説明

温度分布計測装置

【課題】計測準備が簡素化できるとともに、計測結果の信頼性が高い温度分布計測装置を提供すること。
【解決手段】空気の温度を検出する温度センサ3をワークWの表面付近に予め定められた複数の温度計測点P〜Pを経由するように移動させるX軸駆動機構5及びY軸駆動機構6と、該温度センサ3からの検出信号に基づいて各温度計測点P〜Pにおける空気の温度を計測する温度計測部63を内蔵した温度分布計測装置本体7とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの表面付近における空気の温度分布を計測する温度分布計測装置に関し、特に、精密加工品の表面付近における空気の温度分布を高精度に計測する温度分布計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶の製造装置や検査装置において、装置を適正に稼働させるためには、装置周囲の空気、特に、ワーク(加工品、検査品)の表面付近の空気が精密に温調されていることが必要である。
液晶のガラス基板の検査を行う例では、ガラス基板表面付近の空気温度が±0.1℃以内の温度分布であることを要求されることがあり、要求温度分布を満足していることを検証する必要がある。
【0003】
従来、液晶ガラス基板のような精密加工品(以下、単に「ワーク」という。)の表面付近における空気の温度分布を計測する温度分布計測装置としては、図6に示すようなものがある。
図6に示す温度分布計測装置100は、空気の温度を検出する複数の温度センサ101をワークWの表面付近に予め定められた複数の温度計測点に固定し、温度分布計測器102が各温度センサ101からの検出信号に基づいて各温度計測点における空気の温度を計測するようにしている。
【0004】
このため、この温度分布計測装置100は、以下の(1)〜(3)のような問題があった。
(1)複数の温度センサ101のそれぞれを各温度計測点に固定しなければならず、また複数の温度センサ101のそれぞれについて補正を行わなければならないため、計測準備作業に手間がかかる。
(2)温度分布計測器102に対する温度センサ101の接続可能本数を超えて温度計測点の数が増えた場合には、1台の温度分布計測器102で温度分布計測を行うことができない。
(3)各々の温度センサ101の精度にバラツキがある場合に、温度分布を正確に計測できず、信頼性が低下する。
【0005】
なお、特許文献1には、温度分布検知カメラを用いて温度分布を計測するという技術が開示されているが、この特許文献1に係る技術では、空気の温度を直接的に検出して温度分布を計測するものでないため、計測精度が低いという問題がある。
【特許文献1】特開2001−124628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の温度分布計測装置の有する問題点に鑑み、計測準備が簡素化できるとともに、計測結果の信頼性が高い温度分布計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の温度分布計測装置は、ワークの表面付近における空気の温度分布を計測する温度分布計測装置であって、空気の温度を検出する温度センサをワークの表面付近に定められた複数の温度計測点を経由するように移動させる駆動機構と、該温度センサからの検出信号に基づいて各温度計測点における空気の温度を計測する温度計測部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、駆動機構の駆動源をワークの高さ位置よりも低い高さ位置に配置するものとすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の温度分布計測装置によれば、ワークの表面付近に定められた複数の温度計測点を経由するように温度センサが移動され、該温度センサからの検出信号に基づいて各温度計測点における空気の温度が計測されるので、ワークの表面付近における空気の温度分布を単一の温度センサで計測することができる。
【0010】
これにより、以下の(1)〜(3)のような効果を奏する。
(1)従来は複数の温度センサを用いていたため手間がかかっていた計測準備作業を容易かつ短時間で行うことができる。
(2)温度計測点が増えても温度センサの移動経路の変更で対応することができる。
(3)単一の温度センサで温度計測を行うことができるので、複数の温度センサを用いる場合のように各々の温度センサの精度のバラツキの影響を受けず、計測結果に対する信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、駆動機構の駆動源を複数の温度計測点よりも下側に配置することにより、駆動源から発せられる熱の影響による温度分布の乱れを確実に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の温度分布計測装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
図1〜図5に、本発明の温度分布計測装置の一実施例を示す。
この温度分布計測装置1は、図示されないクリーンブース内に設置される検査装置2上に載置された液晶ガラス基板W(以下、単に「ワークW」という。)の表面付近の空気の温度分布を計測するものである。
【0014】
図1に示すように、この温度分布計測装置1は、空気の温度を検出する温度センサ3と、検査装置2及びワークWを内包するように設置される架台4と、架台4に組み付けられるX軸駆動機構5及びY軸駆動機構6と、図示されないクリーンブースの外側に設置される温度分布計測装置本体7とを備えている。
【0015】
架台4は、前後左右に所定間隔を存して配置される左前側脚部材11、左後側脚部材12、右前側脚部材13及び右後側脚部材14と、これら脚部材11〜14によって支持される天井枠フレーム15とより構成されている。
天井枠フレーム15は、左右に配される左側縦梁部材16及び右側縦梁部材17と、前後に配される前側横梁部材18及び後側横梁部材19とが組まれて構成されている。
ここで、前側横梁部材18(後側横梁部材19)の長手方向をX軸方向と定め、左側縦梁部材16(右側縦梁部材17)の長手方向をY軸方向と定めるものとすることとする。
【0016】
X軸駆動機構5は、左側縦梁部材16と右側縦梁部材17との間に跨るように左右方向(X軸方向)に延設されてそれら縦梁部材16,17上に設置される第1フレーム21と、この第1フレーム21の右側端部から垂れ下がるように上下方向に延設されてその第1フレーム21に一体結合される第2フレーム22とを備えている。
【0017】
第1フレーム21において、その右側端部には第1従動歯付きプーリ23が支承されるとともに、その左側端部には第2従動歯付きプーリ24が支承されている。
第2フレーム22の下側端部には、X軸サーボモータ25によって回転駆動される駆動歯付きプーリ26が支承されている。
駆動歯付きプーリ26と第1従動歯付きプーリ23との間には、駆動タイミングベルト27が巻き掛け装着されている。
第1従動歯付きプーリ23と第2従動歯付きプーリ24との間には、従動タイミングベルト28が巻き掛け装着されている。
第1フレーム21上には、温度センサ3の取付台としてのセンサベース29が設置され、このセンサベース29は、図示されない固定具を介して従動タイミングベルト28に固着されている。
【0018】
Y軸駆動機構6は、架台4の上下方向中間位置においてその架台4とX軸駆動機構5における第2フレーム22との間に配されるフレーム30を備えている。
このフレーム30は、右前側脚部材13と右後側脚部材14との間に掛け渡されるように前後方向(Y軸方向)に延設されてそれら脚部材13,14に固着されている。
このフレーム30において、その後側端部にはY軸サーボモータ31によって回転駆動される駆動歯付きプーリ32が支承されるとともに、その前側端部には従動歯付きプーリ33が支承されている。
これら駆動歯付きプーリ32と従動歯付きプーリ33との間には、駆動タイミングベルト34が巻き掛け装着されている。
X軸駆動機構5における第2フレーム22において、駆動タイミングベルト34と対向する側の面には固定プレート35が固着され、この固定プレート35は、図示されない固定具を介して駆動タイミングベルト34に固着されている。
【0019】
ここで、X軸駆動機構5の駆動源であるX軸サーボモータ25及びY軸駆動機構6の駆動源であるY軸サーボモータ31は、いずれもワークWの高さ位置よりも十分に低い高さ位置に配置されている。
こうして、X軸サーボモータ25及びY軸サーボモータ31から発せられる熱の影響による温度分布の乱れを確実に防ぐことができる。
【0020】
X軸駆動機構5における第1フレーム21と、左側縦梁部材16及び右側縦梁部材17との間には、第1フレーム21をY軸方向に案内する直動案内手段36,36′が介設されている。
X軸駆動機構5における第1フレーム21と、センサベース29との間には、センサベース29をX軸方向に案内する直動案内手段37,37′が介設されている。
