説明

減容可能なカートン

【課題】減容後における内容物の取出しや、再封の操作が簡便であって、視覚的な意匠性にも優れたカートンを提供する。
【解決手段】カートンは、開封時に破り開けられる開封フラップ11、および開封フラップを破り開けた後で破り取られる天井部80を有する。開封フラップ11は、天壁面に位置する先端部11aを有し、破り開けられた後において、後壁40と右側壁50の間の第1稜線上の第1ポイントAから、後壁40と左側壁60の間の第2稜線上の第2ポイントBまで延在する回動折罫13を中心として回動する。天井部80は、開封フラップ11を破り開けた後、第1ポイントAから、破断線M(M1+M2+M3)に沿って破り取られる。天井部80を破り取った後、右側壁50および左側壁60に設けた減容折罫53、63を折ることで、前壁30と後壁40を接近させ、開封フラップの先端部11aを前壁に設けた係止部35に留めて再封する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が減って少なくなったときに、サイズを小さくできる(減容できる)カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
菓子等を収容して販売されるカートンにおいて、内容物が減って少なくなったときに、カートン自体のサイズを小さくできるよう構成したものが知られている。このように減容できるカートンにより、保管時の省スペース化を達成できる。また、詰替容器を別に用意することが不要となるので、省資源化(エコ)に寄与することにもなる。
【0003】
このような減容可能なカートンは、特許文献1、2等に開示されているが、減容後のカートンから内容物が取り出し難くなる等の問題がある。
【0004】
すなわち、特許文献1では、内容物が少なくなったときに、六面体カートンの高さ方向中央部分を折り畳んで、カートン上部を前壁側へ折り倒すようにして再封される。内容物を取り出す際には、折り倒されたカートン上部を再度立ち上げて、上部開口から内容物を取り出すこととなる。このとき、箱全体の高さは減容前と同じであるため、残り少なくなった内容物を箱の奥深くから取り出す作業は煩わしい。
【0005】
特許文献2の六面体カートンでは、減容に際して、裏面板(後壁)の上部がミシン目に沿って破り取られるので、上述のような煩わしさはないが、左右の側壁が破り取られずに残るので、箱を再封する際に、当該残った側壁を折り畳む等、依然として煩わしい作業が伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−265818号公報
【特許文献2】特開2008−247442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の事情に鑑みて創案されたものであって、減容後における内容物の取出しや、再封の操作が簡便であって、視覚的な意匠性にも優れたカートンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により、以下の特徴を備えたカートンが提供される。すなわち、少なくとも、天壁、底壁、前壁、後壁、右側壁、および左側壁を有するカートンであって、「開封時に破り開けられる開封フラップ」および「開封フラップを破り開けた後で破り取られる天井部」を有する。
(ア)
開封フラップは、天壁面に位置する先端部を有し、破り開けられた後において、「後壁と右側壁の間の第1稜線上の第1ポイント」から「後壁と左側壁の間の第2稜線上の第2ポイント」まで延在する回動折罫を中心として回動する。
(イ)
天井部は、開封フラップを破り開けた後、「第1ポイントから、右側壁、前壁、左側壁を通って第2ポイントまで延在する破断線」に沿って破り取られる。
(ウ)
天井部を破り取った後、右側壁および左側壁に設けた減容折罫を折ることで、前壁と後壁を接近させ、開封フラップの先端部を前壁に設けた係止部に留めて再封する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を有する本発明のカートンにおいては、開封後において、カートンの上方部分を構成する天井部を破り取る(除去する)ことで減容がなされるので、残った内容物へのアクセスが簡単であるが故に、取り出しが簡単となる。
【0010】
