説明

清掃装置及びこれを用いた帯電装置、像保持体ユニット並びに画像形成装置

【課題】清掃部材の長寿命化を図りながら、線材に対する清掃性を良好に保つ。
【解決手段】線材11を清掃するために線材11の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材2と、これらの清掃部材2の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材11に対し清掃部材2の全てを接触、離間する線材接離機構3と、線材接離機構3により前記清掃部材2の全てが線材11に接触する状態で前記清掃部材2の全てを線材11の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構4とを備え、前記3以上の清掃部材2が、線材11の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材2a,2bと、線材11を介して前記一対の両側清掃部材2a,2bの反対側に位置し且つ線材11の長さ方向に対して前記両側清掃部材2a,2bの中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材2cとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置及びこれを用いた帯電装置、像保持体ユニット並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における画像形成装置で用いられる帯電装置には例えば放電ワイヤのような線材を用いたものがあり、この種の帯電装置における線材の清掃装置として、一対の清掃部材を用いて線材を挟むように清掃する技術が既に提案されている(特許文献1,2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−305135号公報(実施例,図1)
【特許文献2】特開2005−107236号公報(発明を実施するための最良の形態,図1,図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、線材に対する清掃性を良好に保つことが可能な清掃装置及びこれを用いた帯電装置、像保持体ユニット並びに画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、線材を清掃する清掃装置において、線材を清掃するために線材の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材と、これらの清掃部材の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材に対し清掃部材の全てを接触、離間する線材接離機構と、線材接離機構により前記清掃部材の全てが線材に接触する状態で前記清掃部材の全てを線材の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構とを備え、前記3以上の清掃部材が、線材の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材と、線材を介して前記一対の両側清掃部材の反対側に位置し且つ線材の長さ方向に対して前記両側清掃部材の中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材とを含むことを特徴とする清掃装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、両側清掃部材及び中間清掃部材の少なくともいずれかが、弾性基材を有し、この弾性基材表面に不織布を設けると共に、この不織布の表面に研磨材を設けるものであることを特徴とする清掃装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、両側清掃部材及び中間清掃部材が共通の構成を有するものであることを特徴とする清掃装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、中間清掃部材が、線材の長さ方向に対して両側清掃部材の中間位置のうち中央に配置されていることを特徴とする清掃装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、線材接離機構が、線材の長さ方向に交差する方向に対して中間清掃部材を移動自在に保持し、中間清掃部材を移動させることにより線材に対し両側清掃部材及び中間清掃部材の全てを接触、離間させるものであることを特徴とする清掃装置である。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る清掃装置において、線材接離機構が、中間清掃部材の移動位置を調整することによって中間清掃部材と両側清掃部材との間に位置する線材部分の各清掃部材に対する傾斜角度を調整可能としたことを特徴とする清掃装置である。
請求項7に係る発明は、請求項5に係る清掃装置において、線材接離機構が、各清掃部材が支持可能な支持部材を有し、この支持部材に対して両側清掃部材を固定的に取り付けると共に、中間清掃部材を移動自在に取り付け、線材に対して中間清掃部材を接触させたときに線材を撓ませ両側清掃部材と線材とを接触配置するものであることを特徴とする清掃装置である。
【0007】
請求項8に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、線材接離機構が、線材の長さ方向に交差する方向に対して両側清掃部材を移動自在に保持し、両側清掃部材を移動させることにより線材に対し両側清掃部材及び中間清掃部材の全てを接触、離間させるものであることを特徴とする清掃装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る清掃装置において、線材接離機構が、線材の長さ方向に対して両側清掃部材がその中間位置を揺動中心とし揺動自在に支持される揺動支持部材を有し、線材接触時に線材の姿勢に追従して両側清掃部材を接触配置させることを特徴とする清掃装置である。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る清掃装置において、揺動支持部材が、揺動中心に対応して支持突起が設けられる支持台と、この支持台の支持突起に嵌合する支持孔を有し且つ支持台上で揺動自在に保持される揺動部材とを有することを特徴とする清掃装置である。
請求項11に係る発明は、請求項9に係る清掃装置において、揺動支持部材が、揺動中心に対応して並ぶ複数の支持ピンからなる支持突起が設けられる支持台と、この支持突起である複数の支持ピンが嵌合する複数の支持孔を有し且つ支持台上で揺動自在に保持される揺動部材とを有することを特徴とする清掃装置である。
請求項12に係る発明は、請求項11に係る清掃装置において、揺動支持部材が、線材の配設位置を挟んだ位置に複数の支持孔が設けられた揺動部材を有するものであることを特徴とする清掃装置である。
請求項13に係る発明は、請求項9に係る清掃装置において、線材接離機構が、重心位置から変位した位置に揺動位置が設けられる揺動支持部材を有し、両側清掃部材を線材から離間させたとき前記揺動支持部材を重力にて傾動させることで線材に対し両側清掃部材の一方を軽接触配置させることを特徴とする清掃装置である。
【0008】
請求項14に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、線材接離機構が、中間清掃部材と両側清掃部材との間の線材の長さ方向に対する間隔をd、線材接触時における両側清掃部材の線材接触面位置に対する中間清掃部材の線材接触面位置の相対差に相当する食い込み量をkとすると、k/dが0.2以上0.7以下の範囲内であることを特徴とする清掃装置である。
請求項15に係る発明は、請求項1に係る清掃装置において、清掃移動機構が、線材接離機構により線材に前記全ての清掃部材が接触した状態で、線材の長さ方向に沿って往復するものであることを特徴とする清掃装置である。
請求項16に係る発明は、被帯電体に対向して開口する帯電容器と、この帯電容器内に配設される帯電用線材と、この帯電用線材を清掃する清掃装置とを備えた帯電装置であって、前記清掃装置が、線材を清掃するために線材の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材と、これらの清掃部材の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材に対し清掃部材の全てを接触、離間する線材接離機構と、線材接離機構により前記清掃部材の全てが線材に接触する状態で前記清掃部材の全てを線材の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構とを備え、前記3以上の清掃部材が、線材の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材と、線材を介して前記一対の両側清掃部材の反対側に位置し且つ線材の長さ方向に対して前記両側清掃部材の中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材とを含むことを特徴とする帯電装置である。
【0009】
請求項17に係る発明は、請求項16に係る帯電装置において、帯電容器の開口部に格子状電極を有することを特徴とする帯電装置である。
