説明

減速装置及びトルクアーム

【課題】簡潔な構造により、減速機を効率的に冷却することのできる減速装置を提供する。
【解決手段】減速機104をファン106によって冷却可能な減速装置100であって、減速装置100のケーシング110の第1の特定の部位P1の外形寸法Bが、第1の特定の部位P1より反ファン側の第2の特定の部位P2の外形寸法Cより大きい減速装置100において、減速装置100は、減速装置100全体の回転を防止するトルクアーム102を備え、トルクアーム102は、減速機104の出力軸112よりもファン106側の部位110Cに取り付けられ、且つトルクアーム102は、第1の特定の部位P1よりも更に半径方向外側に突出した部分102Bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速装置及びトルクアームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に減速機とモータを備えた減速装置が開示されている。減速装置のモータは、反減速機側に冷却用ファンを備えている。該冷却用ファンは、モータを冷却する機能と、減速機を冷却する機能も併せて持っている。ここで開示されている減速装置では、減速機のケーシングの外形寸法は、モータのケーシングの外形寸法より小さくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−299295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように、減速機のケーシングの一部または全部が、それよりファン側の外形寸法よりも小さくなっていると、冷却用ファンにより移動させられる空気は、モータの外形寸法の大きい部分のケーシングの外周に沿って直線的に移動してしまうため、減速機のケーシングの当該外形寸法の小さくなっている部分に当たりにくくなってしまっていた。そのため、当該外形寸法の小さい部分を十分に冷却できないという問題があった。
【0005】
本発明では、上記の問題を解決するために、減速機を効率的に冷却することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、減速機をファンによって冷却可能な減速装置であって、該減速装置のケーシングの第1の特定の部位の外形寸法が、該第1の特定の部位より反ファン側の第2の特定の部位の外形寸法より大きい減速装置において、前記減速装置は、当該減速装置全体の回転を防止するトルクアームを備え、該トルクアームは、前記減速機の出力軸よりも前記ファン側の部位に取り付けられ、且つ該トルクアームは、前記第1の特定の部位よりも更に半径方向外側に突出した部分を有する構成により上記課題を解決した。
【0007】
本発明は、従来、冷却のために用いることが考えられていなかったトルクアームに注目している。本発明に係るトルクアームは、減速機の出力軸よりもファン側の部位に取り付けられ且つファン側にあるケーシングの外形寸法が大きい部位よりも更に外側に突出した部分を有している。これにより、ファンにより移動させられる空気は、外形寸法が大きいトルクアームに当たり、その結果、該トルクアームは、ケーシングを介してトルクアーム自身に伝達される減速機内部の熱を放散することができる。また、出力軸よりもファン側に減速機構があるため、熱が発生し易いが、本発明ではこの部位にトルクアームが取り付けられるため、効率的に減速機を冷却することができる。つまり、本発明に係るトルクアームは、減速装置全体の回転を防止するトルクアーム本来の機能と、減速機を冷却する機能を合わせて有している。この結果、本発明によれば、減速機自体の設計変更は不要であり、部品点数を増大させることなく、簡単な構造により、減速機を効率的に冷却することができる。
【0008】
なお、トルクアーム自体に着目した場合、本発明は、減速機をファンによって冷却する減速装置に取り付けられるトルクアームにおいて、当該トルクアームは、前記減速装置の外形の全周を覆っている発明と捉えることもできる。
【0009】
また、本発明における「第1の特定の部位」の外形寸法の概念は、ファンによる空気の移動を遮るという趣旨から特定されるべき外形の寸法を意味する。例えば、フィンのような突起部は、ファンによる空気の移動を何ら遮るものではないため、「第1の特定の部位」の外形寸法の判断の際に含めるべき概念ではなく、「第1の特定の部位」の外形寸法はフィンを除いた外形の寸法とすべきである。また、ボルトのようなケーシングの極一部においてのみ突出する部材も、ファンによる空気の移動を特に遮らないため、「第1の特定の部位」の外形寸法の判断の際に含めるべきではない。しかしながら、例えば、減速機のケーシングとしての本来の機能を果たす部分として、減速機の半周程度に亘って連続的に突出している部分がある場合には、その連続して突出している部分の反ファン側は、ファンによる空気の移動が遮られた状態となる。そのため、このような連続して突出している部分は、「第1の特定の部位」の外形寸法の判断の際に含めるべきである。対して、「トルクアームは、第1の特定の部位よりも更に半径方向外側に突出した部分を有する」という文言における「突出した部分」の概念には、ファンによる空気が当たるという趣旨から、トルクアームの外周の一部のみに突出している部分を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、減速機を効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の一例にかかる減速装置の断面図