しかも、破り取られる天井部は前壁と左右の側壁を含んだ構成であり、これらが破り取られる結果、カートンの上方領域に残るのは、後壁から上方に延在する開封フラップだけとなる。したがって、この開封フラップを前方に折り倒して再封する操作も簡単なものとなる。
【0011】
さらには、左右の側壁に減容折罫を設け、減容に際して、前壁と後壁が接近する構成を採用しているので、カートンは、減容後において、上部へ向かって先細のトンガリ山の如き形態に変化する。このような視覚的変化が消費者の目を楽しませることとなり、販売促進効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るカートンを前方側から示す斜視図。図1(a)は開封前の状態を、図1(b)は開封フラップを破り開けた状態を、それぞれ示す。
【図2】図1のカートンを後方側から示す斜視図。図2(a)、(b)は、それぞれ図1(a)、(b)に対応している。
【図3】図1のカートンについて、天井部を破り取った後の状態、および再封止した状態を示す斜視図。
【図4】図1〜図3のカートンに対する変形例を説明する図。
【図5】他の変形例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図1〜3は、本発明の一実施形態に係るカートンを示している。
【0014】
≪カートンの全体的な構成≫
カートンは、六面体で、天壁10、底壁20、前壁30、後壁40、右側壁50、および左側壁60を有する。詳しくは後述するが、開封に際して、まず開封フラップ11を破り開けて、その後、天井部80(図3a)を破り取る。
【0015】
≪開封フラップ11≫
開封フラップ11は、天壁面10に位置する先端部11aを有するとともに、後壁40の上方領域に至る拡がりを有する。すなわち、破り開けられた後、開封フラップ11は、後壁面40上に位置する回動折罫13を中心として回動する。
回動折罫13は、後壁40と右側壁50の間の第1稜線上の第1ポイントAから、後壁40と左側壁60の間の第2稜線上の第2ポイントBまで延在している(図2a)。
【0016】
≪天井部80≫
図3(a)に示したように、開封フラップ11を破り開けた後、天井部80が破り取られる。その際の破断線M(M1+M2+M3)は、第1ポイントAから、右側壁50、前壁30、左側壁60を通って第2ポイントBまで延在している。
すなわち、破断線Mは、「右側壁50上を走る部分M1」と「前壁30上を走る部分M2」と「左側壁60上を走る部分M3」とから構成される。
【0017】
このように減容に際して天井部80が破り取られる(除去される)ので、残った内容物へアクセスするための開口位置も低くなり、したがって、取り出しが簡単となる。
しかも、破り取られる天井部80は、カートン上部における前壁30と左右側壁50、60を含んだ構成であり、これらが破り取られる結果、カートンの上方領域に残るのは、後壁40から上方に延在する開封フラップ11だけとなる。したがって、図3(a)→(b)の行程において、この開封フラップ11を前方に折り倒して再封する操作も簡単なものとなる。
【0018】
≪減容折罫63≫
左右の側壁50、60には、それぞれ、山型の減容折罫53、63が形成されている。減容折罫53、63は、これを折ることで、前壁30と後壁40の上方領域同士が接近して、カートンの容積が小さくなる。その状態で、開封フラップ11を前壁30側へ折り倒して再封する。
図3(b)は、再封した状態を示す斜視図である。開封フラップ11の先端部11aには、切込みにより差込片15が形成されており、これを前壁30に形成したスリット35に係止することで、再封状態が維持される。
なお、前壁30にスリット35を設ける代わりに、別例として、開封フラップ11を前壁30の内側に挿入するなど、適宜の封止態様を採用することができる。
【0019】
減容折罫の具体的な形態は、図示したような山型に限られず、例えば、鉛直に延びる1本の折罫や、逆Y字状の折罫等、前壁30と後壁40が接近してカートンを減容できるものであれば、適宜の形態の折罫を採用できる。
【0020】
≪視覚的効果≫
図1(a)および図2(a)に示すように、開封前のカートンは六面体である。一方、図3(b)に示すように、減容して再封した後のカートンは、トンガリ山のように上方に向かって先細になる形態を有する。そして、カートンの前壁30に形成したスリット35と開封フラップ11の差込片15とを用いて、カートンの前面において両者を係止することで再封状態を維持している。
