説明

減少したエネルギー消費の脈管組織の密閉の方法および装置

【課題】組織を密閉するかまたは溶解する開放外科手術処置および内視鏡外科手術処置に用いられる電気外科器具を提供すること。
【解決手段】一対の向かい合うジョー部材を含み、一対の向かい合うジョー部材は、その間で組織を把持するように構成され、向かい合うジョー部材の各々は、非伝導性組織接触表面と、エネルギー送達要素であって、組織を穿孔することにより開口部を作り、組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、開口部の近くでエラスチンおよびコラーゲンを変性させるように構成されたエネルギー送達要素とを含む、エンドエフェクターアセンブリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、組織を密閉するかまたは溶解する開放外科手術処置および内視鏡外科手術処置に用いられる電気外科器具に関する。より詳細には、本開示は、電気外科処置中において、血管および/または組織を穿孔し、穿孔した領域の近くにエネルギーを印加することによって、血管、脈管組織および軟組織を密閉して、エネルギー消費を減少させ、コラーゲンおよびエラスチンの抽出を容易にする双極鉗子に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の背景)
開放電気外科鉗子または内視鏡電気外科鉗子は、止血を達成するために、機械的クランプ留め動作および電気エネルギーの両方を利用する。各向かい合うジョー部材の電極は、異なる電位に帯電させられ、その結果、ジョー部材が組織を把持すると、電気エネルギーは組織を通って選択可能に転送され得る。外科医は、電極の間でおよび組織を通って加えられる電気外科エネルギーの強度、周波数および継続時間を制御することによって、出血を、焼灼し、凝固させ/乾燥させ、および/または単に減少させるかあるいは遅くし得る。
【0003】
特定の外科手術処置は、単に組織を焼灼すること以上のことを必要とし、クランプ留め圧力と、電気外科エネルギーと、間隙距離との組み合わせに頼って、組織、血管および特定の脈管束を「密閉する」。より詳細には、脈管密閉または組織密閉は、高周波(RF)エネルギーと、クランプ留め圧力と、間隙距離(すなわち、組織の周りで閉じられた場合、向かい合うジョー部材間の距離)の正確な制御との固有の組み合わせを利用して、2つの向かい合うジョー部材または密閉プレート間の組織を効果的に密閉するかまたは溶解する。脈管密閉または組織密閉は、「焼灼」以上であり、熱を用いて組織を破壊すること(「ジアテルミー」または「電気ジアテルミー」とも呼ばれる)を伴う。脈管密閉はまた、「凝固」以上であり、組織を乾燥させるプロセスであり、組織細胞が破裂させられ乾燥させられる。「脈管密閉」は、組織内のコラーゲン、エラスチンおよび基質を溶かし、その結果、組織は、向かい合う組織構造間の区別が実質的に減少した溶解した塊に改質するプロセスとして定義される。
【0004】
既存の電気外科鉗子は、密閉処置中に組織を把持し保持するために、金属電極を有する一対のジョー部材を利用する。金属電極はRFエネルギーを組織に加え、組織によって伝導させられる電流は最終的に組織を密閉する熱を放出する。このアプローチは、非効率的であり得、結果として、不要なエネルギー消費をもたらし得る。例えば、ジョー部材間の組織が単一の血管を含む場合でも、従来のRFエネルギーベースの組織密閉器具は、ジョー間の組織の全体積を密閉し、このことは、エネルギーの損失ならびに付随する損傷の可能性を増加させる。さらに、電極は高い熱伝導性を有する金属から作られるので、そのような電極は、実質的な熱損失の原因となり得る。さらに、組織を把持し保持することは、組織損傷ならびにエラスチンおよびコラーゲンの抽出およびそれらの混合を容易にするが、十分な量のエラスチンおよびコラーゲンが放出されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
本開示の一実施形態において、エンドエフェクターアセンブリが提供される。エンドエフェクターアセンブリは、一対の向かい合うジョー部材を含み、一対のジョー部材は、その間で組織を把持するように構成された一対の向かい合うジョー部材を含む。向かい合うジョー部材の各々は、非伝導性組織接触表面と、エネルギー送達要素であって、組織を穿孔することにより開口部を作り、組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、開口部の近くでエラスチンおよびコラーゲンを変性させるように構成されたエネルギー送達要素とを含む。
【0006】
