説明

温度と圧力による化学反応装置とそれを用いた処理方法

【課題】 ボイラーの設備費問題を解消すると共に、制御の条件設定の簡素化や膨張化処理、水熱処理、抽出液回収処理を同一の機械で共有処理する装置を提供する。
【解決手段】 処理容器に対し処理容器R半径の下部半分に直接加熱する電熱コイルと、処理容器R半径の上部半分に循環冷却水で温度下げる冷却コイルと、加熱による反応操作前に水分注入や加圧操作や減圧操作を行う操作口と、処理容器内の被処理物を攪拌する攪拌機構と、容器内の圧力を制御装置によって微調整する圧力調整機構と、反応抽出液の劣化を防止する陰圧容器と、反応装置全体の傾斜角を操作し処理容器内の反応抽出液排出を楽にする傾斜角可変機構と、これらを統括管理し履歴管理制御する管理制御装置により、温度と圧力をによる化学反応を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機系の被処理物を温度と圧力による化学反応を用い性状処理し変化させる反応装置とそれを用いた処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
戦後不要になった大砲を改造して圧力釜にし、これに米を入れて高熱高圧でデンプンを糊化し、大気中に放出し急激な気圧変化により膨張化処理を行う穀類膨張機でオオムギ、ソバ、餅、トウモロコシ、大豆、空豆、銀杏、マカロニ等を処理する技術や、低分子量アルコールを主成分とする溶媒と、多糖類系物質とを含有する被処理物を密閉容器内に収容し、前記密閉容器内を前記低分子量アルコールの超臨界状態に加圧加熱処理する多糖類系物質処理方法を用いた水熱処理技術等が知られている。
【0003】
特許文献1には、野菜屑や食肉屑等の動植物細片を、圧力容器に入れ密閉し、湿潤状態で144〜175℃、ゲージ圧で3〜8kg/cm2に加熱・加圧して、5分以上蒸煮処理した後、圧力容器から急激に大気圧下に排出して、動植物組織内の水分を瞬時に気化爆発させて、動植物細片を破砕し、その中の水分を水蒸気として除去することを特徴とする動植物細片の処理方法、及び、処理装置が提案されている。この方法は、膨張化処理を行うには最適な処理装置であるが、水熱処理による反応抽出液を採取する装置には適さない問題点がある。
【0004】
特許文献2には、有機系廃棄物を破砕機7により細かく砕き反応器R1〜Rnに提供するとともにボイラー3からの蒸気により蒸気分解を行う。分解物Bは固気液分離装置4により液体成分は、液体肥料として系外にだされ、固形成分は乾燥装置5に供給され乾燥される。その後一部は調整装置6にて成分調整され、造粒装置7にて粒状に成形された分解物Bの固形成分は、粒状肥料として外部に出荷される。乾燥後の残りは、系外にだされ肥料原料となる有機系廃棄物処理装置及び方法並びに蒸気分解用反応器が提案されている。この方法は、ボイラーからの蒸気により蒸気分解を行うことに特化した装置であり、膨張化処理を行うには適さない問題点がある。
【0005】
特許文献3には、高温高圧の飽和水蒸気で食品残さ・木くず・紙くずを加水分解、熱分解、乾燥、炭化の手順で処理し、有機化合物をブドウ糖・アミノ酸・高級脂肪酸等に分解、又は活性炭化する原料加工方法、飼料製造方法、肥料製造方法並びに原料加工装置が提案されている。この方法は、内側の処理釜と外側の加熱保温釜からなる二重構造の釜を用い、蒸し、加水分解、熱分解を時分割処理する優れた処理方法であるが、圧力11kg/cm2の圧力を二重構造の釜で対応するには技術的難易度や釜本体の重量が増す問題点と、水分を瞬時に気化爆発させ炭化処理する場合、ボイラーからの水蒸気に含まれる水分を配慮し、供給温度と圧力を高く設定する必要を生じる問題点がある。
【0006】
特許文献4には、処理対象物が収納された圧力容器内に蒸気を供給することにより対象物を蒸気分解する蒸気処理装置であって、蒸気が圧力容器の内壁に付着して液化した凝縮液を回収する凝縮液回収手段と、蒸気分解によって得られる処理対象物の抽出液を回収する抽出液回収手段とを具備する蒸気処理装置が提案されている。この方法は、抽出液回収手段を設けることで、蒸気に含まれる水分によって希釈されるのを防止できる優れた処理方法であるが、抽出液回収手段に特化した機構であるため処理対象物の温度分布にむらがあり、他の目的での使用には適さない問題点がある。
【0007】
特許文献5には、有機廃棄物12が内部に収容される収容体14に、有機廃棄物12を攪拌するための攪拌手段82,90,92,94,98を設けると共に、高温高圧加熱蒸気を収容体内に供給する加熱蒸気供給手段68,70,72を設け、更に、かかる加熱蒸気供給手段68,70,72による収容体14内への高温高圧加熱蒸気の供給に先立って、収容体14内を減圧する減圧手段75c,78,80を設けて、減圧状態の収容体14内において、収容体14内に収容された有機廃棄物12を攪拌しつつ、高温高圧加熱蒸気に接触せしめて煮熱処理するように構成した有機廃棄物の処理装置及び処理方法が提案されている。この方法は、蒸気の供給前に収容体内を減圧し有機廃棄物の内部に閉じこめられた空気を吸引し温度上昇の妨げとなっていた要因を排除した優れた処理方法であるが、ボイラーからの水蒸気に含まれる水分に対するの配慮や抽出液回収手段が提供されていない問題点がある。
【0008】
特許文献6には、処理容器2内において天然原料を水熱反応させて低分子化処理し、所定の温度まで冷却した後に、処理容器2内に不活性ガスを注入して陽圧の不活性ガス雰囲気下に保持しながら回収する低分子化天然素材、低分子化天然素材の製造方法およびこれらを用いた微生物製剤が提案されている。この方法は、低分子化天然素材が酸化するのを防止すると共に微生物汚染されるのを防止する優れた製造方法であるが、置換ガスを必要とし、それに伴い機構や制御が複雑になる問題点がある。
【0009】
特許文献7には、約200℃/2MPaと言う高温高圧の水蒸気を処理室110に導入して、この高温高圧の水蒸気の水成分と水蒸気の熱にて被処理物を処理室110にて水熱処理するに際し、ボイラ120が圧送する水蒸気を蒸気過熱ヒータ130で加熱する。また、水蒸気導入に先立ち、処理室110に高圧エアーを導入して処理室110内を予め高圧環境としておくと共に、前回の水熱処理の際の残存水蒸気を水熱処理に処す前の被処理物に噴霧して、当該被処理物を予め昇温させておく。こうしたことにより、処理室110における処理環境を高温高圧に維持する水蒸気の熱と水成分にて被処理物を水熱処理する水熱処理装置と方法が提案されている。この方法は、水蒸気導入に先立ち処理室に高圧エアーを導入して予め高圧環境としておくと共に、前回の残存水蒸気を水熱処理前の被処理物に噴霧し当該被処理物を予め昇温させておく優れた処理方法であるが、ボイラと蒸気過熱ヒータにより200℃/2MPaの性能が確保されているため、圧力上昇時間を短縮するためのコンプレッサー導入は機構や制御が複雑になりコスト上昇を招く問題点や処理後の残存水蒸気にはアンモニアやテルペン類や樹脂由来の揮発成分が含まれているため、次回の処理物を汚染する問題点がある。
【0010】
【特許文献1】特開平08−168750号公報
【特許文献2】特開2002−113444号公報
【特許文献3】特開2003−047409号公報
【特許文献4】特開2005−230726号公報
【特許文献5】特開2007−021410号公報
【特許文献6】特開2007−098367号公報
【特許文献7】特開2008−055285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながらボイラーによる加熱・加圧は設備費が高額であり、処理容器内の圧力は、高圧水蒸気の注入量で調節するようになっていて、この高圧水蒸気の圧力に付随して温度が定まる。ボイラーの方式により発生させ得る水蒸気の最大圧力が決定されるが、従来の処理圧力は2MPa程度であり、圧力が約1.96MPaの水蒸気には約8〜11%の水分が含まれているため、水分の少ない水蒸気を得るには蒸気過熱ヒータを用いて乾燥状態の水蒸気を得る必要が生じるという問題と設備費の低減という課題を有していた。
【0012】
また、従来の温度と圧力による化学反応装置では、ボイラーの設備費と共に耐圧容器を含めたこれらの付帯設備も設備費が高額であり、作業効率を向上させ費用対効果を下げるべく改良や理想的制御を行うための条件設定の簡素化や膨張化処理装置、水熱処理装置、抽出液回収処理装置を集約し同一の機械で共有処理する装置が求められていた。