直動案内手段36としては、例えば、図2(a)に示すような直動案内機構38、図2(b)に示すような直動案内機構39又は図2(c)に示すような直動案内機構40のいずれを採用してもよい。
【0021】
図2(a)に示す直動案内機構38は、左側縦梁部材16の上面に取り付けられ、Y軸方向に延びる溝付きレール41と、第1フレーム21の下面に取り付けられた軸サポート部材42によって支持されるシャフト43に支承され、溝付きレール41の溝部に接触して転動するローラ44とよりなるものである。
また、図2(b)に示す直動案内機構39は、左側縦梁部材16の上面に取り付けられ、Y軸方向に延びるレール45と、第1フレーム21の下面に取り付けられた軸サポート部材46によって支持されるシャフト47に支承され、レール45の両側を挟むように両端部に鍔が設けられて該レール45の上面と接触して転動する両端鍔付きローラ48とよりなるものである。
また、図2(c)に示す直動案内機構40は、左側縦梁部材16の上面に取り付けられ、Y軸方向に延びるレール49と、第1フレーム21の下面に取り付けられ、レール49に対し摺動自在なブロック50とよりなるものである。
直動案内手段36′,37,37′についても、図2(a)〜(c)に示す直動案内機構38,39,40と同様のものの中から適宜選択することができる。
【0022】
図1に示すX軸駆動機構5において、X軸サーボモータ25の回転力は、駆動歯付きプーリ26から駆動タイミングベルト27を介して第1従動歯付きプーリ23に伝達される。
これにより、第1従動歯付きプーリ23が回転駆動され、これに伴って、この第1従動歯付きプーリ23と第2従動歯付きプーリ24との間に巻き掛けられている従動タイミングベルト28が駆動される。
したがって、X軸サーボモータ25を正逆回転作動させると、従動タイミングベルト28に固定されているセンサベース29がX軸方向に往復移動され、センサベース29に組み付けられた温度センサ3がX軸方向に往復移動されることになる。
【0023】
Y軸駆動機構6において、Y軸サーボモータ31の回転により、駆動タイミングベルト34が駆動される。
したがって、Y軸サーボモータ31を正逆回転作動させると、固定プレート35がY軸方向に往復移動され、固定プレート35と結合された第2フレーム22が第1フレーム21と共にY軸方向に往復移動され、第1フレーム21に設けられたセンサベース29に組み付けの温度センサ3がY軸方向に往復移動されることになる。
【0024】
温度分布計測装置本体7は、マイクロコンピュータを主体に構成されるものであって、温度センサ3からの検出信号が入力されるようになっている。
この温度分布計測装置本体7には、計測結果等を表示する表示器51が設けられている。
【0025】
図3に示すように、温度分布計測装置本体7は、プログラム指令部61と、記憶部62と、温度計測部63と、表示信号出力部64と、位置指令信号出力部65と、X軸サーボモータ制御部66と、Y軸サーボモータ制御部67と、トリガ信号出力部68とを備えている。
なお、X軸サーボモータ25には、温度センサ3のX軸方向における現在位置を示すX軸方向位置信号を出力するエンコーダ25aが付設されており、このエンコーダ25aからのX軸方向位置信号はX軸方向位置フィードバック信号としてX軸サーボモータ制御部66に与えられる。
同様に、Y軸サーボモータ31には、温度センサ3のY軸方向における現在位置を示すY軸方向位置信号を出力するエンコーダ31aが付設されており、このエンコーダ31aからのY軸方向位置信号はY軸方向位置フィードバック信号としてY軸サーボモータ制御部67に与えられる。
【0026】
ここで、プログラム指令部61は、プログラムの実行に関わる各種指令を出力する。
記憶部62は、図5のフローチャートに示すアルゴリズムを有する温度分布計測処理プログラムや、演算処理等に必要な各種データなどを記憶する。
温度計測部63は、温度センサ3からの検出信号に基づいて空気の温度を計測する。
表示信号出力部64は、表示器51に表示させるべき表示内容に応じた表示信号を生成・出力する。
位置指令信号出力部65は、予め記憶部62に記憶されている温度計測点の二次元(X−Y平面)の位置座標に基づいて位置指令信号を生成・出力する。
X軸サーボモータ制御部66は、位置指令信号出力部65からの位置指令信号と、X軸サーボモータ25に付設のエンコーダ25aからのX軸方向位置フィードバック信号とに基づいて、X軸サーボモータ25に出力すべき駆動制御信号を演算し、この演算結果に基づくX軸サーボモータ駆動制御信号によりX軸サーボモータ25の回転を制御する。