本開示の別の実施形態において、組織を密閉する電気外科器具が提供される。電気外科器具は、ハウジングと、ハンドルアセンブリと、エンドエフェクターアセンブリとを含み得る。エンドエフェクターアセンブリは、一対の向かい合うジョー部材を含み、一対の向かい合うジョー部材はその間で組織を把持するように構成される。向かい合うジョー部材の各々は、非伝導性組織接触表面と、エネルギー送達要素であって、組織を穿孔することにより開口部を作り、組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、開口部の近くでエラスチンおよびコラーゲンを変性させるように構成されたエネルギー送達要素とを含む。
【0007】
本開示のさらに別の実施形態において、組織を密閉する別の電気外科器具が提供される。電気外科器具は一対の向かい合うシャフトを含み得、各シャフトはシャフトの近位端部にハンドルを有する。器具はまたエンドエフェクターアセンブリを含み得、エンドエフェクターアセンブリは一対の向かい合うシャフトの遠位端部に取り付けられた一対の向かい合うジョー部材を含み、ここで、向かい合うジョー部材は、一対の向かい合うシャフトを動かすことによって互いに対して第1の位置から第2の位置に動く。向かい合うジョー部材の各々は、非伝導性組織接触表面と、エネルギー送達要素であって、組織を穿孔することにより開口部を作り、組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、開口部の近くでエラスチンおよびコラーゲンを変性させるように構成されたエネルギー送達要素とを含む。
【0008】
エネルギー送達要素は、組織にエネルギーを印加して組織を穿孔し、組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出するように構成されたポスト電極と、開口部の近くでエラスチンおよびコラーゲンを変性させるリング電極とを含む。ポスト電極およびリング電極は、高周波エネルギー、光エネルギー、または高周波エネルギーおよび光エネルギーの両方の組み合わせを印加し得る。
【0009】
本開示のさらに別の実施形態において、一対の向かい合うジョー部材を有するエンドエフェクターアセンブリを用いて組織を密閉する方法が提供され、ここで、各ジョー部材は少なくとも1つのエネルギー送達要素を有する。方法は、一対の向かい合うジョー部材の間で組織を把持することと、エネルギー送達要素からの第1のエネルギーを印加して組織を穿孔することにより組織に開口部を作り、組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出することと、エネルギー送達要素からの第2のエネルギーを印加して組織における開口部の近くでエラスチンおよびコラーゲンを変性させることとを含む。
【0010】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
一対の向かい合うジョー部材を含み、該一対の向かい合うジョー部材は、その間で組織を把持するように構成され、該向かい合うジョー部材の各々は、
非伝導性組織接触表面と、
エネルギー送達要素であって、該組織を穿孔することにより開口部を作り、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、該開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させるように構成された、エネルギー送達要素と
を含む、エンドエフェクターアセンブリ。
(項目2)
上記エネルギー送達要素は、
組織にエネルギーを印加して該組織を穿孔し、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出するように構成されたポスト電極と、
上記開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させるリング電極と
を含む、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目3)
上記ポスト電極は、高周波エネルギーを印加する、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目4)
上記リング電極は、高周波エネルギーを印加する、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目5)
上記ポスト電極は、光エネルギーを印加する、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目6)
上記リング電極は、光エネルギーを印加する、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目7)
ハウジングと、
ハンドルアセンブリと、
一対の向かい合うジョー部材を含むエンドエフェクターアセンブリとを含み、該一対の向かい合うジョー部材は、その間で組織を把持するように構成され、該向かい合うジョー部材の各々は、
非伝導性組織接触表面と、