【0013】
そこで本発明は、温度と圧力による化学反応装置の集大成である穀類膨張機の原理である密閉容器内を加熱することで空気が膨張する現象を応用し、ボイラーを必要としない構成の装置とし、ボイラーの設備費問題を解消すると共に、制御の条件設定の簡素化や膨張化処理、水熱処理、抽出液回収処理を同一の機械で共有処理する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を達成するため、請求項1に記載した温度と圧力による化学反応装置は、投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、密閉容器を直接加熱することで温度と圧力による化学反応を実施するため、処理容器に対し、処理容器R半径の下部半分に直接加熱する電熱機構と、処理容器R半径の上部半分に循環冷却水で温度下げる冷却機構と、加熱による反応操作前に水分注入や加圧操作や減圧操作を行う操作口と、処理容器内の処理物を攪拌するモーター・回転軸・攪拌手で構成した攪拌機構と、容器内の圧力を管理制御装置及び電磁弁によって微調整する圧力調整機構と、反応により生成された低分子化生成液の劣化を防止する冷却機構を備えた陰圧容器と、反応装置全体の傾斜角を操作し処理容器内の低分子化生成液排出を楽にする傾斜角可変機構と、これらを統括管理し履歴管理制御する管理制御装置を設けたことを特徴としている。
【0015】
この発明は、温められた空気は上昇し冷やされた空気は下降する特性を利用し、効率的に加熱や冷却を実施するもので、密着可能なホットプレートヒーター又はシリコンラバーヒーターを処理容器R半径の下部半分に配置し直接処理容器を加熱する電熱機構と、密着可能な水冷ユニットを処理容器R半径の上部半分に配置し間接的に循環冷却水で処理容器を冷却する冷却機構により、温度と圧力による化学反応処理が実施される。
【0016】
また、各種原料から低分子化処理液を採取する化学反応処理において、処理容器下部に反応により生成された低分子化生成液を効率よく、衛生的に、高温に長時間曝されることなく排出を促すため、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管側が低い位置に設定され、低分子化処理液の採取が実施される。
【0017】
請求項2に記載の温度と圧力による化学反応装置は、投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、加熱による反応操作前に水分注入や加圧操作や減圧操作を行う操作口を設け、多量の気化蒸気を必要とする水熱処理では加熱による反応操作前に操作口より水分を注入し、水分率の上昇を避けたい高濃度の低分子化生成液を採取する処理や炭化処理や膨張化処理では処理物の内部保有水分を用い、水熱処理機と穀類膨張機の両方の特性を好適に使い分けることを特徴としている。
【0018】
この発明は、従来のボイラーによる多量の気化蒸気を必要とする水熱処理と等価の水熱処理が実施されるべく、加熱による反応操作前に操作口より水分を注入することにより、従来のボイラーから供給される水分に相当する水分率に処理容器内を設定し水熱処理が実施される。反対に水分率の上昇を避けたい高濃度の低分子化生成液を採取する処理や炭化処理や膨張化処理では処理物の内部保有水分を用いることにより、蒸気過熱ヒータを用いて乾燥状態を作る場合に比べて大幅な電気代の節約効果を発揮する。
【0019】
請求項3に記載の温度と圧力による化学反応装置は、投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、加熱による反応操作前に水分注入や加圧操作や減圧操作を行う操作口を設け、反応操作前に加圧操作を行い大気圧からの加熱における空気の体積膨張係数より高い高圧環境を設定したり、反応操作前に減圧操作を行い大気圧からの加熱における温度上昇より高い高温環境を設定したり、反応操作前に減圧操作を行い処理物内の空気を排出したりすることにより、処理容器内部の処理環境を自由に変化させることを特徴としている。
【0020】
この発明は、従来のボイラーと蒸気過熱ヒータによる処理容器内部の処理環境と等価の処理環境を実現するため、反応操作前に加圧操作を行い大気圧からの加熱における空気の体積膨張係数より高い高圧環境を設定したり、反応操作前に減圧操作を行い大気圧からの加熱における温度上昇より高い高温環境を設定したりすることにより実施され、単純な操作により高度な設定を可能にする。さらに、反応操作前に減圧操作を行い、熱伝導率が悪い処理物内の空気を排出することにより、処理物内の温度分布むらを低減する効果も発揮する。
【0021】
請求項4に記載の温度と圧力による化学反応装置は、投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁後端に陰圧容器を設け、陰圧容器内を減圧し大気圧より低い減圧状態の陰圧容器内に処理蒸気を放出することにより、処理蒸気の排出圧力勾配を急激に下げたり、処理蒸気に含まれる揮発成分を冷却機構により低下させ、水分の気化爆発条件を高めたり、気液分離を促進することを特徴としている。
【0022】
この発明は、従来の炭化処理や膨張化処理における処理効率を高める技術であり、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁後端に陰圧容器を設け、陰圧容器内を減圧し大気圧より低い減圧状態で冷却された陰圧容器内に処理蒸気を放出することにより、処理蒸気の排出圧力勾配を急激に下げ水分の気化爆発条件を促進する。さらに、処理蒸気に含まれる揮発成分を冷却機構により低下させ陰圧容器内で気液分離も行われる。
【0023】
請求項5に記載の温度と圧力による化学反応装置は、投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、処理容器の下部に設けた低分子化生成液採取管出口の排出弁後端に陰圧容器を設け、陰圧容器内を減圧滅菌し大気圧より低い減圧状態の陰圧容器内に低分子化生成液を吸引すると共に、陰圧容器内温度を冷却機構により低下させることにより、大気からの微生物汚染と低分子化生成液の劣化を防止することを特徴としている。
【0024】
この発明は、置換ガスを用いることなく低分子化生成液が酸化するのを防止すると共に微生物汚染されるのを防止する技術であり、陰圧容器内を減圧滅菌し大気圧より低い減圧状態で冷却された陰圧容器内に、低分子化生成液採取管より低分子化生成液を吸引し、大気と隔離された条件と冷却効果により、大気からの微生物汚染と低分子化生成液の劣化を防止する。
【0025】
請求項6に記載の温度と圧力による化学反応装置は、投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、温度を管理する手段と、加圧を管理する手段と、モーターを駆動する手段から得た攪拌機構を駆動するモータの負荷変動により変化する駆動コイルの自己インダクタンス(L)の変化で生じる位相の遅れを、供給する商用電源の位相と比較して得た数値を制御情報とし、処理容器内の温度や圧力の微調整やモータの保護、処理物の適正移動、処理物の性状変化率、処理完了動作を管理制御装置によって判断し制御すると共に、これらのデーターを記憶させる回路を有し、記憶された管理履歴に基づく運用データーを以降の選択モードに追加・削除することを特徴としている。
【0026】
この発明は、理想的制御を行うための条件設定の簡素化を実現する技術で、記憶装置に手動操作全般と各センサーが捉えた計時変化を記憶させ再現実行させる管理制御装置により、手動操作によって実行された処理容器内の温度や圧力の微調整やモータの正逆転による処理物の適正移動や処理完了動作をデーターとして一時記憶させたテーブルを複数用意し、理想的制御を実行できたデーターテーブルを運用データーとして残し、その他のデーターテーブルを削除することで実行される。
【0027】
