網戸Mを放置して乾燥させることで、網戸Mの表面にワックス成分によるコーティング層Cが形成されるため、新たな埃Dが付着しても、網戸Mを軽く叩くなどなどすることで、簡単に汚れを落とすことができる。また、防虫成分によって虫が寄ってくるのを防ぐことができる。
【実施例】
【0064】
次に、本発明の清掃具の具体的な実施例について比較例とともに比較検討した。まず、以下の方法で清掃具を作成した。
〔清掃具の作成〕
上述したグリップ部とヘッド部(180×60mm)とを備えた市販の清掃具本体を用意し、ヘッド部に実施例1,2および比較例1,2に示すクッション部をゴム系接着剤で貼り付けたのち、以下の各特性評価を行った。
【0065】
〔表面撥水度合い評価〕
まず最初に、水平に置いたクッション部の表面(清掃面)の3カ所にスポイトで水を一滴垂らして、初期状態での撥水度合いを観察した。撥水度合いを観察したのち、水滴を上から樹脂フィルムで強制的に押さえ付けて水を浸透させて、その状態を観察した。最後に、乾いたウエスなどでクッション表面を拭き取り、水残りがないかどうかを観察した。
評価は以下の4段階で評価した。「◎:完全に撥水する(水滴は球状で、拭き取り後は水残りなし)」、「○:クッション側にはほぼ非給水(水滴は潰れた形状で、拭き取り後はやや水残り)」、「△:クッション側の吸水が多い(水はほぼ吸収され、拭き取り後の水残りも多い)」、「×:破水性なし(クッション側に完全に吸収され、拭き取りもできない)」
〔柔軟性評価〕
実施例および比較例の各クッション部の柔軟性を評価した。評価は、まず、サンテック社製の柔軟度計(型番:SFS100−2K−40)にて、500g荷重、1000g荷重を加えたとき、それぞれクッション部の中央および両側の3箇所に測定部を押し当て、クッション部の沈み込み量を測定したのち、その平均を算出した。
〔泡立ち評価〕
同じ薬液・含浸液量のウエットシートを用い、それを各サンプルのクッションに取り付けたのち、網戸に擦りつけて、ワイパーの往復回数とその泡立ちを評価する。ワイパーの移動ストロークは約40cmとし、5N程度を加重を加えて、各サンプル2個を用いて行った。
評価方法は以下の5段階で評価した。「1:網戸にうっすらと泡が確認される」、「2:シート両端以外に中央部でも泡が確認できる」、「3:全体的に泡の発生が確認できる(基準レベル)」、「4:泡立ち良好(ほとんどの部分で泡立ち確認)」「5:泡立ち良好(全体的に泡立ち、消泡しにくい)」
〔耐光性評価〕
各サンプルのクッション部を30×60mmにカットしたのち、フェードメータを用いて屋外暴露3ヶ月相当の光線照射を行った。また、同光線照射を合計2回行い、6ヶ月相当まで確認した。
評価は以下の4段階で評価した。「◎:劣化なし」、「○:やや変色が確認される」、「△:変色+表面に粉吹きなどの劣化が見られる」、「×:極度の変色、変形、粉吹きによる劣化が見られる」
〔窓ガラスの使用感評価〕
各サンプルのクッション部に窓用ウエットシートを取り付けたのち、窓ガラスを清掃して、その清掃度合いを評価した。窓ガラスへの加重は約1kg程度。
評価は、以下の3段階で行った。「○:適度な抵抗が有りガラス面にフィットしやすく、清掃しやすい」、「△:どちらとも言えない」、「×:清掃しにくい(抵抗感がない。不快音が発生)」
以下に、その評価結果を示す。
【0066】
《実施例1》
〔スポンジの表面構造〕:ポリウレタンフィルム層(0.10〜0.15mm)
〔表面撥水度合い〕:初期○/強制○/拭取○
〔柔軟性〕:8.2mm(500g),9.2mm(1000g)
〔泡立ち評価〕:2往復(1),5往復(3),7往復(3),20往復(4),評価(2.75)
〔耐光性〕:3ヶ月(○),6ヶ月(△)
〔窓ガラスの使用感〕:○
【0067】
《実施例2》
〔スポンジの表面構造〕:ポリウレタンフィルム層(0.15〜0.20mm)
〔表面撥水度合い〕:初期○/強制○/拭取○
〔柔軟性〕:8.3mm(500g),9.5mm(1000g)
〔泡立ち評価〕:2往復(1),5往復(2),7往復(3),20往復(4),評価(2.5)
〔耐光性〕:3ヶ月(○),6ヶ月(○)
〔窓ガラスの使用感〕:○
【0068】
〈比較例1〉
〔スポンジの表面構造〕:連続気泡
〔表面撥水度合い〕:初期◎/強制×/拭取△
〔柔軟性〕:7.4mm(500g),7.9mm(1000g)
〔泡立ち評価〕:2往復(1),5往復(2),7往復(2),20往復(4),評価(2.25)
〔耐光性〕:3ヶ月(×),6ヶ月(×)
〔窓ガラスの使用感〕:○
【0069】
〈比較例2〉
〔スポンジの表面構造〕:******フィルム層
〔表面撥水度合い〕:初期◎/強制◎/拭取◎
〔柔軟性〕:6.8mm(500g),8.1mm(1000g)