エネルギー送達要素とを含み、エネルギー送達要素は、該組織を穿孔することにより開口部を作り、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、該開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させるように構成される、エネルギー送達要素と
を含み、該エネルギー送達要素は、
ポスト電極であって、該組織にエネルギーを印加することにより該組織を穿孔し、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出するように構成される、ポスト電極と、
該開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させるリング電極と
を含む、電気外科器具。
(項目8)
上記ポスト電極は、高周波エネルギーを印加する、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目9)
上記リング電極は、高周波エネルギーを印加する、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目10)
上記ポスト電極は、光エネルギーを印加する、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目11)
上記リング電極は、光エネルギーを印加する、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクターアセンブリ。
(項目12)
一対の向かい合うジョー部材を有するエンドエフェクターアセンブリを用いて組織を密閉する方法であって、各ジョー部材は少なくとも1つのエネルギー送達要素を有し、該方法は、
該一対の向かい合うジョー部材の間で組織を把持することと、
該エネルギー送達要素からの第1のエネルギーを印加することにより該組織を穿孔することにより該組織に開口部を作り、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出することと、
該エネルギー送達要素からの第2のエネルギーを印加することにより該組織における該開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させることと
を包含する、方法。
【0011】
(摘要)
電気外科器具と共に用いるエンドエフェクターアセンブリが提供される。エンドエフェクターアセンブリは、一対の向かい合うジョー部材を含み、一対の向かい合うジョー部材は、その間で組織を把持するように構成される。向かい合うジョー部材の各々は、非伝導性組織接触表面と、エネルギー送達要素であって、組織を穿孔することにより開口部を作り、組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、開口部の近くでエラスチンおよびコラーゲンを変性させるように構成されたエネルギー送達要素とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示のシステムおよび方法の目的および特徴は、そのさまざまな実施形態の説明を添付の図面を参照して読んだ場合、当業者に明らかとなる。
【図1】図1は、ハウジング、シャフト、シャフトの遠位端部に取り付けられた一対のジョー部材を有する内視鏡双極鉗子の右側の透視図である。ジョー部材は、その間に配置された電極アセンブリを含む。
【図2】図2は、一対の第一のシャフトおよび第二のシャフトを示す開放双極鉗子の左側の透視図である。各シャフトは、その遠位端部に取り付けられたジョー部材を有し、ジョー部材は、その間に配置された電極アセンブリを有する。
【図3】図3は、ジョー部材のうちの少なくとも1つの表面の概略図である。
【図4】図4は、本開示の実施形態に従った、エネルギー送達要素の概略図である。
【図5】図5は、ジョー部材の間で把持された組織において、1つ以上のリベットを作る段階を描写した概略図である。
【図6】図6は、ジョー部材の間で把持された組織において、1つ以上のリベットを作る段階を描写した概略図である。
【図7】図7は、ジョー部材の間で把持された組織において、1つ以上のリベットを作る段階を描写した概略図である。
【図8】図8は、本開示の実施形態に従った、エネルギー送達要素をエネルギー源に接続する電気経路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
本開示の特定の実施形態が以下で添付の図面を参照して説明される。しかし、開示される実施形態は、開示の単なる例であり、さまざまな形態で具現化され得る。周知の機能または構築は、本開示を不必要な詳細で不鮮明にすることを避けるために、詳細には説明されない。そのため、本明細書において開示される具体的な構造的詳細および機能的詳細は、限定的と解釈されるべきでなく、特許請求の範囲のための基準に過ぎず、当業者に実質的にいずれかの適切に詳細化された構造において、本開示をさまざまに採用させるように教示するための代表的基準に過ぎない。類似の参照数字は、図の説明を通して類似または同一の要素を指し得る。