請求項18に係る発明は、請求項16に係る帯電装置において、両側清掃部材及び中間清掃部材のいずれかが帯電用線材のうち被帯電体に対向する面を清掃可能に配置されていることを特徴とする帯電装置である。
請求項19に係る発明は、請求項16に係る帯電装置のうち、被帯電体の上方に配置される態様において、清掃移動機構が、両側清掃部材及び中間清掃部材の下方に設けられ且つ全ての清掃部材と共に移動可能な清掃受け部材を備えていることを特徴とする帯電装置である。
請求項20に係る発明は、請求項16に係る帯電装置において、清掃移動機構が、帯電容器の帯電可能領域から外れた帯電用線材の長手方向端部寄りに非清掃時の清掃装置が待機可能な清掃待機室を有し、清掃時に清掃待機室から清掃装置を移動させることを特徴とする帯電装置である。
【0010】
請求項21に係る発明は、作像材料にて潜像を可視像化した像が保持される像保持体と、この像保持体を帯電する帯電装置とを含み、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられる像保持体ユニットであって、前記帯電装置が、像保持体に対向して開口する帯電容器と、この帯電容器内に配設される帯電用線材と、この帯電用線材を清掃する清掃装置とを備え、前記清掃装置が、線材を清掃するために線材の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材と、これらの清掃部材の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材に対し清掃部材の全てを接触、離間する線材接離機構と、線材接離機構により前記清掃部材の全てが線材に接触する状態で前記清掃部材の全てを線材の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構とを備え、前記3以上の清掃部材が、線材の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材と、線材を介して前記一対の両側清掃部材の反対側に位置し且つ線材の長さ方向に対して前記両側清掃部材の中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材とを含むことを特徴とする像保持体ユニットである。
【0011】
請求項22に係る発明は、作像材料にて潜像を可視像化した像が保持される像保持体と、この像保持体を帯電する帯電装置とを備えた画像形成装置であって、前記帯電装置が、像保持体に対向して開口する帯電容器と、この帯電容器内に配設される帯電用線材と、この帯電用線材を清掃する清掃装置とを備え、前記清掃装置が、線材を清掃するために線材の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材と、これらの清掃部材の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材に対し清掃部材の全てを接触、離間する線材接離機構と、線材接離機構により前記清掃部材の全てが線材に接触する状態で前記清掃部材の全てを線材の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構とを備え、前記3以上の清掃部材が、線材の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材と、線材を介して前記一対の両側清掃部材の反対側に位置し且つ線材の長さ方向に対して前記両側清掃部材の中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材とを含むことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、清掃部材の移動方向によらず、線材に対する清掃部材の移動姿勢を安定させることができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、強靱で柔軟性を有し、目詰まりが少なく研磨性に優れた清掃部材を用い、良好な清掃効果を発揮することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、両側清掃部材、中間清掃部材の共用化を図ることができ、清掃装置の構成を簡略化することができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、清掃部材の移動方向が異なっても、各清掃部材の移動姿勢をより安定にすることができる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、簡単な構成で、線材に対する各清掃部材の接触、離間動作を実現することができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、簡単な構成で、線材に対する各清掃部材の接触状態を調整することができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、簡単な機構で、線材に対して各清掃部材を接触配置することができる。
【0013】
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、中間清掃部材の両側エッジ部と線材との接触状態を安定させることができ、その分、中間清掃部材による清掃性能を良好に保つことができる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、線材の姿勢に倣って両側清掃部材を配置させることができ、両側清掃部材のエッジ部に対して線材が不必要に強く片当たりする事態を抑えることができる。
請求項10に係る発明によれば、両側清掃部材を簡単に揺動支持することができる。
請求項11に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、両側清掃部材の揺動中心位置を安定させることができる。
請求項12に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、両側清掃部材と線材との接触状態を揺動中心位置に沿った幅方向に対し安定させることができる。
請求項13に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、線材から両側清掃部材を離間させたときの両側清掃部材の待機位置を安定させることができる。
請求項14に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、線材に対する清掃部材の清掃性能を良好にすることができる。
請求項15に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、線材に対する清掃部材の清掃性能をより良好に保つことができる。
【0014】
請求項16に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、清掃部材の移動方向によらず、帯電用線材に対する清掃部材の移動姿勢を安定させることができ、清掃装置による清掃性能を良好に保つことが可能な帯電装置を容易に構築することができる。
請求項17に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、帯電用線材の清掃性能を良好に保ち、被帯電体に対する格子状電極を用いた帯電均一性をより安定させることができる。
請求項18に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、被帯電体に対する帯電用線材による帯電性能をより安定させることができる。
請求項19に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、清掃部材にて清掃された清掃物を受け止め、帯電装置内や帯電装置外を汚すことなく対処することができる。
請求項20に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、帯電装置の帯電性能を良好に保つことができる。
請求項21に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、清掃部材の移動方向によらず、線材に対する清掃部材の移動姿勢を安定させることができ、清掃装置による清掃性能を良好に保つことが可能な像保持体ユニットを容易に構築することができる。
請求項22に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、清掃部材の移動方向によらず、線材に対する清掃部材の移動姿勢を安定させることができ、清掃装置による清掃性能を良好に保つことが可能な画像形成装置を容易に構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
先ず、本発明が適用される実施の形態モデルの概要について説明する。
◎実施の形態モデルの概要
図1(a)(b)は本発明を具現化する実施の形態モデルに係る記録材処理装置の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、作像材料にて潜像を可視像化した像が保持される像保持体15と、この像担持体15を帯電する帯電装置10とを備えている。
そして、像保持体15は感光体、誘電体を問わず、また、その形態もドラム状、ベルト状を問わないし、画像形成装置による作像画像(単色画像、複数色画像)に応じて単一、複数のいずれでもよい。
また、帯電装置10は、像保持体15に対向して開口する帯電容器12と、この帯電容器12内に配設される帯電用線材11と、この帯電用線材11を清掃する清掃装置1とを備えている。