〔泡立ち評価〕:2往復(1),5往復(3),7往復(5),20往復(4),評価(3.25)
〔耐光性〕:3ヶ月(○),6ヶ月(△)
〔窓ガラスの使用感〕:○
【0070】
参考までに、上記実施例1,2および比較例1,2の結果のまとめを表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
以上の各実施例および各比較例により、以下のような知見を得た。
(1)実施例1および実施例2は、ポリウレタン層を設けたことにより、柔軟でありながら、紫外線の影響を防ぐことができる。
(2)実施例1は、実施例2と比較して、ポリウレタン層は薄いため、若干劣化しやすい。
(3)比較例1は、浸透防止層がないため、洗浄液がクッション部に染みこみ、泡立ち効果(洗浄効果)が低い。
(4)比較例3は、浸透防止層として塩ビフィルムを用いることで、良好な浸透防止効果が得られるが、紫外線によるクッション部への影響が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に係る清掃具の斜視図。
【図2】上記清掃具の正面図。
【図3】上記清掃具の側面図。
【図4】上記清掃具のグリップ部のジョイント部の部分拡大断面図。
【図5】延長グリップを外して、エンドキャップを取り付けた状態の斜視図。
【図6】ヘッド部とグリップ部とのジョイント部における部分拡大断面図。
【図7】回転軸の構造を説明する模式図。
【図8】押しボタンを押してヘッド部を浮かせた状態を示す斜視図。
【図9】グリップ部の回転角を説明する説明図。
【図10】ヘッド部と清掃シートの取付態様を示す斜視図。
【図11】ヘッド部に清掃シートを取り付けた状態の模式図。
【図12】清掃具の使用形態を説明する模式図。
【図13】(a)ヘッド部を網戸中央に押し立てた状態の模式図,(b)ヘッド部を網戸のフレーム寄りに押し当てた状態の模式図。
【図14】(a)〜(d)本発明の清掃シートの清掃メカニズムを説明する説明図。
【符号の説明】
【0074】
1 清掃具
2 グリップ部
21 主グリップ
22 延長グリップ
3 ヘッド部
4 軸受部
5 クッション部
51 浸透防止膜
10 清掃シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手によって把持されるグリップ部と、上記グリップ部に支持され、被清掃面に向けて押し当てられるヘッド部とを有し、上記ヘッド部には汚れを拭き取るための清掃シートが取り付けられる清掃具において、
上記ヘッド部は、上記清掃シートが取り付けられる圧縮性を有するクッション部を有し、上記クッション部の上記清掃シートの取付面が円弧状に形成されていることを特徴とする清掃具。
【請求項2】
上記クッション部は、幅方向の断面が円弧状で、長手方向の断面が矩形状を呈する、かまぼこ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
上記ヘッド部には、上記クッション部が貼り付けられる円弧状の貼着面が設けられており、上記貼着面に追従して上記クッション部の表面が円弧状を呈することを特徴とする請求項1または2に記載の清掃具。
【請求項4】
上記クッション部は発泡体からなり、上記クッション部の表面には、上記清掃シートに含浸される洗浄液が上記クッション部内に浸透しないようにするための浸透防止層が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の清掃具。
【請求項5】
上記浸透防止層は、上記クッション部に沿って貼着されたフィルムシートからなることを特徴とする請求項4に記載の清掃具。
【請求項6】
所定の清掃具に取り付けて用いられる使い捨ての網戸用清掃シートにおいて、
不織布からなるシート本体に所定の洗浄液が上記不織布自重の500%以上含浸されていることを特徴とする清掃シート。
【請求項7】
上記洗浄液には、乾燥後に被清掃面の表面をコーティングするワックス成分が配合されていることを特徴とする請求項6に記載の網戸用清掃シート。
【請求項8】
上記洗浄液には、防虫成分が配合されていることを特徴とする請求項6または7に記載の網戸用清掃シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−212267(P2008−212267A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51177(P2007−51177)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(390003562)株式会社ニトムズ (64)
【Fターム(参考)】