【0014】
電磁エネルギーは、周波数を増やすか、または波長を短くすることによって、高周波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線およびガンマ線に一般的に分類される。本明細書において用いられる場合、「マイクロ波」という用語は、300メガヘルツ(MHz)(3×10サイクル/秒)から300ギガヘルツ(GHz)(3×1011サイクル/秒)までの周波数範囲における電磁波を一般的に指す。本明細書において用いられる場合、「RF」という用語は、マイクロ波より低い周波数を有する電磁波を一般的に指す。「組織」および「血管」という用語は、交換可能に用いられ得る。なぜならば、本開示は、本明細書において説明される同じ原理を使用して、組織を密閉および切断、または血管を密閉および切断するために採用され得ると考えられるからである。
【0015】
下で添付の図を参照してより詳細に説明されるように、本開示は、ポスト電極および円形電極を有することによって、血管密閉処置中のエネルギーの消費を減少させ、血管壁からのエラスチンおよびコラーゲンの放出を増やす使用エネルギー送達要素に関する。
【0016】
ここで、図1および図2を参照すると、図1は、内視鏡外科手術処置に関連した使用のための双極鉗子10を描写し、図2は、伝統的な開放外科手術処置に関連した使用のために考えられた開放鉗子100を描写する。本明細書における目的のために、内視鏡器具または開放器具のどちらかが、本明細書において説明される電極アセンブリと共に使用され得る。異なる電気接続と機械接続および考慮が、各特定のタイプの器具に適用され得る。しかし、電極アセンブリおよびその動作特性に関する局面は、開放デザインまたは内視鏡デザインの両方に関して、全般的に一貫性を維持する。
【0017】
図1は、さまざまな内視鏡外科手術処置による使用のための双極鉗子10を示し、全般的に、ハウジング20、ハンドルアセンブリ30、回転アセンブリ80、スイッチアセンブリ70および向かい合うジョー部材110と120(相互に協働することによって、管状血管および脈管組織を把持、密閉および分割する)を有する電極アセンブリ105を含む。ジョー部材110および120は、旋回ピン19の周りに接続され、旋回ピン19は、ジョー部材110および120が、互いに対して組織を扱うために第一の位置から第二の位置へ旋回することを可能にする。より具体的には、鉗子10は、電極アセンブリ105を機械的に係合する寸法とされる遠位端部16と、ハウジング20を機械的に係合する近位端部14とを有するシャフト12を含む。シャフト12は、1つ以上の公知の機械係合コンポーネントを含み得る。機械係合コンポーネントは、ジョー部材110および120が、互いに対してその間の組織を係合および把持するために、旋回可能なように、電極アセンブリ105をしっかり受け取り、係合するデザインとされる。
【0018】
シャフト12の近位端部14は、回転アセンブリ80を機械的に係合することによって、電極アセンブリ105の回転を容易にする。図面および以下の説明において、「近位」という用語は、伝統的であるが、ユーザにより近い鉗子10の端部を指し、「遠位」という用語は、ユーザからより遠い端部を指す。シャフト12および回転アセンブリ80の機械的協働コンポーネントに関する詳細は、共有に係る米国特許出願第10/460,926号(現在は、2003年6月13日に出願された、名称が「VESSEL SEALER AND DIVIDER FOR USE WITH SMALL TROCARS AND CANNULAS」の米国特許第7,156,846号)において説明される。
【0019】
ハンドルアセンブリ30は、固定ハンドル50および可動ハンドル40を含む。固定ハンドル50は、ハウジング20に一体的に関連付けられており、ハンドル40は、固定ハンドル50に対して可動であり、下でより詳細に説明されるように、電極アセンブリ105の向かい合うジョー部材110および120を作動させる。可動ハンドル40およびスイッチアセンブリ70は、単一構造であり、組み立て処理中に、ハウジング20および固定ハンドル50に動作可能に接続される。ハウジング20は、2つのコンポーネント半体20aおよび20bから構築される。2つのコンポーネント半体20aおよび20bは、組み立て中に、シャフト12の近位端部の周りに組み立てられる。スイッチアセンブリは、電気エネルギーを電極アセンブリ105に選択的に提供するように構成される。
【0020】