ここで、帯電装置10としては、帯電性の均一性をより良好に保つには、帯電容器12の開口部に格子状電極13を設けることが好ましい。
【0016】
更に、実施の形態モデルでは、清掃装置1は、特に図1(c)に示すように、帯電用線材11を清掃するために帯電用線材11の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材2(図1では3つ)と、これらの清掃部材2の少なくともいずれか一つを移動可能とし、帯電用線材11に対し清掃部材2の全てを接触、離間する線材接離機構3と、線材接離機構3により前記清掃部材2の全てが帯電用線材11に接触する状態で前記清掃部材2の全てを帯電用線材11の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構4とを備え、前記3以上の清掃部材2が、帯電用線材11の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材2a,2bと、帯電用線材11を介して前記一対の両側清掃部材2a,2bの反対側に位置し且つ帯電用線材11の長さ方向に対して前記両側清掃部材2a,2bの中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材2cとを含むものである。
【0017】
このような技術的手段において、清掃部材2は3以上あればよく、両側清掃部材2a,2bと少なくとも一つの中間清掃部材2cとの3つを含んでいればよい。例えば中間清掃部材2cと同じ側で例えば両側清掃部材2a,2bの帯電用線材11の長さ方向外側に別の清掃部材を設けてもよい。また、中間清掃部材2cは、両側清掃部材2a,2b間の任意の位置(中間位置)に設けられていればよく、中間清掃部材2cが複数あってもよい。
また、線材接離機構3としては、少なくともいずれか一つを移動可能にすればよいが、帯電用線材11に対し全ての清掃部材2を接触又は離間することを要する。
更に、清掃移動機構4としては、線材接離機構3により帯電用線材11に接触した清掃部材2を帯電用線材11の長さ方向に沿って移動させるものであればよく、移動量や移動方向については適宜選定可能である。
【0018】
このような清掃装置1において、清掃部材2の代表的態様としては、弾性基材を有し、この弾性基材の清掃面側表面に不織布を設けると共に、この不織布の表面に研磨機能を有する研磨材(層状のものに限らず粉末粒子を塗布した態様など広く含む)を設けるようにしたものが好ましい。
また、清掃装置1の構成を簡略化にするには、両側清掃部材2a,2b及び中間清掃部材2cを共通の構成にすることが好ましい。
更に、中間清掃部材2cの配置関係として、清掃部材2の異なる移動方向に対して両側清掃部材2a,2bの移動姿勢をより安定させるという観点からすれば、帯電用線材11の長さ方向に対して両側清掃部材2a,2bの中間位置のうち中央に配置することが好ましい。
更にまた、線材接離機構3の代表的態様としては、帯電用線材11の長さ方向に交差する方向に対して中間清掃部材2cを移動自在に保持し、中間清掃部材2cを移動させることにより帯電用線材11に対し両側清掃部材2a,2b及び中間清掃部材2cの全てを接触、離間させるものであることが挙げられる。
このような態様においては、清掃部材2による清掃性能を調整し易くするという観点からすれば、中間清掃部材2cの移動位置を調整することによって中間清掃部材2cと両側清掃部材2a,2bとの間に位置する線材部分の各清掃部材2に対する傾斜角度を調整可能とすることが好ましい。
そしてまた、このような線材接離機構3の好ましい態様としては、各清掃部材2が支持可能な支持部材5を有し、この支持部材5に対して両側清掃部材2a,2bを固定的に取り付けると共に、中間清掃部材2cを移動自在に取り付け、帯電用線材11に対して中間清掃部材2cを接触させたときに帯電用線材11を撓ませ両側清掃部材2a,2bと帯電用線材11とを接触配置するものが挙げられる。
【0019】
更に、線材接離機構3の別の代表的態様としては、帯電用線材11の長さ方向に交差する方向に対して両側清掃部材2a,2bを移動自在に保持し、両側清掃部材2a,2bを移動させることにより帯電用線材11に対し両側清掃部材2a,2b及び中間清掃部材2cの全てを接触、離間させるものが挙げられる。
本態様において、線材接離機構3として、両側清掃部材2a,2bと帯電用線材11との間の接触性を良好に保つという観点からすれば、帯電用線材11の長さ方向に対して両側清掃部材2a,2bがその中間位置を揺動中心とし揺動自在に支持される揺動支持部材を有し、帯電用線材11接触時に帯電用線材11の姿勢に追従して両側清掃部材2a,2bを接触配置させる態様が好ましい。
ここで、揺動支持部材としては揺動自在に支持する機能部材であれば適宜選定して差し支えないが、揺動支持部材の代表的態様としては、揺動中心に対応して支持突起が設けられる支持台と、この支持台の支持突起に嵌合する支持孔を有し且つ支持台上で揺動自在に保持される揺動部材とを有する態様が挙げられる。
特に、揺動支持部材の態様として、揺動中心位置を安定させるという観点からすれば、揺動中心に対応して並ぶ複数の支持ピンからなる支持突起が設けられる支持台と、この支持突起である複数の支持ピンが嵌合する複数の支持孔を有し且つ支持台上で揺動自在に保持される揺動部材とを有する態様が好ましい。
そして、本態様において、両側清掃部材2a,2bと帯電用線材11との接触状態をより良好に保つという観点からすれば、帯電用線材11の配設位置を挟んだ位置に複数の支持孔が設けられた揺動部材を有する態様が好ましい。
また、両側清掃部材2a,2bの待機位置を安定させるという観点からすれば、線材接離機構3は、重心位置から変位した位置に揺動位置が設けられる揺動支持部材を有し、両側清掃部材2a,2bを帯電用線材11から離間させたとき揺動支持部材を重力にて傾動させることで帯電用線材11に対し両側清掃部材2a,2bの一方を軽接触配置させる態様が好ましい。
【0020】
更に、帯電用線材11接触時における両側清掃部材2a,2bと中間清掃部材2cとの配置関係については、中間清掃部材2cと両側清掃部材2a,2bとの間の帯電用線材11の長さ方向に対する間隔をd、帯電用線材11接触時における両側清掃部材2a,2bの帯電用線材接触面位置に対する中間清掃部材2cの帯電用線材接触面位置の相対差に相当する食い込み量をkとすると、k/dは0.2以上0.7以下の範囲内であることが好ましい。
ここで、0.2未満であると、帯電用線材11に対する清掃部材2による圧接力が不足し、0.7を超えると、前記圧接力が大き過ぎて清掃部材2の損傷を早める懸念があることによる。この点については、後述する実施例にて裏付けられる。
更にまた、清掃移動機構4として、清掃装置1による清掃性を良好に保つという観点からすれば、線材接離機構3により帯電用線材11に前記全ての清掃部材2が接触した状態で、帯電用線材11の長さ方向に沿って往復する態様が好ましい。
この場合、清掃部材2による移動方向が変わる場合には、帯電用線材11に対して接触状態のままでもよいが、清掃部材2の損傷を極力抑えるという観点からすれば、清掃部材2による移動方向が変わる場合に、帯電用線材11から清掃部材2を一時的に離間させた後に再接触させるようにすることが好ましい。
【0021】
また、帯電装置10の清掃部材2として、帯電装置10の帯電性能を良好に保つという観点からすれば、清掃部材2のいずれかは帯電用線材11の被帯電体としての像保持体15側を清掃可能とするのが好ましい。
更に、帯電装置10が被帯電体としての像保持体15の上方に配置される態様において、清掃装置1に清掃物による汚れを有効に防止するという観点からすれば、清掃装置1の清掃移動機構4は、両側清掃部材2a,2b及び中間清掃部材2cの下方にこれらを覆うように設けられ且つ全ての清掃部材2と共に移動可能な清掃受け部材6を備えていることが好ましい。
更にまた、帯電装置10の清掃装置1として、帯電装置10による帯電性能を良好に保つという観点からすれば、帯電容器12の帯電可能領域から外れた帯電用線材11の長手方向端部寄りに非清掃時の清掃装置1が待機可能な清掃待機室を有し、清掃時に清掃待機室から清掃装置1を移動させることが好ましい。
【0022】
次に、図1に示す実施の形態モデルで用いられる清掃装置の性能について検討する。
今、図2(a)に示す態様では、例えば中間清掃部材2cが線材接離機構3(図1参照)にて移動し、両側清掃部材2a,2bが支持部材5に固定配置されており、両側清掃部材2a,2b及び中間清掃部材2cが帯電用線材11に接触又は離間し、全ての清掃部材2(2a〜2c)が帯電用線材11に接触した状態で、矢印で示す往路方向及び復路方向に移動するものと仮定する。
ここで、図2(b)に示すように、全ての清掃部材2(2a〜2c)が矢印で示す往路方向に移動すると、中間清掃部材2cを挟んで往路方向側に位置する両側清掃部材2aでは、図3(a)に示すように、両側清掃部材2aの移動に伴って帯電用線材11が相対的に移動することになり、両側清掃部材2aには、両側清掃部材2aから中間清掃部材2cに向かう帯電用線材11の動作方向に向かって作用力F(−Fx1,−Fy1)が働き、両側清掃部材2aは支持部材5の中央固定点である清掃部材固定点を中心に帯電用線材11から逃げる方向に傾く。
一方、中間清掃部材2cを挟んで往路方向の反対側に位置する両側清掃部材2bでは、図3(a)に示すように、両側清掃部材2bの移動に伴って帯電用線材11が相対的に移動することになり、両側清掃部材2bには、中間清掃部材2cから両側清掃部材2bに向かう帯電用線材11の動作方向に向かって作用力F(−Fx2,Fy2)が働き、両側清掃部材2bは支持部材5の中央固定点である清掃部材固定点を中心に帯電用線材11に押し当たる方向に傾く。