Y軸サーボモータ制御部67は、位置指令信号出力部65からの位置指令信号と、Y軸サーボモータ31に付設のエンコーダ31aからのY軸方向位置フィードバック信号とに基づいて、Y軸サーボモータ31に出力すべき駆動制御信号を演算し、この演算結果に基づくY軸サーボモータ駆動制御信号によりY軸サーボモータ31の回転を制御する。
トリガ信号出力部68は、温度センサ3によって連続的に検出される温度検出信号のある瞬間における温度検出信号を保持するタイミングを与えるためのトリガ信号を出力する。
温度計測部63、表示信号出力部64、位置指令信号出力部65、X軸サーボモータ制御部66、Y軸サーボモータ制御部67及びトリガ信号出力部68の各種機能部は、温度分布計測処理プログラムがCPUで実行されることによりその機能が実現される。
【0027】
本実施例においては、図4に示すように、ワークWの上面から所定高さHを隔てた位置にあるX−Y平面69内に、互いに所定間隔を存して縦横に、第1温度計測点P(x,y)、第2温度計測点P(x,y)、第3温度計測点P(x,y)、第4温度計測点P(x,y)、第5温度計測点P(x,y)、第6温度計測点P(x,y)、第7温度計測点P(x,y)、第8温度計測点P(x,y)及び第9温度計測点P(x,y)がそれぞれ定められている。
温度センサ3は、X軸駆動機構5とY軸駆動機構6の駆動制御により、図4中のX−Y平面69内における矢印で示された経路に沿ってそれら9箇所の温度計測点P〜Pを経由するように移動される。
【0028】
次に、温度分布計測動作について、主に図3のブロック図及び図5のフローチャートを用いて以下に説明する。
なお、図5中記号「S」はステップを表わす。
【0029】
(ステップS1〜ステップS3の処理内容)
まず、位置指令信号出力部65は、ステップS1において、温度センサ3を位置させるべき温度計測点Pを第1温度計測点Pに定め、ステップS2において、その第1温度計測点Pの位置座標(x,y)を記憶部62から読み出す。
そして、ステップS3において、位置指令信号出力部65は、ステップS2で読み出した位置座標(x,y)に基づいて位置指令信号を生成し、生成された位置指令信号をX軸サーボモータ制御部66及びY軸サーボモータ制御部67に向けて出力する。
【0030】
(ステップS4の処理内容)
X軸サーボモータ制御部66は、位置指令信号出力部65からの位置指令信号と、X軸サーボモータ25に付設のエンコーダ25aからのX軸方向位置フィードバック信号とに基づいて、X軸サーボモータ25に出力すべき駆動制御信号を演算し、この演算結果に基づくX軸サーボモータ駆動制御信号をX軸サーボモータ25に向けて出力する。
一方、Y軸サーボモータ制御部67は、位置指令信号出力部65からの位置指令信号と、Y軸サーボモータ31に付設のエンコーダ31aからのY軸方向位置フィードバック信号とに基づいて、Y軸サーボモータ31に出力すべき駆動制御信号を演算し、この演算結果に基づくY軸サーボモータ駆動制御信号をY軸サーボモータ31に向けて出力する。
こうして、温度センサ3が第1温度計測点P(x,y)に位置決めされる。
【0031】
(ステップS5の処理内容)
例えば、時刻tにおいて温度センサ3が第1温度計測点P(x,y)に位置決めされたとき、トリガ信号出力部68は、温度センサ3によって連続的に検出される温度検出信号の時刻tにおける温度検出信号Tを保持するタイミングを与えるためのトリガ信号を温度計測部63に向けて出力する。
これにより、温度計測部63は、時刻tにおける温度検出信号Tを保持することになる。
【0032】
(ステップS6の処理内容)
ステップS6において、温度計測部63は、ステップS5で保持した温度検出信号Tに基づいて第1温度計測点P(x,y)における空気の温度を計測し、計測結果を記憶部62に記憶させる。
その後、温度計測部63は、計測値をゼロクリアして次の計測に備えて待機する。
【0033】
(ステップS7〜ステップS8での判断が「NO」の場合の処理内容)
ステップS7において、位置指令信号出力部65は、温度センサ3を位置させるべき温度計測点Pを第2温度計測点Pに定め、ステップS2において、その第2温度計測点Pの位置座標(x,y)を記憶部62から読み出す。
以下、第2温度計測点Pに関して、ステップS3〜ステップS6の処理を実行する。
また、第3温度計測点P、第4温度計測点P、第5温度計測点P、第6温度計測点P、第7温度計測点P、第8温度計測点P及び第9温度計測点Pのそれぞれに関してもステップS3〜ステップS6の処理を実行する。
【0034】
(ステップS8での判断が「YES」の場合の処理内容)
第1温度計測点P〜第9温度計測点Pの各温度計測点における空気の温度計測の1サイクル動作が全て終了したとき、表示信号出力部64は、この温度計測の1サイクル動作によって得られた温度分布の計測結果内容を示す表示信号を生成し、生成された表示信号を表示器51に向けて出力する。
これにより、温度分布の計測結果内容が表示器51に表示される。
【0035】
以下、温度分布の検証に必要な量の温度分布計測データが得られるまで、所定のサイクルタイムで図5のフローチャートに示す温度分布計測処理を繰り返し実行する。
【0036】
本実施例の温度分布計測装置1によれば、ワークWの表面付近に定められた第1温度計測点P〜第9温度計測点Pを経由するように温度センサ3が移動され、該温度センサ3からの検出信号に基づいて各温度計測点P〜Pにおける空気の温度が計測されるので、ワークWの表面付近における空気の温度分布を単一の温度センサ3で計測することができる。
【0037】
これにより、以下の(1)〜(3)のような効果を奏する。
(1)従来は複数の温度センサを用いていたため手間がかかっていた計測準備作業を容易かつ短時間で行うことができる。
(2)X軸サーボモータ制御部66及びY軸サーボモータ制御部67による温度センサ3の位置制御内容の変更で温度センサ3の移動経路を簡単に変更することができるので、温度計測点が増えても温度センサ3の移動経路の変更で容易に対応することができる。
(3)単一の温度センサ3で温度計測を行うので、温度センサ3の絶対温度に対するバラツキが減り、計測結果に対する信頼性を向上させることができる。
【0038】
以上、本発明の温度分布計測装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、X軸駆動機構5及びY軸駆動機構6に加え、鉛直方向のZ軸駆動機構を備えることによって、三次元の位置座標に基づいて任意の温度計測点P(x,y,z)を設定するようにしたり、温度センサの駆動機構として、上記実施例において用いているサーボモータ、タイミングベルト等による駆動方式以外の任意の駆動方式、例えば、ボールねじ等の直動アクチュエータやVベルト、丸ベルト等の伝動機構を採用することができる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の温度分布計測装置は、ワークの表面付近における空気の温度分布を単一の温度センサで高精度に計測することができるという特性を有していることから、精密加工品等の表面付近における空気の温度分布計測の用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の温度分布計測装置の一実施例を示す全体外観斜視図である。
【図2】直動案内手段の説明図である。
【図3】温度分布計測装置の制御システムを説明するブロック図である。
【図4】温度計測点の配置を説明する図である。
【図5】温度分布計測処理プログラムの処理内容を説明するフローチャートである。
【図6】従来の温度分布計測装置の概略構成を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 温度分布計測装置
3 温度センサ
5 X軸駆動機構
6 Y軸駆動機構
7 温度分布計測装置本体
63 温度計測部
W ワーク
〜P 温度計測点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面付近における空気の温度分布を計測する温度分布計測装置であって、空気の温度を検出する温度センサをワークの表面付近に定められた複数の温度計測点を経由するように移動させる駆動機構と、該温度センサからの検出信号に基づいて各温度計測点における空気の温度を計測する温度計測部とを備えたことを特徴とする温度分布計測装置。
【請求項2】
駆動機構の駆動源をワークの高さ位置よりも低い高さ位置に配置するものとしたことを特徴とする請求項1記載の温度分布計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−139089(P2009−139089A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297533(P2007−297533)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000229047)日本スピンドル製造株式会社 (328)
【Fターム(参考)】