上で言及したように、電極アセンブリ105は、シャフト12の遠位端部16に据え付けられ、向かい合うジョー部材110および120を含む。ハンドルアセンブリ30の可動ハンドル40は、ジョー部材110および120の開いた位置(ジョー部材110および120は、互いに対して一定の距離を置かれた関係に配置される)からクランプ留めする位置または閉じられた位置(ジョー部材110および120は、協働することによって、その間の組織を把持する)への動きを付与する。
【0021】
ここで図2を参照すると、開放鉗子100は、1組の細長いシャフト部分112a、112bを含み、各々、近位端部114a、114bをそれぞれ有し、遠位端部116a、116bをそれぞれ有する。鉗子100は、それぞれ、シャフト112a、112bの遠位端部116a、116bに据え付けられたジョー部材120、110を含む。ジョー部材110および120は、旋回ピン119の周りに接続される。旋回ピン119は、ジョー部材110および120が互いに対して組織を把持するために第一の位置から第二の位置へ旋回することを可能にする。電極アセンブリ105は、向かい合うジョー部材110および120に接続され、旋回ピン119を通るか、または旋回ピン119を迂回する電気接続を含み得る。ジョー部材に対するさまざまな電気接続の例は、共有に係る米国特許出願第10/474,170号、第10/284,562号、10/472,295号、第10/116,944号および第10/179,863号(現在は、それぞれ、米国特許第7,582,087号、第7,267,677号、第7,101,372号、第7,083,618号および7,101,371号)において示される。
【0022】
各シャフト112aおよび112bは、その近位端部114aおよび114bに配置されたハンドル117aおよび117bを含む。ハンドル117aおよび117bは、各々、フィンガーホール118a、118b(そこを通して、ユーザの指を受け取るため)をそれぞれ画定する。認識され得るように、フィンガーホール118aおよび118bは、シャフト112aおよび112bの互いに対する動きを容易にし、シャフト112aおよび112bの動きは、今度は、ジョー部材110および120を開いた位置(ジョー部材110および120は、互いに対して一定の距離を置かれた関係に配置される)からクランプ留めする位置または閉じられた位置(ジョー部材110および120は、協働することによって、その間の組織を把持する)まで旋回させる。歯止め130は、ジョー部材110および120を旋回中に互いに対して、さまざまな位置で選択的にロックするために含まれ得る。
【0023】
より具体的には、歯止め130は、シャフト112aに関連付けられた第一の機械インターフェイス130aおよびシャフト112bに関連付けられた第二の嵌合機械インターフェイスを含む。協働歯止めインターフェイス130aおよび130bに関連付けられた各位置は、一定の歪エネルギーをシャフト部材112aおよび112bにおいて保持し、特定の閉じる力をジョー部材110および120に伝達する。歯止め130は、ユーザーが容易に素早くジョー部材110と120との間の所望の閉鎖力の量を確認および制御することを可能にする目盛りまたは他の視覚的な印付けを含み得る。
【0024】
図2において最もよく見られるように、鉗子100は、また、鉗子100を電気外科エネルギーの源(例えば、図1において示される発電機500に類似する電気外科発電機)に接続する電気インターフェイスまたはプラグ200を含む。プラグ200は、機械的および電気的に鉗子100を電気外科発電機500(図1参照)に接続する寸法とされる少なくとも2つのプロング部材202aおよび202bを含む。電気ケーブル210は、プラグ200から延在し、ケーブル210を鉗子100にしっかり接続する。ケーブル210は、シャフト112b内において、内部が分割されることによって、電気外科エネルギーをさまざまな電気フィード経路を通して電極アセンブリ105まで伝達する。
【0025】
シャフトのうちの1つ(例えば、112b)は、鉗子100を電気外科発電機500のような電気外科エネルギーの源に接続させるデザインとされる近位シャフトコネクター/フランジ140を含む。より具体的には、フランジ140は、ユーザが必要に応じて、電気外科エネルギーを選択的に印加し得るように、電気外科ケーブル210を鉗子100に機械的に固定する。
【0026】