このような開封前後におけるカートン全体の形態的変化は、消費者の視覚を楽しませる効果があり、また、これによって販売促進を期待することもできる。
【0021】
なお、図示した例においては、スリット35と差込片15を利用して開封フラップ11を係止しているが、開封フラップ11を係止して再封状態を維持できる構成であれば、他の係止手段を採用することもできる。
【0022】
≪破断線Lの形状≫
開封フラップ11を破り開けるための破断線Lは、図2(a)に最も良く示されるように、開封フラップの先端部11aから第1稜線上を第1ポイントAまで延在する第1部分L1と、開封フラップの先端部11aから第2稜線上を第2ポイントBまで延在する第2部分L2と、で構成されている。
このように構成すると、特に、第1稜線および第2稜線を破断線として利用することとなるので、破断操作が行い易い。さらには、天井部80に後壁40部分が含まれない構成となるので、後に天井部80を破り取る際に、当該破取操作が容易になる。
【0023】
しかしながら、開封フラップ11は、後に天井部80を破り取ることができるように、その回動折罫13が後壁40面に位置していれば足りる。つまり、開封フラップ11の先端部11aから両側に延びる破断線L1、L2は、最終的に「回動折罫13の両端を規定する稜線上の第1、第2ポイントA、B」にまで到達していればよい。したがって、その条件を満たす限り、破断線L(L1+L2)の具体的な形状は、図示したものに限られない。
【0024】
≪変形例1(図4a)≫
図4はカートンの変形例を説明するもので、図4(a)が変形例を、図4(b)が図1〜図3のカートンを示している。図4(a)の変形例は、回動折罫13と破断線M2が同じ高さを有する点において、図1〜図3の例とは異なる。
すなわち、破断線M2の高さをH1、回動折罫13をH2とすると、図1〜図3の実施形態ではH2>H1であったが、変形例ではH2=H1となる。
【0025】
図1〜図3に示した例では、天井部80を破り取るための破断線Mのうち前壁30上を走る部分M2は、回動折罫13よりも低く(すなわち、底壁20に近い位置に)形成されていた。これにより、次のようなメリットがもたらされる。
(1)まず、破断線M2が低い分だけ、破断後の前壁30が低くなるので、内容物を取り出し易くなる。
(2)一方、回動折罫13が高い分だけ、開封フラップ11の高さ寸法(長さ寸法)が過度に大きくなることを防止でき、その結果、差込片15とスリット35の係合位置を比較的高い位置に保つことができる。
仮に、開封フラップ11が過度に高い(長い)と、開封フラップ11は前壁30側へ折り返されるので、差込片15とスリット35の係合位置が低く(底壁20に近く)なってしまう。
図1〜図3のカートンでは、差込片15とスリット35の係合位置を高く保つことができる結果、両者の係脱操作が容易になり、さらには、再封時の意匠性も高まる。
【0026】
しかしながら、図4(a)の変形例のように、回動折罫13と破断線M2を同じ高さに構成する場合であっても、当該高さをうまく設定すれば、内容物の取り出し易さ、開封フラップ11の係脱操作の簡便性、および再封時の意匠性をバランスさせることは可能である。
【0027】
≪変形例2(図5)≫
図5を参照して、他の変形例を説明する。図2(a)に最も良く示されるように、破断線Lの第1部分L1および第2部分L2がそれぞれ、第1および第2稜線上を延在する構成を採用する場合には、図5に示すような変更を加えることも可能である。
【0028】
すなわち、図5(a)に示したように、第1稜線の第1ポイントAよりも底壁20側の部分71、および第2稜線の第2ポイントBよりも底壁20側の部分72を、それぞれ、リード罫で構成する。
リード罫とは、図5(b)に示したように、折罫とミシン目(断続する切込線)を重ね合わせて構成されるもので、それ自体は一般的に知られたものであって、単なる折罫の場合よりも、小さな力で折曲げ操作を簡単に行うことができる。この構成には、次のような意味がある。
【0029】
つまり、第1稜線は、第1ポイントAよりも上方側において破断線L1で構成され、同様に、第2稜線は、第2ポイントBよりも上方側において破断線L2で構成されており、それらの部分は、カートンを組み立てる際に比較的折り曲げ易い構成となっている。その場合、第1ポイントAおよび第2ポイントBよりも下方側の稜線部分が単なる折罫だと、稜線上の上方領域と下方領域での折曲げ易さ(必要な力)の差が大きく、これが原因でカートンの組み立ての際に壁面に皺が入ったり、組み立てられたカートンが正確な六面体とはならず、いびつな形となってしまうことがある。
図5(a)のようにリード罫71、72を採用することで、その分だけ当該部分の折曲げ強度が小さくなるので、稜線上の上方領域と下方領域での折曲げ易さ(必要な力)の差が小さくなり、上のような不都合を回避できる。
【0030】
また、リード罫71、72を採用する場合には、図5(a)に示したように、破断線Lの第1部分L1および第2部分L2は、それぞれ、第1ポイントAおよび第2ポイントBに至る直前で略U字状に折り返す破断ストップ部75、76を備えることが好ましい。
リード罫71、72の場合、単なる折罫よりも破断強度が弱い。このため、開封フラップ11を破り開ける際に、第1、第2稜線上を進行する破断が勢い余って、第1、2ポイントA、Bを超えてリード罫71、72にまで進行してしまう恐れがある。略U字状に折り返す破断ストップ部75、76を設けることで、これを有効に防止できる。
【0031】
図示して説明したカートンは六面体であるが、少なくとも、天壁、底壁、前壁、後壁、右側壁、および左側壁を含むものであれば、適宜の形態のカートンに対して、本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 天壁
11 開封フラップ
11a 先端部
13 回動折罫
15 差込片
20 底壁
30 前壁
35 スリット
40 後壁
50 右側壁
53 減容折罫
60 左側壁
63 減容折罫
71、72 リード罫
75、76 破断ストップ部
80 天井部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、天壁(10)、底壁(20)、前壁(30)、後壁(40)、右側壁(50)、および左側壁(60)を含むカートンであって、
開封時に破り開けられる開封フラップ(11)、および開封フラップを破り開けた後で破り取られる天井部(80)を有し、
(ア)
開封フラップ(11)は、天壁面に位置する先端部(11a)を有し、破り開けられた後において、後壁(40)と右側壁(50)の間の第1稜線上の第1ポイント(A)から、後壁(40)と左側壁(60)の間の第2稜線上の第2ポイント(B)まで延在する回動折罫(13)を中心として回動し、
(イ)
天井部(80)は、開封フラップ(11)を破り開けた後、第1ポイント(A)から、右側壁(50)、前壁(30)、左側壁(60)を通って第2ポイント(B)まで延在する破断線(M)に沿って破り取られ、
(ウ)
天井部(80)を破り取った後、右側壁(50)および左側壁(60)に設けた減容折罫(53、63)を折ることで、前壁(30)と後壁(40)を接近させた状態で再封する、カートン。
【請求項2】
上記再封の際に、開封フラップの先端部(11a)が前壁に設けた係止部(35)に留められる、請求項1記載のカートン。
【請求項3】
上記開封フラップ(11)を破り開けるための破断線(L)は、開封フラップの先端部(11a)から第1稜線上を上記第1ポイント(A)まで延在する第1部分(L1)と、開封フラップの先端部(11a)から第2稜線上を第2ポイント(B)まで延在する第2部分(L2)とからなる、請求項1または2記載のカートン。
【請求項4】
上記第1稜線の第1ポイント(A)よりも底壁(20)側の部分、および上記第2稜線の第2ポイント(B)よりも底壁(20)側の部分は、それぞれ、折罫とミシン目からなるリード罫で構成されている、請求項3記載のカートン。
【請求項5】
上記破断線(L)の第1部分(L1)および第2部分(L2)は、それぞれ、第1ポイント(A)および第2ポイント(B)に至る直前で略U字状に折り返す破断ストップ部(75、76)を備える、請求項4記載のカートン。
【請求項6】
上記天井部(80)を破り取るための上記破断線(M)のうち前壁上を走る部分(M2)は、回動折罫(13)よりも底壁に近い位置に形成されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載のカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−126427(P2012−126427A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279483(P2010−279483)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】