請求項7に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法は、植物性原料から低分子化処理液を採取するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、植物性原料を処理容器内に入れ密閉し、加熱による反応操作前に操作口より空気を吸引し、処理容器内を真空度10−1Paに減圧した後に大気圧に戻し、処理容器内を電熱機構により150℃〜190℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.6MPa〜1.6MPaの範囲内に所定時間維持し、植物性原料の内部保有水分を用い低分子化処理した後、冷却機構により処理容器内の温度を100℃以下に下げ、処理容器内を陽圧のまま維持し、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管側が低い位置に設定され、排出弁に接続された減圧滅菌と冷却とを施した陰圧容器内に吸引させ、陽圧放出と陰圧吸引により大気からの微生物汚染を防止し、低分子化生成液の高温度劣化を防止することを特徴としている。
【0028】
この発明は、リグニン含量の高い植物性原料の難分解特性を緩和する技術で、加熱による反応操作前に操作口より空気を吸引し、処理容器内を真空度10−1Paに減圧することにより、植物性原料内の空気層を消滅させ植物性原料内を液層化すると共に、細胞壁の強度を低下させ低分子化し易い状態に変化させ、熱伝導率が悪い植物性原料内の空気を排出することにより、後の処理工程において、加圧力による性状変化と加熱による植物性原料内の温度分布むらを低減する効果を発揮する。
【0029】
請求項8に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法は、動物性原料から低分子化処理液を採取するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、動物性原料を処理容器内に入れ密閉し、処理容器内を電熱機構により150℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.6MPa〜1.8MPaの範囲内に所定時間維持し、動物性原料の内部保有水分を用い低分子化処理した後、冷却機構により処理容器内の温度を130℃〜140℃に下げ、分岐排気管から不要な揮発成分を含んだ水蒸気を排出し、さらに、冷却機構により処理容器内の温度を100℃以下に下げ、処理容器内を陽圧のまま維持し、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管側が低い位置に設定され、排出弁に接続された減圧滅菌と冷却とを施した陰圧容器内に吸引させ、不要な揮発成分を含まず、微生物汚染や低分子化生成液の高温度劣化を防止することを特徴としている。
【0030】
この発明は、比重の違いにより水蒸気中の揮発成分が水溶液に変化する温度と、水蒸気中の低分子化生成液が水溶液に変化する温度差を利用したもので、双方の分岐点温度より少し高い、水蒸気中の揮発成分が水溶液に変化する直前の温度130℃〜140℃に設定し、動物性原料中に含まれるアンモニア等の不要な揮発成分を含んだ水蒸気を分岐排気管から排出した後、排出弁に接続された陰圧容器内に低分子化生成液を吸引させることにより、不要な揮発成分を含まない低分子化生成液を採取する技術である。
【0031】
請求項9に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法は、水産資源から低分子化処理液を採取するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、水産資源原料を処理容器内に入れ密閉し、操作口より投入原料の重量に対し0.5%〜15%の水分を注入し、処理容器内を電熱機構により150℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.6MPa〜1.8MPaの範囲内に所定時間維持し、低分子化処理した後、冷却機構により処理容器内の温度を120℃〜130℃に下げ、分岐排気官から処理前に注入した水分に相当する水蒸気を排出し、さらに、冷却機構により処理容器内の温度を100℃以下に下げ、処理容器内を陽圧のまま維持し、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管側が低い位置に設定され、排出弁に接続された減圧滅菌と冷却とを施した陰圧容器内に吸引させ、微生物汚染や低分子化生成液の高温度劣化を防止することを特徴としている。
【0032】
この発明は、水蒸気中の低分子化生成液が完全に水溶液に変化する温度で、水蒸気としても存在できる120℃〜130℃に設定し、分岐排気官から処理前に注入した水分に相当する水蒸気を排出し、排出弁に接続された陰圧容器内に低分子化生成液を吸引させることにより、注入した水分に希釈されない低分子化生成液を採取する技術である。
【0033】
請求項10に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法は、各種原料から低分子化処理液を採取するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、各種原料を処理容器内に入れ密閉し、操作口より投入原料の重量に対し0.5%〜15%の水分を注入し、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁後端に陰圧容器を設け、陰圧容器内を減圧と冷却の処理を施す前処理を実行し、処理容器内を電熱機構により150℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.6MPa〜1.8MPaの範囲内に所定時間維持し、低分子化処理した後、冷却機構により処理容器内の温度を140℃〜150℃に下げ、分岐排気管出口の電磁弁後端に設けた陰圧容器内に一気に水蒸気を排出し、低分子化生成液を分岐排気管の蒸気中から抽出することを特徴としている。
【0034】
この発明は、低分子化生成液を採取する目的では、請求項7、請求項8、請求項9と同じであるが、水蒸気の状態から完全に水溶液に変化した低分子化生成液を採取するのではなく、処理容器内の温度が140℃〜150℃である水蒸気中に存在している状態の成分を陰圧容器内に分岐排気管から一気に排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させることにより実現している。この時、処理容器内の温度は低いほうが陰圧容器の容積を低減するのに有利であるが、140℃以下では一部の成分が液化するため140℃〜150℃の設定温度とし、陰圧容器内を減圧と冷却の処理を施すことにより、処理蒸気の排出圧力勾配を急激に下げると共に、温度も急激に下げ、陰圧容器の容積低減効果を得ている。
【0035】
請求項11に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法は、肥料を製造するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、窒素源である食品残渣や有機汚泥や蓄糞と、炭素源である剪定枝や木材チップや枯れ草と、これらの窒素源と炭素源を含む2種類以上の原料を処理容器内に入れ密閉し、操作口より投入原料の重量に対し0.5%〜25%の水分を注入し、処理容器内を電熱機構により105℃〜120℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.1MPa〜0.4MPaの範囲内に維持し、蒸気を原料中に浸透させた後、分岐排気管から注入した水分に相当する水蒸気を除々に排出し、操作口から水蒸気排出に伴い低下した分量の圧力をポンプより注入補償し、再び処理容器内を電熱機構により190℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を1.3MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し熱分解させた後に、分岐排気管から一気に水蒸気を排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させることを特徴としている。
【0036】