【図2】図1に示す減速装置のII−II断面図
【図3】本発明の他の実施形態の一例にかかる減速装置の断面図
【図4】本発明の更に他の実施形態の一例にかかる減速装置の断面図
【図5】図4に示す減速装置のV−V断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例にかかる減速装置について詳細に説明する。
【0013】
図1に減速装置100の断面図を示すと共に、図2に図1に示す減速装置100のII−II断面図を示す。
【0014】
減速装置100は、主に、減速機104と、該減速機104を冷却するファン106と、自身の全体的な回転を防止するトルクアーム102を備えている。
【0015】
ファン106は、減速機104の入力軸122に取り付けられている。モータ又は前段の減速機構は、入力軸122のファン106の反減速機側に、取り付けられ(共に図示略)、これらの機器の回転が、減速機104の入力軸122に伝達される。ファン106は、入力軸122と一体回転に可能に取り付けられている。これにより、ファン106は、外部空間119からファン106側に引き寄せられた空気を強制的に減速機104側に移動させる。また、減速装置100は、ファン106の半径方向外側に、ファン106によって移動させられる空気を減速機104側へ偏向するためのファンカバー116を備えている。
【0016】
減速機104は、2段の減速機構(単純遊星歯車構造の遊星減速機構118と、該遊星減速機構118の出力側に連結される直交減速機構120)を備えている。遊星減速機構118は、減速機104の入力軸122と同心状に配置される太陽歯車124と、この太陽歯車124の周囲に配置され該太陽歯車124と外接噛合する(3つの)遊星歯車(図示の例では、1つのみ図示)126と、入力軸122と同心状に配置され、上記遊星歯車126が内接噛合する内歯歯車128と、遊星歯車126の公転成分を取出すキャリヤ130と、を備える。直交減速機構120は、一対の傘歯車(べベルピニオン132及びべベルギヤ134)からなる直交伝達構造である。キャリヤ130の先端には、ボルト131、133により、ピニオン軸136が固定されており、ピニオン軸136には、べベルピニオン132が一体的に形成されている。べベルピニオン132と噛合するべベルギヤ134は、減速機104の出力軸(ホローシャフト)112にキー137により連結されている。キャリヤ130及びピニオン軸136は、一体化された状態で軸受135、139によって支持されている。軸受135は、キャリヤ130と、後述する第3減速機用ケーシング110Cの間に配置されている。また、軸受139は、ピニオン軸136と第3減速機用ケーシング110Cの間に配置されている。出力軸112は、軸受141、143によって支持されている。
【0017】
減速装置100のケーシング110は、主に、第1〜第5減速機用ケーシング110A〜110Eから構成されている。
【0018】
第1減速機用ケーシング110Aは、遊星減速機構118のファン106側の軸方向側面を覆っている。第2減速機用ケーシング110Bは、遊星減速機構118(特に、太陽歯車124等の歯車群)を収容している。第2減速機用ケーシング110Bは、外形寸法がBであり、第3減速機用ケーシング110Cよりファン106側で最大の外形寸法のケーシング部材である。第3減速機用ケーシング110Cは、遊星減速機構118(特に、キャリヤ130及び軸受135、139)を収容している。第3減速機用ケーシング110Cは、ファン106側の第1フランジ部110Cと、反ファン側の第2フランジ部110Cと、第3減速機用ケーシング110Cの軸方向中央部にて該第1、第2フランジ部110C、110Cを接合する接合部110Cとを備えている。第1フランジ部110C、接合部110C、第2フランジ部110Cの外形寸法は、それぞれB、C、Dであり、接合部110Cの半径方向の外形寸法Cが、第1、第2フランジ部110C、110Cの外径寸法B、Dより小さくなっている(B>C、D>C)。
【0019】
即ち、本実施形態では、第2減速機用ケーシング110Bの半径方向の外形寸法がBの部位を第1の特定の部位P1、第3減速機用ケーシング110Cの半径方向の外形寸法がCの部位(接合部110C)を第2の特定の部位P2とすると、減速装置100は、減速機104をファン106によって冷却可能であって、該減速装置100のケーシング110の第1の特定の部位P1の外形寸法Bが、該第1の特定の部位P1より反ファン側の第2の特定の部位P2の外形寸法Cより大きい減速装置を構成している。
【0020】
また、第4、第5減速機用ケーシング110D、110Eは、直交減速機構120の外周を覆っている。第4、第5減速機用ケーシング110D、110Eは、全体として、出力軸112が貫通している方向の外形寸法がEのケーシングを構成している。この外形寸法Eは、第2減速機用ケーシング110Bの半径方向の外形寸法Bより小さく、第3減速機用ケーシング110Cの接合部110Cの半径方向の外形寸法Cより大きい。
【0021】
即ち、第4、第5減速機用ケーシング110D、110Eの外形寸法がEの部位を第3の特定の部位P3とすると、この減速装置100のケーシング110は、第2の特定の部位P2より反ファン側において、該第2の特定の部位P2の外径寸法Cより大きい外径寸法Eを有する第3の特定の部位P3を有していることになる。
【0022】
トルクアーム102は、減速装置100のケーシング110を図示せぬ相手機械と連結することによって、減速装置100全体の回転を防止し、出力軸112の回転を確実に被駆動軸(図示略)に伝えるためのものである。本実施形態におけるトルクアーム102は、減速装置100の外周を一周する形状のリング部102Yとアーム部102Zを有している。
【0023】
トルクアーム102のリング部102Yは、減速機104の出力軸112の軸方向(入力軸122の軸方向)ファン106側の端部112Aよりもファン106側の部位(矢印X1の部位)に取り付けられるのが好ましい。また、トルクアーム102が、発熱量が大きい高速段の減速機構(本実施形態において、遊星減速機構118)を効率的に冷却するという本発明の観点から、該トルクアーム102は、出力段の直交減速機構120を覆う第4、第5減速機用ケーシング(出力段の減速機構を覆うケーシング部分)110D、110E以外の遊星減速機構118を覆う第1〜第3減速機用ケーシング(出力段以外の減速機構を覆う部位におけるケーシング)110A、110B、110C等に取り付けられるのが好ましい。この実施形態においては、トルクアーム102のリング部102Yは、ボルト142〜150により、第3減速機用ケーシング110Cの第1フランジ部110Cの軸方向側面に取り付けられている。
【0024】
また、トルクアーム102のリング部102Yは、アーム部102Z、ボルト140を介して、外部部材(図示略)に固定される。
【0025】
トルクアーム102の外周には、該トルクアーム102自身の半径方向に深い凹凸の放熱用の冷却フィン102Aが一体的に形成されている。トルクアーム102の半径方向の最大の外形寸法は、トルクアーム102の冷却フィン102Aの最外周部の寸法Gである。該冷却フィン102Aの最外周部(外径寸法G)は、第1の特定の部位P1(外形寸法B)よりも更に半径方向外側に突出している(B<G)。
【0026】
次に、トルクアーム102を中心とした減速装置100の作用について説明する。
【0027】
ファン106により移動させられる空気は、半径方向の外形寸法Bが大きい第2減速機用ケーシング110B等の第1の特定の部位P1の外周に沿って直線的に移動する。このため、半径方向の外形寸法Cが小さい第3減速機用ケーシング110Cの接合部110C(第2の特定の部位P2)等の部分に回りこまず、冷却用ファン106による接合部110C等の冷却は難しい。とりわけ、この実施形態に係る減速装置100は、(第4、第5減速機用ケーシング110D、110Eの外形寸法がEの部位である)第3の特定の部位P3を有しているため、該第3減速機用ケーシング110Cの接合部110C(第2の特定の部位P2)での冷却が厳しくなっている。しかも、軸受135、軸受139は、(後段の直交減速機構120の出力軸112に比べて)高速に回転する前段の遊星減速機構118のキャリヤ130、ピニオン軸136をそれぞれ支持すると共に、後段の直交減速機構120から入力される大きなスラスト力も受けるため、軸受141、143等よりも発熱し易くなっている。これらの事情により、第3減速機用ケーシング110C周辺の減速機104内部の温度が上昇する恐れがある。しかし、この実施形態によれば、トルクアーム102は、減速装置100のケーシング110の外形寸法が大きい部分(第1の特定の部位P1)よりも更に外側に突出した部分102B(本実施形態において、冷却フィン102Aの部分)を有している。これにより、ファン106により移動させられる空気は、トルクアーム102の減速装置100のケーシング110の外形寸法が大きい部分よりも更に外側に突出した部分102Bに当たり、その結果、該トルクアーム102は、トルクアーム102自身に伝達される減速機104内部の熱を放散することができる。トルクアーム102は、減速装置100の外周を一周する形状を有しているため、ケーシング110とトルクアーム102の接触面積及びトルクアーム102の放熱面積が増大し、これに伴い、減速機104内部の熱は、ケーシング110及びトルクアーム102に円滑に伝達される。また、トルクアーム102は、外周に放熱用の冷却フィン102Aを形成しており、該冷却フィン102Aの凹凸が、ファン106によって移動させられる空気と接触する表面積を増大させ、多くの熱を円滑に放熱し易くしている。また、本実施形態において、ファン106は、第1減速機用ケーシング110Aに近接させて配置されているため、減速機104内部の熱を放熱し易くしている。
【0028】
この結果、トルクアーム102は、ファン106によって移動させられる空気に直接接触し難い凹状の第3減速機用ケーシング110Cを有する減速機104内部の熱を有効的に放熱することができる。つまり、トルクアーム102は、減速装置100全体の回転を防止するトルクアーム102本来の機能を有すると共に、減速機104を冷却する機能も合わせて有している。
【0029】
この実施形態に係る構成によれば、減速機104自体の設計変更は不要であり、部品点数を増大させることなく、簡単な構造により、減速機104を効率的に冷却することができる。
【0030】
次に、他の実施形態について説明する。
【0031】
図3に他の実施形態の一例にかかる減速装置200の断面図を示す。
【0032】
減速装置は、主に、モータ208と減速機204から構成されている。該モータ208の反減速機側には、ファン206が設けられている。本実施形態では、このファン206が、モータ208の他、減速機204を冷却するためのファンとして使用されている。
【0033】
減速装置200のケーシング210は、主に、第1、第2モータ用ケーシング210F、210G、第1〜第5減速機用ケーシング210A〜210Eから構成されている。本実施形態において、第1減速機用ケーシング210Aは、モータ用のケーシングの一部と兼用されている。
【0034】
本発明における「第1の特定の部位」の外形寸法の概念は、ファンによる空気の移動を遮るという趣旨から特定されるべき外形の寸法を意味する。例えば、フィンのような突起部は、ファンによる空気の移動を何ら遮るものではないため、「第1の特定の部位」の外形寸法の判断の際に含めるべき概念ではなく、「第1の特定の部位」の外形寸法はフィンを除いた外形の寸法をとすべきである。即ち、本実施形態において「第1の特定の部位P11」に相当する第2モータ用ケーシング210Gの半径方向の外形寸法は、(ファン206によって移動させられる空気の移動を妨げる第2モータ用ケーシング210Gにおけるフィン214の凸状の山部を除いた)谷部の部分の直径Iである。
【0035】
第1、第2モータ用ケーシング210F、210G及び第1、第2減速機用ケーシング210A、210Bの半径方向の外形寸法は、ほぼ同一のIである。
【0036】
本実施形態においても、減速装置200のケーシング210は、ファン206側の第2モータ用ケーシング210Gの半径方向が外形寸法Iの部位(第1の特定の部位P11)が、反ファン側の第3減速機用ケーシング210Cの接合部210C(半径方向の外形寸法L)の部位(第2の特定の部位P12)より大きくなっている(I>L)。
【0037】
トルクアーム202は、減速機204における減速機204の出力軸212の軸方向ファン206側の端部212Aよりもファン206側の第3減速機用ケーシング210Cに取り付けられている。トルクアーム202は、半径方向の外形寸法がHであり、減速装置200のケーシング210の外形寸法が大きい部分(第1の特定の部位P11:外形寸法I)よりも更に半径方向外側に突出した部分202B(本実施形態において、冷却フィン202Aの部分)を有している(H>I)。これにより、ファン206により移動させられる空気は、トルクアーム202の減速装置200のケーシング210の外形寸法が大きい部分よりも更に外側に突出した部分202Bに当たり、トルクアーム202は、減速機204内部の熱を放散することができる。この結果、減速装置200は、減速機204を冷却する機能を有するトルクアーム202を用いることにより、減速機204を効率的に冷却することができる。
【0038】
なお、本実施形態において、減速機にモータ(208)が取り付けられているが、該モータは必ずしも必要ではない。
【0039】
その他の構成については、図1、図2に示す減速装置(100)の構造と基本的に同一であるため、減速装置(100)と対応する部分(機能的に同様の部分)に、下2桁が同一の符号を付すに止め、重複説明を省略する。
【0040】
以下の構成に付いても同様に、減速装置(100)と対応する部分に、下2桁が同一の符号を付すに止め、重複説明を省略する。
【0041】
なお、上記実施形態において、トルクアームは、減速装置の外周を一周する形状を有しているが、必ずしも減速装置の外周を一周する必要はない。例えば、図4、5に示すように、トルクアーム302が、減速装置300の外形の半周に若干至らない程度に形成されるようにしてもよい。トルクアーム302は、ケーシング310の外形寸法が大きい部位よりも更に外側に突出した部分302B(冷却フィン302Aの部分)を有しており、減速機304内部の熱を放散し、減速機304を効率的に冷却することができる。この場合、トルクアーム302は、上記実施形態よりも小さくなるため、製造コストをより低減させることができるとともに、取り付けが容易になる。
【0042】
なお、上記実施形態において、トルクアームの外周には、放熱用の冷却フィンが一体的に形成されているが、必ずしも冷却フィンを形成する必要はない。
【0043】
なお、上記実施形態において、減速機は、2段の減速機構を備えているが、これに限らず、1段の減速機構でもよいし、3段以上の減速機構を備える減速機を採用してもよい。
【0044】
上記実施形態において、減速装置のケーシングは、複数の部材から構成されているが、これに限らず、一体型のケーシングを採用してもよい。また、ケーシングの形状についても、上記実施形態に示す凹部を有するものに限らず、減速装置のケーシングの内、ファン側の外径寸法が、反ファン側の外径寸法より大きくなっている部位があればよい。
【0045】
なお、上記実施形態において、トルクアームのケーシングの外形寸法より大きい部分は、トルクアームに一体的に形成されている冷却フィンのみであるが、これに限らず、冷却フィン以外の部分も含むようにしてもよい。
【0046】
上記実施形態に示すように、本発明は、外形寸法の大きい第1、第3の特定の部位が、それぞれ(第1、第3の特定の部位よりも)外形寸法の小さい第2の特定の部位を両側から挟む凹状のケーシングに対して特に有効であるが、ケーシングは、このような形状に限らず、他の形状でもよい。例えば、ケーシングは、第3の特定の部位を有せず、第1の特定の部位より反ファン側に第2の特定の部位のみを有する形状でもよい。
【0047】
また、上記実施形態において、ケーシングの第3の特定の部位の外形寸法は、第1の特定の部位の外形寸法より小さくなっているが、この両者の大小関係は逆転していてもよく、第3の特定の部位の外形寸法が、第1の特定の部位の外形寸法より大きくてもよい。
【0048】
上記実施形態において、減速機は、減速機構として、直交減速機構を備えているが、これに限らず、どのような減速機構であってもよく、他の減速機構(例えば、平行軸歯車構造の減速機構等)を用いてもよい。
【0049】
上記実施形態において、トルクアームや、該トルクアームが取り付けられるケーシングは、それぞれの軸直角断面が円形状とされているが、トルクアームやケーシングの断面形状は特に限定されず、例えば、四角形状等であってもよい。この場合、本発明における「半径方向」とは、「軸方向」に対して垂直な方向を意味する。
【符号の説明】
【0050】
100…減速装置
102…トルクアーム
102B…トルクアーム102の外側に突出した部分
104…減速機
106…ファン
110…ケーシング
112…出力軸
112A…出力軸の軸方向ファン側の端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機をファンによって冷却可能な減速装置であって、該減速装置のケーシングの第1の特定の部位の外形寸法が、該第1の特定の部位より反ファン側の第2の特定の部位の外形寸法より大きい減速装置において、
前記減速装置は、当該減速装置全体の回転を防止するトルクアームを備え、
該トルクアームは、前記減速機の出力軸よりも前記ファン側の部位に取り付けられ、且つ
該トルクアームは、前記第1の特定の部位よりも更に半径方向外側に突出した部分を有する
ことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記トルクアームの外周に放熱用の冷却フィンが形成されている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記トルクアームは、前記減速装置の外周を一周する形状を有している
ことを特徴とする減速装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記減速機は、複数段の減速機構を備えており、
前記トルクアームは、該減速機構の内、出力段の減速機構以外の減速機構を覆う部位における前記ケーシングに取り付けられている
ことを特徴とする減速装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記ケーシングは、前記第2の特定の部位より反ファン側において、該第2の特定の部位の外形寸法より大きい外形寸法を有する第3の特定の部位を有する
ことを特徴とする減速装置。
【請求項6】
減速機をファンによって冷却する減速装置に取り付けられるトルクアームにおいて、
当該トルクアームは、前記減速装置の外周を一周する形状を有している
ことを特徴とするトルクアーム。
【請求項7】
請求項6において、
前記トルクアームの外周に放熱用の冷却フィンが形成されている
ことを特徴とするトルクアーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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