【0023】
逆に、図2(c)に示すように、全ての清掃部材2(2a〜2c)が矢印で示す復路方向に移動すると、中間清掃部材2cを挟んで復路方向に位置する両側清掃部材2bでは、図3(b)に示すように、両側清掃部材2bの移動に伴って帯電用線材11が相対的に移動することになり、両側清掃部材2bには、両側清掃部材2bから中間清掃部材2cに向かう帯電用線材11の動作方向に向かって作用力F(Fx2,−Fy2)が働き、両側清掃部材2bは支持部材5の中央固定点である清掃部材固定点を中心に帯電用線材11から逃げる方向に傾く。
一方、中間清掃部材2cを挟んで復路方向の反対側に位置する両側清掃部材2aでは、図3(b)に示すように、両側清掃部材2aの移動に伴って帯電用線材11が相対的に移動することになり、両側清掃部材2aには、中間清掃部材2cから両側清掃部材2aに向かう帯電用線材11の動作方向に向かって作用力F(Fx1,Fy1)が働き、両側清掃部材2aは支持部材5の中央固定点である清掃部材固定点を中心に帯電用線材11に押し当たる方向に傾く。
このように、清掃部材2の移動方向が往路方向と復路方向とでは、両側清掃部材2a,2bの傾きが逆になるが、両側清掃部材2a,2bの両者にて帯電用線材11を清掃する力は加算されて同じになる。このため、清掃部材2の移動方向が異なるとしても、両側清掃部材2a,2b及び中間清掃部材2cによる清掃力は略等しいものに保たれるため、清掃部材2の移動方向の違いに起因して、清掃部材2による清掃力が極端に低下するという事態は抑えられる。
【0024】
このような実施の形態モデルの性能を評価するに当たり、図4(a)に示す比較の態様の性能と対比する。
この比較の形態にあっては、帯電用線材211を挟むように2つの清掃部材201,202を配置し、図示外の接離移動機構にて例えば清掃部材202を接離自在に配置すると共に、図示外の支持部材に前記他方の清掃部材201を固定配置し、2つの清掃部材201,202が帯電用線材211に接触した状態で、矢印で示す往路方向及び復路方向に移動するものと仮定する。
ここで、図4(b)に示すように、2つの清掃部材201,202が矢印で示す往路方向に移動すると、往路方向の反対側に位置する清掃部材202では、図5(a)に示すように、清掃部材202の移動に伴って帯電用線材211が相対的に移動することになり、清掃部材202には、一方の清掃部材201から他方の清掃部材202に向かう帯電用線材211の動作方向に向かって作用力F(−Fx,Fy)が働き、清掃部材202は当該清掃部材202の固定点を中心に帯電用線材211に押し当たり、帯電用線材211から離間する方向に角度θで傾く。
【0025】
一方、図4(c)に示すように、2つの清掃部材201,202が矢印で示す復路方向に移動すると、復路方向に位置する清掃部材202では、図5(b)に示すように、清掃部材202の移動に伴って帯電用線材211が相対的に移動することになり、清掃部材202には、当該清掃部材202から他方の清掃部材201に向かう帯電用線材211の動作方向に向かって作用力F(Fx,−Fy)が働き、清掃部材202は当該清掃部材の固定点を中心に帯電用線材211から逃げる方向に移動し、帯電用線材211に接近する方向に角度θ(θ<θ)で傾く。
このように、比較の形態にあっては、清掃部材201,202の移動方向が往路方向と復路方向とで、帯電用線材211に対する清掃部材202の傾きが異なるため、往路方向と含む方向とで清掃部材202による清掃力に差が発生し、清掃部材201,202の移動方向によっては清掃力が不足する懸念が生ずる。
【0026】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図6は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
同図において、画像形成装置は、所定方向に回転する像保持体としての感光体21と、この感光体21を帯電する帯電装置22と、帯電された感光体21上に静電潜像を書き込む潜像書込装置としての露光装置と、感光体21上の静電潜像を現像剤にて可視像化する現像装置23と、感光体21上の現像剤による可視像を図示外の記録材又は中間転写体に転写する転写装置24と、感光体21上に残留する現像剤による可視像を清掃する像清掃装置25とを備えている。
ここで、現像装置23としては、一成分現像方式、二成分現像方式を問わず適宜選定して差し支えないが、本実施の形態では、二成分現像方式の態様(例えば二成分現像剤が収容される現像容器231に現像ロール232を配設し、この現像容器231内には現像剤を撹拌しながら搬送する撹拌搬送部材233を配設し、撹拌搬送部材233にて撹拌搬送された現像剤を例えば現像剤補給ロール234を用いて現像ロール232に供給し、層厚規制部材235にて現像ロール232上の現像剤層厚を規制し、感光体21に対向する現像域に現像剤を供給する態様)が用いられている。
また、転写装置24としては、感光体21上の可視像を記録材又は中間転写体に転写する機能部材を備えたものであれば、図示した転写ロールを用いた態様に限られるものではなく、放電ワイヤを用いた態様であってもよい。尚、本実施の形態において、転写装置24として、放電ワイヤを用いた態様を採用した場合には、帯電装置22として放電ワイヤを用いた態様の構成を利用するようにしてもよい。
更に、像清掃装置25としては、感光体21上の残留現像剤を清掃するものであれば適宜選定して差し支えないが、本実施の形態では、例えば清掃容器251に板状の清掃ブレード252及び清掃ブラシ253を配設し、清掃容器251内には回収した残留現像剤を均す均し搬送部材254を配設したものが用いられる。
【0027】
特に、本実施の形態では、図6及び図7に示すように、感光体21、帯電装置22及び像清掃装置25は像保持体ユニット30として一ユニット化されている。
そして、帯電装置22は、感光体21の上方にギャップにて非接触配置され、当該感光体21の軸方向に沿って延び且つ放電を遮断する素材にて感光体21側に開口する断面略U字状に形成される帯電容器41と、この帯電容器41の長さ方向に沿って設けられる帯電用線材としての放電ワイヤ42(図8参照)と、前記帯電容器41の開口部に設けられて帯電電位を調整する格子状電極43(図9以降では格子状電極を省略)とを備えている。
ここで、放電ワイヤ42は、帯電容器41の長手方向両端に設けられた絶縁部材間に、少なくとも一方側に張力付勢用の弾性ばね44(図11参照)を介在させて張架されており、図示外の放電用バイアス電源が接続されている。この放電ワイヤ42の本数は少なくとも1本でよいが、複数設けるようにしてもよい。
また、放電ワイヤ42としては、例えばタングステン、カーボンタングステン、金メッキタングステンなどにてワイヤ径30μmから40μmのものが使用されており、その引っ張り力は30〜80gf(0.29〜0.78N)程度に設定されている。
【0028】
更に、本実施の形態では、帯電装置22は、図8ないし図12に示すように、放電ワイヤ42を定期的に清掃する清掃装置50を備えている。
本実施の形態において、帯電容器41は、感光体21の軸方向における最大画像形成領域よりも長く形成されており、その一端側には非清掃時に清掃装置50が待機可能な清掃待機室45が確保されている。
ここで、清掃装置50は、放電ワイヤ42を清掃する清掃具51と、この清掃具51を帯電容器41の長手方向に沿って移動させる清掃移動機構90とを備えている。
本実施の形態において、清掃具51は、帯電容器41の長手方向に沿って移動可能な可動台52を有し、この可動台52に放電ワイヤ42の長さ方向に沿って離間配置される3つの清掃パッド60(60a〜60c)を設けたものである。
【0029】
可動台52は、帯電容器41の長手方向に沿って摺動可能な枠形状からなる支持枠53を有し、この支持枠53には各清掃パッド60(60a〜60c)の下方側を覆う清掃受け部材54を設けると共に、帯電容器41の頂部に形成された長手方向に沿って延びる案内溝411に摺動可能に嵌まる案内突起55を設けたものである。
また、本実施の形態では、清掃受け部材54上には放電ワイヤ42の感光体21側面に接触可能な一対の両側清掃パッド60a,60bが固定配置されており、一方、放電ワイヤ42を挟む方向の他方側で且つ放電ワイヤ42の長さ方向に対して両側清掃パッド60a,60bの略中央には中間清掃パッド60cが線材接離機構70(図12参照)を介して支持枠53に移動可能に配置されている。
【0030】
そして、本実施の形態では、線材接離機構70は、図12(a)に示すように、支持枠53に揺動軸71を中心として揺動可能な揺動アーム72を設け、この揺動アーム72の揺動自由端に設けられた固定受部73に前記中間清掃パッド60cを固定配置すると共に、中間清掃パッド60cが放電ワイヤ42と非接触な退避位置と放電ワイヤ42に接触する清掃位置との間で移動可能とし、更に、中間清掃パッド60cの清掃位置側に向けて揺動アーム72を中間清掃パッド60cを付勢ばね75にて押圧付勢するようにしたものである。尚、揺動アーム72は図示外のストッパにて前記清掃位置にて停止するようになっている。
この線材接離機構70は、付勢ばね75の付勢力にて揺動アーム72を揺動させることにより中間清掃パッド60cを清掃位置に設定し、この中間清掃パッド60cに対応する放電ワイヤ42部分を下方に押し下げ、これに伴って、両側清掃パッド60a,60bに対応する放電ワイヤ42部分を前記両側清掃パッド60a,60bに接触配置するようにしたものである。