下で図3および図4を参照して説明されるように、各ジョー部材110および120は、その実質的に全長手方向の長さ(例えば、各それぞれジョー部材110および120の近位端部から遠位端部に延在する)に沿って配置された非伝導性組織接触表面303を含む。非伝導性組織接触表面303は、その硬度および高い温度変動に耐える固有の能力に起因して、セラミックスのような絶縁材料から作られ得る。あるいは、非伝導性組織接触表面303は、約300ボルトから約600ボルトまでの範囲における高い比較トラッキング指数(CTI)を有する材料または材料の組み合わせから作られ得る。高いCTI材料の例は、ナイロンおよびDOW Chemicalによって製造されるQUESTRA(登録商標)のようなシンジオタクチックポリスチレンを含む。他の材料も単体または組み合わせて使用され得る(例えば、ナイロン、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリフタラミド(PPA)、ポリミド(Polymide)、テレフタル酸ポリエチレン(PET)、ポリアミドイミド(PAI)、アクリル系(PMMA)、ポリスチレン(PSおよびHIPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、脂肪族ポリケトン、アセタール(POM)コポリマー、ポリウレタン(PUおよびTPU)、ポリフェニレンオキシド分散系を有するナイロンおよびアクリロニトリルスチレンアクリレート)。好ましくは、非伝導性組織接触表面303は、組織をしっかり係合および把持する寸法とされ、鋸歯(示されていない)または粗い表面を含み得ることによって、組織への接近および把持を容易にする。
【0027】
非伝導性組織接触表面303は、ポスト電極306およびリング電極307を含む少なくとも1つのエネルギー送達要素305を含む。円形形状として示されるが、リング電極307は、いずれか他の環状あるいは囲まれた構成またはC形状形態のような部分的に囲まれた構成をとり得る。ポスト電極306は、リング電極307内に同心的に中央に集められている。ジョー部材110における各エネルギー送達要素305は、ジョー部材110および120が組織の周りにおいて閉じられた場合、電気外科エネルギーが、ジョー部材110におけるポスト電極306からジョー部材120におけるポスト電極306へ流れるか、またはジョー部材110におけるリング電極307からジョー部材120におけるリング電極307へ流れるように、ジョー部材120において対応するエネルギー送達要素305を有する。エネルギー送達要素305は、図3において示されるように、チェスのようなパターンにおいて組織接触表面303上にアレンジされ得るか、またはいずれか他の適切なパターンにおいてアレンジされ得る。
【0028】
図5〜図8は、本開示の実施形態に従った密閉処理の異なる段階を描写する。密閉処置中に、外科医は、ジョー部材110および120を用いて血管400を把持および加圧することによって、血管壁402を互いに近付いて動かせ、互いに接触させる。RFエネルギーは、ジョー部材110におけるポスト電極306とジョー部材120における対応するポスト電極306との間に印加されることによって、組織400に穿孔を生じさせ、それによって、開口部404(図5)を作る。穿孔を生じさせた後、エラスチンおよびコラーゲンは、血管壁401と402との間のスペース403から放出される。放出されたエラスチンおよびコラーゲンは、開口部404を満たす。RFエネルギーは、開口部404の周辺において、リング電極307によって印加され(図6)、それによって、開口部404におけるエラスチンおよびコラーゲンを変性させる熱を放出し、リベット405(図7および図8)を形成する。
【0029】
図8に示されるように、電気経路は、ジョー部材110および120における複数のエネルギー送達要素305に接続される。より詳細には、発電機500からの第1の電気経路510(すなわち、第1の電位を有する電気経路)は、ジョー部材510の各ポスト電極306および各リング電極307に接続される。発電機500からの第2の電気経路520(すなわち、第2の電位を有する電気経路)は、ジョー部材120の各ポスト電極306および各リング電極307に接続される。電気経路510および520は、組織400の操作および把持中に、ジョー部材110および120の互いに対する動きを妨げない。同様に、ジョー部材110および120の動きは、電気経路510および520またはそれらのそれぞれの接続を不必要に損なわない。
【0030】
上記に説明される組織の穿孔は、上記に説明されるようにジョー部材110および120のポスト電極306間にRFエネルギーを伝導させることによって、もしくは機械的穿孔機によって、または(例えば、レーザによって)光エネルギーを印加することによって、行われ得る。エラスチンおよびコラーゲンを変性させるために印加されるエネルギーは、上記に説明されるようにRFエネルギーまたは光エネルギーであり得る。別の実施形態において、エラスチンおよびコラーゲンを変性させるために、穿孔およびエネルギーの印加は、実質的に同時に行われ得る。
【0031】
発電機500はまた、発電機に格納されているかまたはユーザーによって提供されるルーチンに従ってエネルギー送達要素305の起動を制御し得る。例えば、発電機500は、一対の向かい合うエネルギー送達要素305または複数対の向かい合うエネルギー送達要素305を起動し得る。複数対の向かい合うエネルギー送達要素は、所定のシーケンスに従ってまたは同時に起動され得る。