この発明は、有機汚泥や剪定枝を高次元で肥料化処理する場合、難分解性のリグニンの分解が非常に重要な要素であり、分解性が低く、微生物栄養となりにくい材料の分解促進は、在来の手法では困難であるため、熱分解と気化爆発を利用する。処理に先立ち投入原料の重量に対し0.5%〜25%の水分を注入し、加熱・加圧により加熱蒸気を原料中に浸透させ、注入した水分に相当する水蒸気を除々に排出すると共に、排出に伴い低下した分量の圧力をポンプより注入補償し、再び処理容器内を電熱機構により、温度と膨張圧力を所定範囲内に所定時間維持し熱分解させた後に、一気に水蒸気を排出し原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させ肥料化処理をする。
【0037】
請求項12に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法は、生ゴミを炭化処理するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、生ゴミを処理容器内に入れ密閉し、処理容器内を電熱機構により190℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を1.3MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し炭化させた後、分岐排気か管ら一気に水蒸気を排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させることを特徴としている。
【0038】
この発明は、請求項11に記載の処理方法から、前処理工程の水分注入動作と加熱蒸気を原料中に浸透させる作用と注入した水分に相当する水蒸気を除々に排出する動作とポンプよる圧力補償とを省いたものであり、水分含有率が低いため炭化処理となる。
【0039】
請求項13に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法は、穀物を膨張化処理し微生物による発酵原料を製造するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、穀物を処理容器内に入れ密閉し、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁に容器内を減圧すると共に冷却機構により温度を低下させた陰圧容器を設け、処理容器内を電熱機構により140℃〜150℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力が0.9MPa〜1.1MPaの範囲内に達したら、分岐排気管を経由して減圧と共に内部温度を低下させた陰圧容器内に一気に水蒸気を排出し、大気中に排出する場合より効率よく原料組織内の水分を気化爆発させた後に、膨張化処理を施した処理素材に陰圧容器内を冷却することで得た分離液を吸収させ、有効成分の損出を防止することを特徴としている。
【0040】
この発明は、分岐排気か管ら一気に水蒸気を排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させる作用は、請求項11、請求項12と同じであるが、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁に容器内を減圧すると共に冷却機構により温度を低下させた陰圧容器を設け、分岐排気管を経由して減圧と共に内部温度を低下させた陰圧容器内に一気に水蒸気を排出する点が異なり、大気圧より低い気圧側に処理蒸気を排出することにより、処理蒸気の排出圧力勾配を急激に下げ水分の気化爆発条件を高められるため、処理容器内を電熱機構により140℃〜150℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力が0.9MPa〜1.1MPaの範囲内である条件でも、効率よく原料組織内の水分を気化爆発させることができる。
【0041】
請求項14に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法は、堆肥化処理に用いる炭素源構成物質のポリフェノール、リグニン、セルロース、ヘミセルロースの難分解物質を破壊するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、炭素源である剪定枝や木材チップを処理容器内に入れ密閉し、操作口より投入原料の重量に対し0.5%〜25%の水分を注入し、処理容器内を電熱機構により105℃〜120℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.1MPa〜0.4MPaの範囲内に維持し、蒸気を原料中に浸透させた後、分岐排気管から注入した水分に相当する水蒸気を除々に排出し、操作口から水蒸気排出に伴い低下した分量の圧力をポンプより注入補償し、再び処理容器内を電熱機構により190℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を1.3MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し熱分解させた後に、分岐排気管から一気に水蒸気を排出し、炭素源構成物質組織内の水分を瞬時に気化爆発させ、炭素源構成物質の全てを微生物に利用可能な形態に変換することを特徴としている。
【0042】
この発明は、請求項11に記載の処理方法と同じであるが、気化爆発処理後の炭素源を堆肥化処理の炭素源として利用する点が異なり、従来の堆肥化処理におけるポリフェノール、リグニン、セルロース、ヘミセルロースの分解抵抗を減少させるための粉砕機による加工と、苛性ソーダや消石灰を用いてアルカリ処理によって分解の障壁となるフェノール性物質の被覆を緩めセルロースを膨潤させて分解抵抗を低める処理とを実施し、木材腐朽菌を用い炭素源を分解する工程を、炭素源構成物質組織内の水分を瞬時に気化爆発させ工程に置き換えることで、一般の微生物を用いた分解方法でも、2日以内で炭素源構成物質の全てを利用できる。
【発明の効果】
【0043】
以上説明したように請求項1の発明によれば、密閉容器内を加熱することで空気が膨張する現象を応用し、直接処理容器を加熱する電熱機構と間接的に循環冷却水で処理容器を冷却する冷却機構により、温度と圧力による化学反応処理を効率よく実施でき、ボイラー設備不要の装置を構成できる。
【0044】
請求項2の発明によれば、加熱による反応操作前に操作口より水分を注入することにより、従来のボイラーによる多量の気化蒸気を必要とする水熱処理と、反対に水分率の上昇を避けたい炭化処理や膨張化処理では処理物の内部保有水分を用いることにより、同一の機械で水熱処理や炭化処理や膨張化処理を共有処理する装置を提供できると共に、蒸気過熱ヒータ設備不要の装置を構成できる。
【0045】
請求項3の発明によれば、反応操作前に加圧操作を行い大気圧からの加熱における空気の体積膨張係数より高い高圧環境を設定したり、反応操作前に減圧操作を行い大気圧からの加熱における温度上昇より高い高温環境を設定したりすることにより、単純な操作により高度な環境設定を可能にし、さらに、反応操作前に減圧操作を行い処理物内の空気を排出することにより、制御の環境設定の簡素化や処理物内の温度分布むらを低減することが可能となる。
【0046】
請求項4の発明によれば、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁後端に陰圧容器を設け、陰圧容器内を減圧し大気圧より低い減圧状態で冷却された陰圧容器内に処理蒸気を放出することにより、排出圧力勾配を急激に下げ水分の気化爆発条件を促進し、作業効率とエネルギー効率を向上させて、費用対効果を向上させる効果を発揮する。
【0047】
請求項5の発明によれば、陰圧容器内を減圧滅菌し大気圧より低い減圧状態で冷却された陰圧容器内に、低分子化生成液採取管より低分子化生成液を吸引し、大気と隔離された条件と冷却効果により、大気からの微生物汚染と低分子化生成液の劣化を防止する課題も置換ガスを用いることなく実施することが可能となる。
【0048】
請求項6の発明によれば、温度を管理する手段と加圧を管理する手段とモーターを駆動する手段から得た情報を記憶させる回路を有し、目的に応じたデーターテーブルを運用データーとすることで、理想的制御を行うための条件設定の簡素化が可能な制御装置を構成できる。
【0049】
請求項7の発明によれば、加熱による反応操作前に操作口より空気を吸引し、処理容器内を真空度10−1Paに減圧することにより、植物性原料内の空気層を消滅させ植物性原料内を液層化すると共に、細胞壁の強度を低下させ低分子化し易い状態に変化させ、熱伝導率が悪い植物性原料内の空気を排出することにより、後の処理工程において、加圧力による性状変化と加熱による植物性原料内の温度分布むらを低減する効果を発揮する。
【0050】
請求項8の発明によれば、採取目的の成分の比重の違いにより、水蒸気中の気体成分が水溶液に変化する温度差を利用したもので、水蒸気排出に際し、水蒸気中の揮発成分が水溶液に変化する直前の温度130℃〜140℃に設定し、原料中に含まれるアンモニア等の不要な揮発成分を含んだ水蒸気を分岐排気管から排出した後、排出弁に接続された陰圧容器内に低分子化生成液を吸引させることにより、不要な揮発成分を含まない低分子化生成液を採取できる。
【0051】
請求項9の発明によれば、水蒸気排出に際し、水蒸気中の低分子化生成液が液化分離する120℃〜130℃に設定し、分岐排気官から処理前に注入した水分に相当する水蒸気を排出し、排出弁に接続された陰圧容器内に低分子化生成液を吸引させることにより、注入した水分に希釈されない低分子化生成液を採取できる。
【0052】
請求項10の発明によれば、処理容器内の温度が140℃〜150℃である、液化分離反応の起こらない状態の水蒸気中に存在している全低分子化生成成分を、陰圧容器内に分岐排気管から一気に排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させることにより、分岐排気管を経由し陰圧容器内で液化した低分子化生成液得ているので、処理容器内に残存する処理物を乾燥状態で取り出すことができる。
【0053】
請求項11の発明によれば、処理に先立ち投入原料の重量に対し0.5%〜25%の水分を注入し、加熱・加圧により加熱蒸気を原料中に浸透させる処理と温度と膨張圧力を所定範囲内に所定時間維持し熱分解させる処理により、分解性が低く、微生物栄養となりにくい難分解性のリグニンの分解を促進し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させ肥料化処理することで、微生物や植物の栄養源として利用できる肥料を製造できる。
【0054】
請求項12の発明によれば、処理容器内を電熱機構により190℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を1.3MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し、内部水分を用いて処理するため、エネルギー効率が高い炭化処理が実現できる。
【0055】
請求項13の発明によれば、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁に容器内を減圧すると共に冷却機構により温度を低下させた陰圧容器を設け、分岐排気管を経由して陰圧容器内に一気に水蒸気を排出することにより、処理容器内が140℃〜150℃の温度と膨張圧力が0.9MPa〜1.1MPaの範囲内である、一般の処理条件より省エネルギー領域でも、効率よく原料組織内の水分を気化爆発させることができる。
【0056】
請求項14の発明によれば、従来の堆肥化処理の木材腐朽菌を用い炭素源を分解する工程を、炭素源構成物質組織内の水分を瞬時に気化爆発させ工程に置き換えることで、一般の微生物を用いた分解方法でも、2日以内で炭素源構成物質の全てを利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4を参照して詳細に説明する。図1は本発明の温度と圧力による化学反応装置の構造を示す内部透視線を付加した斜視図、図2は反応抽出液の劣化を防止する陰圧容器の構造を示す内部透視線を付加した斜視図、図3は負荷率判定手段の回路図、図4は負荷率判定手段の波形図である。
【0058】
図1に示す温度と圧力による化学反応装置には、投入口1と排出口2を備え耐熱と耐圧を有する容積1570リットルの処理容器3に対し、処理容器R半径の下部半分に直接加熱する電熱機構4を配置し、処理容器R半径の上部半分に循環冷却水で温度下げる冷却機構(A)5を配置し、加熱による反応操作前に水分注入や加圧操作や減圧操作を行う操作口6と、処理容器3内の被処理物を攪拌する減速機付モーター7と減速機に接続された回転軸8と回転軸8に接続された攪拌手9より構成された攪拌機構と、処理容器3内の圧力を管理制御装置と分岐排気官10に接続された電磁弁11によって微調整する圧力調整機構と、低分子化生成液採取管12に取り付けた排出弁(A)13に代わり取り付ける反応抽出液の劣化を防止する陰圧容器14と、反応装置全体の傾斜角を固定板15に取り付けた回転体16を経由して回転可能に位置移動する可動板17の角度を可変機構18で操作し処理容器3内の低分子化生成液排出を楽にする傾斜角可変機構と、これらを統括管理し履歴管理制御する、図示しない管理制御装置が設けられている。
【0059】
また、投入口1と排出口2を備え耐熱と耐圧を有する処理容器3に対し上記以外にも、処理容器3を分割構成する開閉口19と操作口6には操作弁20と分岐排気官10の他方に安全弁(A)21と処理容器3本体に圧力センサー22と上部温度センサー23と下部温度センサー24が設けられている。
【0060】
図2示す陰圧容器14内部には傾斜板25を設け、循環冷却水で温度下げる冷却機構(B)26を配置し、陰圧容器14上部に吸入管27と排気管(A)28と他方の排気管(B)29を設け、陰圧容器14下部には排出液採取管30を設けていて、排気管28には安全弁(B)31が排気管29には水圧空圧操作弁32が排出液採取管30には排出弁(B)33が取付けられている。
【0061】
図2示す陰圧容器14は、構成を同じくする同一記号で示す1570リットルの容量と20リットルの容量の陰圧容器14があり、大容量の陰圧容器14は分岐排気官10側に接続され、小容量の陰圧容器14は低分子化生成液採取管12側に接続される。
【0062】
図1に示す温度と圧力による化学反応装置では、水熱処理、抽出液回収処理、膨張化処理を同一の機械で共有処理することが可能であり、制御方法や電磁弁11・排出弁(A)13の開放操作や陰圧容器14の有無により、水熱処理、抽出液回収処理、膨張化処理の複合化処理も可能となる。
【0063】
水熱処理は、各種原料を無害化し低分子化する水熱反応を利用する技術であり、温度と圧力の範囲は、素材の形状や投入量を配慮して、150℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器3内の膨張圧力が0.6MPa〜1.8MPaの範囲内に設定される。
【0064】
抽出液回収処理は、水熱反応により生成された低分子化生成液を回収するもので、2つの方法があり、1つ目の抽出液回収処理は、水熱処理の温度と圧力の範囲内に所定時間維持し低分子化処理した後、冷却機構(A)5により処理容器3内の温度を100℃以下に下げ、処理容器3内を陽圧のまま維持し、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管12側が低い位置に設定され、排出弁(A)13に接続された減圧滅菌と冷却とを施した陰圧容器14内に吸引させ、陽圧放出と陰圧吸引により大気からの微生物汚染を防止し、低分子化生成液の高温度劣化を防止する、請求項7、8、9等による抽出液回収処理方法。
【0065】
2つ目の抽出液回収処理は、水熱反応と気化爆発を利用し低分子化生成液を回収するもので、処理容器3の上部に設けた分岐排気管10出口の電磁弁11後端に陰圧容器14を設け、陰圧容器14内を減圧と冷却の処理を施す前処理を実行し、水熱処理の温度と圧力の範囲内に所定時間維持し低分子化処理した後、冷却機構(A)5により処理容器3内の温度を140℃〜150℃に下げ、分岐排気管10出口の電磁弁11後端に設けた陰圧容器14内に一気に水蒸気を排出し、低分子化生成液を分岐排気管10よりの排出蒸気中から抽出する、請求項10等による抽出液回収処理方法。
【0066】
膨張化処理は、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させ、破砕による組織分解を利用するもので2つの方法があり、1つ目の膨張化処理は、処理容器3内を電熱機構4により190℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器3内の膨張圧力を1.3MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し所定の処理させた後に、分岐排気管10から一気に水蒸気を排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させる、請求項11、12等による膨張化処理方法。
【0067】
2つ目の膨張化処理は、抽出液回収処理を追加したもので、処理容器3の上部に設けた分岐排気管10出口の電磁弁11に容器内を減圧すると共に冷却機構(B)26により温度を低下させた陰圧容器14を設け、処理容器3内を電熱機構4により140℃〜150℃の温度に加熱し、処理容器3内の膨張圧力が0.9MPa〜1.1MPaの範囲内に達したら、分岐排気管10を経由して減圧と共に内部温度を低下させた陰圧容器14内に一気に水蒸気を排出し、大気中に排出する場合より効率よく原料組織内の水分を気化爆発させた後に、膨張化処理を施した処理素材に陰圧容器14内を冷却することで得た分離液を吸収させ、有効成分の損出を防止する、請求項13等による膨張化処理方法。
【0068】
図1に示す温度と圧力による化学反応装置により各種処理を実施する場合は、管理制御装置(図示省略)の電源を投入すると制御指令により、処理容器3を水平状態に保つ制御が開始された後、投入待ちの状態になり投入可能ランプが点灯する。
【0069】
投入可能ランプ点灯後、手動操作記憶スイッチを押し、投入口1より有機系の被処理物を投入しつつモーター7を回転させ、攪拌手9により排出口2の方向に被処理物を移動させながら処理容器3に規定量の被処理物を投入した後、必要に応じて操作弁20を開放し操作口6より水分を注入したり、加圧操作を加えたり、減圧操作を実行し、投入口1を閉め処理容器3の内部を大気と遮断する。
【0070】
操作口6より水分を注入する目的は、水分率の低い被処理物を水熱処理するためで、乾燥木材や乾燥した雑草等を効率よく水熱処理する場合に実施する。また、水熱処理に伴い低分子化生成液を抽出する場合には、注入した水分により生成液が希釈されるため、投入原料の重量に対し0.5%〜15%の水分を注入するのが好ましい。
【0071】
操作口6より加圧操作や減圧操作をする目的は、加圧操作を行い大気圧からの加熱における空気の体積膨張係数より高い高圧環境を設定したり、減圧操作を行い大気圧からの加熱における温度上昇より高い高温環境を設定したり、処理物内の空気を排出したりすることにより、処理容器3内部の処理環境を自由に変化させることを目的としている。
【0072】
続いて、電熱機構4に通電を開始する操作スイッチを押し、処理容器3内を電熱機構4により150℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器3内の膨張圧力を0.6MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し所定の処理をする。
【0073】
電熱機構4の加熱により、処理容器3に取り付けた上部温度センサー23と下部温度センサー24の温度が一致した時点が、処理物内に熱が伝導された温度としてメモリーに記憶され、同時に経過時間も記録される。その後、温度調節器とタイマー回路により規定の温度と圧力に所定時間維持される。
【0074】
電熱機構4の加熱動作中にトラブルにより、処理容器3の内部温度が203℃を超えた場合には警報を発生し、圧力センサー22の信号により、処理容器3の内部圧力が1.96MPa超えた場合には警報を発生すると共に安全弁(A)21が動作し圧力を大気に逃がす。
【0075】
温度と圧力が範囲内で所定時間維持され所定の処理を完了すると、請求項7、8、9による水熱反応を利用し低分子化生成液を回収する抽出液回収処理では、処理容器3内の温度を冷却機構(A)5により100℃以下に下げ、処理容器3内を陽圧のまま維持し、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管12側が低い位置に制御装置により設定され、排出弁(A)13に接続された減圧滅菌と冷却とを施した陰圧容器14内に、排出弁(A)13を除々に開放し低分子化生成液を吸引させ、陽圧放出と陰圧吸引により大気からの微生物汚染を防止し、低分子化生成液の高温度劣化を防止する。
【0076】
温度と圧力が範囲内で所定時間維持され所定の処理を完了すると、請求項10による水熱反応と気化爆発を利用し低分子化生成液を回収する抽出液回収処理では、処理容器3内の温度を冷却機構(A)5により140℃〜150℃に下げ、処理容器3の上部に設けた分岐排気管10出口の電磁弁11後端に陰圧容器14内を減圧と冷却の処理を施した陰圧容器14を設け、電磁弁11を全開放し分岐排気管10からの水蒸気を陰圧容器14内に一気に排出し、低分子化生成液を分岐排気管10よりの排出蒸気中から抽出する。
【0077】
温度と圧力が範囲内で所定時間維持され所定の処理を完了すると、請求項11、12、14による膨張化処理では、電磁弁11を全開放し分岐排気管10からの水蒸気を一気に排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させ、破砕による組織分解をする。
【0078】
温度と圧力が範囲内で所定時間維持され所定の処理を完了すると、請求項13による膨張化処理では、処理容器3の上部に設けた分岐排気管10出口の電磁弁11に容器内を減圧すると共に冷却機構(B)26により温度を低下させた陰圧容器14を設け、電磁弁11を全開放し分岐排気管10からの水蒸気を陰圧容器14内に一気に排出し、大気中に排出する場合より効率よく原料組織内の水分を気化爆発させた後に、膨張化処理を施した処理素材に陰圧容器14内を冷却することで得た分離液を吸収させ、有効成分の損出を防止する。
【0079】
一連の処理工程が完了した後に、理想的な処理が行われた場合には手動操作により記憶されたデーターを呼び出し、記憶された管理履歴に基づく運用データーを以降の選択モードに追加し、理想的な処理が実行できなかった場合には手動操作により記憶されたデーターを呼び出し削除することにより、条件設定の簡素化が可能となる。
【0080】
尚、電磁弁11、排出弁(A)13と吸入管27を経由して接続された陰圧容器14内は、減圧と冷却の処理を施してあり吸引と同時に分離液は冷却され、膨張係数は大気圧以下に減少するため、排出弁(A)13に取り付けた陰圧容器14は回収分離液と同容等の容量で十分に対応し、電磁弁11に取り付けた陰圧容器14は処理容器3と同容量で十分に対応でき、吸引された水蒸気全てから分離液が回収され、コールドトラップ等の回収方法より効率の良い分離液回収ができる。
【0081】
陰圧容器14は、電磁弁11又は排出弁(A)13と吸入管27を接続し、水圧空圧操作弁32を開放した状態で減圧し、所定の真空圧に達したら水圧空圧操作弁32を閉じた後、冷却機構(B)26で冷却を施す。陰圧容器14内に吸入管27を経由して吸引された成分は、傾斜板25に案内され、排出液採取管30を経由して排出弁(B)33から取り出される。また、陰圧容器14の減圧等のトラブルにより、陰圧容器14内の圧力が変化した場合には、安全弁(B)31が動作し処理容器3からの過剰圧力を大気に逃がす。
【0082】
先の傾斜角可変機構の動作は、可変機構18の先端が伸びたり縮んだりすることにより、可動板17に固定されている回転体16の角度が変化し、固定板15に対し可動板17の傾斜角可が変化する。この傾斜角を変化させる目的は、処理容器3内の低分子化生成液排出を楽にする目的であり、可変機構18がパンタグラフ式、歯車方式、シリンダー方式等の構造を有する機構であればよく、機構を特定するものではない。
【0083】
また、この発明で使用しているモーター7を駆動して、負荷率の違いで生じる位相の変化を時間の変化としての情報に変換する手段は、発明者が先に提案した特開2005−41761号公報の回路を用い、負荷率の違いにより得られた情報を基にモータ7の正逆転による処理物の適正移動や処理完了判定をする。
【0084】
図3の負荷率判定手段の回路は、商用電源の交流電圧をアイソレーションし電子回路に入力できるように設けた電圧変成トランス34と、モータ7に直列に接続された自己インダクタンス検出トランス35により構成されている。電圧変成トランス34では、電子回路の入力電圧に適合する値に調整された、商用電源の位相と同じものが出力1に現れる。しかし、モータ7の駆動コイルには負荷率に応じた磁束が生じ、導線に交差する鎖交磁束数Φ=駆動コイルの自己インダクタンスL×回路電流Iが成立しますので、負荷率が変化すれば駆動コイルの自己インダクタンスLも変化することになり、出力1の元波形36と比較して位相差を生じた、負荷が小さい波形37や負荷が大きい波形38が現れる。
【0085】
交流電流の変化に対して、モータ7の駆動コイルには磁束数の変化を阻止する作用が生じます。これはモータ7の駆動コイルの両端電圧の発生で知ることができますが、交流電源にモータ7を接続した状態では交流電源の位相しか検出できません。そこで、モータ7のコイルの一部として自己インダクタンス検出トランス35の一次コイルを作用させれば、自己インダクタンス検出トランス35の二次側には自己誘導で発生する電圧を確保でき、自己誘導で発生する電圧波形がモータ7の駆動コイルの両端に発生する電圧波形と位相的には同相であるため、アイソレーションされたモータ7の出力波形の位相として捉えることが可能となる。
【0086】
図3の電圧変成トランス34でアイソレーションされた商用電源の交流電圧の出力1の波形が図4で示す元波形36で、モータ7の自己インダクタンス検出トランス35でアイソレーションされた交流電圧の出力2の波形が図4で示す、負荷が小さい波形37や負荷が大きい波形38となる。負荷率の違いで生じる位相の変化はT1やT2のような時間の変化に置き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の温度と圧力による化学反応装置の構造を示す内部透視線を付加した斜視図。
【図2】本発明の反応抽出液の劣化を防止する陰圧容器の構造を示す内部透視線を付加した斜視図。
【図3】本発明の負荷率判定手段の回路図。
【図4】本発明の負荷率判定手段の波形図。
【符号の説明】
【0088】
1 投入口
2 排出口
3 処理容器
4 電熱機構
5 冷却機構(A)
6 操作口
7 モーター
8 回転軸
9 攪拌手
10 分岐排気管
11 電磁弁
12 低分子化生成液採取管
13 排出弁(A)
14 陰圧容器
15 固定板
16 回転体
17 可動板
18 可変機構
19 開閉口
20 操作弁
21 安全弁(A)
22 圧力センサー
23 上部温度センサー
24 下部温度センサー
25 傾斜板
26 冷却機構(B)
27 吸入管
28 排気管(A)
29 排気管(B)
30 排出液採取管
31 安全弁(B)
32 水圧空圧操作弁
33 排出弁(B)
34 電圧変成トランス
35 自己インダクタンス検出トランス
36 元波形
37 負荷が小さい波形
38 負荷が大きい波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、密閉容器を直接加熱することで温度と圧力による化学反応を実施するため、処理容器に対し、処理容器R半径の下部半分に直接加熱する電熱機構と、処理容器R半径の上部半分に循環冷却水で温度下げる冷却機構と、加熱による反応操作前に水分注入や加圧操作や減圧操作を行う操作口と、処理容器内の処理物を攪拌するモーター・回転軸・攪拌手で構成した攪拌機構と、容器内の圧力を管理制御装置及び電磁弁によって微調整する圧力調整機構と、反応により生成された低分子化生成液の劣化を防止する冷却機構を備えた陰圧容器と、反応装置全体の傾斜角を操作し処理容器内の低分子化生成液排出を楽にする傾斜角可変機構と、これらを統括管理し履歴管理制御する管理制御装置を設けたことを特徴とする温度と圧力による化学反応装置。
【請求項2】
投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、加熱による反応操作前に水分注入や加圧操作や減圧操作を行う操作口を設け、多量の気化蒸気を必要とする水熱処理では加熱による反応操作前に操作口より水分を注入し、水分率の上昇を避けたい高濃度の低分子化生成液を採取する処理や炭化処理や膨張化処理では処理物の内部保有水分を用い、水熱処理機と穀類膨張機の両方の特性を好適に使い分けることを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置。
【請求項3】
投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、加熱による反応操作前に水分注入や加圧操作や減圧操作を行う操作口を設け、反応操作前に加圧操作を行い大気圧からの加熱における空気の体積膨張係数より高い高圧環境を設定したり、反応操作前に減圧操作を行い大気圧からの加熱における温度上昇より高い高温環境を設定したり、反応操作前に減圧操作を行い処理物内の空気を排出したりすることにより、処理容器内部の処理環境を自由に変化させることを特徴とする請求項1、請求項2に記載の温度と圧力による化学反応装置。
【請求項4】
投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁後端に陰圧容器を設け、陰圧容器内を減圧し大気圧より低い減圧状態の陰圧容器内に処理蒸気を放出することにより、処理蒸気の排出圧力勾配を急激に下げたり、処理蒸気に含まれる揮発成分を冷却機構により低下させ、水分の気化爆発条件を高めたり、気液分離を促進することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置。
【請求項5】
投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、処理容器の下部に設けた低分子化生成液採取管出口の排出弁後端に陰圧容器を設け、陰圧容器内を減圧滅菌し大気圧より低い減圧状態の陰圧容器内に低分子化生成液を吸引すると共に、陰圧容器内温度を冷却機構により低下させることにより、大気からの微生物汚染と低分子化生成液の劣化を防止することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置。
【請求項6】
投入口と排出口を備え耐熱と耐圧を有する処理容器内で化学反応を施す装置において、温度を管理する手段と、加圧を管理する手段と、モーターを駆動する手段から得た攪拌機構を駆動するモータの負荷変動により変化する駆動コイルの自己インダクタンス(L)の変化で生じる位相の遅れを、供給する商用電源の位相と比較して得た数値を制御情報とし、処理容器内の温度や圧力の微調整やモータの保護、処理物の適正移動、処理物の性状変化率、処理完了動作を管理制御装置によって判断し制御すると共に、これらのデーターを記憶させる回路を有し、記憶された管理履歴に基づく運用データーを以降の選択モードに追加・削除することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置。
【請求項7】
植物性原料から低分子化処理液を採取するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、植物性原料を処理容器内に入れ密閉し、加熱による反応操作前に操作口より空気を吸引し、処理容器内を真空度10−1Paに減圧した後に大気圧に戻し、処理容器内を電熱機構により150℃〜190℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.6MPa〜1.6MPaの範囲内に所定時間維持し、植物性原料の内部保有水分を用い低分子化処理した後、冷却機構により処理容器内の温度を100℃以下に下げ、処理容器内を陽圧のまま維持し、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管側が低い位置に設定され、排出弁に接続された減圧滅菌と冷却とを施した陰圧容器内に吸引させ、陽圧放出と陰圧吸引により大気からの微生物汚染を防止し、低分子化生成液の高温度劣化を防止することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法。
【請求項8】
動物性原料から低分子化処理液を採取するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、動物性原料を処理容器内に入れ密閉し、処理容器内を電熱機構により150℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.6MPa〜1.8MPaの範囲内に所定時間維持し、動物性原料の内部保有水分を用い低分子化処理した後、冷却機構により処理容器内の温度を130℃〜140℃に下げ、分岐排気管から不要な揮発成分を含んだ水蒸気を排出し、さらに、冷却機構により処理容器内の温度を100℃以下に下げ、処理容器内を陽圧のまま維持し、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管側が低い位置に設定され、排出弁に接続された減圧滅菌と冷却とを施した陰圧容器内に吸引させ、不要な揮発成分を含まず、微生物汚染や低分子化生成液の高温度劣化を防止することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法。
【請求項9】
水産資源から低分子化処理液を採取するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、水産資源原料を処理容器内に入れ密閉し、操作口より投入原料の重量に対し0.5%〜15%の水分を注入し、処理容器内を電熱機構により150℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.6MPa〜1.8MPaの範囲内に所定時間維持し、低分子化処理した後、冷却機構により処理容器内の温度を120℃〜130℃に下げ、分岐排気官から処理前に注入した水分に相当する水蒸気を排出し、さらに、冷却機構により処理容器内の温度を100℃以下に下げ、処理容器内を陽圧のまま維持し、反応装置全体の傾斜角を傾斜角可変機構により低分子化生成液採取管側が低い位置に設定され、排出弁に接続された減圧滅菌と冷却とを施した陰圧容器内に吸引させ、微生物汚染や低分子化生成液の高温度劣化を防止することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法。
【請求項10】
各種原料から低分子化処理液を採取するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、各種原料を処理容器内に入れ密閉し、操作口より投入原料の重量に対し0.5%〜15%の水分を注入し、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁後端に陰圧容器を設け、陰圧容器内を減圧と冷却の処理を施す前処理を実行し、処理容器内を電熱機構により150℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.6MPa〜1.8MPaの範囲内に所定時間維持し、低分子化処理した後、冷却機構により処理容器内の温度を140℃〜150℃に下げ、分岐排気管出口の電磁弁後端に設けた陰圧容器内に一気に水蒸気を排出し、低分子化生成液を分岐排気管の蒸気中から抽出することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法。
【請求項11】
肥料を製造するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、窒素源である食品残渣や有機汚泥や蓄糞と、炭素源である剪定枝や木材チップや枯れ草と、これらの窒素源と炭素源を含む2種類以上の原料を処理容器内に入れ密閉し、操作口より投入原料の重量に対し0.5%〜25%の水分を注入し、処理容器内を電熱機構により105℃〜120℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.1MPa〜0.4MPaの範囲内に維持し、蒸気を原料中に浸透させた後、分岐排気管から注入した水分に相当する水蒸気を除々に排出し、操作口から水蒸気排出に伴い低下した分量の圧力をポンプより注入補償し、再び処理容器内を電熱機構により190℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を1.3MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し熱分解させた後に、分岐排気管から一気に水蒸気を排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させることを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法。
【請求項12】
生ゴミを炭化処理するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、生ゴミを処理容器内に入れ密閉し、処理容器内を電熱機構により190℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を1.3MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し炭化させた後、分岐排気か管ら一気に水蒸気を排出し、原料組織内の水分を瞬時に気化爆発させることを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法。
【請求項13】
穀物を膨張化処理し微生物による発酵原料を製造するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、穀物を処理容器内に入れ密閉し、処理容器の上部に設けた分岐排気管出口の電磁弁に容器内を減圧すると共に冷却機構により温度を低下させた陰圧容器を設け、処理容器内を電熱機構により140℃〜150℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力が0.9MPa〜1.1MPaの範囲内に達したら、分岐排気管を経由して減圧と共に内部温度を低下させた陰圧容器内に一気に水蒸気を排出し、大気中に排出する場合より効率よく原料組織内の水分を気化爆発させた後に、膨張化処理を施した処理素材に陰圧容器内を冷却することで得た分離液を吸収させ、有効成分の損出を防止することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法。
【請求項14】
堆肥化処理に用いる炭素源構成物質のポリフェノール、リグニン、セルロース、ヘミセルロースの難分解物質を破壊するにあたり、処理容器を水平状態に固定し、炭素源である剪定枝や木材チップを処理容器内に入れ密閉し、操作口より投入原料の重量に対し0.5%〜25%の水分を注入し、処理容器内を電熱機構により105℃〜120℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を0.1MPa〜0.4MPaの範囲内に維持し、蒸気を原料中に浸透させた後、分岐排気管から注入した水分に相当する水蒸気を除々に排出し、操作口から水蒸気排出に伴い低下した分量の圧力をポンプより注入補償し、再び処理容器内を電熱機構により190℃〜200℃の温度に加熱し、処理容器内の膨張圧力を1.3MPa〜1.9MPaの範囲内に所定時間維持し熱分解させた後に、分岐排気管から一気に水蒸気を排出し、炭素源構成物質組織内の水分を瞬時に気化爆発させ、炭素源構成物質の全てを微生物に利用可能な形態に変換することを特徴とする請求項1に記載の温度と圧力による化学反応装置を用いた処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−115633(P2010−115633A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316230(P2008−316230)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(503311782)
【Fターム(参考)】