【0031】
特に、本実施の形態では、図12(a)に示すように、各清掃パッド60(60a〜60c)の放電ワイヤ42の長さ方向に沿う幅寸法をw(wa〜wc)、同厚さをh(ha〜hc)、清掃パッド60間の放電ワイヤ42の長さ方向に沿う間隔d(d1,d2)、両側清掃パッド60a,60bの放電ワイヤ接触面に対する中間清掃パッド60cの放電ワイヤ接触面の相対差に相当する食い込み量をkとした場合に、w=3〜5mm、h=1〜2mm、d=0.5〜1.5mm、k=0.4〜1.8mm程度に設定することが好ましい。
特に、k/dについては、0.2〜0.7の範囲で設定するのが好ましい。
このことは後述する実施例に裏付けられる。
本実施の形態では、各清掃パッド60(60a〜60c)の寸法や配設位置関係については夫々個別に設定しても差し支えないが、清掃具51の移動方向の違いによる清掃性の差異を極力少なく抑えるという観点からすれば、各清掃パッド60(60a〜60c)として同じ構成とし、かつ、中間清掃パッド60cを挟んだ両側清掃パッド60a,60bの配設位置関係を同様に設定することが好ましい。
【0032】
また、本実施の形態において、清掃パッド60(60a〜60c)は放電ワイヤ42を清掃可能であれば適宜選定して差し支えないが、清掃性を考慮して例えば以下のように全て同様に構成にてされている。
つまり、清掃パッド60は、図12(b)に示すように、例えばスポンジ、フェルト、発泡樹脂などのように多孔質で柔軟性を有する弾性基材61を有し、この弾性基材61上には表面に凹凸加工が施された不織布63を接着剤62を介して貼り付け、更に、不織布63の表面に粉体層64を設け、この粉体層64にはアルミナ、カーボンランダム、ダイヤモンドなどの如く研磨機能を有する研磨剤65を、例えば接着剤62に混入して塗布したり、あるいは、不織布63の表面に接着剤62を塗布して研磨剤65を散布し、その上に接着剤62を薄く塗布するようにしたものである。
尚、不織布とは繊維を接着したもの、あるいは、繊維をからめたものを広く含むものである。
【0033】
また、本実施の形態では、線材接離機構70は、清掃具51が初期位置及び帯電容器41の反対側端部に位置するときに、中間清掃パッド60cを退避位置に退避させる退避機構80を備えている。
この退避機構80は、図13ないし図15に示すように、揺動アーム72の揺動軸71を揺動点として前記揺動アーム72に交差して揺動軸71の両方向に延びる退避用揺動アーム82を有し、中間清掃パッド60cが清掃位置に設定されている条件にて退避用揺動アーム82の両方の自由端には夫々清掃具51の端部から突出する突出部83,84を設け、前記帯電容器41の両端部には夫々例えばブロック状の塞き止め部材85,86を配設したものである。
【0034】
本実施の形態においては、例えば清掃具51が初期位置に位置する場合には、前記退避用揺動アーム82の一方の突出部83を塞き止め部材85に当てて清掃具51内に前記突出部83を押し込むように退避用揺動アーム82を揺動させ、中間清掃パッド60cを退避位置に移動させる(図13参照)。この状態において、各清掃パッド60(60a〜60c)は放電ワイヤ42と非接触配置される。
一方、清掃具51が初期位置から帯電容器41の長手方向に沿って移動し始めると、図14に示すように、清掃具51が移動するにつれて、退避用揺動アーム82の突出部83と塞き止め部材85との位置拘束がなくなり、付勢ばね75の付勢力によって揺動アーム72が押し下げられ、中間清掃パッド60cが退避位置から清掃位置へ設定される。このため、放電ワイヤ42は各清掃パッド60(60a〜60c)に接触配置される。
更に、清掃具51が帯電容器41の初期位置と初期位置とは反対側の端部に到達すると、前記退避用揺動アーム82の他方の突出部84を塞き止め部材86に当てて清掃具51内に前記突出部84を押し込むように退避用揺動アーム82を揺動させ、中間清掃パッド60cを退避位置に移動させる(図15参照)。この状態において、各清掃パッド60(60a〜60c)は放電ワイヤ42と非接触配置される。
【0035】
更に、清掃移動機構90は、図7〜図12に示すように、可動台52の支持枠53の一部に雌ねじ部91を形成する一方、前記帯電容器41の長手方向に沿ってボールねじ軸92を配設し、前記雌ねじ部91にボールねじ軸92をねじ込み、ボールねじ軸92を駆動モータ93(図16参照)にて回転させ、清掃具51の可動台52を移動させるようにしたものである。
そして、清掃装置50の制御系としては例えば図16に示す態様が採用されている。
同図において、符号100は例えば清掃装置50による清掃処理プログラムを内蔵するマイクロコンピュータなどから構成される制御装置であり、また、101、102は清掃装置50の清掃具51が初期位置及び帯電容器41の初期位置とは反対側の端部に到達したことを検知する位置センサであり、例えばリミットスイッチなどが用いられる。
【0036】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について帯電装置の清掃装置を中心に説明する。
本実施の形態では、図16に示すように、制御装置100は画像形成回数をカウントし、画像形成回数が所定回数に到達する毎に清掃処理プログラムを実行し、初期位置に位置する清掃具51を往路方向に向かって移動させ、帯電容器41の初期位置とは反対側に到達した段階で位置センサ102からの検知信号に基づいて清掃具51を復路方向に移動させ、清掃具51が初期位置に戻った時点で位置センサ101からの検知信号に基づいて清掃具51の移動を停止させ、画像形成回数をリセットするようにしている。
尚、清掃処理プログラムの実行タイミングについては、所定の画像形成回数に限られるものではなく、予め決められた時間サイクル毎、あるいは、ユーザーの意思操作に応じて行うなど適宜選定して差し支えない。
【0037】
このような動作過程において、清掃装置50は非清掃時には帯電容器41の清掃待機室45に待機しているため、清掃装置50が帯電装置22による帯電動作を損なうという懸念はない。
また、清掃装置50の各清掃パッド60(60a〜60c)は、図13及び図17(a)に示すように、放電ワイヤ42と非接触であるため、清掃パッド60に放電ワイヤ42による食い込み痕が残存するということはない。
一方、清掃処理プログラム実行時には、制御装置100からの制御信号に基づいて清掃移動機構90が初期位置から清掃具51を往路方向に移動させる。
すると、図14及び図17(b)に示すように、清掃装置50の中間清掃パッド60cが清掃位置に移動し、これに伴って、両側清掃パッド60a,60b及び中間清掃パッド60cが放電ワイヤ42に接触配置され、放電ワイヤ42を挟んだ状態で移動していく。
【0038】
このとき、両側清掃パッド60a,60bが放電ワイヤ42の感光体21側を、中間清掃パッド60cがその反対側面を拭き取るように移動するため、放電ワイヤ42に付着する放電生成物のうち感光体21側に付着したものは確実に清掃されることになり、放電ワイヤ42の清掃性は良好に保たれる。
また、3つの清掃パッド60(60a〜60c)にて放電ワイヤ42を清掃しているため、例えば2つの清掃パッドを使用する場合に比べて清掃面積が広くなり、その分、清掃具51による清掃性能を高くすることが可能である。
この場合、例えば中間清掃パッド60cの食い込み量を小さく設定した場合には、清掃パッド60の拭き取り性能が弱くなるが、清掃具51による清掃面積を拡大しているため、両者の調整により、清掃具51の清掃能力を適正範囲に設定し易くなる。
更に、本実施の形態では、清掃具51は帯電容器41の初期位置とは反対側端部に到達すると、制御装置100からの制御信号に従って清掃移動機構90は清掃具51を復路方向へ移動させながら放電ワイヤ42を清掃する。
このとき、図2、図3にて説明したように、清掃具51による清掃力は、清掃具51の往路方向、復路方向で略同様であることから、清掃具51による清掃性は清掃具51の移動方向に拘わらず略一定に働く。
【0039】
特に、本実施の形態では、支持枠53に清掃受け部材54を設けているため、清掃パッド60にて放電ワイヤ42から拭き取った放電生成物が仮に落下したとしても、清掃受け部材54にて受け止められるため、放電生成物が格子状電極43や感光体21上に落下し、帯電装置22の帯電性能や感光体21上の潜像形成などに悪影響を及ぼす懸念はない。
更に、本実施の形態では、清掃具51が帯電容器41の初期位置とは反対側端部に到達すると、清掃パッド60(60a〜60c)が一旦放電ワイヤ42から離間した状態で清掃具51の移動方向が復路方向に切り替わり、再び清掃パッド60を放電ワイヤ42に接触配置する。
このため、本実施の形態では、清掃具51が往路方向から復路方向に切り替わる際に、清掃パッド60に放電ワイヤ42が局部的に食い込むことはなくなり、その分、清掃パッド60の寿命を延ばすことが可能である。
【0040】
◎実施の形態2
図18(a)(b)は本発明が適用された帯電装置に用いられる清掃装置の実施の形態2の概要を示す。
同図において、清掃装置50は、実施の形態1と同様に、放電ワイヤ42を清掃する清掃具51として、可動台52と共に移動可能で且つ放電ワイヤ42の長さ方向に沿って離間配置され3つの清掃パッド60(60a〜60c)を備えたものであるが、実施の形態1と異なり、可動台52内において、放電ワイヤ42の感光体21(図8参照)側に一対の両側清掃パッド60a,60bを線材接離機構70を介して配設すると共に、放電ワイヤ42を挟む方向の他方側で且つ放電ワイヤ42の長さ方向に対して両側清掃パッド60a,60bの略中央には中間清掃パッド60cを固定的に配設したものである。
ここで、可動台52の基本的構成は、実施の形態1と略同様であり、帯電容器41の長手方向に沿って摺動可能な枠形状からなる支持枠53を有し、この支持枠53には各清掃パッド60(60a〜60c)の下方側を覆う清掃受け部材54を設けると共に、帯電容器41の頂部に形成された長手方向に沿って延びる案内溝(図示外)に摺動可能に嵌まる案内突起55を設けたものである(図7〜図9,図20参照)。尚、実施の形態1と同様の構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施の形態において、清掃受け部材54は略U字状のチャネル材からなり、この清掃受け部材54に線材接離機構70を介して両側清掃パッド60a,60bが接離自在に設けられる。
本実施の形態において、線材接離機構70は、特に図19及び図20に示すように、清掃受け部材54の両側壁に揺動アーム110の一端に設けた回転支持軸111を回転可能に支持すると共に、この揺動アーム110の回転支持軸111には付勢ばね112を巻回させ且つこの付勢ばね112にて揺動アーム110を清掃受け部材54の底壁から離間する押上方向に付勢するようにしたものである。尚、揺動アーム110の回転支持軸111寄りに位置規制片113が突出形成されており、この位置規制片113がストッパ114に当接することで位置規制片113が揺動アーム110の押上位置が規制されるようになっている。
更に、本実施の形態では、揺動アーム110の揺動自由端側表面には例えば断面半円状の支持台120が設けられ、この支持台120に揺動支持プレート130が揺動自在に支持されている。
【0042】
この揺動支持プレート130の揺動支持構造としては、例えば支持台120の頂部に複数(本例では二つ)の支持ピン121,122を設けると共に、前記揺動支持プレート130には前記支持ピン121,122が嵌合する複数(本例では二つ)の支持孔131,132を開設し、この支持孔131,132に支持ピン121,122を嵌合させるようにしたものである。
本実施の形態では、図21(a)(b)に示すように、揺動支持プレート130の揺動中心位置は両側清掃パッド60a,60bの重心位置に対応して設定されており、しかも、揺動支持プレート130の支持孔131,132は放電ワイヤ42の配設位置を挟んで略線対称の位置関係になる寸法eの位置に開設されている。
また、本実施の形態において、線材接離機構70は、清掃装置50がホームポジションHP(図22参照)に位置する際に、放電ワイヤ42から両側清掃パッド60a,60bが離間させられて退避位置に移動する退避機構140を備えている。
この退避機構140は、揺動アーム110の一部に傾斜案内面141を形成し、この傾斜案内面141に対向した部位に退避用突起142を設け、前記傾斜案内面141に退避用突起142を衝合させ、前記揺動アーム110を付勢ばね112の付勢方向に抗して押し下げるものである。
【0043】
次に、本実施の形態に係る清掃装置の作動について説明する。
今、図22Aに示すように、清掃装置50がホームポジションHPに位置していると仮定すると、線材接離機構70は、図20(a)(b)に示すように、退避機構140(傾斜案内面141)が両側清掃パッド60a,60bを放電ワイヤ42から離間した退避位置に移動させる。
また、本実施の形態では、ホームポジションHPに位置する清掃装置50は例えば実施の形態1と同様なタイミングにて定期的に放電ワイヤ42を清掃する。
つまり、図示外の制御装置からの制御信号に基づいて、図示外の清掃移動機構(実施の形態1の清掃移動機構90参照)は、清掃装置50をホームポジションHP位置から往路方向(I方向)に移動した後、復路方向(II方向)へと移動するサイクルを所定回数繰り返した後、ホームポジションHPへと戻る。
【0044】
このとき、清掃装置50は、ホームポジションHPから往路方向へ移動すると、前記退避機構140による退避位置への退避状態が解消され、線材接離機構70の揺動アーム110の押上動作により両側清掃パッド60a,60bが清掃位置まで移動し、これに伴って、両側清掃パッド60a,60b及び中間清掃パッド60cが放電ワイヤ42に接触配置され、放電ワイヤ42を挟んだ状態で移動していく。
この状態において、両側清掃パッド60a,60bが放電ワイヤ42の感光体21側面を、中間清掃パッド60cがその反対側面を拭き取る。
特に、本実施の形態では、図22Bに示すように、両側清掃パッド60a,60bは揺動支持プレート130にて揺動中心位置O(図21参照)を揺動支点として揺動自在であるため、清掃装置50が往路方向に移動する際には、両側清掃パッド60a,60bは放電ワイヤ42の傾斜姿勢に追従して往路方向に向かって斜め上方に傾斜した姿勢になり、放電ワイヤ42への接触状態が略等しくなる。このため、中間清掃パッド60cの両エッジ部の2箇所が放電ワイヤ42に略均等に接触することになり、放電ワイヤ42を拭き取る。
この状態において、両側清掃パッド60a,60bの放電ワイヤ42への食い込み量を小さく設定した場合でも、各清掃パッド60による清掃性は良好に確保される。このため、仮に放電ワイヤ42を小径化したとしても、各清掃パッド60の放電ワイヤ42への食い込み圧(押し当て圧)を小さくすることが可能になり、清掃パッド60の長寿命化を図ることができる。
【0045】
更に、本実施の形態では、両側清掃パッド60a,60bを揺動支持する揺動支持プレート130は、揺動中心位置Oに対して並んだ複数の支持点(支持孔131,132)にて揺動支持されているため、揺動支持プレート130の揺動中心方向(幅方向)に対する姿勢が安定することになり、両側清掃パッド60a,60bの放電ワイヤ42への接触状態が安定する。
更にまた、揺動支持プレート130の支持点(支持孔131,132)は放電ワイヤ42の配設位置を挟んで線対称的な位置に設けられているため、両側清掃パッド60a,60bは放電ワイヤ42の感光体21側面を両側から安定的に包み込んで効果的に拭き取る。
次いで、図22に示すように、清掃装置50が往路方向の終端まで移動すると、復路方向へ移動を開始する。
このとき、図22Cに示すように、両側清掃パッド60a,60bは揺動支持プレート130にて揺動中心位置Oを揺動支点として揺動自在であるため、清掃装置50が復路方向に移動する際には、両側清掃パッド60a,60bは放電ワイヤ42の傾斜姿勢に追従して復路方向に向かって斜め上方に傾斜した姿勢になり、放電ワイヤ42への接触状態が略等しくなる。このため、中間清掃パッド60cの両エッジ部の2箇所が放電ワイヤ42に略均等に接触することになり、放電ワイヤ42を拭き取る。
このため、往路方向と同様に、清掃パッド60(60a〜60c)による清掃性は良好に保たれる。
【0046】
◎変形形態1
本実施の形態では、清掃装置50がホームポジションHPに位置する場合に退避機構140が働くようになっているが、例えば往路方向の終端位置にも退避機構150を配設するようにしてもよい。
このような態様にあっては、退避機構150としては、例えば図23に示すように、帯電容器41(図9参照)のうち清掃装置50の往路方向の終端位置に退避用突起152を設け、清掃装置50が往路方向の終端位置に到達したときに退避用突起152が揺動アーム110の一部に衝合し、揺動アーム110を付勢ばね112に抗して押し下げ、放電ワイヤ42から両側清掃パッド60a,60bを退避位置に退避させるようにすればよい。
尚、本変形形態では、傾斜配置される揺動アーム110の表面の一部を退避機構150の傾斜案内面として利用するようにしているが、これに限られるものではなく、ホームポジションHP側の退避機構140と同様に、揺動アーム110に傾斜案内面を別途設け、この傾斜案内面に対して前記退避用突起152を衝合させるように構成してもよいことは勿論である。
【0047】
◎変形形態2
本実施の形態では、揺動支持プレート130は両側清掃パッド60a,60bの重心位置付近に揺動中心位置Oを設定しているが、これに限られるものではなく、例えば図24(a)(b)に示すように、前記重心位置付近から変位して揺動中心位置O’を設定するようにしてもよい。
本態様にあっては、例えばホームポジションHPにおいて、退避機構140により両側清掃パッド60a,60bが放電ワイヤ42から離間した退避位置に退避した場合、両側清掃パッド60a,60bは重力の作用により揺動中心位置O’を揺動中心として一方側に傾く。このとき、一方の両側清掃パッド60bが放電ワイヤ42に軽接触することになることから、ホームポジションHPでの清掃具51の位置が安定する。
【実施例】
【0048】
◎実施例1
実施の形態1で用いられる帯電装置22の清掃装置50を実施例1とし、清掃具51を往路方向、復路方向に移動させたときのワイヤ引っ張り力を測定したところ、図25に示す結果が得られた。
図25の実施条件は以下の通りである。
・放電ワイヤ:
素材:タングステン線
ワイヤ径:40μm
・清掃パッド(図12(a)参照):
幅寸法w: 4mm
厚さh: 1mm
間隔d: 2mm
食い込み量k: 1mm
往路方向及び復路方向移動速度: 21.5mm/sec.
また、比較例1は実施例1の清掃パッド60bを取り外し、清掃パッド60a、60cの2つの清掃パッド(実施例1と同様な構成)を用い、以下に示す条件にて実施したところ、図26に示す結果が得られた。
図26の実施条件は以下の通りである。
・放電ワイヤ:
素材:タングステン線
ワイヤ径:40μm
幅寸法w: 4mm
厚さh: 1mm
間隔d: 1mm
食い込み量k: 1.6mm
往路方向及び復路方向移動速度: 21.5mm/sec.
図25によれば、実施例1では、ワイヤ引っ張り力が清掃具51の移動方向によらず略同一であることが理解される。
これに対して、図26によれば、比較例1では、ワイヤ引っ張り力が清掃具の移動方向によって異なり、特に、復路方向ではワイヤ引っ張り力が往路方向に比べて小さくなり、その分、清掃具による清掃力が不足する懸念がある。
【0049】
◎実施例2
実施の形態1で用いられる帯電装置22の清掃装置50を実施例2とし、食い込み量/パッド間隔(k/d)とワイヤ引っ張り力との関係を調べた。尚、実施例2の実施条件は実施例1と略同様であり、また、比較例1と同様の構成の比較例2を用い、実施例2と同様な試験を行った。
結果を図27に示す。
同図によれば、実施例2では、k/dが0.2〜0.7の範囲であればワイヤ引っ張り力が30〜80gf(0.29〜0.78N)であり、清掃具51による清掃性能は良好に保たれることが確認された。
尚、実施例2の他に、他の素材を用いたものについて実施例2と同様な試験を行ったところ、図27と略同様な傾向が見られた。
一方、比較例2では、k/dを0.9以上に大きくすることでワイヤ引っ張り力30〜60gf(0.29〜0.59N)であり、清掃に十分なワイヤ引っ張り力を得るのに食い込み量を大きくするか、清掃パッド間の間隔を小さくするなど設計上面倒になることが理解される。
【0050】
◎実施例3
実施の形態1で用いられる帯電装置22の清掃装置50を実施例3とし、清掃具51による清掃回数(往復一回を1回と計数)と放電不均一性(帯電装置22による長手方向における帯電性のばらつきに相当)との関係を調べた。
尚、実施例3の実施条件は実施例1と略同様であり、また、比較例1と同様の構成の比較例3を用い、実施例3と同様な試験を行った。
結果を図28に示す。
同図によれば、実施例3では、清掃回数が1000回に至るまで放電不均一性は10%程度に抑えられたが、比較例3では、清掃回数が100回を超える当たりから放電不均一性が直ちに増加する傾向が見られた。
尚、図28の変化傾向を見ると、比較例3に比べて実施例3が清掃具51の寿命の点で9〜10倍程度良好であることが理解される。
【0051】
◎実施例4
比較例4(比較例1と同様)において、清掃パッド食い込み量とワイヤ引っ張り力とを調べたところ、図29に示す結果が得られた。
また、比較例4において、清掃パッド食い込み量と放電電流不均一性とを調べたところ、図30に示す結果が得られた。
比較例4において、この図29、図30に基づいてワイヤ引っ張り力と放電電流不均一性との関係を調べたところ、図31に示す結果が得られた。
これらによれば、比較例4では放電電流不均一性を15%以下に抑えるにはワイヤ引っ張り力20gf以上必要であることが理解された。
よって、実施例4(実施例1と略同様)においても、ワイヤ引っ張り力としては20gf以上確保することが必要であると理解される。
【0052】
◎実施例5
比較例5(比較例1と略同様)において、放電ワイヤのワイヤ径30μmと、放電ワイヤのワイヤ径40μmとで、清掃パッド食い込み量を変え、清掃パッドに切れが生ずるか否かにつき清掃パッドの清掃回数を調べたところ、図32に示す結果が得られた。
図32によれば、比較例5において、ワイヤ径が40μmの場合、清掃パッド食い込み量が1.6mmの場合では、清掃回数が420回程度まで清掃パッドは切れないが、ワイヤ径が30μmに細くなると、清掃パッド食い込み量が1.6mmの場合では、清掃回数が90回程度で清掃パッドに切れが見られることが理解される。
つまり、比較例5では、ワイヤ径が40μmの場合、清掃パッド食い込み量が1.3mm以下であれば清掃回数が1000回維持可能であるが、ワイヤ径が30μmの場合には、清掃パッド食い込み量が1.0mm以下でなければ1000回以上維持することができないことが理解される。
この点、実施例5(実施例1と略同様)によれば、放電ワイヤ42のワイヤ径を30μmに細く、かつ、清掃パッド食い込み量を1.0mm以下に設定することが可能になり、本態様にて、清掃具51による清掃能力が良好に保たれることが理解される。
【0053】
◎実施例6
実施の形態2で用いられる帯電装置22の清掃装置50を実施例6とし、清掃具51による清掃回数(往復一回を1回と計数)と筋グレード(清掃装置50の清掃パッドに形成される食い込み痕の現れ状態グレードに相当)との関係を調べた。
尚、実施例6の実施条件は実施例1と略同様であり、また、比較例1と同様の構成の比較例6を用い、実施例6と同様な試験を行った。
結果を図33に示す。尚、図33において、筋グレードは1以下では良好(食い込み痕が目視できない程度)であることを示す。
同図によれば、実施例6では、清掃回数が700回に至るまで筋グレードは良好10%であることが理解されるが、比較例6では、清掃回数が400回を超える当たりから筋グレードが悪化する傾向が見られた。
尚、図33の変化傾向を見ると、比較例6に比べて実施例6が清掃具51の寿命の点で1.5倍程度良好であることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)は本発明を適用した実施の形態モデルに係る画像形成装置の概要を模式的に示す説明図、(b)はその側面説明図、(c)は清掃装置の代表的モデルを模式的に示す説明図である。
【図2】(a)は図1に示す実施の形態モデルで用いられる清掃装置の挙動の概要を示す説明図、(b)は清掃装置の往路での移動時における挙動を示す説明図、(c)は清掃装置の復路での移動時における挙動を示す説明図である。
【図3】(a)は図2(b)における両側清掃部材に作用する力を示す説明図、(b)は図2(c)における両側清掃部材に作用する力を示す説明図である。
【図4】(a)は比較の形態モデルで用いられる清掃装置の挙動の概要を示す説明図、(b)は清掃装置の往路での移動時における挙動を示す説明図、(c)は清掃装置の復路での移動時における挙動を示す説明図である。
【図5】(a)は図4(b)におけるV部に作用する力を示す説明図、(b)は図4(c)におけるV部に作用する力を示す説明図である。
【図6】本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
【図7】実施の形態1で用いられる像保持体ユニットの全体構成を示す説明図である。
【図8】図7中VIII−VIII線断面説明図である。
【図9】実施の形態1で用いられる帯電装置を感光体側から見た斜視図である。
【図10】(a)は図9中A部詳細図、(b)は図9中B方向から見た矢視図である。
【図11】実施の形態1で用いられる帯電装置に組み込まれた清掃装置付近を感光体側から見た説明図である。
【図12】(a)は図11中XII−XII線断面説明図、(b)は実施の形態1で用いられる清掃パッドの構成例を示す説明図である。
【図13】清掃装置の初期位置における状態を示す説明図である。
【図14】清掃装置が初期位置から移動し始めた直後の状態を示す説明図である。
【図15】清掃装置が帯電装置の初期位置と反対側端部に到達した時点の状態を示す説明図である。
【図16】実施の形態1で用いられる清掃装置の制御系の一例を示す説明図である。
【図17】(a)は清掃装置の非作動時の状態を示す説明図、(b)は清掃装置の作動時の状態を示す説明図である。
【図18】(a)(b)は実施の形態2で用いられる清掃装置の概要を示す説明図であり、(a)は清掃時の状態を、(b)は非清掃時の状態を示す。
【図19】実施の形態2で用いられる清掃装置を示す分解斜視図である。
【図20】(a)は実施の形態2で用いられる清掃装置の清掃時における状態を示す正面説明図、(b)は同清掃装置の非清掃時における状態を示す正面説明図である。
【図21】(a)は両側清掃パッドの揺動支持構造の一例を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図22】実施の形態2で用いられる清掃装置の動作状態を示す説明図である。
【図23】実施の形態2で用いられる清掃装置の変形形態を示す説明図である。
【図24】(a)は実施の形態2で用いられる清掃装置の両側清掃パッドの揺動支持構造の変形形態を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【図25】実施例1に係る清掃装置使用時における往路、復路でのワイヤ引っ張り力変化を示す説明図である。
【図26】比較例1に係る清掃装置使用時における往路、復路でのワイヤ引っ張り力変化を示す説明図である。
【図27】実施例2及び比較例2における食い込み量/パッド間隔とワイヤ引っ張り力との関係を示す説明図である。
【図28】実施例3及び比較例3における清掃回数と放電不均一性との関係を示す説明図である。
【図29】比較例4における清掃パッド食い込み量とワイヤ引っ張り力との関係を示す説明図である。
【図30】比較例4における清掃パッド食い込み量と放電電流不均一性との関係を示す説明図である。
【図31】比較例4におけるワイヤ引っ張り力と放電電流不均一性との関係を示す説明図ある。
【図32】比較例5における放電ワイヤ径に対する清掃パッドの耐久性を調べた結果を示す説明図である。
【図33】実施例6及び比較例6における清掃回数と筋グレードとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1…清掃装置,2…清掃部材,2a,2b…両側清掃部材,2c…中間清掃部材,3…線材接離機構,4…清掃移動機構,5…支持部材,6…清掃受け部材,10…帯電装置,11…帯電用線材(線材),12…帯電容器,13…格子状電極,15…像保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材を清掃するために線材の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材と、
これらの清掃部材の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材に対し清掃部材の全てを接触、離間する線材接離機構と、
線材接離機構により前記清掃部材の全てが線材に接触する状態で前記清掃部材の全てを線材の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構とを備え、
前記3以上の清掃部材は、線材の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材と、
線材を介して前記一対の両側清掃部材の反対側に位置し且つ線材の長さ方向に対して前記両側清掃部材の中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材とを含むことを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
請求項1記載の清掃装置において、
両側清掃部材及び中間清掃部材の少なくともいずれかは、弾性基材を有し、この弾性基材表面に不織布を設けると共に、この不織布の表面に研磨材を設けるものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項3】
請求項1記載の清掃装置において、
両側清掃部材及び中間清掃部材は共通の構成を有するものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項4】
請求項1記載の清掃装置において、
中間清掃部材は、線材の長さ方向に対して両側清掃部材の中間位置のうち中央に配置されていることを特徴とする清掃装置。
【請求項5】
請求項1記載の清掃装置において、
線材接離機構は、線材の長さ方向に交差する方向に対して中間清掃部材を移動自在に保持し、中間清掃部材を移動させることにより線材に対し両側清掃部材及び中間清掃部材の全てを接触、離間させるものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項6】
請求項5記載の清掃装置において、
線材接離機構は、中間清掃部材の移動位置を調整することによって中間清掃部材と両側清掃部材との間に位置する線材部分の各清掃部材に対する傾斜角度を調整可能としたことを特徴とする清掃装置。
【請求項7】
請求項5記載の清掃装置において、
線材接離機構は、各清掃部材が支持可能な支持部材を有し、この支持部材に対して両側清掃部材を固定的に取り付けると共に、中間清掃部材を移動自在に取り付け、線材に対して中間清掃部材を接触させたときに線材を撓ませ両側清掃部材と線材とを接触配置するものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項8】
請求項1記載の清掃装置において、
線材接離機構は、線材の長さ方向に交差する方向に対して両側清掃部材を移動自在に保持し、両側清掃部材を移動させることにより線材に対し両側清掃部材及び中間清掃部材の全てを接触、離間させるものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項9】
請求項8記載の清掃装置において、
線材接離機構は、線材の長さ方向に対して両側清掃部材がその中間位置を揺動中心とし揺動自在に支持される揺動支持部材を有し、線材接触時に線材の姿勢に追従して両側清掃部材を接触配置させることを特徴とする清掃装置。
【請求項10】
請求項9記載の清掃装置において、
揺動支持部材は、揺動中心に対応して支持突起が設けられる支持台と、この支持台の支持突起に嵌合する支持孔を有し且つ支持台上で揺動自在に保持される揺動部材とを有することを特徴とする清掃装置。
【請求項11】
請求項9記載の清掃装置において、
揺動支持部材は、揺動中心に対応して並ぶ複数の支持ピンからなる支持突起が設けられる支持台と、この支持突起である複数の支持ピンが嵌合する複数の支持孔を有し且つ支持台上で揺動自在に保持される揺動部材とを有することを特徴とする清掃装置。
【請求項12】
請求項11記載の清掃装置において、
揺動支持部材は、線材の配設位置を挟んだ位置に複数の支持孔が設けられた揺動部材を有するものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項13】
請求項9記載の清掃装置において、
線材接離機構は、重心位置から変位した位置に揺動位置が設けられる揺動支持部材を有し、両側清掃部材を線材から離間させたとき前記揺動支持部材を重力にて傾動させることで線材に対し両側清掃部材の一方を軽接触配置させることを特徴とする清掃装置。
【請求項14】
請求項1記載の清掃装置において、
線材接離機構は、中間清掃部材と両側清掃部材との間の線材の長さ方向に対する間隔をd、線材接触時における両側清掃部材の線材接触面位置に対する中間清掃部材の線材接触面位置の相対差に相当する食い込み量をkとすると、k/dは0.2以上0.7以下の範囲内であることを特徴とする清掃装置。
【請求項15】
請求項1記載の清掃装置において、
清掃移動機構は、線材接離機構により線材に前記全ての清掃部材が接触した状態で、線材の長さ方向に沿って往復するものであることを特徴とする清掃装置。
【請求項16】
被帯電体に対向して開口する帯電容器と、この帯電容器内に配設される帯電用線材と、この帯電用線材を清掃する清掃装置とを備えた帯電装置であって、
前記清掃装置は、線材を清掃するために線材の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材と、
これらの清掃部材の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材に対し清掃部材の全てを接触、離間する線材接離機構と、
線材接離機構により前記清掃部材の全てが線材に接触する状態で前記清掃部材の全てを線材の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構とを備え、
前記3以上の清掃部材は、線材の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材と、
線材を介して前記一対の両側清掃部材の反対側に位置し且つ線材の長さ方向に対して前記両側清掃部材の中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材とを含むことを特徴とする帯電装置。
【請求項17】
請求項16記載の帯電装置において、
帯電容器の開口部に格子状電極を有することを特徴とする帯電装置。
【請求項18】
請求項16記載の帯電装置において、
両側清掃部材及び中間清掃部材のいずれかは帯電用線材のうち被帯電体に対向する面を清掃可能に配置されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項19】
請求項16記載の帯電装置のうち、被帯電体の上方に配置される態様において、
清掃移動機構は、両側清掃部材及び中間清掃部材の下方に設けられ且つ全ての清掃部材と共に移動可能な清掃受け部材を備えていることを特徴とする帯電装置。
【請求項20】
請求項16記載の帯電装置において、
清掃移動機構は、帯電容器の帯電可能領域から外れた帯電用線材の長手方向端部寄りに非清掃時の清掃装置が待機可能な清掃待機室を有し、清掃時に清掃待機室から清掃装置を移動させることを特徴とする帯電装置。
【請求項21】
作像材料にて潜像を可視像化した像が保持される像保持体と、この像保持体を帯電する帯電装置とを含み、画像形成装置本体に対して着脱可能に設けられる像保持体ユニットであって、
前記帯電装置は、像保持体に対向して開口する帯電容器と、この帯電容器内に配設される帯電用線材と、この帯電用線材を清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、線材を清掃するために線材の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材と、
これらの清掃部材の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材に対し清掃部材の全てを接触、離間する線材接離機構と、
線材接離機構により前記清掃部材の全てが線材に接触する状態で前記清掃部材の全てを線材の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構とを備え、
前記3以上の清掃部材は、線材の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材と、
線材を介して前記一対の両側清掃部材の反対側に位置し且つ線材の長さ方向に対して前記両側清掃部材の中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材とを含むことを特徴とする像保持体ユニット。
【請求項22】
作像材料にて潜像を可視像化した像が保持される像保持体と、この像保持体を帯電する帯電装置とを備えた画像形成装置であって、
前記帯電装置は、像保持体に対向して開口する帯電容器と、この帯電容器内に配設される帯電用線材と、この帯電用線材を清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、線材を清掃するために線材の長さ方向に沿って離間配置される3以上の清掃部材と、
これらの清掃部材の少なくともいずれか一つを移動可能とし、線材に対し清掃部材の全てを接触、離間する線材接離機構と、
線材接離機構により前記清掃部材の全てが線材に接触する状態で前記清掃部材の全てを線材の長さ方向に沿って移動させる清掃移動機構とを備え、
前記3以上の清掃部材は、線材の長さ方向に対して所定の間隔をもって配置される一対の両側清掃部材と、
線材を介して前記一対の両側清掃部材の反対側に位置し且つ線材の長さ方向に対して前記両側清掃部材の中間位置に配置される少なくとも一つの中間清掃部材とを含むことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2008−233895(P2008−233895A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38885(P2008−38885)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】