【0032】
非伝導性組織接触表面303は、1つ以上のストップ部材(図示されていない)を含み得、1つ以上のストップ部材は、2つの向かい合うジョー部材110および120の動きを互いに対して制限し、それらの間に間隙を形成するように構成される。特定の目的に従ってまたは特定の結果を達成するためにストップ部材がジョー部材110および120のうちの1つまたはその両方の非伝導性組織接触表面303に配置され得ることが想定される。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態が図面に示されかつ/または本明細書に考察されたが、本開示がそれらに限定されることは意図されない。なぜなら、技術が許容する限り本開示が広い範囲であるべきことおよび明細書も同様に読まれるべきことが意図されるからである。従って、上記の説明は、限定することとして解釈されるべきではなく、単に特定の実施形態の例証として解釈されるべきである。特許請求の範囲は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせにおける実施形態を包含し得る。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および精神内において他の修正形態を想定する。
【符号の説明】
【0034】
10 双極鉗子
12 シャフト
14 近位端部
16 遠位端部
20 ハウジング
30 ハンドルアセンブリ
70 スイッチアセンブリ
80 回転アセンブリ
105 電極アセンブリ
110 ジョー部材
120 ジョー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の向かい合うジョー部材を含み、該一対の向かい合うジョー部材は、その間で組織を把持するように構成され、該向かい合うジョー部材の各々は、
非伝導性組織接触表面と、
エネルギー送達要素であって、該組織を穿孔することにより開口部を作り、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、該開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させるように構成された、エネルギー送達要素と
を含む、エンドエフェクターアセンブリ。
【請求項2】
前記エネルギー送達要素は、
組織にエネルギーを印加することにより該組織を穿孔し、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出するように構成されたポスト電極と、
前記開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させるリング電極と
を含む、請求項1に記載のエンドエフェクターアセンブリ。
【請求項3】
前記ポスト電極は、高周波エネルギーを印加する、請求項2に記載のエンドエフェクターアセンブリ。
【請求項4】
前記リング電極は、高周波エネルギーを印加する、請求項2に記載のエンドエフェクターアセンブリ。
【請求項5】
前記ポスト電極は、光エネルギーを印加する、請求項2に記載のエンドエフェクターアセンブリ。
【請求項6】
前記リング電極は、光エネルギーを印加する、請求項2に記載のエンドエフェクターアセンブリ。
【請求項7】
ハウジングと、
ハンドルアセンブリと、
一対の向かい合うジョー部材を含むエンドエフェクターアセンブリとを含み、該一対の向かい合うジョー部材は、その間で組織を把持するように構成され、該向かい合うジョー部材の各々は、
非伝導性組織接触表面と、
エネルギー送達要素とを含み、エネルギー送達要素は、該組織を穿孔することにより開口部を作り、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、該開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させるように構成され、
該エネルギー送達要素は、
ポスト電極であって、該組織にエネルギーを印加することにより該組織を穿孔し、該組織からエラスチンおよびコラーゲンを抽出するように構成された、ポスト電極と、
該開口部の近くで該エラスチンおよび該コラーゲンを変性させるリング電極と
を含む、電気外科器具。
【請求項8】
前記ポスト電極は、高周波エネルギーを印加する、請求項7に記載のエンドエフェクターアセンブリ。
【請求項9】
前記リング電極は、高周波エネルギーを印加する、請求項7に記載のエンドエフェクターアセンブリ。
【請求項10】
前記ポスト電極は、光エネルギーを印加する、請求項7に記載のエンドエフェクターアセンブリ。
【請求項11】
前記リング電極は、光エネルギーを印加する、請求項7に記載のエンドエフェクターアセンブリ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate